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12 CHAPTER 1 細胞傷害 細胞死と適応 にも特徴的な外観を呈しているフィブリノイド壊 核の変化 核変化には次に挙げる 3 種類のパター 死は 顕微鏡によらないと診断できない ンがあるが そのどれもが DNA とクロマチンの破 損に起因しているクロマチンの好塩基性の減衰 核融解 karyolysis は デオキシリボヌクレアー 形態学 ゼ deoxyribonuclease DNase の 活 性 化 に 引 き 続いて起こると考えられる2 番目のパターンとし 凝固壊死 coagulative necrosis は 内部の組織 て 核濃縮 pyknosis があり 核の収縮と好塩基性 ま 構造が少なくとも数日間は保存され 図 1-9 の増大が特徴であるDNA が小さな塊に濃縮され た壊死した組織の触感は硬いという特徴をもつお る様子が観察される3 番目のパターンとして核崩 そらく 細胞の構造タンパク質だけでなく 酵素も 壊 karyorrhexis が挙げられるこれは濃縮した核 損傷によって変性しているため 死んだ細胞のタン が分解される現象である1 2 日後に死細胞の パク質が融解しなくなっているその結果 好酸性 核は完全に消失する電子顕微鏡では 核溶解を引 の核の見えない細胞が数日間から数週間にわたっ き起こす深刻な核変化が観察される て認められる壊死部位には白血球が集積し 死滅 壊死細胞の運命 壊死した細胞はしばらく存続す した細胞はそのリソソーム酵素の働きによって消 るか 酵素によって分解され消失する死細胞はミ 化され 遺残物は貪食によって取り除かれる凝 エリン像に置換され やがて他の細胞に貪食された 固壊死は 脳を除くほとんどの器官における 梗塞 り脂肪酸に分解されたりするこうして形成した脂 infarct 虚血性壊死の部位 の特徴的所見である 質塊にカルシウム塩が沈着して 壊死した細胞は最 融解 液状 壊死 liquefactive necrosis は 局 終的に石灰化 calcification することがある 所性の細菌感染や 時に真菌感染の病巣に観察さ れるこれは 病原体が炎症細胞の集積を引き起 こし その酵素が組織を消化 液化 するからであ 組織壊死のパターン るまた 原因は明らかでないが 中枢神経系の虚 Patterns of Tissue Necrosis 血性壊死も融解壊死になることが多い 図 1-10 病因は何であれ 融解壊死では死んだ細胞は完全に 組織の壊死にはいくつかの形態学的に明確なパ 消化され その結果 組織が粘稠な液状物質へと変 ターンがあり その根底にある原因の手がかりとな わる消化された組織は最終的に貪食によって取り ることがあるこれらの名称自体は必ずしも病態の 除かれるこの過程が 細菌感染のような急性炎症 メカニズムを反映していないが 頻繁に使用され によって始まった場合 病変は黄色クリーム状を呈 各用語の意味するところは臨床医や病理医が理解し し 膿 pus と呼ばれる 第 2 章 ている種々に分類される壊死のほとんどは肉眼的 I N A B 図 1 9 凝固壊死 A 楔型をした腎臓の梗塞巣 黄色部分 輪郭は保たれているB 正常の腎臓 N と梗塞巣の壊死細胞 I の境目部分の顕微鏡像壊死細胞の輪郭は保たれているが その核は消失しているまたこの倍率では確認しづらいが 炎症細 胞の浸潤がみられる

CHAPTER 1 細胞傷害 細胞死と適応 壊 疽 性 壊 死 gangrenous necrosis は 細 胞 死 のか観察される凝固壊死と異なり組織構造は完全 の明確なパターンの 1 つではないが 用語として に破壊されており 細胞の辺縁をうかがうことはで 臨床においてはいまだ一般的に使用されている きないまた 乾酪壊死巣は 明確な炎症の境界部 このタイプの壊死は 血流の供給がなくなり 組織 によって取り囲まれることが多く この様子は 肉 の凝固壊死が多層に及んだ四肢 特に下肢で発生す ることが多いこの状況に細菌感染が加わると 凝 13 芽腫 granuloma と呼ばれ 特徴的なものである 第 2 章 固壊死は細菌や集まってきた白血球による液状化 脂肪壊死 fat necrosis とは 脂肪組織破壊の局所 を起こす性質により修飾を受けるその結果 いわ 的な領域のことを指し 典型的には 活性化され ゆる湿性壊疽 wet gangrene となる た膵リパーゼが膵実質や腹膜腔へと放出される結 乾酪壊死 caseous necrosis は ほとんどの場合 果生じるものであるこの壊死は 急性膵炎と呼ば 結核菌の感染巣で認められる 乾酪 とはチーズ れる重篤で緊急を要する急性腹症で生じる 第 16 様という意味であり 黄白色で脆い壊死巣を表現し 章 この疾患においては 膵腺房細胞や膵管から ている 図 1-11 壊死巣では 通常の H & E 染 漏れ出た膵酵素が腹膜の脂肪細胞を融解し リパー 色をした鏡検によると 無構造で顆粒状ピンクの背 ゼが脂肪細胞内に含まれるトリグリセリドエステ 景のなかに 断片化や融解をした細胞が数多くある ルを分解するこうして遊離した脂肪酸はカルシウ ムと結合し 肉眼で判別できる白いチョーク様の病 変 脂肪鹸化 を形成するこの肉眼像により 外 科医や病理医は病変を同定することが可能になる 顕微視的には 壊死に陥った のである 図 1-12 脂肪細胞の輪郭が影のように残存し 好塩基性のカ ルシウム沈着を伴っており それらの周囲には炎症 細胞の浸潤がみられる フ ィ ブ リ ノ イ ド 線 維 素 様 壊 死 fibrinoid necrosis は 光学顕微鏡で観察可能な特殊な壊死 であり 抗原抗体複合体の血管壁沈着を認める免 疫反応を通常伴っている沈着した抗原抗体複合 体が フィブリンと共に血管外へ漏出し H & E 染 色で明るいピンク色の無構造沈着物を呈すもので あるそのため 病理医によって フィブリノイド 図 1 10 融解壊死 脳梗塞において 組織の融解を認める fibrinoid フィブリン様 と呼ばれる 図 1-13 このタイプの壊死が観察される免疫関連疾患 例え ば結節性多発性動脈炎など は第 4 章で説明する 図 1 11 乾酪壊死 結核病変を有する肺において 黄白色で チーズ状の広範囲の乾酪壊死を認める 図 1 12 急性膵炎における脂肪壊死 腸間膜で脂肪の分解が みられるそこで観察できる白いチョークのような斑点は カルシウム石鹸の形成 鹸化 を伴った脂肪壊死巣である

General Pathology of Infectious Diseases CHAPTER 8 GENERAL PRINCIPLES OF MICROBIAL PATHOGENESIS Categories of Infectious Agents SPECIAL TECHNIQUES FOR IDENTIFYING INFECTIOUS AGENTS NEW AND EMERGING INFECTIOUS DISEASES AGENTS OF BIOTERRORISM TRANSMISSION AND DISSEMINATION OF MICROBES Routes of Entry of Microbes Spread and Dissemination of Microbes Within the Body Release from the Body and Transmission of Microbes HOW MICROORGANISMS CAUSE DISEASE Mechanisms of Viral Injury Mechanisms of Bacterial Injury Injurious Effects of Host Immune Responses IMMUNE EVASION BY MICROBES SPECTRUM OF INFLAMMATORY RESPONSES TO INFECTION GENERAL PRINCIPLES OF MICROBIAL PATHOGENESIS 10 2 acquired immunodeficiency syndrome AIDS Categories of Infectious Agents 20 nm 10 m 8-1 prion prion protein PrP Fore Creutzfeldt- Jakob disease CJD bovine spongiform encephalopathy BSE BSE

372 8 1 20 nm Prion protein 20 300 nm Poliovirus 0.2 15 µ m Chlamydia trachomayis Streptococcus pneumonia Mycobacterium tuberculosis 2 200 µ m Candida albicans Histoplasma capsulatum 1 50 µ m Trypanosoma gambiense Trypanosoma cruzi Leishmania donovani 3 mm 10 m Wuchereria bancrofti Trichinella spiralis variant Creutzfeldt-Jacob disease vcjd PrP PrP PrP PrP PrP CJD PrP PrP CJD 22 virus capsid DNA RNA 20 tropism 8-2 8-1 cytomegalovirus CMV smallpox virus rabies virus poliovirus B hepatitis B virus HBV latent infection herpes zoster virus HZV

CHAPTER 8 感染症の一般病理学 373 表 8 2 代表的なヒトウイルス疾患とその病原体 臓器系統 病原体名 疾患 群 呼吸器系 アデノウイルス Adenovirus ライノウイルス Rhinovirus インフルエンザウイルス A B Influenza virus A, B 呼吸器合胞体ウイルス Respiratory syncytial virus 鼻腔から肺までの気道感染症 結膜炎 上気道感染症 インフルエンザ 細気管支炎 肺炎 消化器系 ムンプスウイルス Mumps virus ロタウイルス Rotavirus ノロウイルス Norovirus A 型肝炎ウイルス Hepatitis A virus B 型肝炎ウイルス Hepatitis B virus D 型肝炎ウイルス Hepatitis D virus 流行性耳下腺炎 膵炎 精巣炎 小児 乳幼児 胃腸炎 胃腸炎 急性ウイルス性肝炎 急性ないし慢性肝炎 B 型肝炎ウイルス感染とともに急性ない し慢性肝炎 急性ないし慢性肝炎 急性ウイルス性肝炎 C 型肝炎ウイルス Hepatitis C virus E 型肝炎ウイルス Hepatitis E virus 全身性 皮膚の発疹を伴う 麻疹ウイルス Measles virus 風疹ウイルス Rubella virus 水痘 帯状疱疹ウイルス Varicella-zoster virus 単純ヘルペスウイルス 1 型 Herpes simplex virus type 1 単純ヘルペスウイルス 2 型 Herpes simplex virus type 2 サイトメガロウイルス Cytomegalovirus エプスタイン バールウイルス Epstein-Barr virus ヒト免疫不全ウイルス 1 型 2 型 HIV-1, and HIV-2 麻疹 はしか 風疹 水痘 帯状疱疹 口唇ヘルペス 単純疱疹 cold sore 性器ヘルペス サイトメガロウイルス封入体疾患 伝染性単核球症 皮膚 / 性器の疣贅 パピローマウイルス Papillomavirus コンジローマ 子宮頸癌 中枢神経系 ポリオウイルス Poliovirus JC ウイルス JC virus 灰白髄炎 進行性多巣性白質脳症 日和見性 造血器疾患を伴う AIDS 後天性免疫不全症候群 HIV human immunodeficiency virus ヒト免疫不全ウイルス AIDS acquired immunodeficiency syndrome A B C 図 8 1 ウイルス性封入体の例 A 肺におけるサイトメガロウイルス感染感染細胞に特異的な核内封入体 長い矢印 と境界 不明瞭な細胞質内封入体 短い矢印 を認めるB 皮膚における水痘 帯状疱疹ウイルス varicella-zoster virus 感染症単純 ヘルペスウイルスと水痘 帯状疱疹ウイルスは両方とも特徴的な細胞病理学的変化を引き起こし 上皮細胞の融合が含まる互 いに核を鋳型し合う多核細胞 長い矢印 と 好酸性にハローを呈する核内封入体 短い矢印 を認めるC 肝における B 型 肝炎ウイルス感染慢性肝炎において 感染した肝細胞はびまん性の顆粒状 すりガラス状 ground-glass 肝 細胞質を呈し B 型肝炎表面抗原 HBsAg の蓄積を反映している 根神経節から侵入し そこで潜伏し 後になって周 す 異なる種類のウイルスが同じ臨床症状 例えば 期的に活性化し 皮膚に痛みを感じさせるような 帯 上気道感染 を生み出し得るが 1 つのウイルス 例 状疱疹 shingles を引き起こすいくつかのウイルス えば CMV が宿主の年齢や免疫状態によって異なる は 宿主細胞が良性もしくは悪性腫瘍へと変化する 臨床症状を生み出し得る のに関与している 例えば ヒトパピローマウイル ス human papillomavirus HPV は良性 疣 贅 訳 注 主に尖圭コンジローマ と子宮頸癌を引き起こ 細 菌 細菌感染は一般的な病気の原因である 表 8-3