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200MHz 帯の周波数の海上での伝搬特性 ( 検証概要 ) 2 検証の前提条件 データ取得に用いる電波は 現行の公共ブロードバンド移動通信システムで定められている技術基準に従うこととする 取得データ ハイトパターン 受信電力の長期変動 陸上に設置した送信側のアンテナ高を変化させ 海を挟んだ対向の陸上に設置したアンテナで受信波形及び受信電力を測定 直接波と海面からの反射波の相関を確認するため 受信電力の長期変動データについても取得 指向性アンテナと無指向性アンテナ双方で測定を実施 システム諸元項目周波数送信電力通信 / 多重化方式変調方式電波の型式 諸元 195MHz ( チャネル間隔 :5MHz) 5W TDD/OFDM,OFDMA QPSK,16QAM,64QAM 4M90 X7W 伝搬損失距離特性 送信側のアンテナを船舶に搭載し 船舶の移動にともなう伝搬損失を測定 環境雑音 八木アンテナでの環境雑音測定風景

200MHz 帯周波数の海上での伝搬特性 ( 伝搬損失距離特性 ハイトパターン ) 3 伝搬損失距離特性 測定条件 送信アンテナ受信アンテナ 1 受信アンテナ 2 受信アンテナ間距離 八木 ( 指向性 ) ブラウン ( 無指向性 ) ホイップ ( 無指向性 ) アンテナ 1~ アンテナ 2 間 4 m ( 海抜約 2.0m) 2.43 m ( 海抜約 9.0m) 2.38 m ( 海抜約 9.0m) 約 4.5m ハイトパターン 測定条件 送受アンテナ間距離 :8.6km 送信アンテナ : アンテナ高 :1.8m~23.85m 受信アンテナ : アンテナ高 :2.38m( 固定 ) 伝搬損失距離特性は 2 波モデル ( 理論値 ) に一致受信電力[dBm] ハイトパターンは 2 波モデルのうち反射係数を -1 とするものにほぼ一致

200MHz 帯周波数の海上での伝搬特性 ( 受信電力長期変動 ) 4 受信電力長期変動 測定条件送受アンテナ間距離 :1.56km 送信アンテナ : アンテナ高 :5.9m( 海抜 :2.9m アンテナ設置高:3.0m) 受信アンテナ : アンテナ高 :6.35m ( 海抜 :3.2m アンテナ設置高:3.15m) 周波数軸方向の変動 受信電力の相対値 [db] 受信電力の長期変動データから 潮位による受信レベルの変動は 2 波モデル ( 反射係数 :-1) に近似 周波数軸方向においては フラットな変動であることを確認 200MHz 帯周波数の海上での伝搬特性は 直接波 + 海面反射波 ( 反射係数 :-1) の 2 波モデルで表すことが可能 海上でのフェージングモデルについては 代表的な 2 波モデルである仲上 -Rice モデルを適用

フェージングの検討 ( 概要 ) 5 海上利用におけるフェージングモデル及びフェージングマージンについては それぞれ以下について検討 フェージングモデル 利用環境想定される通信形態波による影響その他の要因 港内 陸上に設置した無線局との通信が多くなる 比較的穏やか 陸地の建造物や橋等による反射 港外船舶間の通信が主になる港内と比べて厳しくなる - 中継での利用は 港内 と 港外 を組み合わせたものになると想定 港内での利用 ( 例 ) 港外での利用 ( 例 ) フェージングマージン フェージングマージンに影響を与える要因は以下の3 点 波による影響 船舶の揺れによる影響 船舶が通過するときの影響 下り回線上り回線

フェージングモデルの検討 ( 波による影響 1) 6 短期間レベル変動分布 累積確率分布 波が穏やかな時 ( 波の高さ :20 cm ~40 cm ) 仲上 -Rice の累積確率分布 約 -2dB 変動幅 :±0.5dB -6 波が荒い時 ( 波の高さ :1.7m~2.2m) 約 -7dB 仲上 -Rice の累積確率分布による検証結果より K ファクタ ( 直接波と反射波の電力比 )=40[dB] の時に 確率変数は -6dB( 累積確率 0.001% ) 波が荒い時のレベル差が約 -7dB このため 波による影響を考慮する場合のフェージングモデルは K=40[dB] としたときの仲上 -Rice モデルで近似が可能 変動幅 :±2dB 波の影響を考慮するフェージングモデルは K=40[dB] としたときの仲上 -Rice モデルで表すことが可能

フェージングモデルの検討 ( 波による影響 2) 7 受信電力 [dbm] 橋梁を通過 時刻 橋梁通過時のインパルス応答 受信電力の局所的な変動 ( マルチパスに起因 ) 受信電力 [dbm] 時間 [μsec] 直接波よりも高い電力レベルの複数の反射波が到達し 電波が打消しあうことにより電力レベル低下 ( 橋梁による反射が支配的 ) 橋梁の通過により受信電力のレベルが低下していることから 港内では 陸地の建造物や橋梁等からの反射波によるマルチパスの影響について考慮が必要

フェージングモデルの検討 ( 波による影響 3) 8 FFT 処理による橋梁通過時の受信電力スペクトラム波形 Rice モデルを含むフェージングモデル ( 例 ) モデル名 フェージングモデル Rice モデルの直接波と反射波の電力比 [db] TETRA Rural Area Rice モデル 0 1 COST 207 Rural Area Rice モデルを含むマルチパスモデル 6.9 6 パス数 3GPP Rural Area Rice モデルを含むマルチパスモデル -5.9 10 受信電力 [dbm] 周波数 [MHz] モデル COST 207 Rural Area のパラメータ 直接波と反射波の電力比 [db] Rice モデルからの遅延量 [nsec] Rice モデルとの電力比 [db] Rice 6.9 - - Classical - 100-4 Classical - 200-8 Classical - 300-12 Classical - 400-16 Classical - 500-20 ( 出典 )3GPP TS 45.005 v12.3.0(2014-08) C.3.1 Typical case for rural area (RAx) OFDM 波に COST 207 Rural Area モデルを適用した時のスペクトラム波形 港内のような 陸地の建造物や橋梁等からの反射波による影響が考慮される環境におけるフェージングモデルとして 仲上 -Rice モデルを含むマルチパスモデル (COST 207 Rural Area モデル ) を使用することが適当

フェージングマージンの検討 ( 波による影響 ) 9 1 海面反射による受信レベル変動 長期間レベル変動( 直接波 + 海面反射波 ) 短期間レベル変動( 潮位変動排除 ) 2 潮位に起因する受信レベル変動 受信 1 年間の潮位変動 (2015 年大浦 ) 2 波モデルにより計算した伝搬損失変動 累積確率 [%] 電力変動値 [db] 0.5-0.90 1-0.87 5-0.71 95 0.73 99 0.89 99.5 0.94 潮位の最大最小差が最も大きな観測結果であった大浦において 潮位による受信電力変動予測 ( 計算値 ) は 1dB 以内 波による影響は 潮位による受信電力変動を含めた場合 ±0.5dB( 波の反射による変動 )+1dB( 潮位による変動 ) と考えることができるため ±2dB のフェージングマージンを確保することが適当

積確率(% )フェージングマージンの検討 ( 船舶の揺れによる影響 ( 陸上 - 船舶間通信 )) 10 使用した船舶の諸元 大型船舶 小型船舶 総トン数 425トン 19トン 全長 49.9m 17.8m 全幅 10.0m 4.3m 海面からのアンテナ高 約 15.2m 約 7.3m 受信ダイバシティのアンテナ間距離 約 2.8m 約 3.5m 計測時の状況 停泊中 停泊中 大型船舶での計測結果 累積確率99% 信頼区間 :±2.7dB 累大型船舶 小型船舶での計測結果 99% 信頼区間 :±3.2dB 小型船舶 電力変動値 [db] 電力変動値 [db] 船舶の揺れによる影響として 船舶と陸上間の通信においては大型船舶が ±2.7dB 小型船舶が ±3.2dB であることを踏まえ ±4dB のフェージングマージンを確保することが適当

フェージングマージンの検討 ( 参考 : 船舶の動揺計測 ( 停泊時 )) 11 計測条件 大型船舶 ロールピッチ 最大値 [deg] ロール : -0.9 ピッチ : -0.4 経過時間 [min] 小型船舶 ロール ピッチ 計測地点 ( 赤丸部分 ) 出典 :Geospatial Information Authority of Japan ( 国土地理院の地理院地図 ( 電子国土 Web) 東京湾 浦賀水道付近 掲載 ) 最大値 [deg] ロール : -3.2 ピッチ : -4.5 経過時間 [min]

フェージングマージンの検討 ( 参考 : 船舶の動揺計測 ( 移動時 )) 12 計測条件 大型船舶 ロール ピッチ 経過時間 [min] 小型船舶 最大値 [deg] ロール : 1.6 ピッチ : 0.6 大型船舶の計測ルート 出典 :Geospatial Information Authority of Japan ( 国土地理院の地理院地図 ( 電子国土 Web) 東京湾 浦賀水道付近 掲載 ) ロール ピッチ 経過時間 [min] 最大値 [deg] ロール : 4.5 ピッチ : 1.2 小型船舶の計測ルート 出典 :Geospatial Information Authority of Japan ( 国土地理院の地理院地図 ( 電子国土 Web) 東京湾 浦賀水道付近 掲載 )

フェージングマージンの検討 ( 船舶の揺れによる影響 ( 船舶間通信 )) 13 総トン数 8687 トン 3 トン 全長 128.6m 6.0m 全幅 19m 2.6m 海面からのアンテナ高約 20.2m 約 4.0m 受信ダイバシティのアンテナ間距離約 6.1m 約 5.3m 計測時の状況停泊中移動中 大型船舶での計測結果 99% 信頼区間約 8dB 99% 信頼区間 12dB 累積確率(% )大型船舶小型船舶頻度小型船舶での計測結果 累積大型船舶小型船舶確率(% )使用した船舶の諸元 頻度 船舶の揺れによる影響として 船舶間の通信においては大型船舶が ±4dB 小型船舶が ±6dB であることを踏まえ ±6dB のフェージングマージンを確保することが適当

フェージングマージンの検討 ( 船舶が通過するときの影響 ) 14 大型船舶の場合 ( 東京湾上 ) 大型船舶が通過したときに約 -1dB 程度受信電力が低下していることから 船舶の通過については -1dB のフェージングマージンを確保することが適当

フェージングモデルの検討結果を踏まえた受信ダイバシティの検討 15 港外モデルを仲上 -Rice モデル 港内モデルを COST 207 Rural Area モデルとした場合の受信ダイバシティ改善効果について BER 特性から検討 Rice モデルの BER 特性 COST 207 Rural Area モデルの BER 特性 約 3dB の改善 約 10dB の改善 受信ダイバシティにより BER1.0E -6 において約 2~3dB の改善が見られる Rice モデルにおける受信ダイバシティ合成利得は 3dB とすることができる 受信ダイバシティにより BER1.0E -6 において約 10dB の改善が見られる COST 207 Rural Area における受信ダイバシティ合成利得は 10dB とすることができる フェージングモデルを踏まえた受信ダイバシティの改善状況について検討した結果 フェージングモデル毎に異なる受信ダイバシティ合成利得 (3dB~10dB 程度 ) となる

200MHz 帯の周波数の海上での伝搬特性 ( 環境雑音特性 ) 16 測定箇所測定時刻 dbm/5mhz 八木アンテナでの測定結果 アンテナ無し ( 測定フロアノイズ ) 11/28 10:15-104.02 八木アンテナ ( 猿島 ) 1 八木アンテナ ( 富津 ) 2 11/28 10:20 11/30 9:40-102.11-103.91 猿島 1 3 富津公園 2 海辺つり公園 八木アンテナ ( 海辺つり公園 ) 3 12/6 10:30-101.64 八木アンテナ ( 金谷港付近 ) 4 12/3 10:10-100.28 金谷港 4 出典 :Geospatial Information Authority of Japan ( 国土地理院の地理院地図 ( 電子国土 Web) 東京湾 浦賀水道付近 掲載 ) 熱雑音 (ktb) のみを考慮した場合の雑音電力は -107dBm であることを踏まえると 環境雑音の測定値は熱雑音よりも 3~5 db 程度高い ITU-R 勧告 P.329-9 Fig.10 都市雑音 ITU-R 勧告 P.329-9 Fig.10 から算出 周波数 [MHz] 195 地域 [MHz] 5 気温 [ ] 6 都市雑音 (dbm/5mhz) 都市部 -93.79 郊外 -98.09 開放地 ( ルーラル ) -103.39 海上で生じる環境雑音電力は開放値環境 ( ルーラル ) のモデルに近くなる

検討結果 17 200MHz 帯の周波数の海上での伝搬特性は 直接波と海面反射波で構成される 2 波モデルと一致 海上の環境雑音は 郡部環境の雑音のモデルに近い 海上利用におけるフェージングモデルは 波の影響のみを考慮する環境 ( 港外 ) のモデルとして仲上 -Rice モデルを 陸地の建造物や橋梁等からの反射波による影響が考慮される環境 ( 港内 ) のモデルとして COST 207 Rural Area 50km/h を適用することが適当 海上利用におけるフェージングマージンは 通信区間毎に 3dB から 7dB を見込むことが適当 陸上 陸上 ( 海上を挟む ) 陸上 船舶船舶 船舶 波の影響 ±2dB( 潮位変動含む ) - - 船舶の揺れによる影響 - ±4dB ±6dB 船舶通過時の影響 -1dB -1dB -1dB 合計 -3dB -5dB -7dB 受信ダイバシティは フェージングモデルにより 3~10dB 程度の合成利得を見込むことが適当 海上単一回線での利用は 陸上とほぼ同様の伝搬特性であるため 技術的条件 ( 空中線電力 隣接チャネル漏えい電力等 ) は 現行の技術的条件を準用することが可能

検討結果 ( 回線設計例 1) 18 ( 例 1) 港内での利用 COST 207 RA50 陸上 アンテナ利得 :10dBi アンテナ高 :20m 下り回線 上り回線 船 アンテナ利得 :2.15dBi アンテナ高 :5m 海上単一回線 ( 港内での海上伝搬モデル ) 項番 項目 単位 QPSK 通信 16QAM 通信 船 -> 陸上 陸上 -> 船 船 -> 陸上 陸上 -> 船 1 周波数帯 MHz 帯 195 195 195 195 2 変調方式 ( 符号化率 ) QPSK(1/2) QPSK(1/2) 16QAM(1/2) 16QAM(1/2) 3 最大送信電力 dbm 37 37 37 37 4 送信アンテナ利得 dbi 2.15 10 2.15 10 5 受信アンテナ利得 dbi 10 2.15 10 2.15 6 送信給電線損失 db 2 4 2 4 7 受信給電線損失 db 4 2 4 2 8 受信 NF db 3 3 3 3 9 受信熱雑音 dbm/5mhz -104-104 -104-104 10 環境雑音 ( 海上 ) dbm/5mhz -102-102 -102-102 11 総雑音電力 dbm/5mhz -98.5-98.5-98.5-98.5 12 所要 SNR db 14 14 19 19 13 所要受信電力 dbm -84.5-84.5-79.5-79.5 14 フェージングマージン db 5 5 5 5 15 受信ダイバシティ合成利得 db 10 10 10 10 16 送信アンテナ高 m 5 20 5 20 17 受信アンテナ高 m 20 5 20 5 18 その他損失 ( 陸上側の樹木等の影響 ) db 5 5 5 5 19 伝送距離 (2 波モデル計算 ) km 13.8 13.8 10.3 10.3

検討結果 ( 回線設計例 2) 19 ( 例 2) 港外での利用 Rice モデル (K=40[dB] fd=0.93[hz]) 大型船舶 アンテナ利得 :2.15dBi アンテナ高 :12m 下り回線 上り回線 小型船舶 アンテナ利得 :2.15dBi アンテナ高 :5m 海上単一回線 ( 港外での海上伝搬モデル ) 項番 項目 単位 QPSK 通信 16QAM 通信 大型 -> 小型 小型 -> 大型 大型 -> 小型 小型 -> 大型 1 周波数帯 MHz 帯 195 195 195 195 2 変調方式 ( 符号化率 ) QPSK(1/2) QPSK(1/2) 16QAM(1/2) 16QAM(1/2) 3 最大送信電力 dbm 37 37 37 37 4 送信アンテナ利得 dbi 2.15 2.15 2.15 2.15 5 受信アンテナ利得 dbi 2.15 2.15 2.15 2.15 6 送信給電線損失 db 3 2 3 3 7 受信給電線損失 db 2 3 2 2 8 受信 NF db 3 3 3 3 9 受信熱雑音 dbm/5mhz -104-104 -104-104 10 環境雑音 ( 海上 ) dbm/5mhz -102-102 -102-102 11 総雑音電力 dbm/5mhz -98.5-98.5-98.5-98.5 12 所要 SNR db 3 3 8 8 13 所要受信電力 dbm -91.5-91.5-86.5-86.5 14 フェージングマージン db 7 7 7 7 15 受信ダイバシティ合成利得 db 3 3 3 3 16 送信アンテナ高 m 12 5 12 5 17 受信アンテナ高 m 5 12 5 12 18 その他損失 ( 陸上側の樹木等の影響 ) db 0 0 0 0 19 伝送距離 (2 波モデル計算 ) km 8.54 8.54 6.4 6.4