2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

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<4 種ウイルス疾患 ( 麻疹 風疹 水痘 流行性耳下腺炎 ) フローチャート> 医療機関の記録または母子手帳でワクチンを接種したことが A B C 2 回確認できる 1 回確認できる全く確認できない D E 前回接種より少なくとも 1 ヶ月以上あけて さらに 1 回ワクチン接種を受ける 抗体検査を

針刺し切創発生時の対応

も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

院内感染対策マニュアル

目次 contents 1. はじめに 3 2. 針刺しフローチャート ( 簡易版 ) 4 針刺しフローチャート ( 詳細版 ) 5 3.HIV 曝露フローチャート 6 4. 職業的曝露の実際 7 採血および感染症検査に関する同意書 8 5. 針刺し対応マニュアル HIV 編 < 患者が HIV 抗

ロタウイルスワクチンは初回接種を1 価で始めた場合は 1 価の2 回接種 5 価で始めた場合は 5 価の3 回接種 となります 母子感染予防の場合のスケジュール案を示す 母子感染予防以外の目的で受ける場合は 4 週間の間隔をあけて2 回接種し 1 回目 の接種から20~24 週あけて3 回目を接種生

平成 30 年度栄養サポートチーム専門療法士臨床実地修練研修プログラム 大阪国際がんセンター 栄養サポートチーム

Vol. 32 Suppl.II,2017 麻疹 風疹 水痘 流行性耳下腺炎 ( ムンプス ) に関する Q&A の公開にあたって 日本環境感染学会では 平成 21 年 5 月に 院内感染対策としてのワクチンガイドライン第 1 版 を 平成 26 年 9 月に 医療関係者のためのワクチンガイドライン

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

B型肝炎ウイルス検査

B型肝炎ウイルス検査

院内感染対策マニュアル

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 014 年 10 月 1 日版日本小児科学会 乳児期幼児期学童期 / 思春期 ワクチン 種類 直後 6 週 以上 インフルエンザ菌 b 型 ( ヒブ )

インフルエンザ(成人)

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院内感染対策マニュアル

< はじめに > 目的 本マニュアルは 県内の医療従事者等が安心して診療できる体制を推進することを目的とし 埼玉県内における医療機関 歯科医療機関や衛生検査所等で従事する医療従事者等が 万が一 針刺し切創などで血液 体液を曝露してしまった場合に緊急的に対応するための手順を示すものである マニュアルを

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールの主な変更点 2014 年 1 月 12 日 1)13 価結合型肺炎球菌ワクチンの追加接種についての記載を訂正 追加しました 2)B 型肝炎母子感染予防のためのワクチン接種時期が 生後 か月 から 生直後 1 6 か月 に変更と なりました (

(Microsoft Word - H29.1.4\211\374\222\371\221\3462\217\315 - HP\225\317\212\267\227p)

PowerPoint プレゼンテーション

審査結果 平成 26 年 2 月 7 日 [ 販売名 ] 1 ヘプタバックス-Ⅱ 2 ビームゲン 同注 0.25mL 同注 0.5mL [ 一般名 ] 組換え沈降 B 型肝炎ワクチン ( 酵母由来 ) [ 申請者名 ] 1 MSD 株式会社 2 一般財団法人化学及血清療法研究所 [ 申請年月日 ]

診療情報を利用した臨床研究について 虎の門病院肝臓内科では 以下の臨床研究を実施しております この研究は 通常の診療で得られた記録をまとめるものです この案内をお読みになり ご自身がこの研究の対象者にあたると思われる方の中で ご質問がある場合 またはこの研究に 自分の診療情報を使ってほしくない とお

始前に出生したお子さんについては できるだけ早く 1 回目の接種を開始できるように 指導をお願いします スムーズに定期接種を進めるために定期接種といっても 予防接種をスムーズに進めるためには 保護者の理解が不可欠です しかし B 型肝炎ワクチンの接種効果は一生を左右する重要なものですが 逆にすぐに効

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検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

第 4 章感染患者への対策マニュアル ウイルス性肝炎の定義と届け出基準 1) 定義ウイルス感染が原因と考えられる急性肝炎 (B 型肝炎,C 型肝炎, その他のウイルス性肝炎 ) である. 慢性肝疾患, 無症候性キャリア及びこれらの急性増悪例は含まない. したがって, 透析室では HBs

2. 定期接種ンの 接種方法等について ( 表 2) ンの 種類 1 歳未満 生 BCG MR 麻疹風疹 接種回数接種方法接種回数 1 回上腕外側のほぼ中央部に菅針を用いて2か所に圧刺 ( 経皮接種 ) 1 期は1 歳以上 2 歳未満 2 期は5 歳以上 7 歳未満で小学校入学前の 1 年間 ( 年

Microsoft Word - 感染症の説明と調査2012.doc

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

日本医師会作成版を元に北上医師会会員向けに一部修正を加えました ( 以下赤文字及び下線部は 各医療機関の実情に応じて記載 変更する ) 新型インフルエンザ等発生時における診療継続計画 ( 案 ) 医院 本計画は当院 新型インフルエンザ等に関する院内対策会議 により平成 年 月 日作成され たものであ


(案の2)

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

42 HBs 抗原陽性で HBe 抗原陰性の変異株が感染を起こした場合は, 劇症肝炎を起こしやすいので,HBs 抗原陽性 HBe 抗原陰性血に対しても注意が必要である. なお, 透析患者では, 感染発症時にも比較的 AST(GOT),ALT(GPT) 値が低値をとること,HCV 抗体が出現しにくいこ

免疫学的検査 >> 5E. 感染症 ( 非ウイルス ) 関連検査 >> 5E106. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤

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水痘(プラクティス)

臨床研究の概要および研究計画

生ワクチン乳幼児の予防接種スケジュール ( 例 : その 1) 同時接種を希望するが 1 回に受ける数は 2 種類以下を希望する場合 ( 受診回数 : インフルエンザを除いて 18 回回または 19 回 ) 0 歳 0カ月 カ月 カ月 1 歳 カ月 13 カ月 1 15 カ月 16 カ月 17 カ月

B型肝炎ウイルスのキャリアで免疫抑制・化学療法を受ける患者さんへ

検査項目情報 水痘. 帯状ヘルペスウイルス抗体 IgG [EIA] [ 髄液 ] varicella-zoster virus, viral antibody IgG 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F

34 片渕美和子他 表 1 各年度の B 型肝炎, 麻疹, 風疹およびムンプスに対する抗体陽性率 検査年度 HBs 麻疹 風疹 ムンプス 2003 年 3/231(1.3)* 131/217(60.4) 200/217(92.2) 114/217(52.5) 2004 年 0/231( 0) 134

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

<593A5C30388AEB8B408AC7979D837D836A B5C8CC295CA8AEB8B408AC7979D837D836A B5C378AB490F58FC796688E7E91CE8DF4837D836A B5C FE18ED243817A8AB490F596688E7E91CE8DF4837D836A B816989FC92F994C5816A2E786C7

6/10~6/16 今週前週今週前週 インフルエンザ 2 10 ヘルパンギーナ RS ウイルス感染症 1 0 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 8 10 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎 0 0 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 流行性角結膜炎 ( はやり目 )

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< F2D817988C482C682EA94C5817A895E97708E77906A2E6A7464>

3-2 全国と札幌市の定点あたり患者報告数の年平均値流行状況の年次推移を 全国的な状況と比較するため 全国と札幌市の定点あたり患者報告数の年平均値について解析した ( 図 2) 全国的には 調査期間の定点あたり患者報告数の年平均値は その年次推移にやや増減があるものの大きな変動は認められなかった 札

9 予防接種

DPT, MR等混合ワクチンの推進に関する要望書

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生ワクチン 不活化ワクチン ジフテリア 百日咳 破傷風 不活化ポリオ混合ワクチン の接種から20~24 週あけて3 回目を接種 別の種類のワクチンを接種する場合は 中 27 日 ( いわゆる4 週間 ) 以上あけて受けます 別の種類のワクチンを接種する場合は 中 6 日 ( いわゆる1 週間 ) 以

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

<4D F736F F D D D4F914F8E7388E38E7489EF20906A8E6882B591CE899E837D836A B E646F6378>

ヒブ ( インフルエンザ菌 b 型 ) 対象者 : 生後 2ヶ月から5 歳未満までのお子さん標準的な接種開始期間は 生後 2ヶ月から7ヶ月未満です 生後 2ヶ月を過ぎたら 早目に接種しましょう 接種方法 : 接種開始時の年齢により接種方法が異なります 接種開始が生後 2ヶ月から7ヶ月未満の場合 (

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

名称未設定-1

あり 一人の感染者が周囲の免疫のないヒトに感染させる数である基本再生産数は 10 流行を抑制するための集団免疫率は 90% 以上です 水痘の潜伏期間は通常 14~16 日間です 水痘ワクチンの定期接種が行われている米国では 1 回定期接種を行っていた 1996 年から 2004 年までの間に 水痘患

遡及調査にて77日前の献血時のHBVウイルス血症が確認できた急性B型肝炎の一例

顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

報告風しん

重症急性呼吸器症候群 (SARS) 削除. 新興感染症対策を Xに新設. 5. ウエストナイル熱 空気感染する可能性があり, かつパンデミッ これらは改定版 2 刷発行当時 (2004 年 ), クになった際の透析施設の対応を Xに移行. 新興 再興感染症として問題とされてい 4. ウ

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要旨 平成 30 年 2 月 21 日新潟県福祉保健部 インターフェロンフリー治療に係る診断書を作成する際の注意事項 インターフェロンフリー治療の助成対象は HCV-RNA 陽性の C 型慢性肝炎又は Child-Pugh 分類 A の C 型代償性肝硬変で 肝がんの合併のない患者です 助成対象とな

エピネット日本版を用いた針刺し切創・血液体液曝露サーベイランス(JES)の現況

ハイリスク患者 免疫抑制者における播種性水痘 悪性腫瘍患者の死亡率は 7-17% 成人 妊婦 新生児 肺臓炎 年齢による水痘の頻度と死亡率 0~4 5~14 15~44 45~64 >65 頻度 ( 対人口

免疫学的検査 >> 5E. 感染症 ( 非ウイルス ) 関連検査 >> 5E301. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 イ ヘパリンナトリウム ( 緑 ) 血液 5 ml 全血 検体ラベル ( 単項目オー

<4D F736F F D208C8B8A6A90DA90478ED28C CC82C482D182AB2E646F63>

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院内感染対策マニュアル

平成 24 年 7 月改定版 すべての予防接種につきましては 次のページに記載してあります 平成 24 年度予防接種日程表 ( 国の通知により 内容が変わる場合があります 毎月の 広報みなみちた でご確認ください 新 麻しん風しん混合 3 期 4 期 ( 個別 ) 対象 :3 期 ( 中学 1 年生

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インフルエンザ、鳥インフルエンザと新型インフルエンザの違い

平成 28 年度感染症危機管理研修会資料 2016/10/13 平成 28 年度危機管理研修会 疫学調査の基本ステップ 国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース (FETP) 1 実地疫学調査の目的 1. 集団発生の原因究明 2. 集団発生のコントロール 3. 将来の集団発生の予防 2 1

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70 例程度 デング熱は最近増加傾向ではあるものの 例程度で推移しています それでは実際に日本人渡航者が帰国後に診断される疾患はどのようなものが多いのでしょうか 私がこれまでに報告したデータによれば日本人渡航者 345 名のうち頻度が高かった疾患は感染性腸炎を中心とした消化器疾患が

実践!輸血ポケットマニュアル

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小児用肺炎球菌ワクチン 対象者 : 生後 2カ月 ~5 歳未満の方接種費用 : 無料ただし 接種開始が2 歳以上の場合は自己負担あり (1100 円 ) 接種回数 : 接種開始年齢によって異なります 接種開始月 年齢接種回数 接種間隔接種費用 生後 2 月から 7 月未満 生後 7 月から 12 月

検査項目情報 インフルエンザウイルスB 型抗体 [HI] influenza virus type B, viral antibodies 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F410 分析物 インフルエン

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新しいインフルエンザワクチンの開発研究 (POC 研究 ) 日時 :11 月 23 日 ( 金 ) 9:00~16:00 参加登録後 後日時間を指定させていただきます 場所 : 三重病院小児科外来研究目的 : 注射ではなく 飲み薬の新しいインフルエンザワクチンを開発しています 新しいワクチンの効果を


横浜市感染症発生状況 ( 平成 30 年 ) ( : 第 50 週に診断された感染症 ) 二類感染症 ( 結核を除く ) 月別届出状況 該当なし 三類感染症月別届出状況 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月計 細菌性赤痢

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2 参考 検体投入部遠心機開栓機感染症検査装置 感染症検査装置 (CL4800)

約 60 分で 夜間 休日は迅速法により約 30 分で結果が出る 後日の診療のため 体制が許す限り 速やかに HIV 抗体 HBs 抗原 抗体 HCV 抗体の通常測定を行う 2. 各病原体への対応 1)HIV ヒト免疫不全ウイルス ( 図 2) 事故直後からの抗 HIV 薬服用が感染防止に有効である

インフルエンザ院内感染対策

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

詳細 下記項目におきまして 所要日数を変更させていただきます 一部の項目では ご依頼曜日により所要日数が延長となりますが ご了承ください その他の検査内容に変更はありません β- トロンボグロブリン (β-tg) 2~6( 日 ) 2~4( 日 ) 血小板第 4 因子 (PF

試 プロゲステロン IVF-プロゲステロン 低値の特異性が向上し 交差反応が低減される改良試薬へ変更いたします ( 試薬は販売中止となります ) 併せてプロゲステロンの基準値を再設定させていただきます (IVF- プロゲステロンは基準値を設定しており

H30_業務の概要18.予防接種

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

とが知られています 神経合併症としては水痘脳炎 (1/50,000) 急性小脳失調症 (1/4,000) などがあり さらにインフルエンザ同様 ライ症候群への関与も指摘されています さらに 母体が妊娠 20 週までの初期に水痘に罹患しますと 生まれた子供の約 2% が 皮膚瘢痕 骨と筋肉の低形成 白

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Ⅵ. 職業感染対策 1. 針刺し 切創 粘膜曝露 1) 針刺し 切創 粘膜曝露対策および事例発生時の対応 職業感染を防止するためには 針刺し 切創 粘膜曝露を起こさないことが重要ではあ るが もし針刺し 切創 粘膜曝露が発生した場合は 迅速に対処することが必要となる 針刺し 切創 粘膜曝露事例発生時はフローチャートに従い行動する 表 1 感染症別の針刺しによる感染率 問題となるウイルス 感染率 備考 HBV 30% HBe 抗原陽性時は 60% 感染に必要な血液量 :1/10,000ml HCV 3% HIV 0.3% 針刺し 切創 粘膜曝露事例発生時 書類セットの内容 書類セットは内科外来もしくは救急外来に保管 平日時間内であれば内科外来受診時に 時間外 休日であれば救急外来受診時に受け取り 必要事項を記入する 表 2 書類セットの内容針刺し 切創粘膜曝露書類の内容および取り扱い 針刺し 切創 粘膜曝露発生時フローチャート発生後の処置および報告先等について記載 針刺し 切創 粘膜曝露発生時の対応 (HBV HCV 梅毒 ) 針刺し 切創 粘膜曝露発生時の対応 対象患者の感染状況に合わせた処置および経過フォロ ー方法を記載 対象患者が HIV 抗体陽性だった場合の対応を記載 (HIV) 針刺し 切創 粘膜曝露発生に関する説明と同意書 対象患者の感染状況が不明な場合に 感染状況を確認 する検査に使用 主治医または担当医が患者 ( もしくは家族 ) へ説 明し同意書を作成 作成後は電子カルテにスキャンし 診療情報管理 室で保管する 療養補償給付たる療養の給付請求書 提出先 : 総務課 提出期限 : 原則 3 日以内 但し 休日を含む場合は休日明けの 15 時まで 針刺し 切創報告書 1 粘膜曝露報告書 1 提出先 : 総務課 感染制御部提出期限 :1 週間以内 1: 針刺し 切創 粘膜曝露 は別のセットとなっている 針刺し 切創 粘膜曝露発生時の書類は電子カルテ初画面の 感染制御部情報 血 液 体液曝露関連 より印刷が可能 1

2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院のワクチンプログラムに沿って接種する 表 3 HBV ワクチン接種プログラムおよび抗体価の管理新入職者 ( 前年度の中途入職者を含む ) で 入職時ワクチンプログラム対象者の HBs 抗体が陰性の医療職ワクチンを接種する時期 8 月 9 月 2 月 ( 前後することがありえる ) 接種対象者への連絡総務課で日程の調整を行い 対象者へ連絡する 2 クールまでのワクチン接種を行い 抗体の獲得が 1 クール終了後の抗体未獲得者できない場合は免疫不応答者として対応する HBs 抗体の測定 6 月の職員健診時 (1 回 / 年 ) に測定する 本人他 総務課および感染制御部で管理 把握抗体価の管理する 2

針刺し 切創 粘膜曝露発生時フローチャート 3

針刺し 切創 粘膜曝露発生時の対応 (HBV HCV 梅毒 ) 4

針刺し 粘膜曝露発生時の対応 HIV 5

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職員の針刺し 切創 粘膜曝露事例発生に関する説明と検査同意書 この度 当院職員におきまして針刺し 切創 粘膜曝露事例が発生いたしました 万一 患者様の血液中に 血液で媒介されるウイルスが存在した場合 職員に対し速やかに適切な予防処置を行う必要があります そのためには 採血を実施し 血液で媒介される感染症 (B 型肝炎ウイルス C 型肝炎ウイルス ヒト免疫不全ウイルス等 ) の抗原や抗体の有無を確認する検査が必要です つきましては まことに恐縮ではございますが 以下の検査についてご承諾いただけますよう よろしくお願い申し上げます ( なお すでに検査を行っている項目につきましては検査を行いません ) 必要な検査項目 1. B 型肝炎ウイルス 2.C 型肝炎ウイルス 3. ヒト免疫不全ウイルス (HIV) 4. 梅毒 なお 今回の検査で必要となった費用はすべて病院で負担いたします また 検査結果は針刺し 切創 粘膜曝露発生事例に関する目的以外で使用することはありません 検査結果については ご希望があれば担当医よりお知らせいたします ただし HIV に関連した検査の結果につきましては プライバシー保護の観点から 原則ご本人以外 ( 家族も含め ) への通知は行いません 未成年の患者様の場合は 保護者の方へも説明いたします なお 検査にご同意いただけない場合でも 患者様の不利益は発生いたしません 以上の説明をいたしました 平成年月日 説明者 職員の針刺し 切創 粘膜曝露事例発生に関する検査同意書 熊本労災病院病院長殿 私は上記の説明を受け 趣旨 内容および必要性を理解しましたので 病院の要請に応 じ 検査の実施に同意します 結果の通知 : 必要 不要 ( いずれかに をつけてください ) 平成年月日 患者様氏名 代理人氏名 平成 24 年 6 月熊本労災病院 11

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2. ウイルス性疾患対策および対応 1) 季節性インフルエンザインフルエンザはインフルエンザウイルスによっておこる感染症で 例年 11 月下旬 12 月上旬ころから流行が始まり 翌年 1~3 月頃に患者数が増加する 感染経路は飛沫感染であり 接触感染で伝播していくこともある 医療従事者は職業上リスクが高い患者 すなわちハイリスク群と接触する機会が多いため インフルエンザ感染拡大防止の観点からもインフルエンザワクチンの接種が推奨されている (1) インフルエンザワクチン表 4 インフルエンザワクチン接種時期他インフルエンザワクチン 抗体の維持 : 接種後 2 週間経過後から 5 か月間の効果 発症予防効果 :70% 接種対象者 接種を希望した病院職員 例年 9 月頃に接種希望を確認 接種希望の聴取時期 新型インフルエンザ等の発生があり接種時期が変更された場合を除く 例年 10 月末から 11 月初旬にかけて接種接種時期 新型インフルエンザ等の発生があり接種時期が変更された場合を除く 病院職員 : 全額病院が負担ワクチン接種費用の負担 委託職員 : 委託会社または本人負担 (2) 職員がインフルエンザに罹患した場合の対応 職員がインフルエンザに罹患した場合の対応については 病原体別感染対策のイ ンフルエンザ を参照する 2) 小児ウイルス性疾患 ( 麻疹 水痘 風疹 流行性耳下腺炎 ) 小児ウイルス性疾患は 感染力が強く発症前より感染力があるが 罹患またはワクチン接種により抗体を獲得することで防ぐことができる感染症である 麻疹および水痘は空気感染で伝播し 風疹および流行性耳下腺炎は飛沫感染により伝播する これらの疾患を発症している患者への対応は各ウイルスに対して抗体を持っている職員が優先して行わなければならない 感染対策の詳細は 病原体別感染対策の小児ウイルス性疾患 を参照 (1) 各疾患の抗体価の評価各疾患の抗体価の評価は日本環境感染学会による 院内感染対策としてのワクチンガイドライン ( 第 1 版 ) の検査方法と抗体価の判断基準の目安およびウイルス抗体価の判定基準を参照する ( 次項 ) 17

表 5 検査方法と抗体価の判断基準の目安 疾患名 基準を満たさない ( 陰性 ) 基準を満たさない ( 陰性ではない ) 基準を満たす PA 法で 1:4 未満 PA 法で 1:16 1:32 1:64 PA 法で 麻疹 EIA 法 (IgG) で陰性 1:128 EIA 法 (IgG) で ± および 1:256 以上 EIA 法 (IgG) で 16.0 未満 16.0 以上 水痘 EIA 法 (IgG) で陰性 EIA 法 (IgG) で ± EIA 法 (IgG) で陽性 HI 法で 1:8 未満 HI 法 1:8 1:16 HI 法で 1:32 以上 風疹 EIA 法 (IgG) で EIA 法 (IgG) で EIA 法 (IgG) で 陰性 ± および 8.0 未満の陽性 8.0 以上 流行性 EIA 法 (IgG) で EIA 法 (IgG) で ± EIA 法 (IgG) で 耳下腺炎 陰性 陽性 日本環境感染学会 院内感染対策としてのワクチンガイドライン より一部抜粋 表 6 ウイルス抗体価の判定基準 - ± + 麻疹 IgG(EIA 価 ) 2.0 未満 2.0~3.9 4.0 以上 水痘 IgG(EIA 価 ) 2.0 未満 2.0~3.9 4.0 以上 風疹 IgG(EIA 価 ) 2.0 未満 2.0~3.9 4.0 以上 流行性耳下腺炎 IgG(EIA 価 ) 2.0 未満 2.0~3.9 4.0 以上 (2) 小児ウイルス性疾患ワクチンプログラム表 7 小児ウイルス性疾患のワクチン接種プログラムおよび抗体価の管理新入職者 ( 前年度の中途入職者を含む ) で 入職時の各疾患ワクチンプログラム対象者の抗体価が 陰性 または 陰性ではない とされた医療職 陰性の場合 :2 回接種 (28 日の接種間隔をあけて 2 回ワクチンの接種回数接種する ) 陰性ではない場合 :1 回接種ワクチンを接種する時期 6 月 7 月 ( 接種時期が前後することはありえる ) 接種対象者への連絡総務課で日程の調整を行い 対象者へ連絡する ワクチン接種にかかる費用全額病院負担とする抗体価の確認接種後の抗体価の確認は行わない抗体価および本人の他 総務課および感染制御部で管理 把握する ワクチン接種歴の管理 (3) 職員が小児ウイルス性疾患に罹患した場合の対応 病原体別感染対策の小児ウイルス性疾患 を参照 18

新入職者 ( 前年度中途採用者を含む ) の抗体価測定 およびワクチン接種のスケジュール 小児ウイルス性疾患のワクチン 4 月に小児ウイルス性疾患 ( 麻疹 風疹 流行性耳下腺炎 水痘 ) の抗体価を測定 確認 日本環境感染学会の 院内感染対策としてのワクチンガイドライン にて 陰性 もしくは 基準を満たさない 場合にワクチン接種の対象となる 陰性 の場合は 2 回接種 基準を満たさない 場合は 1 回接種とする HBV ワクチン 6 月の職員健診において HBs 抗体を測定 確認 HBs 抗体が 10mlU/ml 未満の場合に HBV ワクチン接種の対象とする ワクチンは 0 1 6 か月後の 3 回接種 (1 シリーズ ) を行う 翌年度の職員健診で抗体の獲得の有無を確認し 獲得できていない場合は 1 シリーズの接種を追加する 2 クール以上の接種者で抗体の獲得できない職員は免疫不応答者として対応する HBV 小児ウイルス性 疾患 季節性インフルエンザ 4 月 入職時採血 5 月 6 月 職員健診 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月職員健診 1 月 2 月 3 月 19