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しょうりすえたけ
4 years ago
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1 エイズ拠点病院における血液体液曝露に関する施設調査結果 2011 職業感染制御研究会 ( 代表森屋恭爾 ) エピネット日本版サーベイランスワーキンググループ ( 代表吉川徹 ) 木戸内清 ( 名古屋市南保健所所長医師 ) 黒須一見 ( 荏原病院感染管理認定看護師 ) 満田年宏 ( 公立大学法人横浜市立大学附属病院感染制御部部長准教授医師 ) 森澤雄司 ( 自治医科大学医学部附属病院感染制御部医師 ) 吉川徹 ( 財団法人労働科学研究所国際協力センター医師 ) 李宗子 ( 神戸大学医学部附属病院感染管理認定看護師 ) 網中眞由美 ( 国立感染症研究所細菌第二部第一室感染管理認定看護師 ) 和田耕治 ( 北里大学医学部公衆衛生学医師 )

2 目的職業感染制御研究会の活動の一環であるエピネット日本版サーベイランスワーキンググループ (JESWG: Japan EPINet Survey Working Group) で継続的に血液体液曝露事例のデータの収集および施設調査を行いその結果を分析して各施設の血液体液曝露予防対策に役立てるリソースを蓄積する

3 方法 1. アンケート調査期間 : 2011 年 9 月 ~10 月 2. 配布施設数 :83 施設 (JES2009 参加病院対象 ) 3. 回収施設数 :75 施設 ( 回収率 ;90.4%) 4. 調査項目 (2010 年度の情報 ) 1) 病院基本情報 2) 針刺し切創予防体制 3) 針刺し切創報告評価の方法 4) 安全器材導入状況と器材出庫状況 5) 針刺し損傷に関するトレーングに関して 5. JES のデータと比較した

4 結果 1:100 稼動病床数あたりの針刺し件数および HCV 針刺し割合各々の平均値の比較全体平均 (2004 年度 n=229, 2010 年度 n=69) 大学病院 (2004 年度 n= 70, 2010 年度 n=30) 大学病院以外 (2004 年度 n=159, 2010 年度 n=39) 針刺し件数 ( 件 ) (%) HCV 針刺し割合 2004 年度 2010 年度年度 2010 年度大学病院大学病院以外 0 異なる独立サンプルの t 検定 P<0.05 P<0.01

5 結果 2:100 稼動病床数あたりの針刺し件数および HCV 針刺し割合各々の平均値の比較 ( 同施設データにおける 2004 年度と 2010 年度の比較 ) 大学病院 (n= 26) 大学病院以外 (n=25) 針刺し件数 ( 件 ) (%) HCV 針刺し割合 2004 年度 2010 年度年度 2010 年度大学病院大学病院以外 (n=26) (n=25) 異なる独立サンプルのt 検定 P<0.05 P<0.01

6 10 8 件結果 3: 職種別針刺し発生頻度 2010 年度 n=62 施設 9.7 職種に基づいた発生頻度の計算方法特定職種 Aの年間針刺し件数 100 特定職種 Aの常勤換算職員数医師医科研修研修医歯科医歯科研修研修医看護師助産師保健師薬剤師臨床検査技査技師

7 結果 4 針刺し損傷予防教育トレーニングの実施状況新規採用者の教育実施割合 ( 職種別 ) 2008 年度 (n=112) 実施割合 (%) 2010 年度 (n=75) 医師研修医 76 看護師臨床検査技師 45 薬剤師外部委託その他

8 結果 5 針刺し損傷予防教育トレーニングの実施状況新規採用者の実技トレーニング実施割合 ( 職種別 ) 2008 年度 (n=112) 実施割合 (%) 2010 年度 (n=75) 医師 12 8 研修医看護師臨床検査技師薬剤師 3 11 外部委託 3 1 その他

9 結果 6 針刺し損傷予防教育トレーニングの実施状況新規採用者以外の教育実施割合 ( 職種別 ) 2008 年度 (n=112) 実施割合 (%) 2010 年度 (n=75) 医師研修医 12 看護師臨床検査技師薬剤師外部委託その他

10 結果 7: 医療関連学生 ( 医学生看護学生など ) の受け入れ時の HBs 抗体検査およびワクチン接種 (n=75) 50 43% (32 施設 ) (%) % (18 施設 ) 29% (22 施設 ) % (3 施設 ) 必須条件推奨のみ問わないその他

11 結果 8: 新規採用職員に対する HBs 抗体検査ワクチン接種状況 HBs 抗体検査ワクチン 2008 年度 (n=110) 就職前就職後就職前就職後 2010 年度 (n=74) 7 6% 3 4% 病院負担 14 13% 11 15% 職員負担 6 6% 1 1% 病院負担病院負担 71 65% 52 70% 5% - - 病院負担職員負担 5 5 抗体検査やワクチン接種は求めていない 3 3% 0 0% その他 4 4% 7 9%

12 結果 9: 外部委託職員の HBs 抗体検査およびワクチン接種回答施設 % 外部業者に任せている施設側が対象職種を決めて使用書等で推奨しているが確認は業者任せである施設側が対象職種を決めて使用書等で推奨しており後日確認もしている施設側が外部委託業者すべてに使用書等で推奨しているが確認は業者任せである施設側が外部委託業者すべてに使用書等で推奨しており後日確認もしているその他

13 結果 10: 安全器材導入状況 2004 年度 n=229 % 年度 n= 年度 n= 注射針血液分注分注器縫合針翼状針静脈留置留置針ランセッセット真空採血採血針血液ガ液ガス閉鎖式式輸液システステム透析用静脈静脈シャント穿刺穿刺針一部でも安全器材を使用している場合は導入と回答

14 結果 11:10 万本使用器材あたりの針刺し発生頻度 2010 年度 n=62 施設件原因器材に基づいた発生頻度の計算方法 (10 万本使用あたり ) 特定器材 Aによる年間針刺し件数 100,000 特定器材 Aの年間使用本数

15 結果 12: 増加傾向の見られる針刺し切創原因器材インスリン注射目的で使用された器材 7.3%

16 結果 13: インスリン注射時の針刺し原因器材 100% 44% (630 件 ) 36% (232 件 ) 80% 使い捨て注射器 60% の注射針ペン型注入器用 40% 注射針 20% 0% 56% (810 件 ) 64% (406 件 ) ~2008 年度 (5 年間 ) 全器材針刺し件数 n=13, ~2010 年度 (2 年間 ) 全器材針刺し件数 n=5,

17 結果 14: 縫合針についてエピネット日本版データ (1996 年度 ~2010 年度 ) から抜粋した角針弾機針による針刺し切創状況 7 件鈍針 n =674 件 ( 下記縫合針による針刺しの 14.1%) 1%) cf.15 年間の縫合針による針刺し件数 4,750 件 141 件丸針 ( 不明 ) 166 件角針 ( 不明 ) 69 件丸針 + 弾機針 85 件弾機針 ( 不明 ) 206 件角針 + 弾機針

18 結果の概説稼動病床数あたりの針刺し件数および HCV 針刺し割合各々の平均値を比較した針刺し件数においては 2004 年度は大学病院で 8.2 件大学病院以外で5.3 件 2010 年度は前者 7.9 件後者 5.3 件でありどちらの年度でも大学病院と大学病院以外で有意差がみられた (P<0.01) また HCV 針刺し割合においても 2004 年度は大学病院で 23.1 件大学病院以外で 16.9 件 2010 年度は前者 21.5 件後者 13.7 件でどちらの年度でも大学病院と大学病院以外で有意差がみられた (P< 0.01) 注 )JES2009 の結果で述べたように単なる針刺し数の比較ではなく針刺し結果う針数較針報告率の指標として用いられる HCV 陽性の針刺し割合を用いて一定の条件をそろえた比較も試みた

19 2. さらに 1. と同様のデータを同施設データにおいて 2004 年度と 2010 年度で各々比較してみると針刺し件数においては 2004 年度は大学病院で8.2 件大学病院以外で件 2010 年度は前者件後者 5.4 件でありどちらの年度でも大学病院と大学病院以外で有意差がみられた (P<0.01) 01) また HCV 針刺し割合においても 2004 年度は大学病院で件大学病院以外で 16.3 件 2010 年度は前者 20.7 件後者 14.0 件でどちらの年度でも大学病院と大学病院以外で有意差がみられた (P< 0.05)

20 年度の調査施設全体の針刺し発生率を職種別針刺し発生率 ( 特定職種 Aの年間針刺し件数 / 特定職種 A の常勤換算職員数 100) でみると最も高い職種は研修医であり9.7 件次に医師 4.1 件看護師件臨床検査技師件であった 4. 新規採用者の針刺し損傷予防教育実施割合 ( 職種別 ) を 2008 年度 2010 年度でみると職種毎の割合は医師以外大きく変わらず最も実施しているのが看護師で 90% 強次いで研修医 80% 弱臨床検査技師 50% 弱であった医師は参加施設数の差もあるが 38% から 23% に減少傾向がみられた

21 5. 新規採用者の実技トレーニング実施割合 ( 職種別 ) を2008 年度 2010 年度でみると職種毎の割合はあまり変わらず最も実施しているのが看護師で 90% 弱次いで研修医 60% 弱臨床検査技師 20% 強であった 6. 新規採用者以外の教育実施割合 ( 職種別 ) を2008 年度 2010 年度でみると職種毎の割合では参加施設数の差もあるが看護師医師が減少傾向にあった最も実施している看護師が 50% から 37% 次いで医師研修医が各々 21% から16% 12% 臨床検査技師 20% 強であった臨床検査技師薬剤師はやや増加傾向にあり各々 17% から19% 12% から17% であった

22 7. 医療関連学生 ( 医学生看護学生など ) の受け入れ時のHBs 抗体検査およびワクチン接種状況は推奨のみとする施設が最も多く 43% 問わない施設が 29% で必須条件とする施設は24% であった 8. 新規採用職員に対する HBs 抗体検査ワクチン接種状況は 2008 年度と2010 年度も共に就職後に抗体検査ワクチン接種を病院負担で実施する施設が過半数を占め入職前に推奨する施設は6%~4% であった 9. 外部委託職員の HBs 抗体検査およびワクチン接種状況は外部業者任せが過半数を占め施設側が対象職種を決めて使用書等で推奨しているが確認は業者任せであるとしたのが20.3% 確認までしている施設は41% 4.1% にすぎなかった

23 10. 安全器材導入状況は2004 年度 2008 年度 2010 年度と経年経過を見るとほぼ全種類の器材導入が増加傾向にある翼状針 98.7% 静脈留置針 96.0% を筆頭にランセット血液ガス閉鎖式輸液システムが多いまた近年シリンジ採血の需要に応じた血液分注器の導入が著しく増加傾向を示している万本使用器材あたりの針刺し発生頻度 ( 特定器材 A による年間針刺し件数 / 特定器材 A の年間使用本数 100,000) について安全器材導入が最も多かった翼状針と静脈留置針が各々件件と開きがあったこの差はどこに問題があるのか安全器材の有無に関わらず器材の問題点を検討するためには今後針刺し時の報告の際器材の商品名も報告項目に加える必要があるかもしれない

24 年度から 2010 年度を通じて増加傾向の見られる針刺し切創原因器材として縫合針及び薬剤充填針が挙げられた特に薬剤充填針 8.1% のうちインシュリン目的で使用された針が 7.3% であった 13. インシュリン注射時の針刺し原因器材の側面からみると年度ごとにペン型注入器用注射針の割合が増加傾向にある日本では現在 1 社からペン型注入器用安全機能付きインシュリン注射針が販売されているがその器材の臨床使用評価が待たれるところである

25 14. 増加傾向のみられる針刺し器材の中でも顕著なのは縫合針である今回さらに考えられるアプローチはないかエピネット日本版データ (1996 年度 ~2010 年度 ) の中からどのような種類の縫合針で針刺ししたのかフリーコメントも含めて可能な限り情報抽出してみた結果全縫合針 (4750 件 ) 中種類のわかる縫合針 (674 件 ) の内訳は円グラフの様な結果であったここで注目すべき縫合針として弾機針が挙げられるこれは血液や体液汚染がある針を再度糸の付け替えをしてリユースすることで二重にリスクが高くなるさらに弾機針の内訳では皮膚縫合に使用する角針の割合が多いのも特徴である日本では多く使用されているが再検討する必要のある針と考えられる今後縫合針については OR 版エピネットの使用時のデータ解析によってさらに詳細な対応が求められる

26 まとめ今回 JESWGで収集した経年的エピネットデータと施設調査とをコラボし比較分析したことにより針刺し切創の現状がさらに具体的になり個別的課題もあきらかになった今後 HPや各種発表の場を通して詳細な針刺し防止対策の提言をしていく予定であるまたサーベイランスの精度を上げるために HIV 拠点病院を中心にデータ収集してきたがベンチマークとしてのデータとするためにはより多くの施設が参加できるシステムを構築していく必要がある

エピネット日本版を用いた針刺し切創・血液体液曝露サーベイランス（JES）の現況

エピネット日本版を用いた針刺し切創・血液体液曝露サーベイランス（JES）の現況職業感染制御研究会 JES2011 エピネット日本版を用いた針刺し切創血液体液曝露サーベイランス 2011(JES2011) 結果概要報告 By Japan-EPINet Survey Working Group (JESWG) Of Research Group of Occupational Infection Control Prevention in Japan (JRGOICP) 職業感染制御研究会エピネット日本版サーベイランスワーキンググループ