日本板硝子_技術編4章.indd

Similar documents
Microsoft PowerPoint - 遮蔽コーティングの必要性 [互換モード]

5

PowerPoint プレゼンテーション

3.11 単板ガラス JIS R3202 に定めるフロート板ガラス及び磨き板ガラス JIS R3203 に定める型板ガラス JIS R3204 に定める網入板ガラス及び線入板ガラス JIS R3206 に定める強化ガラス JIS R3222 に定める倍強度ガラス JIS R3208 に定める熱線吸収

真空ガラス スペーシア のご紹介 一般に使用されている一枚ガラスの約 4 倍の断熱効果を発揮!! お部屋全体を快適にします オフィスやパブリックスペースの環境は 冷房や暖房に常に取付専用グレチャン気を配らなければなりません 高断熱 Low-Eガラスしかし一方で経営者の方々にとっては節電対策も重要な項

性能基準 計算ルート 性能基準 計算ルート の評価フロー項目 床 壁 天井等は断熱材以外にも色々な材料で構成されていますので 各材料の熱伝導率と厚さで熱抵抗値を求 め それを合算して各部位のを逆算します 計算で求める方法が3種 あらかじめ示された構成の数値で求 める方法が2種あります 面積を拾う 詳

PowerPoint プレゼンテーション

国土交通省告示第五百十五号

ARCHITREND ZERO 外皮性能計算編

はじめに 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます この度は 屋根改修に際し 弊社 イソタンシステム ご提案の機会を賜りまこの度は 屋根改修に際し 弊社 イソタンシステム ご提案の機会を賜りました事を重ねて御礼申し上げます した事を重ねて御礼申し


<93CD8F6F976C8EAE81698B4C8DDA97E1816A2E786C7378>

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1

Microsoft Word - モデル建物法H28_解説書_ALL_v2.1_ docx

見直し後11 基準相当1.64GJ/ m2年hh11 基準相当見直しH11 基準と見直し後の省エネ基準の比較について 住宅 建築物判断基準小委員会及び省エネルギー判断基準等小委員会平成 24 年 8 月 31 日第 2 回合同会議資料 1-1 より抜粋 設備機器の性能向上により 15~25% 程度省


1. はじめに この規格は ( 一社 ) カーテンウォール 防火開口部協会が所管する国土交通大臣認定防火設備において主構成材料として使用される耐熱板ガラスの品質について ( 一社 ) カーテンウォール 防火開口部協会, 板硝子協会, ガラスブロック工業会の共通の規格として定めたものである 2. 適用

⑵ ⑶ ⑷ ⑸ ⑴ ⑵

LEDの光度調整について

窓シリーズ商品 断熱性能 1 断熱性向上の 3 つのポイント POINT 1 : ガラス面積最大化 [ アンカー式グレチャン ] フレームとガラスを一体化することにより 強度を確保しつつガラス面積を最大化し断熱性を向上 [ フレームイン構造 ] フレームと窓枠のラインを合わせることでフレームの露出を

現場発泡時にはその自己接着性によって接着剤なしで外壁内部に接着させることができる ポリエチレン樹脂を原料とする高発泡ポリエチレンは 他の発泡系断熱材と比べると柔軟性があり施工箇所や用途の幅が広い断熱材である 透湿係数が低いため耐吸湿 吸水性が高く防湿層は必要ない 一般用途のほか 屋根断熱防水用や配管

Microsoft Word - 窓断熱 報告書概要130329

偏光板 波長板 円偏光板総合カタログ 偏光板 シリーズ 波長板 シリーズ 自社製高機能フィルムをガラスで挟み接着した光学フィルター

<4D F736F F D2089FC92E82D D4B CF591AA92E882C CA82C982C282A282C42E727466>

2 ( 178 9)


Pick-up プロダクツ プリズム分光方式ラインセンサカメラ用専用レンズとその応用 株式会社ブルービジョン 当社は プリズムを使用した 3CMOS/3CCD/4CMOS/4CCD ラインセンサカメラ用に最適設計した FA 用レンズを設計 製造する専門メーカである 当社のレンズシリーズはプリズムにて

複層ガラスは 通常 2 枚の板ガラスをスペーサーにより一定間隔に保持し 周囲を封着剤で密封して内部の空気を常に乾燥状態に保った 断熱性能の高いガラスです 組み合わせるガラスの種類を変えたり ガラス間に特殊なガスを封入することで 省エネ効果はもちろん 安全 防犯 防音性能に優れた窓ガラスとしてご採用い

PowerPoint プレゼンテーション

1次元伝熱モデル(非定常)

Low-E 採光性を確保しながら 断熱 遮熱性能を追求した Low-E 複層ガラス サンバランス 豊富な品揃えで 建物や地域などに 応じて自由にお選びいただけます 銀 1 層 銀 1 層の Low-E は可視光透過率 銀 1 層 ( シングルシルバー ) 保護層ガラス Ag( 銀 ) Low-E 膜

窓用遮熱・断熱フィルムの開発

玄関ドア 2018 年 9 月 14 日株式会社 LIXIL リシェント玄関ドア 3 グランデル 2 アヴァントス 製品シリーズ 防火 / 防火 登録名 リシェント玄関ドア3 高断熱仕様 17N 型 ( 子扉ガラス付組合せ らんま付を除く ) リシェント玄関ドア3 防火戸断熱 k2 仕様 M17 型

<4D F736F F D A C5817A8E59918D8CA B8BBB89BB8A778D488BC B8BBB F A2E646F63>

環境・設備からみたLCCM住宅へのアプローチ

3. 線熱貫流率の求め方鉄筋コンクリート造等の住宅の線熱貫流率は 以下の (1) から (3) までの方法により求める 100 分の 1 未満の端数を切り上げた小数第二位までの値とする (1) を含む壁体全体の貫流熱損失 (Qw) を求める { 熱橋長さ (W)=1m} 壁体の長さ (L W ) の

A 計算に使用したモデル ( 平面図 立面図 面積表 ) 自立循環型住宅設計ガイドライン設定モデル住宅 ( 一般モデル ) 木造 2 階建延床面積 m2 1~3 地域 4~7 地域 寒冷地モデル 温暖地モデル 部位 面積 [ m2 ] 長さ [m] 部位 面積 [ m2 ] 長さ [m

1 熱, 蒸気及びボイラーの概要 問 10 伝熱についての記述として, 誤っているものは次のうちどれか (1) 金属棒の一端を熱したとき, 熱が棒内を通り他端に伝わる現象を熱伝導という (2) 液体又は気体が固体壁に接触して流れ, 固体壁との間で熱が移動する現象を熱伝達又は対流熱伝達という (3)

パッシブ設計実測比較_薪ストーブ編

<4D F736F F D EC08FD88A DFB8E715F96DA8E9F5F B C9A927A95A88A4F94E7816A2E646F63>

スライド 1

ブラインド内蔵サッシ サンエックス ひとつの窓で一年中光をコントロール 遮熱と断熱を実現する高性能サッシ

CDMカタログ_ indd

住宅部分の外壁 窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準 ( 平成 28 年国土交通省告示第 266 号 ) における 同等以上の評価となるもの の確認方法について 住宅部分の外壁 窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準 (

外気カット制御 有 外気冷房制御 無 全熱交換器制御 有 ( 全熱交換効率 0.) 2 換気設備 室用途毎に基準設定換気風量 ( 換気回数 ) 基準設定全圧損失 標準的な送風機の送風機効 率 伝達効率 余裕率 モータ効率を定め これらを標準設備仕様とする 基準設定換気風量 : 設計者へのヒアリング調

Microsystem Integration & Packaging Laboratory

土壌熱容量を用いる外気負荷低減システムに関する研究

<4D F736F F D2091AA92E895FB964082C982C282A282C45F >

<4D F736F F F696E74202D F8EC08DDD8C9A95A B29835A B8BF392B22E >

住宅・建築物の 着実な省エネルギー設計への誘導

SPring-8ワークショップ_リガク伊藤

伝熱学課題

Microsoft PowerPoint - 電装研_2波長赤外線センサを用いた2波長融合処理について

Microsoft Word - CMS_Colorgraphy_Color_Space_Calc.doc

資料 4 H 検討会 木造庁舎計画 設計基準の熱負荷計算について (1) 木造建築物に使用する材料の熱定数表を下に示す 熱伝導率 容積比熱 材料名 λ cρ [W/(m K)] [kj/(m 3 K)] 複合金属サイディング 55% アルミ- 亜鉛めっき鋼板 45 3,600 + 硬質

Transcription:

住宅や建築物の室内空間の温熱環境 光視環境の快適性を実現し 同時に暖冷房や照明の省エネルギーを両立するためには 建築外皮のなかでもとりわけ窓ガラスの光と熱に対する特徴を知り 気象や建物用途 窓配置に応じて最適な性能をもつガラス種類を選択することが重要です 4-1 板ガラスの光学性能 断熱性能 遮熱性能 温での放射率はこの領域の吸収率で表され ε=0.9 程度となります フロート板ガラスの用途は 住宅 店舗 一般建築物 高層建築物などの内外装用 ショーケース ディスプレイ 水槽や温室 家具 額縁などと幅広く 成膜 合わせ 強化 複層など二次加工用の素板としても多く使われています 環境建築を両立させるために 高透過ガラスを素板とした合わせガラスやLow-E 複層ガラスをふんだんに用いた建築物が注目を集めています 4図 2] 光の波長領域と名称 [ 分光特性 各種板ガラスの光熱性能は 可視光 日射 常温熱放射のそれぞれの波長領域での分光 [ 図 5] 高透過ガラスの分光特性 特性によって特徴づけられます [ 図 1] に 可視光 日射 常温熱放射のエネルギー分布 ⑷ 熱線反射ガラス を [ 図 3] [ 図 8] に各種板ガラスの分光特性を示します [ 図 3] 透明フロート板ガラス (6ミリ) の分光特性 板ガラス表面に酸化物 窒化物 金属などの薄膜を施し 日射領域の反射と吸収の特性 を高めたガラスです 成膜方法には フロー ⑵ 熱線吸収板ガラス ト板ガラスの製造工程中に成膜するもの 板ガラス組成に鉄などの金属成分を混合す と 真空チャンバ内でスパッタリング法に ることで板ガラスを着色したガラスです より成膜する2 通りの方法があります 透明な板ガラスに比べて日射の波長領域の スパッタリング法によるものは高性能熱線 透過率が低くなるため 日射熱の室内への 反射ガラスと呼ばれ 薄膜構成の自由度が 侵入を抑えることができます 高く 色味や性能のバリエーションが豊富 [ 図 1] 可視光 日射 常温熱放射のエネルギー分布 特にグリーン色のものは可視光領域の透過 です 日射の波長領域全体にわたり透過率 率を高く保ったまま 近赤外線領域の透過 が低いため日射遮蔽性に優れていますが 率を抑えることができます 遠赤外領域で 可視光透過率も低くなるため 採光性が劣 は透明板ガラスと同様に吸収率が高く 放 り 人工照明に頼ることになります [ 図 6] 射率はε=0.9 程度となります [ 図 4] 冷房負荷低減のために事務所ビルなどに多 く使用されています [ 図 4] 熱線吸収板ガラス ( グリーン 6 ミリ ) の分光特性 [ 図 6] 高性能熱線反射ガラス (SS20 6 ミリ ) の分光特性 章⑴ 透明フロート板ガラスフロート板ガラスは フロートバスと呼ばれる窯の中で溶融スズの上に溶かしたガラスを流し込むと ガラスがスズ上に浮き ガラス両面が極めて平滑な板状となります 透明のフロート板ガラスが最も多く使用されますが 熱線吸収板ガラスや高透過ガラスもフロート法により製造されます 透明フロート板ガラスの分光特性 [ 図 3] は 可視光を含む日射の波長領域全体にわたり透過率が高くなります また 遠赤外領域では吸収率が高く透過はありません 常 ⑶ 高透過ガラス普通の透明板ガラスは 組成中に鉄分などが含まれているために 透明といえども若干青みがかっています 高透過ガラスは 原料と製造条件を調整することにより可視光領域の分光透過特性をできるだけ均一にしたため ガラスを通して物体の色を正しく見せることができます [ 図 5] 色の再現性が重要となる博物館 美術館の展示ケース ブティックや呉服店のショーウィンドウ 各種ショールームなどに使用されています また 欧州 特にドイツでは 透明建築と ⑸ Low-Eガラス Low-Eガラスは 板ガラス表面に酸化スズや銀などの薄膜を施したもので この Low-E 膜が遠赤外線領域での反射率を高めるため 熱放射が伝わりにくいガラスです この領域の吸収率 すなわち 放射率はε =0.05~0.15となります Low-EとはLow Emissivityの略で低放射を意味します Low-Eガラスは複層ガラスや真空ガラスに用いられ Low-E 膜面を間隙に向けて配置することで 中空層での放射による熱伝達 17

t n= = 4章板ガラスと光と熱4 板ガラスと光と熱 を低減し 断熱性を高めることができます 光学性能 [ 図 7][ 図 8] 板ガラスの可視光 日射 紫外線に対する光 学特性 ( 透過率 反射率 ) は JIS 規格や ISO 規 格に計算法が規定されており [ 表 1] 次式のように対象とする波長領域の板ガラスの分光特性から光源のエネルギー分布を重価係数とする加重平均で計算されます [ 図 7]Low-Eガラス ( 日射遮蔽型 3ミリ ) の分光特性 D(l ) V(l ) τ(l )dl SD(l ) V(l ) τ(l )dl D(l ) V(l )dl SD(l ) V(l ) Δl t ν : 可視光透過率 [-] t e : 日射透過率 [-] tuv : 紫外線透過率 [-] t(l ) : 分光透過率 [-] D(l ) :CIE 昼光 D65 光源スペクトル [-] [ 図 8]Low-E ガラス ( 日射取得型 3 ミリ ) の分光特性 S(l ) τ(l )dl SS(l ) τ(l )Δl t e= = S(l )dl SS(l ) Δl t UV= S(l ) τ(l )dl SS(l ) τ(l )Δl = S(l )dl S(l ) Δl S V(l ) :CIE 明順応標準比視感度 [-] S(l ) : 標準日射スペクトル [-] l : 波長 [nm] Dl : 波長幅 [nm] [ 表 1] 窓と窓ガラスの熱性能の計算法規格 性能対象国際規格日本欧州米国 断熱性能 ( 熱貫流率 ) 遮熱性能 ( 日射熱取得率 ) ガラス ISO10292 JIS R3107 EN673 窓 ISO10077 ISO15099 JIS A2102 EN10077 (ISO10077) ガラス ISO9050 JIS R3106 EN410 窓 ISO15099 JIS A2103 なし NFRC100 NFRC200 18

断熱性能 ( 熱貫流率 ) 窓ガラスの断熱性能は一般に熱貫流率 (U-value, Thermal transmittance) で表されます 熱貫流率とは 室内外の温度差により壁体を通過する単位時間 単位面積 単位気温差あたりの熱量を表しますので これが小さいものほど壁体を通過する熱量が少なく 断熱性能が高いということになります 窓ガラス中央部の熱貫流率の計算で を組み合わせて複合ガラス化した 複層真空ガラス など さらに断熱性を高めたものも製品化されています [ 図 10] 単板ガラスに比べて真空ガラスでは約 5 倍 複層真空ガラスでは約 7 8 倍の断熱性能を持ちます 真空ガラスは 真空層幅 0.2mmとガラス総厚が薄く 既存の単板ガラス用サッシにそのまま取り付けることができるので窓の省エネ改修に最適です は 室内外間の一次元伝熱モデルにおいて [ 図 9] 窓ガラスの熱貫流率の算定式 ( 二層の複層ガラスの場合 ) 室内外の表面熱伝達抵抗 板ガラスの熱伝導抵抗 中空層の熱抵抗など 全ての熱抵 抗の合計の逆数で表されるので 室内外間 のいずれかの熱抵抗を大きくすることで 板ガラスの熱貫流率を小さく すなわち 断熱性能を良くできることが分かります [ 図 9] Re Rg1 Ra Rg2 Ri [ 図 10] 各種複層ガラスの構造 1 U Re Rg1 Ra Rg2 Ri U ReRi Rg1Rg2 Ra 章一般的な複層ガラスは 2 枚の板ガラスの間に中空層を設けて 空気の熱抵抗を利用して断熱性を高めたものですが 板ガラスの片方 ( または両方 ) にLow-Eガラスを用いたものを 特にLow-E 複層ガラスと呼びます Low-E 複層ガラスの応用として 空気の代わりにアルゴン クリプトンなど熱伝導率が小さい気体を中空層に封入した ガス入りLow-E 複層ガラス 中空層を真空にして気体の伝導による熱伝達を排した 真空ガラス 真空ガラスともう一枚の板ガラス 19

4章板ガラスと光と熱 4 板ガラスと光と熱 遮熱性能 ( 日射熱取得率 ) 窓ガラスの遮熱性能は一般に日射熱取得率 ( 日射侵入率 Solar Heat Gain Coefficient(SHGC) Total solar energy transmittance) で表されます 日射熱取得率は窓ガラスに入射する日射熱に対する室内へ侵入する熱の比のことで 室内へ侵入する熱はガラスを直接透過する成分とガラスに吸収されて室内側に再放熱される成分の両方を含みます [ 図 11] αe η τe Σ Nj αej τe η Nαe η τe αej Nj j [ 図 11] 窓ガラスの日射熱取得率の算定式 ( 二層の複層ガラスと室内側遮蔽物の組み合わせの場合 ) 複層ガラスの場合には 板ガラスの組み合わせ方によって 遮熱性に変化を持たせることができます 熱線吸収板ガラスや熱線反射ガラス Low-Eガラスなどの日射吸収の大きいガラスを室外側へ配置すると 中空層が熱抵抗となるために 室外側ガラスで吸収された日射熱は室内へ伝わりにくく 日射熱取得率は小さくなります 逆に 日射吸収の大きいガラスを室内側に配置すると 吸収された日射熱は室外へ逃げにくく 日射熱取得率が大きくなります 特に Low-E 複層ガラスでは中空層の熱抵抗が大きいために この変化が顕著になります なお Low-Eガラスは 遠赤外領域を反射 ( 低放射 ) して 可視光領域を透過 ( 採光 ) するよう設計されていますが 薄膜の特殊設計により近赤外領域 ( 日射熱 ) の反射を高めたものと透過を高めたものがあります [ 図 12] 前者が日射遮蔽型[ 図 12 a] 後者が日射取得型 [ 図 12 c] として用いられます Low-E 複層ガラスは日射遮蔽性能が高い と誤解されがちですが Low Emissivityの 定義から言えば Low-E 複層ガラスは薄膜の低放射性により断熱性能を高めたものであり その中に日射熱の遮蔽と取得のバリエーションが取り揃えられているのです [ 図 13] 日射遮蔽型は冷房負荷低減に 日射取得型は暖房負荷低減に それぞれ効果的であり 地域 方位 建物用途 住まい方に応じて選択されるべきです そういう意味では 遮熱性能では日射遮蔽性だけでなく 日射取得性も評価されなければなりません [ 図 12]Low-Eガラスの分光特性 [ 図 13]Low-E 複層ガラスの構成と日射特性 20

採光性 ( 可視光透過率 ) 採光性は可視光透過率によって評価されます 可視光透過率が大きいものほど採光性が高く 昼光を室内に取り入れて 室内を明るくすることができます 断熱性 遮熱性 採光性 [ 図 14] に各種板ガラスの熱貫流率と日射熱取得率の分布を [ 図 15] に日射熱取得率と可視光透過率の分布を示します [ 図 14] では 左の方が断熱性能が高く 上の方が日射取得型 下の方が日射遮蔽型となります 板ガラス構成のタイプ ( 単板ガラス 複層ガラス Low-E 複層ガラス 真空ガラス 複層真空ガラス ) によって断熱性能が異なり それぞれのタイプに様々な日射熱取得率のバリエーションがあります 地域や部屋の用途にあった断熱性能と日射取得 / 日射遮蔽の性能を持つガラス品種を選択することができます [ 図 15] では 上の方が採光性が高く 右が日射取得型 左が日射遮蔽型となります 一般的には日射熱取得率と可視光透過率はほぼ比例するので 日射取得型のものほど採光性が高く 日射遮蔽型のものは採光性が低くなりますが Low-E 複層ガラスや真空ガラスのように 採光性が高く かつ日射熱のバリエーションが豊富なガラス品種もあります [ 図 15] 各種板ガラスの日射熱取得率と可視光透過率の分布 [ 図 14] 各種板ガラスの熱貫流率と日射熱取得率の分布 章21