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資料 14-6 電波利用環境委員会報告 ( 案 ) ~ CISPR オタワ会議の結果について ~ 2013 年のCISPR 会議は 9 月 23 日から10 月 4 日までの12 日間にわたり カナダのオタワで開催された 我が国からは 総務省 独立行政法人情報通信研究機構 日本電信電話株式会社 各大学 各試験研究機関 各工業会等から39 名が参加した 総会及び各小委員会等において審議等が行われ その主な結果は以下のとおり 1. 総会 (1) ワイヤレス電力伝送の検討開始について我が国から ワイヤレス電力伝送 ( 以下 WPT という ) の妨害波等の許容値及び測定法に関する検討が加速するよう 総会 B 小委員会 F 小委員会及び I 小委員会においてメンテナンスチーム ( 以下 MT という ) 又はタスクフォース ( 以下 TF という ) を設置するよう提案し 人的貢献と技術的貢献を行うことを表明した その結果 関連する小委員会 (B 小委員会 F 小委員会 I 小委員会 ) に TF を設置して検討を加速又は開始することとなった F 小委員会と I 小委員会においては それぞれオランダ アメリカのエキスパートをリーダーとする TF が設置され 我が国からも当該 TF への参加を表明した また B 小委員会においては IEC において自動車関連の標準を定めている TC69 において検証している測定法及び測定条件等について CISPR11 規格 ( 工業 科学及び医療用装置の妨害波規格 ) の許容値に従うという方針の下でその妥当性を検証することとなり 我が国からも TC69 に対するリエゾンオフィサーを登録した また B 小委員会に設置される TF には 日本からリーダーとしてエキスパートを出すことを提案し 承認された (2)CISPR 総会の方針の小委員会に対する義務化について総会の決定が 各小委員会に対して強制力を持つか否かについて審議が行われた 事前に送付されたDC 文書に記載されたA 案 (CISPR 総会の決定は各小委員会の義務とする ) を支持する国はほとんどなく また B 案 (CISPR 総会での決定事項のドラフトは 各国に事前に回覧することとする ) については 各国から多数のコメントが出された このため 事前に送付したDC 文書の改訂版を準備し 再度各国の意見を聞くこととなった 1

(3)9 khz~150 khz 伝導放射妨害波について 9 khz~150 khzの周波数範囲において スマートメーターに対する干渉の可能性が増加していることを考慮し 150 khz 以下の伝導妨害波試験の必要性について 昨年のバンコク会議に引き続き審議された その結果 次の2 点のアクションプランが決定された : 1H 小委員会は 9 khz~150 khzの障害モデルの検討を開始し 次回の総会までに検討の結果を公表する 2B 小委員会は 太陽電池等の直流電源から商用交流電源を作るGCPC( 太陽光発電系統連系パワーコンバーター ) に対しCISPR 11 規格 ( 工業 科学及び医療用装置からの妨害波の許容値及び測定法 ) における9 khz~150 khzの妨害波許容値をgcpcに適用できるか否かを精査する (4)CISPR 及び小委員会の議長の任期について議長の任期を6 年とし 延長を3 年とし 最長 9 年間の任期を認めるという新しいIECルールによれば 2016 年にD 小委員会議長以外の小委員会議長は全て退任することとなり 一度に90% の議長が交代することとなる この状況を受けて 一度に多数の議長が交代することを防ぐために 柔軟な対応を用意することとなったが 具体的なプランは提示されなかった なお 各議長の任期延長等については 表 1のとおり 表 1 各議長の任期延長等について氏名等内容 Mike Beetlestone 氏 ( ドイツ ) 新しくD 小委員会議長に任命された D Heirman 氏 ( アメリカ CISPR 議長 ) M Stecher 氏 ( ドイツ A 小委員会議長 ) B Sisolefsky 氏 ( ドイツ B 小委員会議長 ) 3 年間の任期延長が認められた U Kampet 氏 ( ドイツ F 小委員会議長 ) B Gorini 氏 ( イタリア H 小委員会議長 ) M Wright 氏 ( イギリス I 小委員会議長 ) CISPR 副議長として3 年間の任期延長が M Wright 氏認められた 2. 運営委員会 (1)CISPR 及び各小委員会の議長の任期について議長の任期に関する IEC の新ルールに基づくと D 小委員会議長以外は 2016 年に全員が退任することになるため デビエーション ( 経過措置 ) を適用できるか否かを含め今後 議長の諮問グループ (CAG) で検討することとなった 2

(2)CISPR 総会の方針の小委員会に対する義務化について総会で決定した政策の遵守について各国に DC 文書で照会した結果が議論された DC 文書で提案した 2 つのオプションはいずれも各国から十分な支持が得られていないことが認識され TF を設置して DC 文書の改定版を準備することとなった (3) スマートグリッド WG からの報告 S/WG1 プロジェクトリーダー (Ahn 委員 ) より スマートグリットの EMC ガイダンス文書案を作成したことが報告され 運営委員会メンバによるレビューを実施した後に参考 (INF) 文書として発行することとなった (4)P メンバーの参加について審議に参加する P メンバーが書簡で会議に参加する案件については 明確な規定あるいはガイドラインが必要であることが合意され IEC の技術職員が検討して文書案を準備することとなった (5)2015 年の CISPR 会議開催場所について 2 ヶ国が関心を示しているが正式な招待状が届いていないため 開催時期及び 場所とも未定であると報告された 3. 各小委員会 (1)A 小委員会 ( 妨害波測定装置及び妨害波測定法の基本規格を策定 ) ア電磁妨害 (EMI) 測定用アンテナ校正に関する規格 (CISPR16-1-6) について今回のオタワ会議で これまで規格化されていない EMI 測定用のアンテナ校正 (3アンテナ法 標準アンテナ法 標準サイト法) に関する規格案が FDIS に移行することが決定した 本規格案は 1994 年に開始され 我が国も積極的に参加して審議してきた しかし 数百を超える様々な意見や技術的問題の解決に時間を要したため 一度作業は時間切れとなってしまいゼロステージに戻ってしまっていた その後 2009 年に日本のエキスパートをプロジェクトリーダーとして再開され 多くの議論を重ねて FDIS にすることができた 本規格は EMI 測定アンテナの校正に関するトレーサビリティー ( 校正過程 ) 等の整備に貢献するものである イ 30MHz 以下の放射妨害波測定について 30MHz 以下の周波数帯の放射測定に関する具体的スケジュールが決められた 測定法 サイト評価法の CD ドラフト案の提案者が指名され 2014 3

年のフランクフルト会議までに CD が準備されることとなった また 検討する下限周波数が 9kHz に拡張された 本件は その一部を我が国がプロジェクトリーダーとして審議をリードしてきていることから 今後も我が国の産学官が一体となってデータ取得などに寄与し 会議をリードしていく必要がある ウ CMAD の適用 CDNE 法の CISPR16 への導入について 30MHz~1GHz の放射妨害波測定におけるフェライトクランプタイプコモンモード吸収装置 (CMAD ) の適用と 放射妨害波測定の代替としての放射測定用結合減回路網 (CDNE) 法 ( 測定器の仕様 測定法 不確かさ ) の CISPR16 シリーズへの導入が FDIS となった 我が国としては CMAD は適合性試験結果を低く評価してしまうデメリットがあること CDNE は従来の 10m 法との相関性に関する懸念があることから 実測結果を示してそれらの導入に反対して更なる検討の必要性を指摘してきた しかし 他国の多くの賛成により IS として発行する可能性が高まっている そのため 今後 我が国の主張を裏付ける実測結果を示すことにより 他国の賛同を得ることが必要である CMAD は 測定サイト間の試験結果の再現性を確保して 測定の不確かさの低減を図ることを目的とする 電源線等に非接触で装着してコモンモードインピーダンスを高くすることにより 供試装置のインピーダンスを小さくするための磁性体 (2)B 小委員会 (ISM( 工業 科学 医療 ) 機器及び電力線の妨害波に関する規格を策定 ) ア ISM 機器の妨害波許容値と測定法 (CISPR 11) の改訂について下記 4 案のうち2 以外の CDV4 件を 2014 年 2 月までに発行し各国による 3ヶ月以内の投票を行うことで合意した 1 CISPR11 全般的な改訂 2 電子レンジ妨害波への APD( 振幅確率分布 ) 測定法の導入 ( すでに CDV は完了 ) 3 太陽光発電系統連系パワーコンバータ (GCPC) の直流端子妨害波電圧の測定法と許容値の導入 (CDV は小容量機用 大容量機用で各 1 件 ) 4 1GHz 以上のエミッション要件の見直し提案上記 1に関しては 2ndCD の意見照会結果に対する確認が行われ 確認結果が発行された 上記 1~4のうち CDV で承認を得たものを CISPR11 第 6 版の FDIS として統合する予定であり FDIS 発行は 2015 年 3 月を予定している CDV の投票結果は 6 月 3~5 日に韓国で開催予定の CISPR/B/WG1 4

中間会議で確認する予定である 上記の CDV 以外に 中型装置の 3m 離隔距離放射測定導入 と 6 面電波暗室での放射測定 の 2 案について CD を発行し 上記 CDV とは分離して審議を進めることで合意された なお CD 発行後の工程で CISPR11 第 6 版 FDIS への統合が可能であれば 包含することが議長より提案され 合意された イ太陽光発電系統連系パワーコンバータ (GCPC) の審議について CISPR11 を補完する GCPC の直流端子妨害波端子電圧のエミッション要件について 次段階へ進むために CDV 案を 10 月末までに IEC 中央事務局に提出し 2014 年 2 月までに CDV を発行する ドイツより 日本が作成した附属書に 商用電源周波数の漏れ電流によるフィルタのコアの飽和現象に関する対策を追加する提案があったが 日本より回路共振による飽和現象と商用電源周波数の漏れ電流の違いを説明し ドイツ提案は附属書に反映しないことで合意した 商用電源周波数の漏れ電流については 一般的な問題で WG1 に関連することであるので CDV は現状のままとし ドイツ提案については次期改訂項目とすることで合意した MT-GCPC プロジェクトリーダーより プロジェクトリーダー退任と新しいプロジェクトリーダー ( いずれも日本 ) の引継ぎについて提案があり 合意された ウ電子レンジ妨害波への APD 測定法の導入に関する審議について 1GHz 超帯域の無線周波妨害波測定のための APD 法と許容値の導入プロジェクトの活動は終了し すでに承認された CDV に編集上の修正を加えたものが FDIS として登録される予定 エワイヤレス給電に対する要件の CISPR11 追補についてワイヤレス給電に関する EMC 要件の CISPR11 導入については グループ 2 の定義の補完として作業が進められていることが確認され CISPR11 補完としては 試験条件 試験方法 150kHz 以下の許容値が今後の重要な議題となることが議長より確認された 全体会議にて B 小委員会でのワイヤレス給電に関する今後の作業を促進するために MT を設立することを提案するプレゼンテーションを日本より行った 詳細についての審議は WG1( 工業 科学及び医療用装置 (ISM) 装置の無線周波妨害波の許容値及び測定法の標準化を担当 ) で行われたが その結果 日本が提案した MT ではなく 日本が主導する TF として作業が 5

進められることとなった 2013 年 10 月末までに 具体的な作業項目 (ToR) を WG1 に提出することを日本より回答した オ WG2( 架空送電線 高電圧機器及び電気鉄道からの妨害に関する作業班 ) の関連について日本からの提案に基づき CISPR/TR18( 架空送電線および高電圧機器の電波雑音特性 ) 第 3 版の 1stCD を本年末か来年初めに出すこととなった 改定内容は 上限周波数を 300MHz から3GHz までの拡大 DC 送電設備からの雑音に係る最新の交直変換方式や雑音予測手法などの追加及びスマートグリッド関連情報の追加となる見込み CISPR/TR26( 電気鉄道の電波雑音特性 測定法と許容値の決定方法のガイド ) については 2003 年に一度プロジェクトが取り消された経緯があるため 新業務項目提案 (NP) の手続きから始めることになった 次回の作業は 2014 年 5 月の WG2 中間会議 ( 日本開催 ) において行われる予定である (3)F 小委員会 ( 家庭用電気機器 照明機器等の妨害波に関する規格を策定 ) ア家庭用電気機器 電動工具の妨害波規格 (CISPR14-1) の改訂について CISPR14-1 の審議においては 放射妨害波測定条件 配置を新たに規定する 通信ポート測定の追加などの技術的変更とエディトリアルな全面見直しの 2 つの CD 文書への各国コメントについて検討を行い この 2 つの CD 文書を統合して1つの 2ndCD 文書として発行することが確認された 残った技術的課題については 検討小グループを複数設置して対応する 大きな課題としては 補助端子 負荷端子の代替測定方法の開発があり この検討グループのリーダーには我が国のエキスパートが就任した 更に 日本及びオランダからの WPT 機器の規格作成促進の提案を受け WG1( 家庭用電気機器 電動工具及び類似機器からの妨害波の許容値及び測定法の標準化を担当 ) 下に TF を設置して検討を進めることとなった イ家庭用電気機器 電動工具のイミュニティ規格 (CISPR14-2) の改訂について CISPR14-2 の審議は CDV に移行することが決定され 2013 年末までに CDV 文書を作成することが確認された ウ照明機器等の妨害波規格 (CISPR15) の改訂について CISPR15 第 8 版が発行されたのち 3m 法の許容値の追加や ELV ランプの 6

測定方法の追加等の修正 1の CD 文書が2つ発行され 各国コメントについての審議が行われ 共に CDV に移行することが確認された また 全面改定となる第 9 版の DC 文書が発行され 各国コメントについての審議の結果 2ndDC 文書を作成することが確認された WG2 において 日本のエキスパートより LED 照明器具内蔵用電源の擬似器具仕様について規格作成を提案しており 器具内蔵用 LED ドライバーの疑似標準器具仕様を規定する TR CISPR30-3 作成の必要性が確認された 具体的な検討は 我が国からのエキスパートが参加して審議を行うこととなった (4)H 小委員会 ( 無線業務保護のための妨害波に関する規格を策定 ) ア共通エミッション規格 (IEC61000-6-3 及び 61000-6-4) の改訂について 床置機器に対する FAR(6 面電波無反射室 ) における放射妨害波測定の 導入検討に関しては 日本が提唱してきた 技術的妥当性の高い偏波別 の許容値が採用された CD が発行された 本規格は 他のいずれの製品規 格 製品群規格にも該当しない製品に対して適用されるエミッション規格であり 包括的な無線保護に貢献するものである 従来のオープンテストサイトにおける妨害波測定では 金属大地面の影響で高さ 1 波長位までは水平偏波の電界強度が減少する 一方 FAR は床面も電波吸収体で覆われているため 上記の減少はない 両環境における試験結果を整合させるためには偏波に依存した許容値が必要となる イ妨害波許容値の決定法の技術文書 (CISPR16-4-4 TR) の改訂について 30MHz 以下の放射妨害波に対する許容値の設定法として 妨害波強度の距離換算係数の追加や一部の確率要素が改訂された CD が発行されている オタワ会議では各国からのコメントに対する審議が行われ 2014 年 3 月に TR が発行される見通しである また 現在 B 小委員会で議論されている GCPC の妨害波許容値の設定モデルについて H 小委員会の WG1( 共通規格のメンテナンスを担当 ) において審議を行い その結果を今後 CISPR16-4-4 に反映することがドイツから提案された ( 各国に文書回付の予定 ) 本技術文書は無線保護のための妨害波許容値の導出の根拠 ( 考え方 ) を示した技術文書であり 本文書を参照することによって各製品委員会は共通の根拠に立脚した妨害波許容値を定めることが可能となるものである (5)I 小委員会 ( 情報技術装置 マルチメディア機器及び受信機の妨害波に関する規格を策定 ) ア大型プラズマディスプレイ機器の 30 MHz 未満の放射妨害波許容値と測定法について 7

暫定許容値と暫定測定法に基づく公開仕様書 (IEC/PAS 62825) が 2013 年 1 月に発行されたことが報告された イマルチメディア機器の妨害波許容値と測定法 (CISPR 32) について 1 CISPR 32 第 2.0 版発行に向けた 5 件の CDV(1 衛星放送受信機の室外ユニット等の測定条件 2 放送受信機の測定チャネルの要求条件 3 FAR を用いた妨害波測定法と許容値 4GHz-TEM と反射箱を用いた妨害波測定法と許容値 5 測定の不確かさ ) がまもなく発行される予定であり 投票結果の確認と各国コメントは 2014 年 2 月の WG2(ITE 放送受信機及びマルチメディア機器の妨害波規格を担当 ) で審議することとなった 2 WPT については WG2 にアメリカのエキスパートをリーダーとする TF ( 日本からもメンバ参加 ) を設立して検討を開始することとなった 3 ビデオゲーム機器を F 小委員会から I 小委員会の所掌に移す案件については スコープに関する F 小委員会議長と I 小委員会議長間で移管する機器の明確化を協議した結果を踏まえて WG2 で妨害波測定法 ( 測定配置 機器の動作条件等 ) の具体化に着手することとなった 4 Disturbance と Emission の用語の使い分けについては A 小委員会の用語検討グループの検討結果を待つこととなった 5 国際アマチュア無線連盟 (IARU) から 上記ア項に示す PAS を CISPR 32 で参照とする提案が再度提出された 我が国は昨年のバンコク会議で参照しないことが決定しているとした上で PAS は IS ではないこと 本 PAS の参照は CISPR の Technology Neutral( 規格の技術的汎用性や中立性 ) ポリシーに反すること等の理由を再度コメントして反対したが 昨年の決定が覆され CISPR 32 の参考文献に追加されることとなった ウ音声及びテレビジョン放送受信機並びに関連機器のイミュニティ特性の許容値及び測定法 (CISPR 20) について CISPR 20 第 6.0 版の修正 1( ケーブルサービスと広帯域移動通信サービスの共存検討 クラス 1 機器のイミュニティ試験法の追加 CISPR20 の性能判定基準の修正 イミュニティ試験対象機器の追加 ) の FDIS が反対なしで承認され 発行することとなった エ情報技術装置のイミュニティ特性の許容値及び試験法 (CISPR 24) について CISPR 24 第 2.0 版の改定に向けた CDV 案を準備済みであるが 本 CDV 8

には CISPR 35 の一部で一般的要求条件のみを規定している試験法に関し 試験配置 試験手順等の詳細を規定した個別要求条件が盛り込まれている 一方 この個別要求条件は CISPR 35 の CDV( 賛成多数で承認 ) には反映されておらず CISPR 35 第 1.0 版発行後のメンテナンス事項と位置づけられている CISPR 35 の FDIS と CISPR 24 の CDV で 一部ではあるが同一機能の試験法に関し一般的要求条件のみの規定と詳細を含めた個別要求条件の規定の両者が同時に投票に付された場合 各国に無用な混乱を与えかねないため CISPR 24 の CDV の発行は CISPR 35 の FDIS 投票が終了まで保留することとなった オマルチメディア機器のイミュニティ限度値と試験法 (CISPR 35) について 1 CISPR 35 第 1.0 版発行に向けた FDIS は仏語訳の完了後に投票に付されることとなった 2 アンテナポートのイミュニティ及びディファレンシャルモード信号による伝導イミュニティの両案件について 今後 WG4( マルチメディア機器のイミュニティ規格を担当 ) で検討していくこととなった 3 市販の車載機器 (After market equipment) に対する要求については TF を構築して適用範囲の明確化を図っていくこととなった カその他 1 CISPR20 及び CISPR24 を統合した CISPR35 の波高に基づく CISPR 20 及び CISPR 24 の廃止時期についての審議は 2014 年の I 小委員会で審議することとなった 2 CISPR 32 及び CISPR 35 の共通部分のメンテナンス方法については TF( 日本からもメンバ参加 ) を設立して効率の良い方法を検討することとなった 3 現在の I 小委員会議長の任期を 3 年間延長することを確認するとともに I 小委員会に副議長を置くことが合意された 副議長については 各国に候補者の推薦が依頼された 9

図 1 CISPR 体制図 参考 :CISPR の審議段階における文書略 NP: 新業務項目提案 (New Work Item Proposal) WD: 作業原案 (Working Draft) DC: コメント用審議文書 (Document for Comments) CDV: 投票用委員会原案 (Committee Draft for Vote) FDIS: 最終国際規格案 (Final Draft International Standard) IS: 国際規格 (International Standard) ISH: 解釈票 (Interpretation Sheet) DTR: 技術報告書案 (Draft Technical Report) TR: 技術報告書 (Technical Report) PAS: 公開仕様書 (Publicly Available Specification) 以上 10