目次 1. 国内酒類業界の概況 3 (1) 事業環境 4 (2) 酒類別需要動向 5 (3) 供給動向 7 2. 法規制の動向 8 (1) 酒販規制の強化 9 (2) 段階的な酒税の税率改正 中長期的な業界環境の変化に対する見方 ( 弊行想定 ) 11 2

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ビール業界 ~キリンビールとアサヒビール~

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1 酒税法改正関係 ⑴ 酒類の品目等の定義の改正酒類の品目等の定義の主な改正内容は 次のとおりです イ平成 29 年 4 月 1 日から改正されるもの改正の概要 旧酒税法 新酒税法 改正内容 連続式蒸留しようちゆう 連続式蒸留焼酎 名称を変更 ( 常用漢字化 ) 単式蒸留しようちゆう 単式蒸留焼酎

第1章

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1 酒類業を取り巻く環境 (1) 国内市場環境国内の市場環境は 平成 2 年に1 億 2,88 万人であった人口が減少過程に入っており その構成においても 成人人口に占める6 歳以上の割合が 平成元年度の23.2% から平成 28 年度には4.7% へ増加するなど 人口減少社会の到来 高齢化が進展し

平成27年版高齢社会白書(全体版)

2018年度 第3四半期累計 1-9月 実績 2017年 19月期 2018年 19月期 増減 () 9,302 9, % +4.1% 営業利益 % 0.0% % +9.7% 親会社の所有者に 帰属する四半期利

合理性今要有望効に性関連する事項相当性回の政策体系における政策目的の位置付け 政策の達成目標租税特別措置の適用又は延長期間同上の期間中の達成目標 政策目標の達成状況 政策目標 23 酒類業の健全な発達の促進 酒類業の経営基盤の安定 5 年間の延長 ( 平成 35 年 3 月 31 日まで ) 酒類業

ワイン参考資料2016

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

我が国中小企業の課題と対応策

シニア層の健康志向に支えられるフィットネスクラブ

ワイン参考資料2017

平成29年版高齢社会白書(全体版)

現状 課題 海外の消費者ニーズを踏まえ 更なる高付加価値化を実現すべく 日本産酒類のブランド力と品質を向上させます 国内外で高い評価を受けた 高付加価値な酒類が輸出される傾向にある 今までの傾向を踏まえ 日本産酒類の高付加価値化を進めるとともに 海外において製造されている酒類との差別化を図ることが課

1 食に関する志向 健康志向が調査開始以来最高 特に7 歳代の上昇顕著 消費者の健康志向は46.3% で 食に対する健康意識の高まりを示す結果となった 前回調査で反転上昇した食費を節約する経済性志向は 依然厳しい雇用環境等を背景に 今回調査でも39.3% と前回調査並みの高い水準となった 年代別にみ

新設 拡充又は延長を必要とする理由9-2 回の合要理性望に関⑴ 政策目的沖縄県内の一般消費者の生活及び産業経済に及ぼす影響を考慮して税負担を軽減する 県内酒類製造業の育成 保護( 経営基盤の強化など ) 酒類製造業及び関連産業の振興を通じた沖縄経済の振興 ⑵ 施策の必要性本軽減措置については 昭和

酒類消費の総量を左右する 爽快な酒 最初に国内の酒類消費の長期的なトレンドを確認します 図表 1 は 1967 年から 2015 年までの酒類の消費量の変化を種類別に見たものです 右肩上がりで推移した酒類消費は 1990 年代半ばにピークを打ち その後は横ばいでわずかに減少しています 注目したいのは

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

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平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

目次 2011 年度業界需要動向 1 日経代販価格推移 2 主要原燃料価格の推移 年度連結業績概要 4 主要製品品種別売上実績 5 連結営業利益増減益内訳 (2010 年度対 2011 年度 ) 年度連結業績予想 7 連結営業利益増減益内訳 (2011 年度対 2012

アジア近隣 5 カ国における牛乳乳製品の輸入動向 資料 5-2 各国とも輸入額全体に占める脱脂粉乳及び全脂粉乳の割合が高い 高付加価値商品の販売が見込めるチーズ 育児用粉乳等についても各国で一定の割合を輸入 中国の輸入市場は規模が大きく 最近伸びているが割合の小さい LL 牛乳 (2.6%) 市場で

1 海外原料の酒が増える? TPP に参加することで農産物の関税が撤廃された場合 日本の酒類 特に清酒は原料となる米の調達先の変化という形で直接的な影響が考えられます 図表 1に示したとおり米 大麦 小麦などには高率の関税がかかっています ビールや麦焼酎で使う大麦や麦芽は 関税割当制度や SBS 制

物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

本稿では 2013 年の酒類消費動向を予測します 予測のための材料は2つです ひとつは酒類消費量の推移で 各酒類の増減を中長期で捉え さらに直近のメーカー出荷状況を整理します もうひとつは飲み手のライフステージや飲み方の変化に着目し 酒類のコアユーザーを確認 ライフステージの変化から酒類の嗜好が今年

6 転嫁カルテル 表示カルテルの独占禁止法適用除外 今般の消費税率の引上げに伴い 消費税を円滑かつ適正に転嫁できる環境を整備するため 消費税転嫁対策特別措置法では 事業者又は事業者団体は 公正取引委員会に事前に届け出ることにより 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為 ( 転嫁カルテル 表示

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1. 消費 ( 需要 ) 動向 (1) 成人 1 人当たりの年間酒類消費量の推移まず初めに 各酒類の年間消費量の推移を概観する ここでは 年度間の人口増減や少子高齢化などによる成人人口の変化も考慮するために 成人 1 人当たりの年間消費量に着目している 日本人の成人 1 人当たりの年間酒類消費量は

がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ我が国皮革製品産業は 高付加価値化やコスト削減などの構造改善を進めることにより 欧州から輸入される高価格の製品と 主にアジア諸国から輸入される低価格製品に対抗できる競争力の確保を図る必要がある しかしながら 近年 アジア諸国においては欧州及び米

ビール業界

2018 年度上期の振り返り 代表取締役社長 小郷三朗 2018 SUNTORY BEVERAGE & FOOD LIMITED. All Rights Reserved. 2

(2) 滞納残高 イ 税目別の滞納残高 平成 18 年度平成 19 年度平成 2 年度平成 21 年度平成 22 年度平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度 申告所得税 2,119 2,72 1,994 1,921 1,871 1,871 1,784 1,7

トピックス

国内の皮革産業及び革靴産業は中小 小規模事業者が大部分を占めていることから業界の構造改善及び競争力強化を実施し アジア諸国をはじめとする海外から大量に輸入される製品と対抗しうる日本製品の優位性が備わるまで 本制度を維持する必要がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ国内の皮革産業及び

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

別紙2

新電力のシェアの推移 全販売電力量に占める新電力のシェアは 216 年 4 月の全面自由化直後は約 5% だったが 217 年 5 月に 1% を超え 218 年 1 月時点では約 12% となっている 電圧別では 特別高圧 高圧分野 ( 大口需要家向け ) は時期により変動しつつも 全体的には上昇

イ果実果実 ( 濃縮果汁を除く 以下この項において同じ ) の名称を表示する なお 三種類以上の果実を使用した場合は 使用量が上位三位以下の果実の名称を その他果実 と表示することができる ロ濃縮果汁濃縮果汁を希釈したものは 濃縮還元 果汁 と 濃縮果汁を希釈していないものは 濃縮 果汁 と表示する

2018年3月期 決算説明会

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エコノミスト便り

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

Ⅰ平成15年平均高知市消費者物価指数の概況

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各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

2 政策目的達成時期我が国皮革産業及び革靴産業が構造改善を行い アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高価格品と対抗しうる国際競争力が備わるまで 本制度を維持する必要がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ国内皮革産業及び革靴産業は 高付加価値化やコスト削減などの構造改善を進めること

アサヒビールの今後の経営方針

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

(2) 酒税法第 28 条の3( 未納税引取 ) の規定を適用するために必要な酒税法上の手続 (10 点 ) 1 原則手続 ( 法 28の326) 税関長は 未納税引取の承認を与える場合には その承認の申請者に対し 相当の期限を指定して その酒類が所定の引取場所に引き取られたことについてのその場所の

2

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H28秋_24地方税財源

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1 概 況

ニュースリリース

人 ) 195 年 1955 年 196 年 1965 年 197 年 1975 年 198 年 1985 年 199 年 1995 年 2 年 25 年 21 年 215 年 22 年 225 年 23 年 235 年 24 年 第 1 人口の現状分析 過去から現在に至る人口の推移を把握し その背

新設 拡充又は延長を必要とする理⑴ 政策目的沖縄県内の一般消費者の生活及び産業経済に及ぼす影響を考慮して税負担を軽減する 1 沖縄の一般消費者の酒税負担を軽減する 2 価格優位性を確保することによる沖縄の酒類製造業の自立的経営を促進する ⑵ 施策の必要性 1 沖縄の一般消費者の酒税負担を軽減する沖縄

2006年3月8日

目次 今後 30 年間は東京の消費人口は減少しない ( 横ばい ) 今後 30 年間の社会的変化 1) 多様性の拡大 ( 哲学的変化 ) 2) 人間の行動の未来予測の精度向上 ( 技術的変化 ) 3) 多品種少量生産 / 分散配送型への産業構造転換 ( 経済的変化 ) 結論 1) 今後 30 年間の

ビール系飲料の輸入

(2) 酒類販売 ( 消費 ) 数量の累年比較 年 度 清 酒 合 成 清 酒 焼 酎 ビ ー ル その他の酒類 合 計 kl kl kl kl kl kl 平 成 24 年 度 104,589 5, , , ,118 1,137,628 平成 25 年度 99,

8-3 販売 ( 消費 ) 数量 (1) 酒類販売 ( 消費 ) 数量酒類製造者の移出数量販売業者の販売数量消費者に対す製造場平成 21 年 3 月 31 日現在区分 ( 課税 ) 製造場の消費者消費者る販売数量計卸売業者小売業者販売業者販売業者の手持数量支店等 klklklklkl

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1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

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多くの大学においては 新入生のオリエンテーション時やサークルの代表者に 未成年者の飲酒の防止と イッキ飲み 等過剰飲酒の禁止に関する指導や啓発が行われています また 平成 27 年度からは 県保健所 精神保健福祉センター等が中心となり 大学生向けのアルコール健康障害や適正飲酒の知識に関する出前講座を

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目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

及び必要性 低税率を適用して需要者に安価な輸入品の供給を確保する一方 一定数量を超えた輸入分については高税率を適用することにより 国内の皮革産業及び革靴産業の保護を目的としている 2 政策目的達成時期我が国皮革産業及び革靴産業が構造改善を行い アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高価格品と対抗しう

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2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

資料 4 明石市の人口動向のポイント 平成 27 年中の人口の動きと近年の推移 参考資料 1: 人口の動き ( 平成 27 年中の人口動態 ) 参照 ⑴ 総人口 ( 参考資料 1:P.1 P.12~13) 明石市の総人口は平成 27 年 10 月 1 日現在で 293,509 人 POINT 総人口

統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る

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資料1 小動物獣医師数の需給バランスの展望

29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

1. 各都市の不動産市場トレンド 1-1. オフィス価格指数 対前回変動率 (2016 年 4 月から 2016 年 10 月まで ) 図表 1-1は オフィス価格指数の各都市 対前回変動率 今回 (2016 年 10 月現在 ) 対前回変動率が最も高かったのは 東京 の +3.4% 次いで 大阪

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

2025年の住宅市場 ~新設住宅着工戸数、60万戸台の時代に~

(2) 高齢者の福祉 ア 要支援 要介護認定者数の推移 介護保険制度が始まった平成 12 年度と平成 24 年度と比較すると 65 歳以上の第 1 号被保険者のうち 要介護者又は要支援者と認定された人は 平成 12 年度末では約 247 万 1 千人であったのが 平成 24 年度末には約 545 万

計量制度の見直し / 政令改正に関するポイント 平成 29 年 6 月経済産業省産業技術環境局計量行政室

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国内酒類業界の動向 2018 年 6 月 株式会社三井住友銀行 コーポレート アドバイザリー本部企業調査部 本資料は 情報提供を目的に作成されたものであり 何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません 本資料は 作成日時点で弊行が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作成されたものですが 情報の正確性 完全性を弊行で保証する性格のものではありません また 本資料の情報の内容は 経済情勢等の変化により変更されることがありますので ご了承ください ご利用に際しては お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します 本資料の一部または全部を 電子的または機械的な手段を問わず 無断での複製または転送等することを禁じております

目次 1. 国内酒類業界の概況 3 (1) 事業環境 4 (2) 酒類別需要動向 5 (3) 供給動向 7 2. 法規制の動向 8 (1) 酒販規制の強化 9 (2) 段階的な酒税の税率改正 10 3. 中長期的な業界環境の変化に対する見方 ( 弊行想定 ) 11 2

1. 国内酒類業界の概況 3

1. 国内酒類業界の概況 (1) 事業環境 国内事業環境をみれば 主要な消費層である生産年齢人口 ( うち 20 歳以上 ) は1995 年をピークに減少しており 飲酒人口は高齢化が進展 2025 年頃には減少に転じる見通しです 加えて 成人 1 人当たりの酒類消費数量に関しても 相対的に飲酒量が少ないとされる高齢者層の増加や若年層の酒離れ等を背景に 減少傾向で推移しています 飲酒人口の推移成人 1 人当たり酒類消費数量の推移 ( 年間 ) ( 百万人 ) 120 国立社会保障 人口問題研究所推計 (L/ 年 ) 100 100 高齢者人口 80 86.1 80.9 80 60 40 5 22 29 36 15 37 11 39 7 38 20 歳以上生産年齢人口 35 60 40 20 63 71 76 79 75 68 64 51 55 49 44 20 0 60708090 00102030405060 ( 年 ) 95 年 : 生産年齢人口ピーク ( 出所 ) 国立社会保障 人口問題研究所を基に弊行作成 0 0607080910111213141516 ( 年 ) 参考 中ジョッキ (435ml) 換算 06 年 198 杯 16 年 186 杯 (-12 杯 ) ( 出所 ) 国税庁資料を基に弊行作成 4

1. 国内酒類業界の概況 (2) 酒類別需要動向 1 ビール類 飲酒人口の高齢化や若年層の酒離れ等を受けて 酒類全体の需要が低迷する中 国内酒類課税移出総数量の半数以上を占めるビール類 ( ビール 発泡酒 新ジャンル ) の出荷数量は 2005 年以降 12 年連続で減少しています 種類別にみれば ビールは生産年齢人口の減少に伴い 90 年代中頃より減少傾向で推移してきました また 1994 年に発売され拡大した発泡酒も 更に安価な新ジャンルの登場 (2003 年 ) により減少に転じており 以降は新ジャンルが販売を伸ばしてきました 2016 年酒類課税移出数量内訳 ( 国産 + 輸入 ) 主要 5 社 * のビール類出荷数量推移 ( 課税移出数量ベース ) ウイスキー 15 万 kl(2%) ワイン 37 万 kl(4%) その他 2 万 kl(0.2%) ( 百万 kl) 7 ビール 新ジャンル 発泡酒 前年比 +2% 清酒 54 万 kl(6%) 焼酎 87 万 kl (9%) RTD *1 97 万 kl 2016 年課税移出総数量 952 万 kl ビール 272 万 kl ビール類 531 万 kl (56%) 6 5 4 3 +1% ±0% -1% -2% 発泡酒 73 万 kl 2-3% リキュール スヒ リッツ類 228 万 kl(24%) 新ジャンル 186 万 kl 1 0-4% -5% 04050607080910111213141516 *1 スヒ リッツ ( 発泡性 )+ リキュール ( カクテル チューハイ等発泡性 梅酒 )- 新シ ャンル ( リキュール発泡 課税移出数量ピーク 性 ) により算出した推計値 * アサヒビール( 株 ) キリンビール( 株 ) サントリービール( 株 ) サッポロビール( 株 ) オリオンビール ( 株 ) の5 社 ( 出所 ) 国税庁 発泡酒の酒税を考える会資料を基に弊行作成 ( 出所 )( 株 ) 日刊経済通信社 酒類食品産業の生産 販売シェア を基に弊行作成 ( 年 ) 5

1. 国内酒類業界の概況 (2) 酒類別需要動向 2 ビール類を除く酒類 消費数量の構成比率の動向をみれば ビール 発泡酒から新ジャンルの他 リキュール スピリッツ類へ消費がシフトしていることから 需要の多様化が進んでいると考えられます 特に 豊かな風味やアルコール度数の低さ等から飲み易く 女性や若年層を中心に支持を集めてきた低アルコール飲料 (RTD) の需要は高く 最近では辛口でアルコール度数の高い商品が発売され 男性の需要も取り込む等定着が進んでいるとみられます 酒類消費数量構成比率の変化 RTD 移出数量推移 ( 推計 * ) 100% その他果実酒類 その他果実酒類 ( 万 kl) 100 清酒 合成清酒 焼酎 清酒 合成清酒 焼酎 80 年率 +8.2% リキュール スヒ リッツ類 <7%> リキュール スヒ リッツ類 <15% > 60 75% ヒ ール 発泡酒 <68% > 新ジャンル * <20% > 40 ヒ ール 発泡酒 <40% > 20 2003 年 2016 年 0 12 13 14 15 16 ( 年 ) * 酒税法上 新シ ャンルは リキュール類 及び その他 に含まれるため 酒類移出総 * スヒ リッツ ( 発泡性 )+ リキュール ( カクテル チューハイ等発泡性 梅酒 )- 新シ ャンルリキュー 数量と同等の割合 ( リキュール類の15% その他の 5%) で消費されるものと推計 ル ( 発泡性 ) により算出した推計値 ( 出所 ) 国税庁 発泡酒の酒税を考える会資料を基に弊行作成 ( 出所 ) 日本洋酒酒造組合 発泡酒の酒税を考える会資料を基に弊行作成 6

1. 国内酒類業界の概況 (3) 供給動向 酒類の販売に関しては 小売事業者の参入自由化 (2003 年 ) を契機に競合が激化し 低価格での販売が浸透してきたことや 安価な新ジャンルの販売拡大等により他の食料品と比べて値上げが進んでこなかった他 消費者の低価格志向も根強いと言われています ビールメーカー各社は 従来のビールに加えて 発泡酒や新ジャンル RTD 等へ商品の幅を広げ 需要の減少 多様化や価格の下落への対応を進め シェアの維持 拡大を図ってきました 消費者物価指数の動向ビール類 RTD のシェア推移 各上位 5 社 2003 年 =100 115 110 105 10 95 食料ビール発泡酒 原材料等の高騰による値上げ 消費税増税 ビール類 50% 40% 30% 20% 10% 0% ( 出所 )( 株 ) 日刊経済通信社 酒類食品産業の生産 販売シェア を基に弊行作成 RTD 50% 40% アサヒ GHD キリン HD サントリー HD サッポロ HD オリオンビール 08 09 10 11 12 13 14 15 16( 年 ) サントリー HD キリン HD 宝 HD アサヒGHD オエノン HD 90 85 0304050607080910111213141516 ( 年 ) 30% 20% 10% 0% 08 09 10 11 12 13 14 15 16 ( 年 ) ( 出所 ) 総務省統計局資料を基に弊行作成 ( 出所 )Euromonitorを基に弊行作成 7

2. 法規制の動向 8

2. 法規制の動向 (1) 酒販規制の強化 2017/6 月から施行された改正酒税法では 1 酒販の公正な取引基準の制定 2 酒類販売管理研修の義務化 の 2 点が主な改正点となっており 特に 1 に関し 原価割れ販売を行った違反者に対しては 最悪の場合 酒販免許取消処分も可能となりました 酒類メーカーでは リベートの削減により利益率改善が見込まれる一方 小売販売価格上昇によりビール需要縮小に拍車がかかる可能性があるとみられます 今般の法改正の内容 酒類メーカーへの影響 酒税法 酒類業組合法 項目 酒類の販売業免許等の取消要件を追加 酒類に関する公正な取引の基準を制定 公正な取引の基準を遵守しない事業者に対する指示 公表 命令の権限を付与 酒類販売管理研修の受講及び再受講を義務化 質問検査権の調査対象を拡充 公正取引委員会との情報共有等の連携を強化 目的 公正な取引の基準の遵守を促す 事業者の適正利益確保を促すことにより 酒税の保全を図る 公正な取引の基準の遵守を促す 酒類の適正な販売管理体制を構築することにより 健康障害の防止に努める より詳細な調査を行うことにより 公正な取引の基準の実効性を確保する 効率的な情報収集を行うことにより 従来以上に効果的な調査を行う 酒類メーカー リベートの支払要件厳格化 リベート削減による利益率改善 小売販売価格上昇によるビール需要縮小 原価割れ販売に対しては 酒販免許取消処分も可能に ( 出所 ) 国税庁資料を基に弊行作成 9

2. 法規制の動向 (2) 段階的な酒税の税率改正 改正酒税法では 段階的に酒税の税率を改正することも決定され ビール類に関しては 2026 年までに税率が一本化されます 酒類メーカーでは 価格差縮小によりビール需要の回復が期待される一方 これまで販売を拡大してきた新ジャンルは価格が上昇し RTD 等他の酒類へのシフトが加速 ビール類全体でみれば需要縮小が一段と進む可能性があるとみられます ビール類の酒税の税率改正の内容 酒類メーカーへの影響 税率変更に応じたビール類等の価格改定 ビール 発泡酒 ( 麦芽比率 50% 以上 ) 77.00 円 70.00 円 63.35 円 54.25 円 酒類メーカー 価格差縮小によるビール需要の喚起 発泡酒 ( 麦芽比率 50% 未満 ) 46.99 円 37.80 円 発泡酒 新ジャンルの価格上昇による RTD 等へのシフトの加速 新ジャンル 28.00 円 35.00 円 参考 RTD 現在 2020/10 月 2023/1 0 月 2026/1 0 月 ( 出所 ) 財務省資料を基に弊行作成 10

3. 中長期的な業界環境の変化に対する見方 11

3. 中長期的な業界環境の変化に対する見方 ( 弊行想定 ) 国内酒類市場は 中長期的には 1 人口減少及び高齢化 2 酒販規制強化によるリベート支払要件の厳格化 3 酒税の税率改正に伴う価格改定 等の影響を受けると考えられます ビールメーカー各社では ビール需要喚起に向けたプレミアムビールやクラフトビール フルーツビール * 等ビール類の開発 販売の他 RTD 等他の酒類も強化し需要の多様化への対応を進める動きや コスト競争力を強化する動き等がみられます 中長期的な業界環境の変化に対する見方 ( 弊行想定 ) * 2017/6 月酒税法改正では ビールの副原料の拡大や麦芽比率の緩和 (67% 50%) が実施された 事業環境の変化 Pro s Cons 主な対応策 人口減少 高齢化 健康志向の高まり等による高付加価 酒類需要の縮小 品質や健康機能性に拘った高単価なプレミアムビールの開発 販売強化 値商品の需要増加 ビール需要喚起に向けたクラフトビール フルーツビールの開発 販売強化 酒販規制強化に伴うリベート支払要件の厳格化 リベート削減による利益率改善 小売 業務用価格 上昇による ビール離れの加速 ビールからの需要シフトの受け皿として RTD の開発 販売強化 広告宣伝等を通じた主力製品のブランド力向上 酒税の税率改正に伴う価格改定 価格差解消によるビール需要喚起 発泡酒 新ジャンルの価格上昇による RTD へのシフト加速 物流コスト抑制等によるコスト競争力の強化 国内市場の縮小により シェア争いが一層厳しくなる可能性 M&A 等を通じた海外への販路拡大 他の事業または新規事業の拡大 12