首都直下における最新のプレート構造モデル

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詳細な説明 2016 年 4 月 16 日に発生した熊本地震 ( マグニチュード (M) 7.3)( 図 1) は 熊本県 大分県を中心に甚大な被害をもたらしました 九州地方は 北東 - 南西方向に縦走する 別府 - 島原地溝帯 と呼ばれる顕著な地殻の裂け目によって特徴づけられます 別府 - 島原地

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スライド 1

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12-16 首都直下における最新のプレート構造モデル New plate boundary model of Philippine Sea plate in Metropolitan are. 酒井慎一 ( 東京大学地震研究所 ) Shin ichi Sakai, Earthquake Research Institute, University of Tokyo. 文部科学省委託研究 首都直下地震防災 減災特別プロジェクト (2007-2011) では, 首都圏の 296 ヶ所に新たに地震観測点を設置し, 稠密で高精度な地震観測網 (MeSO-net) を構築した 1). そのデータを解析することで, 高精度な震源分布が明らかになり, プレート境界面の形状やプレート内における弱面の存在等を高精度で把握した. その結果, フィリピン海プレートの上面は, これまで知られているものより浅いことがわかった. 首都圏下には, 南方からフィリピン海プレートが沈み込み, その下へ東方から太平洋プレートが沈み込んでいる.MeSO-net は, このフィリピン海プレートが首都圏下に沈み込む範囲を覆うように設置されている. さらに,M7 級地震 ( 断層サイズ約 20km) の解明を目的の一つとしているため, このサイズの地震断層より細かな分解能での観測が不可欠である. 平均間隔を 5km 程度として, 単純に首都圏 ( 半径約 80km の円内 ) をその間隔で均一に覆うと, 約 850 点の観測点が必要になるが, 観測点を集中させるなどして, 少ないながらも適切な配置を考えた ( 図 1) 2). その結果,5 本の直線状の観測点分布 (2~3km 間隔 ) と半径約 80km の面状分布 (4~10km 間隔, 中心で密 ) で, 最終的に 296 ヶ所の観測点になった. さらに, その他の機関 ( 地震研究所, 気象庁, 防災科学技術研究所 ) が設置している地震観測網も取り込み, 統合処理している. その結果, 東京駅を中心とした半径 40km の範囲では, これまでの約 20 倍の観測点密度になっている. 都市部は人工ノイズが多いため,MeSO-net では地震計を縦孔 ( 約 20m) の底に設置し, 孔底でデジタル化して伝送することによってノイズの軽減を図った. さらに, 停電や回線断の時も現地のバッテリーで収録が続けられるため, 復旧後に自動再送される仕組みによって, 障害が発生しても欠落の無いデータを取得できる伝送方式を新たに開発した 3). その結果,2011 年 3 月 11 日の東北地方太平洋沖地震発生以降の停電や回線断が発生した際にも, 完全なデータが得られている. MeSO-net で取得したデータは, 既存の地震観測網のデータを統合して, 二重走時差トモグラフィ法 (Double-difference tomography) 4) による地震波走時トモグラフィ解析を行い, 首都圏下の地震波速度構造を求めた ( 図 2). 集中配置された観測網にこの手法を適用して速度構造を推定することは, 震源の相対走時の精度を向上させ, 分解能の向上に寄与することが示されている 5). 推定した速度構造の深さ断面図を細かく作り, フィリピン海プレートや太平洋プレートの上面の深さ等を求めた ( 図 3, 図 4). プレート境界の深さは, 速度構造の不連続から判別できる箇所もあるが, すべての場所が明らかであるわけではない. そのため, 他のいくつかの情報を考慮に入れ, 全体として滑らかにつながるような曲面として求めた. たとえば, 沈み込む海洋性地殻のモホ面は, 速度の不連続が明瞭に見られる場合があり, 地殻の厚さを8kmと仮定することによって, そのモホ面の8km 上をプレート境界とした. さらにプレート境界で発生している事象として, 低角逆断層型の地震の分布, くりかえし小地震の分布, ゆっくり地震の分布等も考慮に入れた. この用にし - 516 514 -

て得られた等深線は, 東京湾で行われた反射法地震探査の結果 6), 房総半島付近で行われた変換波 解析の結果, 茨城県南部における繰り返し小地震の分布による結果 7) 等の最近の研究とも比較し, 大きな矛盾が生じないようなものになった. フィリピン海プレートの形状に関する従来の研究 比較すると, 東京都東部周辺では約 10km 浅くなった. これまでの速度構造の研究では, 陸側のプレートとフィリピン海プレートとの境界では, 千葉県 と東京都との都県境付近に高 Vp/Vsの領域が東西に帯状に広がっていること等のため, マントル物質が蛇紋岩化しているとされていた 9). この地域は地震活動度が低いため, フィリピン海プレートの沈み込みによるひずみや応力を蓄積できない箇所として認識されていて, この付近に震源断層を設定したいわゆる 東京湾北部の地震 の北縁を限る根拠になっていた. 今回の結果でも, 同様の高 Vp/Vs 領域は存在しているが, 速度トモグラフィの精度が向上したため, 領域は半分程度の範囲に狭まった. 8) と 参考文献 (1) 平田直 酒井慎一 佐藤比呂志 佐竹健治 纐纈一起 (2009): 首都直下地震防災 減災特別プロジェクト サブプロジェクト1 首都圏周辺でのプレート構造調査, 震源断層モデル等の構築等 の概要, 東京大学地震研彙報,84,41-56. (2) 森田裕一 酒井慎一 中川茂樹 笠原敬司 平田直 鏡弘道 加藤拓弥 佐藤峰司 (2009): 首都圏地震観測網 (Meso-net) のデータ伝送方式について- 自律協調型データ送信手順 (ACT protocol) の開発, 東京大学地震研究所彙報,84,89-105 (2009) (3) 酒井慎一 平田直,2010, 首都圏地震観測網の設置計画, 東京大学地震研究所彙報, 本特集号 (4) Zhang, H., and C. H. Thurber (2003): Double-difference tomography: the method and its application to the Hayward fault, California, Bull. Seismol. Soc. Am. 93, 1875 1889. (5) Thurber, C., and D. Eberhart-Phillips (1999), Local earthquake tomography with flexible gridding, Comput. Geosci., 25, 809-818. (6) Sato, H., N. Hirata, K. Koketsu, D. Okaya, T. Iwasaki, T. Ito, K. Kasahara, T. Ikawa, S. Abe, T. Kawanaka, M. Matsubara, R. Kobayashi, S. Harder, (2005), Earthquake source fault beneath the Tokyo, Science, 309 5735, 462-464. (7) Kimura, H., K. Kasahara, T. Igarashi, N. Hirata(2006), Repeating earthquake activities associated with the Philippine Sea plate subduction in the Kanto district, central Japan: A new plate configuration revealed by interplate aseismic slips, Tectonophysics, 417, 101 118. (8) Ishida, M. (1992), Geometry and Relative Motion of the Philippine Sea Plate and Pacific.. District, Japan,J. Geopyhs. Res.97,489-513. (9) Kamiya, S., Kobayashi, Y. (2000), Seismic evidence for the existence of serpentinized wedge mantle. Geophys. Res. Lett. 27, 819 922. - 517 515 -

首都圏地震観測網(MeSO-net)の観測点配置 青丸が MeSO-net 観測点 296 ヶ所 小さい黒丸は 大学 気象庁 防災科学技術研究所 温泉地学研究所の既存の観測点を示す Fig.1 Distribution of the Metropolitan Seismometer Observation Network; MeSO-net. MeSO-net consists of 296 seismic stations (blue dots). Minimum interval is about 2km and average interval is about 5km. 図1 図2 Fig2 二重走時差トモグラフィ解析に用いた地震 丸 格子点 十字 観測点 四角 震源の深 さによって色を変えた 格子点配置は 水平方向に 10km 間隔 外周部は一部 20km 間隔 深さ方向は深さ 10km 60km は 5km 間隔 それ以深は 70 80km 100km 150km We applied double-difference tomography method. The grid nodes are located at 10 or 20km on the horizontal. The vertical grid intervals are 5km up to 60km. 518 516

速度構造の深さ南北断面図 東経 139.9 度 左が南 実線は フィリピン海プレートの上面 と太平洋プレートの上面 破線は フィリピン海プレートのモホ面 (a)p波速度 暖色ほど 速度が遅い (b)s波速度 (c) Vp/Vs (d) チェッカーボードテスト Fig.3 Depth sectional view in 139.9 degrees east. (a) the structure of Vp, (b) Vs, (c) Vp/Vs, (d) checkerboard test for P-wave. Solid lines are presented upper boundaries of PHS or PAC plate. 図3 図4 フィリピン海プレート上面の等深度線 Fig.4 New plate boundary model of Philippine Sea plate is shown. We referred to the locations of the repeating earthquakes, the distributions of normal hypocenters and the focal mechanisms. 519 517

東京湾を通る深さ断面図 反射法地震探査断面図と Vp/Vs の分布をあわせて示し Ishida(1992) による古いプレートモデルを一点鎖線で 1923 年関東地震の震源断層面を破線で示した 解 析に利用した地震の内 この断面図の±5kmの幅にあるものを丸で示した Fig.5 This profile of Vp/Vs is the depth sectional view beneath the Tokyo Bay. Since new plate boundary was 10km shallower than previous boundary, new fault plane becomes 10km shallower, consequently. 図5 520 518