核軍縮 2017 年 7 月に核兵器禁止条約 (TPNW) が成立しました しかしながら 核軍縮の実質的な進展は依然として見通せない状況が続いています 核 兵器を保有する国々は核戦力の近代化 強化を進め また安全保障環境 が不安定化する中で 核抑止の役割を再認識しつつあります 核兵器 のない平和で安

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NPT 体制の維持 強化 核軍縮 中国の核戦力増強への対応 核戦力の透明性 核兵器の非人道性 中東非大量破壊兵器地帯 包括的核実験禁止条約 (CTBT) 早期発効 2. 核軍縮 不拡散分野の当面の課題 2010 年 NPT 運用検討会議で行動計画を採択 2015 年 NPT 運用検討会議に向けて核軍

中東非大量破壊兵器地帯を巡る見通しと課題 2015 年 4 月 11 日 2015 年度日本軍縮学会研究大会戸﨑洋史 ( 日本国際問題研究所 ) 1. 経緯 : 中東の拡散問題とNPT (1) 中東の WMD 拡散問題 WMD 拡散状況 イスラエル : 核兵器をおそらく保有 ;NPT BWC 未署名

公開シンポジウム 核の脅威にどう対処すべきか 核の傘 依存低減に向けて ~ 非核保有国の政策 ~ 長崎大学核兵器廃絶研究センター 広瀬訓

第 9 部 宇宙空間における制度的枠組 第 1 章 総 論 国際社会は 宇宙空間における軍事利用を禁止又は制限する幾つかの国際的な枠組みを既に作成してきている 例えば 1967 年に発効した宇宙条約は 宇宙を宇宙空間と月その他の天体とに分け 宇宙空間については 核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ

xiv 概要 : 包括的行動計画 A. 本報告書の意義 核兵器は これまで考案された兵器の中でもっとも非人道的な兵器であり 本質的に殺 傷対象を選ばず また 長期にわたる致命的影響を伴う 核兵器は これまで発明された兵器の中で唯一地球上のすべての生物を殺戮する能力を有し 現保有量を用いれば何度も繰り

山田 

核軍縮・核不拡散体制の維持・強化

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

1 次の文章を読み, 設問に答えなさい 1900 年 3 月, 治安警察法という法律が作られましたが, それは, 軍人 警察官 宗教家 教員 学生 女子 未成年者の政治的グループへの加入と, 女子 未成年者の政治演説集会への参加を禁止したほか, そのような集会に対する警察官の禁止 解散権を認めました

第 4 部 核不拡散 第 1 章 地域の不拡散問題と日本の取組 第 1 節 北朝鮮 1. 北朝鮮をめぐる最近の情勢北朝鮮の核 ミサイル問題は 国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり 特に核問題は国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦である 2002 年 10 月に北朝鮮がウラン濃縮計画を有して

2. 事前調査アンケートの実施方法 広島高校生徒へのアンケート 1. 実施理由私たちは核兵器の意識についてレポートを書くにあたり, 広島高校に在籍する生徒に意識調査をすることにより, 現状の問題点を発見しようとした 2. 実施方法アンケートが可能であった高校 1 年生 6クラスの計 237 人を対象

核兵器の種類 濃縮ウランU-235 広島投下原爆 ウラン爆弾の濃縮は困難 兵器製造は容易 高濃縮ウラン25kgで兵器製造 小規模の施設で濃縮可能のため探知困難 プルトニウムPu-239 長崎投下原爆 Pu 製造は比較的容易だが 兵器製造は困難 8kgで兵器製造 米国は原子炉級の19% 超の Pu-2

IAEA(国際原子力機関)の査察技術開発への協力 - 日本発の技術で核不拡散に貢献 -

【セット(HP用)】中根大使ステートメント

第 4 回日豪外務 防衛閣僚協議 日本とオーストラリア : 平和と安定のための協力 共通のビジョンと目標 1. 玄葉光一郎日本国外務大臣, 森本敏日本国防衛大臣, ボブ カー オーストラリア外務大臣, スティーブン スミス オーストラリア国防大臣は,9 月 14 日にシドニーにおいて会談し, 地域的

1、核不拡散条約(NPT)

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高知県労連の平和運動方針 ( 案 ) 2010 年 6 月 3 日 はじめに 被爆 65 年 安保 50 年の節目の今年 人々の声と行動が 核兵器の廃絶 反戦平和 地球環境の保全 世界的規模の貧困と格差に対するたたかいなど人類の死活に関わる諸課題で大きな変化をつくり出しています とりわけ 核兵器完全

日本産食品の輸入規制の撤廃の要請,3 原子力安全 ( 安全最優先の原子力発電所の再稼働,IRRSフォローアップミッション実施の要請,OSARTフォローアップミッション受入れ等 ),4 原子力の平和的利用 ( 平和と開発のための原子力 に係る天野事務局長の取組への支持, 本年 11 月の原子力科学技術

日・インド原子力協定

Security declaration

内容 核不拡散 核セキュリティについて 機構の核不拡散 核セキュリティに資する活動 核不拡散 核セキュリティ分野での人材育成 むすび ~ 核不拡散 核セキュリティ分野における 取組に向けた人材育成の課題 ~ 1

マーシャル諸島による国際司法裁判所 (ICJ) への提訴 メディアセミナー 核廃絶へ世界の今と日本の課題 2014 年 7 月 18 日 山田寿則 ( 明治大学 国際反核法律家協会 ) 1

第 2 回保障措置実施に係る連絡会 ( 原子力規制庁 ) 資料 3 廃止措置施設における保障措置 ( 規制庁及び IAEA との協力 ) 平成 31 年 4 月 24 日 日本原子力研究開発機構安全 核セキュリティ統括部 中村仁宣

核不拡散体制の展開に関する研究

撃のリスクが 全ての地域と加盟国に影響する可能性があることに懸念を表明し 民間航空に対するテロ攻撃について深刻な懸念を表明しそしてそのような攻撃を強く非難し 民間航空が 外国人テロ戦闘員による輸送手段として用いられる可能性があることにまた懸念を表明し そして 1944 年 12 月 7 日にシカゴで

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2 RISTEX CT Journal 第 10 号 日本の 21 カ国である また 太平洋諸島フォーラム (Pacific Islands Forum: PIF) 1 事務局が準メンバーとなっており 台湾は個人資格のオブザーバーとして参加している WMD 作業部会では ベトナムと米国が共同議長を務

目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

これらすべてにかかわらず 世界的な軍事力のバランスが核兵器によって維持されていることもまた事実です この恐怖の均衡の論理は 核兵器は抑止力となり何者も核武装した国家を攻撃しようとは考えないだろうとの主張の上に成り立っています このような抑止効果はとても強力で それのみが過去 70 年間にわたり核保有

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間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

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参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

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提言 北東アジア非核兵器地帯設立への包括的アプローチ -要約-

オバマ訪露と核軍縮の展望

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資料 米国新政権の核不拡散政策 ( 意見交換 ) 2017 年 3 月 22 日 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (JAEA) 核不拡散 核セキュリティ総合支援センター (ISCN) 平成 28 年度第 2 回核不拡散科学技術フォーラム

A23 A24 A25 A26 A27 A28 A38 A39 燃料再処理 A40 A41 A42 A43 第 3 日 休 憩 総合講演 報告 3 日本型性能保証システム 燃料再処理 A29 A30 A31 A32 A33 A34 A35 燃料再処理 A36 A37 燃料再処理 A44 A45 A4

この長期にわたる紛争に対する政治的解決を達成することとマグレブ アラブ連合の加盟国間の協 力の強化は 安定および安全 同様にサヘル地域の全ての人々のための仕事 成長および機会を導き出 すことに貢献するであろうことを認識し 国際連合西サハラ住民投票監視団 (MINURSO) を含む 全ての平和維持活動

謝辞

年には就任間もないオバマ米大統領は プラハ演説において 米国は 核兵器を使用した唯一の国として道義的に責任があり 核兵器のない世界の平和と安全を追求すること を約束し ノーベル平和賞を受賞した 1863 年の設立以来 自然災害 戦争 紛争において中立的機関としての救援活動と国際人道

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PowerPoint プレゼンテーション

総 論

(6) プログラム 開会挨拶 : 児玉敏雄原子力機構理事長 基調講演 : 1) ポスト核セキュリティ サミットの国際的な核セキュリティ強化への取組 コーリー ヒンダースタイン : 米国エネルギー省 (DOE) 国家核安全保障庁 (NNSA) 防衛核不拡散局核セキュリティ サミット 不拡散政策担当上級

対イラン制裁解除合意履行日以降に非米国企業 が留意すべきコンプライアンス要件 2016 年 11 月 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) ドバイ事務所 ビジネス展開支援部ビジネス展開支援課

7 設していたことが明らかになりました これらの問題をめぐって 英仏独(EU3)とイラン政府との間で交渉が始まりましたが 遅々として進展は見られませんでした こうしたなかで 〇五年にアフマディネジャド政権が成立し 〇六年にはウラン濃縮が再開されるに至りました この問題は国連安保理に持ち込まれ イラン


個人情報保護法の3年ごと見直しに向けて

草稿 Ver.3

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ISO9001:2015規格要求事項解説テキスト(サンプル) 株式会社ハピネックス提供資料


Japan’s Efforts toward Compatibility between Peaceful Uses of Nuclear Energy and Nuclear Non-proliferation

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日程表 mcd

政策目標 5-2: 多角的自由貿易体制の維持 強化及び経済連携の推進並びに税関分野における貿易円滑化の推進 1. 政策目標の内容自由貿易の推進は我が国の対外経済政策の柱であり 力強い経済成長を実現するためには 自由貿易体制を強化し 諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があるというのが 政府全体と

Vol.7 No.1

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自衛隊の補給支援活動に関する特別世論調査 の要旨 平成 21 年 3 月内閣府政府広報室 調査時期 : 平成 21 年 1 月 22 日 ~2 月 1 日調査対象 : 全国 20 歳以上の者 3,000 人有効回収数 ( 率 ):1,684 人 (56.1%) 1 補給支援活動の認知度 平成 21

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国が 核兵器廃絶を共通の目標として その実現のための交渉にとりくむということは いまだに誰の手によってもおこなわれておらず 初めての仕事にとりくむときに どれだけ時間がかかるかを あらかじめ決めることは 誰にもできないはずだからです 国連が創設後 初めておこなった総会決議第一号(一九四六年一月二十四

スライド 1

2 これがオーストラリアと我が国の主導でスタートいたしまして 今回はドイツがホスト国ということでベルリンで行われたわけでありますけれども こういった議論の中で 核兵器のない世界へ向けての軍縮の動きを我々としてもしっかりと後押しをしていく また 不拡散を確保していくということ 核リスクの低減ということ

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原子力損害賠償制度に関する国際条約の比較 平成 27 年 5 月 1 日現在 パリ条約ウィーン条約原子力損害の補完的な補償に関する条約 (CSC) パリ条約改正議定書ウィーン条約改正議定書 作成 OECD/NEA IAEA IAEA 採択 1960 年 2004 年 1963 年 1997 年 19

第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38

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The Status of Sign Languages

地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会 (UNCE-GGIM) 報告 2012 年 8 月ニューヨークで第 2 回の地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会 (UN Committee of Experts on Global Geospatial Information Ma

平和への願い 二度とこのようなことが起こらないことを祈る 平和を祈念する 24 名 広島の平和のメッセージを自国でも伝えていきたい 9 名 広島( 広島市長 ) の平和を伝える取組を続けてもらいたい 3 名 世界のすべての人が平和に関する活動に取り組むべきだ 3 名 世界の平和を願い 核兵器廃絶に向

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アラブ首長国連邦 (UAE) における貿易規制へ対応した イラン シリアに対する輸出と再輸出について 2012 年 6 月 独立行政法人日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) Copyright 2012 JETRO & Herbert Smith Freehills LLP. All rights r

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の自由 妨げられない通商活動 自制と 1982 年の国連海洋法条約 (UNCLOS) を含む国際法の普遍的な原則に従った紛争の平和的手段による解決を推進することの重要性を強調した 我々は ARF や ASEAN 海洋フォーラム拡大会合等を通じた情報共有や能力構築を含む 海洋安全保障及び海上の安全に関

核兵器廃絶問題でのオバマ米大統領への書簡 アメリカ合衆国大統領バラク H オバマ殿私は 核兵器による言語を絶する惨害を体験した世界でただ一つの被爆国において この地球上から核兵器を廃絶することを日本国民とともに求め続けてきた一政党を代表して この書簡を送るものです 4 月 5 日 大統領が プラハで

核兵器禁止条約が作られています このような民主的な営みが 戦争違法化 核兵器違法化の流れをつくっているのだと実感しました 議論のなかでは 核兵器廃絶につながる という文言を前文に NPT6 条や国際司法裁判所の勧告的意見を受けて すべての国が核廃絶に向かって努力すべき と記述を 禁止項目に 核兵器の

3-2 環境マネジメント規格の制定・改訂の動き

はじめに サントリーグループは 企業理念として定める 人と自然と響きあう と Growing for Good 及びサントリーグループ企業倫理綱領に基づき 安全 安心で高品質な商品 サービスをお届けするために 国連グローバル コンパクト 署名企業として公正 公平な取引を実施し サプライチェーン上のお

2 核兵器の歴史 まず 核兵器廃絶について考える前に私たちは 核兵器がなぜ どうやって開発されたか を知ることが必要であると考えた よって 自分たちなりに調べて考えた 核兵器の歴史 を以下のようにまとめる 核兵器は 世界中に約 1 万 5000 個あるとされ ロシア アメリカが圧倒的に保有数が多く

濃縮施設を建設するなど核開発を続け 2010 年初頭にはテヘランにある医療研究用原子炉の燃料用だとしてウラン濃度を約 20 パーセントに高める濃縮活動を開始した これに対し アメリカ及び欧州連合 (EU) はイラン産原油輸入禁止やイランと取引を行った外国金融機関との取引禁止を含む独自の経済制裁を強化


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米国やロシア その他の核兵器保有国による核軍縮とは核戦力の規模も戦略的な意味合いも異なるため 同列に比較することはできない しかし 検証を伴った核廃棄にかかる論点を抽出したという意味では非常に有効な事例であろう 以下 本稿では 核兵器の削減において 透明性 不可逆性 検証 が果たす役割と それらを確

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いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

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憲章に従い 全ての国の主権 領土保全及び政治的独立への約束を強調するととも に 国際連合憲章の目的及び原則を想起し 事態の平和的かつ外交的な解決に対する要望を更に表明するとともに 対話を通じ た平和的かつ包括的な解決を容易にする理事国及びその他の加盟国の努力に対する 歓迎を改めて表明し 国際の平和及

Transcription:

核兵器を巡る課題と国際社会の取り組み 核軍縮 核不拡散 核セキュリティをよりよく理解するために 1945 年 7 月に米国が世界初の核実験に成功し その翌月 広島 (8 月 6 日 ) と長崎 (8 月 9 日 ) に原子爆弾が投下されました 以来 70 年以上にわたって核兵器は実戦では使用されていません しかしながら 米国に続いてソ連 ( ロシア ) 英国 フランス 中国 インド パキスタンが核兵器を保有し イスラエルの保有も確実視されています さらに 2000 年代に入ると北朝鮮が核実験を実施し 核兵器の保有を公言しています この間 冷戦期には米ソが激しい核軍拡競争を繰り広げました その結果 ピーク時には地球上に7 万発近くの核兵器が存在しました その数は冷戦の終結とともに削減されてきましたが 2017 年の段階で 依然として約 1 万 4,935 発 ( このうち 90% 以上を米露が保有 ) の核兵器があると考えられています ひろしまレポート 第 1 章 1 項これに加えて 核兵器を新たに取得する国が現れる可能性 さらには国だけでなくテロ組織など非国家主体が核兵器を取得 使用する可能性も懸念されてきました こうした核兵器を巡る問題に対して 国際社会は核軍縮 核不拡散 核セキュリティといった取組を積み重ねてきました その中心に位置づけられてきたのが 核兵器不拡散条約 (NPT) です 本冊子 8ページ 核兵器の保有数 (2017 年 ) 米国 最大 6,800 発 インド 120 ~ 130 発 ロシア 最大 7,000 発 パキスタン 130 ~ 140 発 英国 最大 215 発 イスラエル 最大 80 発 フランス 最大 300 発 北朝鮮 10 ~ 20 発 中国 最大 270 発 ( 出典 : ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI) 年鑑 2017 年 ) この冊子は 核軍縮 核不拡散 核セキュリティに関する基礎知識をわかりやすく解説することを目 的に作成したものです ひろしまレポート 2018 年版 - 核軍縮 核不拡散 核セキュリティを巡る 2017 年の動向 をお読みいただく際にご活用下さい 1

核軍縮 2017 年 7 月に核兵器禁止条約 (TPNW) が成立しました しかしながら 核軍縮の実質的な進展は依然として見通せない状況が続いています 核 兵器を保有する国々は核戦力の近代化 強化を進め また安全保障環境 が不安定化する中で 核抑止の役割を再認識しつつあります 核兵器 のない平和で安全な世界 の実現には 核兵器を保有する国が核兵器を 着実に削減していくことが不可欠です また 核兵器の削減を支える他 の核軍縮措置も重要です 核軍縮の一層の促進に向けて 以下のような 取り組みが実施 提案されています 核兵器の削減 米国とロシアは冷戦後 戦略核兵器を厳格な検証措置の下で削減してきました 米国は新戦略兵器削減条約 ( 新 START) 後の核兵器削減をロシアに提案していますが 交渉は開始されていません 冷戦後の米露 ( ソ ) 核軍縮条約 署名発効戦略兵器削減条約 1991 年 7 月 (START) 1994 年 12 月 配備核弾頭数備考 ( 上限 ) 2009 年 12 月 6,000 発に失効 ひろしまレポート 第 1 章 4 項 第二次戦略兵器削減条約 1993 年 1 月 3,000 ~ 多国間の取り組み (START 2) 戦略攻撃能力削減条約 未発効 2002 年 5 月 3,500 発 1,700 ~ 2011 年 2 月 (SORT) 2003 年 6 月 2,200 発 に失効 核兵器の質的な強化を防止すべく 地下核実験を含むすべての核爆発実験を禁止する包括的核実 新戦略兵器削減条約 ( 新 START) 2010 年 4 月 2011 年 2 月 1,550 発 験禁止条約 (CTBT) が 1996 年に成立しました しかしながら 発効要件国のうち米国 中国 イ ンド 北朝鮮など8カ国が未署名または未批准のため いまだに発効していません ひろしまレポート 第 1 章 7 項また 核兵器の数的な増加を抑制するために 核兵器に使用される兵器用核分裂性物質 ( 高濃縮ウラン プルトニウム ) の生産を禁止する兵器用核分裂性物質生産禁止条約 (FMCT) の策定が提案されていますが ジュネーブの軍縮会議 (CD) での交渉開始には至っていません ひろしまレポート 第 1 章 8 項 軍縮 不拡散教育 軍縮 不拡散の推進には より多くの人がその重要性を知ること そのための機会を提供することが求められます 日本は 軍縮 不拡散教育に積極的に取り組んでいます ひろしまレポート 第 1 章 12 項 核兵器の役割低減 安全保障政策や核戦略における核兵器の役割を低下させていけば それだけ核軍縮が進展する可能性が高まります 非核兵器国には核兵器を使用しないとの消極的安全保証 核兵器を先に使用しないとの先行不使用 核兵器使用を決定してから発射するまでの時間を長くする警戒態勢解除などが提案されています ひろしまレポート 第 1 章 5 項 透明性 他国に不要な懸念を与えないために また非核兵器国に対する説明責任として 核兵器国には核戦力 核戦略 ドクトリン 核軍縮努力などについての透明性の向上を図ることが求められています ひろしまレポート 第 1 章 9 項 2

エジドイインドネシアカザフスタン韓国メキシコオランダニュージーランドナイジェリアノルウェーフィリピンポーランドサウジアラビア南アフリカスウェスイスシリトルUAE本核兵器の非人道性と安全保障 核軍縮の停滞が続く中 多くの非核兵器国は 莫大で制御不能な破壊力と無差別性 によって 受け入れ難い非人道的結末 をもたらす核兵器が決して使用されないことを保証する唯一の方法は 核兵器廃絶であるとの核兵器の非人道性の主張を展開しています 核兵器の非人道的影響に関する国際会議 がオスロ ( ノルウェー ) ナジャリット( メキシコ ) ウィーン ( オーストリア ) で開催されてきました ひろしまレポート 第 1 章 2 項 広島 長崎訪問 日本は NPT 運用検討会議の場などで 被爆の実相を知ってもらうよう 世界の指導者などすべての人々に広島 長崎の訪問を呼びかけてきました 2016 年 5 月には 米国の現職大統領として初めて オバマ大統領が広島を訪問しました ひろしまレポート 第 1 章 13 項 核兵器禁止条約 (TPNW) 国連で開催された交渉会議の結果 2017 年 7 月に 122 カ国の賛成で TPNW が成立しました 条約では 核兵器の保有や使用などが法的に禁止されました また 市民社会も積極的に参画しての条約策定は 核軍縮の歴史においても初めての事例です これに対して すべての核保有国 また日本を含め米国と同盟関係にある非核兵器国 ( 核傘下国 ) は 条約交渉に参加せず TPNW にも署名していません 核兵器国は 国家安全保障の側面を重視すべきで 核兵器が直ちに禁止されることに反対しています また核傘下国は 核兵器 ( 保有 ) 国を取り込む形で核軍縮を進めるべきだと主張しています ひろしまレポート 第 1 章 3 項 核兵器に関する主な国連総会決議についての各国の投票行動 (2017 年 ) 中国フランスロシア英国米国インドイスラエルパキスタン豪州オースベルギブラジカナダチリトリアールプトツ下での共同行動 核兵器のない世界に向けて 核軍縮 多国間核軍縮交渉の前進 核兵器の威嚇または使用に関する ICJ の勧告的意見のフォローアップ 核兵器使用禁止条約 核兵器の非人道的結末 イラン核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の 核兵器のない世界の倫理的重要性 日ーデンアコ下での共同行動 核兵器のない世界に向けて 核軍縮 多国間核軍縮交渉の前進? 核兵器の威嚇または使用に関する ICJ の勧告的意見のフォローアップ? 核兵器使用禁止条約 核兵器の非人道的結末 核兵器のない世界の倫理的重要性 [ : 賛成 : 反対 : 棄権?: 投票せず ] 北朝鮮核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の 3

核不拡散 核不拡散とは 核兵器を保有していない国が新たに取得するのを防止するための取り組みです 日本を含め NPT に加盟する非核兵器国は 核兵器の保有が禁止されています 核兵器の不拡散と原子力の平和利用の両立に向けた取り組みが続けられています 核兵器の拡散 NPT の成立後も 核兵器の取得を企てる国はなくなりませんでした 冷戦終結直後に南アフリカが核兵器を廃棄して非核兵器国として NPT に加盟しました しかしながら 冷戦期より核兵器を保有していた ( とみられる ) インド パキスタン イスラエルは 現在も NPT に加盟しておらず これらの国々による早期の NPT 加盟が求められています また冷戦後 北朝鮮 イラク イラン リビア シリアで核兵器開発疑惑が発覚し NPT 体制を揺るがせました なかでも最も注視されたのが 北朝鮮とイランの動向です ひろしまレポート 第 2 章 1 項 北朝鮮に対しては 国連安全保障理事会決議の下で厳しい経済制裁が課されていますが 核兵器の放棄には至らず 逆に北朝鮮は核兵器と これを搭載する弾道ミサイルの一層の強化を公言しています イラン イランは 国際原子力機関 (IAEA) に申告せず秘密裏にウラン濃縮活動を行っていました これが 2002 年に発覚した後 イランと欧米諸国は 核問題解決に向けた協議を続けました イランは核兵器開発の意図を否定し 自国の活動が平和目的だと主張しましたが 核兵器開発の意図が強く疑われました 難しい交渉の末 2015 年 7 月 E3/EU+3( 英 仏 北朝鮮 冷戦後に核兵器開発が疑われた国のうち 核兵器の取得を食い止められなかったのが北朝鮮のケースです 1993 年および 2003 年に NPT からの脱退を宣言し 2006 年には最初の核実験を実施しました 北朝鮮の核実験はその後も 2009 年 2013 年 2016 年 1 月 9 月 そして 2017 年 9 月と続いています 現在までに少なくとも十数発程度の核兵器を製造したのではないかという見方もあり その数が今後増加することが懸念されています 1993 年に発覚した核開発疑惑後 北朝鮮核問題の解決に向けた取り組みが重ねられました 日本や米国などが参加する六者会合で 北朝鮮は核開発の放棄を約束しましたが 核開発をやめず 後に約束を破棄しました 独 米 露 中 欧州連合 ) とイランは共同包括的行動計画 (JCPOA) に合意しました JCPOA では イランの原子力活動 ( 特にウラン濃縮活動 ) を 10 ~ 15 年にわたって厳しく制限すること また IAEA がそうした活動を厳格に監視することが定められています これにより 核兵器 1 発分の核分裂性物質 ( 高濃縮ウランやプルトニウム ) をイランが生産できるまでの時間 ( ブレイクアウト時間 ) が JCPOA 成立前の1~2カ月から1 年あまりにまで引き延ばされたとされます イランに対して課されていた国連安全保障理事会決議の下での経済制裁や 米欧諸国が独自に課す制裁措置は段階的に解除されますが イランが JCPOA に違反すれば そうした制裁が再び課される ( スナップバック ) ことになります 4

オーストリアベルギーブラジルカナダチリエジプトイランドイツインドネシア日本カザフスタン韓国州ニュージーランドナイジェリアノルウェーフィリピンポーランドサウジアラビア南アフリカスウェーデンスイスシリアトルコUAEランダIAEA 保障措置 核不拡散義務が遵守されていることを調べる手段として IAEA による保障措置が挙げられます これは 原子力発電など平和的目的の原子力活動で使われるはずの核分裂性物質 ( ウラン プルトニウム ) などが 核兵器を製造する目的に使われていないかを 施設への立ち入り 詳細な計量 分析などを通じて確認するものです 当初は 国が申告した核物質への検証 ( 包括的保障措置 ) のみが行われていましたが IAEA に申告せず 秘密裡に核物質を保有したり 核活動を行っていたりするケースを探知すべく 保障措置の強化を盛り込んだ IAEA 保障措置協定追加議定書が 1997 年に成立しています 日本は IAEA 保障措置を世界で最も多く受け入れる国の一つです ひろしまレポート 第 2 章 2 項 輸出管理 日本などそうした技術を持つ国々が集まる原子力供給国グループ (NSG) では 規制すべき物質 品目 技術などのリストが作成され NSG 参加国はこれに基づいて輸出管理を行います ひろしまレポート 第 2 章 5 項 非核兵器地帯 非核兵器地帯は 地域諸国が その地域内で 核兵器の完全な不存在 ( 域内諸国による核兵器の保有や 域外諸国による核兵器の配備などの禁止 ) を実現するという取り組みです 核兵器国には 非核兵器地帯内の国への消極的安全保証の約束が定められます 現在までにラテンアメリカ 南太平洋 東南アジア アフリカ 中央アジア ( 成立順 ) で非核兵器地帯条約が成立しました またモンゴルは 一国非核の地位 を宣言しています ひろしまレポート 第 2 章 1 項 輸出管理は 原子力平和利用のための物質 品目や技術 また汎用品 技術が 核兵器などの軍事目的での使用を試みる国や非国家主体 ( テロ組織など ) に流出するのを防止するために 外国への輸出を規制する取り組みです NPT 締約国である非核兵器国および北朝鮮の IAEA 保障措置協定の締結 実施状況 (2016 年 12 月時点 ) 豪メキシコ包括的保障措置協定 ( 年 ) 1974 1996 1997 1994 1972 1995 1982 1974 1977 1980 1977 1995 1975 1973 追加議定書 ( 年 ) 1997 2004 2004 2000 2003 署名 2004 1999 1999 2007 2004 2011 拡大結論 統合保障措置 オ北朝鮮* 包括的保障措置協定 ( 年 ) 1977 1972 1988 1972 1974 2007 2009 1991 1995 1978 1992 2006 2003 1992 追加議定書 ( 年 ) 2004 1998 2007 2000 2010 2007 2002 2004 2005 2006 2010 拡大結論 統合保障措置 *: 北朝鮮は 1993 年の NPT 脱退表明後 保障措置の受諾を拒否しています 5

核セキュリティ 核兵器の取得を試みるアクターは 国だけではありません テロ組織など非国家主体のなかには 核兵器の取得と使用に関心を示すものもあります 2001 年 9 月の米国における同時多発テロ (9 11) をきっかけに 核兵器や 核物質 関連技術がテロリストの手にわたり悪用される可能性 あるいはテロリストが原子力発電所などをハード ( 物理的に破壊 ) とソフト ( サイバーテロなど ) の両面から攻撃する可能性への危機意識が高まりました 以来 核テロを防止するという核セキュリティの実施と一層の強化が進められてきました 核テロリズム 核テロには様々な形態が考えられますが IAEA は 以下のような4つのタイプの核テロを想定しています 核兵器を盗んだり 何らかの方法で入手したりして これを爆発させる [INFCIRC/225/Rev.5 勧告措置 ] 国内法令整備 核物質保護措置の強化 サイバーテロへの対応 輸送の安全 内部脅威対策 核セキュリティ文化の醸成 高濃縮ウランやプルトニウムを入手して 核爆 発装置を製造する 放射性物質を入手して これを発散させる装置 ( ダーティ ボム ) を製造する 原子力施設や核 放射性物質を運搬する車両 輸送船などへの妨害破壊を行う INFCIRC/225/Rev.5 核セキュリティで最も重視されるのは 核テロを未然に防止するための各国による幅広い取り組みであり これを国だけでなく 原子力事業者など民間も一体となって実施することです その具体的な措置は テロリストに手の内を明かすことになりかねないとして 一般に詳細が公表されることは少ないですが 核セキュリティの各国による取り組みの指針として IAEA が取りまとめた文書である 核物質および原子力施設の物理的防護に関する核セキュリティ勧告改訂 5 版 (INFCIRC/225/Rev.5) では 以下のような活動が示されています ひろしまレポート 第 3 章 2 項 核セキュリティの維持 向上 また ひろしまレポート では 核セキュリティの最高水準の維持 向上に向けた取り組み として 以下のような重要な措置をとりあげて 調査対象国の動向を概観しました ひろしまレポート 第 3 章 3 項 民生利用における高濃縮ウランの最小限化 核物質などの不法移転の防止 核セキュリティに関する国の取り組みについて調査 評価する IAEA による国際評価ミッションの受け入れ 核セキュリティのための技術開発 ( 発見された核物質の由来を調べるための 核鑑識 など ) 核セキュリティのための能力の強化が必要とする国 ( 途上国など ) に対して行われる 能力構築 ( キャパシティ ビルディング ) および支援活動 IAEA 核セキュリティ計画および核セキュリティ基金 その他の国際的な取り組みへの参加 6

インドネシアイラン核物質防護条約 カザフスタン韓国メキシコオランダニュージーランドナイジェリアノルウェーフィリピンポーランドサウジアラビア南アフリカスウェーデンスイスシリアトルコUAE北朝鮮核物質防護条約 本核セキュリティ 原子力安全に関する条約 核テロの防止は 基本的には各国がそれぞれ責任を持って取り組むべき課題だと位置づけられています 核セキュリティに関する条約の特徴は 核テロという行為を国内法で犯罪化すること あるいは核セキュリティのための防護措置の実施を義務づけることです 2005 年 4 月には核テロ防止条約が成立し 2007 年 7 月に発効しました また 2005 年 7 月に採択された 改正核物質防護条約も 2016 年 5 月に発効しました ひろしまレポート 第 3 章 2 項 核セキュリティ 原子力安全に関する主要な条約への署名 批准状況 (2017 年末時点 ) 中国フランスロシア英国米国インドイスラエルパキスタン豪州オーストリアベルギーブラジルカナダチリエジプトドイツ改正核物質防護条約 核テロ防止条約 原子力安全条約 原子力事故早期通報条約 放射性廃棄物等安全条約 原子力事故援助条約 日改正核物質防護条約 核テロ防止条約 原子力安全条約 原子力事故早期通報条約 放射性廃棄物等安全条約 原子力事故援助条約 [ : 批准 受諾 承認 加入 : 署名 ] 核セキュリティ サミット 核セキュリティの重要性と実施の促進を図るため 米国のオバマ大統領が各国首脳に呼びかけて 2010 年にワシントンで第 1 回核セキュリティ サミットを開催しました 参加国は核セキュリティに関する自国の取り組みを紹介するとともに その強化に向けた具体的なコミットメントを発表しました その後 核セキュリティ サミットはソウル (2012 年 ) ハーグ(2014 年 ) での開催を経て 2016 年 3 月に最後のサミットがワシントンで開催されました 核セキュリティ サミットは 核セキュリティへの国際社会の関心を大きく高めるものとなりました 今後 その関心をいかにして維持し また多国間でいかなる核セキュリティの枠組みを追求していくかについて 新たな議論がなされつつあります 7

核兵器不拡散条約 (NPT) NPT は冷戦期 核兵器の廃絶に関する交渉が進まず 他方で核兵器の新たな取得を模索する国 あるいは核兵器を製造する潜在能力を持つ国が増えるなかで まずは核兵器の拡散を防止することが核兵器の廃絶につながるとの考えの下 1968 年に成立し 1970 年に発効しました 現在までに 191 カ国 ( 非締約国 : インド パキスタン イスラエル 南スーダン ) が締約国になっており 世界的に最も普遍性が高い ( 締約国の多い ) 軍縮 不拡散条約です 核兵器国と非核兵器国 NPT では 1967 年 1 月 1 日より前に核兵器を保有し 爆発させた国 を 核兵器国 ( 米国 ロシア 英国 フランス 中国 ) として核兵器の保有を認める一方 それ以外の国である 非核兵器国 には核兵器の取得を禁止し ( 第 1~ 2 条 ) 非核兵器国の原子力活動に対しては IAEA による保障措置 ( 査察や検証 ) の実施を義務づけています ( 第 3 条 ) NPT の三本柱 NPT の主たる目的の1つは非核兵器国による核兵器取得の防止 ( 核不拡散 ) ですが 核兵器を保有してよい国とよくない国に異なる義務を課すという不平等条約でもあります NPT では そうした不平等性を緩和するために 核兵器国には核軍縮を誠実に交渉することを義務付け ( 第 6 条 ) また非核兵器国を含む締約国には原子力の平和利用を 奪い得ない権利 として認めています ( 第 4 条 ) これら核不拡散 核軍縮および原子力の平和利用は NPT の三本柱 と称されています NPT 運用検討会議 NPT では 条約が発効してから 5 年ごとに運用検討会議が開催されてきました NPT の無期限延長が決定された 1995 年の運用検討 延長会議では その後の運用検討会議において 締約国が核軍縮や核不拡散などをどのように実施してきたかを見直し 今後の採るべき施策を議論することが会議参加国のコンセンサスで決まりました NPT 運用検討会議では 今後の行動計画などを盛り込んだ最終文書を取りまとめることができるかが会議の成否を決する焦点となってきました 近年では 1995 年 2000 年および 2010 年にはそうした文書がまとまりましたが 2005 年と 2015 年の会議では最終文書が採択できませんでした 2015 年の運用検討会議では 核軍縮問題 ( 特に核兵器の非人道性や法的禁止 ) と 中東の核問題を巡り 会議参加国の間で激しいやり取りが交わされました 今後の行動計画が合意できなかったことで締約国の意見の相違が鮮明になるなか 2020 年の NPT 運用検討会議に向けて締約国が核問題にどのように取り組むべきか 改めて NPT の力が試されていると言えます 発行 : 広島県 730-8511 広島県広島市中区基町 10-52 http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/peace/ chiheiwa@pref.hiroshima.lg.jp 編集 : 公益財団法人日本国際問題研究所軍縮 不拡散促進センター 100-0013 東京都千代田区霞が関 3-8-1 虎の門三井ビル 3 階 http://www.cpdnp.jp/ cpdnp@cpdnp.jp 8 2018 年 3 月発行