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【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(5月号)~輸出は好調も、旧正月の影響を均せば増勢鈍化

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

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経済見通し

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(1月号)~輸出の好調続くも新型スマホ関連がピークアウトへ

中国におけるインフレの行方 中国経済は減速しているものの 過熱の解消にはまだ至っていない 年 9 月のリーマン ショックを受けて 中国は輸出が大幅に落ち込み 景気後退を余儀なくされたが 兆元に上る内需拡大策や 金利と預金準備率の大幅な引き下げをはじめとする拡張的財政 金融政策が実施されたことを受けて

○ユーロ

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【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(10月号)~輸出はスマホ用電子部品を中心に高水準を維持

第1章

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中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

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今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

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低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

Currency201207

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

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1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

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グローバル株式市場を俯瞰する~2015年8月末データで見る市場動向~

わが国の経済・物価情勢と金融政策

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

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28 GCC UAE GCC (2) 大きく上昇した食料価格と住居費 GCC GCC GCC 図表 2 湾岸協力会議 (GCC) 諸国の消費者物価上昇率 (28 年 ) 図表 3 湾岸協力会議 (GCC) 諸国の消費者物価指数に占める食料品と住居費の割合

【アジア新興経済レビュー】利下げや景気対策の動きが広がる

2018 年は激動の年 年初来 トルコ株式指数はトルコリラベースで最大で約 24% 下落し トルコリラは日本円に対して最大で約 45% 下落しました トルコ株式 * の推移 ( トルコリラベース ) /12 18/03 18/06 18

1. トピック :216 年 1~12 月期 GDP の評価と今後の見通し 1~12 月期の実質成長率は小幅に上昇インフラ投資の一服により投資は減速小売も低下したが 雇用所得環境は改善外需寄与度も低下しており 在庫増が 1~12 月期成長率の押し上げに寄与した模様 216 年後半に企業景況感が回復資

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エコノミスト便り【欧州経済】ユーロ圏はどのように財政を再建したか

第2章_プラントコストインデックス

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金融市場2018年12月号

4月CPI~物価は横ばいの推移 耐久財の特殊要因を背景に、市場予想を上回る3 ヶ月連続の上昇

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

為替:マーケット・フォーカス

Invesco Premia Plus Fund

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

○ユーロ

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

ASEAN インド月報 (2017 年 3 月 ) 平成 29 年 (2017 年 )3 月 6 日 目次 ASEAN インドのマクロ経済動向 インドネシア 1 マレーシア 2 フィリピン 3 シンガポール 4 タイ 5 ベトナム 6 インド 7 その他のアジア主要国 地域の主要経済指標 ( 国 地

ASEAN との経済関係が再び強まる韓国 ASEAN ASEAN ASEAN ASEAN ASEAN1 16 RCEP 1. ほぼピークに達した対中輸出依存度 (1) 上昇傾向にある対 ASEAN 輸出依存度 ASEAN 2 WTO 21 RIM 213 Vol.13 No.49

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現代資本主義論

スライド タイトルなし

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今月の経済金融情勢2018年11月30日号

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Economic Indicators_  定例経済指標レポート

○ユーロ

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

(Microsoft Word \214\216\215\206_\203g\203s\203b\203N1\201i2010\224N\223x\214o\215\317\214\251\222\312\202\265\201j.doc)

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平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

【アジア新興経済レビュー】韓国・台湾・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピン・インド 韓国と台湾、内需に違い

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中国、財新サービス業PMIは4ヶ月ぶりの低水準に(Asia Weekly(3/4~3/8)) | 第一生命経済研究所 西濵徹

【アジア・新興国】東南アジアの経済見通し~景気は内需を中心に堅調維持も、資金流出と貿易摩擦のリスクに注意

物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

( 本稿のポイント ) 関西の実質輸出は スマホ市場や新興国経済の減速を背景に このところ横ばい圏内の動きとなっているが そうした中でも 食料品及び直接消費財や非耐久消費財は大幅に増加しているほか 耐久消費財も堅調に推移している 消費財の実質輸出が伸びている背景としては 海外の個人消費が相対的に堅調

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ブラジル中国インド インドネシア ロシア 図表 新興国の消費者物価上昇率 ( 単位 :%)( 資料 :IMF 世界経済見通し ) 通常であれば 成長率が低下すれば 国内の需給バランスが緩和し むしろ物価は低下するのが自然である しかし 中国以外の カ国は逆に物価上

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各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

中国 資金流出入の現状と当局による対応

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

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12月CPI

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Transcription:

三井住友信託銀行調査月報 1 年 7 月号 中国の景気減速の影響をどう見るか < 要旨 > 中国の景気減速が続いている 工業生産や電力生産量の伸びは低下傾向にあり 中国人民銀行は貸出基準金利を 3 年半ぶりに引き下げ景気重視に舵を切った 景気減速とともに中国の輸入が頭打ちになっているが その動きには地域差が見られ 中部 西部 東北といった内陸部に比べて沿海部 ( 東部 ) の落ち込みが大きい 全世界的な景気鈍化で中国の輸出基地である沿岸部からの輸出が伸び悩み それに伴う中間財の輸入減少が背景にあると見られる このような中国の輸入減少が他国に与える影響を 各国の中国向け輸出依存度から見ると 台湾 韓国 豪州 日本 シンガポール マレーシア ブラジルで大きくなる可能性が高い とりわけ日韓台など中間財輸出の多い国では中国の輸出鈍化の影響をより受けやすいと考えられる 幸いにもこれら国々の多くは足元のインフレ鈍化で 政策金利を引き下げやすい環境にあるが 国によっては自国通貨安による輸入物価上昇でインフレ圧力が再び強まるようであれば金融緩和の余地は狭まろう 1. 足元で減速する中国景気 中国の景気減速が続いている 1 年 1-3 月期の実質 GDP は 前年比 8.1% 増と 3 年ぶりの低い伸びを記録した 足元 月の中国製造業購買担当者景気指数 (PMI) を見ても 前月より.9 ポイント低下の. と景況感の境目となる 割れ目前 工業生産も前年比 9.% 増とカ月連続で1 桁台の伸びに留まっている ( 図表 1) 実体経済の動きをより反映しているとみられる電力生産量も 月は前年比 3.3% と伸び率は低く中国景気の減速が改めて確認できる ( 図表 ) 図表 1 工業生産と PMI ( 中国 ) 図表 電力生産量 ( 中国 ) 7 3 1 9 8 7 ( 季調値 ) PMI 工業生産 ( 右目盛 ) 9 1 11 1 ( 注 ) 鉱工業生産の 1 月と 月は両月の合計値を用いて計算 ( 資料 )CEIC より三井住友信託銀行調査部作成 18 1 1 1 1 8 3 1 1 - -1 9 1 11 1 ( 注 )1 月と 月は両月の合計値を用いて計算 1

三井住友信託銀行調査月報 1 年 7 月号 この中国景気の減速を受けて 中国人民銀行は 月に 3 年半ぶりの貸出基準金利 (1 年物 ) の 引き下げを実施し景気重視に舵を切った ( 図表 3) これにより先行きマネーサプライ等の金融量 的指標は貸出基準の緩和などを通じて 徐々に上向いていくと見られる 図表 3 貸出基準金利とマネーサプライ ( 中国 ).8 (%) 1. 1.. マネーサプライ (M 右逆目盛 ). 貸出基準金利 (1 年物 ) 9 1 11 1 3. 中国景気減速の地域間格差 もっとも中国の景気減速には地域差が見られる 中部 西部 東北といった内陸部と沿海部の東部に分けて輸入の動きを見ると 内陸部は鈍化しているとはいえ依然として前年比 1% 近い伸び率を維持しているのに対し 沿海部は 月に前年比マイナス (.9%) と落ち込みが大きい ( 図表 ) これは輸出向け生産の9 割近くを担う沿海部において 世界経済減速の影響による最終製品の輸出鈍化で中間財の需要が減少し 在庫調整の影響もあって輸入の減少幅が大きくなっている可能性がある ( 図表 ) 7 3 1-1 - -3 - 図表 中国の輸入 ( 地域別 ) 図表 中国の輸出 ( 輸出先別 ) 内陸部 沿海部 9 1 11 1 ( 注 )1.1 月と 月は両月の合計値を用いて計算. 沿海部は東部 内陸部は中部 西部 東北を示す 3 1-1 - -3 - アジア 北米 欧州 9 1 11 1 ( 注 )1 月と 月は両月の合計値を用いて計算

三井住友信託銀行調査月報 1 年 7 月号 実際 家電製品やパソコンなどの最終製品に使用されるコンピュータ部品 コンデンサー 電気 抵抗器といった部品類の中国における輸入は 11 年後半頃から前年比マイナスに落ち込んで おり 足元 月も前年比 1% 超と減速幅も大きい ( 図表 ) 図表 中国の部品輸入 コンピュータ部品 コンデンサー 電気抵抗器 - - 9 1 11 1 ( 注 )1 月と 月は両月の合計値を用いて計算 3. 中国景気減速の他国への影響 この中国景気減速の影響は 今後中国向けの輸出減少を通じて他国に波及することが考えられる 中国向け輸出依存度の観点からみた影響は 各国 GDPに占める中国向け輸出割合が高い台湾 韓国 シンガポール マレーシアで大きくなると考えられる ( 図表 7) また各国 GDPに占める割合は低くても輸出が重要な景気ドライバーとなっている国では 輸出総額に占める中国向け割合が高いと影響を受けやすいとみられ 日本 豪州 ブラジルがこれに当たる 図表 7 中国向け輸出依存度 (1 年 ) 1 1 ( 各国 GDPに占める割合 %) シンガポールマレーシアベトナムタイ 韓国 台湾 ミャンマー世界全体豪州フィリピン日本ロシアインドネシア EU インド米国ブラジル 1 1 3 ( 輸出総額に占める割合 %) ( 資料 )UNCTAD より三井住友信託銀行調査部作成 3

三井住友信託銀行調査月報 1 年 7 月号 これらの国々の中国向け輸出を生産段階別にみると 豪州やブラジルは素材の割合が高く 日韓台 シンガポール マレーシアでは部品や加工品といった中間財が大半を占めるといった特徴がみられる ( 図表 8) 素材ウエイトが大きい国では中国のインフラ需要といった内需伸び悩みを受けやすいのに対し 部品や加工品といった中間財ウエイトが大きい国は 内需の伸び悩みのみならず中国の輸出減少を通じた影響も間接的に受けやすい いずれにせよ中国経済の鈍化は異なるパターンで各国に波及しやすい構造になっている 図表 8 中国向け輸出割合 ( 生産段階別 1 年 ) (%) 1 9 8 7 3 1 豪州ブラジルシンガポールマレーシア韓国台湾日本 ( 資料 ) 経済産業研究所 RIETI-TID 11 より三井住友信託銀行調査部作成 消費財資本財部品加工品素材. 各国の金融緩和余地 これら中国の景気減速の影響を受けやすい国々の足元の政策金利の動きをみると 豪州とブラ ジルが既に政策金利の引き下げ 金融緩和に踏み切っている ( 図表 9) 図表 9 政策金利の推移 7 (%) ブラジル ( 右目盛 ) (%) 1 1 1 3 豪州 マレーシア 8 1 韓国台湾 9 1 11 1 これは 1 年から 11 年にかけて利上げを行ってきたことに加え 足元のインフレ率が鈍化し たことで政策金利を引き下げやすくなったことが背景にある インフレ率低下は足元の資源価格の

三井住友信託銀行調査月報 1 年 7 月号 落ち着きによるところが大きく WTI 原油先物価格や商品の総合的な値動きを示すCRB 指数の動きを見ても 1 年に入り下落傾向が続いている ( 図表 1) こうした動きは 豪州とブラジル以外の国の消費者物価指数 (CPI) の伸び率低下にも寄与しており 他国でも金融緩和による景気刺激の余地がある点は これらの国々の景気先行きを見る上で一つのポジティブな材料である ( 図表 11) 但し 欧州債務問題の影響などで通貨安が進んで輸入物価が押し上げられた場合には これら国々のインフレ率の上昇を招き 国によっては金融緩和の余地が狭まるリスクには注意が必要である ( 図表 1) 図表 1 WTIと CRB 指数 38 (CRB 指数 ) ( ドル / バレル ) 1 3 1 3 CRB 指数 13 3 1 3 11 8 1 9 8 7 WTI( 右目盛 ) 18 9 1 11 1 ( 日次 ) ( 資料 )Bloombergより三井住友信託銀行調査部作成 8. 7.... 3.. 1.. -1. -. -3. 図表 11 各国の CPI 上昇率 豪州韓国台湾 9 1 11 1 ( 注 )1. 各国とも政策金利を CPI を用いて実質化. 豪州の CPI は四半期データを使用 ( 資料 )CEIC より三井住友信託銀行調査部作成 ブラジルマレーシア 11 (11 年 1 月 =1) 図表 1 各国の為替レート ( 対ドル ) 1 1 9 9 8 8 7 豪州 ブラジル 韓国 マレーシア 台湾 自国通貨安 11 1 ( 日次 ). まとめ 以上見てきたように 中国では工業生産や電力生産量の伸び率が鈍化し景気の減速が続いて おり 中国人民銀行も貸出基準金利を 3 年半ぶりに引き下げるなど景気重視に舵を切っている 景気減速とともに中国の輸入も頭打ちになっているが その動きには地域差が見られ中部 西部

三井住友信託銀行調査月報 1 年 7 月号 東北といった内陸部に比べ沿岸部 ( 東部 ) の落ち込みが大きい これは世界経済の鈍化により輸出基地でもある沿海部からの輸出が伸び悩み それに伴う中間財の輸入減少が在庫調整の影響も受け増幅されていることが背景にあると見られる さらに中国の景気減速が進んだ場合には 中国向け輸出の減少を通じて各国に波及すると考えられ とりわけ中国向け輸出依存度の観点からみた影響は台湾 韓国 豪州 日本 シンガポール マレーシア ブラジルで大きい また素材の輸出割合が多い国に対して 日台韓など中間財の輸出割合が高い国では 中国の内需の伸び悩みのみならず世界経済減速の影響も中国の輸出減を通じて間接的に受けやすい構造にあるといえる これら国々の多くはこれまでの利上げや足元のインフレ鈍化で 政策金利を引き下げやすい環境にある 今後中国や豪州 ブラジルの利下げにこれら東アジア各国が追随する可能性は高いだろう ただし 自国通貨安による輸入物価上昇でインフレ圧力が再び強まるようであれば 国によっては金融緩和の余地が狭まるリスクには留意すべきである ( 経済調査チーム鹿庭雄介 :Kaniwa_Yuusuke@smtb.jp) 本資料は作成時点で入手可能なデータに基づき経済 金融情報を提供するものであり 投資勧誘を目的としたものではありません