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飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策等検討部会報告書 平成 24 年 3 月 飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策等検討部会

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教授 ) において 本件火災の発生状況や 今後の消防のあり方について検討が行われた 検討会での検討結果を踏まえてとりまとめられた報告書では 火災予防対策として 以下のように提言がなされた 延べ面積 150 m2未満の飲食店にあっては 一部の地方公共団体の火災予防条例により消火器の設置が義務付けられて

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基準19 ハロゲン化物消火設備の設置及び維持に関する基準

ウ火元責任者は 自主検査の結果 異常が認められたときは 防火管理者及び防火管理責任者 ( 工事責任者 ) に報告し 指示を受けて対処する (2) 放火対策ア建物の外周部及び階段等には 可燃性の工事用資材又は梱包材等は置かないようにする やむを得ず置く場合は整理整頓し防炎シート等で覆い保管する イ工事

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第 21 換気設備等製造所等の換気設備及び排出設備の基準については 次による 1 換気設備 (1) 換気設備は 室内の空気を有効に置換するとともに 室温を上昇させないためのものであり 下記のものがある ア自然換気設備 ( 給気口と排気口により構成されるもの ) イ強制換気設備 ( 給気口と回転式又は

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第 5 条保健所長は 必要に応じ 巡回指導を行い 営業施設の設置状況等の把握に努めるものとする 2 保健所長は 前項の調査の結果 別表に定める基準に適合しないと認めるときは 営業者等に対し 必要な措置を講ずるよう指導し 又は勧告するものとする 附則 この要綱は 平成 15 年 4 月 1 日から施行

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表 1 経年劣化に起因する家電製品の事故発生件数 ( 平成 19 年 5 月 ~ 平成 27 年 3 月 ) 件数 割合 経過年数別の事故発生状況 ( 件 ) (%) ~9 10~14 15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~ 扇風機

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第 6 章まとめ及び提言第 1 節まとめ *1 東京消防庁管内の火災件数は減少傾向にあるなか 電気火災 ( 建物内 ( 屋上 ベランダを含む ) において発生した 電気を使用するものからの出火事象をいう 以下同じ ) が占める割合は 昭和 61 年の 8.6% から平成 27 年では 20.4% に

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松山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例施行規則平成 26 年 10 月 27 日規則第 65 号 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は, 松山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例 ( 平成 26 年条例第 52 号 以下 条例 という ) の施行に関し必要な事

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ごと又は施行規則第 1 3 条第 1 項第 2 号に規定する小規模特定用途複合防火対象物における特定の用途部分ごとに設置義務が生じるときも同様とする ( 報告及び公表の決定 ) 第 4 条査察員は 立入検査において 公表の対象となる違反を認めた場合は 立入検査結果通知書により署長に報告するものとする

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屋内消火栓設備の基準 ( 第 4.2.(3). オ ) を準用すること (2) 高架水槽を用いる加圧送水装置は 屋内消火栓設備の基準 ( 第 4.2.(4). ア イ及びウ ) を準用するほか (1). ア イ及びウの例によること (3) 圧力水槽を用いる加圧送水装置は 屋内消火栓設備の基準 ( 第

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Q5: 点検で不合格になった場合は? A5: 点検で不合格になった容器弁は 新品の容器弁に更新する必要があります Q6: 点検ではなく更新することはできるの? A6: 更新することはできます 更新した場合は 容器弁の安全性 の点検は必要ありません 劣化の著しいものや当工業会が交換を推奨する期間 (1

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ください 5 画像の保存 取扱い防犯カメラの画像が外部に漏れることのないよう 一定のルールに基づき慎重な管理を行ってください (1) 取扱担当者の指定防犯カメラの設置者は 必要と認める場合は 防犯カメラ モニター 録画装置等の操作を行う取扱担当者を指定してください この場合 管理責任者及び取扱担当者

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. ライターによる事故について () 年度別の事故発生件数について NITE 製品安全センターに通知された製品事故情報のうち 平成 年度から 0 年度に発生したライターによる事故は図 に示すとおり 件 ( ) 発生しています また 平成 年 月から平成 年 月までに 件発生しており 直近の カ月 (

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1 熱, 蒸気及びボイラーの概要 問 10 伝熱についての記述として, 誤っているものは次のうちどれか (1) 金属棒の一端を熱したとき, 熱が棒内を通り他端に伝わる現象を熱伝導という (2) 液体又は気体が固体壁に接触して流れ, 固体壁との間で熱が移動する現象を熱伝達又は対流熱伝達という (3)

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飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策 ガイドライン 目次 1 飲食店の厨房設備等に係る火災等の現状 2 飲食店の厨房設備等からの火災を防ぐ3つのポイント 3 火災予防条例 ( 抜粋 ) 4 おわりに P1 P3 P7 P7 東京消防庁予防部予防課 1

1 飲食店の厨房設備等に係る火災等の現状 飲食店の火災は増加しています! 東京消防庁管内の火災件数は 全体として減少傾向にあるなかで 飲食店からの火災件数は増加傾向にあり 火を使用する厨房からの出火が約半数を占めています 飲食店は 不特定多数のお客様が来店し安心して食事を楽しむための場所です 飲食店関係者は このガイドラインを参考に適正な火災予防対策を行い お客様の安全を確保してください 火災件数の推移 345 360 ( 件 ) 7000 7026 飲食店火災件数 340 320 6500 300 6000 280 5500 248 260 5000 240 4500 4000 全火災件数 3982 220 ( 件 ) 3500 3000 H9 H12 H15 H18 H20 H22 H24 H26 H28 火災原因のトップは 放置する 忘れる です! 飲食店の厨房設備等からの火災は 調理中に火をかけたままその場を離れた結果 火災に至るというケースが目立ちます また 排気ダクト内にたまった油脂等に火がつき延焼拡大するおそれがあります 過去 5 年間 ( 平成 24~28 年 ) の飲食店の出火原因割合 不適当な処に捨てる 投げ捨て 3% その他 27% 放置する 忘れる 30% ガスに引火する 4% 伝導過熱 蓄積過熱する過度に熱する 4% 電線が短絡する 5% 5% 1 接炎する 6% 火のついた油等が吸いこまれる 8% 電気機器の接触部過熱 8%

排気ダクト等の維持管理の不徹底は延焼拡大原因になります! 厨房設備等から出火した場合でも 排気ダクト等は不燃材料でできているため 適切な維持管理がなされていれば即座に延焼することはありません しかし 維持管理の不徹底等で油脂等が付着 堆積した場合 これらが延焼媒体となり火災が拡大していきます このため 排気ダクト等の維持管理は非常に重要です 天蓋グリス除去装置防火ダンパー排気ファン 排気ダクト 2

2 飲食店の厨房設備等からの火災を防ぐ 3 つのポイント ポイント 1 防火意識の向上を図りましょう!! 飲食店の厨房設備等からの火災原因は そのほとんどが人の不注意によるものです 飲食店は 店舗営業時間の長時間化やアルバイト従業員の増加により 防火教育が徹底されないことが多いことから 日常的に注意喚起を図るための対策が必要です 注意喚起の方法として 出火 延焼拡大原因から火災時の行動等を簡単にとりまとめた 防火意識向上シート ( 例 ) を厨房室の見やすい場所に掲示しておくなど 日頃から 従業員の方々の防火意識を向上させることが重要です 防火意識向上シート ( 例 ) 3

ポイント 2 排気ダクト等の点検をしましょう!! 維持管理が徹底されていない排気ダクト等は 内部に多量の油脂等が堆積し 延焼ルートになるおそれがあります 清掃の必要な時期等を判断するために 下表を参考に店舗の実態に応じた点検表により点検を実施しましょう 点検の頻度は 天蓋やグリス除去装置など外観から確認できる部分は日常的 * に 排気ダクト内部など外観から確認が難しい部分は概ね 1 年ごと * に点検しましょう 点検の頻度は あくまでも目安です 店舗の規模や機器の使用状態に応じた頻度としてください 排気ダクト等の附属設備に係る点検表部位点検方法点検の要点確認欄 天蓋 目視により確認する ア内面にワックス状の油塵 ( 油の混じったほこり ) 等の付着がないか イ変形 損傷 腐食等がないか ウ樋に油脂分等の溜まりがないか エオイル抜きのプラグからの油漏れがないか グリス除 フィルター フィルター部分を取り外し ア油塵の付着により目詰まりしていないか 去装置 部分 目視により確認する イ変形 損傷 腐食等がないか 上記確認後 正しい位置に取り付けられていることを確 認する フィルター フィルター部分及びグリス回 ア内外面にワックス状の油塵等の付着がないか ケース (V 収容器を取り外し 目視によ イグリス回収容器の油量に余裕があり 油漏れがないか バンク ) 部 り確認する ウ油送パイプに詰まりがないか 分 エ変形 損傷 腐食等がないか 防火ダンパー ( 火炎伝送防止装置 ) 排気ダクト ( 天蓋部分から目視できる範囲 ) 排気ダクト ( 上記以外の範囲 ) 排気ファン たわみ継手 グリス除去装置のフィルター部分を取り外し 又は点検口から目視による確認後 温度ヒューズ部を取り外し 作動状況を確認する グリス除去装置のフィルター部分を取り外し 目視により確認する 点検口から 目視により確認する 点検口から 目視による確認後 排気ファンを作動させ運転状況を確認する ア羽根 バネ 温度ヒューズ部に油塵 錆び ほこり等の付着がないか イ変形 損傷 腐食等がないか ウ油塵等の固着がなく 円滑に作動するか エ温度ヒューズ部の劣化がないか ア内面に油塵等の付着がないか イ変形 損傷 腐食等がないか ア内面に油塵等の付着がないか イ変形 損傷 腐食等がないか ア羽根車 ケーシングに油塵等の付着がないか イ変形 損傷 腐食等がないか ウ Vベルトの摩耗 亀裂 緩みがないか エプーリーの摩耗 損傷がないか オ運転音に異常がないか カ異常振動がないか 4

自動消火装置 甲種若しくは乙種の第 3 類消 防設備士又は第 1 種点検資格 者による点検と併せて 目視 ア消火薬剤放出口はキャップ等の覆いが確実に設けられ ており 油塵等の付着 目詰まりがないか イ感知部に油塵等の付着がないか による確認を実施する ウ変形 損傷 腐食等がないか 排気ダクト等の点検は 厨房排気設備の汚染判断 清掃評価判断ができる専門的な知識と技術を兼ね備えた資格者に依頼することもできます 詳細については 下記までお問い合わせください 問合せ先一般社団法人日本空調システムクリーニング協会 (JADCA) 111-0042 東京都台東区寿 1-2-7 03-5828-6116 URL http://www.jadca.jp/ 5

ポイント 3 排気ダクト等の清掃をしましょう!! 延焼危険を排除するためには適正な清掃の実施が必要です ポイント 2 で行った点検結果に 基づき 下表を参考に店舗の実態に応じた清掃をしましょう 天蓋 排気ダクト等の附属設備に係る清掃要領 部位清掃要領確認欄 ア天蓋下の器具等の保護のために養生ビニール等で保護 グリス除去 装置 防火ダンパー フィルター部分 フィルターケース (V バンク ) 部分 イ洗剤を塗布後にナイロンタワシ等により清掃 ( 必要に応じスクレーパー * ステンレスタワシ等を使用) ウ樋はスクレーパー 洗剤等により清掃エ雑巾ウエスで仕上げ拭きオ亜鉛鉄板製天蓋は必要に応じて清掃後に耐熱塗料塗装ア付着した油塵をブラシ等で粗方除去イ洗浄用洗剤入りの水槽に漬け置きウ油脂分溶解後に水道水で洗浄エ完全に乾燥後に取り付けオ廃液は中和した後に排水 ( イ~オの工程を 漬け置き洗浄 という 以下同じ ) アフィルターケースを分解し 付着した油塵をブラシ等で粗方除去イ漬け置き洗浄による清掃ア付着した油塵をスクレーパー等で粗方除去 ( 火炎伝送防止装置 ) イ洗剤を塗布後にナイロンタワシ等により清掃 ( 取り外せるような場合には 漬け置き洗浄による清掃 ) ウ温度ヒューズ劣化の場合は交換 排気ダクト アスクレーパー等による清掃 ( 汚れが少ない場合は 洗剤を噴霧しナイロンタワシ ステンレスタ ワシ等により清掃し 雑巾ウエスで仕上げ拭き ) イ汚れに応じて 洗剤等を使用した清掃を実施 排気ファン たわみ継手 ア清掃の前に排気ファン用のブレーカを切る イ羽根車はスクレーパー等による清掃 ( 取り外せるような場合には 漬け置き洗浄による清掃 ) ウケーシングは スクレーパー等による清掃後 タワシ等による清掃 雑巾ウエスで仕上げ拭き ( 必要に応じて 高圧洗浄機を使用して清掃 ) エたわみ継手は 洗剤を塗布後にナイロンタワシ等を使用して清掃 スクレーパーとは 付着 堆積しているものを削っ たり こそげとるためのヘラ状の器具をいいます 6

3 火災予防条例 ( 抜粋 ) 厨房設備等の維持管理の基準は火災予防条例で規定されています! 厨房設備等は 清掃等の維持管理不足のために火災となった事例が多いことから 次のように規定されています 第 3 条第 3 項 ( 本条は炉に関する基準ですが 厨房設備にも準用するため 炉を厨房設備に読み替えます ) 第 1 号炉及びその附属設備の周囲は 常に整理及び清掃に努めるとともに 燃料その他の可燃物をみだりに放置しないこと 第 2 号炉及びその附属設備は 必要な点検及び整備を行い 火災予防上有効に保持すること 第 3 条の 2 第 1 項 第 5 号グリス除去装置等 ( 天蓋 天蓋と接続する排気ダクト内 グリス除去装置及び火炎 伝送防止装置 ) は 清掃を行い 火災予防上支障のないよう維持管理すること 火災予防条例とは 昭和 37 年東京都条例第 65 号をいいます 4 おわりに 3 つのポイントを確認しましょう! 2 飲食店の厨房設備等からの火災を防ぐ3つのポイント の進捗状況を日頃から確認し 火災予防対策を進めて下さい 防火意識向上シートなどを利用して 防火意識の向上を図っていますか 定期的な厨房設備等や排気ダクト等の点検を行っていますか 点検の結果に基づく清掃が確実に行われていますか 問合せ先東京消防庁予防部予防課火気電気係 100-8119 東京都千代田区大手町 1-3-5 03-3212-2111( 代表 ) 内線 4768 URL http://www.tfd.metro.tokyo.jp 7 平成 24 年 8 月作成平成 29 年 11 月更新