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対象収入 所得税法上の農業所得として申告されているものの例 自ら生産した農産物の販売収入全体を対象 ( 所得ではない ) 加工品は原則として販売収入に含めない ( ただし 所得税法上の農業所得として申告されているものは含める このため 精米などの加工品であっても 農業者が自ら生産した農産物を加工して

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1. 口座管理機関 ( 証券会社 ) の意見概要 A 案 ( 部会資料 23: 配当金参考案ベース ) と B 案 ( 部会資料 23: 共通番号参考案ベース ) のいずれが望ましいか 口座管理機 関 ( 証券会社 ) で構成される日証協の WG で意見照会したところ 次頁のとおり各観点において様々

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資料 1 収入保険制度について 事業化調査における仮スキームの考え方と今後の検討事項 平成 28 年 10 月

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Ⅰ 現行農業共済制度の問題点と収入保険制度の基本的仕組み 現行農業共済制度の問題点等 自然災害による収量減少を対象とし 価格低下等は対象外 対象品目は収量を確認できるものに限定されており 農業経営全体をカバーしていない 収入保険制度農業経営全体を対象としたセーフティーネット 農業経営者ごとの収入減少を対象 価格低下も含めた収入減少を補 全ての農業経営品目を対象 農業経営全体として加入 加入単位も品目ごとになっており 農業経営全体を一括してカバーできない 耕地ごとの損害査定を基本 農業経営者ごとの収入を正確に把握することが この制度の要 農業経営者の適切な経営管理を前提に 本人の申告を 税法に基づく書類等で確認する 収入保険制度の法制化と併せて 農業共済制度のあり方についても抜本的に検討する 1

( 参考 ) 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律 ( 平成 26 年法律第 77 号 )( 抄 ) 附則 ( 収入変動に対する総合的な施策の検討 ) 第六条政府は この法律の施行後 3 年を目途として 農産物に係る収入の著しい変動が農業者の農業経営に及ぼす影響を緩和するための総合的な施策の在り方について 農業災害補償法 ( 昭和 22 年法律第 185 号 ) の規定による共済事業の在り方を含めて検討を加え その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする 食料 農業 農村基本計画 ( 平成 27 年 3 月 31 日閣議決定 )( 抄 ) 第 3 食料 農業及び農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策 2. 農業の持続的な発展に関する施策 (4) 担い手に対する経営所得安定対策の推進 収入保険制度等の検討 2 経営の新たなセーフティネットとしての収入保険制度等の検討 農業災害補償法 ( 昭和 22 年法律第 185 号 ) に基づく現行の農業災害補償制度は 価格低下等は対象外であり 対象品目は収量を確認できるものに限定されているなど 農業経営の安定のためのセーフティネットとして課題を有している このため 農業経営全体の収入に着目した収入保険の導入について 制度の仕組みの検証等を行う事業化調査を実施するなど 制度の法制化に向け 検討を進める その際 既存の制度と重複がないよう 在り方を含めて関係を整理する また 収入保険の検討と併せて 農業災害補償制度の在り方を検討する 2

Ⅱ 収入保険制度の導入に向けたスケジュール 事業化調査前まで 平成 27 年産を対象に事業化調査 ( フィージビリティスタディ ) 平成 26 年 11 月 ~ 平成 28 年 6 月 法制化 各種事前準備を経て 平成 26 年度予算の調査費で 農業者の収入データを収集 分析 全国 4000 経営体について個人 3000 法人 1000 過去 7 年分の収入データを収集 基本的な仕組みを検討 11 月 ~ 過去の収入データ 27 年産の営農計画等)加入申請書提出全国 1000 経営体の協力を得て個人 750 法人 250 模擬的に収入保険に加入してもらい 制度を的確に運営できるかを確認 27 年 1~12 月 収入算定期間 作付など(収穫 販売 ( 加入者 ) 営農記録の作成 帳簿の記載 損害発生の通知 証拠保存など ( 保険者 ) 不正受給防止のための現地調査 28 年 3~6 月納保険金請求書提出26 年税申告 27 年産の事業化調査の結果を踏まえて 制度の仕組みを調整 改善 調査 検討が順調に進めば 平成 29 年の通常国会に法案提出 法案成立後 必要な準備 ( システム整備等 ) 周知徹底を経て 収入保険制度開始 この間に 想定している仕組みが実務的に機能するか 想定外の不都合は生じないか 制度の細部をどうするか 他制度との整理をどうするか等を検証 検討 3

Ⅲ 事業化調査における仮スキームの考え方と今後の検討課題 1 対象者等 (1) 対象者 収入保険制度は 農業者ごとの収入減少を補するものであり 制度を適正に運営するためには 個々の農業者の収入を正確に把握する必要がある 仮スキームでは 次の理由から 青色申告を 5 年間継続し 経営管理を適切に行っている農業者 ( 個人 法人 ) を対象者としている 1 税制度においては 罰則等の担保措置の下 所得等が漏れなく申告され 証拠となる税務関係書類も一定期間保存される 2 青色申告では 白色申告と異なり 複式簿記等が義務づけられており 帳簿の信頼度が高い < 税申告上の担保措置 > 〇所得税については所得のある個人 法人税についてはすべての法人について販売金額等を記載した確定申告書の提出義務〇取引の内容を記帳した帳簿 書類の作成義務及び一定期間の保存義務〇国税庁等の職員による帳簿 書類その他の物件の検査〇不正行為により税を免れた者等に対する罰則等 ( 注 ) 国税通則法 ( 昭和 37 年法律第 66 号 ) 等により整理 < 青色申告と白色申告の記帳方法及び帳簿の違い ( 所得税の場合 )> 青色申告白色申告 帳簿等の記帳方法帳簿等の種類 複式簿記等の義務づけ 仕訳帳 総勘定元帳等 ( 損益と資産 負債 ) 取引年月日 相手方 品名 数量 単価 金額 日々の売上の合計額を記載 損益計算書農産物収穫高 農産物等の売上高等の収入及び種苗代 農具費 人件費等の必要経費を記載 貸借対照表現金 売掛金 農産物等の資産及び買掛金 借入金等の負債等を記載 棚卸表数量 単価等を記載 簡易な方法で可 簡易帳簿 ( 損益のみ ) 取引年月日 相手方 金額 日々の売上の合計額を記載 収支内訳書農産物等の売上高等の収入及び種苗代 農具費 人件費等の必要経費を記載 棚卸表数量 単価等を記載 ( 注 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) 同法施行規則 同法関連告示により整理 4

3 青色申告で複式簿記を行えば 損益計算書 貸借対照表等が適切に作成され 農業者の経営管理能力の向上に資するとともに 金融機関から融資を受けることも容易になる < 複式簿記の特徴 > 貸借対照表 資産 現金 商品 売掛金など 損益計算書 費用 物財費 人件費など 負債 借入金 買掛金など 純資産 資本金 利益剰余金など 当期純利益 収益 売上高など 青色申告は 単に 収益と費用を集計する簡易な記帳に比べて 複式簿記等を行うことにより 日々の取引を 損益の状況だけでなく 資産負債項目ごとにも整理して記帳させるため 帳簿の信頼性が高く 不正が起こりにくい 1 年間の農業者の取引内容のチェックを行うことも容易であることから 収入保険制度の適切な運営に資する のように 青色申告では 複式簿記では 損益計算書 と 貸借対照表 を作成する際 日々の取引を 資産 負債 純資産 収益 費用の勘定科目ごとに仕分けて記帳するため 仮に 農産物の売上高を偽ると 損益計算書 の収益 貸借対照表 の資産 純資産の部の勘定科目との辻褄を 複数年にわたり合わせなければならなくなる 5

ただし 1 青色申告者の中には 都市部を中心に 農業所得が少額で農業以外の事業を主体とした経営を行っている者が存在していること 2 農政の展開方向との調和を図る必要があること等を踏まえ 対象者の要件については 更に検討していく必要がある < 農業所得者の青色申告者数の推移 > ( 万人 ) H22 年 H23 年 H24 年 H25 年 H26 年 青色申告者数 41.6 42.0 42.2 42.4 43.0 個人 40.4 40.6 40.8 41.0 41.5 法人 1.2 1.4 1.4 1.4 1.5 主業農家数 36.0 35.6 34.4 32.5 30.4 認定農業者数 24.6 23.8 23.3 23.1 23.8 ( 注 ) 国税庁事務年報 ( 個人 農業所得用 ) 国税庁会社標本調査 農林業センサス 農業構造動態調査 認定農業者数は各年度末の数値 < 農業経営改善計画が満了年の認定農業者のうち青色申告者の割合 > ( 万人 ) 認定農業者のうち 農業経営改善計画が満了年の者 うち青色申告者数 ( 推計 ) H24 年 H25 年 H26 年 4.1 3.6 3.9 3.0 (72%) 2.6 (73%) ( 注 ) 青色申告者の割合は 当該年度に農業経営改善計画期間が満了年の者を対象に調査 ( 経営局経営政策課調べ ) 2.9 (76%) 6

なお 5 年間の青色申告の実績のない 新規就農者等については その取扱いをよく検討する必要がある 例えば 5 年未満の青色申告でも 青色申告実績があれば加入できるが 補償限度を例えば 8 割に引き下げる ( 一般の補償限度が 9 割の場合 ) などの案について 5 年間の青色申告実績がある者との公平性も考慮しつつ検討する必要がある < 新規就農者数の推移 > ( 万人 ) H22 年 H23 年 H24 年 H25 年 H26 年 新規就農者数 1.8 1.9 1.9 1.8 2.2 ( 注 ) 農林水産省 新規就農者調査 (49 歳以下の数値 新規自営農業就農者 新規雇用就農者を含む ) 7

(2) 収入の把握方法 仮スキームでは 収入の把握について 1 農業者が 自己申告により 青色申告書等の税務申告書類とともに 農産物の販売金額等を記載した書類を提出し 2 実施主体が 税務申告書類 その添付書類である決算書 保存義務のある帳簿 領収書等の税務関係書類及び収入保険制度のために作成した補助フォームを用いて内容をチェックすることとしている 8

2 対象収入 仮スキームにおいては 農業者が自ら生産している農産物の販売収入全体を対象としている また コストは 高額の機械を購入した場合など 合理性の確認が難しいため 所得 ではなく 収入 を対象としている <コストのかけ方の違いによる所得の違いの例 > 当年度に高い機械 (2 千万円 ) を購入した場合は 安い機械 (1 千万円 ) を購入した場合に比べてコストが上がり 所得が下がる <2 千万円の機械を購入した場合 > ( 万円 ) 収入 1 2,000 コスト2 1,480 機械以外のコスト 1,200 機械の減価償却費 280 所得 (1-2) 520 <1 千万円の機械を購入した場合 > ( 万円 ) 収入 1 2,000 コスト2 1,340 機械以外のコスト 1,200 機械の減価償却費 140 所得 (1-2) 660 購入価格を 7 年で均等に償却することを前提 9

農業者の中には 6 次産業化の取組の一環として 農産物の加工品を製造し販売している者も増加してきているが 1 加工品については 農産物以外の原材料等のウェイトがかなり大きい場合もあり 2 農業を行わずに加工のみを行っている事業者との公平性の問題もあるため 仮スキームでは 加工品の販売収入は対象に含めず 自ら生産した農産物を加工品の原材料とした場合 その農産物を加工原料用として販売したとみなして対象収入に含める扱いとしている なお 所得税法上 精米 荒茶 畳表など簡易な加工が施されたに過ぎないものは 農産物 として扱うこととされている 収入保険制度における加工品の扱いについても 税申告のルールと同様とすることを含めて検討する必要がある < 加工品の特徴 ( 例 )> Jam いちごジャム ( 商品名 ) < 原材料等の構成 > いちご 砂糖 ビタミン C 等 ビン 補助金についても 政策的判断で改廃されるものであり 保険には馴染まないことから 仮スキームでは 対象収入に含めていない ただし 畑作物の直接支払交付金 ( 麦 大豆等 ) 甘味資源作物交付金 ( さとうきび ) 等の数量払については 実態上 販売収入と一体となっており その扱いを検討する必要がある 10

なお 青色申告における農産物の販売金額のみを活用するとすれば 加入者が意図的に 農産物の販売量を減らして 1 加工等 ( 事業消費 ) に仕向けたりする 2 在庫として保有したりするような場合も 当年の収入が減少したとして 保険金が支払われる可能性がある < 農産物の販売収入の算定方法 > 農産物の販売収入 = このため 農産物の販売金額に加え 加工等に仕向けたもの ( 事業消費金額 ) 及び販売せず在庫となったもの ( 棚卸高金額 ) も含めて 農産物の販売収入を算定することとしている 農産物の販売金額 + 事業消費金額 + 期末棚卸高金額 - 期首棚卸高金額 青色申告では 家事消費 事業消費金額 となっているが 家事消費は自家消費なので除外 11

償対象外3 対象要因等 (1) 対象要因 農業者が 農業経営を進めていく際には 自然災害や市場環境の変化 その他の農業経営上の事故など 様々なリスクが想定される < 事業化調査で補償対象とした収入減少の要因 ( 例 )> 区分通知件数補償対象収入減少の要因 損害発生 このため 仮スキームでは 様々なリスクにより生じる収入減少を補するが 保険金支払の公正を確保するため 農業者の経営努力では避けられないものを補償の対象としている したがって 捨て作りや意図的な安売りなどによって生じた収入減少は補償の対象外としている 1 自然災害による耕地 施設の損壊 2 自然災害 病虫害等による農産物等の損傷 3 死亡 病傷等による畜産物の損傷 4 繁殖用雌畜の死亡 盗難 繁殖障害 5 需給変動による価格低下 6 取引先の事情による価格低下 7 為替変動による輸出価格の低下 8 施錠された倉庫からの盗難 9 労働力不足 農機具の故障による営農の中止 10 保管用施設等の損壊 運搬中の事故 11 公権力の行使による処分 出荷制限 13 559 1,535 126 - - - 1 4 2 0 補1 捨て作り 2 意図的な安売り 取引先と結託した価格操作 3 保険者の損害防止指示に従わなかったとき ( 注 ) 価格低下については 保険金請求時に確認できるため 損害発生通知の対象としていない 12

(2) 保険金の不正受給の防止策 収入保険制度の適正な運営を確保するためには 保険金の不正受給を防止することが必要である このため 仮スキームでは 1 加入者は 災害等の損害発生時に実施主体に通知するとともに 証拠を保存する 2 また 実施主体は 必要に応じ 現地調査等の確認を行うこととしている 今後の制度化に当たっては 1 不正があった場合 免責として保険金を支払わない 2 重大な不正があった場合は 翌年以降の加入を禁止することも検討する必要がある < 現在の農業共済における免責事由 > 以下の事由に該当する場合は 程度に応じて 共済金の全部又は一部を免責 通常行うべき管理や損害防止を怠った場合 損害防止のため特に必要な処置について 実施主体が行った指示に従わなかった場合 損害通知を実施主体に提出しなかった場合 提出義務のある書類の提出を怠った場合又は悪意 重過失によって不実の記載をした場合 正当な理由なく納入期限までに共済掛金の払込みを行わなかった場合等 13

4 補償内容 仮スキームでは 農業者ごとに 当年の収入が基準収入の一定割合 ( 補償限度額 ) を下回った場合に 下回った分の一定割合 ( 支払率 ) を補する仕組みとしている 支払率 (9 割 仮置 ) 支払率 (9 割 仮置 ) 収入減少 自己責任部分 保険金 自己責任部分 積立金 保険金 100% 90% ( 補償限度額 仮置 ) 80%( 仮置 ) 基準収入 当年の収入 当年の収入 過去 5 年間の平均収入 (5 中 5) 農業者ごとの過去 5 年間の収入 14

2年前収年前収入年前収平均3入(1) 基準収入 仮スキームにおいては 過去 5 年間の平均収入 (5 中 5) を基準収入とすることを基本としている ナラシ対策は 5 年中中庸 3 年平均 (5 中 3) としているが ナラシ対策の場合 地域ごとの価格データ及び収量データを用いて基準収入を算定するため 農業者は不正ができない仕組みであるのに対し 本制度では 農業者個々の収入を用いるため モラルハザードにつながるおそれがあり 5 中 3 は採用していない < 基準収入に関する収入減少影響緩和対策 ( ナラシ対策 ) と収入保険制度の比較 > ナラシ対策収入保険制度 都道府県等地域ごと 対象 農業者個々の収入データを用品目ごとの価格データ及び収いて算定量データを用いて算定 このため 農業者の操作は このため 農業者の操作が可不可能能4< 収入保険制度で基準収入の算定を 5 中 3 とした場合 > 翌年の基準収入5 中 3 1年前収入入1 年前と5 年前の収入は算入されない 15 当年の収入 当年の収入を大幅に下げても その年の収入は採用されないので 翌年の基準収入は下がらない

5年平均収入基準収入入金額 仮スキームでは 基本は過去 5 年平均としているが 加入者が当年の経営面積を過去よりも拡大する場合や 過去の収入金額に一定の上昇トレンドの実績が確認できる場合は 適切なセーフティネットとなるよう それぞれ動向を反映して 当年の営農計画に基づく期待収入を上限として基準収入を上方修正することとしている < 当年の経営面積を過去よりも拡大する場合の基準収入 > 上方修正経営面過去 5 年間過当去年5年のの平均積経営面積が拡大している場合 当年の基準収入< 過去の収入金額に上昇トレンドが確認できる場合の基準収入 > 収過去5年平均収入収入金額に一定の上昇 経営面積経営面積過去 5 年間 上方修正 トレンドがある場合 過去当年の 一方 前年に比べ経営規模を縮小すること等により 当年の収入が過去の平均収入 (5 中 5) よりも低くなることが明らかな場合は 下方修正することとし 当年の営農計画に基づく期待収入を基準収入として設定することとしている < 当年の収入が過去平均よりも低くなる場合の基準収入 > 経営面積の縮小 単価の低い作物への作付転換等 減少する場合 過去5年平均収下方修正 当年の基準収入当年の収入が 入16

(2) 補償限度額及び支払率 仮スキームでは 当年の収入が基準収入の9 割水準 ( 補償限度額 ( 仮置 )) を下回った場合に 下回った額の9 割 ( 支払率 ( 仮置 )) の補金を支払うこととしている これは 収入保険制度は 地域データを用いるナラシ対策とは異なり 農業者個々の収入に着目した仕組みであることから 基準収入を少しでも下回った場合に補することとすれば 毎年 相当数の加入者に補が行われることとなり 事務コストが増嵩し 保険料も高くなるといった問題があるため 補償限度額を設けることとしている ( 農業共済も同様 ) また 本制度は 農業共済とは異なり 自然災害以外により生じる収入減少も補償の対象としていることから 当年の収入が補償限度額を下回ることが明らかとなった際に それ以降の経営努力を怠るといったモラルハザードを防止する必要があるため 補償限度額のうち支払を受ける補金の割合 ( 支払率 ) を設定することとしている ( ナラシ対策も同様 ) < 他制度における補償限度及び支払率 > 制度名仕組み補償限度支払率 収入減少影響緩和対策 ( ナラシ対策 ) 農業共済麦 災害収入共済方式 地域データを用いて 収入減少を補 個人データを用いて 自然災害による収入減少を補 10 割 個人ごとではなく 地域データを基に補額を算定することから 10 割としても 事務量の大幅な増加は招かない 7~9 割 加入者が選択 < 収入保険制度における補償限度額と支払率 > 基準収入 収入減少 支払率 (9 割 ( 仮置 )) 自己責任部分 補部分 当年収入 9 割 4~10 割 加入者が選択 共済事故を 自然災害による収量減少という他律的な要因に限っているため モラルハザードの抑制を制度的に担保する必要はないことから 上限を設けていない 補償限度額 (9 割 ( 仮置 )) 17

(3) 補方式 仮スキームにおいては 1 掛捨ての保険方式のみで 基準収入の9 割 ( 仮置 ) 以下の部分をカバーする方式と 2 掛捨ての保険方式で 基準収入の8 割 ( 仮置 ) 以下の部分をカバーし 掛捨てとならない加入者ごとの積立方式で 基準収入の8 割から9 割 ( 仮置 ) の間をカバーする方式の2つを試行している < 保険方式と積立方式の違い > 保険方式 保険の補償限度額を大きくするほど 掛捨ての掛金が高くなる 備 収入が安定するよう努力している経営者は 掛金は毎年払うものの 保険金を受け取ることは少ない 積立方式 積立の補償限度額を大きくすると 積立金の掛金が高くなるが 経営者自身の積立金となり 掛捨てにはならない 考 積立制度だけであれば 自らの積立金のみで補するため 積立金を超える大きな収入減少には対処できない 18

補償限度額 支払率の水準や補方式は 保険料 国庫補助等との関係を含めて 今後よく検討する必要がある その際 モラルハザードの発生 生産量や取引価格への影響なども踏まえて検討する必要がある < 収入保険制度の調査事業における収入減少発生頻度の試算 > 当年収入が基準収入の 9 割を上回った経営体の割合 当年収入が基準収入の 9 割を下回った経営体の割合 H24 H25 H26 平均 84% 82% 68% 78% (49%) 16% 18% 32% 22% そのうち 当年収入が基準収入の 8 割を下回った経営体の割合 そのうち 当年収入が基準収入の 7 割を下回った経営体の割合 7% 8% 17% 10% 2% 3% 8% 5% ( 注 ) 平成 26 27 年度調査において収集した平成 18~26 年までの農業者ごとの収入データに基づき試算 カッコ内の数値は 平成 24~26 年の 3 年間に 常に基準収入の 9 割を上回った経営体数の割合 19

(4) 保険料 積立金 仮スキームでは 保険料 積立金については 農業者の農業経営全体に着目し 収入減少を補するものであること等から 全経営体共通のものとして設定することとしている 他方 収入減少が生じないように努力する優良な経営体が加入しやすい仕組みとするためには 収入減少を頻発する者とそうでない者の公平性を確保する必要がある このため 収入減少の補の少ない加入者の保険料率を段階的に下げる一方 収入減少の補の多い加入者の保険料率を上げるといった 危険段階別の保険料としていくことも検討する必要がある 保険料 積立金については 補償内容 国庫補助等との関係を含めて 今後よく検討する必要がある 併せて 加入者には 補償限度額及び補償限度額を下回った額のうち支払を受ける補金の割合 ( 支払率 ) を選択することで 保険料水準を選択できるようにすることも検討する必要がある < 農業共済における危険段階別掛金率 > 過去 5 年以上の共済金の支払の程度に応じて加入者をグループ分け ( 危険段階 ) し 各危険段階別に共済掛金率を設定 < 危険段階区分 > < 危険段階別共済掛金率 > 区分 1( 被害率高 ) 被掛金率 ( 高 ) 害害率率に区分 2 に応応じじ基準共済てたグ区分 3 掛掛金率ル金ー率ピのン設グ定区分 X( 被害率低 ) 掛金率 ( 低 ) < 農業共済の掛金 収入減少影響緩和対策 ( ナラシ対策 ) の積立金について> 農業共済 農業者の掛金負担 : 毎年度 共済金額の2.5% 程度を負担 ( 掛金の 1 2 国庫補助率 1/2を前提 ) 1 共済金額とは 最大補償額 2 農作物 家畜 果樹 ( 収穫共済 ) 畑作物共済の平均掛金率 5% 1/2 ナラシ対策 農業者の積立額 : 最大で標準的収入額の4.5% を負担 ( 積立金の 国庫補助率 3/4を前提 米は生産数量目標達成が要件 (29 年産まで )) 標準的収入額とは 過去 5 中 3 平均の収入金額被20

5 加入 支払時期 (1) 収入算定期間 収入保険制度は 税制度の仕組み ( 確定申告 ) を活用して 農業者個々の収入を把握することから 本制度の収入の算定期間は 税制度における収入の算定期間と一致させる必要がある このため 仮スキームにおける収入算定期間は 個人の場合は 1 月 ~12 月 法人の場合は 事業年度 ( 各法人が設定 ) の 1 年間としている (2) 本制度の加入時期 収入保険制度を適切に運営するためには 事故が発生してから加入するといったモラルハザードを防止する観点から 収入算定期間の開始前までに加入申請を行い 保険料を納付する必要がある < 税申告上の事業年度及び税務申告の期間 > 〇個人は 1 月 ~12 月その年の翌年の2 月 16 日 ~3 月 15 日までの期間に確定申告書を税務署長に対し提出 〇法人は 事業年度の1 年間事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に確定申告書を税務署長に対し提出 ( 例えば 事業年度が4 月 1 日 ~3 月 31 日までの1 年間の場合 確定申告書は5 月 31 日までに提出 ) ( 注 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) 等により整理 このため 仮スキームでは 本制度に加入しようとする農業者は 実施主体の事務処理等に要する期間も考慮し 毎年 10 月 ~11 月までの2ヶ月間 ( 法人は 事業年度の3ヶ月前から1ヶ月前まで ) に加入申請を行い 収入算定期間開始前までに保険料を納付することとしている 21

(3) 補金の支払時期 収入保険制度では 確定申告後 当年の収入を税務関係書類により確認する必要があり 収入減少の補金の支払は 確定申告後となる (4) 資金繰りへの対応 このため 保険金等の支払までの間の資金繰りについて検討する必要がある < 資金繰りへの対応の選択肢 > 課題 保険金の仮払い 保険の実施主体からの貸付け 既存の融資システムの活用 経営者ごとの全ての農産物の販売収入が対象であるなど 仮払金の算定は難しい 仮払金を過払いした場合 補金の確定後に返還を求めることになる 実施主体に融資体制を整備する必要 収入保険加入者に対応した工夫が必要 22

加入者 事業消費帳簿 棚卸表 保険者 保険金等を支払 ( 参考 ) 事務手続のスケジュール ( 個人の場合のイメージ ) 前年当年翌年 10 月 ~ 11 月 12 月末 1 月 ~12 月 ( 税の収入の算定期間 ) 確定申告後 (3~6 月 ) 加入申請 保険料等の納付 収入算定期間 保険金等の請求 支払 個人経営体の場合 保険料等の算定に必要な加入申請書等を提出 < 提出書類 > 加入申請書( 過去 5 年分の収入金額 当年の営農計画 保険契約に関する誓約書 ) 過去の税務申告書類の写し( 過去 5 年分 ) 2 年目以降は直近 1 年分のみ 保険料等を納付 適切に営農 販売を行うとともに 以下の取組を実施 農作業日誌の記帳 保存 ( 通常作成しているもので可 ) 収入減少が見込まれる場合の損害発生の通知 ( 連絡 ) ( 連絡のみでも可 その場合 保険金請求時に書類を提出 ) そのほか 営農計画を変更する場合の申請 事業消費がある場合の 事業消費帳簿 ( 税務関係書類として作成しているもので可 ) の作成 保存 確定申告を行い 保険金等を請求 < 提出書類 > 保険金請求書 ( 当年の収入金額実績 ) 当年の税務申告書類の写し 保険金請求書の記載事項を 加入申請書の記載事項を確認し 基準収入 保険料等を算定 保険料等を加入者に通知 保険料等の納付確認 管理 必要に応じて現地確認 確認し 保険金等を査定 23

6 類似制度との関係 収入保険制度を導入する場合 収入減少を補する機能を有する類似制度との関係をどのように整理すべきか検討していく必要がある < 収入減少を補する機能を有する類似制度 > 農業共済 ( ) 制度名対象品目対象者補内容 農作物共済 畑作物共済 水稲 麦 陸稲 ばれいしょ 大豆 小豆等 13 種類 対象品目の生産 販売を行う者 果樹共済 みかん りんご ぶ どう等 16 種類 家畜共済 牛 豚 馬 対象家畜の生産 販売を行う者 収入減少影響緩和対策 ( ナラシ対策 ) 米 麦 大豆 てん菜 でんぷん原料用ばれいしょ 認定農業者集落営農認定新規就農者米は生産数量目標達成が要件 (29 年産まで ) 収量減少を補 収量減少 ( 家畜の死亡 廃用 ) を補 収入減少を補 野菜価格安定制度 野菜 野菜の計画的な生 産 出荷に取り組む者 ( 指定産地等 ) 肉用牛肥育経営安定特別対策事業 養豚経営安定対策事業 肉用子牛生産者補給金制度 肉用牛繁殖経営支援事業 鶏卵生産者経営安定対策 加工原料乳生産者経営安定対策 肥育牛 肉豚 肉用子牛 鶏卵 加工原料乳 肥育牛の生産 販売を行う者 肉豚の生産 販売を行う者 肉用子牛の生産 販売を行う者 鶏卵の生産 販売を行う者 加工原料乳の生産 販売を行う者 価格下落を補 販売価格と生産コストの差を補 販売価格と生産コストの差を補 販売価格と生産コストの差を補 価格下落とコスト増加等を補 価格下落を補 農業共済のうち固定資産の損失を補するもの ( 家畜共済 ( 搾乳牛 繁殖雌牛等 ) 園芸施設共済 果樹共済 ( 樹体共済 )) 及び診療費を補するもの ( 家畜共済 ( 病傷共済 )) は 収入減少を補するものではなく 収入保険と機能が重複しないため 本表には含めていない 24

国費の二重助成は避ける必要があり 基本的な整理の方法としては 1 収入保険制度と類似制度の両方に加入する ( 重複加入 ) ことを認めた上で 補金を調整する 2 いずれかを選択して加入する ( 選択加入 ) といった方法が考えられ 慎重に検討していく必要がある < 重複加入と選択加入の比較 > 重複加入 加入者が選択すれば 両方に入ることも可能 備 考 二重の掛金負担が必要になる 補金が二重払とならないように調整が必要だが 実務的に難しく 調整するとしてもコストが大きくなる 収入減少だけでなくコスト増も補する類似制度とは 金額の調整が困難 類似制度の補金の支払時期が収入保険制度の補金の支払時期の後になる場合 調整が困難 選択加入 重複加入のような問題はない 一方しか入れ ない 次頁のような問題がある 25

類似制度のうち 肉用牛肥育経営安定特別対策事業 養豚経営安定対策事業 肉用子牛生産者補給金制度 肉用牛繁殖経営支援事業 鶏卵生産者経営安定対策については 販売価格と生産コストに着目して補する仕組みとなっている < 畜産における複合経営の割合 > 畜種 肉用牛肥育農家肉用牛肥育経営安定特別対策事業の対象 複合経営の割合 約 7 割 ( このうち肥育牛以外の品目 ( 耕種 ) の方がウエイトが高い農家は約 3 割 ) これらの類似制度については 1 重複加入を認めた場合 収入保険制度の補金との調整が必要となるが 当該類似制度の補金額を分解して収入減少分のみを抜き出すことが困難であることから 調整はできない 2 一方 選択加入とした場合 畜産品目と耕種品目の複合経営が 当該類似制度を選択すれば 耕種品目についても収入保険制度に加入できなくなるといった課題がある 肉用牛繁殖農家 肉用子牛生産者補給金制度 肉用牛繁殖経営支援事業の対象 養豚農家 養豚経営安定対策事業の対象 採卵養鶏農家 鶏卵生産者経営安定対策の対象 約 8 割 ( このうち肉用子牛以外の品目 ( 耕種 ) の方がウエイトが高い農家は約 4 割 ) 約 5 割 ( このうち肥育豚以外の品目 ( 耕種 ) の方がウエイトが高い農家は約 1 割 ) 約 6 割 ( このうち鶏卵以外の品目 ( 耕種 ) の方がウエイトが高い農家は約 4 割 ) このようなことを踏まえ こうした類似制度との関係については その取扱いをより慎重に検討する必要がある 出典 :2010 年農林業センサス 26

粗収益(枝肉価格)補金も産コスト< 参考 > 類似制度の概要 農業共済 ( 農作物共済の例 ) 収入減少影響緩和対策 ( ナラシ対策 ) 災害により その年の収穫量が平年の収穫量に比べ一定割合以上減少した場合に 補の対象となる減収量を算出し これに農業者との契約による補償単価を乗じて算出した共済金を支払う 平年の収穫量補の対象となる減収量農業者が選択した補償水準とその年の収穫量の差その年の収穫量補償水準 ( 農業者が平年の収穫量の 9 割 ~5 割の中で選択 ) 共済金 = 補の対象となる減収量 農業者との契約による補償単価 農業収入の減少がその農業経営に及ぼす影響を緩和するため 米 麦 大豆等の収入額が標準的収入額を下回った場合に 交付金を交付 都道府県等地域単位で算定 標準的収入過去 5 年のうち 最高 最低を除く 3 年の平均収入 (5 中 3) 当年産収入収入減少品目ごとの収入差額を合算相殺 交付金 差額の 9 割を補 農業者 : 国 =1:3 で積立 野菜価格安定制度 野菜価格の低落が経営安定に及ぼす影響を緩和するため 野菜の平均販売価額が保証基準額を下回った場合に補給金を交付 肉用牛肥育経営安定特別対策事業 肉用牛肥育経営の収益性の悪化に対処し 経営の安定を図るため 肥育牛の平均粗収益が平均生産費を下回った場合に補金を交付 価格 保証基準額 (90%) 最低基準額 (60%) 平均販売価額 平均価格 (100%) 生補給金 ( 差額の9 割を補 ) 農業者 : 県 : 国 =1:1:3 で積立 家族労働費 ( もと畜費を除く ) と畜費物財費等 差額の 8 割を補 農業者 : 国 =1:3 で積立 27

均取引価農業者 : 国 =1:3で積立平格養豚経営安定対策事業肉用子牛生産者補給金制度及び肉用牛繁殖経営支援事業生産コス養豚経営の収益性の悪化に対処し 経営の安定を図るため 肥育豚の平均粗収益が平均生産費を下回った場合に補てん金を交付 ト金物財費等粗農業者 : 国 =1:1で積立収益(枝肉価格)補 家 族 差額の8 労働費割を補 鶏卵生産者経営安定対策 鶏卵の消費停滞や飼料価格の高止まり等に対処し 鶏卵生産者の経営の安定を図るため 鶏卵の標準取引価格が補基準価格を下回った場合に補金を交付 また 安定基準価格を下回った場合に 新たな成鶏を導入するまで 60 日以上の空舎期間を設けた場合 羽数に応じて奨励金を交付 牛肉の輸入に係る事情の変化が肉用子牛の価格等に及ぼす影響に対処し再生産を確保するため 肉用子牛の平均売買価格が保証基準価格等を下回った場合に補給金を交付 ( 肉用子牛生産者補給金制度 ) 肉用子牛生産者補給金制度と一体的に機能し 繁殖経営の所得を確保するため 肉用子牛の平均売買価格が発動基準を下回った場合に補金を交付 ( 肉用牛繁殖経営支援事業 ) 子牛価格低落時子牛価格低落時 ( 保証基準価格を下回る場合 ) 発動基準 保証基準 合理化目標価格 家族労働費の 8 割 経営費 補金 加工原料乳生産者経営安定対策 補金 生産者 平均売 補給金 買価格 平均売買価格 肉用牛繁殖経営支援事業 ( 差額の3/4を補 ) 肉用子牛生産者補給金制度 ( 全額補 ) 合理化目標価格を下回った場合は 農業者 : 県 : 国 =1:1:2 で積立た基金から 9 割を補 酪農経営の安定を図るために 加工原料乳の取引価格が補基準価格を下回った場合に 補金を交付 標準取引価格 この期間は 40 万羽以上規模は補しない 補基準価格 差額の9 割を補 30 日前 30 日後 奨励金の対象となる成鶏の出荷 補基準価格 農業者 : 国 =3:1 で積立 安定基準価格 安定基準価格を上回る日の前日までに 食鳥処理場に予約されている場合 補金当年度の取引価格農業者 : 国 =1:3 で積立 差額の 8 割を補 28

7 実施主体 収入保険制度の業務を的確かつ効率的に運営するため 実施主体には 次のような要件を備えていることが求められる 1 全国をカバーできる事業エリアを有していること本制度の加入者は 全ての販売農家ではなく 青色申告者としており 地域ごとに加入者数が偏る可能性があることから 母集団を安定的に確保するとともに リスク分散を行うためには 事業エリアはできるだけ広域である必要がある 2 中立的な立場で事業を実施することができること保険事業を公正に運営するためには 加入者の農産物の価格形成や販売等に関与するなど 加入者の収入に影響を与えることのない 中立的な立場である必要がある 3 保険業務に関するノウハウを有していること保険契約の締結 掛金の算定 徴収 損害の査定 保険金の支払等の保険業務に関するノウハウを有している必要がある 4 農業に関する知識を有していること農業者に対して加入推進を行う必要があること 損害発生時において 加入者の営農行為が適切に行われていたのかの確認を行うことから 農産物の種類ごとの栽培方法等 農業に関する基本的な知識を有している必要がある こうしたことを踏まえて 実施主体を検討していく必要がある < 農業所得者の青色申告者数の推移 > < 県別 ブロック別の主業農家数 (H26 年 )> 1: 県別 ( 戸 ) 上位 5 県 下位 5 県 1 北海道 28,000 1 福井県 700 2 青森県 15,100 2 富山県 1,100 3 熊本県 14,200 3 東京都 1,200 4 千葉県 13,700 4 滋賀県 1,300 5 茨城県 13,300 4 大阪府 1,300 2: ブロック別 H22 年 H23 年 H24 年 H25 年 H26 年 青色申告者数 41.6 42.0 42.2 42.4 43.0 個人 40.4 40.6 40.8 41.0 41.5 法人 1.2 1.4 1.4 1.4 1.5 主業農家数 36.0 35.6 34.4 32.5 30.4 認定農業者数 24.6 23.8 23.3 23.1 23.8 ( 注 ) 国税庁事務年報 ( 個人 農業所得用 ) 国税庁会社標本調査 農林業センサス 農業構造動態調査 認定農業者数は各年度末の数値 ブロック別上位 ブロック別下位 1 関東 78,400 1 北陸 12,300 2 九州 沖縄 64,700 2 東海 15,000 3 東北 55,900 3 近畿 18,700 4 中国四国 30,900 4 北海道 28,000 ( 注 ) 平成 26 年農業構造動態調査 ( 戸 ) ( 万人 ) 29

8 政府再保険 農業共済や漁業共済など 国が法律で措置している他の制度保険 ( 実施主体が独立行政法人以外 ) の場合 自賠責保険を除く全てにおいて 保険責任の一部を政府に転嫁する 政府再保険 が措置されており 不測時には 政府再保険が発動し 加入者に対して確実に共済金が支払われている 例えば 森林保険は ( 国研 ) 森林総合研究所が実施主体となっているが この場合 政府再保険ではなく 資金調達を円滑化する政府による 債務保証 が措置されている 収入保険についても 政府再保険の要否について 検討していく必要がある < 他の制度保険の損害率のバラツキ > 損害率 (= 保険金 保険料 ) のバラツキが大きければ 実施主体の保険収支が不安定になると考えられるが 政府再保険が措置されている各制度保険のバラツキは 政府再保険が措置されていない自賠責保険よりも大きい 2.00 1.50 1.00 0.50 0.00 2.00 自賠責保険 政府再保険なし H21 H22 H23 H24 H25 H26 漁獲共済 2.00 1.50 1.00 0.50 0.00 2.00 農作物共済 H21 H22 H23 H24 H25 H26 漁船保険 1.50 1.50 1.00 1.00 0.50 0.50 0.00 H21 H22 H23 H24 H25 H26 0.00 H21 H22 H23 H24 H25 H26 2.00 1.50 貿易保険 5.00 3.00 地震保険 1.00 0.50 1.00 0.00 1.00 0.00 3.00 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H21 H22 H23 H24 H25 H26 ( 注 ) 各年の数値は H21からH26の6 年間の損害率の平均値を1.00とした 30 場合の数値

( 参考 ) 米国の農業保険制度 米国には 農業経営安定のためのセーフティネットとして 収量減少を対象とする収量保険の他に 収入の減少を対象とする収入保険がある 収入保険については 大別すると 1 大豆 とうもろこし等の穀物を対象とし 先物価格を用いた品目ごとの収入保険 (RP ARP) 2 農業経営全体の収入に着目した収入保険 (WFRP( 旧 AGR )) がある WFRP は AGR(Adjusted Gross Revenue) の補償内容等を改善 ( 経営面積の拡大等の場合の基準収入の上方修正 補償限度を 80% から 85% へ拡大等 ) し 対象地域を拡大したものであり 2015 年から開始されている このうち 収入保険のうち WFRP については 1 農業者の経営全体の収入に着目し 品目ごとの収入保険がカバーしていない品目も対象 2 農業者ごとの過去 5 年間の平均収入を基礎として 収入下落分の一定割合を補 3 農業者の申告 ( 税務申告書類等 ) を基に収入を把握といった特徴がある < 主な米国の農業保険の概要 > 収量保険 収入保険 制度概要対象品目契約件数 品目別 農家データ活用タイプ (YP/APH) Yield Protection/ Actual Product History 品目別 地域データ活用タイプ (AYP) Area Yield Protection 経営全体 農家データ活用タイプ (WFRP) Whole Farm Revenue Protection 品目別 農家データ活用タイプ (RP) Revenue Protection 品目別 地域データ活用タイプ (ARP) Area Revenue Protection 農業者ごとの収量データに基づき 収量減少を補てん 統計の収量データに基づき 収量減少を補てん 税務申告書類等に基づき 農業者ごとの収入減少を補てん 農業者ごとの収量データと 先物価格に基づき 収入減少を補てん 統計の収量データと 先物価格に基づき 収入減少を補てん 品目ごと 穀物 油糧種子 いも 果樹 野菜 工芸作物等 約 90 品目 品目ごと とうもろこし 綿花 グレインソルガム 大豆 小麦 米 ポップコーン 牧草 経営全体 品目ごと とうもろこし 綿花 グレインソルガム 大豆 小麦 大麦 米 なたね ひまわり 落花生 豆類 ポップコーン 品目ごと とうもろこし 綿花 グレインソルガム 大豆 小麦 米 ポップコーン 牧草 約 21 万件 約 0.4 万件 約 0.1 万件 約 91 万件 約 1.0 万件 契約件数は 2015 年のもの 31

( 参考 )WFRP の概要 項目 仕組み 項目 仕組み 対象者 対象収入 対象要因 収入の把握方法 納税申告を過去 5 年間継続して実施している者 農産物の販売収入全体を対象 ( 所得ではない ) 生産後の加工 包装等による価値の増加分は含まない 避けることのできない自然災害や価格変動による収入の減少 農業者は 農業収入を記載した書類 ( 納税申告書等 ) を提出 保険者は 納税申告書 販売伝票等により農業収入を確認 補償内容 保険料 基準収入は 農業者ごとの過去 5 年間の平均収入を基本に 当年の予想収入を加味して設定 ( 収入が増加傾向にある場合はそれを考慮 ) 基準収入に一定割合 (*) を乗じて補償限度額を設定し 当年の収入が補償限度額を下回った場合に補 * 一定割合は 基準収入の 50~85% までの間で 5% 単位で農業者が選択 支払率はない ( 旧 AGR では 90% を上限とする支払率を設定 ) 保険方式のみであり 積立方式はない 加入する農業者は保険料を負担 保険金の不正受給の防止策 農業者に損害発生時の通知や書類の保存を義務付け 保険者は 必要があれば 現地調査等により確認 不正があった場合には 免責や翌年以降の農業保険等への加入を認めない等の措置 保険期間 支払時期 保険期間は 1 年間 (1 月 ~12 月又は会計年度であり 課税期間と一致 ) 保険金支払は 保険期間終了後の税申告後 ( 出典 )WFRP 約款及びハンドブックより 32