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1 処方提案を行うための基本的な方法論 章 処方提案を行うための基本的な方法論 第第 1章 1 薬剤師からみた薬物療法を取り巻く現状 医師と薬剤師の連携におけるいくつかの問題点 薬剤師の立場で 患者個別に最適化された薬物療法を考える際 医師との連 携は不可欠である 処方権をもたない我が国の薬剤師が 薬物療法に積極的に 関わっていくためには 薬剤師の意見を医師と共有していく必要があるからだ 海外の報告によれば 医師と薬剤師の連携により患者アウトカムが改善する 可能性について 慢性疾患のコントロール 有害事象 アドヒアランス 医療 経済などの観点から 複数の研究で肯定的である1 5 特にカナダではプライマ リケアにおける医師 薬剤師の連携 physician pharmacist collaborative care が高く評価されている6 しかしながら 我が国において 医師 薬剤師 連携を実践していくうえでは いくつかの困難が存在するように思える たと えば 連携の起点の 1 つである疑義照会に影響を与える因子として 医師と 薬剤師の関係 情報量の少なさ 気兼ねや忙しさ 相手の見えないコミュニ ケーション が指摘されている7 ① 医師と薬剤師の関係 医師と薬剤師の関係性は 両者が連携するにあたり 特に保険薬局の薬剤師 において非常に重要な要素になるかもしれない これは医師と薬剤師が従事し ている環境 つまり診療所 あるいは病院 と薬局との間に物理的な距離があ るためだ また 医師の処方箋に基づき 調剤を行う薬剤師の立場としては 治療方針を否定するような意見を 医師に述べにくい というような状況は 多々存在するだろう ② 情報量の少なさ 病院薬剤師は医師の診療録を直接参照できるうえに 患者との接触機会につ 2

1. 薬剤師からみた薬物療法を取り巻く現状いても恵まれた環境にあるといえよう. 少なくとも薬局で収集できる患者情報は限定的であることが多い. 医師の診療所と薬剤師の薬局という施設の独立性は, 患者情報の共有を阻害する傾向にあることは経験上明らかである. 処方箋に記載されている薬剤情報, および薬歴作成に必要な患者の体質, アレルギー歴, 副作用歴, 併用薬に関する情報などを除けば, 臨床的な情報は, 基本的に患者本人から収集するしかない. 近年では処方箋に臨床検査値を記載する医療機関も増えているようだが, まだまだ普及しているとはいえないだろう ( 第 2 章 1 ケース 7 参照 ). 薬局では血圧や臨床検査値などの詳細な臨床情報を収集することが困難なケースも多く, 患者によっては, 治療対象の病名や併用薬剤情報すらまともに入手できないこともある. 限られた情報下で, 妥当な薬物療法をいかに考えていくか, 悩みを抱える薬局薬剤師も多いはずだ. 3 気兼ねや忙しさこれは医師と薬剤師の関係性や, 医療従事者のコミュニケーション能力にもよるが, 疑義照会時に, 医師に対して自分の意見を気兼ねなく言える薬剤師はそう多くないように思える. また, 医師と薬剤師の関係性だけでなく, 多忙な医師への配慮という要素も, 疑義照会実践のハードルを上げるかもしれない. 患者側としても, 病院で待たされたうえに, 薬局でも待たされるのか という思いを抱くこともあり, 効率性という観点からも, 疑義照会すべきか悩む事例は多いだろう. 実際, 疑義照会は患者の待ち時間を増やすことが示されている 8). 4 相手の見えないコミュニケーションこれも, 医師と薬剤師がどのような関係性を構築しているかによって問題要素としての重要性は変化するかもしれない. 複数の医療機関から処方箋を応需している場合 ( いわゆる点分業薬局ではなく面分業薬局 ) では, 疑義照会が初めての医師とのコミュニケーション という事態は多い. 電話対応,FAX 対応では誤解を生じてしまうことも多々ありうる. 極言すれば疑義照会が行われる状況というものは, 業務上必要な一般的なコミュニケーションと比べてかなり異質な形態であると認識した方がよい. 初めて関わる医師に, 自分の意見をストレートに伝えることは ( それも限られた時間内での電話窓口で ) 多くの場合で困難といえるだろう. 3

第 1 章処方提案を行うための基本的な方法論これらの 4 つの要素は, 単独で疑義照会に影響を及ぼしているというよりは, それぞれの要素が複雑に重なり合いながら, 医師 薬剤師連携の障壁を形成しているように思われる. こうした障壁を乗り越えるためには, 臨床現場において, お互いに期待されている役割に関する考察を深めていく必要があるだろう. つまり, 医師と薬剤師の視点の相違を客観的に俯瞰し, どういった方向性や価値観で連携行動を開始すればよいのか, 熟考する必要があるということだ. 医師と薬剤師の視点の相違繰り返しになるが, 医師 薬剤師連携を円滑に行うためには, お互いに期待されている役割をしっかりと自覚する必要がある. 双方が望んでいない役割で連携しても, そこには信念対立 ( 第 1 章 6 参照 ) が生まれるだけだからだ. お互いはどんなことに関心があって, どんな行動を期待しているのだろうか. こうした期待が双方で違和感なく承認されなければ, 連携行動が破綻してしまうこともあるだろう. 本項では, 以降, 医師 薬剤師連携において, 家庭医と地域薬剤師の意見を収集した横断研究 9) の結果をもとに, それぞれの職種の視点を垣間みながら, 薬物療法を取り巻く現状を浮き彫りにしていこう. この研究はカナダにおける地域薬剤師と家庭医に, 連携行動に対する態度や経験, 望ましいコミュニケーション方法, 連携行動への障壁などについて調査したものである. 連携行動については, 多くの医師, 薬剤師が患者アウトカム向上に寄与すると考えている ( 図 1). ただし, 連携頻度は決して高くはない. この研究では, 薬剤師の 1/4, 医師の 1/3 が 日常的な連携は行っていない と回答している ( 図 2). 望ましい連携手段については, 直接面会が医師で 53.8%, 薬剤師で 88.9% と大きな乖離がみられる. また, この研究では文書による連携はあまり一般的ではなく, 電話対応が現実的という結果になっている ( 図 3). 4

1. 薬剤師からみた薬物療法を取り巻く現状 患者アウトカム改善のために 医師と薬剤師の連携を考慮する 94.8% 医師と薬剤師の連携により, 患者のアウトカムが改善される 99.5% 医療従事者との連携により, 患者のアウトカムが改善される 99.8% 図 1 連携行動に関する基本的な考え方 (Kelly DV, et al. Can Pharm J(Ott). 2013; 146: 218 26 9) ) めったに連携しない 35.5% 26.3% たまに連携する 37.5% 41.3% 頻繁に連携する 21.9% 28.7% 常に連携してきた 9.4% 3% 図 2 連携頻度 (Kelly DV, et al. Can Pharm J(Ott). 2013; 146: 218 26 9) ) 我が国では疑義照会に電話を使用することが多いように思えるが, 筆者としては, 電話による疑義照会で必ずしも満足な医師 薬剤師連携が得られるとは考えていない. 薬剤師の役割に関する薬剤師の意識としては,OTC 医薬品の評価, 患者カウンセリング, 副作用のマネジメント, 患者アドヒアランス向上支援, 薬物相 5

第 1 章処方提案を行うための基本的な方法論 面会 53.8% 88.9% 電話 75.0% 91.4% FAX 65.5% 82.8% 文書 48.1% 66.7% 図 3 望ましい連携手段 (Kelly DV, et al. Can Pharm J(Ott). 2013; 146: 218 26 9) ) 互作用に関するアドバイス, 処方箋調剤などが 90% を超えている ( 図 4). 我が国の薬剤師には処方権がないので, 意識が異なる部分があるかもしれないが, 全体的な傾向としては, 大きな相違はないように思う. また, 保険請求に関する情報支援は 7 割を下回っており, 他の項目に比べて, 関心が低いことが示されている. 一方, 薬剤師の役割に関する家庭医の認識においては, 先ほどの薬剤師の意識と重複している部分もあるが, 意見の不一致も垣間みえる. 医師としては処方箋調剤, 患者アドヒアランスの向上支援, また保険請求に関する情報支援に関して期待が強いようだ. 薬剤関連問題にはあまり期待していないという結果は興味深い ( 図 5). また, 連携を阻害する障壁として時間的問題, 報酬的問題, 人的問題などが挙げられている. これは我が国でも同様の問題かもしれない. それに加えて我が国では ( 他の国でもそうかもしれないが ) 伝統的な医師 薬剤師関係が存在する点は否めないだろう. 6