請負契約の定義 性質 1. 請負の意義 請負 とは 当事者の一方がある仕事を完成することを約し 相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する契約である ( 民法 632) 仕事 とは労務の結果により発生する結果をいい 有形 無形を問わない 完成 とは労務によってまとまった結果を発生させ

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資料 5 論点 2 CMR に求められる善管注意義務等の範囲 論点 3 CM 賠償責任保険制度のあり方 論点 2 CMR に求められる善管注意義務等の範囲 建築事業をベースに CMR の各段階に応じた業務内容 目的ならびに善管注意義務のポイントを整理 CM 契約における債務不履行責任において 善管注

標準請負契約約款の概要 標準請負契約約款は 請負契約の片務性の是正と契約関係の明確化 適正化のため 当該請負契約における当事者間の具体的な権利義務関係の内容を律するものとして 中央建設業審議会が公正な立場から作成し 当事者にその実施を勧告するもの 建設業法第 34 条第 2 項 建設業法 ( 昭和

財営第   号

プレゼンテーションタイトル

工事の定義 1. 工事 建設業法等に定義なし 建設業法における用例 : この法律において 建設工事 とは 土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう ( 建設業法第 2 条第 1 項 ) 出典 意味 広辞苑 明鏡国語辞典 デジタル大辞泉 振動規制法 ( 昭和 51 年法律第 64 号 )

第 2 条ガイアは 関係法令等及びこれに基づく告示 命令によるほか業務要領に従い 公正 中立の立場で厳正かつ適正に 適合審査業務を行わなければならない 2 ガイアは 引受承諾書に定められた期日までに住宅性能証明書又は増改築等工事証明書 ( 以下 証明書等 という ) を交付し 又は証明書等を交付でき

第三者による品質証明制度について 参考資料 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

4. 施工者とは 当該工事の受注者をいう ( 品質証明者 ) 5. 品質証明者とは 一定の資格及び実務経験を有し 施工者と品質証明業務について契約した組織又は個人で 以下の要件に該当しないものをいう 1 組織においては 以下のいずれかに該当する者 (1) 当該工事の施工者 (2) 当該工事の施工者と

羽生市標準委託契約約款 ( 総則 ) 第 1 条発注者及び受注者は この約款 ( 契約書を含む 以下同じ ) に基づき 別冊の仕様書 ( 現場説明書等を含む ) 及び図面 ( 以下 仕様書等 という ) に従い 日本国の法令を遵守し この契約を履行しなければならない 2 受注者は 契約書記載の業務

れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

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特別の事情 が認められる場合( 2) 特殊な技術 機器又は設備等 ( 以下 特殊技術等 という ) を必要とする工事で 特殊技術等を有する者と下請契約を締結しなければ契約の目的を達することができないことや その下請業者でなければ目的を達することが困難となることが明らかな場合 特別の事情 に該当しない

所において施工する場合 2 施工にあたり相互に調整を要する工事で かつ 工事現場の相互の間隔が 10km 程度の近接した場所において同一の建設業者が施工する場合 ( 別添 建設工事における現場代理人の常駐義務の緩和に係る取扱いについて に示す 参考 第 2 第 1 項第 3 号に定める該当工事 参照

くま畜産クラスター協議会畜産 酪農収益力強化整備等特別対策事業 ( 施設整備事業 ) に係る工事請負契約約款 ( 総則 ) 第一条発注者及び受注者は 各々が対等な立場において 日本国の法令を遵守して 互いに協力し 信義を守り この約款 ( 契約書を含む 以下同じ ) に基づき 設計図書 ( 添付の設

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様式第19号

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業務委託基本契約書

業務委託契約書 ( 案 ) 収入 印紙 1. 委託業務の名称 2. 委託業務の場所 3. 履行期間平成年月日から 平成年月日まで 4. 業務委託料金円 うち取引に係る消費税及び地方消費税の額金円 取引に係る消費税及び地方消費税の額 は 消費税法第 28 条第 1 項及び第 29 条並びに地方税法第

建設工事標準下請契約約款 昭和 52 年 4 月 26 日 中央建設業審議会決定 改正平成元年 1 月 24 日平成 9 年 1 月 21 日平成 12 年 10 月 2 日平成 13 年 3 月 1 日平成 14 年 2 月 12 日平成 15 年 2 月 10 日平成 15 年 10 月 31

に含まれるノウハウ コンセプト アイディアその他の知的財産権は すべて乙に帰属するに同意する 2 乙は 本契約第 5 条の秘密保持契約および第 6 条の競業避止義務に違反しない限度で 本件成果物 自他およびこれに含まれるノウハウ コンセプトまたはアイディア等を 甲以外の第三者に対する本件業務と同一ま

明確認書 を甲に提出する ( かし担保 ) 第 8 条乙は この契約締結後に かくれたかしがあることを発見しても 売買代金の減免若しくは損害賠償の請求又は契約の解除をすることができないものとする ただし 乙が消費者契約法 ( 平成 12 年法律第 61 号 ) 第 2 条第 1 項に規定する消費者

五有価証券 ( 証券取引法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう ) を取得させる行為 ( 代理又は媒介に該当するもの並びに同条第十七項に規定する有価証券先物取引 ( 第十号において 有価証券先物取引 という ) 及び同条第二十一項に規定する有価証券先

設計業務委託契約約款新旧対照表 新 ( 平成 28 年 4 月 1 日適用 )( 改正後 ) 旧 ( 改正前 ) 第 34 条受注者は 公共工事の前払金保証事業に関する法律 ( 昭和 27 年法律第 184 号 ) 第 2 条第 4 項に規定する保証事業会社 ( 以下 保証事業会社 という ) と

Microsoft Word - 01社会保険等加入対策に係る事務処理要領

01 契約書(案)

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A 消 A A A A 別紙のとおり 物品購入契約書 E A( 単価 ) 1 件名 2 品名及び規格別紙のとおり 3 契約期間平成年月日から 平成年月日まで 4 納 入 場 所 5 契 約 単 価 別紙のとおり うち取引に係る E 費税及び E 地方消費税の額 E 6 契約保証金免除 A 上記の物品

平成 30 年度新潟県自殺対策強化月間テレビ自殺予防 CM 放送業務委託契約書 ( 案 ) 新潟県 ( 以下 甲 という ) と ( 以下 乙 という ) とは 平成 30 年度新潟県自殺対 策強化月間テレビ自殺予防 CM 放送業務について 次の条項により委託契約を締結する ( 目的 ) 第 1 条

第 5 無効及び取消し 1 法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果について 次のような規律を設けるものとする (1) 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は 相手方を原状に復させる義務を負う (2) (1) の規定にかかわらず

とを条件とし かつ本事業譲渡の対価全額の支払と引き換えに 譲渡人の費用負担の下に 譲渡資産を譲受人に引き渡すものとする 2. 前項に基づく譲渡資産の引渡により 当該引渡の時点で 譲渡資産に係る譲渡人の全ての権利 権限 及び地位が譲受人に譲渡され 移転するものとする 第 5 条 ( 譲渡人の善管注意義

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Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

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贈与税の非課税措置にかかわる証明書等の発行業務約款

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

ただし 受注者が下請業者と直接契約を締結 ( 以下 一次下請契約 という ) した請負代金の総額が3,000 万円 ( 建築一式工事の場合は4,500 万円 ) 以上の場合は 次のとおり取り扱うものとする ア主管部長 ( 岐阜市契約規則 ( 昭和 39 年規則第 7 号 ) 第 4 条に規定する部長

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A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

福井県工事請負契約約款

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委託契約書(案)

宮城県道路公社建設工事総合評価落札方式(簡易型及び標準型)実施要領

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別記様式 2 地方整備局長 知事 支社支社長 印 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第 11 条 社会保険等未加入 業者 の通知について 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 以下 法 という ) 第 11 条に基づき 弊社の発注工事において社会保険等未加入業者の存在が

千葉県住宅供給公社土地購入希望に関する情報提供者に対する成約報酬制度要綱 ( 趣旨 ) 第 1 条この要綱は 千葉県住宅供給公社 ( 以下 公社 という ) の保有土地の分譲を促進するため 土地売買契約に至った契約者に関する情報を提供した者に対する成約報酬の取扱いについて定めるものとする ( 対象と

2 低入札対策の拡充

工事(単体)(表紙)【最新版】

( 検査 ) 第 8 条甲は 乙の業務にかかる契約履行状況について 作業完了後 10 日以内に検査を 行うものとする ( 発生した著作権等の帰属 ) 第 9 条業務によって甲が乙に委託して制作した成果物及び成果物制作のために作成された著作物の著作権及び所有権等は 著作権法第 21 条ないし第 28

第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

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Security Z 利用規約 第 1 条 ( 規約の適用 ) 東京ベイネットワーク株式会社 ( 以下 当社 といいます ) は この Security Z 利用規約 ( 以下 本規約 といいます ) に基づき Security Z サービス ( 以下 本サービス といいます ) を提供します 第

香芝 王寺環境施設組合一般廃棄物処理施設整備 運営事業に係る 契約の締結について 香芝 王寺環境施設組合一般廃棄物処理施設整備 運営事業に係る契約を締結したので 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 ( 平成 11 年法律第 11 7 号 ) 第 15 条第 3 項の規定に準じ

                            技管第  号

工事契約書(かがみ)

国土入企第 5 4 号 平成 31 年 2 月 22 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 技能労働者への適切な賃金水準の確保について 技能労働者の確保 育成のためには 適切な賃金水準の確保等による処遇改善が極めて重要です 国土交通省においては これまでの 6 度にわたる公共工事設計労

工事契約約款原稿

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2 契約保証金の納付免除等について 財務規則第 143 条において契約保証金の全部又は一部を免除することができる場合が定 められていますが 建設工事等及び建設工事等に係る委託の契約保証金の納付の免除等に ついては 次のとおり取り扱うこととします (1) 契約保証金の免除が認められない場合 建設工事等

づくすべての行為を共同企業体の代表者に対して行うものとし 発注者が当該代表者に対して行ったこの契約に基づくすべての行為は 当該企業体のすべての構成員に対して行ったものとみなし また 受注者は 発注者に対して行うこの契約に基づくすべての行為について当該代表者を通じて行わなければならない ( 関連工事の

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

2 センターは 前項の届出を受理したときは 当該利用者の設定を解除するものとする ( 設定票等の再発行 ) 第 7 条利用者は センターが交付した Web-EDI 機能利用情報の書類の再交付を申請するときは 様式 WE-04 号 Web-EDI 機能利用証等再交付申込書 に必要事項を記載して センタ

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2. 本サービスの申込者において 本規約に反する事由 本サービスへの申込みが適当でない と当社が判断する事由等がある場合には 当社は 本サービスへの申込みを承諾しないこ とがあります 第 5 条 ( 利用契約の成立時期 ) 1. 当社が当該申込みを承諾したときに利用契約が成立するものとします ネット

( 指名停止の期間の特例 ) 第 4 条有資格者が一の事案により別表各号の措置要件の二以上に該当したときは 当該措置要件ごとに規定する短期及び長期の最も長いものをもってそれぞれ指名停止の期間の短期及び長期とする 2 有資格者が次の各号の一に該当することとなった場合における指名停止の期間の短期は それ

工事請負契約書(案)

現場代理人及び主任技術者等の資格要件について 平成 30 年 9 月 18 日 本市では この度銚子市建設工事請負契約約款 ( 工事約款 ) を一部改正し 現場代理人の常駐義務を緩和する旨の規定 ( 工事約款第 12 条第 4 項 ) を追加しました これを受け 下記のとおり取り扱うこととしますので

じめ, 発注者の承諾を得た場合は, この限りでない 2 受注者は, 工事目的物並びに工事材料 ( 工場製品を含む 以下同じ ) のうち第 14 第 2 項の規定による検査に合格したもの及び第 38 第 3 項の規定による部分払のための確認を受けたものを第三者に譲渡し, 貸与し, 又は抵当権その他の担

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26-01 委託業務単価契約

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現場代理人及び配置技術者の取扱いについて 1 現場代理人の兼任について 現在 同一現場の工事など一部の工事間についてのみ現場代理人の兼任を認めておりますが 中津市公共工事請負契約約款第 10 条第 3 項の規定により 工事現場における運営 取締り及び権限の行使に支障がなく かつ 発注者 ( 監督員

( ウ ) 支出負担行為担当者は 工事監督員から理由書の送付があった場合は 特別の事情に該当するか否かを決定するものとする また 理由書が提出されなかった場合には 当該特別の事情を有しないものとみなして差し支えない イア以外の下請負人が社会保険等未加入建設業者である場合工事監督員は 当該社会保険等未

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4 受注者による社会保険等の加入状況の確認 (1) 確認方法 1 下請負契約の締結前に, 相手方の社会保険等への加入状況を, 保険料の領収済通知書等により確認してください ( 適用除外の場合, 除外事由を相手方から資料等で確認してください ) 2 下請負契約の締結後, 施工体制台帳等を作成し, 工事

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

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社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

社会保険等未加入業者との下請契約 (1 次 ) 禁止にかかる事務手続フロー 施工体制台帳により加入状況を確認 工事監督員 添付された加入を証明する書類にて確認します 未加入 加入 適用除外 契約担当に報告するとともに, 受注者に対し, 書面にて当該下請契約を締結した具体的な理由を記載した書面を提出す

Microsoft Word - 工事現場における施工体制点検マニュアル

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ウ譲渡人について倒産手続の開始決定があった場合エ債務者の債務不履行の場合 (3) 譲渡禁止特約付債権の差押え 転付命令による債権の移転 2 債権譲渡の対抗要件 ( 民法第 467 条 ) (1) 総論及び第三者対抗要件の見直し (2) 債務者対抗要件 ( 権利行使要件 ) の見直し (3) 対抗要件

残余財産

Ⅰ 概要について 一次下請契約者を社会保険等加入業者に限定します 平成 29 年 4 月 1 日以降に契約締結した工事において 受注者は 原則として社会保険等未加入業者を下請契約 ( 受注者が直接契約締結するものに限る 以下 一次下請契約 という ) の相手方としないこととします 追加 建設工事契約

建設工事請負契約約款

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市有地売却【公示:申込手引一式】

ア事業担当課長 ( 岐阜市上下水道事業部契約規程 ( 昭和 41 年水道部管理規程第 3 号 ) 第 4 条に規定する部長 ) は 工事請負契約約款第 7 条の2 第 2 項の規定に基づき 受注者に対して 期限を定め 当該下請契約を締結した具体的な理由を載した書面を求めるものとする ( 様式 1)

特別の事情 が認められる場合 ( 2) 特殊な技術 機器又は設備等 ( 以下 特殊技術等 という ) を必要とする工事で 特殊技術等を有する者と下請契約を締結しなければ契約の目的を達することができないことや その下請業者でなければ目的を達することが困難となることが明らかな場合 特別の事情 に該当しな

なお 受注者から指定した期日までに保険加入を確認できる書類が提出されない場合は 埼玉県流域下水道事業建設工事標準請負契約約款第 7 条の3 第 1 項の規定に違反することとなる旨を併せて通知します 3 発注者が 理由書 ( 一次 ) によっても当該特別の事情を有すると認めないと判断した場合は 受注者

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ごみ処理施設(建屋部)建設に係る設計施工監理業務委託共通仕様書

平成 第 年度 号 保管契約書 ( 有償 )

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資料 6 請負契約とその規律 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

請負契約の定義 性質 1. 請負の意義 請負 とは 当事者の一方がある仕事を完成することを約し 相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する契約である ( 民法 632) 仕事 とは労務の結果により発生する結果をいい 有形 無形を問わない 完成 とは労務によってまとまった結果を発生させることをいい 原則として自由に履行補助者や下請負人を使うことができる 報酬 は必ずしも金銭による必要はなく また 仕事の目的物の引渡と報酬の支払いは原則として同時履行の関係に立つ 2. 請負の成立 請負契約は諾成契約であり 何らの様式を必要としない 3. 請負契約の例 請負契約には 建設工事のほか 造船契約 運送契約 クリーニングの契約 洋服の仕立て契約等が存在する 4. 請負人の義務 責任 権利 請負人の仕事完成義務 1 適当な時期に仕事に着手し 契約に定められた仕事を完成しなければならない 仕事に着手しないとき 又は約定の期日までに仕事を完成しないときは 注文者は 債務不履行を理由に契約を解除できる ( 民法 541) 2 履行補助者を使用した場合には それらの行為についても注文者に責任を負わなければならない * 3 仕事を完成した後には その完成物を注文者に引き渡さなければならない 4 目的物が不可抗力によって滅失又は毀損した場合の危険負担 ( 増加費用等の発生した損害の負担 ) は 請負人の負担とされている ( 約款において注文者負担とされている ) 仕事を完成する義務があるものの 注文者の指図がなければその手法は問われない * 履行補助者の位置づけ ( 内田貴 民法第二部 ( 債権各論 ) より ) 下請負が許されているときは 下請負人は元請負人の履行代行者または履行補助者であるから 下請負人の故意過失につき元請負人は責任を負う 下請負が利用されても 注文者と元請負人との法律関係は何ら変更を受けず 注文者と下請負人との間には 直接の法律関係は生じない 1

請負契約の定義 性質 ( 続き ) 4. 請負人の義務 責任 権利 ( 続き ) 請負人の担保責任 1 仕事の目的物に瑕疵がある場合には注文者は原則として瑕疵修補請求権 損害賠償請求権及び契約解除権 ( 土地の工作物については解除は不可 ) を有する ( 民法 634 635) 2 担保責任の存続期間は 土地の工作物の場合 普通の工作物は 5 年 石造等の堅固な工作物は 10 年 ( 民法 638 ただし約款によって修正されている ) 請負人の権利注文者が破産手続き開始の決定を受けたときは 契約の解除をすることができる ( 契約解除によって生じた損害賠償は 破産管財人が契約解除をした場合の請負人のみが請求可能 )( 民法 642) 5. 注文者の義務 責任 権利 注文者の義務報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければならない ( 報酬支払義務 )( 民法 632 633) 注文者責任注文者の請負人に対する注文や指図について過失があったときは 注文者は 請負人が第三者に加えた損害を賠償しなければならない ( 民法 716 ただし書 ) 注文者の権利注文者は 請負人が仕事を完成しない間は 発生した損害を賠償して いつでも契約を解除することができる ( 民法 641) なお 損害賠償の範囲は逸失利益を含む 6. 請負契約と売買契約における印紙税の取扱い 印紙税法においては その契約が請負であるか売買であるかによって 適用される税率が異なる この点 請負であるか売買であるかの判断基準は 契約当事者の意思が 仕事の完成に重きをおいているか 物の所有権移転に重きをおいているかによって判断することとされている しかしながら 具体的な取引においては 必ずしもその判別が明確なものばかりではないことから その判別が困難な場合には 次のような基準で判断することとされている ( 例 ) 請負契約に該当するものと認められるもの 注文者の指示に基づき一定の仕様又は規格等に従い 製作者の労務によって工作物を建設することを内容とするもの ( 注文住宅の建築 橋梁の架設等 ) 売買契約に該当すると認められるもの 製作者が工作物をあらかじめ一定の規格で統一し これにそれぞれの価格を付して注文を受け 当該規格に従い 工作物を製作し 供給することを内容とするもの ( 建売住宅の供給等 ) 2

民法上の 請負 と建設業法上の 請負契約 請負 ( 民法 ) 建設工事の請負契約 ( 建設業法 ) 目的労務の成果の給付 ( 仕事の完成 ) 建設工事の完成 ( 建設業法 22) 定義 位置付け 契約の成立 契約履行の過程 方法 当事者の一方がある仕事を完成することを約し 相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する ( 民法 632) 契約自由の原則に基づき最小限の事項を規定 両当事者の合意のみによって成立 口約束も効力を有する 規定なし 委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず 報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約 ( 建設業法 24) 契約自由であるものの 建設工事を適切に請け負う上で建設業者が遵守すべき事項を規定 ( 遵守しないことを理由として契約そのものが無効であるとする強行規定はなし ) 一定の重要事項を記載した書面の交付義務 ( 建設業法 191) 契約の成立要件ではない 報酬の有無報酬あり ( 民法 632) 報酬あり ( 建設業法 24) 報酬支払時期目的物引渡しと同時 ( 民法 633) 民法改正により 途中段階での債務不履行の場合に 既履行分の報酬請求が可能となる 適正施工を図る等の観点から 一括下請負の禁止 ( 建設業法 22) 技術者設置義務 ( 建設業法 261) 等の加重要件あり 契約書毎に記載 ( 建設業法 191Ⅺ) 注文者から支払を受けた場合の下請への支払規定 ( 建設業法 24 の 31) 特定建設業者の下請への支払規定 ( 建設業法 24 の 51) あり 工期途中での解除の場合 発注者が出来形部分に相応する請負代金を支払う義務 ( 公共約款 501 甲約款 361 乙約款 246 下請約款 353) 前払金規定なし注文者の前払金を想定した規定あり ( 建設業法 191Ⅳ 21 24 の 32) 途中段階で必要となった費用の負担 債務不履行時の損害賠償責任 瑕疵担保責任 規定なし 損害賠償請求権あり ( 民法 415) 瑕疵修補請求権 (+ 損害賠償請求権 ) あり ( 民法 63412) 公共工事における前払金に関する各種規定あり ( 公共約款 34 等 ) 契約書毎に記載 ( 建設業法 195) 設計変更等があった場合の発注者による請負代金額の変更規定等 ( 公共約款 25 甲約款 32 乙約款 22 下請約款 20) あり 契約書毎に記載 ( 建設業法 191ⅩⅢ) 解除に伴う違約金や損害賠償の規定あり ( 公共約款 472 甲約款 341 乙約款 241 下請約款 355 等 ) 契約書毎に記載 ( 建設業法 191Ⅻ) 工事目的物に瑕疵がある場合の瑕疵修補請求権及び損害賠償請求権に関する規定あり ( 公共約款 44 甲約款 29 乙約款 19 下請約款 33) 3

請負と委任の相違 請負契約 定義仕事の完成に対して対価を支払う契約 ( 民法 632) 報酬請求の根拠 成果実現の危険 発注者解除 仕事の完成 請負者が負担 損害を賠償した上でいつでも契約を解除することができる ( 民法 641) 委任契約 法律行為をすることを相手に委託する契約 ( 民法 643) 法律行為でない事務を委託する場合は 準委任契約として 委任の規定を準用 一定の事務の処理 ( 仕事の完成の有無にかかわらない ) 委任者が負担 いつでも契約を解除することができる ( 民法 6511) ただし 相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは 相手方の損害を賠償しなければならない ( 民法 6512) 建設工事は 仕事完成義務の観点からは請負契約である 他方 片務性の是正のため 報酬の支払時期等注文者に一定のリスク負担を求めていることや 受注者が注文者の技術者等の指導に従うこと等を踏まえれば 一部 準委任的な性質を帯びているとする考え方もある 請負契約と判断された例 コンピュータープログラムの製作を目的とする契約において 完成はしなかったがソフトウェア業者から報酬請求がなされた事案 判決 : 契約上 ソフトウェア業者はプログラムの完成義務を負っており 本件契約は請負契約と解される よって プログラムを作成できなかったソフトウェア業者は代金請求権を有しない 委任契約と判断された例 清掃会社とビル管理会社とのビル清掃契約において 契約期間満了前にビル管理会社が契約を解除した事案 判決 : 契約の継続的な性質に照らせば 本件契約は請負契約ではなく準委任契約と解され 委任の規定が適用される 委任契約では 委任者側はいつでも契約を解除できることから 清掃会社による損害賠償請求は認められない 参考: 浄化槽法における規定 第 10 条第 3 項浄化槽管理者は 浄化槽の保守点検を 浄化槽の保守点検を業とする者の登録制度が設けられている場合には当該登録を受けた者に 又は浄化槽の清掃を浄化槽清掃業者に委託することができる 第 28 条第 4 項浄化槽工事の注文者は その浄化槽工事の請負契約を解除することができる 4

建設業法第 24 条の趣旨 建設業法第 24 条において 報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は 委託その他 いかなる名義をもつてするかを問わず 建設工事の請負契約とみなす 旨が規定されている これは 現実に締結される契約は 建設工事の完成を目的としているものであっても 必ずしも請負という 名義を用いていない場合があることから 本法の適用の対象を明確にし 脱法行為を防ぐために設けら れたものである 本条により 委託 雇用 委任その他如何なる名義を用いるもので有ろうと 実質的に報酬を得て建設 工事の完成を目的として締結する契約はすべて建設工事の請負契約とみなされ このような行為をする 者に対しては 本法の規定が適用される ( 参考 ) 建設工事を請負契約によって完成することを営業とする者のみを対象と致しますときは 実際は業態において本来の請負と差異はないにもかかわらず委託等の名義によって工事を行い故意にこの法律の適用を免れる者の生じる虞もあり 不適当と認められますので 斯る場合を防止することを意図したものであります ( 建設業法制定当時の質疑応答資料から抜粋 ) 5

建設業法と約款の関係 約款とは 契約に定められた契約当事者間等の具体的な権利義務関係を定めた条項をいう 建設工事においては 契約内容に不確実性 ( 金額や工期 天災等 ) があり また 契約者の一方に片務性が生じうる可能性がある このため 契約関係の明確化 適正化と片務性を解消すべく 建設業法第 3 章において 契約の書面主義をはじめとした請負契約の適正化のための規定を置いている 加えて 請負契約の当事者間の具体的な権利義務関係の内容を律するため 建設業法第 34 条第 1 項に規定される中央建設業審議会においては 建設業法の制定当時より 建設工事の標準請負契約約款を作成し その実施を勧告している 勧告先 : 公共発注者 ( 国 地方公共団体 JR 電気 ガス会社等 ) 建設業団体 民間建築関係団体 公共工事標準請負契約約款 民間建設工事標準請負契約約款 ( 甲 ) 及び ( 乙 ) 建設工事標準下請契約約款 また 民間 ( 旧四会 ) 連合協定工事請負契約約款委員会や 建設業団体 ( 日建連 全建等 ) も 約款を含めた各種の契約書を策定しており 実際の契約に用いられている 建設業法に定められる請負契約の内容と公共約款での規定の対比 ( 一例 ) 建設業法 第 19 条第 1 項第 5 号当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更 請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め 公共工事標準請負契約約款 第 19 条発注者は 必要があると認めるときは 設計図書の変更内容を受注者に通知して 設計図書を変更することができる この場合において 発注者は 必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し 又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない ( 発注者による設計変更 ) 第 20 条第 1 項工事用地等の確保ができない等のため又は暴風 豪雨 洪水 高潮 地震 地すべり 落盤 火災 騒乱 暴動その他の自然的又は人為的な事象 ( 以下 天災等 という ) であって受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため 受注者が工事を施工できないと認められるときは 発注者は 工事の中止内容を直ちに受注者に通知して 工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない ( 発注者による工事の中止 ) 6

公共工事標準請負契約約款の構成 第 1 条 総則 第 2 条 関連工事の調整 第 3 条 請負代金内訳書及び工程表 第 4 条 契約の保証 第 5 条 権利義務の譲渡等 第 6 条 一括委任又は一括下請負の禁止 第 7 条 下請負人の通知 第 8 条 特許権等の使用 第 9 条 監督員 第 10 条 現場代理人及び主任技術者等 第 11 条 履行報告 第 12 条 工事関係者に関する措置請求 第 13 条 工事材料の品質及び検査等 第 14 条 監督員の立会い及び工事記録の整備等 第 15 条 支給材料及び貸与品 第 16 条 工事用地の確保等 第 17 条 設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等 第 18 条 条件変更等 第 19 条 設計図書の変更 第 20 条 工事の中止 第 21 条 受注者の請求による工期の延長 第 22 条 発注者の請求による工期の短縮等 第 23 条 工期の変更方法 第 24 条 請負代金額の変更方法等 第 25 条 賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更 第 26 条 臨機の措置 第 27 条 一般的損害 第 28 条第三者に及ぼした損害 第 29 条第 30 条第 31 条第 32 条第 33 条第 34 条第 35 条第 36 条第 37 条第 38 条第 39 条第 40 条第 41 条第 42 条第 43 条第 44 条第 45 条第 46 条第 47 条第 48 条第 49 条 第 50 条第 51 条第 52 条第 53 条第 54 条第 55 条 不可抗力による損害請負代金額の変更に代える設計図書の変更検査及び引渡し請負代金の支払い部分使用前金払及び中間前金払保証契約の変更前払金の使用等部分払部分引渡し債務負担行為に係る契約の特則債務負担行為に係る契約の前金払 [ 及び中間前金払 ] の特則債務負担行為に係る契約の部分払の特則第三者による代理受領前払金等の不払に対する工事中止瑕疵担保履行遅滞の場合における損害金等公共工事履行保証証券による保証の請求発注者の解除権 受注者の解除権解除に伴う措置火災保険等あっせん又は調停仲裁情報通信の技術を利用する方法補則 公共約款を受け国土交通省が作成している契約書においては 下請の社会保険加入義務や談合に係る違約金を課す等の追加的規定を置いている 7

CM( コンストラクション マネシ メント ) 方式の概要 CM 方式とは発注者の補助者 代行者であるCMR( コンストラクション マネーシ ャー ) が 技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って 設計の検討や工事発注方式の検討 工程管理 コスト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うもの 段階 設計段階 発注段階 施工段階 業務内容 1 設計候補者の評価 2 設計の検討支援 3 設計 VE 等 1 発注区分 発注方式の提案 2 施工者の公募 評価 3 工事価格算出の支援 4 契約書類の作成 アドバイス等 1 施工者間調整 2 工程計画作成 管理 3 施工図チェック 4 品質管理チェック 5 コスト管理等 業務内容は発注者のニーズによって取捨選択 ピュア型 CM CMR が 設計 発注 施工の各段階において マネジメント業務を行う方式 設計 建設コンサルタント C M R 発注者 建設会社 マネシ メント 施工 建設会社 建設会社 アットリスク型 CM 左記のマネジメント業務を加えて CMR が施工に関するリスクを負う方式 建設コンサルタント マネシ メント 設計 発注者 マネシ メント 建設会社 C M R 施工 建設会社 建設会社 期待される効果多様な建設生産 管理システムの形成による発注者の選択肢の多様化コスト構成の透明化とそれによる適正価格の把握発注プロセスの透明性の確保とステークホルダー ( 株主 納税者等 ) への説明責任設計 発注 施工の各段階における民間のマネジメント技術の活用品質管理の徹底発注体制の強化 ( 発注者内技術者の量的 質的補完 ) 品質 技術に優れた施工者の育成 ( 特に専門工事業者 ) マネジメントのフィービジネスとしての確立 建設企業の活動領域の拡大の促進 ( 建設工事の上流 下流 PFI PPP 等 ) 建設企業にとってノウハウの提供による収入源の確保 海外での活用事例 アメリカ民間工事では 1960 年代より活用されており 一般的に広く普及 工事の発注方式として主要な方式の一つとなっている 公共工事でも採用されている イギリス民間工事では一般的に広く普及 公共工事でも活用されている フランス ドイツ民間工事では一部活用されている 8

工事請負契約との類似性を踏まえた CM 方式の取扱い CM 方式における発注者と CMR との契約には 以下のように工事請負契約と類似する点が見られる ( 例 ) アットリスク型 CM の場合 CMR が施工に係るリスク ( 最大保証金額を超えた場合の超過分について CMR が負担 ) を負うことがある 危険負担について請負人が負担することとされていることとの類似性 CMR が建設会社 ( 専門工事業者 ) と直接工事請負契約を締結した場合 発注者と建設会社との間に契約関係は生じず CMR が発注者に対し建設会社の保証人的責任を負うことがある 建設会社が下請 ( 履行補助者 ) に相当することとの類似性 建設工事を目的とする観点で 工事請負契約と共通している CM 方式について どのように扱うべきか 9

規律公共工事民間工事受注者に対する規律公共工事と民間工事における受発注者の規律 1 監理技術者の配置要件 主任技術者 監理技術者の専任要件 4,000 万円以上 ( 建築一式工事は 6,000 万円以上 ) の下請契約を締結する場合 ( 業法 26Ⅱ) 公共性のある施設 工作物又は多数の者が利用する施設 工作物で 契約金額が 3,500 万円以上 ( 建築一式工事は 7,000 万円以上 ) の場合 ( 業法 26Ⅲ) 一括下請負の禁止 全面禁止 ( 入契法 12) 施工体制台帳の作成 備置き 全ての工事において作成 備置きが必要 ( 入契法 15) 4,000 万円以上 ( 建築一式工事は 6,000 万円以上 ) の下請契約を締結する場合 ( 業法 26Ⅱ) 公共性のある施設 工作物又は多数の者が利用する施設 工作物で 契約金額が 3,500 万円以上 ( 建築一式工事は 7,000 万円以上 ) の場合 ( 業法 26Ⅲ) 共同住宅の新築以外の工事で 発注者から書面による承諾を得たときは 一括下請負が可能 ( 業法 22) 特定建設業者 ( ) のみ作成 備置きが必要 ( 業法 24 の 7) 建設工事の見積り 下請代金の支払 下請負人に対する指導 見積りの努力義務及び注文者から請求があった場合の提示義務 ( 業法 20) 請負代金の支払を受けてから 1 月以内に 下請に対して下請代金を支払う義務 ( 法 24 の 3) 下請負人が当該工事の施工に関し法令の規定に違反しないよう指導する義務 ( 業法 24 の 6) 見積りの努力義務及び注文者から請求があった場合の提示義務 ( 業法 20) 請負代金の支払を受けてから 1 月以内に 下請に対して下請代金を支払う義務 ( 法 24 の 3) 下請負人が当該工事の施工に関し法令の規定に違反しないよう指導する義務 ( 業法 24 の 6) 経営事項審査の受審 許可行政庁による指導 助言 勧告 許可行政庁による公取への措置請求 事業年度ごとに受審義務 ( 業法 27 の 23) ( 各発注者の入札参加資格要件に位置付けられている ) 許可行政庁から建設業者に対して指導 助言 勧告が可能 ( 業法 41) 不当に低い請負代金で契約を締結し 独禁法違反と認められるときは 公取に対して独禁法に基づく措置を請求することが可能 ( 業法 42) 過去の発動事例無し 義務無し 許可行政庁から建設業者に対して指導 助言 勧告が可能 ( 業法 41) 不当に低い請負代金で契約を締結し 独禁法違反と認められるときは 公取に対して独禁法に基づく措置を請求することが可能 ( 業法 42) 過去の発動事例無し 特定建設業者 4,000 万円以上 ( 建築一式工事にあっては 6,000 万円以上 ) の下請契約を締結する事業者 10

規律公共工事民間工事発注者に対する規 義務無しその他公共工事と民間工事における受発注者の規律 2 律受注者が欠格事由に該当する場合の許 通報義務( 入契法 11) 契約内容の明示 書面の交付義務( 契約当事者双方の義務 ) ( 業法 19) 自己の取引上の地位を不当に利用した 原価に満たない金額で 不当に低い請負代金 の請負契約締結の禁止 ( 業法 19の3) の禁止 違反した場合 許可行政庁による勧告 ( 業法 19の5) 発注見通しや入札契約の課程の公表 公表義務( 入契法 4~ 8) 発注者による入札金額の内訳の提出 内訳を記載した書類の提出義務( 入契法 12) 可行政庁への通報 発注者の責務 前払金の支払い 予定価格の適正な設定 適正な予定価格に沿った速やかな契約締結 最低制限価格の設定 適正な工期の設定 適切な設計図書の変更及び請負代金の額又は工期の変更 施工状況の確認及び評価の実施 ( 品確法 7 各号 ) 監督や検査の実施( 会計法 29の11 地方自治法 234の2) 会計法 地方自治法に基づき 発注者は原則 4 割の前払金を支払 前払保証法に基づき 前払保証会社が保証 書面の交付義務 ( 契約当事者双方の義務 ) ( 業法 19) 自己の取引上の地位を不当に利用した 原価に満たない金額での請負契約締結の禁止 ( 業法 19の3) 勧告規定無し ( ただし 発注者が建設業者の場合は 業法 41により 必要な助言指導が可能) 義務無し 義務無し 義務無し 前払金の支払は任意 前払保証会社による保証は無し 11

他法令における規律の例 宅地建物取引業法 ( 昭和 27 年法律第 176 号 ) 特定商取引に関する法律 ( 昭和 51 年法律第 57 号 ) 割賦販売法 ( 昭和 36 年法律第 159 号 ) 消費者契約法 ( 平成 12 年法律第 61 号 ) 自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限 ( 法 33 の 2) 取引態様の明示義務 ( 法 34) 媒介契約時の書面交付義務等 ( 法 34 の 2) 重要事項の説明義務 ( 法 35) 当事者としての契約時の書面交付義務 ( 法 37) 訪問販売について 訪問販売における氏名等の明示 ( 法 3) 契約を締結しない旨の意思表示をした者に対する勧誘の禁止等 ( 法 3 の 2) 訪問販売における書面交付義務 ( 法 4 5) 不実のことを告げる行為の禁止等 ( 法 6) 契約の申込みや意思表示の取消等 ( 法 9~ 9 の 3) 割賦販売について 割賦販売条件の表示等 ( 法 3) 契約締結時の書面交付義務 ( 法 4) 事業者の行為で誤認した際の契約申込み 承諾意思表示の取消し( 法 4) 事業者の損害賠償の責任を免除する条項は無効である旨( 法 8) 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効( 法 9) 消費者の利益を一方的に害する条項の無効( 法 10) 12

新たに検討すべき規律 担い手確保や働き方改革 生産性向上 消費者保護といった政策的要請を踏まえ 建設工事に関して受発注者間で備えるべき規律にはどのようなものが考えられるか ( 例 ) 担い手確保や働き方にも配慮した適正な工期や請負代金額の設定 それを実現するための責務 消費者保護の観点から 発注経験がほとんどない個人発注者等への説明する責務 生産性向上の観点から 発注者が用意する設計図書の密度や受注者からの問い合わせへの対応 13