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妊娠分娩と産褥期の管理 ならびに新生児の医療に必要な基礎知識とともに 育児に必要 な母性とその育成を学ぶ また妊産褥婦に対する投薬の問題 治療や検査をする上での制限な どについての特殊性を理解することはすべての医師に必要不可欠である 2. 行動目標 (SBO: Specific Behavior O

Ⅰ)長野市民病院の理念

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一般内科

系統看護学講座 クイックリファレンス 2012年 母性看護学

1) 専門研修基幹施設 藤田保健衛生大学病院 ( 総合型研修病院 ) 指導責任者 藤井多久磨 良性から悪性までの全ての婦人科疾患 母体 胎児救命を含む全ての周産期疾患 腹 腔鏡から体外受精まであらゆる生殖内分泌疾患 女性ヘルスケアなど非常に豊富な症 例をそれぞれの専門家による指導にて研修することがで

研修計画

B. 自治医科大学専門研修プログラムの具体例 産婦人科研修プログラムは 自治医科大学附属病院の 4 年間の後期研修プログラムにおける専門コースの一部ではじめの 3 年間が本プログラムに相当する 専攻医は3 年間で修了要件を満たし ほとんどは専門医たる技能を修得したと認定されると見込まれる 修了要件を

系統看護学講座 クイックリファレンス 2013年7月作成

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

含む ) 周産期 生殖 内分泌 女性のヘルスケアの4 領域を万遍なく研修することが可能となる 産婦人科専攻医の研修の順序 期間等については 個々の専攻医の希望と研修進捗状況 各施設の状況 地域の医療体制を勘案して 産婦人科研修プログラム管理委員会が決定する B. 産婦人科研修プログラムの具体例 専門


総合診療

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豊川市民病院 バースセンターのご案内 バースセンターとは 豊川市民病院にあるバースセンターとは 医療設備のある病院内でのお産と 助産所のような自然なお産という 両方の良さを兼ね備えたお産のシステムです 部屋は バストイレ付きの畳敷きの部屋で 産後はご家族で過ごすことができます 正常経過の妊婦さんを対

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平成18年度九州歯科大学附属病院 歯科医師臨床研修プログラム


女性の下腹痛

桜町病院対応病名小分類別 診療科別 手術数 (2017/04/ /03/31) D12 D39 Ⅳ G64 女性生殖器の性状不詳又は不明の新生物 D48 その他及び部位不明の性状不詳又は不明の新生物 Ⅲ 総数 構成比 (%) 該当無し Ⅰ 感染症及び寄生虫症 Ⅱ 新生物 C54 子宮体部

胎児計測と胎児発育曲線について : 妊娠中の超音波検査には大きく分けて 5 種類の検査があります 1. 妊娠初期の超音波検査 : 妊娠初期に ( 異所性妊娠や流産ではない ) 正常な妊娠であることを診断し 分娩予定日を決定するための検査です 2. 胎児計測 : 妊娠中期から後期に胎児の発育が正常であ

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Ⅰ. 女性性器の超音波検査 一般目標子宮 卵巣 卵管 腟 外陰の超音波検査における基本事項と正常および病的状態の超音波所見を理解し, 診断および治療に結び付けることができる. 解剖 生理 [ 子宮 ] (a-1) 経腹走査による子宮の超音波像を説明できる. (c-2) 経腟走査による子宮の超音波像を

指導担当医 笹川寿之 ( ささがわとしゆき ) 教授 専門分野婦人科腫瘍学 腫瘍ウイルス学 日本臨床細胞診専門医 得意な分野婦人科腫瘍 ヒトパピローマウイルス 藤井亮太 ( ふじいりょうた ) 准教授 ( 併 ) 専門分野生殖内分泌学 得意な分野ホルモン療法 富澤英樹 ( とみざわひでき ) 専門分

その最初の日と最後の日を記入して下さい なお 他の施設で上記人工授精を施行し妊娠した方で 自施設で超音波断層法を用いて 妊娠週日を算出した場合は (1) の方法に準じて懐胎時期を推定して下さい (3)(1) にも (2) にも当てはまらない場合 1 会員各自が適切と考えられる方法を用いて各自の裁量の

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資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

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診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

A) 専門医教育到達目標の設定と教育ポリシー 1. 本プログラムの理念および趣旨本プログラムは産科婦人科専門医取得のための総合的研修を目的としたものである 基幹研修施設としての大阪市立大学医学部附属病院産科婦人科を中心に関連施設の地域中核病院産婦人科が一つの医療圏を形成し 相互補完しあっていることが

1) 基幹施設 旭川医科大学病院 指導責任者千石一雄 メッセージ 旭川医科大学産婦人科のセールスポイントは 1) 周産期医療 婦人科がん診療 生殖医療 女性ヘルスケアのすべての領域を網羅する豊富な症例 2) 熱い指導体制 3) 臨床 基礎研究の遂行などリサーチマインドの涵養が十分可能な環境である 産

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全な生殖補助医療を含めて, それぞれの選択肢を示す必要がある. 3 種類の HIV 感染カップルの組み合わせとそれぞれの対応 1. 男性が HIV 陽性で女性が陰性の場合 体外受精この場合, もっとも考慮しなければいけないことは女性への感染予防である. 上記のように陽性である男性がすでに治療を受けて

到達目標自己評価性分化異常について説明できる 思春期女性の生理と病理について概説できる 更年期女性の生理 更年期障害について説明できる 子宮下垂 脱について説明できる 精巣の組織構造と精子形成の過程を説明できる 陰茎の組織構造と勃起 射精の機序を説明できる 精液検査の方法と正常値を説明できる 男性不


脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

配偶子凍結終了時 妊孕能温存施設より直接 妊孕能温存支援施設 ( がん治療施設 ) へ連絡がん治療担当医の先生へ妊孕能温存施設より妊孕能温存治療の終了報告 治療内容をご連絡します 次回がん治療の為の患者受診日が未定の場合は受診日を御指示下さい 原疾患治療期間中 妊孕能温存施設より患者の方々へ連絡 定

ギガンジウム 子宮頚癌予防ワクチン接種開始 1 年を経過して 我が国では毎年多くの人が癌で亡くなっています ( 死亡率の第 1 位 ) なかでも子宮頸癌は 我が国において毎年 15,000 人の方が罹患 (8,000 人は初期癌 ) し 昨年は 2,486 人の方が亡くなっています これは 20 ~

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

補綴歯科専門医研修プログラム作成指針 公益社団法人日本補綴歯科学会 1

賀茂精神医療センターにおける精神科臨床研修プログラム 1. 研修の理念当院の理念である 共に生きる 社会の実現を目指す に則り 本来あるべき精神医療とは何かを 共に考えて実践していくことを最大の目標とする 将来いずれの診療科に進むことになっても リエゾン精神医学が普及した今日においては 精神疾患 症

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生活保護医療券 財務経理部医事室 受給者の確認 登録 1 住所 2 氏名 3 生年月日 4 公費番号 国立長寿医療研究センターで生活保護医療を受けた患者様 行政機関からの通知 ( 所在地 ) 愛知県大府市森岡町源吾 35 訂正及び利用停止について 他の法律又はこれに基づく命令の規定に

小児外科学 (-Pediatric Surgery-) Ⅰ 教育の基本方針小児外科は 子供 (16 歳未満 ) の一般外科と消化器外科を扱う科です 消化器 一般外科学並びに小児外科学に対する基礎医学から臨床にわたる幅広い知識をあらゆる診断 治療技術を習得し 高い技術力と探究心及び倫理観を兼ね備えた小

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1 卵胞期ホルモン検査 ホルモン分泌に関して卵巣や脳が正常に機能しているかを知る目的で測定します FSH; 卵胞刺激ホルモン脳の下垂体から分泌されて 卵子を含む卵胞を成長させる作用を持ちます 低いと卵胞の成長がおきませんが 卵巣の予備能力が低下している時には反応性に高くなります LH; 黄体化ホルモ

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甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成



160号1P表紙

臨床研修の目標の概要 歯科医師として好ましい態度 習慣を身に付け 頻度の高い歯科治療処置を確実に実施できるようになり 生涯にわたりより広範囲の歯科医療について知識 技能を習得する態度を養い 生涯研修の第一歩とすることである 社会に貢献し 国民の健康増進に寄与する歯科医となるよう以下を目標とする 1

H1

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平成18年度卒業試験(第3回)

多量の性器出血があったとき 装着後数ヵ月以降に月経時期以外の 発熱をともなう下腹部痛があったとき 性交時にパートナーが子宮口の除去糸に触れ 陰茎痛を訴えたとき 脱出やずれが疑われる * 症状があるとき ( 出血や下腹部の痛み 腰痛の症状が続くなど ) * ご自身で腟内の除去糸を確認して脱出の有無を確

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受付 母子受付 妊婦受付の設置 各書類と筆記用具 書類箱の準備 リーダー * 具体的な責任者名 あるいは役職を書くを確認する 受付と案内 (* 具体的な場所を書くに配置 ) の要員振り分け < 母子 妊婦到着時 > 母子は母子受付 妊婦は妊婦受付へ案内する 父親は体育館に入る * 家族の部屋を明記す

北海道医療大学歯学部シラバス

【1

はじめに 連携パス とは 地域のと大阪市立総合医療センターの医師が あなたの治療経過を共有できる 治療計画表 のことです 連携パス を活用し と総合医療センターの医師が協力して あなたの治療を行います 病状が落ち着いているときの投薬や日常の診療はが行い 専門的な治療や定期的な検査は総合医療センターが

妊よう性とは 妊よう性とは 妊娠する力 のことを意味します がん治療の影響によって妊よう性が失われたり 低下することがあります 妊よう性を残す方法として 生殖補助医療を用いた妊よう性温存方法があります 目次 はじめにがん治療と妊よう性温存治療抗がん剤治療に伴う卵巣機能低下について妊娠の可能性を残す方

体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常

2009年8月17日

消化性潰瘍(扉ページ)

9. 子宮内膜増殖症から子宮内膜癌までの病理発生機転 病理学的分類を説明できる 10. 子宮体癌の臨床進行期分類 症状と診断法 標準的治療法を説明できる 11. 子宮肉腫 癌肉腫の組織学的分類と臨床態度 診断法 治療法 予後を説明できる 12. 卵巣腫瘍の病理組織発生学的分類 良性 悪性 境界悪性に

9. 子宮内膜増殖症から子宮内膜癌までの病理発生機転 病理学的分類を説明できる 10. 子宮体癌の臨床進行期分類 症状と診断法 標準的治療法を説明できる 11. 子宮肉腫 癌肉腫の組織学的分類と臨床態度 診断法 治療法 予後を説明できる 12. 卵巣腫瘍の病理組織発生学的分類 良性 悪性 境界悪性に

児に対する母体の甲状腺機能低下症の影響を小さくするためにも 甲状腺機能低下症を甲状腺ホル モン薬の補充でしっかりとコントロールしておくのが無難と考えられます 3) 胎児 新生児の甲状腺機能低下症 胎児の甲状腺が生まれながらに ( 先天的に ) 欠損してしまう病気があります 通常 妊娠 8-10 週頃

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婦人科がん検診Q&A

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検査項目情報 1174 一次サンプル採取マニュアル 4. 内分泌学的検査 >> 4F. 性腺 胎盤ホルモンおよび結合蛋白 >> 4F090.HCGβ サブユニット (β-hcg) ( 遊離 ) HCGβ サブユニット (β-hcg) ( 遊離 ) Department of Clinical Lab

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産婦人科 Ⅰ プログラムの名称日野市立病院産婦人科初期臨床研修プログラム Ⅱ プログラムの運営日野市立病院臨床研修管理委員会を中心として運営 管理し 産婦人科に配属された研修医に対しては, 臨床経験 4 年以上の上級医が各々組み合わせとなり, 直接指導を行い, 診療計画の推進にあたる Ⅲ プログラムの指導者田島泰宏 ( 日本産婦人科学会専門医 ) 柳下玲子 ( 産婦人科専門医 超音波専門医 臨床遺伝専門医 ) 斎藤將也 ( 日本産婦人科学会専門医 ) Ⅳ 一般目標 (1) 女性特有の疾患による救急医療を研修する 卒後研修目標の一つに 緊急を要する病気を持つ患者の初期診療に関する臨床能力を身につける とあり, 女性特有の疾患に基づく救急医療を研修する必要がある これらを的確に鑑別し初期治療を行うための研修を行う (2) 女性特有のプライマリケアを研修する 思春期, 性成熟期, 更年期の生理的, 肉体的, 精神的変化は女性特有のものである 女性の加齢と性周期に伴うホルモン環境の変化を理解するとともに, それらの失調に起因する諸々の疾患に関する系統的診断と治療を研修する これら女性特有の疾患を有する患者を全人的に理解し対応する態度を学ぶことは, リプロダクティブヘルスへの配慮あるいは女性の QOL 向上を目指したヘルスケア等,21 世紀の医療に対する社会からの要請に応えるもので, 全ての医師にとって必要不可欠のことである (3) 妊産褥婦ならびに新生児の医療に必要な基本的知識を研修する 妊娠分娩と産褥期の管理ならびに新生児の医療に必要な基礎知識とともに, 育児に必要な母性とその育成を学ぶ また妊産褥婦に対する投薬の問題, 治療や検査をする上での制限等についての特殊性を理解することは全ての医師に必要不可欠なものである 44

Ⅴ 行動目標 (1) 患者 医師関係 患者の社会的側面を配慮した意思決定ができる 守秘義務の徹底 (2) チーム医療 (3) 問題対応能力 (4) 安全管理 (5) 医療面接 患者の的確な問診ができる コミュニケーションスキルの習得 (6) 症例呈示 (7) 診療計画 クリニカルパスの活用 リハビリテーション, 在宅医療, 介護を含めた総合的治療計画に参画できる (8) 医療の社会性 医療保険制度 麻薬の取り扱い 文書の記録 管理について Ⅵ 経験目標 A 基本的産婦人科診療能力 1) 問診及び病歴の記載患者との間に良いコミュニケーションを保って問診を行い, 総合的かつ全人的に patient profile をとらえることができるようになる 病歴の記載は 問題解決志向型病歴 (Problem Oriented Medical Record : POMR) を作るように工夫する 1 主訴 2 現病歴 3 月経歴 4 結婚 妊娠 分娩歴 5 家族歴 6 既往歴 2) 産婦人科診察法産婦人科診療に必要な基礎的態度 技能を身につける 1 視診 ( 一般的視診および腟鏡診 ) 2 触診 ( 外診, 双合診, 内診, 妊婦の Leopold 触診法など ) 3 直腸診, 腟 直腸診 4 穿刺診 (Douglas 窩穿刺, 腹腔穿刺その他 ) 5 新生児の視察 (Apgar score, Silverman score その他 ) 45

B 基本的産婦人科臨床検査 : 以下の項目について自分で検査ができる 産婦人科診療に必要な種々の検査を実施あるいは依頼し, その結果を評価して, 患者 家族にわかりやすく説明することが出来る 妊産褥婦に関しては禁忌である検査法, 避けた方が望ましい検査法があることを十分に理解しなければならない 1) 婦人科内分泌検査 ( 経験が求められる疾患 病態 の項参照 ) 1 基礎体温表の診断 2 各種ホルモン検査 2) 不妊検査 ( 経験が求められる疾患 病態 の項参照 ) 1 卵管疎通性検査 2 精液検査 3) 妊娠の診断 ( 経験が求められる疾患 病態 の項参照 ) 1 免疫学的妊娠反応 2 超音波検査 4) 感染症の検査 ( 経験が求められる疾患 病態 の項参照 ) 1 腟トリコモナス感染症検査 2 腟カンジダ感染症検査 5) 細胞診 病理組織検査 1 子宮膣部細胞診 2 子宮内膜細胞診 3 病理組織生検これらはいずれも採取法も併せて経験する 6) 超音波検査 1 ドプラー法 2 断層法 ( 経腟的超音波断層法, 経腹壁的超音波断層法 ) C 基本的産婦人科臨床検査 : 以下の検査の選択 指示ができ, 結果を評価することができる 1) 内視鏡検査 1 コルポスコピー 2 腹腔鏡 3 子宮鏡 2) 放射線学的検査 1 腹部単純 X 線検査 2 骨盤計測 ( 入口面撮影, 側面撮影 : マルチウス グースマン法 ) 3 子宮卵管造影法 4 骨盤 X 線 CT 検査 5 骨盤 MRI 検査 D 基本的治療法薬物の作用, 副作用, 相互作用について理解し, 薬物治療 ( 抗菌薬, 副腎皮質ステロイド薬, 解熱剤, 麻薬を含む ) ができる ここでは特に妊産褥婦ならびに新生児に対する投薬の問題, 治療をする上での制限等について学ばなければならない 薬剤の殆どの添付文書には催奇形性の有無, 妊産褥婦への投薬時の注意等が記載されており, 薬剤の胎児への影響を無視した投薬は許されない 胎 46

児の器官形成と臨界期, 薬剤の投与の可否, 投薬量等に関する特殊性を理解することはすべての医師に必要不可欠なことである 1) 処方箋の発行 1 薬剤の選択と薬用量 2 投与上の安全性 2) 注射の施行 1 皮内, 皮下, 筋肉, 静脈, 中心静脈 3) 副作用の評価ならびに対応 1 催奇形性についての知識 E 経験すべき症状 病態 疾患研修の最大の目的は, 患者の呈する症状と身体所見, 簡単な検査所見に基づいた鑑別診断, 初期治療を的確に行う能力を獲得することにある (1) 頻度の高い症状 1) 性器出血 2) 腹痛 3) 腰痛産婦人科特有の疾患に基づく腹痛, 腰痛が数多く存在するので, 産婦人科の研修においてそれら病態を理解するよう努め経験しなければならない これらの症状を呈する産婦人科疾患には以下のようなものがある 子宮筋腫, 子宮腺筋症, 子宮内膜症, 子宮傍結合組織炎, 子宮留血症, 子宮留膿症, 月経困難症, 子宮付属器炎, 卵管留水症, 卵管留膿症, 卵巣子宮内膜症, 卵巣過剰刺激症候群, 排卵痛, 骨盤腹膜炎, 骨盤子宮内膜症があり, さらに妊娠に関連するものとして切迫流早産, 常位胎盤早期剥離, 切迫子宮破裂, 陣痛などが知られている (2) 緊急を要する症状 病態 1) 急性腹症産婦人科疾患による急性腹症の種類はきわめて多い 緊急を要する疾患を持つ患者の初期診療に関する臨床的能力を身につける ことは最も大きい卒後研修目標の一つである 女性特有の疾患による急性腹症を救急医療として研修することは必須であり, 産婦人科の研修においてそれら病態を的確に鑑別し初期治療を行える能力を獲得しなければならない 急性腹症を呈する産婦人科関連疾患には子宮外妊娠, 卵巣腫瘍茎捻転, 卵巣出血などがある 2) 流 早産および正期産産婦人科研修でしか経験できない経験目標項目である 経験が求められる疾患 病態 の項で詳述する 47

(3) 経験が求められる疾患 病態 ( 理解しなければならない基本的知識を含む ) 1) 産科関係 1 妊娠 分娩 産褥ならびに新生児の生理の理解 2 妊娠の検査 診断 3 正常妊婦の外来管理 4 正常分娩第 1 期ならびに第 2 期の管理 5 正常頭位分娩における児の娩出前後の管理 6 正常産褥の管理 7 正常新生児の管理 8 腹式帝王切開術の経験 9 流 早産の管理 10 産科出血に対する応急処置法の理解到達目標は下記のようになる 2~7 4 例以上を外来診療もしくは受け持ち医として経験し, うち 1 例については症例レポートを提出する 89 1 例以上を受け持ち医として経験する 10 自ら経験, すなわち初期治療に参加すること レポートを作成し知識を整理する 2) 婦人科関係 1 骨盤内の解剖の理解 2 視床下部 下垂体 卵巣系の内分泌調節系の理解 3 婦人科良性腫瘍の診断ならびに治療計画の立案 4 婦人科良性腫瘍の手術への第 2 助手としての参加 5 婦人科悪性腫瘍の早期診断法の理解 ( 見学 ) 6 婦人科悪性腫瘍の手術への参加の経験 7 婦人科悪性腫瘍の集学的治療の理解 ( 見学 ) 8 不妊症 内分泌疾患患者の外来における検査と治療計画の立案 9 婦人科性器感染症の検査 診断 治療計画の立案到達目標は下記のようになる 34 子宮の良性疾患ならびに卵巣の良性疾患のそれぞれについて受け持ち医として 1 例以上を経験し, それぞれ 1 例についてレポートを作成し提出する 5~9 1 例以上を外来診療もしくは受け持ち医として経験する 3) その他 1 産婦人科診療に関わる倫理的問題の理解 2 母体保護法関連法規の理解 3 家族計画の理解 48

Ⅶ 研修評価初期臨床研修における産婦人科医としての下記の研修項目について自己評価するとともに, 直接の指導医による評価も受ける 産婦人科初期臨床研修評価項目 A: 習得した B: ほぼ習得した C: 目標に達しない Ⅰ. 産科の臨床自己評価指導医評価 妊娠の検査 診断 正常妊婦の外来管理 ( 超音波検査などを含む ) 正常分娩第 1 期ならびに第 2 期の管理 正常分娩介助 正常産褥の管理 正常新生児の管理 腹式帝王切開術への参加の経験 流 早産および妊娠中毒症の管理 産科出血に対する応急処置法の理解 産科を受診した腹痛, 腰痛を呈する患者, 急性腹症の患者の管理 A B C A B C Ⅱ. 婦人科の臨床自己評価指導医評価 婦人科良性腫瘍の診断ならびに治療計画の立案 婦人科良性腫瘍の手術への第 2 助手としての参加 婦人科性器感染症の検査 診断 治療計画の立案 婦人科悪性腫瘍の早期診断法の理解 ( 見学 ) 婦人科悪性腫瘍の手術への参加の経験 婦人科悪性腫瘍の集学的治療の理解 ( 見学 ) 婦人科を受診した腹痛, 腰痛を呈する患者, 急性腹症の患者の管理 不妊症 内分泌疾患患者の外来における検査と治療計画の立案 A B C A B C 49