資料2_神通川水系河川整備計画の策定に向けた現状と課題

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2. 急流河川の現状と課題 2.1 急流河川の特徴 急流河川では 洪水時の流れが速く 転石や土砂を多く含んだ洪水流の強大なエネルギー により 平均年最大流量程度の中小洪水でも 河岸侵食や護岸の被災が生じる また 澪筋 の変化が激しく流路が固定していないため どの地点においても被災を受ける恐れがある

平成23年度西大滝ダム減水区間 モニタリング調査結果の概要

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水防法改正の概要 (H 公布 H 一部施行 ) 国土交通省 HP 1

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ダムの運用改善の対応状況 資料 5-1 近畿地方整備局 平成 24 年度の取り組み 風屋ダム 池原ダム 電源開発 ( 株 ) は 学識者及び河川管理者からなる ダム操作に関する技術検討会 を設置し ダム運用の改善策を検討 平成 9 年に設定した目安水位 ( 自主運用 ) の低下を図り ダムの空き容量

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目 次 桂川本川 桂川 ( 上 ) 雑水川 七谷川 犬飼川 法貴谷川 千々川 東所川 園部川 天神川 陣田川

Q3 現在の川幅で 源泉に影響を与えないように河床を掘削し さらに堤防を幅の小さいパラペット ( 胸壁 ) で嵩上げするなどの河道改修を行えないのですか? A3 河床掘削やパラペット ( 胸壁 ) による堤防嵩上げは技術的 制度的に困難です [ 河床掘削について ] 県では 温泉旅館の廃業補償を行っ

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平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

現行計画 ( 淀川水系河川整備計画 ): 川上ダム案 治水計画の概要 事業中の川上ダムを完成させて 戦後最大の洪水を 中下流部では ( 大臣管理区間 ) 島ヶ原地点の流量 3,000m 3 /s に対して 川上ダムで 200m 3 /s を調節し 調節後の 2,800m 3 /s を上野遊水地や河道

【参考資料】中小河川に関する河道計画の技術基準について

平成 30 年度 札内川懇談会 活動経過報告 平成 31 年 3 月 6 日 ( 水 ) 18:30~ 帯広第 2 地方合同庁舎 3 階共用会議室 1 2 1

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目次 第 1 章高須川流域と河川の概要 流域の概要 過去の水害 治水事業の経緯... 5 第 2 章高須川の現状と課題 治水の現状と課題 河川の利用及び河川環境の現状と課題 河川水の利用.

避難開始基準の把握 1 水害時の避難開始基準 釧路川では 水位観測所を設けて リアルタイム水位を公表しています 水位観測所では 災害発生の危険度に応じた基準水位が設定されています ( 基準となる水位観測所 : 標茶水位観測所 ) レベル水位 水位の意味 5 4 ( 危険 ) 3 ( 警戒 ) 2 (

笙の川水系河川整備計画 目 次 1. 笙の川水系の概要 流域及び河川の概要 1 (1) 流域の概要 1 (2) 河川の概要 治水事業の沿革 5 (1) 過去の主な洪水 5 (2) 河川改修の経緯 7 2. 笙の川水系の現状と課題 治水の現状と課題 9 (1) 洪水

河道の特徴とその動態を知るために

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吉井川水系 河川整備計画 国管理区間 吉井川河口から上流を望む 概要版 鳥取県 流域の概要 岡山県 吉井川水系流域図 兵庫県 よしいがわとまたぐんかがみのちょうみくにがせん吉井川は 岡山県東部に位置し その源を岡山県苫田郡鏡野町の三国山おくつけいつやまぼんちつやまし ( 標高 1,252m) に発し

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阿賀野川 早出川 阿賀野川平面図 国管理区間 附図 -2

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Microsoft PowerPoint - ◯06_出水期における防災体制

かつて海の底にあった大阪では 川が縦横無尽に走っていた 大阪はかつては海底 海面が後退してからは 上流からの土砂の堆積により沖積平野が形成 河川は脈流しており 水利用 舟運に適した川沿いの街では度々浸水被害が発生 約 7000 年 ~6000 年前 縄文時代前期前半 800~1700 年ごろの大阪平

1. 湖内堆砂対策施設の見直し 1.2 ストックヤード施設計画 ストックヤードの平面配置は 既往模型実験結果による分派堰内の流速分布より 死水域となる左岸トラップ堰の上流に配置し 貯砂ダムから取水した洪水流を放流水路でストックヤード内に導水する方式とした ストックヤード底面標高は 土木研究所の実験結

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狩野川河川維持管理計画 ( 大臣管理区間 ) 平成 29 年 9 月 国土交通省中部地方整備局沼津河川国道事務所

高水流量が 9,3m3/s であるのに対して 流下能力が約 4,m3/s と低い状況であったこと また 低水路も左側に大きく湾曲しており 洪水時のスムーズな流れを阻害し 下流部の局所洗掘を引き起こす等 洪水を安全に流下させることができない恐れがあったことから 同区間の流下能力不足の解消 及び洪水の安

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資料 -2 神通川水系河川整備計画 の策定に向けた現状と課題 0

洪水による災害の発生の防止 又は軽減に関する事項 ~ 現状と課題 ~ 1 河道整備状況 2 地震 津波対策 3 減災への取り組み 4 河道及び河川管理施設等の維持管理 1

1 河道整備状況 河道断面の不足 ( 流下能力 ) 計画高水流量規模が流れた場合は 神通川 井田川 熊野川の国管理区間で計画高水位を上回る区間が生じる 平成 16 年 10 月洪水時の痕跡水位調査では 下流と上流で計画高水位 (HWL) を上回る区間があった 河積の確保等により流下能力を向上させることが必要 :HWL 100 : 計算水位 90 ( 計画高水流量規模 ) :H16 年平均河床高 80 井田川合流 熊野川合流 西派川合流 HWL 超過区間 西派川分派 70 標高 (T.P.m) 60 50 40 30 20 富山市街地 HWL 超過区間 上流部の最大超過地点 22.2k HWL を 2.9m 超過 10 0-10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 距離 (km) 下流部の最大超過地点 5.4k HWL を 2.0m 超過 神通川現況流下能力 ( 水位縦断図 ) 2

1 河道整備状況 河道断面の不足 ( 河道の状況 ) 神通川下流部は 富山市の中心市街地を流下しており 家屋等の移設を伴う引堤は困難 築堤や掘削により 河積を確保する必要 JR 富山駅 富山市役所富山県庁 熊野川 0.0k 1.0k 2.0k 3.0k 4.0k 5.0k 6.0k 7.0k 8.0k 9.0k 10.0k 11.0k 神通川下流部の状況 井田川 H19 撮影 3

1 河道整備状況 堤防整備状況 神通川の堤防は 高さ 幅が不足する暫定堤防が多い 必要な断面が確保された堤防整備率は神通川全川で 7 割に満たない状況 既設堤防を完成させる必要 堤防が完成しても流下断面が不足する区間は 河道掘削による河積の確保が必要 富山市中心部 凡例 計画断面堤防暫定堤防山付大臣管理区間 高さ不足 幅不足 HWL 完成堤防 既設堤防 堤防イメージ H28.3 現在 4

改築前の大坪用水堰(固定堰)1 河道整備状況 洪水の安全な流下に支障となる工作物 河川管理者以外が設置した工作物 ( 橋梁 取水施設等 ) が存在 洪水の安全な流下に支障となっていることが明らかとなった大坪用水堰について 洪水時にゲートを倒伏できる可動堰へ改築 大坪用水堰 14.4K 14.2K 14.0K 杉原水位 流量観測所 平常時出水時 井田川せきあげ発生 1.7m 平常時)洪水の安全な流下に支障となる施設については改善が必要 改築後の大坪用水堰(可動堰出水時 計画河床高 洪水時の堰上げ状況 ( 平成 2 年 9 月洪水 ) 5

1 河道整備状況 堤防の侵食等に対する安全性 神通川は急流河川のため 大規模洪水でなくとも河岸侵食等が発生し 堤防決壊につながる恐れ 急流河川特有の洪水流の強大なエネルギーに対する堤防の安全の確保が必要 成子地区 (L17.0k 付近 ): 低水護岸 H16 年 10 月洪水護岸欠壊 (R17.8k 付近 ) 侵食幅 30m 成子大橋 添島地区 (R13.8k 付近 ): 高水水制 成子大橋 垂直方向の侵食 垂直方向の侵食 練石張護岸 横断方向の侵食 横断方向の侵食 練石張護岸 根固め ( コンクリート ) ブロック 護岸裏の吸出し 根固め ( コンクリート ) ブロック 洗掘の進行 侵食の拡大 破堤 6

1 河道整備状況 堤防の浸透に対する安全性 現在の堤防は 構造の破壊過程を解析的に検討して設計されているものではないため 堤防の詳細点検を実施 浸透に対する安全性の確保が必要な区間は約 4 割の状況 必要な断面の高さ 幅の確保と合わせて 浸透に対する安全性の確保が必要 凡例 安全性照査基準未満 安全性照査基準以上 整備済み 堤防の詳細点検結果 堤防の詳細点検の結果は以下のホームページで公表しています http://www.hrr.mlit.go.jp/toyama/bousai/t_tenken/zu_1.pdf 7

2 地震 津波対策 東日本大震災では 堤防 護岸等の河川管理施設に甚大な被害が発生するとともに 河川を遡上した津波が河川堤防を超過して沿川地域に甚大な被害が発生 神通川では 大規模な地震動が発生した場合においても 河川管理施設として必要な機能が確保されるよう 調査 耐震補強等を実施済み 鳴瀬川の被災事例 しもなかのめ ( 宮城県大崎市下中ノ目地先 ) 神通川右岸での耐震対策実施状況 8

3 減災への取り組み 危機管理型ハード対策 神通川では 決壊までの時間を少しでも引き延ばすよう 堤防構造を工夫する 危機管理型ハード対策 を実施中 ( 対策延長 : 約 34.2km) 9

3 減災への取り組み 霞堤の現状 神通川本川に霞堤は 1 箇所 井田川に 7 箇所 熊野川に 7 箇所存在 霞堤の機能をふまえて 適切な管理が必要 危機管理型ハード対策 (P9) 実施箇所 天端の保護裏法尻の補強 1 3 5 2 4 6 7 1 高善寺橋 井田川霞堤 11.8k 1 3 2 4 6 5 7 霞堤位置図 氾濫した場合の氾濫水の流れ 10

3 減災への取り組み 防災情報の提供 インターネット 携帯電話 ケーブルテレビを活用したリアルタイム情報の配信 精度の高い X バンド MP レーダ雨量情報の公表など 情報発信の取組を実施 スマートフォンを活用したプッシュ型の洪水予報の配信など 住民が自らリスクを察知し主体的に避難できるよう住民目線のソフト対策に重点的に取り組むことが必要 CATV 防災専門チャンネル NHK データ放送で河川情報を提供 スマートフォン用 HP 川の防災情報 XRAIN( 拡大試行版 ) 11

3 減災への取り組み 排水計画及び排水活動 神通川流域は浸水継続時間が長期間に及ぶことが想定されており 現状の計画では 大規模浸水に対する社会経済機能の早期回復に向けた対応を行えない懸念がある 氾濫水を迅速に排水するため 排水施設の情報共有 排水手法等の検討を行い 大規模水害を想定した排水計画 ( 案 ) を作成することが必要 排水ポンプ車の出動要請の連絡体制等の整備および 関係機関が連携した排水実働訓練を実施することが必要 神通川浸水継続時間図 ( 想定最大規模 ) 富山湾 神通川 富山河川国道事務所 富山駅 富山市役所富山県庁 磯川樋門付近 高善寺橋付近 平成 25 年 9 月洪水でのポンプ排水及び照明車配備 12

4 河道の維持管理 総合土砂管理 上流区間においては河床が低下傾向にあるが 砂利採取量の減少に伴い 変動幅が小さくなっている 治水上安定的な河道の維持の観点から 今後も河床変動や各種データの収集等モニタリングを継続 長期的な河床変化 河床変動高 (m) 河床変動高 (m) 2 1 0-1 -2 2 1 0-1 -2 S44~H1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 H1~H24 やや堆積傾向 神通大橋 井田川 熊野川 富山空港 西派川 ( 合流 ) 砂利採取による河床低下と推定 比較的安定傾向 西派川 ( 分流 ) 堆積 洗堀 (km) やや低下傾向 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 採取量の変化期 洪水に伴う短期的な河床変化 河床変動高 (m) 2 1 0-1 -2 H12~H16 : 主に H16.10 洪水に伴う変化 安定傾向 H16.10 洪水による河岸侵食 やや低下傾向 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 河床高の変化と砂利採取量の変化 13

4 河道の維持管理 河道管理 河床が低下した場合 洗掘により堤防や護岸などの河川管理施設や橋梁の安定性が損なわれ 被害が生じる恐れがある 河道内の砂州発達や樹木の過剰な繁茂により 流下能力が不足する懸念がある 河道の維持 保全及び河道内の樹木を適正に管理していくことが必要 ( 概ね 10~15 年おきの樹木管理等 ) 伐採前 伐採後 樹木伐採の実施例 ( 井田川 ) 14

4 河道及び河川管理施設等の維持管理 流木対策 過去の洪水では流木被害が発生 流木被害軽減のため 河道内の樹木管理が必要 流木対策には 関係機関と連携した対応が必要 八重津浜に漂着した流木 (H18.7 洪水後 ) 神二ダムに漂着した流木 (H16.10 洪水後 ) * 写真出典 : 富山県資料 富山県では H16 の流木災害を契機に 流域全体を枠組みとした関係機関で構成する 富山県流木対策連絡会議 を H17 に発足させ 流木対策を推進している ボランティアによる岩瀬浜清掃 (H18.7 洪水後 ) 15

4 河道及び河川管理施設等の維持管理 堤防及び護岸水門 樋門 樋管等の施設 老朽化の進行により ゲート操作に係る機械設備及び電気施設の操作に障害が生じる恐れ 河川管理施設の変状に対するきめ細かな監視 老朽化に伴う補修が必要 平常時から巡視 ( 週 2 回程度 ) 点検 ( 出水前後 ) 施設評価による補修等の維持管理を行い 洪水発生時や地震発生時には 巡視により河川管理施設等の異常の早期発見に努め 速やかに復旧を行うことが必要 平常時の河川巡視 点検 老朽化した施設の補修例 ( 松川舟通し水門 H19 実施 ) 16

河川の適正な利用及び流水の正常な 機能の維持に関する事項 ~ 現状と課題 ~ 1 河川水の利用 2 流水の正常な機能の維持 17

1 河川水の利用 神通川水系の水資源は 発電用水 農業用水 富山県や高山市等の上水道 工業用水等として利用 水力発電については 60 箇所の発電所の総最大出力が約 84 万 kw に達する取水障害は発生していない 発電用水としての取水 ( 右岸側 ) 神通川第三発電所 110m 3 /s 大久保発電所 3.11m 3 /s ( 左岸側 ) 神通川第三左岸発電所 52.31m 3 /s ダム下流の維持流量として 2.267m 3 /s を放流している 神三ダム 神通川の水利権の内訳 (H27.4 統計をもとに試算 ) 18

2 流水の正常な機能の維持 流況流況の維持 神通大橋地点の河川流況は平水流量で約 139m 3 /s 渇水流量で約 70m 3 /s 年平均流量で約 184m 3 /s( 正常流量の約 4.5 倍 ) 至近 14 ヶ年では 正常流量 ( 概ね 41m 3 /s) を満足 熊野川合流点よりも上流では 適切な正常流量が確保されているかを監視できない状況 縦断的な流況モニタリングを行い 流量の確保に努めることが必要 神通大橋流量 (m 3 /s) 350 300 250 200 150 100 50 0 正常流量概ね 41m 3 /s 豊水流量平水流量低水流量渇水流量 S33 S34 S35 S36 S37 S38 S39 S40 S41 S42 S43 S44 S45 S46 S47 S48 S49 S50 S51 S52 S53 S54 S55 S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 豊水流量 :1 年のうち 95 日はこの流量を下回らない流量 平水流量 :1 年のうち 185 日はこの流量を下回らない流量 低水流量 :1 年のうち 275 日はこの流量を下回らない流量 渇水流量 :1 年のうち 355 日はこの流量を下回らない流量 19

2 流水の正常な機能の維持 渇水 平成 6 年渇水時 発電用の還流水の放流を 通常の 1/3 の水量を 3 日に 1 回の放流として対応 渇水対策が必要となった場合には 関係機関や水利使用者等と連携して情報の伝達 共有を図り 被害拡大防止に努めることが必要 平成 6 年と平年の月別降水量と平均気温の比較 富山観測所降水量 (mm) 350 300 250 200 150 100 降水量 ( 平年値 ) 降水量 ( 平成 6 年 ) 平均気温 ( 平年値 ) 平均気温 ( 平成 6 年 ) 35 30 25 20 15 10 富山観測所気温 ( ) 出典 : 室牧ダム管理事務所 50 5 0 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 0 出典 : 室牧ダム管理事務所 H6 渇水時の室牧ダムの状況 20

河川環境の整備と保全に関する事項 ~ 現状と課題 ~ 1 神通川の河川環境 2 生息する生物の状況 3 自然再生事業 4 生息 生育環境の連続性 多様性 5 水質 6 河川空間の利用 7 連携 協働による河川管理 21

1 神通川の河川環境 上流部 (24.2k 神三ダム ~20.6k 西派川分派点 ) 河岸段丘状の河道が出現し 河川には 発達した砂礫地が見られ 早瀬 淵 平瀬が連続し水域の環境が変化に富んでいる 神三ダム 植物 鳥類 魚類 昆虫類 両生類 爬虫類 哺乳類 底生動物 生息 生育 繁殖している動植物 ツルヨシ カワラヨモギ - カワラハハコ群落 アキグミ群落 ネコヤナギ群落等 アオサギ セグロセキレイ ハクセキレイ イソシギ カワセミ ヤマセミ等 オイカワ カワムツ ナマズ カワヨシノボリ アユ ウグイ ヨシノボリ類等 オオカワトンボ ミヤマアカネ ミヤマサナエ等 アカネズミ キツネ タヌキ イタチ テン等 ナベブタムシ ミヤマアカネ キベリマメゲンゴロウ ヒメガムシ カゲロウ類 トビケラ類 カワゲラ類等 西派川 新婦大橋 ツルヨシ セグロセキレイ JR 高山本線 上流部の状況 22

1 神通川の河川環境 中流部 (20.6k 西派川分派点 ~10.2k 熊野川合流点 ) 神通川周辺は水田地域や市街地が散在し 高水敷は緑地に混じって公園等として利用されている 流路は複列化し網状区間となっている 生息 生育 繁殖している動植物 婦中大橋 神通川橋 熊野川 植物 鳥類 ツルヨシ群落 ヤナギ林 カワラヨモギ - カワラハハコ群落 ヨモギ - メドハギ群落 ススキ群落 クズ群落等 アオサギ コサギ ダイサギ ゴイサギ セグロセキレイ ハクセキレイ コチドリ イカルチドリ イソシギ等 魚類 オイカワ カワムツ カワヨシノボリ アユ ウグイ ヨシノボリ類 アカザ カマキリ カジカ中卵型等 富山空港 昆虫類 ミヤマシジミ カトリヤンマ ミヤマアカネ ヒラタクワガタ ゲンジボタル等 両生類 爬虫類 哺乳類 トノサマガエル ツチガエル ウシガエル クサガメ アカネズミ タヌキ イタチ等 底生動物 ヒラマキガイモドキ ゲンジボタル カゲロウ類 トビケラ類 カワゲラ類等 富山空港カマキリミヤマシジミ 中流部の状況 23

1 神通川の河川環境 下流部 ( 河口部 ) (10.2k 熊野川合流点 ~0.0k 河口 ) 河道は築堤区間が基本で 河道周辺は右岸側は富山市街地 左岸側は市街地に水田が混じった様相となっている 高水敷は緑地公園やグラウンドゴルフ場が整備されており 市民の憩いの場となっている 神通川橋婦中大橋熊野川有沢橋富山県富岩運河環水公園 富山北大橋いたち川 植物 鳥類 魚類 昆虫類 両生類 爬虫類 哺乳類 底生動物 生息 生育 繁殖している動植物 カワラヨモギ - カワラハハコ群落 ツルヨシ群落 ヤナギ林 オギ群落 カナムグラ群落 ヨモギ - メドハギ群落 クズ群落 アズマネザサ群落等 アオサギ コサギ ダイサギ ゴイサギ セグロセキレイ ハクセキレイ コチドリ イカルチドリ イソシギ等 オイカワ カワムツ カワヨシノボリ アユ ウグイ ヨシノボリ類 アカザ カマキリ カジカ中卵型 スナヤツメ南方種 カワヤツメ ナマズ ドジョウ トミヨ属淡水型等 ミヤマシジ カトリヤンマ ミヤマアカネ ヒラタクワガタ キベリマメゲンゴロウ等 ウシガエル クサガメ スッポン アカネズミ タヌキ イタチ等 コシダカヒメモノアラガイ マシジミ カゲロウ類 トビケラ類等 カワヤナギ キベリマメゲンゴロウ 下流部の状況 24

1 神通川の河川環境 下流部 ( 河口部 ) (10.2k 熊野川合流点 ~0.0k 河口 ) 神通川の河口部は 富山県により鳥獣保護区に指定されている 同区域は 渡り鳥の重要な繁殖地や中継地 越冬地となっており また 富山県版レッドリストなどでリストアップされているトモエガモ ミサゴ ホオアカ等もみられる ホオアカ ミサゴ トモエガモ 浦橋写真位置神通川河口部の鳥獣保護区萩萩浦橋より下流を望む 25

2 生息する生物の状況 重要種の状況 最新の河川水辺の国勢調査では 重要種として魚類 12 種 底生動物 7 種 植物 7 種 陸上昆虫類 24 種 鳥類 21 種 両生類 爬虫類 哺乳類 4 種が確認されている ドジョウ サクラマス ( ヤマメ ) フジバカマ 重要種の確認種数の経年変化 アカザ スナヤツメ南方種 ミズタガラシ 確認種数全体の経年変化 アジメドジョウ トノサマガエル カワヂシャ 魚類底生動物植物陸上昆虫類鳥類 両生類 爬虫類 哺乳類 1 巡目 H7 H7 H4 H5 H3~4 H6 2 巡目 H12 H12 H9 H10 H8 H11 3 巡目 H17 H17 H14 H15 H13 H16 4 巡目 H22 H21 H19 H20 H24 H25 5 巡目 H27 H26 26

2 生息する生物の状況 外来種の状況 神通川 西派川 井田川 熊野川では 外来生物法における特定外来生物が 8 種が確認されている 将来的に生態系に影響を及ぼす恐れ オオクチバス ブルーギル オオフサモ アレチウリ 特定外来種の確認種数の経年変化 魚類 植物 両生類 1 巡目 H7 H4 H16 2 巡目 H12 H9 H11 3 巡目 H17 H14 H16 4 巡目 H22 H19 H25 5 巡目 H27 ウシガエル オオキンケイギク オオカワヂシャ 27

3 自然再生事業 事業内容 中上流部 サクラマスなど多様な動植物が生息 生育 繁殖する基盤となる神通川の瀬 淵等の再生を図ることを目的に自然再生事業を行っている 自然再生事業では サクラマスの淵の形成 ( 越夏場所 ) 多自然流路の造成 ( 越冬場所 ) などの整備と合わせて 富山県 地元漁業協同組合と連携して河川環境の改善に取り組んでいる 淵の形成 ( 水制設置 ) 富山市西神通地先 ( 越夏場所 ) 多自然流路の造成富山市岩木新地先 ( 越冬場所 ) 淵 水制の設置水制の効果により形成される淵 既設護岸 十分な空隙のあるブロック 水中カバーの隙間にいるサクラマス 水際植生の繁茂による水中カバー 28

3 自然再生事業 モニタリング 中上流部 モニタリング調査では水制工等のブロック下部において 越夏中のサクラマス成魚を確認している また ウグイ アユ等の魚種の生息も確認している 越冬場所では サクラマス幼魚 カワムツ アブラハヤ等の魚種を確認している 越夏場所 西神通地先種名科名 (H22 施工 ) サクラマスサケアユコイト シ ョウナマス ハセ ホ ラカシ カ H23 夏季 + H24 夏季 +++ H25 夏季 + +++ +++ +++ H26 夏季 + +++ +++ +++ H27 夏季 + + +++ +++ +++ 施工前調査 潜水調査により確認されたウグイの群れ 越冬場所 成子地先 種名 科名 (H24,25 施工 ) サクラマス サケ アユ コイ ト シ ョウ ナマス ハセ ホ ラ カシ カ H24 冬季 + + H25 冬季 + +++ + + ++ + H26 冬季 ++ + ++ + H27 冬季 ++ + +++ + + 凡例 : + :10 尾未満 ++ :10~50 尾未満 +++ :50 尾以上 サクラマス幼魚 サクラマス幼魚確認地点 29

4 生息 生育環境の連続性 多様性 神通川下流部 支川の合流点や堰の周辺では 直線河道部等とは異なる地形が形成され 多様な魚類の生息場となっている 井田川 神通川中流部 熊野川 神通川の井田川合流点付近 ( 富山大橋下流 ) 合流点付近にはワンドや中州などが形成されており 多様な環境がみられる 確認された個体数 確認された個体数 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 本川 支川で大型魚 小型魚ともに確認されている 合流点付近の調査地点 神通川下流部 されている合流点付近の調査地点 神通川下流部 神通川中流部 神通川中流部 神通川上流部 神通川上流部 堰近隣の調査地点 井田川 井田川 熊野川 合流点付近や堰付近の調査地点で多くの魚類が確認 堰近隣の調査地点 熊野川 平成 27 年夏季調査 区分が難しい種 小型種 大型種 平成 27 年秋季調査 区分が難しい種 小型種合計 大型種合計 神通川上流部 魚類調査の位置図 熊野川の友杉用水堰付近 堰の上流側ではたまりが形成され 下流側では凹凸に富んだ地形となるなど 多様な環境がみられる 確認された種数 30 20 10 0 本支川を通して 20 種前後の魚種が確認されている 神通川下流部 神通川中流部 神通川上流部 井田川 熊野川 平成 27 年調査 出典 : 河川水辺の国勢調査 (H27) 大型魚 小型魚は成魚の全長が 30cm 以上となるものを目安に区分した 個体によって体長差が大きいものを区分が難しい種とした ( ウグイ ニゴイなど ) 種数 ( 夏季 ) 種数 ( 秋季 ) 30

4 生息 生育環境の連続性 多様性 神通川 井田川 熊野川の中上流部でサケ サクラマスの産卵場が 神通川の中流部でアユ ウグイの産卵場が確認されている 魚類産卵場の状況 神通川の中上流部 井田川 熊野川の瀬がサケ サクラマスの産卵場として利用されており 大型魚の遡上を阻害する構造物などが無いことがわかる 神通川の熊野川合流点 井田川合流点付近の瀬はアユ ウグイの産卵場として利用されている 種名サクラマスアユウグイ 産卵環境平瀬や淵の淵尻淵に流れ込む手前の早瀬河床材料が浮き石状態の瀬 アユ産卵場 サケ 攻撃斜面 ( 流れがぶつかる岸側 ) とは反対の淵や平瀬 出典 : 山形県内水面水産試験場資料 水産庁資料 北海道区水産研究所資料 サケ サクラマスの産卵場は中上流部や支川に点在 サケの産卵状況 ( 西派川 ) ウグイ産卵場 平成 19 年度アユ ウグイ平成 22 年度アユ 産卵場の状況 出典 : 神通川魚類生息環境調査業務河川水辺の国勢調査における事前調査 ( 漁協へのヒアリング ) 31

4 生息 生育環境の連続性 多様性 神通川の直轄管理区間は生物の移動阻害となる河川横断工作物がない 井田川 熊野川にはそれぞれ 2 つの横断工作物があるが 魚道があるものや 落差が小さい堰であり 上下流の連続性に配慮されている 引き続き縦断的連続性や多様性の確保に努めることが必要 1 2 5 6 4 3 広田用水堰 ( 階段式 ) 1 友杉用水堰 ( 魚道はないが 段差が小さい ) 井田川合口頭首工 ( 階段式 ) 大坪用水堰 ( アイスハーバー式 ) 広田用水堰友杉用水堰 地点別の魚類確認種 出典 : 河川水辺の国勢調査 2 6 3 4 井田川合口頭首工 大坪用水堰 5 32

5 水質 近年神通川の水質は環境基準を満足している状況 引き続き定期的に水質を把握するとともに 地域住民 関係機関等と連携を図り 現状の水質の維持に努めることが必要 環境基準点B 類型 利水基準点 環境基準点 高田橋環環境基準点 神通大橋境基準点八幡橋萩はぎ浦うら橋環境基準点 落合橋A 類型 A 類型 B 類型 A 類型 環境基準点 利水基準点位置図および水域類型 神通川の BOD75% 値の経年変化 井田川 熊野川の BOD75% 値の経年変化 33

6 河川空間の利用 河川空間の整備状況 神通川には神通川水辺プラザ (H16 完成 ) などの河川利用施設がある 沿川はイベントや散策 スポーツ 釣り等様々な利用が行われている 2 4 8 神通川桜づつみ緑地 健康ウォーク ( 神通川緑地公園 ) 1 2 < 河川内の主な施設 > 1 農園 2 神通川桜づつみ緑地 3 中部高校運動場 4 神通川緑地公園 5 神通川左岸広場 6 富山空港 7 婦中町神通川緑地公園 8 神通川水辺プラザ 3 4 5 7 6 8 水辺プラザ ( 西派川 ) 7 付近 アユ釣り ( 北陸自動車道付近 ) 34

6 河川空間の利用 河川空間の利用状況 神通川水系の年間河川空間利用者総数は約 62 万人と推定され 利用形態別では散策等が 45% と最も多く 次いで釣りが多い 神通川の河川空間利用を特徴付ける釣りの利用者は年間約 21 万人と推定され 33% を占めるが その大半は夏のアユ釣りシーズンに集中 年間空間利用状況 項目 年間推定値 ( 千人 ) 利用形態別 散策等 282 釣り 207 スポーツ 132 水遊び 2 合計 623 利用場所別 高水敷 321 水面 138 堤防 92 水際 71 合計 623 * H26 空間利用実態調査報告書 河川の利用状況 35

6 河川空間の利用 不法占用 不法行為等の状況 神通川におけるゴミの不法投棄は 年間約 120 m 3 程度のゴミが投棄されている 不法投棄の状況 河川巡視等による管理体制の充実が必要 木材の廃材 家庭ゴミ等 年間約 120m 3 不法投棄の状況は以下のホームページで公表しています http://www.hrr.mlit.go.jp/toyama/upload/file/oyabe/shougawaoyabegomi.pdf 36

6 連携 協働による河川管理 ボランティアサポートプログラムによる清掃活動などを実施 河川内の樹木の伐採者 ( 伐採 ~ 搬出作業まで ) を公募し 住民参加型の川づくりや木材資源の有効利用を図る試みを実施 水生生物調査 簡易水質測定等により 総合学習や自然観察会を支援 ボランティア サポート プログラム河川編 総合学習 ( 毎年 6 月実施 熊野川 3.8k 付近 ) 公募伐採の事例 ( 神通川左岸 7.6k H28.12 記者発表 ) 37