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最高裁○○第000100号

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

最高裁○○第000100号

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

最高裁○○第000100号

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

同目録記載の番号により 本件著作物 1, 本件著作物 2 といい, 本件著作物 1 及び本件著作物 2を併せて 本件各著作物 という ) の著作権を有する株式会社 CAを吸収合併し, 同社の権利義務を承継したところ, 被告が本件各著作物のデータを動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為が公衆

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

とは, 原告に対する名誉毀損に該当するものであると主張して, 不法行為に基づき400 万円の損害賠償及びこれに対する不法行為日以降の日である平成 24 年 9 月 29 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いがないか,

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

判決【】

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

令和元年 6 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 31 年 ( ワ ) 第 2629 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 16 日 判 決 5 原告日本コロムビア株式会社 原告株式会社バンダイナムコアーツ 10 原告キングレコード株式会社 原告ら訴訟代理人

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

平成 27 年 12 月 9 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 27 年 11 月 6 日 判 決 東京都荒川区 < 以下略 > 原 告 株式会社オールビユーテイ社 同訴訟代理人弁護士 山 本 隆 司 同 植 田

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

最高裁○○第000100号

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団であ る原告が, 被告株式会社シーエム ( 以下 被告シーエム という ) が企画, 編集

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

権 ) を侵害するとともに, 原告をプロデューサーとして表示しない点及び劇場用映画として制作された本件映画をインターネットで公表する点において, 本件映画につき原告が有する著作者人格権 ( 氏名表示権及び公表権 ) を侵害する行為であり, 被告が今後本件映画を上映, 複製, 公衆送信若しくは送信可能

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原告は, 被告に対し, 万円及びこれに対する平成 29 年 3 月 1 日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は,1 原告が, 自らの作成に係る別紙 1( 甲 12の1 以下 本件本体部 分 という ) 及び別紙 2( 甲 12 の 2 以下 本件ライブラリ部分 と

ア原告は, 平成 26 年 12 月 26 日に設立された, 電気機械器具の研究及び開発等を目的とする株式会社である イ合併前会社ワイラン インクは, 平成 4 年 (1992 年 ) に設立された, カナダ法人である 同社は, 平成 29 年 (2017 年 )6 月 1 日付けで, 他のカナダ法

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

して, 損害賠償金 330 万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成 28 年 月 21 日 ( 原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日 ) から支払済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

最高裁○○第000100号

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

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平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

き本件営業秘密の使用又は開示の差止め及び物件の廃棄を求めるとともに ( 以下, これらの請求を併せて 差止請求等 という ),(2) 被告が本件営業秘密を持ち出した行為は原告と被告の間の秘密保持契約にも違反し, これにより原告は損害を被ったと主張して, 同法 4 条又は債務不履行に基づき 1136

害者等のために情報を提供する事業を行う者 ( 非営利目的の法人に限る ) を一般的に定める 上記のほか 聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人 ( 法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む ) のうち 聴覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行う

3 被告は, 原告に対し, 金 3453 万 2652 円及びこれに対する平成 23 年 12 月 14 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件訴訟は, 原告が, 被告の製造販売に係るデジタルカタログについて, 原告の特許権を侵害している旨主張して, 被告に対し

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第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

平成  年(オ)第  号

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

同訴訟代理人弁護士同同同同同同同同同同同 三好徹石田央子津田直和井川真由美鶴﨑有一石井修平山崎哲内田尚成前田香織本田雄巳黒木義隆籔之内千賀子 主文 1 控訴人の本件控訴を棄却する 2(1) 被控訴人の附帯控訴に基づき 原判決主文 1 2 項を次のとおり変更する (2) 控訴人は 被控訴人に対し 78

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

めた事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実 ) (1) 当事者ア原告は, 映画プロデューサーである ( 甲 1,2) イ被告は, 新聞社であり, ウェブサイト 朝日新聞デジタルAJW を運営するものである (2) 原告の著

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

0A8D6C A49256C A0

2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人株式会社バイオセレンタック, 同 Y1 及び同 Y2は, 控訴人コスメディ製薬株式会社に対し, 各自 2200 万円及びこれに対する平成 27 年 12 月 1 日から支払済みまで年 5 分の割

パワーポイントの品質と生産性を向上させるデザイン・テンプレート

期分本税 831 万 1900 円の合計 以下 本件租税債権 という ) (3) 東京国税局国税徴収官 B( 以下 B 徴収官 という ) は 同局特別国税徴収官 C( 以下 C 特官 という ) の決定に基づき 平成 20 年 3 月 6 日 原告がA 証券に対して有していた本件証拠金の返還請求権

裁判年月日 平成 20 年 11 月 27 日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平 20( ワ )9871 号 事件名 管理費等請求事件 裁判結果 認容 文献番号 2008WLJPCA 東京都足立区 以下省略 原告上記代表者理事長上記訴訟代理人弁護士同同東京都世田谷区

97ECE912DA2761F849256B5A000E7AE

撮影を,3 株式会社 MONDESIGN Japan( 以下 モンデザイン という ) に対して全体的なデザインをそれぞれ依頼し, 上記 1につき平成 23 年 4 月頃,2につき同年 5 月頃,3につき同年 6 月頃, 各成果物を受領し, その際, 各成果物に係る著作権の譲渡を受けた ( 甲 9,

職選挙法等の改正により一部改められたものの,1 人別枠方式は維持されたまま, 衆議院が解散され, 選挙区割りの未了を理由に, 従前の選挙区割りに基づいて本件選挙を施行するものとされたことにより, 投票価値の平等が害されたまま投票を行わざるを得ないという重大な損害を被ることとなったのであり, 憲法違反

主位的に自筆証書 ( 後述の本件文書 ) による遺言に基づいて遺贈を受けたこと, 予備的に死因贈与を受けたことを主張して, 不当利得 ( 主位的 ) 又は死因贈与契約 ( 予備的 ) に基づく3000 万円 ( 内金請求 ) 及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成 27 年 12 月 5 日か

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

 

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

第 1 請求 1 被告は, 別紙 1 被告製品目録記載の製品 ( 以下 被告製品 という ) を製造し, 販売し, 貸し渡し, 又は販売若しくは貸渡しのために展示してはならない 2 被告は, 被告製品及び半製品 ( 別紙 2 被告意匠目録記載の構成態様を具備しているが製品として完成するに至らないもの

原告は, 昭和 33 年 12 月 6 日生まれ ( 本件手術当時 24 歳 ) の男性である 被告 B 市は, 被告病院を開設し, これを運営している ア原告は, 被告病院を受診して十二指腸潰瘍との診断を受け, 昭和 58 年 9 月 2 9 日, 被告病院において, 本件手術を受けた ( 甲 A

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〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

平成  年(オ)第  号

従業員 Aは, 平成 21 年から平成 22 年にかけて, 発注会社の課長の職にあり, 上記事業場内にある発注会社の事務所等で就労していた (2) 上告人は, 自社とその子会社である発注会社及び勤務先会社等とでグループ会社 ( 以下 本件グループ会社 という ) を構成する株式会社であり, 法令等の

(2) B 社に係る破産事件等東京地方裁判所は, 平成 21 年 2 月 24 日,B 社を再生債務者として, 再生手続開始の決定をした しかし, 東京地方裁判所は, 同年 3 月 24 日,B 社の事業継続を不可能とする事実が明らかになったとして, 再生手続廃止の決定をするとともに, 再生手続廃止

主 文 1 本件控訴をいずれも棄却する 2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人 P3 及び被控訴人会社は, 大阪府内, 兵庫県内, 京都府内, 滋賀県内及び和歌山県内において, 千鳥屋という名称を使用して菓子類を販売してはならない

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平成 25 年 5 月 17 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 25 年 ( ワ ) 第 1918 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 3 月 25 日 判 決 アメリカ合衆国ネバダ州 < 以下略 > 原 告 ズッファエルエルシー 同訴訟代理人弁護士 高 松 薫 同 多 田 光 毅 同 大 澤 俊 行 同 田 畑 千 絵 同 永 井 幸 輔 千葉市 < 以下略 > 被 告 A 主 文 1 被告は, 原告に対し,1000 万円及びこれに対する平成 25 年 2 月 2 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 2 訴訟費用は被告の負担とする 3 この判決は仮に執行することができる 事実及び理由 第 1 請求主文同旨第 2 事案の概要本件は, 総合格闘技競技である Ultimate Fighting C hampionship ( 以下 UFC という ) の大会及び試合を撮影 編集した映像作品である別紙一覧表 作品名 欄記載の作品 ( 以下 本件各作品 という ) の著作権を有する原告が, 被告は, 本件各作品をウェブサ 1

イト ニコニコ動画 にアップロードし, 原告の公衆送信権を侵害したと主張し, 上記著作権侵害の不法行為により原告が被った損害 ( ライセンス料相当額の逸失利益 著作権法 114 条 3 項 合計 4681 万 9740 円, 信用毀損による無形損害 1000 万円及び弁護士費用 600 万円 ) のうち, 別紙一覧表 1 1 番の作品 ( 以下 作品 11 番 という ) の掲載による逸失利益 395 万 1 600 円, 同 26 番の作品 ( 以下 作品 26 番 という ) の掲載による逸失利益 419 万 9700 円及び同 68 番の作品 ( 以下 作品 68 番 という ) の掲載による逸失利益 205 万 1100 円の一部である184 万 8700 円 ( 合計 1000 万円 ) 並びにこれらに対する訴状送達日の翌日である平成 25 年 2 月 2 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 第 3 当事者の主張 1 原告の主張 ( 請求原因 ) (1) 原告の著作権原告は, 本件各作品の企画 製作を行っており, その著作権を有している (2) 本件各作品の著作物性ア本件各作品は, いずれもUFCの大会及び各試合を撮影 編集した映像作品であるが,1 単に定点から機械的に試合を撮影したものではなく, 構図, カメラアングルなどに工夫を凝らすことで総合格闘技の有する迫力をより迫真的に伝えている点及び2 単に撮影した映像をそのまま使用するのではなく, 複数のカメラで撮影した映像をつなぎ, また, 試合に関する情報を写真や文字で付加し, 音声で解説を加えることで, 試合の情報をより分かりやすく伝える点で, 思想又は感情を創作的に表現したものに当たる イ作品 11 番,26 番及び68 番の著作物性 ( ア ) 作品 11 番,26 番及び68 番は, 各選手が入場する場面から選手や観客の表情を移動型のカメラを含む複数台のカメラで撮影しており, 2

現場の臨場感や選手の緊張感等を克明に表現している また, 試合開始前には各選手のプロフィールを掲載し, マッチオフィシャルによる選手のチェック, リングアナウンサーによる選手の紹介, レフェリーによるブリーフィングの様子等も紹介しており, 臨場感を更に高めている さらに, 試合が開始されてからは, 様々な角度, 距離から, 各選手の繰り出す技や表情が鮮明に映し出されるように様々なシーンが組み合わされており, 総合格闘技の有する迫力をより迫真的に伝えるものとなっている 特に, ノックアウトシーンについては, スローモーションの映像や, 複数の角度から同じシーンを撮影した映像, ノックアウトされた選手の表情を抜き取った映像を組み合わせるなどの工夫が凝らされている ( イ ) 以上のとおり, 作品 11 番,26 番及び68 番は, 構図, カメラアングル, 映像の加工, 写真や文字の付加, 音声による解説等を組み合わせることにより, 総合格闘技の有する迫力をより迫真的に伝えるとともに, 試合の情報をより分かりやすく伝えるものであり, 思想又は感情を創作的に表現したものといえる ウしたがって, 本件各作品はいずれも著作物に当たる (3) 被告の不法行為ア被告は, 別紙一覧表 本件侵害行為の日時 欄記載の日時及び場所において,84 回にわたり, 本件各作品を, 株式会社ニワンゴがウェブサイト ニコニコ動画 を運営するために設置して管理する, 自動公衆送信装置であるサーバコンピュータ内の公衆送信用記録媒体に記録 保存し, インターネットを利用する不特定多数の者に対する自動公衆送信が可能な状態にし, 原告の著作権 ( 公衆送信権 ) を侵害した イ被告は, プロバイダから, 原告がプロバイダに対して送付した発信者情報開示請求書の送付を受けており, 上記請求書には, 本件各作品が原告の著作物であること等が記載されている上, 動画の削除の際には, 著作権者 3

からの著作権侵害に基づく削除申立てがあった旨が明示されるにもかかわらず, 新たなアカウントを用いるなどして,1 年以上にわたり, 本件各作品をアップロードし続けたのであり, 被告が, 本件各作品が原告の著作物であると知った上で, 故意により著作権侵害を行ったものであることが明らかである (4) 原告の損害ア本件各作品の掲載によるライセンス料相当額の逸失利益 ( 著作権法 11 4 条 3 項 ) 合計 4681 万 9740 円 ( ア ) 本件各動画は, 別紙一覧表 再生回数 欄記載の回数にわたり再生されている ( イ ) 原告は,TVバンク株式会社( 以下 TVバンク という ) との間で,UFCの映像作品をインターネット配信する権利を許諾する契約を締結しており, 同契約により, 同社が同作品を配信することによる収入の60% が原告に対して支払われる ( ウ ) TVバンクは,UFCの映像作品を, 次の基準により販売している a ナンバーシリーズ の大会のメインカード 500 円 b ナンバーシリーズ 以外の大会のメインカード 350 円 c メインカードの前座 (Prelim) の試合 200 円 TVバンクが実際に販売を行わなかった試合についても, 販売を行うとすれば, 上記基準に従って販売価格が決定されることになる ( エ ) 別紙一覧表 販売価格 欄記載の金額は, 上記基準に従い, 各試合の販売価格を整理したものである 原告は,TVバンクが本件各作品を 1 回販売する毎に, 上記 販売価格 欄記載の各金額に60% を乗じた金額をライセンス料として受領することになる ( オ ) 現在, 日本において原告がUFCの映像作品のインターネット配信を許諾しているのはTVバンクのみであるから, 原告が本件各作品に係 4

る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額 ( 著作権法 11 4 条 3 項 ) の算定は,TVバンクとの間の上記ライセンス料を基準とするのが相当である 本件では, 本件各作品の再生回数を, 本件各作品の販売数と同視することができるから, 著作権法 114 条 3 項に基づく損害額は, 本件各作品の販売価格 60% 再生回数 によって算定される ( カ ) 以上を前提に, 本件各作品の掲載によって原告が被った損害を算定した結果は別紙一覧表 販売利益相当額 欄記載のとおりであり, 原告に生じた損害額は, その合計額である4681 万 9740 円を下回るものではない イ信用毀損による無形損害 1000 万円 ( ア ) 原告は,UFCの映像作品の有料放送 配信のライセンシーを限定し, 著作権侵害者に対し厳格な態度で臨むなどして, その品質保護等に努めており, これにより, 一般視聴者及び取引先企業から多大な信用を獲得しているところ, 被告の上記不法行為は, 一般視聴者及び取引先企業に, 原告の品質保護 違法動画対策が不十分であり, かつ, 本件各作品が映像の解像度や音声の点でクオリティが低いとの認識を与えるものであって, 原告の上記信用を毀損するものであった また, 原告の掲載した動画の再生画面上に書き込まれたコメントには, 参加選手を誹謗中傷するものも多数含まれているところ, これによって原告の信用は著しく毀損された なお, 被告は不特定多数の人物がUFCの大会や参加選手を誹謗中傷することがあることを認識しながら本件侵害行為に及んだものであり, コメントを書き込んだ者と同様の責任を負う ( イ ) 上記信用毀損による被害は甚大であって, これによる無形損害は少なくとも1000 万円を下らない 5

ウ弁護士費用 600 万円原告は, 本件紛争解決のため, 弁護士に訴訟委任を行った その費用は600 万円を下らない エ原告は, 上記アないしウの各損害のうち, 一部請求として, 上記アの, 作品 11 番の掲載による逸失利益の損害 395 万 1600 円, 作品 26 番の掲載による逸失利益の損害 419 万 9700 円及び作品 68 番の掲載による逸失利益の損害 205 万 1100 円の一部である184 万 8700 円の合計 1000 万円並びにこれらに対する訴状送達日の翌日である平成 2 5 年 2 月 2 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める 2 被告の主張 (1) 原告の主張 (1) ないし (3) は認める (2) 原告の主張 (4) は争う UFCの映像作品を視聴する層のうち, 有料で視聴する層は限定されている また, ニコニコ動画においては, 動画を開くと同時に再生回数が1 回とカウントされるため, 動画を視聴していないにもかかわらず再生回数としてカウントされることがあり得る したがって, 再生数に販売価格を掛けることにより損害額を算出するのは相当ではない 第 4 当裁判所の判断 1 準拠法文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約 ( 以下 ベルヌ条約 という )5 条 (2) によれば, 著作物の保護の範囲は, 専ら, 保護が要求される同盟国の法令の定めるところによるとされるから, 我が国における著作権の有無等については, 我が国の著作権法を準拠法として判断すべきである 我が国とアメリカ合衆国 ( 以下 米国 という ) は, ベルヌ条約の同盟国であるところ, 本件各作品の著作者は, 米国法人である原告であると認められるから 6

( 甲 1の1ないし37), 我が国において著作権法による保護を受ける ( 著作権法 6 条 3 号, ベルヌ条約 5 条 (1),2 条 (1)) なお, 著作権侵害を理由とする損害賠償請求の法的性質は不法行為であり, 法の適用に関する通則法 17 条により準拠法を決定するべきであるところ, 本件において, 同条にいう 加害行為の結果が発生した地 は日本国内であると認められるから, 我が国の法律がその準拠法となる 2(1) 以上を前提に, まず, 本件各作品のうち, 原告が請求の根拠とする作品 11 番,26 番及び68 番の著作物性について検討する 作品 11 番,26 番及び68 番は, いずれも, 総合格闘技であるUFC の大会における試合を撮影した動画映像であり, 各場面に応じて被写体 ( 選手, 観客, 審判等 ) を選び, 被写体を撮影する角度や被写体の大きさ等の構図を選択して撮影 編集され, 映像に, 選手等に関する情報等を文字や写真により付加する等の加工を加えたものである ( 甲 16の1ないし 3) このように, 作品 11 番,26 番及び68 番は, 試合の臨場感等を伝えるものとするべく, 被写体の選択, 被写体の撮影方法に工夫がこらされ, また, その編集や加工により, 試合を見る者にとって分かりやすい構成が工夫されているものということができるのであって, 思想又は感情を創作的に表現したものであると認められるから, 映画の著作物に該当する (2) 原告は, 作品 11 番,26 番及び68 番の企画 製作を行った者であり, 映画製作者としてそれらの著作権を有するものと認められる ( 甲 1の8,1 6,32) また, 被告が上記各作品について別紙一覧表の番号 11,26 及び68に記載の日時, 場所において, パーソナルコンピュータを使用して, 株式会社ニワンゴがウェブサイト ニコニコ動画 を運営するために設置して管理するサーバコンピュータ内の記録媒体に, 作品 11 番,26 番及び6 8 番の情報を記録 保存し, インターネットを利用する不特定多数の者に対し自動公衆送信し得るようにしたこと, 被告が故意により上記行為に及んだ 7

ことについては, 当事者間に争いがない (3) 株式会社ニワンゴが設置 管理する上記サーバコンピュータは, 公衆からの求めに応じ自動的に公衆送信を行うものであり, 上記サーバコンピュータ内の上記記録媒体は, 上記サーバコンピュータの記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分であると認められるから ( 甲 2の1ないし84), 上記サーバコンピュータは自動公衆送信装置であり, 上記記録媒体は公衆送信用記録媒体に当たるものと認められる したがって, 被告の上記 (2) の行為は, 作品 11 番,26 番及び68 番を送信可能化するものであり ( 著作権法 2 条 1 項 9 号の5イ ), 原告の公衆送信権 ( 同法 23 条 ) を侵害するものに当たる (4) よって, 被告は, 原告に対し, 著作権 ( 公衆送信権 ) 侵害の不法行為責任に基づく損害賠償義務を負う 3 損害額 (1) 証拠 ( 甲 5の1 2,6,7の1ないし45,8の1ないし14,9の 1ないし3) 及び弁論の全趣旨によれば, 次の事実が認められる ア原告は,UFCの試合を撮影した映像作品( 本件各作品を含む ) のインターネット配信について,TVバンクとの間でライセンス契約を締結しており, 上記契約において, 原告は, 上記配信によりTVバンクに生じた収入が歴月計算において1200 万円を超えない限度において, その60% を取得するものとされていた イ TVバンクにおけるインターネット配信料は, その注目度に応じ, 試合種別により異なるものとされており, 具体的には次のとおりであった ( ア ) ナンバーシリーズ ( 大会タイトル上, UFC の後に31から140までのいずれかの番号が付されているシリーズ ) の大会のメインカードの試合 500 円 ( イ ) ナンバーシリーズ 以外の大会( UFC Fight Nig 8

ht 及び UFC on Versus ) のメインカードの試合 350 円 ( ウ ) メインカードの前座 (Prelim) の試合 200 円ウ作品 11 番及び26 番は各 500 円でインターネット配信されていたものである また, 上記イ ( ア ) ないし ( ウ ) の区分に照らし, 作品 68 番は, インターネット配信する場合, 配信料を500 円とすべきものであったと認められる エ作品 11 番,26 番及び68 番は, 下記 ( ア ) ないし ( ウ ) 記載の期間において, 次の回数にわたり再生された ( ア ) 作品 11 番平成 22 年 9 月 27 日から同年 11 月 5 日まで 1 万 3172 回 ( イ ) 作品 26 番平成 22 年 10 月 24 日から同年 11 月 5 日まで 1 万 3999 回 ( ウ ) 作品 68 番平成 22 年 11 月 22 日から平成 23 年 1 月 5 日まで 6837 回 (2) 以上の事実に照らすと, 作品 11 番,26 番及び68 番に係る被告の侵害行為により, 上記各作品が再生される毎に, 原告に損害が生じたものと認められ,TVバンクにおける配信料相当額である500 円に再生回数を乗じ, 更に60% を乗じた金額に相当する額を上記損害額とみるのが相当である ( 著作権法 114 条 3 項 ) 原告の損害額は, 具体的には次のとおりである ア作品 11 番 500 円 1 万 3172 回 60%=395 万 1600 円イ作品 26 番 500 円 1 万 3999 回 60%=419 万 9700 円ウ作品 68 番 9

500 円 6837 回 60%=205 万 1100 円 (3) 本件訴状の送達日は平成 25 年 2 月 1 日であり ( 当裁判所に顕著 ), 同日の翌日である同月 2 日は, 被告による本件不法行為日より後の日であると認められる 4 以上によれば, 原告は, 著作権 ( 公衆送信権 ) 侵害の不法行為責任に基づき, 作品 11 番の掲載による損害として395 万 1600 円, 作品 26 番の掲載による損害として419 万 9700 円, 作品 68 番の掲載による損害として20 5 万 1100 円の一部である184 万 8700 円 ( 合計 1000 万円 ) 及びこれに対する平成 25 年 2 月 2 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を請求することができ, 原告の請求は理由がある 第 5 結論よって, 主文のとおり判決する 東京地方裁判所民事第 29 部 裁判長裁判官大須賀滋 裁判官小川雅敏 裁判官森川さつき 10