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平成22年度         タイトル

性別 女性 48% 男性 52% 男性 女性 年齢 29 歳 5% 30 歳以上 16% 20 歳未満 21 歳 1% 1% 22 歳 7% 23 歳 10% 20 歳未満 21 歳 22 歳 23 歳 28 歳 8% 24 歳 14% 24 歳 25 歳 26 歳 27 歳 27 歳 12% 26

目 次. はじめに P. メニュー構成 P4. 決済メニューについて P6 4. 設定メニューについて P7

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

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性別 女性 48% 男性 52% 男性 女性 年齢 29 歳 5% 30 歳以上 16% 20 歳未満 21 歳 1% 1% 22 歳 7% 23 歳 10% 20 歳未満 21 歳 22 歳 23 歳 24 歳 28 歳 8% 24 歳 14% 25 歳 26 歳 27 歳 27 歳 12% 26

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資料 3 平成 29 年度産業経済研究委託事業 我が国における FinTech 普及に向けた環境整備に関する調査検討経過報告 キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識 2018 年 2 月 8 日 株式会社野村総合研究所コンサルティング事業本部 ICT メディア産業コンサルティング部金融コンサルティング部 100-0004 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティク ランキューフ

キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識 1. 諸外国におけるキャッシュレス決済の現状 2. 日本における現金決済の社会コスト Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 1

諸外国におけるキャッシュレス決済の現状 諸外国におけるキャッシュレス促進に向けた施策 施策のターゲット施策施策概要実施国例 消費者 カード利用による減税措置 キャッシュレス決済分を所得控除する等で減税メリット付与 韓国 インド くじ等による還元 キャッシュレス決済利用時に減税以外の金銭メリットを仕組化 韓国 公共機関でのアクセプタンス拡大 政府機関 交通機関での非現金決済を推進 シンガポール 英国 教育プログラム TVCMやサイト等でのキャッシュレス決済の認知 利用促進 オーストラリア 加盟店 ( 小売等 ) アクセプタンス義務化 ( 一定条件を満たす ) 加盟店へのキャッシュレス導入を義務付 韓国 端末導入の補助 端末の配布や補助金による加盟店での導入支援 - 現金支払の上限金額規制 現金での支払を一定金額以下に制限する規制の導入 スウェーデン 欧州 店頭での現金受付拒否 店頭で現金の支払を拒否できる事を法的に担保 スウェーデン 金融事業者 FinTech 事業者 決済手数料規制インターチェンジフィー 加盟店手数料等の水準を規制オーストラリア 中国 銀行カードへの決済機能付与義務化銀行カードに店頭決済機能を付与することを義務化中国 規制緩和ライセンス付与の容易化や規制サンドボックス等での参入推進英国 シンガポール等 多様なステークホルダー ( インフラ整備等 ) 推進主体の設立政府 民間共同での協議会の設立や政府内での権限の集約英国 通貨の発行停止高額紙幣やコインの発行 流通を停止インド カナダ モバイル決済インフラの整備スマートフォンを活用したモバイルベースの決済インフラを構築英国 シンガポール等 クレジット デビット等決済 NW の整備決済 NW を整備し アクセプタンスを容易化又はコスト低減オーストラリア インド Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2

諸外国におけるキャッシュレス決済の現状 諸外国におけるキャッシュレス比率の変化とキャッシュレス化進展の施策例 キャッシュレス比率 ( ) 2007 2016 07 年 16 年 同期間におけるキャッシュレス化進展の施策例 韓国 61.8% 96.4% +34.6% 非現金決済利用時の消費者向け税還付制度の拡充 ( 還付率や対象の拡大 ) 小規模加盟店向け加盟店手数料の規制 イギリス 37.9% 68.7% +30.8% ロンドン五輪 (2012 年 ) を契機とした政府主導の非接触決済 ( デビットカード ) 普及促進 決済インフラを担う専門組織による決済の高度化 オーストラリア 49. 59.1% +9.9% 国産決済サービス ( デビットカード )EFTPOS の非接触決済対応 インターチェンジフィー等の手数料規制 シンガポール 43.5% 58.8% +15.3% 国家の電子化に早くから取り組んでいたほか 近年政府による スマートネーション構想 のもと キャッシュレス社会実現にかかる施策を推進中 カナダ 49. 56.4% +7.4% 政府によるペニー硬貨の廃止や小切手の廃止 低廉なインターチェンジフィー水準に関する当局と国際ブランドとの合意 スウェーデン 41.9% 51.5% +9.6% 政府による脱現金社会に向けた法的な手当て (ex. 店頭での現金決済お断り等 ) アメリカ 33.7% 46. +12.3% フランス 29.1% 40. +10.9% 現金支払い上限 (1,000 ユーロ ) の設定 インターチェンジフィー規制の導入 VISA MasterCard が中心となりカード決済普及を促進 近年は非金融事業者による決済サービスが普及 インド 18.3% 35.1% +16.8% 国産のデビットカードシステム Rupay 開発 普及促進のほか 加盟店手数料の上限設定 政府主導で デジタルインド計画 を推進中 日本 13.6% 19.8% +6. 電子マネーの利用が拡大しているものの 引き続き現金志向が強く キャッシュレス化進展せず ドイツ 10.4% 15.6% +5. 現金志向が強く キャッシュレス化進展せず 中国 ( ) ( 参考 ) 約 4(2010 年 ) 約 6(2015 年 ) 北京五輪 (2008 年 ) を契機とした政府主導の銀聯カードの普及促進 インターチェンジフィー 加盟店手数料等規制によるアクセプタンス促進 ( ) キャッシュレス比率は ( カード決済 ( 電子マネー除く )+E-money 決済 )/ 家計最終消費支出により算出 ( ともにUS$ ベースで算出 ) ( ) 中国については Better Than Cash Allianceのレポートより参考値として記載出所 )BIS Statistics on payment, clearing and settlement systems in the CPMI countries Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. WorldBank World Development Indicators よりNRI 作成 3

現金 キャッシュレス決済に関する調査調査概要 調査対象企業調査対象サービス調査方法調査実施期間送付先数回収サンプル数 小売流通業 主要サービス業 ( 外食業 レジャー 宿泊業 その他サービス業 ) 店舗を通じて行われる物品販売およびサービス提供 ( 電子商取引など 非対面の決済は含まない ) 郵送アンケート調査 2017 年 12 月 ~2018 年 1 月 4000 社 575 社 売上高 (N=559) 従業者数 (N=564) 店舗数 (N=548) 23% 18% 3 2 25% 29% 24% 21% 21% 14% 11% 3% 9% 1 4% 8% 7% 7% 1% 5% 4% アンケート送付先条件は従業者数 30 人以上出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4

95% の企業において 毎日 1 回 / 台以上のレジ現金残高確認作業が発生している レジで現金を取り扱う業務の現状 1 日に 3 回より多い 1 日に 3 回程度 1 日に 2 回程度 1 日に 1 回程度 2~3 日に 1 回程度 1 週間に 1 回程度 1 ヶ月に 1 回程度 行っていない レジ現金残高の確認作業 ( レジ 1 台あたり ) 11% 17% 33% 33% 1% 4% 529 売上データの集計作業 5% 5% 1 7 1% 3% 3% 528 銀行などでの現金両替作業 3% 28% 24% 24% 9% 1 525 つり銭をレジに準備する作業 3% 13% 68% 3% 3% 5% 528 売上金 ( 現金 ) を銀行口座に入金する作業 1% 56% 21% 1 9% 530 その他 5% 5% 21% 5% 63% 43 1 日あたり平均回数 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 回答数 レジ現金残高の確認作業 1.9 売上データの集計作業 1.3 銀行などでの現金両替作業 0.4 つり銭をレジに準備する作業 1.1 売上金 ( 現金 ) を銀行口座に入金する作業 その他 0.5 0.7 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 5

レジ現金残高の確認作業 に 最も時間が費やされている レジで現金を取り扱う業務の現状 レジ台数を加味 レジ現金残高の確認作業 ( レジ 1 台 1 日あたり ) レジ現金残高の確認作業 (1 店舗 1 日あたり ) 売上データの集計作業 (1 店舗 1 日あたり ) 27% 2 18% 2 18% 2 8% 18% 19% 1 8% 9% 1% 14% 11% 6% 14% 15% 1 1 8% 8% 4% 0 分以上 5 分未満 5 分以上 10 分未満 10 分以上 15 分未満 15 分以上 20 分未満 20 分以上 30 分未満 30 分以上 60 分未満 60 分以上 分未満 分以上 (N=456) 0 分以上 5 分未満 5 分以上 10 分未満 10 分以上 15 分未満 15 分以上 20 分未満 20 分以上 30 分未満 30 分以上 60 分未満 60 分以上 分未満 分以上 (N=456) 0 分以上 5 分未満 5 分以上 10 分未満 10 分以上 15 分未満 15 分以上 20 分未満 20 分以上 30 分未満 30 分以上 60 分未満 60 分以上 分未満 分以上 (N=456) 平均値 25 分 / 日 台 中央値 20 分 / 日 台 平均値 153 分 / 日 店 中央値 30 分 / 日 店 平均値 23 分 / 日 店 中央値 15 分 / 日 店 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 6

( 参考 ) その他の現金関連業務にかかる作業時間 レジで現金を取り扱う業務の現状 55% 銀行などでの現金両替作業 (1 店舗 1 日あたり ) つり銭をレジに準備する作業 (1 店舗 1 日あたり ) 29% 33% 売上金 ( 現金 ) を銀行口座に入金する作業 (1 店舗 1 日あたり ) 24% 24% 16% 1 3% 6% 7% 6% 9% 7% 1% 16% 18% 9% 8% 13% 1% 0 分以上 5 分未満 5 分以上 10 分未満 10 分以上 15 分未満 15 分以上 20 分未満 20 分以上 30 分未満 30 分以上 60 分未満 60 分以上 分未満 分以上 (N=456) 0 分以上 5 分未満 5 分以上 10 分未満 10 分以上 15 分未満 15 分以上 20 分未満 20 分以上 30 分未満 30 分以上 60 分未満 60 分以上 分未満 分以上 (N=456) 0 分以上 5 分未満 5 分以上 10 分未満 10 分以上 15 分未満 15 分以上 20 分未満 20 分以上 30 分未満 30 分以上 60 分未満 60 分以上 分未満 分以上 (N=456) 平均値 8 分 / 日 店 中央値 4 分 / 日 店 平均値 10 分 / 日 店 中央値 6 分 / 日 店 平均値 14 分 / 日 店 中央値 10 分 / 日 店 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 7

店舗の売上規模が大きいほど 現金関連作業のコスト効率が良い 売上規模 現金関連作業コスト売上高比 の関係性 (N=426) ( 注 ) 現金関連作業は以下の合計 - レジ現金残高の確認作業 - 売上データの集計作業 - 銀行などでの現金両替作業 - つり銭をレジに準備する作業 - 売上金 ( 現金 ) を銀行口座に入金する作業 現金関連作業コスト売上高比 (%) 10.000 相関係数 r = -0.50 現金関連作業コスト売上高比 (%) 10.000 相関係数 r = -0.72 1.000 1.000 0.100 0.100 0.010 0.010 0.001 100 10,000 1,000,000 0.001 1 100 10,000 1,000,000 売上高 ( 百万円 ) 1 店舗あたり売上高 ( 百万円 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート (2018 年 1 月 ) 8

レジ 1 台あたりの現金残高確認作業時間は 売上規模 店舗規模と無相関である 店舗のコスト ( 作業時間 ) 削減のためには 現金を取り扱わない ( または残高確認の必要がない ) レジを増やすなど 現金確認作業自体を減らすことが必要 売上規模 現金関連作業コストの関係性 (N=426) レジ 1 台あたりの現金残高確認作業時間 ( 分 / 日 台 ) 1,000.0 相関係数 r = -0.01 レジ 1 台あたりの現金残高確認作業時間 ( 分 / 日 台 ) 1,000.0 相関係数 r = 0.05 100.0 100.0 10.0 10.0 1.0 1.0 0.1 1 100 10,000 1,000,000 売上高 0.1 1 100 10,000 1,000,000 1 店舗あたり売上高 ( 百万円 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート (2018 年 1 月 ) 9

企業規模が小さいほど 現金関連作業コストの負担割合は大きく 従業者 50 人未満の企業では 現金関連の作業人件費が売上全体の 0.51% を占める 売上高に占める現金関連作業コスト ( 人件費 ) の割合 ( 従業者数規模別 ) 従業者数 50 人未満の企業 (N=90) 0.51% 従業者数 50 人以上 100 人未満の企業 (N=105) 0.27% 従業者数 100 人以上の企業 (N=227) 0.14% ( 前提条件 ) 作業時間 作業頻度の積和 ( アンケート回答 ) を人件費換算し算出 対象とした現金関連作業は以下 - レジ現金残高の確認作業 - 売上データの集計作業 - 銀行などでの現金両替作業 - つり銭をレジに準備する作業 - 売上金 ( 現金 ) を銀行口座に入金する作業 単純平均ではなく売上高加重平均による算出値 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート (2018 年 1 月 ) よりNRI 推計 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 10

回答企業全体の約 9 割がカード決済を導入 加えて プリペイドカード 電子マネー 銀聯など複数の決済手段が導入されている キャッシュレス決済の導入状況 カード決済 (VISA,MasterCard,JCB,A MEX など ) 1. 現在導入している 2. 知らない 4. 導入を検 3. 知っているが 導入を検討したことはない 討したが 契約条件 ( 手数料など ) の確認はしていない 5. 導入検討 契約条件 ( 手数料など ) の確認をしたが 導入しなかった 6. 過去に導入していたが 現在は導入していない 回答数 88% 1% 7% 3% 1% 555 商品券 プリペイドカード ( 自社発行型 ) 46% 5% 38% 1% 5% 3% 543 商品券 プリペイドカード ( 第三者発行型 ) 53% 3% 35% 1% 6% 548 J-debit(J デビット ) 27% 8% 5 1% 5% 3% 541 電子マネー (Suica,Edy,iD,QUICPay, nanaco,waon など ) 銀聯 38% 3% 44% 4% 1 1% 548 4 21% 33% 1% 4% 1% 548 QR コード決済 (Alipay( アリペイ ) WeChatPay( ウィーチャットペイ ) など ) 8% 24% 57% 4% 4% 542 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 11

カード決済が売上高に占める割合は平均 2 現金が 6 割を占めている 現金 キャッシュレス決済の売上高構成比 (N=519) 回答社数での単純平均値 現金 61% カード決済 2 商品券 プリペイドカード ( 自社発行型 ) 3% 商品券 プリペイドカード ( 第三者発行型 ) 3% J-debit(J デビット ) 電子マネー 6% 銀聯 QR コード決済 1% 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 12

カード決済導入企業における手数料率の平均値は 3.09% 中央値は 3.0 カード決済の手数料率 (N=304) 3 25% 2 17% 2 25% 15% 11% 11% 1 8% 7% 5% 1% 1% 0.3% 0.3% 平均値 3.09% 中央値 3.0 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 13

キャッシュレス決済の導入によって 一部企業では客数 客単価増効果が得られている キャッシュレス決済の導入よる店舗の売上増効果 (N=440) 客数の増効果 客単価の増効果 客数は変わっていない 38% 客単価は変わっていない 39% 客数が 1%~ 程度増えている 5% 客単価が 1%~ 程度増えている 7% 客数が 3%~4% 程度増えている 3% 客単価が 3%~4% 程度増えている 3% 客数が 5%~6% 程度増えている 5% 客単価が 5%~6% 程度増えている 3% 客数が 7%~9% 程度増えている 1% 客単価が 7%~9% 程度増えている 1% 客数が 1~19% 程度増えて 客単価が 1~19% 程度増 客数が 2 以上増えている 客単価が 2 以上増えている 1% 効果は分からない 45% 効果は分からない 45% 平均増効果 +2.1% 平均増効果 +1.6% 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 14

未導入理由は 決済手数料が高いから (31%) が最も多い キャッシュレス決済を導入していない理由 (N=62) キャッシュレス決済を導入した決め手 ( 理由 ) (N=513) 最大 3 つを選択 最大 3 つを選択 決済手数料が高いから 31% お客様のニーズがあったから ( 日本人 ) 64% 自社の商品や取引の形態と合わないからお客様のニーズが少ないから ( 日本人 ) 初期投資 ( 端末 システムなど ) が高いから売上向上が見込めないから資金回収サイクルが長いから 5% 1 16% 19% 23% 売上向上効果が見込めるから同業他社も導入しているからお客様のニーズがあったから ( 外国人 ) 現金支払いに関する作業 費用を減らしたいから 11% 11% 31% 27% キャッシュレス決済に興味 関心がないから 5% レジで支払いにかかる時間が現金より早いから 9% 理由はわからない 5% システム投資が安い ( 不要 ) であるから 6% 売上向上効果が不透明であるから 3% セキュリティ面で安心であると判断できたから 5% レジで支払いにかかる時間が現金より遅いから 3% 理由はわからない 4% キャッシュレス決済のことが分からないから 3% 決済手数料が安いから お客様のニーズが少ないから ( 外国人 ) キャッシュレス決済に興味 関心があったから セキュリティに不安があるから 現金支払いが不衛生であるから 決済端末の操作が分からない / 覚えられないから 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 15

サンプル数少 (N=23) のため参考 カード決済 未導入 企業が求める手数料率水準 どのくらいの決済手数料率であれば 導入してもよいとお考えか お答えください (N=23) 7 65% 6 5 4 3 2 1 13% 9% 13% 平均値 1. 中央値 1. 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 16

決済専用端末の保有企業は その大半が端末を無償で導入している 決済端末保有企業における 1 台あたり機器購入費用 周辺機器費用やキャッシュバック等も考慮した実質的な初期費用 カード決済端末 (INFOX JET-S 端末等 ) (N=164) 73% 8 電子マネー決済端末 (N=66) 9% 9% 7% 1% 1% 3% 9% 平均値 2.0 万円中央値 0 万円 平均値 4.5 万円中央値 0 万円 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 17

現金決済の社会コスト 現金決済インフラを維持するために 年間約 1 兆円を超える直接コストが発生している 現金決済インフラの直接的な社会コスト ( 年間 ) 印刷局 造幣局 日本銀行 銀行 銀行 ATM/ コンビニ ATM 流通 サービス業 ユーザー 各支店 事務所 各支店 全国 20 万台 法人 法人 印刷局 造幣局 引渡し 交付 銀行券製造委託費貨幣製造コスト 500 億円 150 億円 店頭設備投資 760 億円 現金供給 現金関連業務窓口人件費 1,000 億円 現金輸送 警送会社委託費 1,400 億円 ATM 補填 窓口預入 引出収納代行売上金回収 ATM ATM 預入 引出 ATM 機器費 設置費 ATM 事業運営経費 1,460 億円 4, 億円 店舗 現金関連業務人件費 ( レジ締め等 ) 5,000 億円 代金支払 キャッシャー等設備投資 600 億円 個人 給与支払 偽造紙幣被害 0.1 億円 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 18

現金決済の社会コスト 業務が 10 キャッシュレス化されるまで無くならない固定コストも存在する キャッシュレス比率とコストの連動性 (1 企業や 1 店舗におけるコスト連動性のイメージ ) (1) キャッシュレス比率とコストがほぼ比例するコスト (2) 固定コストと変動コストのハイブリッド型 (3) 業務が 10 キャッシュレス化すれば無くなる固定コスト 14 14 14 12 12 12 10 10 10 コスト減衰率 8 6 8 6 8 6 4 4 4 2 2 2 2 4 6 8 10 2 4 6 8 10 2 4 6 8 10 キャッシュレス比率 キャッシュレス比率 キャッシュレス比率 コスト項目 警送会社委託費 ( 現金輸送 ATM 現金補填 ATM 監視 ) 金融機関窓口人件費 ( 接客 伝票処理 出納 ) レジ締め作業 ATM 機器 ( ハード / ソフト ) ATM 設置手数料 銀行券製造委託費 貨幣製造コスト 紙幣鑑別機 出納機 システム レジ ( キャッシャー ) 自動券売機 計数機 ATM 事業運営経費 警送会社委託費 ( 売上回収 ) 偽造紙幣損害 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 19

日本における現金決済 キャッシュレス決済の社会コスト 現金の社会コストは幅広いステークホルダーで共有している一方 キャッシュレス決済の社会コストは 流通 サービス業に負担が偏っている 現金決済の社会コスト キャッシュレス決済の社会コスト キャッシュレス決済による経済効果 日本銀行 650 億円 (0.05%) - 銀行 1,760 億円 (0.15%) 電子決済市場の成長 CtoC 送金市場の成長 法人融資市場の成長 与信コストの削減 ( トランザクションレンディング ) ATM サービス 6,940 億円 (0.59%) - 流通 サービス業 5,600 億円 (0.47%) 2 兆 2,800 億円 (3.0) 外国人観光客による消費支出増 法人から個人に対する少額支払市場の成長 ( 広告 販促の革新 ) 消費者 家計資産運用の活性化 盗難 特殊詐欺 横領被害の減少 法人 法人会計 経理業務の効率化 行政 地下経済 脱税の抑制 社会給付 ( 生活保護や災害支援等 ) の効率化 出所 ) 現金 キャッシュレス決済に関するアンケート調査 (2018 年 1 月 ) 各種統計 ヒアリングよりNRI 推計カッコ内は 決済金額に締めるコストの割合 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 20