M&A研究会報告2009

Similar documents
Updated Jan 2009 企業価値評価用データレポート ValuePro Valuation Data Report サンプル エクイティ リスク プレミアムサイズ リスク プレミアム 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権は株式会社プルータス コンサルティング ( 以下 当社 という

<4D F736F F D F4390B3817A4D42418C6F896390ED97AA8D758B60985E814091E63289F AE8E9197BF E646F63>

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

有価証券報告書・CG報告書比較分析

インプライド・キャップレートの算出方法

Microsoft PowerPoint - 09macro3.ppt

<4D F736F F F696E74202D204D41208E9E82CC8AE98BC689BF926C955D89BF B E A8DC58F49>

(Taro-\222\262\215\270\225[.A4\207B.jtd)

多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

長期金利の上昇と商業用不動産価格の関連性

PowerPoint プレゼンテーション

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

労働市場分析レポート第 43 号平成 26 年 10 月 31 日 マッチング指標を用いたマッチング状況の分析 労働市場における労働力需給調整を評価するための指標として 就職率や充足率があるが 求人倍率が上昇する時には 就職率が上昇し充足率が低下するなどの動きがみられ それぞれ単独の利用には注意が必

( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

平成22年7月30日

国内企業22万社の融資等の保全状況実態調査

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

Microsoft Word - 49_2

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

<4D F736F F F696E74202D E9197BF C A89EF8C CC82CC95818B798FF38BB52E >

別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 繊維製品 パルプ 紙 化学 石油 石炭 黒転

untitled

平成 21 年第 1 回 ( 平成 21 年 2 月 1 日実施 ) 鳥取県企業経営者見通し調査報告 目次ヘ ーシ 御利用にあたって 1 1 業界の景気判断 3 2 自己企業の売上高判断 5 3 自己企業の経常利益判断 7 4 生産数量の判断 9 5 在庫水準の判断 10 6 生産設備の規模判断 1

( 図表 1) 平成 28 年度医療法人の事業収益の分布 ( 図表 2) 平成 28 年度医療法人の従事者数の分布 25.4% 27.3% 15.8% 11.2% 5.9% n=961 n=961 n= % 18.6% 18.5% 18.9% 14.4% 11.6% 8.1% 資料出所

スライド 1

第2章 食品卸売業の経営指標

健康保険・船員保険          被保険者実態調査報告

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

資本コストから見たPBR効果 ~要因分析から今後の動向を考える~

平成22年7月30日

<4D F736F F F696E74202D208BE28D738AE98BC689BF926C8CA48B8689EF816997E996D C835B A5F B8CDD8AB B83685D>

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

企業アンケート ( 東証一部 二部の 941 社が回答 ) の結果等のポイント 指名委員会を設置済み 又は設置を検討中 検討予定の企業 : 55% 報酬委員会 : 5 3 ページ参照 社長 CEOの選定 解職の決定に関して監督を行なうことについて 社外取締役が役割を果たしている と回答 した企業 委

一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

Microsoft PowerPoint - 08economics4_2.ppt

平成 21 年経済センサス 基礎調査確報集計結果 (2) 産業分類別 - 従業者数 ( 単位 : 人 %) 北海道 全国 従業者数従業者数 (*2 (*2 A~S 全産業 A~R 全産業 (S 公務を除く )

1

Microsoft Word - 高森-伊藤_優先株JAROS_2006.doc

横浜市環境科学研究所

目的 第 3 次産業活動指数の内訳大分類業種系列である情報通信業の季節調整済指数に特殊な動きが生じており 季節調整済指数の評価に注意を要する事態が生じている そこで 季節調整期間を長くしてモデルを再検討したり 様々な季節調整方法 (Decomp や X-13 ARIMA-SEATS) を試しつつ 公

スライド 1

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

平成 23 年 11 月 17 日 問い合わせ先 国土交通省土地 建設産業局土地市場課課長補佐松本浩 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 ( 平成 23 年 9 月調査 ) の結果について 1. 調査目的 本調査

Microsoft PowerPoint - 05zaimukanri11.ppt

平成 22 年 11 月 12 日 問い合わせ先 国土交通省土地 水資源局土地市場課課長補佐小酒井淑乃 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 (*) ( 平成 22 年 9 月調査 ) の結果について 1. 調査目

経済学でわかる金融・証券市場の話③

IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

Microsoft PowerPoint - 3rdQuarterPresentations2013_J03.ppt

平成 22 年 5 月 7 日 問い合わせ先 国土交通省土地 水資源局土地市場課課長補佐小酒井淑乃 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214, ) 直通 : 土地取引動向調査 (*) ( 平成 22 年 3 月調査 ) の結果について

切断安定分布による資産収益率のファットテイル性のモデル化とVaR・ESの計測手法におけるモデル・リスクの数値的分析

<4D F736F F D ED97AA2D8D F8D E646F63>

ダンゴムシの 交替性転向反応に 関する研究 3A15 今野直輝

中小企業の雇用・賃金に関する調査結果(全国中小企業動向調査(中小企業編)2015年10-12月期特別調査)

2017年度 決算説明会資料

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

EBNと疫学

1 概 況

別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 母集売上高経常利益純利益集計団 18/3 期従来 19/3 期 18/3 期従来 19/3 期 18/3 期従来 19/3 期社数社数実績予想予想実績予想予想実績予想予想 繊維製品

審議事項 (2) 年 7 月 ASBJ/EFRAG のスタッフがのれんと減損に関する定量的調査の付属資料として作成した付録付録 1: 定量的調査の概要付録 2: 主要なデータ セット 参考訳 財務会計基準機構の Web サイトに掲載した情報は 著作権法及び国際著作権条約をはじめ

ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)

回答企業の属性 < 上場市場区分 > 東証マサ ース (n=9) 2.9% JQ その他 (n=30) 9.6% 東証 2 部 (n=11) 3.5% 東証 1 部 (n=262) 84.0% 2/14

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

Microsoft PowerPoint EU経済格差

経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

サーバに関するヘドニック回帰式(再推計結果)

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

日本企業の人材育成制度の導入状況と財務パフォーマンス(上)

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

政策課題分析シリーズ15(本文2)

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別

PowerPoint プレゼンテーション

平成 24 年 5 月 1 日 問い合わせ先 国土交通省土地 建設産業局土地市場課課長補佐松本浩 係長長瀨裕太代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 ( 平成 24 年 3 月調査 ) の結果について 1. 調査目的 本調査は

3. 平成 31 年 3 月期の連結業績予想 ( 平成 304 年月 1 日 ~ 平成 313 年月 31 日 ) 売上高営業利益経常利益 (% 表示は 通期は対前期 四半期は対前年同四半期増減率 ) 親会社株主に帰属する当期純利益 1 株当たり当期純利益 百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円

63-3.ren

平成 29 年度下期新潟市景況調査 ( 本報告 ) Ⅳ テーマ別調査結果 93

ニュースリリース 中小企業の雇用 賃金に関する調査結果 ( 全国中小企業動向調査 2013 年 月期特別調査 ) 年 4 月 8 日株式会社日本政策金融公庫総合研究所 3 割の企業で正社員は増加 3 社に 1 社で給与水準は上昇 従業員数 2013 年 12 月において

Microsoft Word - intl_finance_09_lecturenote

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日


<4D F736F F D F C F91E A8E91904D91F582CC817582C282DD82BD82C44E CE8FDB8FA C789C182CC82A8926D82E782B92E646F63>

目 次 [Ⅰ] 調査方法 2 [Ⅱ] 地域区分図 3 [Ⅲ] アンケート調査票 4~5 [Ⅳ] 第 2 回不動産市況 DI 調査結果の概要 6 [Ⅴ] 設問ごとの回答内訳 [-1] 設問 2,3( 住宅地価格 ) 7~9 [-2] 設問 2,3( 商業地価格 ) 10~12 [-3] 設問 2,3(

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

PowerPoint Presentation

我が国中小企業の課題と対応策

「日本のコーポレートガバナンスの現実」

目 次 調査結果について 1 1. 調査実施の概要 3 2. 回答者の属性 3 (1) 主な事業地域 3 (2) 主な事業内容 3 3. 回答内容 4 (1) 地価動向の集計 4 1 岐阜県全域の集計 4 2 地域毎の集計 5 (2) 不動産取引 ( 取引件数 ) の動向 8 1 岐阜県全域の集計

I. 調査結果概況 景気判断 DI( 現状判断 ) は小幅に上昇し最高値を更新 仕入原価高止まりも客単価が上昇 10 月スーパーマーケット中核店舗における景気判断 49.1 と小幅に上昇し 2010 年 4 月の調査開始以降最高値を記録した 経営動向調査によると売上高 DI が 1.1 とはじめてプ

Microsoft Word - 1 color Normalization Document _Agilent version_ .doc

Microsoft Word - å“Ÿåłžå¸°173.docx

29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc

(c) (d) (e) 図 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~1

42

生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

Transcription:

( 業種別の特徴 ) 非製造業を業種別にみると サービス業 卸売業 小売業などは理論価格と市場価格の乖離が小さく ほぼパラレルに動いている様子がみられる こうした業種は 設備投資の増減による将来キャッシュフローのぶれも少なく 売上げの変動性も比較的小さいといった要因が両者の乖離幅を小さくしている可能性が指摘できる 一方 建設 鉱業 電気 ガス業 陸運業などは理論価格が市場価格を大きく上回っている 中でも 電気 ガス業の乖離幅は大きく 時系列による方向も市場価格とは逆になっている 原因としては 推計期間における資源エネルギー価格高などの影響により 利益水準が長期的に期待される水準より高すぎたことなどが考えられる 電気ガス業は 公益事業であることもあり 資本コストが他の業種と比べて格段に低いため 今回のDCF の手法による理論値においては 利益見通しの変動により特にぶれやすいという特徴を持つ 上述のように 4 年と5 年で非常に大きな乖離を示しており この点が非製造業全体でみて乖離幅が拡大する一因となっている これら業種の乖離の大きさがどのような要因で生じているのか更なる今後の課題としたい サービス業 図表 5-8 業種別にみた時系列比較 ( 非製造業 ) 卸売業 ( 億円 ) ( 億円 ) ( 億円 ) ( 億円 ) 2,5 2,,77,756,942 2,8 2,295 2,86 2,27 2,29,89 2,356 3,5 3, 2,5 2,388 2,64 2,529 3,3,5 2,,84,842 2,95 2,64,,5,5,549, 5 5 24 25 26 27 28 24 25 26 27 28 37

海運業 空運業 建設業 鉱業 ( 億円 ) ( 億円 ) ( 億円 ) ( 億円 ) 7, 6, 5, 4, 3, 2, 2,3 4,5 2,747 5,677 3,88 4,42 5,67 4,755 4,493 6,43 4,5 4, 3,5 3, 2,5 2,,5,,88 3,643 2,8 3,384 3,895 2,483 2,496 4,6,58 3,75, 5 24 25 26 27 28 小売業 ( 億円 ) ( 億円 ) 24 25 26 27 28 情報 通信業 ( 億円 ) ( 億円 ) 7, 6, 5, 4, 3,97 4,627 4,27 4,866 6,38 5,382 5,98 6,432 3,985 5,75 6, 5, 4, 4,38 3,69 3,42 3,46 3,42 3,32 5,96 4,288 3,785 4,548 3, 3, 2, 2,,, 24 25 26 27 28 24 25 26 27 28 水産 農林業 4 ( 億円 ) ( 億円 ) 倉庫 運輸関連業 8 ( 億円 ) ( 億円 ) 35 3 25 2 72 293 22 352 274 244 33 32 23 224 7 6 5 4 324 49 396 55 569 66 624 688 47 659 5 3 2 5 24 25 26 27 28 24 25 26 27 28 38

電気 ガス業 不動産業 ( 億円 ) ( 億円 ) ( 億円 ) ( 億円 ) 35, 3, 3,835 27,2 27,73 2,,8,6,582,542,764,7,889,797 25, 22,82,4,275 2,,2 5,, 5, 7,8 8,56 9,57,233 8,55 2,463, 8 6 4 2 669 852 685 24 25 26 27 28 陸運業 ( 億円 ) ( 億円 ) 25, 24 25 26 27 28 2, 8,32 8,628 8,92 9,589 2,359 5,, 9,38 8,953 2,9 2,632,958 5, 24 25 26 27 28 (3) 感応度分析 ( 感応度分析の目的 ) 先にみたように 本調査で使用する簡易 DCF 法は リスクプレミアムや負債コストを一定とするなど 単純化した前提を置いて算出を行っている このため 対象企業の個々のリスク特性等について適切に反映されていない可能性がある 例えば 企業は財務レバレッジを高めることによってROE( 株主資本利益率 ) を引き上げることが可能であるが それは好況期のような場合においてであり 逆に不況期になれば業績は急激に悪化するというリスクを内包している このため 本来であれば個々の企業の財務レバレッジにあわせてリスクプレミアムを調整する必要がある さらに DCF 法で使用するファクターはあくまで期待値であるため 当然ながら各ファクターが期待値の周りでどれだけ変動する可能性があるかは考慮されない これに対し 各ファクターの分布を仮定し 結果としてDCF 値がどのような分布を描くのかを示す方法としてモンテカルロDCF 法やリアルオプションを用いたDCF 法などの手法が存在する 39

対象企業すべてにモンテカルロDCF 法を適用するのはシステム的な負荷も大きいことから 本章では 各ファクターを一律に変動させた場合にDCF 値がどれだけ変化するかについて検証する 感応度分析 を試みた ( 分析結果 ) 本章では 各ファクターに以下の仮定を置き それぞれDCF 値がどのような数値になるか検証を行った ( イ ) 予想営業利益 ±% ±2% ( ロ ) リスクプレミアム ±.5% ±2.5% ( ハ ) 負債コスト ±.5% 結果は図表 5-9に示してあるが 予想営業利益を% 低下させた場合に時価総額に近い値になることがわかる これに対し 予想営業利益が2% 変動した場合 理論価格は約 5% 変動し 2% の低下では理論価格が時価総額を大きく下回る結果となった 実際に4-8 年の5 年間で対象企業の営業利益が平均値からどれだけ乖離しているかをみると 2-25% が最も多くみられ ( 図表 5-) キャッシュフローについては変動性を見込んでおく必要があることが示されている 次に リスクプレミアムを.5% 2.5% 上下に変動させた場合の結果をみると.5% ではそれほど大きな変化ないが 2.5% 低下させた場合に理論価格は約 5% 増加することが示された ( 図表 5-) 時価総額が理論価格と一致していると仮定した場合のリスクプレミアムの値を逆算すると 5-7% のレンジが最も多く 今回使用した5% はそれなりの妥当性を持っていることがわかる もっとも 9-% のレンジも高い頻度でみられることから 8 年夏のような金融市場の混乱時ではリスクプレミアムが平常時より上昇している可能性があることには留意が必要であろう 4

図表 5-9 感応度分析の結果 製造業 _8 年 非製造業 _8 年 2, 2, 8, 6,, 4, 8, 2, 6,, 8, 4, 6, 4, 元 DCF 値 時価総額 2, 元 DCF 値 時価総額 2, 予想営業利益 ±% 予想営業利益 ±5% リスクプレミアム ±5bp リスクプレミアム ±25bp 負債コスト ±5bp 予想営業利益 ±% 予想営業利益 ±5% リスクプレミアム ±5bp リスクプレミアム ±25bp 負債コスト ±5bp 図表 5-4-8 年の各企業の営業利益に関する平均からの乖離平均値と最大値の乖離率 ( 製造業 ) 平均値と最小値の乖離率 ( 製造業 ) 6.% 4.% 4.% 2.% 2.%.%.% 8.% 6.% 4.% 2.% 8.% 6.% 4.% 2.%.%.% 5% 未満 5%-% %-5% 5%-2% 2%-25% 25%-3% 3%-35% 35%-4% 4%-45% 45%-5% 5%-55% 55%-6% 6%-65% 65%-7% 7% 以上 -5% 以上 -%<-5% -5%<-% -2%<-5% -25%<-2% -3%<-25% -35%<-3% -4%<-35% -45%<-4% -5%<-45% -55%<-5% -6%<-55% -65%<-6% -7%<-65% -7% 以下 図表 5- 時価総額 =DCF 値と仮定した場合のリスクプレミアムの逆算値 28 年 ( 製造業 ) 24 年 ( 製造業 ) 25% 25% 2% 2% 5% 5% % % 5% 5% % % 未満 %-3% 3%-5% 5%-7% 7%-9% 9%-% %-3% 3%-5% 5%-7% 7%-9% 9%-2% 2%-23% 23% 以上 % % 未満 %-3% 3%-5% 5%-7% 7%-9% 9%-% %-3% 3%-5% 5%-7% 7%-9% 9%-2% 2%-23% 23% 以上 4

( 参考図 ) 28 年 参考図 と時価総額の散布図 ( 全サンプル ) 27 年,, R 2 =.9 R 2 =.85,, 26 年,,, R 2 =.745 25 年,,, R 2 =.744,, 24 年,,,,, R 2 =.79,,, 42

製造業 (28 年 ) 修正前 参考図 2 外れ値検定の結果 修正後 実際の価格 / 理論価格の分布図 (β= 業種 ) ( 平均 標準偏差が中央値 四分位範囲と一致する正規分布との比較 ) 実際の価格 / 理論価格の分布図 (β= 業種 )( 補正後データ ) ( 平均 標準偏差が一致する正規分布との比較 ).3 実際の価格 / 理論価格 ( 修正前 ) 正規分布.3 実際の価格 / 理論価格 ( 修正前 ) 正規分布.25.25.2.2.5.5...5.5. 未満.-.3 未満.3-.5.5-.7.7-.9.9-..-.3.3-.5.5-.7.7-.9.9-2. 2.-2.3 2.3-2.5 2.5 以上. 未満.-.3 未満.3-.5.5-.7.7-.9.9-..-.3.3-.5.5-.7.7-.9.9-2. 2.-2.3 2.3-2.5 2.5 以上 非製造業 (28 年 ) 修正前 修正後 実際の価格 / 理論価格の分布図 (β= 業種 ) ( 平均 標準偏差が中央値 四分位範囲と一致する正規分布との比較 ) 実際の価格 / 理論価格の分布図 (β= 業種 )( 補正後データ ) ( 平均 標準偏差が一致する正規分布との比較 ).25 実際の価格 / 理論価格 ( 修正前 ) 正規分布.3 実際の価格 / 理論価格 ( 修正前 ) 正規分布.2.25.5.2.5...5.5. 未満.-.3 未満.3-.5.5-.7.7-.9.9-..-.3.3-.5.5-.7.7-.9.9-2. 2.-2.3 2.3-2.5 2.5 以上. 未満.-.3 未満.3-.5.5-.7.7-.9.9-..-.3.3-.5.5-.7.7-.9.9-2. 2.-2.3 2.3-2.5 2.5 以上 43

3. 分析から得られた示唆と課題等 () 主な示唆以上の分析結果を整理すると 以下のようなことが言えよう 総じての時価総額の説明力は高く の算定に用いた各要素の変動は 実際の株価の変動を理屈どおりにもたらすものであることをある程度裏付けることに成功していると評価できる また の時価総額への説明力が 推計期間中ほぼ一貫して改善しており 市場の透明性 効率性が改善していることを示す可能性がある この間 わが国におけるM&A 件数も増大しているが このことが市場の機能の強化に繋がっているという考え方と整合性のある結果である 但し 全般に 時価総額 <という傾向がみられる また 時価総額とDCF 株式価値の乖離は マーケット上昇局面で縮小 下落局面で拡大という傾向がみられた 感応度分析の結果からは このようなバイアスの原因としては 推計期間の株式リスクプレミアムが過去 35 年間の平均より高かったか 利益見通しに下方バイアスがあった可能性があることが示唆されている 例えば 非製造業におけるばらつきの大きな原因は 時価総額におけるシェアの大きい 電気ガス業 におけるDCF 推計値の過大評価であり おそらく推計期間における資源エネルギー価格高などの影響を受けた電気ガス業における利益水準が長期的に期待される水準より高すぎたことが原因と考えられる 電気ガス業は また公益事業であることもあり 資本コストが他の業種と比べて格段に低いため 今回のDCFの手法による理論値においては 利益見通しの変動により特にぶれやすいという特徴を持つ また 乖離率は縮小傾向にあったものの 28 年度は急拡大したが リスクプレミアムは マーケットの局面に応じて変動していると考えられることから 固定的なリスクプレミアムを用いることの限界を示している可能性がある に比べての変動性は小さい の動きには需給関係など個々の企業価値以外の変動要素が含まれると考えられる 市場の需給は株価をいわゆるファンダメンタルズの変動以上に振幅させるものである一方 は ファンダメンタルズそのものを反映するものであり 企業固有の要素がより強く反映されていると受け取れる 以上の分析から 株価の理論値が実際の株価を予測する能力を相当程度有しており このような理論値の統計が株式市場の動向を評価する上で重要な統計となりうることを示していると評価できよう わが国の株式市場において個人投資家が果たす役割が大きくなってきているところ 情報の集約化を効率的に行なっている本統計は 個人投資家の投資行動をサポートし 経済効率性の観点からも一定の役割を果たすことが期待できる また 株式市 44

場への介入 もしくは個別企業への公的資金投入などが検討されているところ 経済財政 金融政策に対しても重要な役割を果たせると考えられる (2) 今後の課題昨年度の分析で今後の課題として取り上げた項目 ( ばらつき 業種の拡大 時系列の整備 ) のうち 時系列 業種別の分析については進んだところ ばらつき ( 時価総額との乖離 ) の原因分析については 今回は感応度分析に留まっており 引き続き課題である 特に 推計の前提としたリスクプレミアム ベータ値 フリーキャッシュフローの設定方法がばらつきやバイアスの原因となっている可能性が高く 前提とするのではなく 研究テーマとして取り上げ 分析を進めることが重要である また今回の研究の範囲を超えているが マクロの統計としての整備の可能性についても検討する価値がある 今回の推計でカバーしたと 東証上場を比較したのが 以下の表である これをみると すでに約 3 割をカバーしている上に その比率はかなり安定している 東証上場と国民経済計算における国民総資産の株式を年末値で比較すると 時価総額は7 割から8 割をカバーしていることが分かる すなわち 今回の推計によるカバレッジは 少なく見積もっても2 割程度あり かつその関係は ある程度安定しているのである 今回の推計はわが国の株式の時価総額の変動をかなりの精度で要因分解することが可能であることを示していると思われる ( 図表 5-2) 図表 5-2 マクロの株価総額指標との比較 ( 単位 : 億円 %) 24 25 26 27 28 M&A 研究会 DCF 理論値 63,828.6 74,438.6 78,3.2 94,744.5 8,786.9 M&A 研究会推計対象企業の実績値 (6-8 月月中平均 ),875.2 2,4.3 47,448.3 67,93. 25,722.9 上場企業時価総額 (6-8 月末平均 ) 36,439.6 384,897.9 58,47.3 556,963. 428,826.3 上場企業時価総額 ( 年末 ) 364,554.9 539,739.5 549,789.4 483,828.9 283,46.2 国民経済計算 ( 年末 ) 467,88.8 724,659.5 724,833.6 559,8.9 実績値の上場企業時価総額に対す 28.3% 29.% 28.5% 3.% 29.3% るカバレッジ 上場企業時価総額の国民経済計算 78.% 74.5% 75.9% 86.6% に対するカバレッジ 今回の推計のカバレッジ 22.% 2.7% 2.6% 26.% 45