2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

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けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

平成10年7月8日

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

平成 22 年 11 月 12 日 問い合わせ先 国土交通省土地 水資源局土地市場課課長補佐小酒井淑乃 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 (*) ( 平成 22 年 9 月調査 ) の結果について 1. 調査目

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第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

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年次別法人企業統計調査概要 - 平成 28 年度 - ( 金融業 保険業を除く ) Financial Statements Statistics of Corporations by Industry, Annually The fiscal year 2016 平成 29 年 9 月 1 日 S

連絡問合先財務総合政策研究所調査統計部調査統計課 TEL ( 内線 ) 直通 財務省ホームページアドレス 報道発表 法人企業統計調査結果 ( 平成 26 年度 ) 平成 27 年 9 月

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「法人企業統計調査」及び「法人企業景気予測調査」に関する意見交換会

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第2章 食品卸売業の経営指標

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第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

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売上高 経常利益 設備投資前年度比の推移 ( 全産業 ( 金融業 保険業を除く )) 売上高経常利益設備投資 ( 注 ) 設備投資は平成 14 年度以降ソフトウェア投資額を含む

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平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7


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製造業 ページ 303 調査対象数 1,695 調査対象数 1,541 調査対象数 971 調査対象数 464 総資本経常利益率 (%) 自己資本経常利益率 (%)

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2002・2003年度

資料1

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

お金をめぐる最近の動き

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

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平成 24 年 5 月 1 日 問い合わせ先 国土交通省土地 建設産業局土地市場課課長補佐松本浩 係長長瀨裕太代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 ( 平成 24 年 3 月調査 ) の結果について 1. 調査目的 本調査は

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第2部

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( 図表 1) 平成 28 年度医療法人の事業収益の分布 ( 図表 2) 平成 28 年度医療法人の従事者数の分布 25.4% 27.3% 15.8% 11.2% 5.9% n=961 n=961 n= % 18.6% 18.5% 18.9% 14.4% 11.6% 8.1% 資料出所

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○統A 1(1-6).xls

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

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政策課題分析シリーズ14(本文2)

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別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 繊維製品 パルプ 紙 化学 石油 石炭 黒転

2018年3月期 第1四半期決算概要

別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 母集売上高経常利益純利益集計団 18/3 期従来 19/3 期 18/3 期従来 19/3 期 18/3 期従来 19/3 期社数社数実績予想予想実績予想予想実績予想予想 繊維製品

ECONOMY TOPICS

3-3. 個別分析の結果 (1) 産業活動と純流動量の量的変化の状況 1) 産業業種別出荷量の推移全国貨物純流動調査における年間出荷量は 90 年調査 (89 年実績 : 3,610 百万トン ) から 95 年調査 (94 年実績 :3,556 百万トン ) にかけて バブル経済の崩壊などにより個

管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 平成 27 年 1 月 15 日 < 管内の経済動向 > ~26 年 11 月の経済指標を中心として ~ 全体の動向 : 緩やかな持ち直し傾向にあるものの 一部に弱い動きがみられる 鉱工業生産 : 生産は一進一退で推移している 個人消費 : 持ち直し傾向にある

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

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下関市立大学広報第72号

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滋賀県内企業動向調査 2018 年 月期特別項目結果 2019 年 1 月 滋賀銀行のシンクタンクである しがぎん経済文化センター ( 大津市 取締役社長中川浩 ) は 滋賀県内企業動向調査 (2018 年 月期 ) のなかで 特別項目 : 働き方改革 ~ 年次有給休暇の取得

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平成16年度 事業報告書

○ 問合せ先専用フリーダイヤル

平成 31 年 1 月 17 日東北経済産業局 管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 ( 平成 30 年 11 月分 ) ~ 一部に弱い動きがみられるものの 緩やかに持ち直している ~ 鉱工業生産 : 個人消費 : 住宅着工 : 公共投資 : 設備投資 : 持ち直しの動きとなっている足踏み状態とな

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

企業経営動向調査0908

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

中小企業の雇用・賃金に関する調査結果(全国中小企業動向調査(中小企業編)2015年10-12月期特別調査)

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H30情報表紙 (H30年度)

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M&A研究会報告2009

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⑤資料4~8高卒状況の推移

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RTE月次レポート企画

2019 年 8 月 22 日 各位 インフラファンド発行者名 東京インフラ エネルギー投資法人 代表者名 執行役員 杉本啓二 ( コード番号 9285) 管理会社名 東京インフラアセットマネジメント株式会社 代表者名 代表取締役社長 永森利彦 問合せ先 取締役管理本部長 真山秀睦 (TEL: 03

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP・報道機関用)

第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

PowerPoint プレゼンテーション

Transcription:

トピックス 企業収益と利益分配の動向 平成 27 年度の中部地域の企業活動は 世界経済の緩やかな回復や原油価格の下落による交易条件の改善などにより回復基調が続き それに伴い企業収益も増加が続いた 本トピックスでは 企業収益の増加に伴い利益剰余金や給与額等がどのように推移したのか 中部と全国を対比しながら検証してみた 分析手法 平成 28 年企業活動基本調査 ( 平成 27 年度実績 ) の調査項目から一部を抜粋し 1 企業当たりの当期純利益 利益剰余金 給与総額及び労働分配率等の推移を比較 分析した なお 業種によって調査対象企業数や企業規模 事業分野などにバラつきがあるため 分析内容が必ずしもその業種の平均的な実態を正確に表しているとは限らない点に留意する必要がある 詳細データは 本報告書内の該当項目を参照すること 分析結果 1. 当期純利益 中部の 1 企業当たりの当期純利益を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており リーマン ショック前の水準を上回っている 全国と比較すると 製造業は平成 23 年度以降 全産業では平成 24 年度以降 全国を上回った状況が続いている 一方 非製造業は平成 23 年度以降 全国を下回った状況が続いている ( 図 1 参照 ) ( 図 1)1 企業当たりの当期純利益の推移 1,800 1,600 1,000 800 600 400 200 0 200 1,606 1,083 895 683 511 413 400

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造業は 平成 25 年度以降全国を下回った状況が続いている ( 図 2 参照 ) ( 図 2)1 企業当たりの利益剰余金の推移 14,000 12,000 11,782 10,000 8,000 8,401 7,983 6,000 6,020 4,000 4,425 4,065 2,000 3. 労働分配率 (1) 給与総額中部の 1 企業当たりの給与総額を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度はリーマン ショック前の水準を上回っている 全国と比較すると 過去 10 年間 製造業は全国を上回った状況が続いているのに対し 非製造業は全国を下回った状況が続いており 全産業では平成 25 年度以降全国を上回った状況が続いている ( 図 3 参照 ) ( 図 3)1 企業あたりの給与総額の推移 2,600 2,400 2,492 2,200 2,000 2,234 2,123 2,099 1,990 1,800 1,600 1,650

(2) 付加価値額中部の 1 企業当たりの付加価値額を見ると 給与総額同様 平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度にはリーマン ショック前の水準を上回った 全国と比較すると 非製造業は 過去 10 年間全国を下回った状況が続いているものの 製造業は平成 25 年度以降全国を上回った状況が続いており 全産業でも平成 25 年度以降全国を上回っている ( 図 4 参照 ) ( 図 4)1 企業当たりの付加価値額の推移 6,000 5,500 5,000 4,500 4,000 3,500 5,209 4,658 4,491 4,323 4,051 3,570 3,000 2,500 (3) 労働分配率中部の労働分配率を見ると リーマン ショック前の平成 19 年度は約 45% であったが リーマン ショック後の平成 20 年度には 製造業が 60% 近くまで上昇し 全産業でも 55% 近くまで上昇し全国を大きく上回る水準となった ( 図 5 参照 ) これは 中部の給与総額と付加価値額がともに減少する中 付加価値額 特に営業利益の減少が大きかったためである ( 図 6 参照 ) その後は 平成 23 年度までほぼ横ばいであったものの 平成 25 年度には 48% 前後まで低下し 横ばいとなっている ( 図 5 参照 ) これは 営業利益の伸びに比べ給与総額の伸びが低かったことが要因と考えられる 営業利益を全国と比較すると 非製造業は 過去 10 年間全国を下回った状況が続いており 製造業は リーマン ショック後の平成 20 年度から平成 23 年度までは全国を下回っていたが平成 24 年度以降は全国を上回った状況が続いており 全産業でも 平成 25 年度以降は全国を上回った状況が続いている ( 図 6 参照 ) ( 図 5) 労働分配率の推移 65.0 60.0 59.3 55.0 50.0 45.5 47.8 45.0 40.0

( 図 6)1 企業当たりの営業利益の推移 1,600 1,445 1,000 800 600 1,110 1,011 869 753 682 400 200 0 中部では全国以上に製造業の割合が高いため 労働分配率の変動も製造業の動向によって左右されることから 製造業の給与総額及び付加価値額について 業種別の増減寄与度を見てみた リーマン ショック後の平成 20 年度に給与総額及び付加価値額の減少に大きく寄与しているのは ともに輸送用機械器具製造業であった また 平成 24 年度以降の増加に大きく寄与しているのも輸送用機械器具製造業であり 自動車関連産業の集積が高い中部は やはり輸送用機械器具製造業の動向によって左右されていることがわかる ( 図 7 8 参照 ) ( 図 7) 中部製造業の給与総額増減寄与度の推移 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 金属製品製造業輸送用機械器具製造業 電子部品 デバイス 電子回路製造業その他 8.0 ( 図 8) 中部製造業の付加価値額増減寄与度の推移 30.0 20.0 金属製品製造業 輸送用機械器具製造業 電子部品 デバイス 電子回路製造業 その他 10.0 0.0 10.0 20.0 30.0

4. 有形固定資産取得額 中部の 1 企業当たりの有形固定資産取得額を見ると 非製造業は リーマン ショック前は全国に比べ 3 分の 2 程度の水準であったが リーマン ショック後は全国と同程度の水準で ほぼ横ばいで推移している 一方 製造業は リーマン ショック前は全国よりやや少ない水準であったが リーマン ショック後の減少幅は全国に比べ大きく 平成 21 年度にはリーマン ショック前の半分程度まで減少した その後 全国に比べ回復度合いが高く 平成 27 年度には全国を上回る水準となった しかし その水準はリーマン ショック前の 8 割弱にとどまっている ( 図 9 参照 ) ( 図 9)1 企業当たりの有形固定資産取得額の推移 中部全産業 中部製造業 中部非製造業 全国全産業 全国製造業 全国非製造業 1,000 800 600 400 911 889 733 717 607 469 200 5. 研究開発投資額 中部の 1 企業当たりの研究開発投資額を見ると 非製造業は リーマン ショック後の平成 21 年度に減少した後 緩やかに増加し 平成 27 年度には平成 20 年度の水準をわずかながら上回る水準となった 一方 製造業は リーマン ショックにより平成 20 年度に大きく減少し 平成 24 年度以降増加に転じたものの 平成 27 年度は横ばいにとどまっており リーマン ショック前の水準には至っていない 全国と比較すると 非製造業はほぼ全国と同様の推移となっているが 製造業は平成 24 年度以降 全国を上回る水準となっており 全産業でも平成 21 年度以降は全国を上回っている ( 図 10 参照 ) ( 図 10)1 企業当たりの研究開発投資額の推移 中部全産業 中部製造業 中部非製造業 100.0 全国全産業 全国製造業 全国非製造業 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 49.0 43.0 30.0 22.0 6.0

6. 製造業の利益剰余金 給与総額 有形固定資産取得額及び研究開発投資額の推移 中部と全国の製造業について利益剰余金 給与総額 有形固定資産取得額及び研究開発投資額を指数化 ( 平成 19 年度 =100) して見ると 中部の利益剰余金は 平成 24 年度以降平成 19 年度の水準を上回り 全国よりも水準が高く伸び率も高い 一方 中部の給与総額は リーマン ショック後の平成 21 年度からの回復 増加の度合が全国に比べ高く その水準も平成 24 年度以降は全国を上回って推移している しかし 増加の度合は 利益剰余金に比べ低いレベルにとどまっている 中部の有形固定資産取得額及び研究開発投資額は リーマン ショック後 利益剰余金の水準に比べ大きく減少しており その後も低い水準で推移している また 研究開発投資額は 平成 22 年度以降全国に比べ低い水準で推移している なお 平成 27 年度の利益剰余金と給与総額との水準差は 全国よりも中部の方が大きくなっている ( 図 11 参照 ) ( 図 11) 製造業の利益剰余金 給与総額 有形固定資産取得額及び研究開発投資額の推移 ( 平成 19 年度 =100) 180 160 中部利益剰余金中部給与総額中部有形固定資産取得額中部研究開発投資 全国利益剰余金全国給与総額全国有形固定資産取得額全国研究開発投資 140 120 100 130 115 105 98 80 60 40 分析結果総括 中部では 1 業当たりの当期純利益が 平成 25 年度以降はリーマン ショック前を上回っており 企業の高利益が続いている これに相まって 1 企業当たりの利益剰余金 ( 内部留保 ) や給与総額も増加傾向となっており 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると おおむね 中部の製造業は全国を上回っているものの 非製造業は下回っている 一方 労働分配率は 中部は平成 24 年度以降低下傾向にあり 平成 27 年度は製造業も全国を下回った この点について リーマン ショック前 ( 平成 19 年度 ) を基準として利益剰余金 給与総額 有形固定資産取得額及び研究開発投資額の推移を見ると 給与総額や有形固定資産取得額 研究開発投資額と比べ利益剰余金の水準が上昇してきており 増加した利益は給与や有形固定資産取得 研究開発投資よりも利益剰余金に多く分配されていると推察される また 平成 27 年度の利益剰余金と給与総額の間の水準差は 全国よりも中部の方が大きくなっている以上のことから 中部の企業は 全国と比較して高い利益を上げているものの 利益の分配は利益剰余金 ( 内部留保 ) に重きを置かれ 労働者への還元や投資への分配が相対的に進んでいないといえる