けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

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2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

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管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 平成 27 年 1 月 15 日 < 管内の経済動向 > ~26 年 11 月の経済指標を中心として ~ 全体の動向 : 緩やかな持ち直し傾向にあるものの 一部に弱い動きがみられる 鉱工業生産 : 生産は一進一退で推移している 個人消費 : 持ち直し傾向にある

平成 22 年基準 秋田県鉱工業生産指数月報 平成 30 年 12 月分 鉱工業生産指数の推移 季節調整済指数全国 東北 : 平成 27 年 =100 秋田 : 平成 22 年 =

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

第2部

平成 31 年 1 月 17 日東北経済産業局 管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 ( 平成 30 年 11 月分 ) ~ 一部に弱い動きがみられるものの 緩やかに持ち直している ~ 鉱工業生産 : 個人消費 : 住宅着工 : 公共投資 : 設備投資 : 持ち直しの動きとなっている足踏み状態とな

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企業経営動向調査0908

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

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物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

<4D F736F F D E9E935F817A E88C481758BC68EED95CA81418DE095CA82C982DD82BD974193FC905A93A79

経済情報:日銀短観(2011年6月)の結果について.doc

近畿圏における電気機器の貿易動向 平成 24 年 10 月 22 日大阪税関調査統計課 貿易額推移 近畿圏における電気機器の貿易額は 2000 年に初めて輸出額が 3 兆円を突破し 輸入額が 1 兆円を突破しました 輸出額は 2001 年に一旦減尐しますが その後は右肩上がりで増加し 2005 年に

下関市立大学広報第72号

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平成10年7月8日

PowerPoint プレゼンテーション

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【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(5月号)~輸出は好調も、旧正月の影響を均せば増勢鈍化

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(1月号)~輸出の好調続くも新型スマホ関連がピークアウトへ

世帯収入 DI 増えた と 減った 二極化の傾向現在の 世帯収入 DI ( 増えた やや増えた ) と回答した割合から 減った やや減った と回答した割合を引いた値 ) は - で前回 ( 年 6 月 :-8) から - ポイントとなりほぼ横ばいとなった 回答の内訳をみると やや増えた が + ポイ

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(10月号)~輸出はスマホ用電子部品を中心に高水準を維持

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 平成 28 年 8 月 12 日 < 管内の経済動向 > ~28 年 6 月の経済指標を中心として ~ 全体の動向 : 一部に弱い動きがみられるものの 緩やかに持ち直している 鉱工業生産 : 生産は一進一退となっている 個住 人宅 消着 費 : 個人消費は足踏

高値となった後 下がり始めた 前述の通り CI 一致指数は 生産や雇用など様々な経済指標を統合し算出されている そのため CI 一致指数の上昇 下降にどの指標 が寄与しているのかについても 内閣府は詳細に発表している 表 1は 各指標がCI 一致指数に対してプラスに寄与したのか マイナスに寄与したの

世帯収入 DI 大幅な改善現在の 世帯収入 DI ( 増えた やや増えた ) と回答した割合から 減った やや減った と回答した割合を引いた値 ) は で前回 (11 年 6 月 :-24.6) から +6.8 ポイント上昇した 震災後に混乱していた企業のサプライチェーンが回復し生産体制

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

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< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断 一部に弱い動きがみられるものの 緩やかに改善 緩やかに改善 ( ) 1 か月 ( 上方修正は 7 か月ぶり ) 生産緩やかな上昇傾向 ( ) 2 か月 個人消費足踏み状態 緩やかな持ち直しの動き ( ) 1 か月 ( 上方修正は 18 か月ぶり ) 設備投

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

個人消費の回復を後押しする政策以外の要因~所得の減少に歯止め、節約志向も一段落

富山県金融経済クォータリー(2018年秋)

( 平成 31 年 1 月判断 ) 平成 31 年 1 月 財務省北陸財務局 富山財務事務所 富山市丸の内 1 丁目 5 番 13 号 ( 富山丸の内合同庁舎 5 階 ) TEL(076) ( 財務課直通 )

25_2

第 1 部 2012 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan 第 1 節 我が国経済の動向 1 大震災後の我が国の景況 第 図 第 図 実質 GDP 成長率と需要項目別寄与度の推移 1 中小企業白書 (2011

統計から見た三重県のスポーツ施設と県民のスポーツ行動

月例経済報告

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

月例経済報告

14, , , , , , ,

1. 総論 総括判断 県内経済は 回復しつつある 項目前回 (29 年 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断緩やかに回復しつつある 回復しつつある ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 29 年 1 月判断以降 3 年 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判

(Microsoft Word - HP-2_\222\262\215\270\214\213\211\312\202\314\212T\227v\(H27\)P1-7.doc)

財務セクション 財政状態及び経営成績の分析 39 リスク要因 43 連結財務諸表 連結貸借対照表 44 連結損益計算書 46 連結包括利益計算書 48 連結株主資本等変動計算書 49 連結キャッシュ フロー計算書 51 セグメント情報 THE MARK OF LINEAR MOTION

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

個人消費活性化に対する長野県内企業の意識調査

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

第1章

ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

労働市場分析レポート第 43 号平成 26 年 10 月 31 日 マッチング指標を用いたマッチング状況の分析 労働市場における労働力需給調整を評価するための指標として 就職率や充足率があるが 求人倍率が上昇する時には 就職率が上昇し充足率が低下するなどの動きがみられ それぞれ単独の利用には注意が必

令和元年 7 月 22 日 北陸地域の総合経済動向 ~ 一部に弱い動きがみられるものの 改善している ~ 経済概況 令和元年 5 月指標を中心として 鉱工業生産指数は 高水準で推移しているものの 一部に弱い動きがみられる 個人消費は 持ち直している 設備投資は 高水準で横ばいとなっている 住宅投資は

富山県金融経済クォータリー(2018年夏)

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

○ユーロ

(2) 直接的な被害 影響の内容第 図および第 表は 直接的な被害 影響を受けた事業所の具体的な被害 影響の内容を示したものである 全体では 支店 営業店 倉庫 工場等の損壊 が 51.8% で最も多く 商品 仕掛品 原材料等の損壊 が 23.5% となっている 産業分類別で

第2部

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 17 か月 生産高水準で推移 8 か月 個人消費緩やかに持ち直し 1 か月 設備投資増加 4 か月 公共投資持ち直しの動き 7 か月 住宅投資一進一退の動き 2 か月 貿 易輸出 輸入ともに前年を上回る 輸出は前年を下回り 輸入は前年を上回 る - 雇

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< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 16 か月 生産高水準で推移 7 か月 個人消費緩やかに持ち直し 9 か月 設備投資増加 3 か月 公共投資持ち直しの動き 6 か月 住宅投資弱含み 一進一退の動き ( ) 1 か月 ( 上方修正は 34 か月ぶり ) 貿易輸出 輸入ともに前年を上回る

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目 次 Ⅰ. 総括編 1. 世界各地域の人口, 面積, 人口密度の推移と予測およびGDP( 名目 ) の状況 ( 1) 2. 世界の自動車保有状況と予測 ( 5) 3. 世界の自動車販売状況と予測 ( 9) 4. 世界の自動車生産状況と予測 ( 12) 5. 自動車産業にとって将来魅力のある国々 (

Microsoft Word iip(速報).doc

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 2 か月 生産高水準で推移 11 か月 個人消費持ち直し 3 か月 設備投資増加 7 か月 公共投資堅調 一服感 ( ) 1 か月 ( 下方修正は 14 か月ぶり ) 住宅投資一進一退の動き 5 か月 貿 易 輸出は前年を下回り 輸入は前年を上回る 輸

< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 18 か月 生産高水準で推移 9 か月 個人消費緩やかに持ち直し 持ち直し ( ) 1 か月 ( 上方修正は 1 か月ぶり ) 設備投資増加 5 か月 公共投資持ち直しの動き 堅調 ( ) 1 か月 ( 上方修正は 7 か月ぶり ) 住宅投資一進一退の

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関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

データ集 採用マーケットの動向 学生の動向 企業の採用動向 大学の就職支援 付録 ( 添付資料 ) -45-

目的 第 3 次産業活動指数の内訳大分類業種系列である情報通信業の季節調整済指数に特殊な動きが生じており 季節調整済指数の評価に注意を要する事態が生じている そこで 季節調整期間を長くしてモデルを再検討したり 様々な季節調整方法 (Decomp や X-13 ARIMA-SEATS) を試しつつ 公

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< 判断の推移 > 前月今月期間 総括判断改善 22 か月 生産高水準で推移 13 か月 個人消費持ち直し 5 か月 設備投資増加 9 か月 公共投資一服感増加の動き ( ) 1 か月 住宅投資一進一退の動き 7 か月 貿易輸出 輸入とも前年を上回る - 雇 用 着実に改善しており 労働需給の引き締

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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第1章 低下から停滞に転じた鉱工業生産

中国におけるインフレの行方 中国経済は減速しているものの 過熱の解消にはまだ至っていない 年 9 月のリーマン ショックを受けて 中国は輸出が大幅に落ち込み 景気後退を余儀なくされたが 兆元に上る内需拡大策や 金利と預金準備率の大幅な引き下げをはじめとする拡張的財政 金融政策が実施されたことを受けて

1. 総論 総括判断 県内経済は 平成 7 月豪雨の影響を受けたものの 全体では緩やかに回復している 項目前回 ( 平成 7 月判断 ) 今回 ( 平成 1 月判断 ) 総括判断 平成 7 月豪雨前は 緩やかに回復していたが 現時点では まずは豪雨による地域への影響全体について十分に把握する必要があ

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

Microsoft Word ミル消費報告2014

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

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当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

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1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

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1. 総論 総括判断 県内経済は 緩やかに回復している 項目前回 (3 年 1 月判断 ) 今回 (3 年 4 月判断 ) 総括判断 平成 28 年 (216 年 ) 熊本地震の影響が一部に残るものの 緩やかに回復している 緩やかに回復している 前回比較 ( 注 )3 年 4 月判断は 前回 1 月

Transcription:

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成 20 年 9 月の米国におけるリーマン ブラザーズの破綻 ( リーマン ショック ) を契機に発生した世界的な金融危機と世界同時不況の影響から 生産指数は 半年で約 4 割と大幅な低下を示し 平成 21 年 2 月には 66.6 と 現行基準で最低値を記録した その後は 主要国で実施された経済対策の効果や 新興国をはじめとする海外景気の改善から輸出が持ち直し 国内でもエコカー減税 補助金や家電関係のエコポイント制度などの政策もあって個人消費も持ち直したことなどから 生産指数は 平成 21 年 2 月を底に再び上昇傾向となり 平成 22 年初には リーマン ショック発生時点の約 9 割の水準まで回復した (3) 東日本大震災による落ち込みとその後の回復局面平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災は 生産設備に直接の被害がなかった当地域においても 東北地域からの部品供給の寸断によって大きな影響を及ぼし 同月の生産指数は 前月比 17.4% と 比較可能な昭和 34 年 2 月以降で最大の低下率となった ( リーマン ショック時の最大の低下率 ( 平成 21 年 2 月の前月比 15.4%) や 伊勢湾台風時の低下率 ( 昭和 34 年 10 月の前月比 13.5%) をも下回った ) 生産指数は 4 月も低下し 2か月間で約 2 割と短期間での急激な低下となったが サプライチェーン復旧に伴い急速に回復した その後は 同年秋に発生したタイ洪水によって 再び部品供給制約による生産への影響があったものの 平成 24 年年初になると 自動車関連産業での挽回生産やエコカー補助金等の政策効果などもあり リーマン ショック発生時点の水準まで上昇した 同年後半には エコカー補助金終了の影響や 欧州 中国経済の減速から 低下したものの 翌 25 年には上昇に転じている 足元の指数は おおむね横ばいで推移しており 指数の水準は リーマン ショック前のピークと比べて9 割程度となっている 298

2.2 度のショックであらためて浮き彫りとなった当地域製造業の特徴 (1)2 度のショックによる業種別指数の変動要因分析業種別生産指数の推移と前年同月比寄与度分解 ( 図 2 図 3) を見ると リーマン ショック前までは ほぼ全ての業種が上昇基調で推移しており 寄与度で見ると 特に 輸送機械工業 電子部品 デバイス工業 はん用 生産用 業務用機械工業の3 業種が生産指数の上昇をけん引してきた 生産指数が大きく低下した平成 20 年後半から平成 21 年前半にかけては それまでとは一転してほぼ全ての業種が低下しており 中でも輸送機械工業 生産用機械工業の低下寄与の大きさが際立っている その後は 輸送機械工業を中心に各業種が上昇に転じている 平成 23 年の東日本大震災では 一部を除き一時的な指数の低下が見られ 中でも輸送機械工業の低下幅 寄与度が突出している 一方で 生産用機械工業については 大きな影響がなく同年央まで上昇傾向となっている様子もみられる この 10 年の生産指数の変動に対する輸送機械工業 はん用 生産用 業務用機械工業及び電子部品 デバイス工業の3 業種の寄与率 ( 平均 ) は おおむね8 割を占めており 上昇局面 低下局面のいずれの局面においても これら3 業種 ( 以下 主要 3 業種 という ) による影響が大きい 299

主要 3 業種の生産指数の推移を見ると 平成 20 年前半までは いずれも上昇基調で推移しているものの リーマン ショック以降 その動向に差がみられる そこで 平成 20 年 2 月 ( いざなみ景気の山 ) 時点の生産指数を比較時点とした各指数の推移 ( 図 4) により 主要 3 業種の生産指数の動きを比較する 1 輸送機械工業の動き輸送機械工業については リーマン ショック時の低下率は 比較時点から約 6 割と鉱工業全体と比べても大きい その後は 鉱工業全体と同じく平成 21 年 2 月に底入れしており 比較時点から1 年後の平成 22 年 2 月には 比較時点の約 9 割の水準まで回復している 平成 23 年の東日本大震災では 輸送機械工業が最も大きな影響を受けた 輸送機械工業の生産指数は 平成 23 年 4 月には 48.2 と リーマン ショック時 ( 平成 21 年 2 月の 51.8) を下回る水準まで落ち込んでいる しかし その後は急速に回復しており 平成 24 年 4 月に比較時点の水準付近まで上昇している 2 はん用 生産用 業務用機械工業の動きはん用 生産用 業務用機械工業については リーマン ショック時には 鉱工業全体の生産指数が平成 21 年 2 月に底入れする中 同年 6 月まで低下傾向を続けており 低下率も輸送機械工業と同様に約 6 割に達している その後は上昇に転じたものの 比較時点の9 割の水準まで回復したのは平成 23 年 6 月と 底入れしてから2 年を要しており 回復基調は 総じて緩やかとなっている 東日本大震災では 一時的な落ち込みは見られたものの 総じて上昇基調を維持しており 指数は平成 23 年 6 月に当年の最高値となるなど 震災の影響は比較的軽微であった 3 電子部品 デバイス工業の動き電子部品 デバイス工業の生産指数については リーマン ショック時には 主要 3 業種の中でいち早く ( 平成 21 年 1 月 ) 底入れし上昇に転じている 基準時点からの低下率も5 割弱と主要 3 業種の中で最も小さく 平成 22 年年初には比較時点の水準まで回復し その後も上昇傾向で推移している その後 東日本大震災の発生時点からは低下傾向に転じており 同年年末まで弱含んでいたが 平成 24 年に入ると再び上昇基調となり 比較時点より約 3 割高い水準まで上昇している 302

東日本大震災において 特定の業種の生産が大きく低下した要因としては サプライチェーンの中核を担う重要な部素材を供給する企業において 被災により建物損壊等の甚大な被害が生じ 部品供給がストップしたことで それらを原材料として使用するセクターにおいて生産活動に支障をきたした点が指摘されている ( 図 20) ( 図 20) 東日本大震災によるサプライチェーンへの影響 ( 一例 ) ( 資料 ) 経済産業省 厚生労働省 文部科学省 2011 年版ものづくり白書 から抜粋 当地域においては 東日本大震災による直接的な被害はなかったものの 半導体や樹脂など 被災地域の企業から供給を受けて生産を行っていた自動車産業では間接的に大きな影響が生じた 自動車生産は 3 月中旬には生産停止となり 同月下旬から一部車種の生産が再開されたものの 全国規模で生産体制の見直しが行われるなど 正常な生産体制に戻るまでに半年を要している こうした自動車生産の動きに連動して 自動車部品 部材メーカーでも順次生産調整が行われた 自動車関連産業における東日本大震災による影響について 影響が及んだ程度 ( 生産指数の震災前時点との比較 ) と 影響が生じた時期 ( 生産指数の前月比推移 ) を ( 図 21) で見ると 管内の完成車生産拠点の生産停止が 関連部品 部材産業に時間的経過を伴って波及することで 自動車産業全体の大幅な低下につながっていった様子がみられる 315

(5)2 度のショックによる生産指数への影響分析から見る当地域製造業の特徴 ( まとめ ) 以上のとおり この 10 年間の生産指数の動きについて 大きな変動となった2 度のショックを中心に分析を行うと 平成 20 年前半までの当地域製造業は 輸送機械工業やはん用 生産用 業務用機械工業 電子部品 デバイス工業など幅広い業種で生産指数が上昇していた しかし リーマン ショックを契機とした世界金融危機と世界同時不況の影響によって 生産指数は 輸出型産業を中心にほぼ全ての業種 財で低下し 鉱工業全体の落ち込みにつながっていく様子がみられた 一方 東日本大震災では 多くの業種 財においては その影響は比較的軽微であったものの 自動車産業では 完成車生産がリーマン ショック時よりも低い水準まで落ち込んだのをはじめとして 関連部品 部材産業でも大幅に低下する様子が見られた その影響を詳細に分析すると 完成車生産の停止が 関連部品 部材産業に時間的経過を伴って波及することで 自動車産業全体の生産の大幅な低下につながっていく様子が見られた このように 2 度のショックは それぞれ外需の減少とサプライチェーンの寸断が大きな影響を及ぼすことで 裾野の広い自動車産業を中心に多くの産業が集積し 輸出に依存している当地域製造業の特徴を あらためて浮き彫りにすることとなった 以上 317