酒造用水の現状と問題点

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2016 年度分 水 道 名美唄市水道課 浄水場名 浄水方法急速ろ過検査機関名 原水水質 桂沢水道企業団 美唄浄水場 水源名石狩川水系美唄ダム水源種別表流水 ( ダム直接 ) 番 号 項目名基準値最高値最小値平均値測定回数 [ 基準項目 ] 1 一般細菌 100/ml 以下


検査項目 病原生物 重金属 無機物質 一般有機化学物質 消毒副生成物 重金属 ( 着色 ) 平成 24 年度水質検査結果表 ( 浄水 ) 上水道恩志水源系統採水地点 : 大谷地内給水栓 検査機関 :( 財 ) 鳥取県保健事業団 項目 基準値 単位 4 月 5 日 5 月 10 日 5 月 28 日

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秩父広域市町村圏組合 浄水課 浄水

平成 26 年 5 月水質試験成績表 (1/5) 採水日 : 2014/05/13 当日天候 : 晴前日天候 : 曇 水質基準値 単位 原水 ( 多布施川 ) 神野浄水場 神野第二浄水場 渕受水点 採水時刻 10 時 00 分 10 時 00 分 10 時 00 分 11 時 45 分 気温 19.

秩父広域市町村圏組合 浄水課 浄水

Microsoft Word - 30水質検査計画.docx

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0.04mg/L 以下であること 9 亜硝酸態窒素 H から追加 検出原因窒素肥料や腐植 家庭排水などに含まれる窒素化合物が化学的 微生物学的に酸化 還元を受けて生成する チアノーゼを起こしたり 体内で発ガン性物質を生成するといわれている また 硝酸態窒素と比べ極めて低い濃度でもがあると

平成 24 年度維持管理記録 ( 更新日平成 25 年 4 月 26 日 ) 1. ごみ焼却処理施設 (1) 可燃ごみ焼却量項目単位年度合計 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 A B 炉合計焼却量 t 33, ,972

平成 31 年度 西佐賀水道企業団 -1-

(6)小河内貯水池

参考資料

第 2 編 地下水の水質測定結果

~ はじめに ~ 雲仙市では 市民の皆様に安全でおいしい水を利用して頂くために水質検査を実施しています 水道における水質検査は 国が定めた水質基準に適合し安全であることを保証するために必要不可欠なものです 平成 26 年 2 月に水道法施行令の一部改正があり 水質基準が 50 項目から51 項目に変

No. QCVN 08: 2008/BTNMT 地表水質基準に関する国家技術基準 No. QCVN 08: 2008/BTNMT National Technical Regulation on Surface Water Quality 1. 総則 1.1 規定範囲 本規定は 地表水質

県営北那須用水 ( 浄水受水 ) 浄水 採水場所 : 那須塩原クリーンセンター H28 年度 健康に関連する項目 性状に関する項目 採水月日検査項目 4 月 4 日 5 月 9 日 6 月 6 日 7 月 4 日 8 月 1 日 9 月 5 日 10 月 3 日 11 月 7 日 12 月 5 日基

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施設名施設住所項目一般埋め立てた廃棄物廃棄物 (ton) 擁壁の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 遮水工の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 周縁地下水の水質検査結果 斜里町清掃センター最終処分場斜里町以久科北 破砕ごみ 内容 生ごみ残差 合計 点検を行った年月日

JIS能力 2-MIB


様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 船見処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 放流水槽 試料採取年月日 H H H H H 測定結果の得られた年月日 H H H30.6.6

様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 守山南部処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 調整槽放流水試料採取口 試料採取年月日 H H H H H H 測定結果の得られた年月日 H30.5.7

北清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7 4

埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

品川清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

渋谷清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰 ( 含有試験 ) 6 4 周辺大気環境調査結果 7 5 試料採取日一覧 8 (

埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

練馬清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

足立清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

有明清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

大栄環境 ( 株 ) 和泉リサイクルセンター平井 5 工区管理型最終処分場 / 処理実績平成 26 年度契約処理 : 管理型埋立区分品目 平成 26 年 平成 27 年 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 燃え殻

平成 31 年度水質検査計画書 辺野古ダム はじめに 1. 基本方針 2. 水道事業の概要 3. 原水及び水道水の水質状況 4. 水質検査地点 5. 水質検査項目及び検査頻度 ( 臨時の水質検査を除く ) 6. 水質検査方法 7. 臨時の水質検査 8. 水質検査の精度と信頼性保証 9. 水質検査計画

世田谷清掃工場 平成 27 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) スラグ ( ガス化溶融 )( 含

練馬清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

中央清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

取扱説明書 ba75728d09 07/2015 メソッドデータ V 2.15

平成 29 年度 一般廃棄物最終処分場の維持管理記録 施設の名称 : 弘前市埋立処分場第 2 次 ( 第 1 区画 第 2 区画 ) 施設の位置 : 弘前市大字十腰内字猿沢 埋立廃棄物の種類及び数量 ( 単位 :kg) 区分 種類 平成 29 年平成 30 年 4 月 5 月 6 月

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採水場所一覧 No. 水源地名備考水源種別ページ 38 古 河 良 水源地 湧水 白 浜 水源地 地下水 二 俣 第 一 水源地 地下水 二 俣 第 二 水源地 地下水 藤 野 第 一 水源地 地下水 藤 野 第 二 水源地 地下

[ 廃棄物の最終処分場 ( 管理型 )] 平成 29(2017) 年度 1 施設名称 1 号管理型処分場 (1) 埋立てた廃棄物の各月ごとの種類及び数量 規則第 12 条の 7 の 2 第 8 項イ 種類汚泥燃え殻紙くずばいじん 合計 単位 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月

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現場での微量分析に最適 シリーズ Spectroquant 試薬キットシリーズ 専用装置シリーズ 主な測定項目 下水 / 廃水 アンモニア 亜硝酸 硝酸 リン酸 TNP COD Cr 重金属 揮発性有機酸 陰イオン / 陽イオン界面活性剤 等 上水 / 簡易水道 残留塩素 アンモニア 鉄 マンガン

平成 31 年度 大台町上水道水質検査計画 大台町生活環境課 1

2 浄水場でつくられた水道水は 市内に網のように広がる水道管を通じて お客さまに届けられます また 鍋屋上野浄水場では 水道水を貯めたり 水圧を増したりする 8 か所の配水場 3 か所のポンプ所を集中管理しています 4 か所の管路センターでは 約 8,300km の水道管の管理や 古くなった水道管の

(様式第8号)

平成 29 年度一般廃棄物処理施設維持管理状況 ( 最終処分場 ) 最終処分量単位 :t 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 不燃物

1. はじめに

別表第 1 大気の汚染に係る環境上の基準 物質基準値対象地域 二酸化硫黄 1 時間値の1 日平均値が0.04pp m 以下であり かつ 1 時間値が0.1ppm 以下であること 一酸化炭素浮遊粒子状物質二酸化窒素光化学オキシダント 1 時間値の1 日平均値が10ppm 以下であり かつ 1 時間値の

環境モニタリング結果について 資料 1 環境モニタリング調査地点図 ( 浸出水 浸出水処理施設放流水 センター内地下水 発生ガス 悪臭 ) ( 放流先河川 周辺地下水 ) Ⅰ Ⅱ 浸出水 放流水 1 浸出水 2 浸出水処理施設放流水 センター内地下水 1 観測井 1 号 2 観測井 2 号 3 観測

処分した廃棄物 ( 平成 23 年 5 月分 ) 種類焼却灰破砕不燃物合計重量 (t) 塩化物イオン 月 1 回平成 23 年 5 月 17 日 μs/cm 月 1 回平成 23 年 5 月 17 日 アルキル水銀 検出されないこと 0.00

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平成 27 年 9 月埼玉県東松山環境管理事務所 東松山工業団地における土壌 地下水汚染 平成 23~25 年度地下水モニタリングの結果について 要旨県が平成 20 年度から 23 年度まで東松山工業団地 ( 新郷公園及びその周辺 ) で実施した調査で確認された土壌 地下水汚染 ( 揮発性有機化合物

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海域.xls

[ 法第十五条の二の三 法第十五条の二の四 ] 会社名株式会社倉敷環境 産業廃棄物処理施設維持管理記録簿 ( 管理型埋立区域 2) 平成 26 年度 対象期間 : 平成 26 年 4 月 1 日 ~ 平成 27 年 3 月 31 日 1. 埋め立てた産業廃棄物の種類及び数量 [ 規十二条の七の二八イ

12 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10mg/L 以下 無機肥料や腐敗した動植物 生活排水 下水等に由来する窒素化合物が 水中や土壌中で科学的 微生物的に酸化及び還元され アンモニア態窒素 亜硝酸態窒素 硝酸態窒素となる 体内に取り入れられた場合 硝酸塩が急速に亜硝酸塩へと還元されるため 硝酸態窒素と

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番 10 シアン化物イオン及び塩化シアン 0.01 シアン化合物には シアン化ナトリウム シアン化カリウムのように水中でシアンイオン シアン化水素を容易に生成する遊離型シアンと フェリシアン化カリウム フェロシアン化カリウムのように金属錯化合物を形成する錯塩シアンがあります シアンは めっき 鉄鋼製

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はじめに 水質検査計画は 地域性ヷ効率性を踏まえて 適正化と透明性を確保するために 水質検査項目等を明示するものです 水質検査は 水質基準に適合し安全であることを確認するために丌可欠であり 水道の水質管理の中枢をなすものです 見附市ガス上下水道局では 常に 清浄な水の供給 に努めるとともに 住民の皆

地下水の水質及び水位地下水の水質及び水位について 工事の実施による影響 ( 工事の実施に伴う地下水位の変化 地下水位流動方向に対する影響 並びに土地の造成工事による降雨時の濁水の影響及びコンクリート打設工事及び地盤改良によるアルカリ排水の影響 ) を把握するために調査を実施した また

小規模専用水道のてびき 船橋市保健所衛生指導課 船橋市北本町 電話

2009年度業績発表会(南陽)

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亜硝酸態窒素除去 タルシオン A-62MP(FG) はじめに平成 26 年 1 月 14 日 水質基準に関する省令 ( 平成 15 年厚生労働省令第 101 号 ) の一部が改正され 亜硝酸態窒素に係る基準 (0.04mg/L) が追加され 平成 26 年 4 月 1 日から施行となりました ( 厚

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目 次 鹿児島市水道局水源施設の概要 水質試験方法及び基準等 6 水質基準項目及び水質管理目標設定項目の概要 8 水質検査計画に基づく検査頻度 3. 給水栓水水質検査結果 6 () 毎日検査 (2) 毎月検査 2. 原水等定期水質検査結果 75 () 浄水場関係水質検査 (2) 水源地関係水質検査

site_18(日本語版).xls

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高 1 化学冬期課題試験 1 月 11 日 ( 水 ) 実施 [1] 以下の問題に答えよ 1)200g 溶液中に溶質が20g 溶けている この溶液の質量 % はいくらか ( 整数 ) 2)200g 溶媒中に溶質が20g 溶けている この溶液の質量 % はいくらか ( 有効数字 2 桁 ) 3) 同じ

目 次 鹿児島市水道局水源施設の概要 1 水質試験方法及び基準等 6 水質基準及び水質管理目標設定の概要 8 水質検査計画に基づく検査頻度 給水栓水水質検査結果 16 (1) 毎日検査 (2) 毎月検査 2. 原水等定期水質検査結果 175 (1) 浄水場関係水質検査 (2) 水源地関係

H22水質検査計画

有明清掃工場

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Word Pro - matome_7_酸と塩基.lwp

り 生 成 する また アンモニウムイオンや 有 機 前 躯 体 と 残 留 塩 素 との 反 応 によっても 生 成 し 塩 素 消 毒 及 クロラミン 消 毒 の 副 生 成 物 の 一 つである 毒 性 は 青 酸 ガスや 青 酸 カリとして 知 られている 中 毒 症 状 としては めまい

Microsoft PowerPoint - ①23年度総括_訂正版

国土技術政策総合研究所 研究資料

1. 基本方針 (1) 検査地点浄水 ( 水道水 ) は 各配水区の末端付近の蛇口とします 原水については 水源地もしくは浄水場とします 河川については 中川河川とします (2) 検査項目水道法で検査が義務付けられている毎日検査 1 浄水の水質基準項目 2 検査 それに加えて 検査計画に位置付けるこ

2,3-ジメチルピラジンの食品添加物の指定に関する部会報告書(案)

有明清掃工場

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目 次 Ⅰ はじめに 1 Ⅱ 専用水道とは 1 Ⅲ 設置者の義務 2 1 鎌ケ谷市への届出 2 2 維持管理 3 (1) 管理体制の整備 3 (2) 衛生管理 5 (3) 施設管理 5 (4) 水質管理 5 (5) 薬品の管理 9 (6) 健康診断 9 3 鎌ケ谷市への報告 10 Ⅳ 鎌ケ谷市の指導

有明清掃工場

“にがり”の成分や表示等についてテストしました

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大台町上水道 平成 3 0 年度水質検査計画 大台町では 皆様に安全で安心しておいしい水を飲んでいただくために 水源から各家庭の蛇口に至るまで 定期的に水質検査を行い 水道水の水質管理に万全を期しています 大台町では 水道水源の周辺状況や水道水の水質検査結果を踏まえ 安全で良質な水道水の供給を確実に

1. 基本方針 (1) 検査地点浄水 ( 水道水 ) は 各配水区の末端付近の蛇口とします 原水については 水源地もしくは浄水場とします 河川については 中川河川とします (2) 検査項目水道法で検査が義務付けられている毎日検査 1 浄水の水質基準項目 2 検査 それに加えて 検査計画に位置付けるこ

電子配置と価電子 P H 2He 第 4 回化学概論 3Li 4Be 5B 6C 7N 8O 9F 10Ne 周期表と元素イオン 11Na 12Mg 13Al 14Si 15P 16S 17Cl 18Ar 価電子数 陽

(板橋区) 第31~34号様式

月報4月

Transcription:

醸造用水の現状と問題点 ( 財 ) 日本醸造協会武藤貴史 1. 水の重要性清酒の約 8 割を占める原料としての水はもとより 洗米 浸漬用水 器具の洗浄用水 タンクの温度調整用水 ボイラー用水など 清酒製造のあらゆる場面で多量の水が使われ その量は白米重量の 30 ~ 50 倍になる 原料としての水 すなわち仕込水には 微生物の生育や醗酵 または酵素反応に影響を及ぼす無機物が含まれることが また割水用水とともに これらは製成酒に移行して呈味成分の一部を成すとともに 貯蔵中の熟成にも影響を与える 2. 酒造用水として備えるべき条件酒造用水として備えるべき条件としては 水道法で定められた水質基準値 ( 別表 ) 内であることはもちろん さらに第 1 表のような条件が求められている 1 ) 有機物や清酒の着色の原因となる鉄や 貯蔵着色や日光着色の触媒として働くマンガンなどは水道法よりも厳しく規定されている 第 1 表酒造用水として備えるべき条件 参考 水の硬度 ( ドイツ硬度 ) 色 沢 無色透明 臭 味 異常のないこと ph 中性又は微アルカリ性 鉄 0.02 mg/l 以下 マンガン 0.02 mg/l 以下 有機物 ( 過マンガン酸カリウム消費量 ) 5 ppm 以下 亜硝酸性窒素 不検出 アンモニア性窒素 不検出 細菌酸度 2 ml 以下 生酸性菌群 不検出 大腸菌群 不検出 軟水中等度の軟水軽度の硬水中等度の硬水硬水高度の硬水 <3 3~6 6~8 8~14 14~20 >20 細菌酸度測定用の YAS 培地の販売は終了いたしました 3. 酒造用水中の有害成分 1 ) 鉄 2, 3 ) 清酒の着色の原因となり 味や香りを悪くするので有害成分として最も嫌われる成分である 2 ) マンガン 3, 4, 5 ) 日光着色の原因成分である 3 ) その他の重金属類カドミウムや水銀 そして鉛などのような人体に有毒な重金属類は主として蒸米に吸着されて粕に移行するが 一部清酒中にも移行するので その許容量は水道法の基準以

下でなければならない また 清酒に銅イオンが混入すると混濁の原因となる 3, 4 ) 4 ) 窒素化合物 ( アンモニア, 亜硝酸, 硝酸 ) 窒素肥料 腐敗した動植物 生活廃水 下水などの混入によることが考えられ 酒造用水中に多く存在している場合は醸造に適さない しかし 生酛系酒母においては 硝酸の存在が必要となる 5 ) 有機物用水中に有機物が多いということは 動植物体の腐食物が溶解している可能性があり 酒造用水としては適さない 6 ) 細菌, 大腸菌群清酒醸造にとって有害な微生物で汚染されている場合も 酒造用水としては適さない 特に 大腸菌群が検出される水を酒造用水として使うことは食品衛生上問題になる 4. 酒造用水中の有効成分 1 ) 酵母の増殖および醗酵に役立つ成分カリウム 2, 6 ) リン酸 2 ) マグネシウム 2 ) がある 宮水はリンが多い水であると言われている 8 ) 醪の初期には米からのリンの溶出が十分でないことからリン不足と考えられ この時期には宮水のリンが醗酵を促進させる役割を果たしていると考えられる 9 ) 2 ) 麹からの酵素の溶出を助ける成分クロールとカルシウムは 酵素の生産や抽出 酵素活性を促進し 間接的に酵母の醗酵に役立つことになる 5. 酒造用水の分析結果について本会では毎年 9 月から 12 月にかけて酒造用水の分析を行っている 今回は平成 16BY から平成 20BY にかけての 5 年間分のデータについて集計 解析した結果を報告する 試料は原水またはフィルター処理後などの浄化処理後の水であり 全てが原水というわけではない 1 ) 各年度の分析値の集計結果第 2 表 ~ 第 6 表に各年度の平均値 最高値 最低値などを示した 試料点数は 平成 16BY:273 点 平成 17BY:248 点 平成 18BY:256 点 平成 19BY:274 点 平成 20BY:300 点であった 地下水におけるシアン検出の問題が発生したため 本年度からはシアンの分析も行った シアンについては 24 点中 最高でも 0.003 ppm であり 水道法の水質基準値である 0.01 ppm 以下であった 鉄については過去 5 年間をみても平均値で 0.02 ppm を上回ることはなく むしろマンガンが鉄の 2.7~6.1 倍高い値を示した 後にも述べるが マンガンは鉄に比べて除去しずらい成分であるために 原水中に基準値 ( 0.02 ppm 以下 ) を超えるマンガンが存在しても除去しきれないものと考えられる 一般細菌数を見ると 最高値が 1 ml 当り 5000 個以上の試料が毎年存在することがわかる このような用水には清酒醸造にとって有害な細菌が含まれている可能性も考えら

れるのでフィルター処理 塩素処理などの方法で殺菌する必要がある 2 ) 平成 16BY および平成 20BY の各成分値の比較第 1-1 図, 第 1-2 図に今年と 5 年前の成分における項目別分布の比較を示した ph に関して ph7.0~8.0 の範囲では平成 20BY の方が高かった ph の上昇が考えられるが この結果については後に述べる 鉄 マンガン 亜硝酸 アンモニア 一般細菌数については今年も 5 年前も 8 割 ~9 割以上の試料において 酒造用水として備えるべき条件 を満たしていた 一方 有機物において 5 ppm 以内を満たしている試料は 8 割以上であったが 2 ~ 3 ppm の範囲で平成 20BY の割合の方が高くなっていた この結果より 有機物量が増加し 用水が汚染されている実態が懸念された 3 ) 各項目における分析値の推移この推移については 当会に平成 16BY から平成 20BY まで続けて分析試料を提供して頂いた酒造場 59 場のデータを用いた この集計により 各項目の変化がより正確に把握できると考えられる 項目別分布のところでも記述したが ph は徐々にアルカリ側に上昇していることがわかる また 硬度に関して平成 20BY では前年よりも 0.8( CaO mg / dl ) ほど上昇していた この急激な上昇の原因は不明である さらに 各年度の分析値の集計結果でも述べたが 鉄は減少傾向にある一方 マンガンに減少傾向は認められなかった 有機物の推移をみると 平成 18BY から上昇傾向にあり カートリッジフィルターなどを通すだけの水の処理では有機物の除去が難しいことが考えられる 一方 大腸菌群数と一般細菌数は減少しており この結果より水を浄化している製造者が増えていると考えられる そうは言うものの 一般細菌数に関しては近年上昇傾向にある 例えば 0.65 μm フィルターを用いて 大腸菌群は除去できたとしても 大腸菌群よりも小さな細菌は除去できない可能性もあるので ほぼ除去可能な 0.45 μm のものを用いることを勧める 第 2 表 H16BY における集計結果 最高値 最低値 平均 標準偏差 変動率 (%) ph 8.7 4.7 6.3 0.58 9.13 全 鉄 0.38 0.00 0.0042 0.03 679.26 マ ン ガ ン 0.69 0.00 0.0112 0.06 500.83 リ ン 酸 1.35 0.00 0.15 0.23 153.55 カ リ ウ ム 27.0 0.1 3.2 3.21 100.84 ク ロ ー ル 240.6 5.7 21.8 22.48 103.26 硬度 (CaOmg/100ml) 23.5 0.0 3.6 2.47 68.70 有 機 物 14.3 0.6 2.1 1.35 65.30 亜 硝 酸 0.92 0.00 0.007 0.06 931.42 アンモニア 2.00 0.00 0.011 0.14 1214.68 大腸菌群 ( 検出率 %) - - 30.0 - - 一般細菌数 (/ml) 10000 以上 0 346 1409.09 407.36 ヒ素 (52 点 ) 0.000 0.000 0.0000 0.00 -

第 3 表 H17BY における集計結果 最高値 最低値 平均 標準偏差 変動率 (%) ph 8.5 4.3 6.3 0.58 9.33 全 鉄 0.32 0.00 0.0061 0.03 461.87 マ ン ガ ン 5.80 0.00 0.0373 0.37 1000.91 リ ン 酸 5.30 0.00 0.22 0.49 219.12 カ リ ウ ム 27.5 0.0 3.1 3.68 117.58 ク ロ ー ル 316 6.1 25.6 30.34 118.36 硬度 (CaOmg/100ml) 24.2 0.0 3.7 2.75 74.16 有 機 物 9.8 0.8 2.2 1.09 49.21 亜 硝 酸 5.20 0.00 0.040 0.37 905.24 アンモニア 2.00 0.00 0.013 0.14 1157.55 大腸菌群 ( 検出率 %) - - 39.9 - - 一般細菌数 (/ml) 6000 0 193 700.57 362.92 ヒ素 (55 点 ) 0.000 0.000 0.0000 0.80 - 第 4 表 H18BY における集計結果 最高値 最低値 平均 標準偏差 変動率 (%) ph 8.5 5.1 6.8 0.79 11.70 全 鉄 0.18 0.00 0.0028 0.01 524.36 マ ン ガ ン 0.95 0.00 0.0126 0.07 555.92 リ ン 酸 5.56 0.00 0.20 0.41 202.44 カ リ ウ ム 23.4 0.1 3.1 3.21 103.12 ク ロ ー ル 258.2 6.6 22.1 19.63 88.70 硬度 (CaOmg/100ml) 13.3 0.0 3.4 1.98 58.16 有 機 物 9.8 0.9 2.1 1.15 54.07 亜 硝 酸 0.92 0.00 0.006 0.06 1069.68 アンモニア 2.00 0.00 0.012 0.14 1176.13 大腸菌群 ( 検出率 %) - - 34.8 - - 一般細菌数 (/ml) 7000 0 152 659.43 434.91 ヒ素 (68 点 ) 0.030 0.000 0.0009 0.01 578.73 第 5 表 H19BY における集計結果 最高値 最低値 平均 標準偏差 変動率 (%) ph 8.6 4.9 6.7 0.56 8.40 全 鉄 0.19 0.00 0.0046 0.02 449.10 マ ン ガ ン 2.20 0.00 0.0232 0.17 727.21 リ ン 酸 5.72 0.00 0.24 0.42 178.95 カ リ ウ ム 24.0 0.1 3.3 3.43 102.82 ク ロ ー ル 341.1 7 25.4 29.86 117.36 硬度 (CaOmg/100ml) 19.4 0.0 3.8 2.59 69.07 有 機 物 31.8 0.9 2.7 2.68 99.51 亜 硝 酸 0.92 0.00 0.009 0.09 937.09 アンモニア 2.00 0.00 0.020 0.19 960.10 大腸菌群 ( 検出率 %) - - 27.7 - - 一般細菌数 (/ml) 5000 0 134 519.45 386.48 ヒ素 (46 点 ) 0.000 0.000 0.0000 0.00 -

第 6 表 H20BY における集計結果 最高値 最低値 平均 標準偏差 変動率 (%) ph 9.1 4.8 6.8 0.59 8.60 全 鉄 0.23 0.00 0.0043 0.02 519.57 マ ン ガ ン 0.84 0.00 0.0124 0.07 560.27 リ ン 酸 4.54 0.00 0.17 0.35 203.77 カ リ ウ ム 28.2 0.0 3.3 3.95 117.99 ク ロ ー ル 291.1 6.1 25.2 31.61 125.23 硬度 (CaOmg/100ml) 27.5 0.0 4.3 2.62 60.50 有 機 物 141.8 1.0 3.0 8.16 274.88 亜 硝 酸 0.23 0.00 0.003 0.02 828.99 アンモニア 1.40 0.00 0.009 0.11 1223.54 大腸菌群 ( 検出率 %) - - 27.7 - - 一般細菌数 (/ml) 11000 0 261 1014.17 388.75 ヒ素 (90 点 ) 0.022 0.000 0.0004 0.00 685.35 シアン (24 点 ) 0.003 0.000 0.0003 0.00 257.35 第 1-1 図 H16BY および H20BY の項目別分布

第 1-2 図 H16BY および H20BY の項目別分布

0.025 クロール ( ppm ) 27 26 25 24 23 22 21 20 クロール (Cl) ph カリウム (K) 全硬度 (CaO mg/dl) リン酸 (PO4) 平成 16BY 平成 17BY 平成 18BY 平成 19BY 平成 20BY 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 ph カリウム リン酸 (ppm) 全硬度 (CaO mg/dl) 鉄 マンガン ( ppm ) 0.020 0.015 0.010 0.005 0.000 全鉄 (Fe) マンガン (Mn) 平成 16BY 平成 17BY 平成 18BY 平成 19BY 平成 20BY 亜硝酸 アンモニア ( ppm ) 0.09 0.08 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 亜硝酸 (NO2) アンモニア (NH4) 有機物 (KMnO4 消費量 ) 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 有機物 ( KMnO4 消費量 ) ( ppm ) 一般細菌数 ( / ml ) 600 500 400 300 200 100 一般細菌数大腸菌群検出率 40 35 30 25 20 15 10 5 大腸菌郡検出率 ( % ) 0.00 平成 16BY 平成 17BY 平成 18BY 平成 19BY 平成 20BY 0.0 0 平成 16BY 平成 17BY 平成 18BY 平成 19BY 平成 20BY 0 第 2 図各項目における分析値の推移 4 ) 年度ごとの相関関係各年度によって相関する項目が若干異なるが 一例として第 7 表に 平成 20BY の相関表を揚げた ph とリン酸に関しては 5 年間を通して危険率 1% 以下で相関があった リン酸は カリウムについては危険率 1% 以下 硬度においても危険率 5% 以下で 5 年間を通して相関があることからカリウムやカルシウムと結合して存在すると推定される また 5 年間で リン酸とアンモニアについても危険率 5% 以下で相関があった 硬度についても 上述のリン酸 カリウム クロール そして ph と相関が認められる年度が多かった

第 7 表平成 20BY の各項目における相関関係 ph 全鉄マンガンリン酸カリウムクロール全硬度有機物亜硝酸アンモニア一般細菌数 ph 1.000 全鉄 0.103 1.000 マンガン 0.072 0.057 1.000 リン酸 0.217 ** 0.193 ** 0.161 ** 1.000 カリウム 0.026 0.197 ** 0.343 ** 0.492 ** 1.000 クロール 0.138 * 0.280 ** 0.028 0.431 ** 0.453 ** 1.000 全硬度 0.227 ** 0.070 0.198 ** 0.531 ** 0.501 ** 0.584 ** 1.000 有機物 0.057 0.013-0.003 0.042 0.032 0.015 0.007 1.000 亜硝酸 0.231 ** 0.240 ** 0.006 0.064 0.151 ** 0.207 ** 0.074 0.007 1.000 アンモニア 0.089-0.016 0.109 0.167 ** 0.148 * 0.010 0.129 * 0.022-0.010 1.000 一般細菌数 0.068 0.021-0.007-0.016-0.047 0.018-0.020-0.016 0.000-0.021 1.000 無相関の検定 * :5% **:1% 6. 鉄分除去試験酒造用水中の鉄分の除去については多数の報告がある 10, 11, 12 ) 今回 平成 20BYの酒造用水試料において鉄濃度の高かった試料 ( 試料 No.25 ) をろ紙 No.5 Cにてろ過し そのろ液を分析に供した 結果を第 8 表に示したが 除去率が 77.9 % となりろ紙でも除去できる鉄の形態があることが示唆され 鉄が他の化合物と粒子状になりクラスター化したものなどが考えられる 第 8 表ろ紙 No.5C を用いた鉄分の除去 濃度 ( ppm ) 除去率 (%) ろ過前 0.075 - ろ過後 0.017 77.9 また 上記試料を ADVANTEC 社製 MEMBRANE FILTER に吸引ろ過した結果 原水で 0.084 ppm あった鉄分が 5.0μm フィルターを通すと 0.018 ppm ( 除去率 78.4 % ) 3.0μ m なら不検出 ( 除去率 100 % ) となるなど 酒造用水の基準である 0.02 ppm 以下となった 一方 上記とは別の平成 20BY 酒造用水試料において鉄濃度の高かった試料 ( 試料 No.330 ) を MEMBRANE FILTER 孔径 0.45μm ~ 5.0μm に吸引ろ過を行ったが 鉄濃度は減少しなかった このような鉄はイオン性の鉄であると考えられる ( 第 9 表 )

第 9 表 MEMBRANE FILTER を用いた鉄分の除去 フィルターの孔径 (μm) 濃度 (ppm) 除去率 (%) 濾過前 0.054-1.00 0.054 0.0 0.65 0.054 0.0 0.45 0.054 0.0 このような MEMBRANE FILTER では除去できない鉄を除去するために塩化亜鉛法で製造した活性炭と 水蒸気法で製造した活性炭を用いて除鉄試験を行った 上記と同様の試料水 50 ml に対して塩化亜鉛法による活性炭と 水蒸気法による活性炭を添加した 添加濃度は 0 g / kl ( 対照 ) と 50 g / kl ~ 500 g / kl であり 添加後は 3 時間時々攪拌して室温で放置した ろ紙 No.5C を用いて自然ろ過し そのろ液を分析に供した 孔径の小さい水蒸気法で製造した活性炭のほうが鉄分の除去率が高いことがわかった 水蒸気法では 300 g / kl の活性炭で 0.02 ppm 以下まで鉄を除去できる また 塩化亜鉛法でも 400 g / kl の添加で十分に基準値以下に除去できた 第 10 表活性炭による鉄分除去 活性炭使用量 (g/kl) 鉄濃度 ( ppm ) 水蒸気法塩化亜鉛法 原水 0.061 0.050 0 0.069 0.053 50 0.057 0.046 100 0.053 0.042 200 0.032 0.029 300 N.D 0.029 400 N.D 0.014 500 N.D 0.005 第 3 図活性炭による鉄分除去率 7. マンガン除去試験 5 の 1 ) で述べたマンガンの除去についても検討を行った 本年度において鉄濃度が高かった試料 ( 試料 No.69 ) 50 ml と マンガン濃度が高かった試料 ( 試料 No.169 ) 50 ml に対して活性炭 ( 塩化亜鉛法 ) を 500 g / kl および 1,000 g / kl 添加し 3 時間時々攪拌して室温で放置した ろ紙 No.5C を用いて自然ろ過し そのろ液を分析に供した マンガンは対照で 0.105 ppm あったものが 活性炭 ( 塩化亜鉛法 ) を 1,000 g / kl 添加すると 0.08 ppm に減少した ( 除去率 23.8 % ) が 酒造用水の基準である 0.02 ppm 以下にはならなかった 一方 鉄は 0.041 ppm あったものが不検出 ( 除去率 100 % ) となった

以上の結果よりマンガンは鉄に比べて除去されにくい成分であることが示唆された この 場合 塩素処理法 13 ) や除マンガン法 13 ) などを考える必要がある 第 11 表活性炭による鉄 マンガンの除去 活性炭使用量 (g/kl) 鉄 ( ppm ) マンガン ( ppm ) 原水 0.052 0.112 0 0.041 0.105 500 0.000 0.093 1000 0.000 0.080 第 4 図活性炭による鉄 マンガン除去率 8. おわりに以上述べてきたように 酒造用水中の成分は着色や味や香りの変化など 酒質に影響を及ぼし また 酵母や麹の生育にとっても重要なファクターとなる 安定した品質を保つためには一定の成分の水を使用することが重要であるが 井戸水などのような地下水は年間で常に一定の水質を保っているわけではなく 大きく変動する それ故一年に一回は原水の水質を確認し 各蔵の用途に適した処理方法を採用することが必要である 文献 1) 第四回改正国税庁所定分析法注解, p. 115 ( 財 ) 日本醸造協会 ( 2006 ) 2) 野白 : 日本の酒の歴史, p. 353, 378 ( 1976 ) 加藤辨三郎編 3) 佐藤 : 日本の酒の歴史, p. 467 (1976 ) 加藤辨三郎編 4) 難波, 猿渡, 大町, 奥田, 若林, 醸協, 72, 749 ( 1977 ) 5) 佐藤, 蓼沼, 高橋, 小関, 安岡, 後藤 : 醸協, 66, 1182 ( 1971 ) 6) 難波, 戸塚, 小阪 : 醸協, 72, 901 ( 1977 ) 7) 難波, 戸塚, 長谷川, 小野 : 醸協, 72, 905 ( 1977 ) 8) 山田正一 : 醸造論文集 15, 32 ( 1960 ) 9) 森太郎, 渡辺和夫 : 第 10 回醸造学会講演, 醗工 36, 476 ( 1958 ) 10) 小武山温之 : 醸協, 58, 913 ( 1963 ) 11) 戸塚, 澄川, 荻野, 難波, 小武山 : 醸協, 66, 495 ( 1971 ) 12) 戸塚, 難波 : 醸協, 73, 789 ( 1978 ) 13) 増補改訂清酒製造技術, p. 81 ( 財 ) 日本醸造協会 ( 1998 )

別表水道法に基づく水質基準 番号 項目名 基準値 1 一般細菌 1mLの検水で形成される集落数が100 以下であること 2 大腸菌 検出されないこと 3 カドミウム及びその化合物 カドミウムの量に関して 0.01mg/L 以下であること 4 水銀及びその化合物 水銀の量に関して 0.0005mg/L 以下であること 5 セレン及びその化合物 セレンの量に関して 0.01mg/L 以下であること 6 鉛及びその化合物 鉛の量に関して 0.01mg/L 以下であること 7 ヒ素及びその化合物 ヒ素の量に関して 0.01mg/L 以下であること 8 六価クロム化合物 六価クロムの量に関して 0.05mg/L 以下であること 9 シアン化物イオン及び塩化シアン シアンの量に関して 0.01mg/L 以下であること 10 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10mg/L 以下であること 11 フッ素及びその化合物 フッ素の量に関して 0.8mg/L 以下であること 12 ホウ素及びその化合物 ホウ素の量に関して 1.0mg/L 以下であること 13 四塩化炭素 0.002mg/L 以下であること 14 1,4-ジオキサン 0.05mg/L 以下であること 15 1,1-ジクロロエチレン 0.02mg/L 以下であること 16 シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L 以下であること 17 ジクロロメタン 0.02mg/L 以下であること 18 テトラクロロエチレン 0.01mg/L 以下であること 19 トリクロロエチレン 0.03mg/L 以下であること 20 ベンゼン 0.01mg/L 以下であること 21 塩素酸 0.6mg/L 以下であること 22 クロロ酢酸 0.02mg/L 以下であること 23 クロロホルム 0.06mg/L 以下であること 24 ジクロロ酢酸 0.04mg/L 以下であること 25 ジブロモクロロメタン 0.1mg/L 以下であること 26 臭素酸 0.01mg/L 以下であること 27 総トリハロメタン (22,24,28,29の総和) 0.1mg/L 以下であること 28 トリクロロ酢酸 0.2mg/L 以下であること 29 ブロモジクロロメタン 0.03mg/L 以下であること 30 ブロモホルム 0.09mg/L 以下であること 31 ホルムアルデヒド 0.08mg/L 以下であること 32 亜鉛及びその化合物 亜鉛の量に関して 1.0mg/L 以下であること 33 アルミニウム及びその化合物 アルミニウムの量に関して 0.2mg/L 以下であること 34 鉄及びその化合物 鉄の量に関して 0.3mg/L 以下であること 35 銅及びその化合物 銅の量に関して 1.0mg/L 以下であること 36 ナトリウム及びその化合物 ナトリウムの量に関して 200mg/L 以下であること 37 マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して 0.05mg/L 以下であること 38 塩化物イオン 200mg/L 以下であること 39 カルシウム マグネシウム等 ( 硬度 ) 300mg/L 以下であること 40 蒸発残留物 500mg/L 以下であること 41 陰イオン界面活性剤 0.2mg/L 以下であること 42 ジェオスミン 0.00001mg/L 以下であること 43 2-メチルイソボルネオール 0.00001mg/L 以下であること 44 非イオン界面活性剤 0.02mg/L 以下であること 45 フェノール類 フェノールの量に換算して 0.005mg/L 以下であること 46 有機物等 (TOC) 5mg/L 以下であること 47 ph 値 5.8 以上 8.6 以下であること 48 味 異常でないこと 49 臭気 異常でないこと 50 色度 5 度以下であること 51 濁度 2 度以下であること