資料 7 年金制度の機能強化 厚生労働省年金局
年金制度の課題と機能強化について 1.16 年改正による年金財政の枠組み構築 平成 16 年年金制度改正においては 長期的な給付と負担の均衡を確保し 公的年金制度を持続可能なものとする見直しを実施し 新たな年金財政の枠組みを構築 16 年改正の最後の仕上げにあたる基礎年金国庫負担割合 2 分の 1 の実現については 所要の法案を今国会に提出 早期の成立を図る 2. 残された課題 年金財政の安定性が高まり 40 年加入の満額年金の受給者が多数現れるようになったが 一方で 高齢者間の所得格差が拡大しているとの指摘等もあり 無年金者や低年金者の問題が焦点化 3. 機能強化をめぐる議論の進展 公的年金制度の在り方については 労使の関係団体や報道機関からの提言 国会での議論等を通じて 様々な見解が示されてきた 昨年 11 月にとりまとめられた社会保障国民会議の最終報告においては 基礎年金の最低保障機能の強化等が提言されている 社会保障審議会年金部会においては 昨年春以降議論を進め 社会保障国民会議の議論を踏まえつつ 11 月末に中間的整理をとりまとめたところ 1
今国会に提出した基礎年金国庫負担割合 2 分の 1 法案には 基礎年金の最低保障機能強化等についての検討規定が附則に盛り込まれている 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案 ( 今国会提出 ) 附則第二条 ( 検討 ) 第二条政府は 国民年金法等の一部を改正する法律附則第三条第一項の規定を踏まえつつ 年金 医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策について機能強化及び効率化を図ることの重要性にかんがみ その一環として 公的年金制度について 基礎年金の最低保障機能の強化その他の事項に関する検討を進め 当該事項がそれぞれ制度として確立した場合に必要な費用を賄うための安定した財源を確保した上で 段階的にその具体化を図るものとする 安定財源の確保への道筋についての議論を踏まえつつ 基礎年金の最低保障機能の強化等の具体策を確立していくことが 課題 参考 所得税法等の一部を改正する法律案附則第 104 条政府は 基礎年金の国庫負担割合の 2 分の 1 への引上げのための財源措置並びに年金 医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ 平成 20 年度を含む 3 年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として 遅滞なく かつ 段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため 平成 23 年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする この場合において 当該改革は 2010 年代 ( 平成 22 年から平成 31 年までの期間をいう ) の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする 国民年金法等の一部を改正する法律 ( 平成 16 年法律第 104 号 ) 附則第 3 条 ( 検討 ) 第三条政府は 社会保障制度に関する国会の審議を踏まえ 社会保障制度全般について 税 保険料等の負担と給付の在り方を含め 一体的な見直しを行いつつ これとの整合を図り 公的年金制度について必要な見直しを行うものとする 2 前項の公的年金制度についての見直しを行うに当たっては 公的年金制度の一元化を展望し 体系の在り方について検討を行うものとする 3 ( 略 ) 2
社会保障の機能強化の工程表と社会保障審議会年金部会の中間的整理の対比 社会保障の機能強化の工程表 ( 平成 20 年 12 月 24 日 ) 社会保障審議会年金部会における中間的整理 ( 平成 20 年 11 月 27 日 ) 低年金 無年金者対策の推進 保険料免除制度の見直し 受給資格期間の見直し 厚生年金適用拡大 保険料追納の弾力化 育児期間中の保険料免除 ( 他の少子化対策と歩調を合わせて検討 実施 ) 1 低年金 低所得者に対する年金給付の見直し 保険料軽減支援制度 最低保障年金 単身低所得高齢者等加算 税方式 2 基礎年金の受給資格期間の見直し 32 年の時効を超えて保険料を納めることのできる仕組みの導入 4 国民年金の適用年齢の見直し 5 パート労働者に対する厚生年金適用の拡大等 6 育児期間中の者の保険料免除等 低年金 無年金対策等の観点から 総合的な検討が必要 保険料の納付率向上を図る等の観点から 制度に与える影響も踏まえつつ検討 基礎年金の最低保障機能の強化が図られた際に更なる適用拡大を検討 在職老齢年金制度の見直 7 し等 ( 高齢者の就労に配慮在職老齢年金制度の見直し 8 した検討 実施 ) 標準報酬月額の見直しなど 今回の法案においては 老齢基礎年金の額計算について 保険料免除期間を保険料納付済期間の2 分の1に評価 ( 現在は3 分の1) する等の措置を講じ 低所得の方に対する年金保障の充実を図っている 3
社会保障審議会年金部会の中間的整理 ( 平成 20 年 11 月 ) 社会保障審議会年金部会においては 16 年改正後の残された課題として 以下の項目について議論し 中間的整理をとりまとめ 1 低年金 低所得者に対する年金給付の見直し 最低保障年金 : 基礎年金において低年金者に対し一定額を保障 滞納者にも一定額の年金を支給するため 保険料の納付意欲に悪影響が大きく こうした課題への対処を図る工夫が必要 保険料軽減支援制度 : 保険料拠出時に所得に応じて保険料の一部を軽減し 軽減後の保険料納付を求める一方 軽減分を公的に支援 所得に応じた保険料で満額の基礎年金を受けられる仕組みであり 社会保険方式の基本は踏まえた案 最低保障年金のようなモラルハザードが生じないと考えられる 単身低所得高齢者等加算 : 基礎年金の額が満額であるか否かにかかわらず 著しく所得の低い単身高齢者等の基礎年金に加給金を加算 低年金者等への対応という観点からは即効性があるのではないか ただし もともと低年金である者はこの加算だけでは十分な基礎年金を受給できない場合もあることに留意が必要 税方式 : 基礎年金に必要な財源を全額税財源で賄う税方式を導入する 中長期的な視点で引き続き議論 以上に併せて高所得者に対する年金給付の扱い等について検討 2 基礎年金の受給資格期間の見直し 32 年の時効を超えて保険料を納めることのできる仕組みの導入 2 年の時効を超えて保険料を納めることができる事後納付の仕組みの導入を積極的に検討すべき (1 2 と併せて総合的な検討が必要 ) 4 国民年金の適用年齢の見直し 大学進学率の上昇の状況を踏まえ また 保険料の納付率の向上を図る観点から 国民年金の適用年齢を 25 歳 ~65 歳に引き上げることについて 引き続き検討することが適当 5 パート労働者に対する厚生年金適用の拡大等 まず 被用者年金一元化法案の早期成立を図るべき 基礎年金の最低保障機能強化などにより制度環境が大きく変化した際に 更なる適用拡大を検討すべき 6 育児期間中の者の保険料免除等 被用者年金の被保険者に限られている対象を国民年金加入の自営業者等にも拡大することについて 更に検討を進めるべき 7 在職老齢年金の見直し 現役世代の負担との均衡や年金財政への影響を踏まえつつ 支給停止の開始点である 28 万円を一定程度緩和することも考えられる 8 標準報酬月額の見直し 納付した保険料はできる限り年金給付に結びつけるべきという 標準報酬の上限を超える高所得者に 実際の報酬に見合った負担考え方を踏まえ 例えば 10 年程度とすることも考えられる (1 をしてもらうため 現行の上限を超えた分も負担を求めることを検討す 3 と併せて総合的な検討が必要 ) べき 追加的な費用が必要となる場合 保険料負担により対応するか 税財源で対応するかは重要な検討課題 4
給額給額 保険料軽減支援制度のイメージ 最低保障年金のイメージ 基礎年金部分読売案では受基礎年金部分読売案では受( 参考 ) 保険料 国庫 基礎年金 5 万円を保障 最低保障年金 保険料分国庫負担分 満額 7 万円 ( 所得 ) 3/4 支援 半額支援 1/4 支援 0 年 10 25 40 保険料納付期間 公費による支援受 単身低所得高齢者等加算のイメージ 税方式 ( カナダの老齢保障年金の例 ) 単身低所得高齢者等加算 保険料分 満額年金 6.6 万円 502.31 カナタ ト ル ( 満額 ) ( 約 38,000 円 ) 老齢保障年金 (OAS) ( 税方式 ) カナダ年金制度 (CPP) ( 社会保険方式 ) 払戻し ( クローバック ) 部分 国庫負担分 保険料納付期間 ( 軽減保険料納付期間を含む ) ( 参考 ) 1 カナタ ト ル =75 円 (2009 年 2 月 2 日の実勢レート ) 給付額は月額 ( 数値は 2008 年 1 月現在 ) 満額の老齢保障年金 (OAS) の額は 40 年のカナダ居住期間を有する場合に支給 (40 年未満の場合は不足 1 年につき満額の 1/40 に相当する額を減額 ) OAS の受給者であって 総所得額が一定額 ( 月額 5393.17 カナタ ト ル ( 約 404,000 円 )) を超える場合は 総所得額のうち当該一定額を超える部分の額の 15% に相当する額を税として国に払い戻すことになっている 総所得が 8741.92 カナタ ト ル ( 約 656,000 円 ) 以上の場合は OAS が全額支給停止 5