長期優良住宅先導的モデル事業提案内容とりまとめ Ⅱ.. 既存住宅等の改修部門に関する提案内容とりまとめ ( 独 ) 建築研究所 長期優良住宅先導的モデル事業評価室 1
既存住宅等の改修部門に関する提案とりまとめ - 本とりまとめの趣旨 - 新築住宅に比べるとまだ不十分な既存住宅の改修の取組みが進むよう 今後重要性が増すと考えられる主要な提案内容をとりまとめ 情報発信 今後 本事業等を通じたさらなる取組みが行われ 改修に関する情報 技術が一層蓄積されることを期待 2
- 既存住宅の改修のプロセスと関係主体 - 企画 改修の問い合わせ 相談対応 物件選定等 (1) 調査 診断 現場調査 診断 ( 劣化診断 耐震診断等 ) 等 (2) 改修 ( 設計 施工 ) 改修計画の作成 工事価格の提示 契約 改修工事 ( 劣化対策 耐震補強 省エネ改修 点検口設置 給排水方式の変更 バリアフリー化 防火対策など ) 等 (3) 維持管理 履歴 工事記録 ( 竣工図 工事写真 ) の作成 蓄積 瑕疵保証 維持管理計画の作成 支援等 (4) 流通 価格査定 買取 再販 住み替え支援 等 (5) ユーザー支援のしくみ (6) 体制整備 事業者支援のしくみ 不動産仲介事業者 / 改修事業者 インスペクター ( 調査 診断事業者 ) 設計者 ( 工事監理者 ) 改修工事業者 維持管理事業者 < 改修事業者等 > 不動産仲介事業者等 今後は 住宅瑕疵担保責任保険法人との連携が求められる ( ) 金融機関 保証 保険会社 維持管理サポート 住宅履歴情報管理者等 ( 団体 グループ 研究会 フランチャイザー 情報サービス機関等 ) 3
- 既存住宅の改修に関する主な提案 - 改修技術に関するハード的な提案を中心として これにソフト的なしくみを組み合わせたものが多い このうち 改修のプロセス全般にわたる総合的な提案 改修に対するユーザーからの信頼向上を図る提案 既存住宅の流通の促進に寄与する提案などが注目された 4
既存住宅の改修に関する主な提案 (1) 調査 診断 < 調査 診断における信頼性の向上 > 調査 診断の実施は 既存住宅の改修にとって必要不可欠だが この分野は市場が十分整備されていない ユーザーからの信頼を高める取組みとして 調査 診断事業者などの 第三者を活用する提案 や 調査 診断技術者を育成する提案 などがみられた なお 調査 診断結果に対する法的責任や保証は明確ではない 今後 住宅瑕疵担保責任保険制度との連携を検討すべき 5
提案事例 ( 調査 診断技術者の育成 ) 提案者 : 住宅医ネットワーク 地域の工務店や設計事務所等からなるグループが 技術者育成を行う教育機関からの支援を得て 地域レベルでの調査 診断 改修設計 施工 維持管理等の活動を展開する技術者を育成する提案 6
全面改修 既存住宅の改修に関する主な提案 (2) 改修 ( 設計 施工 ) < 改修工事の範囲と工事内容 > 戸建住宅 : 既存躯体に手を入れた全面的な改修の提案が多い 共同住宅 : 買取 再販を含むリノベーション改修のビジネスモデル化の動きがあった 部分的改修 特定性能のみを向上させる提案が多かった そのことが改修費用や工期の面でどのようなメリットが生み出されるかといった視点が求められる 7
膨大なマンションストックなマンションストック適合証明利用へ取得 提案事例 ( 全面改修 ) 提案者 : 株式会社インテリックス 共同住宅の住戸専有部分を取得し スケルトン改修を行って再販するスキームの提案 ( プレファブ化した床 壁 天井の下地インフィル方式の採用 配線 配管類の集約化等 ) 質インテリックス良売主 売主 リフォーム検討者 当該システム(改修) 提案者提案者 仲介 サービサー提案者 仲介買主提案者 提案者 仲介 仲介 買主 買主 フター) 長当該システム(ア期下地インフィル ( 内箱 ) 天井パネル 床パネル 壁パネル リノウ ェックスインフィル超長期システム 1 良質なマンションストック 2 幅広い利用対象者 3 関係者による認知効果 4 先導的改修 5 先導的サポート体制 6 長期利用の理解 既存スケルトン 8
既存住宅の改修に関する主な提案 (2) 改修 ( 設計 施工 ) < 改修工事実施にあたっての配慮 > 改修工事中の居住者への配慮 仮移転先を斡旋 提供する提案があった 今後は 居ながら改修 が容易な施工計画など 居ながら改修 が容易な施工計画などが求められる が求められる 地域性等への配慮 新築同様 地域材の活用 周辺環境との調和地域材の活用 周辺環境との調和等の視点が重要 費用対効果への配慮 改修費用を抑えながら 技術的な信頼性も向上する工期短縮や工法上の工夫等が求められる 9
既存住宅の改修に関する主な提案 (3) 維持管理 履歴情報整備 提案内容としては 新築住宅と同様の内容が多い 具体的には 1 維持管理計画書の作成 2 改修 修繕資金調達のための積立計画 3 定期点検の実施 4 住まい手の維持管理サポート 5 改修 点検記録の蓄積 など これまでの改修履歴や維持管理の状況を把握していくことも必要 新築住宅とは異なる視点を加味したしくみづくりが求められる 10
既存住宅の改修に関する主な提案 (4) 流通 < 資産価値 性能の評価 提示 > 既存住宅の性能や価値を分かり易く示すしくみ性能や価値を分かり易く示すしくみが求められる 資産価値の査定 や 改修後の性能を提示する提案 があった < 既存住宅の借り上げ > 高齢者等の所有する住宅を賃貸化所有する住宅を賃貸化することが既存住宅の新たなすることが既存住宅の新たな活用手法として注目される ( 持家資産のフロー化 ミスマッチ解消 ) < まちなみの維持 > 今後 改修によるまちなみの維持効果を重視した取組みを期待 11
提案事例 ( 既存住宅の価格査定のしくみ ) 提案者 : 優良ストック住宅推進協議会 住宅ストックの資産価値向上や既存住宅の流通促進を図るため ハウスメーカー 9 社が協議会を組織して 既存住宅に対する共通の価格査定方式を構築し 各社がそれぞれ運用する提案 査定価格 ( 新築時価格を 100 とした場合 ) 100 50 リフォームを実施した場合新査定方式現状査定方式スケルトン部分 (6 割 ) は 50 年償却インフィル部分 (4 割 ) は 15 年償却 土地査定システム スムストック査定式をシステム化 (DB 化 ) + 東京カンテイの土地査定システム活用 10 10 年 20 年 30 年 40 年 50 年 築年数 12
提案事例 ( 改修後の性能を提示するしくみ ) 提案者 : 北海道 R 住宅先導的モデル事業推進協議会 既存住宅の性能がどのようなレベルにあるかがわかるように 改修後の性能について表示 ( ラベリング ) を行う提案 北方型住宅 R の名称は 現在 北海道 R 住宅 とされている 13
既存住宅の改修に関する主な提案 (5) ユーザー支援の仕組み < 改修工事価格の提示と情報提供 > 工事価格を早い段階で明確にし 分かり易く提示することが重要 改修工事のメニュー化による工事価格の明確化 や 改修後のプラン 工事価格を不動産情報とセットで提示 等の提案があった < 改修資金等の調達支援の仕組み > ローンや保証等のサービス提供者との相互連携の提案があった < 性能評価 保証等 > 第三者機関等による保証書付与などの提案があった 今後 住宅瑕疵担保責任保険制度の活用などが求められる 14
提案事例 ( 改修プラン 工事価格の情報提供のしくみ ) 提案者 : いい住宅研究会 既存住宅の購入希望者に 不動産情報とあわせて 改修提案したプランと概算見積価格を Web 上で公開する情報システムの提案 15
既存住宅の改修に関する主な提案 (6) 体制整備 事業者支援のしくみ 改修に関わる主体間で連携主体間で連携して 市場性の向上や効率的な改修に向けた体制を構築していく視点が重要 地域の中小工務店等に対する 教育や人材育成等の 教育や人材育成等のサポート体制の構築が求められる 調査 診断 改修 流通に関わる三者連携の提案 や 工務店等への総合的なサポート体制を構築する提案 があった 16
提案事例 ( 調査 診断事業者 改修事業者 不動産流通事業者による三者連携 ) 提案者 : 一般社団法人良質リフォームの会 調査 診断 改修 流通を行う三者が連携し 売却 購入相談 調査 診断 改修設計 施工 メンテナンス等のサービスを一体的に提供する提案 17
まとめ これまで 4 回の公募を通じて 既存住宅等の改修部門 に提案のあったものの中から 今後重要性が増すと考えられる主な提案内容について報告 約 4700 万戸の既存ストックを 今後どのようにして長期優良住宅にし 長く大切に使っていくかは 新築住宅以上に重要と考えられる 一方 既存住宅の改修は 未成熟な分野であり 様々な技術開発やコスト低減等を進めていくことが不可欠である 今後そうした取り組みに期待したい 18
建築研究所におけるストック再生 活用に 関する研究の紹介 既存建築ストックの再生 活用手法に関する研究 主として RC 共同住宅等に関して 耐久性の向上や空間規模の可変技術 設備の更新等に関する検討及びこれらの技術を活用した再生 活用の手法等についての検討を 材料 構造 防火 設備等分野横断的に実施し 既存の建築ストックの再生 活用を促進するための技術開発を行った 今後 この研究成果の普及を図るため 小冊子 : 既存ストックの再生 活用に向けて を公表 ( 平成 22 年 3 月末頃を予定 ) 19
(屋根スラブ等切除により減築も可能)スラブ開口によるメゾネット化梁貫通によるスリーブ新設老朽化した賃貸共同住宅の再生イメージ 戸境壁の切除 + 補強による住戸結合 耐久性向上による供用期間の延伸 梁切断 + 補強により開口面積 up 梁切断 + 補強により開口 up 振動性状 たわみの改善 接地階の低床化 ご静聴ありがとうございました 20