リッチモンドホテルより届いたハラール弁当の 1 つ 内容 1. 熊本県 市の在住外国人の状況 2. 熊本地震の概略 3. 外国人被災者支援の経過 外国人被災者の課題 支援活動での課題 課題への1つの取組例 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネー

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資料 1 熊本地震時の外国人被災者支援活動について 熊本市国際交流振興事業団 事務局長 八木浩光 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 1

生時には会館が観光文化交流局対策部 ( 現政策局国際課 ) により外国人避難対応施設として開設 という規定を根拠に 前震後 4 月 15 日午前 1 時 本震後 4 月 16 日午前 4 時に会館避難所が開設された 会館避難所運営については 明確な規定がなく 会館を管理運営していた当事業団が担うこと

32 第 2 部近年の災害時の対応事例 甚大で余震が続く恐怖は人生初めての経験だった 前震後 住んでいたアパートの隣の部屋の洗濯機が壊れたぐらいに思ったインド人留学生家族や 本震後 この世の終わりを感じた もう母国へ帰ることができない 怖くて動けなかった と当時を振り返るバングラデシュやパプアニュー

8 第 1 部外国人を対象とした防災対策のあり方 多言語コミュニティ FM として再スター トした FM わぃわぃ など 日本には これまでなかった 多言語 多文化 に よる活動に注目が集まった ( 写真 1) 携帯電話やインターネットがまだ普 及していない当時の日本で暮らす外国人 は 公衆電話から

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26 第 2 部近年の災害時の対応事例 本市の場合は大学や日本語学校 専門学校などで学ぶことを希望する外国人住民が多いためである なお 昨今の日本全体の傾向としてベトナム人やネパール人が増えており 本市においても 震災後 ( 平成 29 年 4 月末現在 ) の国別人口の上位 4 カ国は 中国 31



文化庁平成 27 年度都道府県 市区町村等日本語教育担当者研修 2015 年 7 月 1 日 生活者としての外国人 に対する日本語教育の体制整備に向けた役割分担 日本語教育担当者が地域課題に挑む10のステップ よねせはるこ米勢治子 ( 東海日本語ネットワーク )

年齢別では 10 才代では 知っている人は 40.0% であるのに対し 30 才代以上では 7 割以上の人が 知っていると回答しています 図表 3 おおきな地震が起きると考えられていることを知っているか ( 年齢別 ) 10 才代 (N=10) 40.0% 50.0% 10.0% 20 才代 (N=

Microsoft Word 仕切り(新宿区).docx

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大津市避難所運営マニュアル


多文化共生クイズ 1 答えと解説 問題 8. 名古屋市に住む外国人市民に聴きました 簡単な漢字 ひらがな カタカナ を読める割合は 70% 以上である か か? 解説 名古屋市に住む外国人で 日本語が 不自由なく読める 読むのにはほとんど困らない 簡単な漢字 ひらがな カタカナが読める 人は約 74


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報道機関各位

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新たな住民も2 万人近く暮らしていた 震災の翌日から多言語でのホットラインを開設し のちに 多文化共生センター へ改組して多文化共生をめざす地域活動の草分けとなった 外国人地震情報センター や いずれも神戸市長田区で無免許で放送していた韓国語の FM ヨボセヨ とベトナム語の FM ユーメン が合体


韓国 朝鮮籍市民は 過去の歴史的な経緯から 従来 非常に高い割合を占めていましたが 昭和 60 年 (1985 年 ) の国籍法の改正や日本国籍の取得 ( 帰化 ) 高齢化の進行などにより減少傾向となっています また 1980 年代以降 政府による中国帰国者及びインドシナ難民の受け入れなどもあり 中

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5 トピック 名古屋市におけるベトナム人住民およびネパール人住民 外国人住民の増加数全体に占めるベトナムとネパール両国籍の住民増加数は 56.9% を占め ました 増加が顕著な両国籍について取り上げます (1) ベトナム人住民 ( 第 4 表 第 4 表の2 第 4 表の3 第 4 表の4 第 4

JR

佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

⑴ ⑵ ⑶

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北九州市の外国人施策 多文化共生施策 多文化共生とは 国籍 民族等の異なる人々が 互いの文化的背景等の違いを認め合い 人権を尊重し 対等な関係を築こうとしながら 地域社会の構成員として共に生きていくこと 総務省 多文化共生の推進に関する研究会報告書 (2006.3) での定義

災害時における外国人支援 もに 地域の地理に不安な外国人や災害時にどのような行動をとればよいかわからない外国人でも適切に避難行動がとれるような工夫が必要だ 例えば 震度 7 の地震が起きました と言われても 震度 7 がどの程度の危機的な状況なのか知らなければ 危機感は伝わらない 避難してください


(2) 施策目標 施策目標 1 日本人と外国人が共に活躍できる環境の整備 東京で暮らす外国人が日本人と同様に能力を最大限発揮し 活躍できるよう 子供の教育支援等に着実に取り組む また 外国人ビジネスパーソン等の生活に関するサポートや外国人留学生等に対する就業 起業支援等を行い 外国人が東京で一層活躍


⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1

☆配布資料_熊本地震検証

外国人との共生・交流社会づくり推進指針(仮称)素案

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Microsoft Word - 舞09・絆1(多文化) ⑤ doc

2.10 暮らしやすい社会 現在の堺市での暮らしの満足度 さかいしげん 38 あなたは堺市での現在 ざいの暮 くまんぞくらしに満足していますか ひとつに 現在の堺市での暮らしについて 満足している 人は 38.2% まあまあ満足している 人は 47.4% 合 わせて 85.6% が満足

[ 参考 ]: 平成 11 に実施された堺市市民意識調査 ( 外国人市民編 ) における 市政情報の入手について の回答結果では 入手方法として 広報さかい (48.7%) が最も多く 次いで 自治会の回覧板 (39.9%) 新聞 テレビなどのマスコミ報道 (35.2%) の順となっていました 国籍

避難所講演資料

⑵ ⑶ ⑷ ⑸ ⑴ ⑵

新宿区は 外国人住民が全国で一番多く暮らす自治体で 全区民の 10% を超えています 地域別 全国 平成 26 年 1 月 1 日現在 住民記録人口総数 ( 人 ) 日本人住民人口 外国人住民人口 人数 ( 人 ) 割合 (%) 人数 ( 人 ) 割合 (%) 128,438, ,434




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報道機関各位

(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震


2019 年 5 月 経営 Q&A 回答者 永浦労務管理事務所 特定社会保険労務士永浦聡 外国人材の受入れ対策講座 ~ 外国人労働者の現状 ~ Question 当社は 地方都市でホテルを数軒経営しています 法律の改正もあり 今後日本には外国人労働者が増えてくるというニュースを新聞 テレビ等で目にし

4 研修会の内容の工夫 在住外国人の参加促進 より実践的なワークショップ形式の導入 多彩な講師 5 広報 行政 教育委員会 警察 消防 教員 報道機関への共催や後援 派遣依頼を積極的に行った チラシに年間スケジュールを載せ 随時情報を更新していったことで 参加者は都合に合わせて選択できた 6 調整業

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8 月上中旬 ( 約 2 週間 ) 派遣高校生 5 人 引率 1 人 ヒューストン市 ( アメリカ ) 6 月上中旬 ( 約 2 週間 ) 受入中学生 5 人 引率 2 人 モントルー市 ( スイス ) 7 月下旬 ~8 月上旬 ( 約 2 週間 ) 派遣青少年 5 人 引率 1 人 ウ語学講座国際

九州における 道の駅 に関する調査 - 災害時の避難者への対応を中心としてー ( 計画概要 ) 調査の背景等 道の駅 は 平成 16 年 10 月の新潟県中越地震 23 年 3 月の東日本大震災において 被災者の避難場所 被災情報等の発信や被災地救援のための様々な支援の拠点として活用されたことなどか

資料 3-1 男女共同参画の視点からの 防災対応について 東日本大震災への男女共同参画の視点を踏まえた被災者支援 平成 23 年 7 月 20 日 内閣府男女共同参画局

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茨城 2.4% 図 2 在住外国人数の都道府県別割合 (2015 年 6 月現在 ) 福岡 2.7% 静岡 3.5% 兵庫 4.5% その他 27.7% 千葉 5.5% 埼玉 6.2% 東京 20.6% 神奈川 8.1% 愛知 9.4% 大阪 9.5% 法務省 在留外国人統計 図 3 総人口に占める

2 外国人労働者の属性 (1) 国籍別にみると 中国 ( 香港等を含む 以下同じ ) が全体の 57.4% を占め 次いで フィリピンが 15.0% となっている また ベトナムについては対前年同期比で 62 人 (52.1%) 増加しており 同 181 人 (4.2%) を占めている 図 1 別表

外国人労働者の雇用実態に関するアンケート調査結果 速報版 平成 30 年 12 月 山形県商工労働部 1. 調査目的 県内における外国人労働者の実態等について調査を実施し 今後の外 国人材の活用施策の検討材料とする 2. 調査期間 平成 30 年 10 月中旬 ~11 月中旬 3. 調査対象 方法

日本医師会ニュース「平成28年熊本地震」:情報提供第八報

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豊島区外国人区民意識調査報告書 平成 28 年 3 月 豊島区

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

職員の運営能力の強化 避難所担当職員研修の実施 全庁対象の避難所担当職員研修(5 回開催で約 400 名参加 ) 区毎の避難所担当職員研修 男女共同参画の視点に立った避難所づくり 共助による災害時要援護者支援の取り組みについて説明 各区災害対策本部との連絡 避難所内の課題解決の調整など 地域団体等へ

H25 港南区区民意識調査

2. 防災拠点の代替施設の指定防災拠点施設が被災し使用不能となれば 災害対策本部等が設置できず 活動体制全体に遅れが生じ 迅速な災害対応を指揮することが困難となるとともに 災害対応以外の業務 ( 通常業務 ) を行うことも困難となるため 代替施設での対応が必要となります そのため 防災拠点施設におい

例 1) 日系人の A さんの場合 1 域内の外国人の状況 ニーズ, 地域のリソース等の把握 (1) 対象とする学習者の属性や数の把握 レディネス( 日本語学習をどの程度行っているか ) 家族形態 来日 3か月で日本語学習経験はなし 妻, 子供 ( 小学生 ) 漢字圏かどうか 在留資格 非漢字圏 定

基礎 Q 地震の原因や特徴は? A 活断層の横ずれで発生し 余震の規模が大きいのが特徴です 日の熊本地震 M6.5) は 活断層 日奈久 ひなぐ ) 断層帯 の北側の一部がずれて起きました 余震が多発し その規模が大きいのも特徴です 同時多発的な地震が起きている九州中央部では活断層が連なる 別府 島

札幌市地域防災計画(地震災害対策編)

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日向灘 佐伯市で震度 2 を観測 8 日 08 時 33 分に日向灘で発生した M3.9 の地震 ( 深さ 31km) により 佐伯市 愛媛県西予市 高知県宿毛市などで震度 2 を観測したほか 大分県 宮崎県 愛媛県および高知県で震度 1 を観測しました ( 図 1) 今回の地震の震源付近 ( 図

大規模災害時における 難病患者の行動支援マニュアル

目 次 ページ はじめに 1 地区防災計画制度について 1 防災計画の全体像 地区防災計画制度の全体イメージ 2 地区防災計画とは 2 3 本冊子 手引き の活用方法 2 手引きの構成 手引きの活用イメージ 地区防災計画 作成の手引き 1 制度の背景 3 (1) 作成の目的 (2) 自助 共助の重要

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1 視察目的 平成 28 年熊本地震は 観測史上初めて 同一地域において震度 7 の地震がわずか 28 時間の間に二度も発生し 大きな被害をもたらした 後に 前震 とされる平成 28 年 4 月 14 日 ( 木 )21 時 26 分に発生した地震は 熊本県熊本地方の深さ 11 km地点を震源とし

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九州地方とその周辺の地震活動(2016年5月~10月)

平成29年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果

30 第 1 部現地における災害応急活動 阿蘇大橋付近の被害状況 ( 熊本県阿蘇郡南阿蘇村 ) 熊本城の被害状況 ( 熊本県熊本市 ) 2

東京事務所版 BCP 実施要領目次応急頁 < 第 1グループ> 直ちに実施する業務 1 事務所における死傷者の救護や搬送 応急救護を行う一時的な救護スペースの設置 運営 備蓄の設置 医療機関への搬送 1 2 事務所に緊急避難してきた県民や旅行者等への対応 避難 一次避難スペースの運営 指定避難所への

第 1 期多文化共生会議最終報告書の提言 (2007 年 3 月 ) への対応状況のまとめ 1 提言番号提言内容現行の実施状況 ( 平成 21 年 2 月時点 ) 社会生活部会からの提言 テーマ 1 外国人市民への情報提供システムの確立 1-1 外国人市民への広報活動に関する基準をつくる優先して提供

2019 年1月3日熊本県熊本地方の地震の評価(平成31年2月12日公表)


1 外国人労働者の状況 別添 1 外国人雇用状況 の届出状況 ( 平成 29 年 1 月末現在 ) 概要版 岡山労働局 労働者全体の状況について ( 別添 3- 表 1) 外国人労働者数は 13,727 人 前年同期比で 21.7% (2,446 人 ) 増加した 増加した要因 ベトナムからの技能実

スライド 1

% 4.4% % 5.0% % 4.5% % 2.7% % 2.0% % 3.6% 5.1% 4.5% 2.6% 3.6%

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県


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資料 1 熊本地震時の外国人被災者支援活動について 熊本市国際交流振興事業団 事務局長 八木浩光 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 1

リッチモンドホテルより届いたハラール弁当の 1 つ 内容 1. 熊本県 市の在住外国人の状況 2. 熊本地震の概略 3. 外国人被災者支援の経過 1 4 4. 外国人被災者の課題 1 2 5. 支援活動での課題 1 3 6. 課題への1つの取組例 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 2

熊本県の在住外国人の状況 熊本県 ( 面積 7,405 km2 45 市町村 ) 総人口 1,765,732 人 ( 平成 29 年 9 月 熊本県データ ) 在住外国人数 11,662 人 ( 平成 28 年 12 月 法務省入国管理局データ ) 人数の多い内訳 国籍 : 中国 3,972 人 ベトナム 2,318 人 フィリピン 1,799 人 在留資格 : 技能実習 4,235 人 永住者 2,929 人 留学 1,113 人 市町村 : 熊本市 4,835 人 八代市 1,902 人 玉名市 572 人 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 3

熊本市の在住外国人の状況 熊本市 ( 面積 390.32km2 5 区 ) 総人口 733,720 人 ( 平成 29 年 10 月 熊本市データ ) 在住外国人数 5,030 人 ( 平成 29 年 10 月 熊本市データ ) 人数の多い内訳 (* 平成 29 年 3 月現在 熊本市データ ) 国籍 * : 中国 1,802 人 韓国 500 人 フィリピン493 人 ベトナム489 人 ネパール150 人 家族滞在 350 人 在留資格 *: 永住者 1,895 人 留学 892 人 技能実習 461, 区 : 中央区 2,425 人 東区 866 人 西区 565 人 南区 493 人 北区 681 人 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 4

熊本地震の概略 概要 前震発生日時 : 平成 28 年 4 月 14 日 ( 木 ) 21 時 26 分規模 : マグニチュード 6.5 熊本県内最大震度 7( 熊本市内震度 6 弱 ) 本震発生日時 : 平成 28 年 4 月 16 日 ( 土 ) 01 時 25 分規模 : マグニチュード 7.3 熊本県内最大震度 7( 熊本市内震度 6 強 ) 震度 1 以上の余震 4000 回以上 (4081 回 10 月 10 日現在 ) ( 余震型 活断層型地震 ) 熊本県内被害状況 (7 月 4 日熊本日日新聞より ) 人的被害 : 死者数 50 人 関連死 179 人 負傷者 2,704 人家屋被害 :192,904 棟 最大避難人員約 18 万人 (4 月 17 日 08 時頃時点 ) 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 5

新潟県中越地震 2004 M6.8 新潟県中越沖地震 2007 M6.8 能登半島地震 2007 M6.9 長野県北部地震 2011 14 M6.7 鳥取県西部地震 2000 M7.3 福岡県西方沖地震 2006 M7.0 鹿児島県北西部地震 1997 M6.6 日本の活断層 ( 東京大学出版会 ) ( 気象庁 ) 参考熊本地震明治 22 年 (1889) M6.3 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 6

外国人被災者支援の経過 1( 国際協会として ) 平成 28 年 4 月 14 日 ( 木 ) 4 月 15 日 ( 金 ) 前震発生 9:26pm 外国人 : 地震対応を知らない不安 協会職員の安否確認 熊本市国際課とのやり取り 災害メール配信 ホームページ 熊本市地域防災計画に基づく開設運営主体の 外国人避難対応施設開設 @ 国際交流会館 1:00am 韓国人 3 人 日本人 1 人が避難 通常運営中止 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 閉鎖 10:00pm 避難者退所 ( 夕方 ) 大きな混乱無し ボランティア 外国人コミュニティへ連絡 多くの協力者より連絡 記載なし 7

外国人被災者支援の経過 2( 国際協会として ) 平成 28 年マスコミ 各国大使館 / 領事館より問い合わせ多数 4 月 16 日 ( 土 ) 4 月 17 日 ( 日 ) 本震発生 1:25am 外国人 : この世の終わりを感じるほどの恐怖 ガス 水道ストップ 避難所開設の準備 外国人避難対応施設開設 @ 国際交流会館 4:00am 20 人以上の日本人が開設と同時に避難 100 人以上の外国人被災者が殺到 4 月 30 日まで24h 連続運営 聞き取り調査 2 つの不安 ⑴ 住まいの不安 ⑵ 地震への恐怖 県外へ移動したい 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 8

外国人被災者支援の経過 3( 国際協会として ) 4 月 19 日 ( 火 ) 4 月 20 日 ( 水 ) 多言語 多文化支援 食材の説明 ( 配給 ) 炊き出し 九州地区の地域国際化協会 ( 幹事協会 ) 及び多文化共生マネージャー全国協議会と派遣の検討 JR 九州再開 熊本ー博多間 韓国人 3 人 日本人 1 人が避難 外国人被災者一時県外へ 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター協会は避難所運営に追われ 避難所巡回できない 災害多言語支援センター開設 午後から避難所巡回 災害多言語支援センターに関する規定なし 9

外国人被災者支援の経過 4( 国際協会として ) 災害多言語支援センターフェーズ 1 5 月 5 日 ( 木 ) 50 カ所以上の避難所巡回 九州 四国地区地域国際協会スタッフ 多文化共生マネージャー 地域内の協力者および協会スタッフ延べ 150 人体制 熊本市の災害支援情報 83 本を英語 中国語 韓国語へ翻訳 やさしい日本語へリライト ( 11 月末まで ) 大阪大学 神奈川すまいサポート 熊本県立大学等外部協力 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 外国人被災者のための生活相談会 4 回開催 5 月 1 日 8 日 31 6 月 12 日 相談内容の変化 : 居住 今 こころ 今後 協会の相談業務として継続中 10

⑴ 外国人被災者の課題 1 じしん し 地震を知らなかった じしん たいけん 地震を体験したことがなかった 母国に地震がない 防災訓練をしたことがない どのようにすればよいのだろう? 不安と恐怖 ⑵ にほんごじょうほうわ 日本語の情報が分からなかった テレビや避難所での情報がすべて日本語だった 給水 物資配給などの言葉が分からなかった 避難所の案内放送が早くて分からなかった 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 11

外国人被災者の課題 2 ⑶ ひなんしょ し 避難所を知らなかった ⑷ ちかひとし 近くの人を知らなかった 学校や公民館が避難所? 教会へ行った 建物の中は不安 公園や車中泊が多かった 避難所で水や食べ物が配られるサービスを知らなかった 外国人 日本人ともに言葉が違うことから話しかけることがきなかった 外国人コミュニティから情報 を得ていた (SNS) 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 12

支援活動での課題 1 地域防災計画の外国人支援は誰が主体となって行うかを明記し その主体は普段から外国人と地域間の関係をコーディネートしておくことが必要である ( 熊本市の場合 熊本市国際交流会館が外国人避難対応施設として開設されると記載あるが 当該避難所の運営について明記されていなかった 行政が直接運営する余力は無く 結果として協会が運営した 今後 すべての指定管理施設で災害発生時に当該指定管理施設が避難所になる場合に 当該指定管理者が避難所の運営を行う協定書が締結されることになった 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 13

支援活動での課題 2 災害多言語支援センターの設置について 大枠の理解のみで 具体的な設置手順 情報入手方法 翻訳の手順等が事前に準備されてなかった また 必要となるスタッフの人数やその確保についての想定ができてなかった 協会のみで設置 運営を検討することは実質上無理があり より実践的な連携体制を地域内の行政 民間団体 ボランティアで構築しておくことが重要である 協会のように災害多言語支援センターの運営と避難所の運営を併行して行う必要がある場合 必要人員と効果的に両方の役割を行う方法を事前に検討しておくことが必要である 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 14

支援活動での課題 3 熊本地震発生時の熊本市の在住外国人数は約 4,500 人であったが 外国人コミュニティ等のつながりで安否の確認がとれたのは 2,000 人程度であると考えられる 誰ひとり置き去りにしない社会づくりには 残り2,500 人の在住外国人に如何にアクセスできるか また 在住外国人に加え 訪日外国人被災者も多くいたことから今後の対応策を検討しなければならない 熊本市より提供される在住外国人個人データを活用し 災害時にそれぞれの外国人が理解できる言語で災害情報を発信するシステムの構築を検討 訪日外国人へは 地域内のホテル 旅行社での適切な対応が重要である さらに 在住外国人が支援者側になれば 訪日外国人の災害時ケアにつながると考える 普段の地域における外国人 日本人住民の支え合う関係づくりが重要なキーであ 2017/11/2 る 災害時外国人支援情報コーディネーター 15

課題への 1 つの取組例 地域日本語教室 同じ地域に住み外国人 日本人住民が共に集い やさしい日本語で交流できる場 交流のテーマは 子育て 地域ルール お祭りや清掃などの行事 お買い物など暮らしに密着したもの 教室を飛び出して スーパーだったり 地域の運動会やお祭りだったり 街歩きだったり 暮らしの現場が教室活動の場 先生と生徒の関係というより 同じ住民としての活動 地域防災計画抜粋 ( 案 ) に日本語教室を明記 : 非常時においては 外国人への配慮が欠如すると想定されるため 日頃からの地域の住民との関係を保ち お互い信頼できる関係の構築に努め 地域住民との協働で災害時でも役立つ日本語講座を実施していくものとする 2017/11/2 災害時外国人支援情報コーディネーター 16