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数値目標 事業開始前 ( 現時点 ) 平成 28 年度 (1 年目 ) 平成 29 年度 (2 年目 ) 平成 30 年度 (3 年目 ) 港湾取扱貨物量 556 万トン 4 万トン 0 万トン 20 万トン 観光入込客数 2,899.4 万人回 -9.5 万人回 1.9 万人回 1.9 万人回 7

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(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

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2

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平成17年7月11日(月)

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U2. 北朝鮮のミサイルについて Q3. 北朝鮮によるミサイル発射の現状はどうなっているのか 北朝鮮は 過去に例を見ない頻度でミサイルを発射しており 平成 28 年 8 月以降 ミサイルが日本の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下する事例も起こっています Q4. ミサイルは 発射から何分位で日本に飛

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アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

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( 福岡県 ) 等級月額日額全額全額全額全額 10.12% 11.67% % % 1 58,000 1,930 ~ 63,000 5, , , , ,000 2,270 63,000 ~ 73,000 6, ,

地震発生後の九州地方整備局の活動 4 月 16 日の夜明け 本震の後に再度調査を実施しておりま す その際は 道路崩壊の調査 土砂崩壊の箇所の調査 被 災地に入るための安全ルートの確認等を実施しております 次に九州地方整備局の活動について紹介させていただき ます まず最初に地震発生後の初動体制につい

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調査概要 : 東日本大震災発生後の生活者調査 東日本大震災後の暮らしと生活意識に関する調査概要 調査期間 :2011 年 4 月 15 日 ~19 日 クローズドモニターに対するインターネット調査 回収割付 男性 女性 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 20 代 30 代 40 代

( イ ) 震災の発生後の最近 3 か月間の売上高等が震災の影響を受ける直前の同期に比して 15% 以上減少していること ( ロ ) 原則として震災の発生後の最近 1 か月間の売上高等が前年同月に比して 15% 以上減少しており かつ その後 2 か月間を含む 3 か月間の売上高等が前年同期に比して

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1-(1) 中部電力 ( 株 ) 大日本印刷 ( 株 ) と共同で 歩道上の路上変圧器を活用した情報発信の実証実験を実施 ~1/24 国交省実証実験の対象地域に選定 ~ 1 国交省実証実験の対象地域に選定 先週木曜日(1/24) 国土交通省から 無電柱化に伴う一般国道の歩道上に設置されている電力設備

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

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目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

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2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

東京事務所版 BCP 実施要領目次応急頁 < 第 1グループ> 直ちに実施する業務 1 事務所における死傷者の救護や搬送 応急救護を行う一時的な救護スペースの設置 運営 備蓄の設置 医療機関への搬送 1 2 事務所に緊急避難してきた県民や旅行者等への対応 避難 一次避難スペースの運営 指定避難所への

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計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

○ 訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備事業

日日目北方 IC 日目( 別紙 ) 山口発着乗り放題プラン 九重夢大吊橋 別府温泉 ( 海地獄 ) ETC 時間帯割引 ( 休日 ( 土 日 祝 ) のみ休日割引 ) の料金で計算,0 円,0 円 金 土 日,0 円 曜日に関係なく,0 円 土 日 月,0 円,000 円,0 円 イルカ島 中国道

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中国韓国シアレーシアランスメリカネガルイツギリスナダ取組 ➀ 英語で通行止め情報をリアルタイム発信別紙 1 外国人ドライバーへのアンケートで 91% が道路の通行規制情報等の提供を重視 北海道地区道路情報 ( 英語サイト ) を開設し 道路の通行規制情報を提供 (PC スマホ) 英語サイトでは 外国

1 万人泊で前年同期比は.6% 増 新潟県が 873 万人泊で同.6% 増 長野県が 1,567 万人泊で同 1.1% 増 富山県が 37 万人泊で同 4.8% 増 石川県が 713 万人泊で同.% 減であった なお 全国は 41,796 万人泊で同 1.1% 増であった () 1~1 月の管内の外

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. 届出方法の案内 自治体において システムを活用した届出を推奨しているが 特に推奨していない自治体が 自治体であった 届出方法の案内 書面を推奨 0 システムを推奨 書面を指定 0 特に推奨していない 一部の事業者より システムによる届出を受け付けない と指

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平成 30 年 3 月 6 日 大熊町住民意向調査調査結果 ( 速報版 ) 復興庁 福島県 大熊町 調査の概要 1. 調査対象 : 世帯の代表者 (5,218 世帯 ) 2. 調査時期 : 平成 30 年 1 月 4 日 ~1 月 18 日 3. 調査方法 : 郵送配布 郵送回収 4. 回答者数 :

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-災害に備えて-

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MRIニュース | 観光統計ぷらっとふぉーむ 記者発表資料

Transcription:

News Release 107-0062 東京都港区南青山二丁目 7-29 https://www.jtb.or.jp/ 2016 年 10 月 11 日 主研究 熊本地震の観光復興状況に関する調査研究 2016 年春季 (4 6 ) の調査結果 ( 速報 ) 公益財団法人日本交通公社 ( 会長志賀典人 以下 JTBF という ) は 2016 年 4 月に発生しました熊本地震が九州 ( 沖縄を除く ) の観光に与えた被害及び観光の復興状況について 春季 (4~6 月 ) の調査結果 ( 速報 ) を発表いたしました 本調査では 九州 ( 沖縄を除く ) の主な観光地を対象に 熊本地震における観光面での直接的 間接的な被害の状況について 1 年間 ヒアリング等にて定期的に把握するとともに そこから導き出される課題を整理し提言を行うことを目的に実施するものです 調査対象地 : 熊本県阿蘇市 熊本県熊本市 熊本県南小国町 ( 黒川温泉 ) 佐賀県嬉野市 ( 嬉野温泉 ) 長崎県長崎市 長崎市雲仙市 ( 雲仙温泉 ) 長崎県佐世保市( ハウステンボス ) 大分県別府市( 別府温泉 ) 大分県由布市 ( 由布院温泉 ) 大分県竹田市 宮崎県宮崎市 ( シーガイア ) 宮崎県日南市 鹿児島県鹿児島市 鹿児島県指宿市 ( 指宿温泉 ) 鹿児島県霧島市( 霧島温泉 ) 今回の調査結果から 主に以下の様子や傾向を把握することができました (1) 被害 復興状況等をもとに 九州 ( 沖縄を除く ) をエリア区分すると 直接的な被害が大きくそれが観光に影響を与えた 被災中心エリア ( 熊本県熊本市 熊本県阿蘇市など ) 概ね観光客の受入が可能だったにも関わらず来訪を避ける傾向がみられた 被災影響発生エリア ( 熊本県 大分県 宮崎県の一部 ) 普段通りの観光活動が可能であったにも関わらずツアー中止等の影響があった 被災影響限定エリア ( 前述の地域を除く九州内 ) の 3 つになる (2) エリア別に被害 復旧状況をみると 被災中心エリア では 建物 ( 宿泊施設 物販施設 神社 城郭 ) 鉄道 道路などが大きな被害を受け 未だに復旧の見通しの立たないものも存在する このほか ライフライン 物流 情報も被害を受けたものの 6 月末までには概ね復旧に至った 被災影響発生エリア では 鉄道や道路に被害が発生し 6 月末時点でも復旧に至っていない箇所が存在する その一方で 建物は一部を除いて復旧し ライフライン 物流 情報は早期に復旧となった 被災影響限定エリア では 直接的な被害は発生しなかった (3) 観光客 ( 宿泊客 ) の動向をみると 国内客については地震発生後 エリアを問わず大幅に減少し 6 月になっても戻りは芳しくなかった 海外客については 被災中心エリア 被災影響発生エリア において客数が僅かとなった地域もあるなど 一部の地域を除いて激減した (4) 震災復旧 復興策として 九州ふっこう割 ( 利用は 7 月以降 ) 中小企業等グループ補助金 雇用調整交付金 をはじめ 国や地域の様々な政策が活用されている また イベントの予定通りの実施やプロモーション強化などに努めるところもみられる (5) 課題としては 観光に関するデータの整備 適切な情報の収集及び発信 地域の状況に応じた政策 制度の実施 ( 九州ふっこう割 の柔軟な対応など ) が挙げられた 本調査結果の概要は当財団のウェブサイトに掲載しておりますので 詳しくは以下をご覧下さい https://www.jtb.or.jp/research/theme/reconstruction/reconstruction-earthquake-kumamoto 公益財団法 本交通公社は 観光 化の振興 に取り組む公益財団法 として 観光を通じた豊かな社会の実現に貢献します お問い合わせ先 観光 化情報センター福永 久保 TEL :03-5770-8360 Email:zaidan_info@jtb.or.jp

1. 被害 復興状況をもとにしたエリア区分 主要観光地における地震の影響度合い ( 被害状況及び観光復興状況 ) をもとに 九州 ( 沖縄を除く ) をエリア区分すると 概ね次の 3 エリアに分けることができます 1 被災中心エリア ( 熊本県熊本市 熊本県阿蘇市など ) 地震により 大きな直接的被害が発生したエリア 建物や道路 鉄道等の損壊や崩落が激しく なかには復旧までに 1 年以上を要するものも存在する 人の移動だけでなく 物流の停滞や通信の障害も発生した 観光面については 交通の遮断に加え 2016 年 6 月末時点においても営業再開ができない小売店や宿泊施設が一定割合存在するなど 影響は甚大である 2 被災影響発生エリア ( 熊本県 大分県 宮崎県の一部 ) 地震により 一部において直接的な被害が発生したエリア 1 被災中心エリア に近いほど 建物やライフライン 道路 鉄道等の被害が大きく 甚大な被害を受けた建物等も存在する ただ それらは限定的であり 普段どおりの活動が行われている地域が多い 各観光地においては 観光客の受入が概ね可能であり 来訪者は通常の観光活動を行うことができる 但し 1 被災中心エリア に近いこと そして報道がもたらすイメージ等により観光客が来訪を避ける傾向もみられるため 観光面に与える影響は非常に大きい ( いわゆる 間接的被害 が発生している ) なお 1 被災中心エリア に近い宿泊地では 被災者 復旧 復興工事関係者 報道関係者 ボランティアなどを受け入れたところもあり そこでは観光客 ( 宿泊客 ) 減少による宿泊施設や物販施設等の売上高減少分を補うことができた 他方 それ以外の地域では 観光客 ( 宿泊客 ) の減少がそのまま影響することとなり 大幅な損害が発生した 3 被災影響限定エリア (1 及び 2 を除く地域 ) 地震による直接的な被害が基本的に発生しなかったエリア 1 被災中心エリア の被災を受け 一部の交通の便に影響が及んだところがあったものの 概ね日常活動への障害は発生していない 観光面においても 地震の影響を感じることなく楽しむことができる 但し 九州内ということもあり 周遊を中心とするツアーの中止や自発的な旅行の取りやめ等の影響が発生した地域もあり そのようなところでは観光客数が減少した

図エリア区分 名称が記載されている観光地 温泉地は 本調査におけるヒアリング対象地です

2.2016 年 4 6 におけるエリアごとの状況 2016 年 4~6 月における 被害及び復興状況 観光客の動向 被災者及び旅行者への対応 観光復興に向けた取り組み 観光復興における課題 について エリアごとにとりまとめた結果が以下のとおりです 1 被災中心エリア 被害及び復旧状況 建物 : 徐々に復旧が進む一方で 一部に復旧の目途が立たないものも宿泊施設 物販施設 神社 城郭などは軒並み被害を受け 一部は激しく損壊した 宿泊施設や物販施設の復旧は徐々に進んでいったが 未だに営業をできない施設もいくつか存在する また 熊本城や阿蘇神社等は特に損壊が激しく 復旧までに複数年を要するとみられている ライフライン :6 月中にはほぼ全面的に復旧電気は概ね早い段階で復旧 上下水道については一部地域で復旧に時間がかかったものの 6 月までにはほぼ全面的に復旧した 鉄道 : 一部 再開の目途が立たず豊肥本線の肥後大津 - 豊後荻間 南阿蘇鉄道の全線において不通となり 6 月末時点で再開に至っていない (7 月に入り 一部の区間で運行が再開 ) このほか 新幹線や在来線の一部において不通となったが 比較的早い段階で再開となった 道路 : 一部において 再開の目途が立たず国道 57 号線の一部区間が不通となり 迂回路への誘導が行われている (6 月末時点 復旧の見通しは立っていない ) このほかにも 外輪山の 天空の道 など一部の道路が通行止めとなっている 物流 : 一時的に混乱するも 早期に正常化地震発生後 2 週間程度混乱した 特に 阿蘇市ではガソリン購入が制限されたため 市民等は隣県での購入を余儀なくされた 情報 : 一時的に遮断された地域があるものの 早期に復旧停電発生箇所において情報が遮断されたり 一部の携帯電話がつながらない状態となったりしたが 早い段階で復旧した 観光客の動向 宿泊客 ( 国内客 ) については 地震発生後に個人客 団体客とも大幅に減少したが 6 月に入ると個人客にやや戻りがみられた 宿泊客 ( 海外客 ) についても 地震発生後に個人客 団体客とも大幅に減少したが 6 月に入ると個人客が若干程度みられるようになった 国内客に比べると 海外客の戻りが遅い 国内客については 交通事情等も勘案し まずは福岡を中心とする九州内からの誘致に力を注いだ 被災者及び旅行者への対応 被災者に対しては 避難所を設置し また HP 等を通して情報を定期的に発信した 旅行者 ( 宿泊者 ) に対する情報提供は 主に宿泊施設 ( 民間 ) が行った 観光復興に向けた取り組み ( 政策 独自の取り組み等 ) 九州ふっこう割 (7 月以降 ) 中小企業等グループ補助金 などが活用されている 阿蘇地域においては 今回の地震を受け 観光圏事業 の内容変更を行った

独自の取り組みとしては 豊肥本線の復旧に向けた対応 ( 九州横断特急の運行依頼など ) イベントの予定通りの実施 ( 自粛せず ) などに取り組んだ 観光復興における課題 地震等の災害に備えたリスク管理 ( 基金の活用等 ) の検討が必要である 報道等の影響により イメージが悪化した地区がある 報道のあり方も考える必要がある 2 被災影響発生エリア 被害及び復興状況 建物 : 甚大な被害を受けた施設を除き 早期に復旧 営業再開一部の宿泊施設や観光施設で甚大な損壊が発生したものの 概ね軽微な被害にとどまり 早い段階での復旧 営業再開となったところが多い ライフライン : 早期に復旧一部地域において被害を受けたものの 早期に復旧となった 鉄道 : 豊肥本線の不通区間を除き 早期に再開豊肥本線以外の路線では 一時的に不通となった箇所があるものの 早期に復旧した 道路 : 一部において 通行止めあるいは通行規制が発生国道 212 号 やまなみハイウェイなど一部の道路において通行止めもしくは片側通行などの措置が取られている 物流 : 早期に復旧一時的に不足となった箇所があるものの 早い段階で復旧した 情報 : 早期に復旧一部で伝わりにくくなったものの 早い段階で復旧した 観光客の動向 宿泊客について 国内客は大幅な減少が続き 海外客はほとんど見られなかった 日帰り客について 国内客は 6 月に一部地域にて戻りがみられ 海外客は地域によって戻りの傾向が異なった 国内客は 福岡などの九州内が多い一方で 馴染み客 ( リピーター ) は遠方からも訪れている 海外客は 出身国 地域による差もみられる ( 台湾は戻りが早く 中国 韓国は遅い ) 被災者及び旅行者への対応 被災者に対しては 避難所設置のほか 宿泊施設や温泉施設にて被災者を受け入れたところもある 一時的に 復旧工事関係者やマスコミ等を受け入れた地域もある 各所からの情報収集及び被災者 旅行者への情報提供については HP FAX 通信ソフト等の様々な手段が活用されている 観光復興に向けた取り組み ( 政策 独自の取り組み等 ) 九州ふっこう割 (7 月以降 ) 中小企業等グループ補助金 などが活用されている 雇用調整交付金 については 活用されているところがある一方で 使いにくい との声もあった このほかにも 小規模事業者持続化補助金 県や市町村が発行する券面 金融機関の利子補填なども活用されている 独自の取り組みとしては イベントの予定通りの実施や新たなイベントへの取り組み 新聞広告や海外でのプロモーション クラウドファウンディングの活用などもされた

観光復興における課題 耐震補助の強化も必要である 情報の上手な収集 発信方法を検討する必要がある 特に 道路情報の一元化 ( 国道 県道 市町村道など ) は重要で 観光の視点に立った情報 ( 大型バスの通行の可否など ) が求められる 発信については 政府機関 ( 観光庁 政府観光局など ) から正確な情報を発信してほしい 災害に備えたリスク管理は重要だが 個々の施設では限界があるため 地域として取り組む必要がある また 他地域との連携も強化していく必要があり 今回 由布院温泉と黒川温泉は初めて連携事業に取り組んだ 避難所収容力 ( 住民及び宿泊客 ) が足りないところもある 3 被災影響限定エリア 被害及び復興状況 建物 : 特になし ライフライン : 特になし 鉄道 : 特になし 道路 : 他地域の道路事情による影響が一時的に見られた 物流 : 特になし 情報 : 特になし 観光客の動向 宿泊客について 国内客は減少するものの 徐々に回復する傾向がみられた 海外客は一部の地域を除いて回復が遅い 日帰り客については 国内客 海外客とも減少した一方で 海外のクルーズ客への影響はあまりみられなかった 国内客については 地域 ( 立地環境 ) により 九州からの観光客が減少したところと 九州外からの観光客が減少したところに分かれる 海外客については 韓国を中心に減少した 被災者及び旅行者への対応 被災者対応 ( 受入 ) などを行ったところはあるが 利用はされなかった 旅行者や宿泊者への情報提供は 宿泊施設が個別に行った 観光復興に向けた取り組み ( 政策 独自の取り組み等 ) 九州ふっこう割 (7 月以降 ) が活用されている 直接的な被害がないため その他の震災に関する制度の利用はみられない 独自の取り組みとしては イベントの予定通りの実施 国内外での PR などが行われた 観光復興における課題 復興 PR を行う場合 他市町村との連携も重要である 災害に備えたリスク管理は重要だが 財政的に厳しい 情報発信の内容も重要である ( マイナス面だけでなくプラス面の発信も必要である )

参考図 2016 年 4~6 月における九州各県の延べ宿泊者数の対前年伸び率 < 全宿泊者 > < 外国人宿泊者 > (%) 10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 熊本県福岡県佐賀県 鹿児島県宮﨑県 長崎県 大分県 (%) 40.0 20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 福岡県 鹿児島県佐賀県長崎県大分県宮﨑県 40.0 80.0 熊本県 50.0 2016 年 4 月 2016 年 5 月 2016 年 6 月 100.0 2016 年 4 月 2016 年 5 月 2016 年 6 月 出典 : 宿泊旅行統計調査 観光庁 2016 年の数値は第 2 次速報値 2015 年の数値は確定値を使用 3. 九州ふっこう割 の反響 今回の調査は 2016 年 4~6 月が対象であったため 7 月よりスタートした 九州ふっこう割 は正式には調査対象外となります しかしながら 実施前から注目度が高く またヒアリング調査を行ったのは 8 月 ~9 月だったこともあり 九州ふっこう割 の利用状況や活用における課題 問題点等についてもあわせて話を聞きました 特徴的な点は次のとおりです 九州ふっこう割 の利用状況について エリア区分を問わず 利用はとても多い 九州ふっこう割 を利用するため その直前 (6 月 ) の宿泊者の戻りが遅れた可能性がある 九州ふっこう割 活用における課題 問題点 掛け売り 方式であるため 一部の宿泊施設は財政的に苦しくなる 旅行会社との取引を行っていない宿泊施設の場合 効果を享受できない 交通が遮断されている地域の宿泊施設の場合 効果を享受できない 地域の事情に応じて割引率や期間などを独自に設定できるような 地域版の 九州ふっこう割 があれば理想的である その場合 旅行会社でなく 地域の組織 ( 観光協会 商工会議所など ) が扱えるようにしてほしい 割引率が高いため 制度終了後の跳ね返りが心配である 宿泊施設だけでなく 観光施設でも利用できると幸いである

4. 本調査において された主な課題 本調査において 観光復興を図るうえでの様々な課題が浮き彫りとなりました その中から 特に重要と考えられる項目について 以下に指摘します 1 観光に関するデータの整備観光客数 宿泊者数等のデータについては 国や地方自治体等を中心に整備が進められているが まだまだ不十分と言える 例えば 宿泊者数については データの入手 算出方法が地域により異なる場合があり また宿泊者の属性等を把握していないところもある このため データ整備を一層進める必要がある 2 適切な情報の収集及び発信地震発生後 自治体 観光関連団体 民間組織が それぞれの情報網やネットワークをもとに 情報収集及び発信を行った 但し 手探りでの対応となったところもあり リアルタイム情報の不足 HP 上における外部リンク先の添付対応 宿泊施設への対応依存など 情報の収集 発信が不十分な地域もみられた このため 緊急時に備えた明確な対応策や行政 民間の役割分担などを検討する必要がある 3 地域の状況に応じた政策 制度の実施地震による直接的被害の程度 ( エリア区分 ) により 宿泊施設等の事業者が特に求める政策 制度が異なる様子がうかがえた 1 被災中心エリア では建物の修復に関するもの 3 被災影響限定エリア では観光需要創出 ( 九州ふっこう割 など ) に関するもの 2 被災影響発生エリア では修復と需要創出の双方がそれぞれ求められている そのようななか 九州ふっこう割 については 一律よりも地域事情に応じた柔軟な運用が望まれている (2016.10.11 観光政策研究部牧野博明 )