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委員会活動報告 自動車技術展 人とくるまのテクノロジー展 2008 及び材料フォーラム報告 ( 社 ) 日本アルミニウム協会自動車アルミ化委員会 1. はじめに自動車技術会主催 2008 年春季大会は,5 月 21 日 ( 水 ) ~23 日 ( 金 ) の日程でパシフィコ横浜を会場として開催された 春季大会は, 学術講演会と自動車技術展 : 人とくるまのテクノロジー展とから構成されている 日本アルミニウム協会 自動車アルミ化委員会は, 最新の自動車技術や部品が展示される 人とくるまのテクノロジー展 2008 と, それに平行して開催される 自動車材料の最前線フォーラム~ 次世代技術への取り組み~ に参加し, 自動車のアルミ化や競合材に関連した最新の技術動向を調査した その概要を報告する 2.2. 展示概況全般的に, パワートレインの燃費改善に注力した展示や, 従来の内燃エンジンに対してエネルギー消費率を大幅に低減可能なハイブリッド車や電気自動車などが展示されていた エネルギーの開発など環境面, 安全面に配慮した車両や部品の展示が増加していた また, 最新の安全技術の紹介として, 館外では 2008 最新くるまの運転教室 が実施された スリップしやすい雪面とほぼ同じ状態 ( 低ミュー路 ) を再現したマット上での実践的な運転操作のデモンストレーションや, ブレーキやハンドル操作の見学, 体験が可能であった 実車展示の様子を写真 1~4に示す 2. 人とくるまのテクノロジー展 2008 第 17 回目の開催となった自動車技術展 人とくるまのテクノロジー展 2008 には 392 社 *1) ( 昨年 388 社 ) の出展があり, また入場者数は 70,040 人 ( 昨年 65,386 人 ) と何れも昨年を上回っていた *1) 自動車 :15 社, 部品 :112 社, 材料 :48 社, 試験計測機器 :118 社,CAE ソリューション :36 社, カーエレクトロニクス :11 社,RD 出版 団体 :52 社 2.1. 概要自動車を取巻く環境は年々厳しくなり, 地球温暖化や資源枯渇などへの対策のため, 排出ガスの抑制, 燃費向上が急務となっている 各国燃費規制の強化が図られることになっており, 欧州では EU 域内で販売する新車から排出される CO 2 排出量を 2012 年までに 120g/km 以下に抑えることが求められている 日本では,2015 年度の燃費規制が 2004 年度出荷台数ベースの平均値で 23.5 % の燃費改善 となっている 目標をクリアするために, 車体の軽量化やパワートレインの燃費改善, 代替燃料やエネルギーの開発などが必要である また, 更に安全性能の向上や快適性, 居住性も求められ, 各種装備の装着による車両重量増を補うことも合わせて行わなければならない このような背景の中, 鋼材からの材料置換による車体軽量化として, アルミニウムやマグネシウム, 樹脂などが採用されている また, 今後も更の採用が増加していくものと考えられる 一方, より高強度化したハイテン材の開発も進んでおり, 車体骨格部への採用が急速に進んでいる 写真 1 プラグインハイブリッド車 ( トヨタ自動車 ) 写真 2 次世代電気自動車 MIEV ( 三菱自動車 )

写真 3 キャパシタ一体型鉛 2 次電池搭載車 写真 4 ハイブリッドカー (Efficient-C) ( 欧州先進鉛蓄電池開発組合 ) ( リカルドジャパン ) 2.3. アルミニウム部品燃費低減や安全装備などの装着に伴う車両重量増への対策として車体の軽量化が必須であり, アルミニウムの使用が増加している 日本アルミニウム協会統計資料によれば,2007 年度自動車向けアルミニウムの需要は約 180 万トンであり, 2006 年度と比較して 3% 程需要増となっている 素材別で見れば, ダイカスト 鋳物部品 ( エンジンやサスペンション関連部品など ) がその内の 3/4 を占めるているが, 板材 ( フード, フェンダー, ドアなど ), 押出材 ( バンパーリインフォースメント, ドアビームなど ) も軒並み増加している 例年通り, エンジン関連部品やサスペンション部品, 熱交換器などは展示されていたが, その数は年々減少傾向にあり, また, 新技術や新製品など展示はほとんど見当たらなかった アルミニウム関連部品の出展内容を表 1 及び写真 5 ~30に示す 表 1 アルミニウム関連部品の出展内容 写真 部位 サンプル名 材料 技術 特徴 展示会社 ( 応用例 ) 5 シャシー フロントサフ フレーム リフ ホ ント 及び各種接合技術 接着アルミ構造技術 ロータス ( フ ロシ ェクト イーク ル ) 6 ボデー フート インナー アルミ薄板連続鋳造 高強度, 高成形性 日本軽金属 ( 株 ) 7 サスペンション ラシ アスロット 押出材 + 摩擦圧接 軽量化, 継手効率向上 日本軽金属 ( 株 ) 8 サスペンション リンクホ ール タ イカスト 軽量化, 高性能化 ( ホ ールシ ョイント一体型 ) THK 9 エンジン関連 オイルホ ンフ 軽量 高効率 低騒音 日立製作所 10 エンジン関連 オイルホ ンフ カハ ー 超高速射出ダイカスト 軽量化, 鋳巣レス化 アイシン高丘 11 エンジン関連 アルミサイト ハウシ ンク 軽量化, 低燃費化 マツタ 12 エンジン関連 シリンタ ライナー アルホ ント 処理 小型化, 軽量化 マーレフィルターシステムス 13 エンジン関連 リテーナー 冷間鍛造,4xxx 系改良合金 軽量化, 機械加工レス フシ オーセ ックス 14 ヒートインシュレーター コルケ ートインサルカハ ー エンホ ス加工 +フ レス成形 軽量化, 防音, 遮音 ニチアス 15 熱交換器 押出多穴管 高温強度, 耐食性 三菱アルミ 16 熱交換器 フューエルクーラー アルミ押出成形 軽量化 DANA 17 熱交換器 オールアルミラシ エター オールアルミ一体ロウ付け 軽量化, コストタ ウン ティラト 18 軸受け, 継手 軸受け 鉛フリー 耐疲労性 耐摩耗性 耐食性向上 大豊工業 19 バッテリー ハ ッテリーケーフ ル 軽量化, 高性能化 レオーニ 20 バッテリー アルミ電解コンテ ンサ 高温度化, 高電圧化, 薄型設計 ニチコン 21 装飾 ヒ レットク リル用フィン CNC マルチヘ ンタ ー曲げ 複雑な 3 次元形状, 量産期間短縮 群馬アルミ 22 モシ ュール フロントエント モシ ュール モシ ュール化 軽量化, 各種性能向上 ヒュンタ イモーヒ ス 23 各種 各種アルミタ イカスト部品 高強度 高密度アルミタ イカスト 寸法精度向上 鋳巣減少 京浜精密工業 24 各種 各種アルミ構造材 高剛性, フレキシフ ル対応 SUS 25 シャシー 二輪車体フレーム 燃料電池二輪車 小型化, 軽量化, 高性能化 ヤマハ (FC-Dii)

A 部拡大 A 部 写真 5 フロントサフ フレーム写真 6 フート インナー写真 7 リアラシ アスロット ( ロータス フ ロシ ェクトイーク ル ) ( 日本軽金属 ) ( 日本軽金属 ) 写真 8 リンクホ ール写真 9 オイルホ ンフ 写真 10 オイルホ ンフ カハ ー (THK) ( 日立製作所 ) ( アイシン高丘 ) 写真 11 アルミサイト ハウシ ンク 写真 12 シリンタ ライナー写真 13 リテーナー ( マツタ ) ( マーレフィルターシステムス ) ( フシ オーセ ックス ) 写真 14 コルケ ートインサルカハ ー写真 15 押出多穴管写真 16 フューエルクーラー ( ニチアス ) ( 三菱アルミ ) (DANA)

写真 17 ラシ エター 写真 18 鉛フリー軸受け 写真 19 ハ ッテリーケーフ ル ( ティラト ) ( 大豊工業 ) ( レオーニ ) 写真 20 アルミ電解コンテ ンサ 写真 21 ヒ レットク リル用フィン 写真 22 フロントエント モシ ュール ( ニチコン ) ( 群馬アルミ ) ( ヒュンタ イモーヒ ス ) 写真 23 各種アルミタ イカスト部品 写真 24 アルミ構造材 写真 25 燃料電池二輪車 (FC-Dii) ( 京浜精密工業 ) (SUS) ( ヤマハ ) 2.4. 各種競合材関連部品本年度も高強度ハイテン材を使用したボデー部品, マグネシウムやチタン合金を使用したエンジン部品が展示されていた また, その中でもひときわ目を引いていた材料は樹脂, 特に CFRP であった CFRP( 炭素繊維強化プラスチック ) はアルミの約 2 分の1の重量であり, 比強度, 比剛性がアルミより優れている 現在, 航空機やレーシングカー, ゴルフクラブなどに多用されているが, 最近は自動車部品として, プロペラシャフト, スポイラーなどに展開されている しかし, たいへん高価な材料であるため自動車用構造部材に適応していくためには, 低コスト化が最大の課題であるといえる 現状, アルミの最大のライバルは高強度ハイテン材であると考えられるが, 今後 CFRP の低コスト化が進めば, 大変脅威である 競合材関連部品の出展内容を, 表 2 及び写真 26~ 34に示す

表 2 各種競合材関連部品 写真 部位 サンプル名 材料 技術 特徴 展示会社 ( 応用例 ) 26 シャシー CFRP 成形品 CFRP 軽量化, 高剛性, 高強度 童夢カーホ ンマシ ック 27 シャシー 軽量車体構造 CF 予備成形済み複合構造 軽量化, 低コスト化 IOM3 28 シャシー ト アヒ ーム ハイテン, タ イクエンチ工法 軽量化, 高強度化 アイシン高丘 29 シャシー サイト フレーム ハイテン 軽量化, 高強度化 アルセロールミタル 30 ボデー ファンタ ー 樹脂, フ ラケットとの一体成形 軽量化, 部品点数削減 三菱自動車工業 31 ボデー エアハ ック コンテナ ホ リアミト 樹脂アクロン PA6 軽量化, 低コスト化, 高衝撃特性 テ ィーエスエムシ ャハ ン 32 サスペンション ロアアーム 高靭性ヘ イナイト非調質鋼 高強度, 高靭性, 低コスト化 愛知製鋼 33 エンジン関連 各種チタン部品 チタン合金 軽量化, 高強度, 高耐食性 大同特殊鋼 34 シャシー 二輪車体フレーム CF マク ネシウムタ イカスト 軽量化, 高強度化, 高耐食性 ヤマハ 写真 26 CFRP 製シャシー 写真 27 CF 予備成形複合構造 写真 28 ト アヒ ーム ( 童夢カーホ ンマシ ック ) (IOM3) ( アイシン高丘 ) 写真 29 サイト フレーム 写真 30 フェンタ ー 写 31 エアハ ック コンテナ ( アルセロールミタル ) ( 三菱自動車工業 ) ( テ ィーエスエムシ ャハ ン ) 写真 32 ロアアーム写真 33 各種チタン部品写真 34 二輪車体フレーム ( 愛知製鋼 ) ( 大同特殊鋼 ) ( ヤマハ )

3. 材料フォーラム世界的な環境意識の高まりの中 一方エネルギー源としての石油の高騰 先細りの中 環境と省エネ 安全などの対応技術と性能の向上を両立させる次世代技術開発への取り組みに焦点を当て 材料フォーラムが企画された 自動車アルミ化委員会は本年も 自動車材料の最前線フォーラム- 次世代技術への取り組み-( 企画 : 材料部門委員会 ) に協力し, アルミニウム業界から2 件の話題提供を行った 3.1. これからの自動車材料を考える : 東雄一 梅野好和 井田誠 ( 本田技術研究所 ) これからの自動車技術の課題は地球環境保護が最も重要である 今後の技術開発課題として構造や材料の最適化などがあり 自動車業界の取り組みだけでは解決が難しくなってきている さらには 自動車業界の海外生産拡大 生産拠点の広がりに対応した素材の入手性確保も大きな課題である 自動車メーカーが今までのように独自で開発を続けても解決できない課題が多く 今後は素材メーカーとの強い連携を保った開発体制が重要になると考えられる 3.2. 新型衝突安全性能評価システムの開発 : 田村憲司 中澤嘉明 田坂誠均 吉田経尊 川田浩二 ( 住友金属工業 ) 素材メーカーには 最適な車体構造になるための材料の利用方法を提案することが求められている 一方 簡易にかつ安価に部品の性能を評価する試験手法へのニーズが急速に高まってきている 車体の骨格設計に直結する衝突安全性能の評価は重要であり そのニーズに合致する試験装置が落錘試験装置である 落錘試験装置の開発状況と高速度 大規模構造体の試験事例を紹介し さらに CAE を活用した取り組みについて報告された 3.3. 自動車用材料の次世代溶接 接合技術の動向 : 小野守章 池田倫正 片岡時彦 沖田泰明 (JFE スチール ) 車体の軽量化を目的として鉄鋼材料の高強度化が進められてきた また 車体の高強度化 ( 衝突強度 剛性 ) を目的として接合 ( 結合部 ) 強度の向上を可能とする接合技術が要求され レーザ溶接法等の新溶接 接合法が多用されるようになってきた 一方 車体の軽量化と走行性能向上の観点から アルミ合金の適用も徐々に進みつつあり 鉄鋼材料とアルミ合金との異材接合技術も必要となる 今後は高強度化を目的とした材料開発 溶接 接合性を念頭に置いた材料開発 高い接合強度を確保できる接合技術の開発が必要である 3.4.HEV 用電磁鋼板への要求性能と最適活用 : 久保田猛 ( 新日本製鐵 ) HEV 駆動モータの高性能化 すなわち 高効率化 小型軽量化に向け その鉄心素材である電磁鋼板には多岐に亘る特性が要求される これに応えるべく高効率無方向性電磁鋼板シリーズや高張力電磁鋼板シリーズ等が開発された 一方 HEV 駆動モータの鉄心設計や鉄心製造工程 さらには HEV 走行モードに応じた最適電磁鋼板の選定が重要であり 特に モータ鉄心における鉄損ビルディングファクタの低減はモータ性能向上に大きく寄与する重要技術である 3.5.NI 法による自動車向け足回り部品の開発 : 赤瀬誠 生井亮 宇井剛昌 ( アーレスティ ) 自動車の足回り部品のアルミ化が進められている中で当社では ダイカストの生産性を低下させずに信頼性の高い鋳物を得るために 粉体離型剤を用い金型との熱伝達を抑制し 溶湯を直接金型キャビティに充填し 高圧下で凝固させる新しい充填システム (NI 法 ) を開発し 実用化した NI 法によって足回り部品としてサスペンションアームに採用され 従来の鉄製品と置き換えることにより 約 30% の軽量化が実現できた

3.6. アルミと鋼の接合の最近の技術動向 : 福田敏彦 熊谷正樹 難波圭三 ( 住友軽金属工業 ) アルミと鋼の異種金属接合技術の研究例は ここ数年で飛躍的に伸び 技術の進歩も目を見張るものがある しかし 接合できるようになって 諸性能を評価できる状態になる 実用化を想定した場合 アルミと鋼との接触腐食 アルミと鋼との線膨張係数差による熱ひずみ 更には 分別 リサイクルなど 今後も検討すべき課題は山積みである つまり 健全で信頼性の高い継手をもって ようやく 実用化検討を着手できる状態であることに過ぎず 今後も種々の接合方法に関して検討を進めていく必要がある 3.7. 省燃費型自動車タイヤ用 SBR の開発動向 : 加藤清雄 吉田淳一 ( 旭化成ケミカルズ ) タイヤ材料に対する転がり抵抗の更なる低減化に対するタイヤメーカーや自動車メーカーの期待は大きい 近年の分子設計から高機能フィラー設計 配合技術 形態観察技術に至るまで着実な進歩を遂げており タイヤ材料開発に大きく貢献することが期待されている また 石油資源の枯渇への懸念 モノマー価格の高騰や世界的なタイヤ原材料の不足を背景に 天然素材を利用したタイヤ材料も種々提案 上市されており コストが見合えば拡大も十分にあり得ると考えられる 3.8. ポリプロピレン (PP) の開発と自動車材料への応用 : 藤田祐二 ( 日本ポリプロ ) ポリプロピレン (PP) は最軽量のプラスチックであることに加え 優れた機械物性 成形加工性を有し 更にはリサイクル特性等の環境負荷の観点から生活関連材料から工業材料まで幅広く用いられている 特に自動車材料としてはそれら特性を反映し多彩な用途で採用されている 今後 自動車材料としての用途を拡大させるためには PP 自体の分子構造制御技術の向上に加え 複合化技術 成形加工技術の向上も必要である 3.9. 自動車用複層塗装鋼板の耐チッピング性に関する研究 - 衝撃応力の伝播と破壊 - : 原義則 ( 関西ペイント ) 塗装鋼板が受ける衝撃には衝突物質と直接接触する部位が受ける直接衝撃と その衝撃エネルギー複層塗幕を放射状に伝わる伝播衝撃の 2 種類の形態があることを明らかにし それぞれの衝撃を定量的に評価するために 直接衝撃に対する吸収特性は分割ホプキンソン棒法 伝播特性に対しては落錘試験による伝播ひずみ測定により各々評価することが有効であることを示した 本手法を適用し 自動車用複層塗膜を検討資料とし エネルギー吸収層の有無による衝撃応力吸収特性について解析を行った チッピングプライマーを適用した塗膜系は 圧縮衝撃 ( 直接衝撃 ) に対してはこの層での凝集破壊により高いエネルギー吸収を示し 伝播衝撃に対しては優れた制振特性を示すことが明らかになった 4. まとめ地球温暖化問題並びに昨今の石油高騰を受けて 自動車の低燃費化への要望が一段と強くなってきている 低燃費化のためには車体の軽量化が一つの手段であり, 軽量材料の適用による車体の軽量化が進められてきている 軽量材料としてアルミニウムの適用が検討されているが 競合材であるハイテンやマグネシウム 樹脂の適用も拡大している このような状況の中で アルミニウムの適用を拡大させていくためには アルミ部品のコスト削減が必要である 低コスト材料の開発のみならず 材料削減や歩留まり向上に寄与する一体成形技術の開発も必要である 今後は, 今まで以上に 材料技術や成形技術の開発, 及びそれらを組み合わせた技術開発が必要であると考えられる 以上