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は, 各自動車メーカーのシステム設計に最終的な 安全性の確保が委ねられているものの, 電池パッ クやシステムの設計は, セルレベルでの基本的安全性を前提としている. 通常, 自動車用セル モ ジュールは, パック, システムとは異なるメーカ ーが製造しているため, セルレベルでの の標準化は重要性が高い. このため,JARI 電池 標準化 WG は,2013 年 2 月に IEC 62660-3(EV 用 LIB セル ) を新規提案し, 日本案に基 づく安全性試験との標準化に取り組む事 とした.IEC 62660-3 では,EV 用リチウムイオ ン電池セルの基本的な安全性を確保するための とを規定している. 試験項目と は, 基本的には IEC 62660-2( 信頼性 誤用試験 ) を引用しているが, 新たに, 内部短絡試験を追加するとともに, 一部の試験条件を安全 性試験に適した内容に変更している. また, セル の安全使用のための適用範囲に関する附属書な どを追記している ( 表 1). この規格案は 2014 年度内に CDV( 投票用委員会原案 ) への移行を目 指している. IEC 62660-3 の審議において特に懸案となって いるのが内部短絡試験法である. 日本は, セル製 造時の異物混入に起因する内部短絡に対する安全 性試験として,IEC 62133, IEC 62619,JIS C 8715-2 と同様の, ニッケル小片を挿入し加圧する 試験法 ( いわゆる, 強制内部短絡試験 ) を提案している. セルの内部短絡の原因は, 異物混入, 銅 やリチウムの樹枝状結晶, 不適切な使用環境など 様々であるが, 異物混入以外の原因に起因する内 部短絡は振動 衝撃 圧壊 過充電 過放電試験 によって安全性を確認する事ができるとされてい る. このため, 日本は IEC 62660-3 で規定する内 部短絡試験の目的は, 製造時の異物混入に対する 安全性確認に絞るべきであり, そのための試験方 法としては, 強制内部短絡試験が最も適切である と主張している. これに対して, ドイツ, フラン ス, 米国からは, 強制内部短絡試験に代わる内部 短絡試験法として, 先端が丸い釘 ( ブラントロッド ) で加圧する圧入誘導内部短絡試験や, セラミ ック釘による釘刺し試験などが提案されている. これらの試験法は, 最近検証が始まったところで あり, 異物混入による内部短絡の模擬試験として の妥当性や再現性, 試験データの不足などに課題 表 1 IEC/CD 62660-3 の主な規定項目 ( 審議中 ) 試験項目 振動 機械的衝撃 圧壊 耐熱 温度サイクル 外部短絡 過充電 強制放電 内部短絡 がある一方, 試験法として比較的実施が容易であ る点などに特徴がある. 内容 破裂なし 破裂なし 但し, 圧壊速度 6mm/ 秒以下 但し, 加熱終了後 6 時間観察 IEC 62660-2(6.2.2.1.1) 準拠 破裂なし 但し, 試験終了条件は最高電圧の 120% または SOC 130% の何れか早い方 SOC 0% から 1It で放電, 試験終了条件は電圧 25% 以下または放電 30 分 破裂なし IEC 62619 準拠 ( 但し, 一部追記条件を検討中 ) または, 一定条件を満たした代替試験法 ( 検討中 ) 自動車用セルは, 個別のパック システム設計の違いに対応して最適化されている場合が多く, セル自体の設計も多様である. 自動車用の大形 LIB の安全性試験は各国ともに経験が浅く, 多様 なセルの基本的な安全性の評価を行うために, ど - 2 -

の様な標準試験法を規定すべきかは難しい課題で ある. 当然の事であるが, 既存の製品が不当に不 安全のレッテルを貼られたり, 逆に安全性が適切に評価できないような試験法が標準化される事の 無いよう, 議長国として慎重に議論を進めている ところである. なお, 現在審議中の産業用大型リチウムイオン 電池 IEC 62619 においてはセルの強制内部短絡 試験またはシステムの熱連鎖試験の選択式規定と なっている. IEC 62660-3 でも, これと同様に セルの内部短絡試験の代替試験としてパック等の 熱連鎖試験を認めるかどうかについては, 現在意 見が分かれており, 検討が続けられている. 自動車用 LIB パック システムの熱連鎖試験法 については, 日本を含め各国で検証段階である事から, 上述の ISO 12405-3(EV 用 LIB パック システム ) の初版では議論は行われず, 試験項目には含まれていない ( 表 2). しかし, 内 部短絡に起因する類焼の防止は, パックの安全要 件としての重要性が高く, セルの内部短絡試験と ともに早急な標準化が求められている. このため, 日本の要請に基づき,2014 年 11 月から ISO 12405-3 第 2 版の審議が開始し, 新たに熱連鎖試 験が検討される事となった. IEC 62619 及び JIS C 8715-2 においては, セ ルの内部短絡試験またはシステムの類焼試験の 何れかを熱暴走試験として実施するよう規定しているが, 類焼試験における熱暴走の発生方法に ついては, 例として, 抵抗加熱器, 熱伝導ヒータ ーなどでモジュール内の一つのセルを加熱する 方法を示すに留めてある.ISO 12405-3 の第 2 版においては,IEC 62619 を参考に自動車用電 池システムの熱連鎖試験法が検討される予定で あるが, 自動車用や産業用のような大型のリチウ ムイオン電池の熱連鎖試験については, 公開され た試験データが少ない事から,JARI における試 験結果などに基づき, より具体的な標準試験を提 案していく予定である. なお,ISO 12405-3 は ISO 12405-1( 高出力用 LIB パック システム試験法 :2011 年初版発行 ) 及び ISO 12405-2( 高エネルギー用 LIB パック システム試験法 :2012 年初版発行 ) の試験法を多 く引用している事もあり, これら三つのパートに ついて今年同時に改定審議が開始した. 試験項目 振動 表 2 ISO 12405-3( 初版 ) の主な規定項目 機械的衝撃 結露 熱サイクル 内容 パート 1 2 参照, または顧客指定の方法 パート 1 2 参照, または顧客指定の方法 パート 1 2 参照 車両衝突時の内部負荷 パート1 2 参照但し, 試験温度 時間変更可 新規規定 ( 実質的にECE R100-2と整合 ) ( 車両試験の場合は各国規則に従う ) 車両衝突時の接触力 新規規定 ( 実質的にECE R100-2と整合 ) ( 車両試験の場合は発火 爆発なし ) 浸水 - 火炎暴露 短絡試験により確認 新規規定 ( 実質的に ECE R100-2 と整合 ) 短絡 過充電保護 爆発なし パート 1 2 参照但し, 抵抗値, 試験温度変更可 パート 1 2 参照但し, 試験温度変更可 過放電保護 パート 1 2 参照但し, 試験温度変更可 熱制御 / 冷却ロス 新規規定 ( 実質的に ECE R100-2 と整合 ) 2. 3 ニッケル水素電池の EV の駆動用電池は, 現在リチウムイオン電池 が主流となってきているが, ハイブリッド自動車 については, 現在でもニッケル水素電池を搭載す る車両は多い. リチウムイオン電池に比較して出 力 エネルギー密度が低い分, 安全性も高いと言 - 3 -

えるが, 国連基準 ECE/R100-2 などでは, 電池 種に関係なく, 電池パックとして単一の とが規定されている. 国際規格においては, 電池の特性に応じたと要件を規定す るのが望ましいが, 自動車用ニッケル水素電池の については現状では国際規格が存在し ない. 一方で, 中国では自動車用ニッケル水素電 池のを規定する QC/T 744-2006 が改定 中であるが, と要件は関連する国際規 格 基準を参照して独自に規定している. このた め,IEC 62660-3 の提案に併せて,2013 年 5 月 にニッケル水素電池についても JARI 電池標準 化 WG から適切なとを提案し, 国際的な標準試験を規定する事により, 今後の各 国規格 基準の調和に役立てる事とした. この新規提案は,IEC 61982-4 として, 現在, 日本を議 長国とする IEC/TC21/JWG69Pb-Ni 4 において審 議中である. IEC 61982-4 では,EV 用ニッケル水素電池 ( セ ル及びモジュール ) の基本的な安全性を確保する ためのとを規定している. 試験 項目とは, IEC 61982, IEC 62660-3, ECE/R 100-2 など関連規定を参照した上で, ニ ッケル水素電池に適した試験条件を規定してい る. は全ての試験について発火 爆発が 無い事としている. IEC 62660-3 とは異なり, 内部短絡試験は規定していない. 本件は 2015 年度の発行を予定して いる. 3. 充電関連規格の進捗 3. 1 全般 EV 充電システムに関しては,IEC/TC69(JARI が国内審議担当 ) を中心に, 現在約 30 件の国際規 格案の審議が行われている.EV 用車載蓄電池の充 電方式には, コンダクティブ充電, 電磁誘導や電磁 界共鳴などによる非接触充電 ( インダクティブ充電, ワイヤレス充電 ), 電池交換の 3 種類があり, 現在 それぞれの方式に関する国際規格案の審議が行われている. 現状では実用化レベルとコスト面からコ 4 自動車用電池 ( リチウムを除く ) を担当する審議体で IEC/TC21,IEC/TC21/SC21A,IEC/TC69 のジョイントワーキンググループ. 議長は,JARI 電池標準化 WG 委員の西村尉辞氏 (PEVE). ンダクティブ充電が主流であり, コンダクティブ充 電に関する基本的な規格群である IEC 61851 シリ ーズ ( 電気自動車のコンダクティブ充電システム ) および IEC 62196 シリーズ ( 電気自動車のコンダク ティブ充電用プラグ コンセント 車両コネクタ 車両インレット ケーブル ; 総称 充電アクセサリ ) にその関連要件が規定されている. ワイヤレス充 電については IEC 61980 シリーズ, 電池交換につ いては IEC 62840 シリーズで審議中である. また, 車両 グリッド間の通信インタフェースについて は ISO/IEC 15118 シリーズに規定されている. 3. 2 直流 (DC) 充電システム 電気自動車 (BEV) の普及促進に重要な意味 を持つ直流充電システムに関しては, 実用化において各国に先行している日本が国際標準化を主 導してきた.2010 年に,JARI 電池充電標準化 WG で原案を作成した 3 件の国際規格案 - IEC 61851-23(DC 充電ステーション要件 ),IEC 61851-24(DC 充電制御デジタル通信 ),IEC 62196-3(DC 充電車両カプラ寸法互換性 )- を 提案し, 日本で実用化された直流コンダクティブ 充電システム (CHAdeMO) の国際標準化と, 直 流充電ステーションの基本的要件の統一を目指 した.IEC 61851-23 及び IEC 61851-24 は,2014 年 3 月に,IEC 62196-3 は 2014 年 6 月にそれぞ れ発行し, 当初目的の通り, 日本の直流充電システムの国際展開の基礎となる国際標準化を達成し た. これらの国際規格では日本の急速充電システ ムを含む 3 つのシステム ( システム A B C) の 要件を規定している. システム A は日本で実用化 された DC 充電システム (CHAdeMO) で,IEC 62196-3/ 形状 AA の車両カプラを使用する. シス テム B は中国で規格化された充電システム, シス テム C は米国とドイツで開発された充電システム CCS(combined charging system) で, 直流 交 流結合型の充電インタフェースを使用する. 通信 方式はシステム A,B は CAN 通信, システム C は PLC 通信である. また, これら 3 件の国際規格に対応する JIS も JARI が原案作成団体となって作成し,JIS D 61851-23,JIS D 61851-24,JIS D 62196-3 とし て, 共に 2014 年 10 月に発行した. これらの JIS は基本的に対応する IEC 規格と同一の内容であ - 4 -

り, 日本市場における技術の公平性の観点から, 日本のシステムを含む 3 つのシステムを併記して いる. なお, 欧州における対応規格 (EN 規格 ) ではシステム A と C が規定されており, システム B は適用外となっている. 直流充電に関する規格整備は上記の通り基本的 に完了したが,IEC 61851-23 については, 初版 で保留となった事項の技術的検討を行うため, 本 年 11 月から, 日本を議長国とする IEC/TC69/MT5 5 において, 引き続き第 2 版の審議 を開始した.IEC 61851-23 では, 充電ステーシ ョンの機能と安全性確保のために満たすべき要件 を規定しているが, 初版では各要件に対する製品 の適合性を確認するためのについては, 一部保留となっていた. 当該規格には上述の通り, 日本のシステムを含む 3 つの充電システムが規定 されている事から, 適合性試験についても各シス テムについて個別に検討し, 共通試験とシステム 別試験を規定する必要がある. 日本のシステムに ついてはチャデモ協議会において概ね検討済みで あったものの, 特に独 米提案のシステム C につ いては製品化の初期段階であったため, 適合性試 験については未検討であった. このため, これら は初版には規定せず, 第 2 版で検討の上 反映させる事となったのである. 充電ステーショ ンの基本的な性能 安全性や相互運用性を確保す るための適合性試験については, 早期標準化への要望が高い事から, 独立した技術仕様書 (TS) と して, 暫定的に第 2 版に先行して発行する方向で 検討中である. なお,TS は最終的に第 2 版に統 合され, 取り下げられる予定である. IEC 61851-23 の第 2 版においては, デュアル 充電器の要件も検討予定となっている. デュアル 充電器とは, システム A とシステム C の双方に対 応し, それぞれの車両コネクタを備えた充電器で ある. 特に欧州では, 既に各国で導入が拡大して いる日産リーフを始めとする日本の電気自動車と, 今後導入が進むとみられるドイツ等の電気自動車 の双方に対応する充電器への要望が高く, これに応える形でデュアル充電器の製品化と整備が始ま っている. 両システムには共通部分も多く, 部品 5 IEC 61851-23 及び IEC 61851-24 の改定を担当するメンテナンスチーム. 議長は Serge Roy 氏 ( チャデモ協議会 ). 共用によるコスト面での利点もあると言われてい る. 欧州全体では 2014 年末までに約 720 台の CCS 対応充電器の設置が計画されているが, その大半はデュアル充電器となる見込みのようである. また, デュアル充電器は通常一度に 1 台しか充電 できないが, 同時に 2 台充電できるタイプも検討 されており, システム A, システム C の両要件と は別に, 独自の機能 の検討が必要とさ れている. このため,IEC 61851-23 の第 2 版で は, デュアル充電器の要件についても検討が行わ れる予定である. さらに, 逆潮流, 双方向充電や複数車同時充電 などに対応した直流充電ステーションやポータブ ル式直流充電器なども, 第 2 版の新たな検討項目 として挙げられている. また,IEC 61851-23 の初版は IEC 61851-1 の第 2 版を引用している事か ら, 現在審議中の IEC 61851-1 第 3 版の発行に合 わせて, 構成, 用語などの整合も行っていく予定 である. なお, 直流充電インタフェースについては,IEC 62196-3 が規定する 4 形状 ( 形状 AA,BB,EE, FF) に加え, 保留となっている 2 形状 ( 形状 CC, DD) がある. これらは, システム C に対応し, 交流充電インタフェースであるタイプ 1, タイプ 2(IEC 62196-2 参照. タイプ 1 は日 米提案形 状 ) を直流充電に適用するものである. 直流と交 流でピンが兼用される事から, 安全性分析が課題となっており, 両形状を技術仕様書 IEC/TS 62196-3-1 とする事を目指した米国の新規提案は, 2014 年 6 月に否決された. 本件は 10 月に再提案 されているが, 実用化, 製品化が行われていない 現状では, 今後の見通しは不透明である. 4. まとめ EV の普及拡大は各国共通の目標であり, 国際 標準の場においても, システムや充電インタフェ ースの部分的な違いはあるものの, 各国協調して 国際規格の整備に取り組み,EV 普及の基礎とな る国際標準化が進捗している. JARI では, 日本が先行するリチウムイオン電 池や直流充電分野を中心に, 国際標準化を主導す るとともに, 電池 充電関連規格案への日本の技 術 経験の反映と課題解決により国際標準の適正 化への取り組みを続けている. - 5 -

2014 年には,JARI 電池充電標準化 WG におい て原案を作成した直流充電に関する 3 件の国際規 格 (IEC 61851-23,IEC 61851-24,IEC 62196-3) が発行した. また, これらに対応する JIS (JISD 61851-23,JISD 61851-24,JISD 62196-3) が, JARI の DC 充電システム JIS 原案作成委員会に おいて作成され, 発行した. JARI 電池標準化 WG が原案を作成した国際規 格 2 件 (IEC 62660-3,IEC 61982-4) について は, 議長国として審議を主導し, 来年度の発行を 目指す. なお, 今回紹介した標準化活動の内,2012 年度 の活動は経済産業省 ( 三菱総合研究所受託 ) 新エ ネルギー等共通基盤整備促進事業 などの一環として実施された. 御支援御協力頂いた関係各位に 心より謝意を表する. 参考文献 1) 高橋雅子, 電動車両用電池 充電に関する国際標準化動向,JARI Research Journal 2012-02-03 (2012) 2) 高橋雅子, 電動車両用電池 充電に関する国際標準化の進捗, JARI Research Journal 2013-07-05 (2013) - 6 -