問 1 憲法の基本原理に関するア ~ オの記述のうち 妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか ア. 法の支配とは 国家作用が行われる形式や手続きを示すにすぎない形式的な概念である イ. 国民主権は 国家権力の行使を正当化するものであると解すると 憲法に明文のない国民投票制度などの直接民主制を採用することも 法律や条例を制定することによって 無条件に許される ウ. 憲法 9 条において禁止されている戦力とは わが国内に駐留する全ての戦力を指し 外国の軍隊もここにいう戦力に該当するのが判例である エ. 基本的人権は 権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶべきものであり 在留の権利も保障されているとするのが判例である オ. 憲法は 栄典に伴う特権の禁止 貴族制度の廃止 普通選挙の保障 夫婦の同等の権利と両性の本質的平等などの規定を設け 平等原則の徹底を図っている 1. オ 2. ア オ 3. イ ウ 4. ウ エ 5. エ オ
問 2 表現の自由に関する次の記述のうち 判例に照らし 妥当なのはどれか 1. 取材の自由は 報道の自由とともに憲法 21 条から直接導き出される権利であり 国民の知る権利に資するため 報道の自由と同程度の保障を受ける 2. 憲法 21 条 2 項に規定される検閲は 表現内容が真実でなく またはもっぱら公益を図る目的でないことが明白であって かつ 被害者が重大で著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは 例外的に許される 3. 反論権は マス メディアの表現の自由と衝突するものであるため 表現の自由からただちに認められるものではないが 憲法 21 条の精神に照らし 十分尊重に値する 4. 報道機関の取材が国家公務員法の禁ずる秘密漏示のそそのかしに当たるとしても 真に報道の目的からのものであり 手段 方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは 正当な業務行為として適法である 5. 表現の自由は憲法に保障された基本的人権であるから 小説の出版により 私人に重大で回復困難な損害を被らせるおそれがあっても 憲法に明文のない プライバシーの権利の侵害を理由に出版の差止めを認めることはできない
問 3 衆議院と参議院に関するア ~ オの記述のうち 妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか ア. 憲法は 国会の構成について衆議院と参議院の二院制をとり 衆議院の優越を認めているが 衆議院にのみ認められている権能には 内閣不信任決議権と予算先議権の二つがある イ. 衆議院で可決し 参議院でこれと異なった議決をした法律案は 衆議院で出席議員の3 分の2 以上の多数で再び可決した時に法律となるが 当初の衆議院の可決が出席議員の3 分の2 以上であった場合は 参議院で否決された時に法律となる ウ. 参議院の緊急集会でとられた措置は臨時のものなので 暫定的な効力を有するにすぎず 次の国会開会の後 30 日以内に 衆議院の同意がない場合には その効力を失う エ. 内閣総理大臣の指名について 参議院において衆議院と異なる議決を行った場合 衆議院で出席議員の 3 分の2 以上の多数で再び可決した時に 衆議院の議決が国会の議決となる オ. 国会の会期延長について 両議院の議決が一致しない場合または参議院が議決しない場合には 衆議院の議決したところによる 1. ア イ 2. ア オ 3. ウ エ 4. ア イ オ 5. ウ エ オ
問 4 行政上の義務履行を確保する手段に関する次の記述のうち 妥当なのはどれか 1. 行政代執行とは 義務者が義務を履行しない場合に 行政機関がその財産に強制を加え 義務者に代わって義務を実現する手段であることから 代執行を行う場合には 裁判所から代執行令書の交付を受けなければならない 2. 行政罰とは 行政上の義務を相手方が履行しない場合に 行政機関が一定の期限を示して過料を科すことを予告し その期限までに義務が履行されない場合に過料を科すことによって 間接的に義務の履行を強制する手段であり 法律の根拠を必要とする 3. 直接強制とは 義務者が義務を履行しない場合に 行政機関が義務者の身体または財産に強制を加えることによって義務を実現する手段であり 直接強制の対象となる義務は 代替的作為義務に限られる 4. 即時強制とは 目前急迫の障害を取り除く必要があるにもかかわらず 義務者が義務を履行しない場合に 直接に国民の身体または財産に実力を加えて行政上必要な状態を実現する作用であり 公権力の発動であるため 目的とそれを実現する手段との間の均衡を図ることが求められる 5. 行政刑罰とは 行政上の義務違反に対して科される罰であり 判例によれば 行政刑罰と秩序罰を併科することは妨げられない
問 5 行政手続法に関するア ~ オの記述のうち 妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか ア. 行政庁は 申請に対する処分について できる限り具体的な審査基準を必ず設定 公表しなければならず また不利益処分については できる限り具体的な処分基準を設定 公表するよう努めなければならない イ. 行政庁は 不利益処分をする場合には 当該不利益処分の理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合においても その名あて人に対し 当該不利益処分と同時に 当該理由を示さなければならない ウ. 行政庁は 申請に対する処分であって 申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には 必ず公聴会を開催しなければならない エ. 不利益処分の当事者は 行政庁に対し 当該事案についてした調査の結果に係る調書などの資料の閲覧を求めることができ 行政庁は 正当な理由がない場合には これに応じなければならない オ. 公務員に対してその職務又は身分に関してされる処分については 行政手続法の不利益処分の手続に関する規定は 適用されない 1 ア ウ 2 イ エ 3 エ オ 4 ア イ ウ 5 イ エ オ
問 6 行政事件訴訟における訴えの利益または原告適格に関するア~オの記述のうち 判例に照らし 妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか ア. 国家公務員であった者が免職処分の取消訴訟中に公職選挙に立候補した場合には 当該免職処分が取り消されたとしても 国家公務員の地位がもはや回復されないため 免職処分の取消しを求める訴えの利益は失われる イ. 土地改良事業施行の認可取消を求める訴訟の係属中に 当該事業の工事及び換地処分が完了して原状回復が 社会的 経済的損失の観点から見て社会通念上不可能である場合には 当該事業の施行の認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われる ウ. 都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち 当該事業が実施されることによって 騒音 振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は 当該事業認可の取消しを求める原告適格を有する エ. 保安林指定解除処分により洪水等の防止上の利益を侵害されるとしてその取消しを求める場合 代替施設の設置により洪水や渇水の危険が解消され その防止上からは保安林の存続の必要性がなくなったと認められるに至ったときは 訴えの利益は失われる オ. 風俗営業制限地域は 当該地域における良好な風俗環境の保全を目的として指定されるものであるから 風俗営業制限地域に居住する住民は 当該地域においてなされた風俗営業許可処分取消訴訟の原告適格を有する 1 ア オ 2 イ ウ 3 ウ エ 4 ア ウ エ 5 イ ウ オ
問 7 国家賠償法 1 条に関するア~オの記述のうち 判例に照らし 妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか ア税務署長による所得税更生処分が その金額が過大であるとして取消判決により取り消された場合には 当該処分を行うに当たって 税務署長が資料を収集し これに基づき課税要件事実を認定 判断する上において 職務上尽くすべき注意義務を尽くしていたとしても 税務署長の行為は 国家賠償法上 違法の評価を免れない イ刑事事件の公訴提起時において 検察官が各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があったと判断したとしても 当該事件について無罪の判決が確定した場合には 公訴提起をした検察官の行為は 国家賠償法上 違法の評価を免れない ウ水俣病認定の申請に対し 行政庁が手続上必要と考えられる相当期間内に処分を行わず 申請者に対して応答しなかった場合には 申請者は 遅延を理由とする精神的損害に基づき 国家賠償を請求することができる エ個室付浴場業の開業を阻止することを主たる目的としてされた知事の児童遊園設置認可処分は たとえ当該児童遊園が設置基準に適合していても そのような処分は行政権の著しい濫用に当たるため 国家賠償法上 公権力の違法な行使に当たる オ国会が 国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法処置を執ることが必要不可欠であり それが明白であるにもかかわらず 正当な理由なく長期にわたりこれを怠った場合でも 当該立法不作為が 国家賠償法上 直ちに違法の評価を受けるとはいえない 1 ウ 2 エ 3 ア エ 4 イ オ 5 ウ エ
正答番号 憲法 行政法 問 1 問 2 問 3 問 4 問 5 問 6 問 7 5 4 2 5 3 3 2