資料 -2-2 受注者選定方式と発注方式について可燃物処理施設 ( 以下 本施設 という ) の整備事業に関する業者選定方式と発注方式については 本組合にとって有利な調達が可能な方式であり 且つ事業スケジュールに合致したものである必要があります 本日の委員会では 本施設に採用する受注者選定方式について審議 決定して頂きますよう 宜しくお願い致します 1. 廃棄物処理施設整備事業の受注者選定方式と発注方式について従来の受注者選定方式では 主に落札額の低価格化を目的として 価格のみを評価する一般競争入札による選定が中心でした このため 近年の公共投資額の減少とこれに伴う全体的な工事量の低下を背景として 著しい低価格による入札が行われ その結果として工事品質 ( 施設性能も含む ) の低下が懸念されるようになりました このような背景のもと 平成 17 年には 公共工事の品質確保の促進に関する法律 ( 以下 品質確保法 という ) が施行され 公共工事の品質については 経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素を考慮し 価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより 確保されなければならない と定められるに至りました また 環境省が定めた 廃棄物処理施設建設工事などの入札 契約の手引き ( 平成 18 年 7 月 ) ( 以下 入札の手引き という ) おいては 自治体が発注する廃棄物処理施設建設整備事業について 設計 施工一括発注方式 ( 性能発注方式 ) を基本とし 受注者選定方式は技術力と価格を総合的に評価して契約相手方 ( 受注者 ) を選定する 総合評価落札方式 を基本とするべきとされています ( 要約 ) 品質確保法では経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素を考慮した契約が求めら れており 環境省が示した 入札の手引き では業者選定方式について 総合評価 落札方式 を基本とすべきとされています 廃棄物処理施設整備事業の発注方式は 従来より 設計 施工一括発注方式 ( 性能 発注方式 ) が広く採用されており 環境省が示した 入札の手引き においても 同発注方式を基本とするべきとされています 1
2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営については 発注仕様書等に要求水準の詳細を規定することにより一定水準が確保されることから この点では業者選定方式での差はありません また 公募時の応募要件において一定水準以上の技術力を有する事業者だけが競争に参加できる仕組みとするならば どの事業者が落札しても成果において満足できる施設整備が可能となります このような中で 価格 ( 入札額 ) だけでなく技術力を総合的に評価して落札者を選定する 総合評価型の受注者選定方式 は本組合が求める技術水準をどれだけ高い水準で達成し 且つ安全で安心な整備 運営を実現するのかといった技術面と 建設費と維持管理費を含めた価格面を総合的に評価するものであり より良い施設整備と運営を適正な価格で調達できると同時に談合等の不正防止も図ることが期待できます 総合評価型の受注者選定方式 には 総合評価一般競争入札とプロポーザル方式の2 種類が存在しますが ( 表 -1) 総合評価一般競争入札を本組合で採用する場合は現行の入札規定等の改訂と新規制定のための準備期間が別途必要となることから 平成 29 年 4 月のごみ受け入れ開始が困難となります ( 図 -1) 2
概要 表 -1 総合評価一般競争入札方式とプロポーザル方式の概要 総合評価一般競争入札方式 一般競争入札ではあるが 価格だけでなく プラントメーカ等の提案の質も評価項目に加えて事業者の選定を行う プロポーザル方式 プラントメーカ等から提案を求め 評価の最も高い提案を行った者を優先交渉権者とし 優先交渉権者との間で契約交渉を行い 契約を締結する 必要なし ( 現制度のままで運用可能 ) 入札規定の改正 ( 本組合の場合 ) 総合評価入札に対応した入札規定の制定が必要 手続きの窓口 入札 契約セクション 計画 建設セクション ( 事務局 ) 公募時の条件 原則として変更できない 変更の余地あり 運用マニュアル 国土交通省による各種ガイドラ 国によるガイドラインが無い 等 インが整備されている 多くの場合は総合評価一般競争入 債務負担行為の議決時期 入札公告 ( 公募 ) の前に議決を要する 札のマニュアル等を準用する 優先交渉権者が決定した後 契約締結までの間に議決を要する 契約交渉の対応 交渉不調の対応 提案価格の取扱い 手続きの公平性 透明性 手続きや契約の柔軟性 技術提案書 ( 提案設計図書 ) の取扱い 行政側にとって 業者選定後の契約交渉の負担が少ない 次位者と落札額の範囲での随意契約が不可能な場合は 再入札となる 入札額 = 契約額となる 一般競争入札であることから 入札公告や募集要項に示した選定手続き等の変更が出来ないこと 手続き上 選定経過を公表する必要があるため 手続き全般に透明性が確保できる 原則として 手続きやスケジュールの変更が許されないため 十分な事前準備が求められる 大幅な変更が生じる場合は 再度の入札公告が必要となる 技術提案書に示す提案設計内容の履行が契約の一部となる 言い換えれば 発注者にとって望ましくない設計があった場合でも 発注者都合による設計内容の変更は容易ではない ( 受注者との設計協議が容易ではない ) 行政側に 契約交渉の負担がかかり 交渉能力が求められる 次位交渉権利者との交渉 必ずしも 提案価格 = 契約額とはならない ただし 提案価格 = 契約額 ( 入札方式 ) とすることも可能 あくまでも随意契約相手方を選定する設計コンペであることから 募集要項に示した選定手続き等の変更が不可能ではない 手続き方法の変更の制限 選定経過を公表する等 手続き全般に透明性を確保するための特段の配慮が求められる 原則としてやるべきではないが 手続きやスケジュールの変更が可能である 技術提案書に示す提案設計内容の取扱いは総合評価入札と同様であるが 優先交渉権者との契約交渉の過程では 設計内容と契約額について詰めの協議が予定されるため 発注者にとって望ましい設計内容への変更が可能である 3
図 -1 本施設の整備スケジュール ( 例 ) 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 平成 27 年度 平成 28 年度 平成 29 年度 平成 30 年度 平成 31 年度 マネジメント業務 環境影響評価等 地質調査 敷地造成実施設計 プラント工事発注手続き プロポーザル方式 による工程 敷地造成工事 プラント建設工事 可燃ごみ受入開始 竣工 引き渡し 負荷運転 入札規定の改訂手続き 総合評価一般競争入札 方式による工程 プラント工事発注手続き 敷地造成工事 プラント建設工事 本施設の建設工事の枠組みについて 敷地造成工事については 平成 25 年度中の敷地造成工事着手が 平成 29 年 4 月のごみ受け入れ開始の前提条件となりますので 本施設の 建設工事とは分離して発注するものとします 4
表 -2 受注者選定方式の比較 ( 建設工事の場合 ) 5
3 性能発注方式の解説 3-1 性能発注方式についてごみ焼却施設の建設にあたっては 機械工学 電気工学 応用化学 建築工学などを総合した高度な技術が要求されますが このような施設を市町村が独自に詳細設計 積算を行うことが困難であることから 設計と施工の両方の技術要素を総合化できる技術力とノウハウを有するプラントメーカが一括して請け負う発注方式 ( 設計 施工一括発注方式 ) が採用されています 設計 施工一括発注方式は 性能発注方式 といわれ 土木工事等の一般的な公共事業とは異なり 発注者が求める処理能力 環境保全性能等を規定した発注仕様書による発注 契約を行うものです 性能発注方式のイメージを図 -2に示します 性能発注方式における工事受注者は 通常の施工の瑕疵だけでなく 設計の瑕疵を負うことが特徴であり 発注仕様書に規定する性能保証事項の達成に関する責任を工事受注者が担います 発注仕様書には 次の事項を記載します (1) 基本的事項施設の処理能力 環境保全目標 処理対象物 炉数等 (2) 求める性能 ( 性能保証事項 ) 処理能力に関する性能 環境保全に関する性能 ランニングコストに関する性能等 (3) 詳細規定設計 施工条件 居室の種類 大きさ 機器の材質 数量 種類等 [ 基本的事項 ] できがいいな [ 求める性能 ] で で走ることができる車を探しているのですが それならこの車がよろしいですよ [ 詳細規定 ] とでなきゃ 確認 確認 図 -2 性能発注方式を車の購入に例えた場合 6
3-2 発注から施設引渡しまでの手続きについて性能発注方式による発注から引き渡しまでの手続きを図 -3に例示します 建設工事段階では 発注仕様書やプラントメーカの提案図書等に基づき 施設の実施設計図書が作成され この内容を本組合職員や本組合が設計施工監理を委託した専門のコンサルタントが確認します 次に実施設計図書に基づき 現地での工事や工場での機械製作が行われます この段階でも本組合職員等が確認します 施設が完成すると 実際にごみを投入して 求める性能が達成されているかについての試験 ( 引渡性能試験といいます ) を行います 試験に合格すると 施設が本組合に引渡されます 引渡しを終えると運転が始まりますが 瑕疵担保期間 ( 保証期間 ) において性能保証事項の未達成が認められた場合は プラントメーカでは発注仕様書に基づき自らの責任において補修や改修工事等を行い 基本事項の未達を是正する義務を負うことになります 基本的事項 求める性能 詳細規定 最新技術の提案 独自技術の提案 技術の評価 1 発注仕様書による規定 2 プラントメーカによる技術提案 3 技術提案の審査 評価 ( 総合評価プロポーザル ) 引渡性能試験の合格により施設引渡し 契約に基づく実施設計図書の作成と承諾 設計 施工の厳格な監理 1 2 及び 3 が織り込まれた設計 施工契約の締結 ( 性能発注 ) 性能の確認 確実な設計 施工 技術提案内容の担保 性能の維持と運用 本組合による運転の性能のモニタリング 長期的確認事項 ( コスト性能等 ) のモニタリング 瑕疵担保期間中に性能保証事項の未達成が確認された場合は 原因究明の上 プラントメーカによる補修 改修工事が実施されます 図 -3 性能発注方式における発注から引き渡しまでの手続きの例示 7