112 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP 衝撃試験時の加速度センサの挙動 ( ゼロシフトの発生と計測衝撃レベル ) エイ イー エス宇宙技術部 小野智行 発表内容 1. 目的 2. ゼロシフトについて 3. 調査項目 Cのゼロシフトについて のゼ

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環境試験技術報告開催報告 111 5.7. 試験 シ 株式会社エイ イー エス宇宙技術部 小野智行氏

112 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 衝撃試験時の加速度センサの挙動 ( ゼロシフトの発生と計測衝撃レベル ) エイ イー エス宇宙技術部 小野智行 発表内容 1. 目的 2. ゼロシフトについて 3. 調査項目 4. 2222Cのゼロシフトについて 5. 2225のゼロシフトについて 6. まとめ

環境試験技術報告開催報告 113 1. 目的 宇宙機の衝撃試験 加速度センサの仕様内でもゼロシフト発生 過去の衝撃試験データの整理 傾向把握 / 製造年 製造ロットとの関係 使用上の留意点の明確化 2. ゼロシフトについて ゼロシフトとは 衝撃負荷前にゼロであった加速度時系列波形の平衡点が 衝撃負荷後にシフトしゼロではなくなる現象 また ゼロシフトが起きているか目視で見分けが付きにくいゼロシフト現象を ここでは 隠れたゼロシフト という ( 衝撃試験ハンドブックより )

114 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 000 000 000 2000 0 2000 000 000 2. ゼロシフトについて ゼロシフトが発生した時系列衝撃加速度波形の一例 加速度 [m/s 2 ] 000 0 20 0 0 0 時 [msec] 100000.00 10000.00 1000.00 2. ゼロシフトについて SRS (+) ゼロシフトが発生している衝撃データの SELENE SAP CH83 SRS 解析結果 SRS ( ) SRS m/s 2 100.00 10.00 1.00 0.10 低周波域で ±SRS の差が大きくなる ±SRS の最大差と発生周波数を整理 100 1000 10000 Hz

環境試験技術報告開催報告 115 2. ゼロシフトについて 速度時系列波形及びその傾き m/s 3.00E+01 2.50E+01 2.00E+01 1.50E+01 1.00E+01 5.00E+00 0.00E+00 ゼロシフトの発生しているデータの速度時系列波形 SELENE SAP CH83 時間とともに速度が増加 5.00E+00 リードタイム 0 20 40 60 80 100 ディレーション msec 2. ゼロシフトについて ゼロシフトの主な発生原因 センサへの過剰応力 ( センサ内部の共振 ) センサのベース歪 ( 圧電素子のプリロードの変化 ) センサ部品の物理的な運動 ( 圧電素子とマスのずれ等 ) ケーブルノイズ ( ケーブルの暴れ 剥離 ) コンディショナのオーバーロードゼロシフト補正をしても信頼できる計測データにはならない ( 衝撃試験ハンドブックより )

116 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 3. 調査項目 調査対象加速度センサと主な仕様 センサ型式 2222C 2225( 衝撃用 ) 加速度レンジ ( 直線性 :1%) 19,600m/s 2 (2,000G) 196,000m/s 2 (20,000G) 計測周波数 1~10,000Hz 1~10,000Hz 共振周波数 32kHz 100kHz 質量 0.5g 13g 3. 調査項目 1 ±SRS の最大差と周波数との関係 2 時系列加速度最大値と ±SRS の最大差との関係 3 加速度センサの製造履歴との関係

環境試験技術報告開催報告 117 4. 2222C のゼロシフトについて 調査対象データ 試験件数:7 件 供試体 ( 分離場所 ) 内訳 PAF:1 件 太陽電池パドル:3 件 アンテナ:1 件 センサ:1 件 その他:1 件 データ数 :1099 個 ( センサ個数 :502 個 ) 4. 2222C のゼロシフトについて ±SRS の最大差 [db] 120 100 80 60 40 20 ±SRS の最大差 周波数 の 最大差が 8dB 以上の場合は 低周波域で最大値を示す 最大差が 8dB より小さい場合は 高周波域でも最大値を示す ±SRS 最大差 8dB 以上のデータはゼロシフトが てい が高い ±SRS 最大差 8dB ライン 0 100 1000 10000 周波数 [Hz]

118 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 4. 2222C のゼロシフトについて 120 時系列加速度レベルと ±SRS の最大差の ±SRS の最大差 [db] 100 80 60 40 時系列加速度レベルが大きいほど ±SRS 最大差が大きくなる傾向がある 20 SRS 最大差 8dB ライン 0 1 10 100 1000 10000 100000 時系列加速度最大レベル [m/s 2 ] 4. 2222C のゼロシフトについて 発生率 [%] 120 100 80 60 40 20 0 9/597 個 0/116 個 0/75 個 ±SRS 差 8dB 以上の発生率 ( 時系列加速度レベル ) 3,000m/s 2 (300G) 以上になると発生率が 50% を超える ±SRS 差 8dB 以下でもゼロシフトあり 0/55 個 1/33 個 2/34 個 0/26 個 1/27 個 1/15 個 0/10 個 15/67 個 3/10 個 4/7 個 3/5 個 4/5 個 3/5 個 3/3 個 2/2 個 1/2 個 1/1 個 2/2 個 6/6 個 1/1 個 1/1 個 1/1 個 時系列最大加速度レベル [m/s 2 ]

環境試験技術報告開催報告 119 4. 2222C のゼロシフトについて ±SRS 差 8dB 以下でも顕著にゼロシフトしているデータ 10000 8000 6000 4000 2000 0 2000 4000 6000 8000 10000 加速度時系列波形ゼロシフト有り ±SRS 差は約 4~5dB 100000.00 10000.00 1000.00 s 2 100.00 0 20 40 60 80 100 10.00 ±SRS 波形 1.00 100 1000 10000 1.40E+01 1.20E+01 1.00E+01 8.00E+00 6.00E+00 4.00E+00 2.00E+00 0.00E+00 2.00E+00 4. 2222C のゼロシフトについて ±SRS 差 8dB 以下でも顕著にゼロシフトしているデータ 速度時系列波形 速度時系列波形は右上がりのトレンド成分をもっており ゼロシフトが発生している事を示している 0 20 40 60 80 100 ±SRS 差だけではなく 加速度時系列波形及び速度時系列波形も評価することが重要

120 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 4. 2222C のゼロシフトについて センサシリアルナンバー別発生件数 ± 差 以上 回数 別 ± 差 以上の発生件数 ± 差 以上 回数 ± 差 以上 回数 ± 差 以上 回数 0 1 2 2 11 1 2 11 1 1 2 1 2 2 2 11 2 1 1 2 00 1 2 1 1 2 11 2 1 2 0 2 1 2 1 2 1 11 1 1 2 121 1 1 11 1 1 2 1 0 1 2 11 00 1 1 2 2 1 1 11 0 1 1 2 2 2 ゼロシフトの発生とセンサシリアルナンバーに相関はなく 1 11 10 1 1 2 1 2 1 2 11 11 1 1 2 1 1 2 製造ロットや付属ケーブルの違いによる影響はない 1 11 1 1 1 2 2 1 1 2 11 2 1 1 2 1 1 2 11 2 1 1 2 1 2 1 2 11 2 1 1 2 01 1 1 11 2 1 1 2 1 1 11 1 1 0 1 11 1 2 2 11 1 1 1 古いタイプ 新しいタイプ 4. 2222C のゼロシフトについて 2222C まとめ 1 ±SRS 差が 8dB を超えているとゼロシフトが発生している可能性が高い 2 時系列加速度レベルが 3,000m/s 2 (300G) を超えるデータは ±SRS 差 8dB 以上のゼロシフトが発生している可能性が高い 3 センサの S/N とゼロシフト発生に相関はない

環境試験技術報告開催報告 121 5. 2225 のゼロシフトについて 調査対象データ 試験件数:14 件 供試体 ( 分離場所 ) 内訳 PAF:6 件 太陽電池パドル:4 件 アンテナ:1 件 その他:3 件 データ数 :720( センサ個数 :56 個 ) 5. 2225 のゼロシフトについて 50 ±SRS の最大差 その周波数の分 (1/2) 45 40 ±SRS の最大差 [db] 35 30 25 20 15 10 高周波域でも最大差が 8dB を超えるものがある ±SRS 最大差 8dB ライン 5 0 100 1000 10000 周波数 [Hz]

122 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 5. 2225 のゼロシフトについて 時系列加速度 ±SRS の最大差の 50 45 ±SRS の最大差 [db] 40 35 30 25 20 15 980m/s 2 (100G) 以 8dB てい の い ( フ ット に大 ) SRS 最大差 8dB ライン 10 5 0 1 10 100 1000 10000 100000 時系列加速度最大 [m/s 2 ] 5. 2225 のゼロシフトについて ±SRS の最大差 の の (2/2) 50 ( 時系列加速度 980m/s 2 (100G) 以上抽出 ) ±SRS の最大差 [db] 45 40 35 30 25 20 15 10 980m/s 2 (100G) 以上 に てい 以 の ー て ±SRS 最大差 8dB ライン 5 0 100 1000 10000 [Hz]

環境試験技術報告開催報告 123

124 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 5. 2225 のゼロシフトについて 2225 まとめ 1 2222C と比較してゼロシフト発生率が低い 測定レンジに対して加速度レベルが低いため 2 ±SRS 差が 8dB を超えているとゼロシフトが発生している可能性が高い ( 但し 時系列加速度レベル 1,000m/s 2 (100G) 以下は除く ) 3 センサの S/N とゼロシフト発生に相関はない 結論 2222C について 6. まとめ 時系列加速度レベルが 3,000m/s 2 (300G) を超えると ±SRS 差 8dB 以上のゼロシフトが発生する可能性が高い 衝撃試験ハンドブックに反映される予定 2225 について 2222C と比較して ±SRS 差 8dB 以上のゼロシフトの発生率は低いが センサ仕様範囲内でもゼロシフトは発生する

環境試験技術報告開催報告 125 6. まとめ 実際の試験における評価方法について 衝撃後の波形にオフセットはないか? ±SRS に大きな差はないか? 加速度時系列波形 速度波形にトレンド成分はないか? 速度時系列波形 ±SRS 解析 大型分離衝撃試験設備データ出力例 6. まとめ ゼロシフト補正の適用について SRS のスペックを逸脱している場合 ゼロシフト補正を行った方が良い SRS のスペック内でゼロシフトが発生している場合 設備 用 で スペック内であれば OK 適正な値で評価したい 補正しない 補正する

126 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 6. まとめ 補正前 補正後 ゼロシフト補正プログラムによる補正例 ( 衝撃試験ハンドブックより )

環境試験技術報告開催報告 127 質 応答 質問者 1 ゼロシフトの結果を考慮して いままで行ってきた試験において その判定結果が覆るような危険性はあるのでしょうか また ゼロシフトが起きることに対して そのセンサのメーカーがその方針なりコメントをどのように答えているのでしょうか 発表者ゼロシフトの補正が適用されてからもう 5 年以上になります 少なくともここ最近で覆ることはありません 2222C 加速度センサは 衝撃に特化したセンサではなく 本来 高い衝撃を計測するには衝撃用のセンサを使うのがまず 第一だと思います メーカーさんのコメントについては 私の方では特にコメントはいただいておりません 質問者 2 仕様の 30% の負荷でゼロシフトが発生していますが そのようなセンサは次も使えるの でしょうか 発表者原因がケーブルの問題であったりするので 仕様内でゼロシフトがおきたからそのセンサがだめということはありません 衝撃という強い過渡的な応答によって起こっており 仕様内でゼロシフトが起こるからそのセンサは駄目ということではありません センサは校正をしており周波数特性も確認して使用しています 質問者 3 この2つのセンサは Endevco 製だと思うのですが 他のメーカーのセンサで何件か試したことはありますか また Endevco 製に特異のものなのか 構造的に同じだから他のメーカーも同じなのか 今後の課題としたほうが良いと思います ゼロシフトの補正をかける場合は 料金追加になるのでしょうか 発表者 JAXA では 他のメーカーのセンサは数がないので そのデータは特にないです また 料金は追加にはなりません 弊社の設備運転の中で衝撃試験を行った結果 ゼロシフトが発生しているのであれば データ処理の一環で補正させていただいております

128 宇宙航空研究開発機構特別資料 JAXA-SP-10-008 質問者 4 先程の 2222C と 2225 の比較データについてメーカーの見解ということですが 以前 環境試験技術センターのほうで試験された限りでは衝撃専用の 7255A というタイプがございまして そちらを使っていただければゼロシフトの発生はなく データ上問題なくよろしいかと思います 発表者 今回調査対象にしておりませんが アンプ内蔵型のセンサの方がもっと高衝撃に対応できると思います 質問者 5 いろいろ結果がはっきり分かってきて AES として現場での経験を生かしてどう対応していくか考えがあれば教えてください また 補正があるから安心して使うというのは観点が逆じゃないかと思っていまして 本来は 正しいデータをとるというのが前提条件なのですが その辺の考え方が本末転倒しないようにお願いしたいと思います 発表者ゼロシフトの補正プログラムを知らないで スペックオーバーで頭を抱えてしまうのは時間 労力の無駄であるので 適切にお答えできるようにしたいと思います また 高い衝撃が発生するところに 2222C といった衝撃用でないセンサが使われていないか データを確認していきたいと思います