資料1-1 航空分野のCO2削減について

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資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

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3 航空機動態情報の管制機関における活用 (EN-12, OI-27 関連 ) ~ 航空機動態情報の把握による監視能力の向上 ~ 2 気象予測の高度化等 (EN-5,6,13 関連 ) ~ 気象予測の高度化による高精度な時間管理の実現 ~ 4SBAS 性能の検討 (EN-7 関連 ) 5GBAS を

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5 ii) 実燃費方式 (499GT 貨物船 749GT 貨物船 5000kl 積みタンカー以外の船舶 ) (a) 新造船 6 申請船の CO2 排出量 (EEDI 値から求めた CO2 排出量 ) と比較船 (1990~2010 年に建造され かつ 航路及び船の大きさが申請船と同等のものに限る )


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Ⅰ. 世界海運とわが国海運の輸送活動 1. 主要資源の対外依存度 わが国は エネルギー資源のほぼ全量を海外に依存し 衣食住の面で欠くことのでき ない多くの資源を輸入に頼っている わが国海運は こうした海外からの貿易物質の安定輸送に大きな役割を果たしている 石 炭 100% 原 油 99.6% 天然ガ

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科学技術 学術審議会研究計画 評価分科会第 34 回航空科学技術委員会 資料 1-1 航空分野の CO 2 削減について 国土交通省航空局監理部総務課企画室 平成 22 年 3 月 18 日 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

CO 2 排出削減の枠組み 気候変動に関する国際連合枠組条約 (United Nations Framework Convention on Climate Change, UNFCCC) 気候システムに対して危険な人為的干渉を及ぼさない水準で GHG 濃度を安定化させるため 附属書 Ⅰ 国 ( 先進国 ) が率先して対策を講じること等を規定 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書 (Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change, KP) UNFCCC 附属書 Ⅰ 国に対し 2008 年 ~2012 年のGHG 排出量を1990 年比少なくとも-5% となるよう 各国の削減義務を数値化 日 :-6% 米:-7% EU:-8% 加:-6% 豪:+8% 等 ICAO IMO を通じて削減 附属書 Ⅰ 国 49.2% 国内航空の CO 2 は各国の排出量に計上各国の責任において削減を追求 国際航空の CO 2 はセクターの特殊性から排出の国別割当が困難 ICAO を通じて削減を追求 < 国際航空セクターの特殊性 > 国境を越え 又は公海上で排出行為実施 コードシェアの実施等 参考 : 京都議定書第 2 条 非附属書 Ⅰ 国 47.3% CO2 Emissions from Fuel Combustion 2009 Edition(IEA) のデータをもとに作成 2. 附属書 Ⅰ に掲げる締約国は 国際民間航空機関 を通じて活動することにより 航空機用 の燃料からの温室効果ガス の排出の抑制又は削減を追求する 1

国内航空セクターにおける対応 我が国の CO 2 排出量内訳 (2007 年 ) 日本国温室効果ガスインベントリ報告書 のデータをもとに作成 京都議定書目標達成計画に基づき 2010 年度のエネルギー消費原単位 ( 人キロ輸送当たりの燃料消費量 ) を 1995 年度比で 15% 改善すること を目指して取組み 2008 年度までに約 16% のエネルギー消費効率の改善を達成 輸送量 CO2 排出量 2

航空セクターの温暖化対策の例 ( 国の取組み ) 環境適応型航空機の導入支援 < 我が国における導入支援措置 > 法人税航空機に係る特別償却制度を適用 ( 交通バリアフリー設備を整備した 60 席以上の航空機に対し 特別償却 ( 基準取得価格 ( 取得価格の 20% 相当額 ) の 20%)) 固定資産税国内線就航機について 課税標準を軽減 ( 最大離陸重量に応じて 3 年間 1/2~2/3) 空港施設の改善 地上動力装置 (GPU) の利用促進空港駐機中の航空機が必要とする動力源を 航空機自らの補助動力装置 (APU) から地上動力設備 (GPU) に切り替えることにより 航空機からの CO 2 排出を抑制 航空保安システムの高度化 広域航法 (RNAV) の導入 RNAV の導入により飛行時間 経路を短縮 RNAV( アールナブ :area NAVigation) 継続降下到着方式 (CDA) の導入 2009 年 5 月より関西国際空港の深夜早朝時間帯において試行運用中 年間約 1,160t のCO 2 排出削減効果 2008 年 3 月の運航実績に基づき 5 機の B767 型機が CDA 方式を実施した場合を想定 バイオ燃料の活用 < 従来 > ジグザグな飛行経路 地上航法無線施設 飛行時間 経路短縮 就航率の向上 交通流の円滑化 複線化 複々線化による容量拡大 着陸滑走路 CDA 方式 : エンジン推力を下げたまま継続的に降下 RNAV <RNAV> 直線的な飛行経路 地上航法無線施設 従来 一般的な到着方式 : 水平飛行時にエンジン推力を使用 エコカー 非食料系植物からジェット燃料を精製する技術開発 実用化に向けて飛行試験を含む各種試験実施中 新エネルギー GPU( 地上動力装置 ) の利用促進 APU 航空機の補助動力装置 < これまでの飛行実績 > バージンアトランティック航空 (2008.2) ニュージーランド航空 (2008.12) コンチネンタル航空 (2009.1) 日本航空 (2009.1) 普及に向けた施策の検討 3

航空セクターの温暖化対策の例 ( 航空会社の取組 (1)) 燃費効率が高く 地球にやさしいエンジンを搭載した新型航空機の導入を進めています 2011 年度末までに エアライン全体で100 機以上の新型航空機の導入を目指しています 広域航法 (RNAV) という高精度航法を導入することで 最短距離で結んだ経路で運航することが可能になりました その結果 利用者の利便性を向上させるとともに CO 2 削減効果を高めています 国土交通省と連携し 2011 年度末までに主要路線に順次導入していきます 気象条件や航空管制を勘案した上で 消費燃料の少ない高度 速度を選択した飛行計画を立てています 燃料を効率的に使用できる空港ごとの降下 進入ポイントを運航乗務員に周知するなど 運航方法の工夫による CO 2 削減にも努めています 定期航空協会資料より 4

航空セクターの温暖化対策の例 ( 航空会社の取組 (2)) 2006 年度より アルミ合金製から新素材を用いた新型コンテナを導入 ある大型旅客機の場合 貨物用コンテナを1 台当たり約 28kg 軽量化することで 東京 -サンフランシスコ間の片道で約 1.2 トンのCO 2 削減効果があります 搭載燃料をきめ細かに計算し 安全性を十分に確保した上で 1 便当たり最大 400kg もの搭載燃料を軽減しています エンジンは使用するにつれて コンプレッサーにほこりが付着し 燃焼効率が悪くなります コンプレッサー部分のほこりを定期的に水洗除去し エンジン性能を回復 燃費を向上させています あるエアラインでは 2006 年度に2004 年度の4.5 倍の頻度で水洗除去を行ったところ 東京 - 大阪間で1070 往復分に相当する年間約 4 万トンのCO 2 を削減しました エアライン各社では水洗除去設備を拡大していく予定です 従来 満タンで運航していましたが 路線ごとに適正量を給水する方法に改善しました ある大型旅客機では 最大 300kg の軽量化を行うことができました 1990 年頃よりジェット燃料を用いる APU よりも CO 2 排出量の少ない 地上電源装置 (GPU) を優先的に利用しています 従来より 20% 軽量化された磁器食器や 1 本当たり 2g 軽いスプーンを採用するなど 軽量化に徹底的に取り組んでいます パイロットの訓練のほとんどをシミュレーターで実施しています 安全性を維持しながらエネルギー消費の少ない訓練が可能になっています 定期航空協会資料より 5

航空セクターの温暖化対策の例 ( 究極のエコフライト ) アジア太平洋地域における 管制機関と航空会社の連携により効率的な運航を実現し 消費燃料及び排出ガスの削減を図ろうとする取組 (ASPIRE: ASia and Pacific Initiative to Reduce Emissions) への航空局の参画にあわせて 究極のエコフライト を実施 2008 年 2 月にアメリカ オーストラリア ニュージーランドの 3 国で開始 日本は アジア地域で最初のパートナーとして 2009 年 10 月に参画 2010 年 2 月にシンガポールが参画 実施した主な CO 2 削減対策と削減量 離陸後最短の上昇経路選択 User Preferred Route 注 1 Dynamic Airborne Re-route Procedures 注 2 CDA 方式による着陸 貨物 機内搭載品の軽量化 エンジン内部の水洗い 地上動力装置 (GPU) の使用 その他 1,653kg 572kg 3,718kg 1,323kg 429kg 1,321kg 2,943kg 3,288kg 計 15,247kg 注 3 注 1 太平洋の洋上空域において運航者が運航機材 運航時刻 気象予報等を考慮し任意に作成する経路を飛行する方式 注 2 巡航中 最新の予測風を元に最適な航路を再計算し 効率の良い経路を飛行する運航方式 究極のエコフライト 便名 :JAL ウェイズ 77 便使用機材 : ボーイング 747-400 出発 : ホノルル (2009 年 10 月 10 日 13:45( 現地時間 )) 到着 : 関西国際空港 ( 同 11 日 17:50( 現地時間 )) 注 3 燃料消費量 6,069 リットルに相当日本航空インターナショナル資料より 6

国際航空セクターの気候変動対策において考慮すべき原則 気候変動枠組条約 京都議定書 (CBDR の原則 ) 国際民間航空条約 ( 非差別的取扱いの原則 ) UNFCCC においては 附属書 Ⅰ 国が率先して気候変動問題に対処すべきとなっており KP においては 附属書 Ⅰ 国のみに数値目標が課されている 参考 : 気候変動枠組条約第 3 条 1. 締約国は この条約の目的を達成し及びこの条約を実施するための措置をとるに当たり 特に 次に掲げるところを指針とする 1. 締約国は 衡平の原則に基づき かつ それぞれ共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力に従い 気候系を保護すべきである したがって 先進締約国は 率先して気候変動及びその悪影響に対処すべきである 国際民間航空条約 ( シカゴ条約 ) においては 締約国間の差別的待遇を避けることが原則となっている 参考 : 国際民間航空条約第 44 条 この機関の目的は 次のことのため 国際航空の原則及び技術を発展させ 並びに国際航空運送の計画及び発達を助長することである (g) 締約国間の差別待遇を避けること CBDR: Common but Differentiated Responsibility ICAO における検討では 両方の原則への配慮が必要 7

国際的議論の流れ (1) 2007 年の第 36 回 ICAO 総会において 2009 年末の第 15 回 UNFCCC 締約国会議 (COP15) に向けて今後の国際航空セクターの気候変動対策の枠組み ICAO 行動プログラム を策定することを決議 2009 年 10 月の国際航空と気候変動に関するハイレベル会合において ICAO 行動プログラム を承認 UNFCCC ICAO COP13 2007 年 12 月バリ 第 36 回 ICAO 総会 2007 年 9 月 GIACC/1 2008 年 2 月 GIACC/2 2008 年 7 月 COP14 2008 年 12 月ポズナン COP15 に向けて特別作業部会 (AWG) を設置して議論の実施 GIACC/3 2009 年 2 月 GIACC/4 2009 年 5 月 COP15 2009 年 12 月コペンハーゲン ハイレベル会合 2009 年 10 月 年以降の新たな枠組2013 GIACC(Group on International Aviation and Climate Change 国際航空と気候変動に関するグループ ): ICAO 行動プログラム ( 第 36 回 ICAO 総会決議 ) を策定するために設置 日 豪 伯 加 中 仏 独 印 墨 蘭 ( 第 4 回のみ ) ナイジェリア 露 サウジ 南ア スイス ( 第 1 回及び第 2 回のみ ) 英 ( 第 3 回のみ ) 米の 15 ヶ国から構成 ICAO 行動プログラム の主要構成要素 1. 国際航空セクターにおける燃料消費効率ベースのグローバル目標 2. 航空機や燃料の技術革新 航空管制の高度化等の運航の効率化 経済的手法等から構成される総合的な対策の枠組み 3. 各締約国の対策による進捗状況の報告 モニタリング手法 8

ICAO 行動プログラム の概要 グローバル目標 個々の国に義務を課すものではなく セクター全体で達成を目指すものと位置付け 短期 中期 長期について燃料効率 を毎年 2% 改善燃料消費量 ( リットル ) 燃料効率 = より野心的な目標について検討継続輸送量 ( RTK) 対策のバスケット対策のバスケット ICAO によるモニタリング グローバル目標 (2%/ 年の改善 ) 航空機 エンジン等に係る技術革新航空管制等の高度化航空管制等の高度化 運航上の改善運航上の改善 ( 運航効率の改善 ) ( 運航効率の改善 ) その他 ( 規制的手法 経済的手法等 ) その他 ( 規制的手法 経済的手法等 ) 注 : 対策毎の改善量はイメージ注 : 対策毎の改善量はイメージ ハイレベル会合 にて承認 更なる取組みを宣言 9

国際的議論の流れ (2) ICAO においては 2010 年秋に予定される第 37 回総会に向けて 19 ヶ国の航空局長又はそれに替わる政策担当者による 気候変動局長グループ (DGCIG) を設置して 検討を実施 UNFCCC ICAO COP15 2009 年 12 月コペンハーゲン DGCIG/1 2010 年 3 月 COP16 に向けて特別作業部会 (AWG) による議論の継続 DGCIG/2 2010 年 6 月 DGCIG/3 2010 年 8 月 COP16 2010 年 11 月カンクン 年第 37 回 ICAO 総会 2010 年 9 月 以降の新たな枠組2013 DGCIG(Directors General of Civil Aviation Climate Group 気候変動局長グループ ): ICAO ハイレベル会合宣言に基づき 中長期に係る更なる野心的な目標 経済的手法の枠組み等について検討するために設置 日 豪 伯 加 中 独 仏 印 韓 墨 ナイジェリア 露 サウジ 星 南ア 西 UAE 英 米の 19 ヶ国から構成 ( 下線の国は GIACC にも参加 ) HLM 及びCOP15の結果等を踏まえて 第 37 回総会に向けて 以下の事項等について検討 1. より野心的な中期及び長期の目標 2. 国際航空分野における経済的手法の枠組み 3. モニタリング ( 各国による行動計画の策定 報告 ) 10

今後検討する目標の一例 (IATA 等の提案に準拠 ) グローバル目標案の一例 国際航空セクター全体で右表の目標を達成 短期 (~2012 年 ) 中期 (~2020 年 ) 長期 (~2050 年 ) 燃料効率を毎年 2%/ 年で改善 燃料効率を毎年 2%/ 年で改善及び炭素中立成長 CO 2 排出量を 2005 年比 50% 減 対策のバスケット 航空機 エンジン等に係る技術革新 50 航空管制等の高度化 ( 運航の効率化 ) 運航上の改善 その他 ( 規制的手法 経済的手法等 ) 注 : 対策毎の改善量はイメージ 11

今後必要と考えられる取組 より野心的な目標の達成のため 対策のバスケットに含まれる各種対策の積極的な推進が必要 特に 航空機 エンジン単体の更なる燃費向上 低炭素化の推進 ( 長期的には脱炭素化も視野 ) 運航効率の更なる改善 ~ICAO グローバル ATM 運用概念への対応 ~ 12