形成外科 定期刊行誌 bfgf製剤を用いた局所治療 2010.12 Ⅱ度熱傷の局所管理のポイントは 残った上皮成分を機 械的刺激や感染から保護し 上皮の素となる組織を傷つけ ずに最大の再生力を引き出すことにある ①1歳5カ月 男児 熱湯を浴びてSDB DDBを受傷 受傷当 日来院時の状態 こ の日よりb F G F 製 剤 の投与を開始した たとえば 草木に害虫がつき 葉や枝が傷んで再生でき ないようなら その部分は除去する すなわちデブリードマ 救急の初期治療からチーム医療を実践 ンします 一方 まだ再生が期待できるなら 栄養剤や肥料 を投与します それが熱傷治療におけるbFGF製剤の役割 06 です と 迎先生は述べる は 先天外表奇形 腫瘍 外傷 bfgf製剤が登場するまでの迎先生の治療方針は 深達 再建などほぼ形成外科全領域の診療を行っている また 性熱傷において 2週間たっても上皮化しない場合は肥厚 同院は救命救急センター 3次救急 であるため 24時間 性瘢痕が発生することが多く 外見的にも機能的にも障害 救急に対応している 特に熱傷については 治療の特殊性 が残る そのため 積極的に植皮を行っていた ところが から 北九州東部はもとより大分 山口に至る広域からの患 bfgf製剤を投与すると 上皮化まで約5週間かかった症 者も受け入れている 例でも肥厚性瘢痕は発生せず 軽い瘢痕のみで済み 機能 的な障害を残さないことが判明した 今回は 同院形成外科部長の迎 伸彦先生に 熱傷治療 bfgf製剤の登場で 熱傷の治療戦略が大きく変わっ についてお話をうかがった たといっても過言ではありません と 迎先生は評価する 軽度から重症熱傷までをすべて 診療 治療する かつて 約2週間を過ぎると手術を選択せざるを得なかっ 北九州総合病院 形成外科 部長 同科では 軽度の熱傷から重症熱傷までのすべての熱傷 迎 を扱っている 2009年度の熱傷患者については 外来患 伸彦先生 者数は332名 入院患者数は69名であった た症例に対して 現在は bfgf製剤を用いて約5週間まで は保存的療法を行っており 特に小児において回避できる 液体 料理中の事故や火災などが多いという 重症熱傷は 手術の手順を示した資料を作成し 麻酔科 手術部担当看 火災や労災事故が多い 周囲に工場が多いことから 広範 護部に配布する 物品の準備はもとより 術中にスタッフ全 囲深達性熱傷や化学熱傷などの特殊な受傷機転による熱 員が手技と手順を理解していることが 安全でスムーズな 傷も少なくない 手術につながるのである 迎先生は 若手医師の教育にも熱心である 熱傷は特殊 熱傷の治療方針 な外傷であり 治療経験を積む場が限られている その点 初期管理の重要性 同院は熱傷の外来患者も多く 手術数も多い 実際に患 形成外科スタッフ 者さんに接していくことで 患者さんを思いやる診療がで きるようになります また 初期治療から参加するからこそ 傷では複数回の手術が必須となるが 最も重要である初回 治療経過がよくわかるのです 若い形成外科医には 積極 手術を成功させるには 初期管理 全身管理 がポイントと 的に実地を経験してほしいと願います 受け入れる私たち なる 熱傷手術を3段跳びに例えると 初回手術となる最初の ホップでは助走をトップスピード つまり全身状態をできる bfgf製剤 使用例 同科では 手術に備えて 術前2日までに 形成外科医が で 幼小児では高温液体による受傷が多く 成人では高温 ドマン 早期創閉鎖 植皮 が原則である 広範囲深達性熱 ③ 受 傷 5カ月後 中 心部も含め 肥厚性 瘢痕が生じていない 手術が増えたという 熱傷治療をスムーズに行うために 受傷機転は 軽度の場合は家庭内での受傷がほとんど 広範囲熱傷においては 早期の壊死組織除去 デブリー ②受傷4週間後 ほ ぼ治癒した状態 従 来であれば赤みを帯 びたD D B 受 傷 部 位 は肥厚性瘢痕となる 可能性が高いが 平 坦である 役割を担う栄養管理を求めるという この厳密な初期管理 もできる限りフォローアップするつもりでいます と 迎先 が 迎先生の目指す術前のトップスピードにつながるわけで 生はエールを送る ある だけ良好に保ち 次のステップ ジャンプへと持続しながら 全身管理と局所管理は表裏一体を成すものです 車の 確実な距離 植皮生着 を獲得していくことが 患者の救命 両輪のごとく 連動しなければなりません それには 初期 につながります と 迎先生は解説する 治療から局所管理のスタッフも参加して 忌憚のない意見 そうした考えのもと 同院の救命救急センターでは チー を交わすことが大切です その点 当院では麻酔医を中心 ム医療を実践し 形成外科も合同カンファレンスへ参加し とした部門と 当科 そして看護部門やリハビリ部門などが て局所管理の立場から ①初回手術を念頭においた過剰輸 常に意見交換を行っており 真のチーム医療を行っている 液に陥らない輸液管理と呼吸管理 ②予後の改善に重要な と自負しています と 迎先生は語る bfgf製剤 非使用例 創傷と感染 5歳 男児 沸かしすぎた浴槽へ転落して受傷 写 真は受傷1年後 腋窩部 胸部の一部には皮膚移 植している 腋窩部に瘢痕収縮が生じ うまく腕が 上がらない 感染創の病態と診断 治療方針 外来診療 月曜 土曜 8 30 11 00 土曜は第2 4週のみ 午後は予約 紹介患者の診療 企画 発行 科研製薬株式会社 株式会社協和企画 800-0295 北九州市小倉南区湯川5-10-10 電話 093-921-0560 代表 2010年12月作成 FGF170-10L-08-KY1 表紙の写真 椿
Acinetobacter baumannii
形成外科 定期刊行誌 bfgf製剤を用いた局所治療 2010.12 Ⅱ度熱傷の局所管理のポイントは 残った上皮成分を機 械的刺激や感染から保護し 上皮の素となる組織を傷つけ ずに最大の再生力を引き出すことにある ①1歳5カ月 男児 熱湯を浴びてSDB DDBを受傷 受傷当 日来院時の状態 こ の日よりb F G F 製 剤 の投与を開始した たとえば 草木に害虫がつき 葉や枝が傷んで再生でき ないようなら その部分は除去する すなわちデブリードマ 救急の初期治療からチーム医療を実践 ンします 一方 まだ再生が期待できるなら 栄養剤や肥料 を投与します それが熱傷治療におけるbFGF製剤の役割 06 です と 迎先生は述べる は 先天外表奇形 腫瘍 外傷 bfgf製剤が登場するまでの迎先生の治療方針は 深達 再建などほぼ形成外科全領域の診療を行っている また 性熱傷において 2週間たっても上皮化しない場合は肥厚 同院は救命救急センター 3次救急 であるため 24時間 性瘢痕が発生することが多く 外見的にも機能的にも障害 救急に対応している 特に熱傷については 治療の特殊性 が残る そのため 積極的に植皮を行っていた ところが から 北九州東部はもとより大分 山口に至る広域からの患 bfgf製剤を投与すると 上皮化まで約5週間かかった症 者も受け入れている 例でも肥厚性瘢痕は発生せず 軽い瘢痕のみで済み 機能 的な障害を残さないことが判明した 今回は 同院形成外科部長の迎 伸彦先生に 熱傷治療 bfgf製剤の登場で 熱傷の治療戦略が大きく変わっ についてお話をうかがった たといっても過言ではありません と 迎先生は評価する 軽度から重症熱傷までをすべて 診療 治療する かつて 約2週間を過ぎると手術を選択せざるを得なかっ 北九州総合病院 形成外科 部長 同科では 軽度の熱傷から重症熱傷までのすべての熱傷 迎 を扱っている 2009年度の熱傷患者については 外来患 伸彦先生 者数は332名 入院患者数は69名であった た症例に対して 現在は bfgf製剤を用いて約5週間まで は保存的療法を行っており 特に小児において回避できる 液体 料理中の事故や火災などが多いという 重症熱傷は 手術の手順を示した資料を作成し 麻酔科 手術部担当看 火災や労災事故が多い 周囲に工場が多いことから 広範 護部に配布する 物品の準備はもとより 術中にスタッフ全 囲深達性熱傷や化学熱傷などの特殊な受傷機転による熱 員が手技と手順を理解していることが 安全でスムーズな 傷も少なくない 手術につながるのである 迎先生は 若手医師の教育にも熱心である 熱傷は特殊 熱傷の治療方針 な外傷であり 治療経験を積む場が限られている その点 初期管理の重要性 同院は熱傷の外来患者も多く 手術数も多い 実際に患 形成外科スタッフ 者さんに接していくことで 患者さんを思いやる診療がで きるようになります また 初期治療から参加するからこそ 傷では複数回の手術が必須となるが 最も重要である初回 治療経過がよくわかるのです 若い形成外科医には 積極 手術を成功させるには 初期管理 全身管理 がポイントと 的に実地を経験してほしいと願います 受け入れる私たち なる 熱傷手術を3段跳びに例えると 初回手術となる最初の ホップでは助走をトップスピード つまり全身状態をできる bfgf製剤 使用例 同科では 手術に備えて 術前2日までに 形成外科医が で 幼小児では高温液体による受傷が多く 成人では高温 ドマン 早期創閉鎖 植皮 が原則である 広範囲深達性熱 ③ 受 傷 5カ月後 中 心部も含め 肥厚性 瘢痕が生じていない 手術が増えたという 熱傷治療をスムーズに行うために 受傷機転は 軽度の場合は家庭内での受傷がほとんど 広範囲熱傷においては 早期の壊死組織除去 デブリー ②受傷4週間後 ほ ぼ治癒した状態 従 来であれば赤みを帯 びたD D B 受 傷 部 位 は肥厚性瘢痕となる 可能性が高いが 平 坦である 役割を担う栄養管理を求めるという この厳密な初期管理 もできる限りフォローアップするつもりでいます と 迎先 が 迎先生の目指す術前のトップスピードにつながるわけで 生はエールを送る ある だけ良好に保ち 次のステップ ジャンプへと持続しながら 全身管理と局所管理は表裏一体を成すものです 車の 確実な距離 植皮生着 を獲得していくことが 患者の救命 両輪のごとく 連動しなければなりません それには 初期 につながります と 迎先生は解説する 治療から局所管理のスタッフも参加して 忌憚のない意見 そうした考えのもと 同院の救命救急センターでは チー を交わすことが大切です その点 当院では麻酔医を中心 ム医療を実践し 形成外科も合同カンファレンスへ参加し とした部門と 当科 そして看護部門やリハビリ部門などが て局所管理の立場から ①初回手術を念頭においた過剰輸 常に意見交換を行っており 真のチーム医療を行っている 液に陥らない輸液管理と呼吸管理 ②予後の改善に重要な と自負しています と 迎先生は語る bfgf製剤 非使用例 創傷と感染 5歳 男児 沸かしすぎた浴槽へ転落して受傷 写 真は受傷1年後 腋窩部 胸部の一部には皮膚移 植している 腋窩部に瘢痕収縮が生じ うまく腕が 上がらない 感染創の病態と診断 治療方針 外来診療 月曜 土曜 8 30 11 00 土曜は第2 4週のみ 午後は予約 紹介患者の診療 企画 発行 科研製薬株式会社 株式会社協和企画 800-0295 北九州市小倉南区湯川5-10-10 電話 093-921-0560 代表 2010年12月作成 FGF170-10L-08-KY1 表紙の写真 椿
形成外科 定期刊行誌 bfgf製剤を用いた局所治療 2010.12 Ⅱ度熱傷の局所管理のポイントは 残った上皮成分を機 械的刺激や感染から保護し 上皮の素となる組織を傷つけ ずに最大の再生力を引き出すことにある ①1歳5カ月 男児 熱湯を浴びてSDB DDBを受傷 受傷当 日来院時の状態 こ の日よりb F G F 製 剤 の投与を開始した たとえば 草木に害虫がつき 葉や枝が傷んで再生でき ないようなら その部分は除去する すなわちデブリードマ 救急の初期治療からチーム医療を実践 ンします 一方 まだ再生が期待できるなら 栄養剤や肥料 を投与します それが熱傷治療におけるbFGF製剤の役割 06 です と 迎先生は述べる は 先天外表奇形 腫瘍 外傷 bfgf製剤が登場するまでの迎先生の治療方針は 深達 再建などほぼ形成外科全領域の診療を行っている また 性熱傷において 2週間たっても上皮化しない場合は肥厚 同院は救命救急センター 3次救急 であるため 24時間 性瘢痕が発生することが多く 外見的にも機能的にも障害 救急に対応している 特に熱傷については 治療の特殊性 が残る そのため 積極的に植皮を行っていた ところが から 北九州東部はもとより大分 山口に至る広域からの患 bfgf製剤を投与すると 上皮化まで約5週間かかった症 者も受け入れている 例でも肥厚性瘢痕は発生せず 軽い瘢痕のみで済み 機能 的な障害を残さないことが判明した 今回は 同院形成外科部長の迎 伸彦先生に 熱傷治療 bfgf製剤の登場で 熱傷の治療戦略が大きく変わっ についてお話をうかがった たといっても過言ではありません と 迎先生は評価する 軽度から重症熱傷までをすべて 診療 治療する かつて 約2週間を過ぎると手術を選択せざるを得なかっ 北九州総合病院 形成外科 部長 同科では 軽度の熱傷から重症熱傷までのすべての熱傷 迎 を扱っている 2009年度の熱傷患者については 外来患 伸彦先生 者数は332名 入院患者数は69名であった た症例に対して 現在は bfgf製剤を用いて約5週間まで は保存的療法を行っており 特に小児において回避できる 液体 料理中の事故や火災などが多いという 重症熱傷は 手術の手順を示した資料を作成し 麻酔科 手術部担当看 火災や労災事故が多い 周囲に工場が多いことから 広範 護部に配布する 物品の準備はもとより 術中にスタッフ全 囲深達性熱傷や化学熱傷などの特殊な受傷機転による熱 員が手技と手順を理解していることが 安全でスムーズな 傷も少なくない 手術につながるのである 迎先生は 若手医師の教育にも熱心である 熱傷は特殊 熱傷の治療方針 な外傷であり 治療経験を積む場が限られている その点 初期管理の重要性 同院は熱傷の外来患者も多く 手術数も多い 実際に患 形成外科スタッフ 者さんに接していくことで 患者さんを思いやる診療がで きるようになります また 初期治療から参加するからこそ 傷では複数回の手術が必須となるが 最も重要である初回 治療経過がよくわかるのです 若い形成外科医には 積極 手術を成功させるには 初期管理 全身管理 がポイントと 的に実地を経験してほしいと願います 受け入れる私たち なる 熱傷手術を3段跳びに例えると 初回手術となる最初の ホップでは助走をトップスピード つまり全身状態をできる bfgf製剤 使用例 同科では 手術に備えて 術前2日までに 形成外科医が で 幼小児では高温液体による受傷が多く 成人では高温 ドマン 早期創閉鎖 植皮 が原則である 広範囲深達性熱 ③ 受 傷 5カ月後 中 心部も含め 肥厚性 瘢痕が生じていない 手術が増えたという 熱傷治療をスムーズに行うために 受傷機転は 軽度の場合は家庭内での受傷がほとんど 広範囲熱傷においては 早期の壊死組織除去 デブリー ②受傷4週間後 ほ ぼ治癒した状態 従 来であれば赤みを帯 びたD D B 受 傷 部 位 は肥厚性瘢痕となる 可能性が高いが 平 坦である 役割を担う栄養管理を求めるという この厳密な初期管理 もできる限りフォローアップするつもりでいます と 迎先 が 迎先生の目指す術前のトップスピードにつながるわけで 生はエールを送る ある だけ良好に保ち 次のステップ ジャンプへと持続しながら 全身管理と局所管理は表裏一体を成すものです 車の 確実な距離 植皮生着 を獲得していくことが 患者の救命 両輪のごとく 連動しなければなりません それには 初期 につながります と 迎先生は解説する 治療から局所管理のスタッフも参加して 忌憚のない意見 そうした考えのもと 同院の救命救急センターでは チー を交わすことが大切です その点 当院では麻酔医を中心 ム医療を実践し 形成外科も合同カンファレンスへ参加し とした部門と 当科 そして看護部門やリハビリ部門などが て局所管理の立場から ①初回手術を念頭においた過剰輸 常に意見交換を行っており 真のチーム医療を行っている 液に陥らない輸液管理と呼吸管理 ②予後の改善に重要な と自負しています と 迎先生は語る bfgf製剤 非使用例 創傷と感染 5歳 男児 沸かしすぎた浴槽へ転落して受傷 写 真は受傷1年後 腋窩部 胸部の一部には皮膚移 植している 腋窩部に瘢痕収縮が生じ うまく腕が 上がらない 感染創の病態と診断 治療方針 外来診療 月曜 土曜 8 30 11 00 土曜は第2 4週のみ 午後は予約 紹介患者の診療 企画 発行 科研製薬株式会社 株式会社協和企画 800-0295 北九州市小倉南区湯川5-10-10 電話 093-921-0560 代表 2010年12月作成 FGF170-10L-08-KY1 表紙の写真 椿