特集 ケーブルの技術動向 2 屋内配電用ケーブルの種類と特徴 Kind and Characteristic of Indoor Power Cables ひがし かわ よし ふみ 東 川 善 文 キーワード ビニル絶縁電線 ビニル絶縁ケーブル 架橋ポリエチレン絶縁ケーブル 消防用ケーブル EM 電線 ケーブル (軟銅線) 14 はじめに 本章では ビルや工場内配線などで使用される主な電 図 1 線 ケーブルについて それらが開発 採用されてきた経 緯や種類 特徴について述べる IV の構造 24 ビル 工場配線用電線 ケーブル ビルや工場の屋内配線には 0** V ビニル絶縁電線 IV ビニル絶縁ケーブル VV 及び高圧 低圧架 橋ポリエチレン絶縁ケーブル CV が主とし て使われている また 消防法で定められた非常電源回路 介在 図 2 では 耐火電線 FP や耐熱電線 HP が使われている,4+ 0** V ビニル絶縁電線 IV 押さえテープ VVR の構造 屋内用電線としては 当初 天然ゴム絶縁 綿編組 パ ラフィン塗料引きの 0** V ゴム絶縁電線が使われていた その後 アメリカから輸入されたビニルが使用されるよう になると ほとんどの屋内用電線は IV 図 1 に変わって いった+ ビニルは それまでの天然ゴム 綿糸と比較すると 耐 図 3 VVF の構造 久性に富み 油 水 湿気などに強く 着色も容易という 特長から 急速に普及するようになったが 当初は ビニ は 従来の 0* 定格を 1/ に上昇させて使用できる耐熱 ル絶縁層が強 靭で 端末の鉛筆削りや段剥きが難しくて不 ビニルが完成し +31- 年には耐熱ビニルを用いた最 評を買ったこともあった また 耐寒性 特に低温時の配 高許容温度 1/ の 0** V 二種ビニル絶縁電線 HIV の日 線工事で IV を地上に延線し衝撃を与えると亀裂が発生 本工業規格 JIS が制定された, するような欠点があったため 品質上問題になったことも,4, ビニル絶縁ケーブル VV あった VV 図 2 3 も IV と同様にゴム絶縁からビニル絶縁 + その後 ビニル材料の改良検討が続けられ 可塑剤や 充 填剤の研究 塩化ビニル樹脂の改良により +3/1 年に ケーブルに変わったもので +3/. 年に全面 改正された電気工作物規程に初めて低圧ケーブルの一つと して,. 心の丸形 VVR 及び平形 VVF が規定された, 住電日立ケーブルῌ管理本部技術部 +300 年, 月生まれ 愛知県出身 +33* 年三重大学大学院修士課程 修了 同年住友電気工業ῌ入社,**- 年住電日立ケーブルῌ出向 8 568 +30, 年施行の電気用品取締法の対象となってからは IV のようにがいし引き配線や電線管配線などの処理が不 電気設備学会誌,**0 年 2 月
絶縁チューブ スリーブ 絶縁体線心 熱硬化性樹脂 A0 回路2電源 1 A1 台所スイッチ 1 W イ R ロ A2 A3 A4 A5 A6 台所換気扇 1 ロ 台所シーリング 1 イ 台所コンセント 1 勝手口ブラケット 1 ハ 勝手口スイッチ 1 ハ VVFケーブル 識別表示 写真ῌ2 硬質塩ビ容器 押さえテープ 0** V CV の構造 ゴム絶縁 特に SBR は浸水課電すると著しく絶縁抵抗が 低下し 問題を起こしたこともあった 次いで 天然ゴ 平角型タイプ 図ῌ4 介在 VVF ユニットケーブル構造図 ム絶縁クロロプレンシースケーブル RN やブチルゴム絶 縁クロロプレンシースケーブル BN などが使用されてき た+ ゴム材料に替わってプラスチック材料が用いられるよう になってからは 前項に述べた VV や ポリエチレン絶縁 モールド部 ケーブル EV が使用されるようになった ポリエチレン絶縁体は 電気的特性は優れているが 熱可 VVF 塑性で熱変形するため故障大電流に弱く また軟化温度が ++* 位であるため電流容量があまり大きくとれないとい う欠点があった ポリエチレンの電気的特性を活かしつつ 耐熱性を向上させるために 鎖状につながったポリエチレ ン分子同士を結合させること 架橋 を検討した+ +3/2 年 写真ῌ1 VVF ユニットケーブル布設状況 ごろに General Electric Co4 G4E 社 アメリカ が有機 過酸化物を用いてポリエチレンを架橋する化学架橋の技術 要であることから 屋内 屋外の低圧用として電力回路に を開発すると 国内の大手電線メーカはその技術を導入し 広く使われるようになり 特に これらの実績を基に て架橋ポリエチレン製造技術を確立し 架橋ポリエチレン +30. 年に JIS が制定されると VVF は引込口配線及び屋 が電力ケーブルの絶縁体の主流を占めるようになった, 内配線の主流のケーブルとなり 現在でも同様に使われて 架橋ポリエチレンの開発は絶縁材料として画期的な開発で いる あり 現在でも低圧 0** V から超高圧 /** kv ケーブル, 特に ビル マンション アパート 一戸建て住宅など の配線では あらかじめ工場で VVF を所定の回路どおり の絶縁体に用いられている最も重要な絶縁材料である 写 真ῌ2 に接続加工した VVF ユニットケーブルが多く使われてい 0** V CV ケーブルは ビル用低圧幹線に多く使われて る 図ῌ4 写真ῌ1 このケーブルは 工場で回路結線さ おり 従来は各フロアで接続箱を設け フロアごとにケー れ ケーブル表面に 線番表示 行先表示 カラー識別が ブルを切断し接続分岐していた しかしながら 高度成長 施された仕様で工事現場に納入されるため 誤結線による 期の配線作業の人手不足の対応策として 信頼性の向上と トラブルを低減でき 配線作業が容易で 作業時間を短縮 配線工事の省力化を目的に +302 年ごろから 幹線ケー できることから 高品質で コスト低減を図ることができ ブル 主として 0** V CVT ケーブル に 電力量計や分電 るものである 盤に至るまでの分岐線 主として 0** V CV 単心ケーブル,4- 架橋ポリエチレン絶縁ケーブル CV を所定の長さと間隔であらかじめ工場で取り付け加工を 行った低圧プレハブ分岐付ケーブルが商品化され 現在で 低圧の地中電力用ケーブルとしては 紙ベルトケーブル は ビル用低圧幹線として一般的に使用されている さら や天然ゴム絶縁天然ゴムシースケーブル RR や鉛被ケー に 最近では 低圧プレハブ分岐付ケーブルの幹線を分割 ブル RL が使用され 絶縁体材料としては 天然ゴム以 し コネクタを取り付けてモジュール化したモジュールブ 外にスチレン ブタジエンゴム SBR も使用されてきた ランチ HMB TMB が商品化されている このケーブ J. IEIE Jpn. Vol.,0 No. 2 569 9
耐燃性ポリエチレンシース ポリエチレン絶縁体 耐火層 吊止装置 写真ῒ3 分岐部 高圧プラグインブランチケーブルの布設状況 ルは モジュール単位 例えば 0 階分程度 の小型の低圧プ レハブ分岐付ケーブルを建物建設の仕上がりに合わせて納 写真ῒ4 耐火電線 FP の構造 入 施工し モジュール相互は 工場で取り付けられた接 続コネクタで容易に接続ができるものであり 布設工事の 金属化成紙 工程確保が容易になり 作業者も少人数で済ませることが でき 工期の短縮とコスト低減を図ることができるものと なっている また 上層階でのサイズダウン 段落と し が可能な場合においては コネクタ部でケーブルサイ ズを変えることができるため対応しやすい 高圧配線においても 0 0** V CV ケーブルを使った高 圧プラグインブランチケーブルが商品化されており 主と して大型高層ビルの高圧幹線で使われている 写真ῒ3,4. 消防用ケーブル 写真ῒ5 ビル内配線では 消防法で定められた非常電源回路があ り 消防庁の規定に基づき認定された耐火電線 FP 耐 熱電線 HP が用いられる 耐火電線 FP は 総務省消防庁告示第 +* 号 +331 年 に基づき認定された電線で 耐火性に優れた耐火層を施す 耐熱電線 HP の構造 34 環境配慮型電線 ケーブル EM 電線 ケーブル EM EcoῒMaterial 電線 ケーブルは 先に述べた IV ことによって -* 分間で 2.* に達する火災温度曲線で加 VV CV などと同じ用途に使うことができる環境に配慮 熱されても耐えうる性能を有し 非常電源回路への使用を した電線 ケーブルである 図ῒ5 写真ῒ6 普及のきっ 認められた電線である 写真ῒ4 かけは +332 年 - 月に国土交通省 旧建設省 官庁営繕部 露出配線に限って使用できるもの FP と露出配線及び で 環境配慮型官庁施設計画指針 通称 グリーン庁舎プ 電線管内 ダクト内などの密閉配線の両方に使えるもの ロジェクト が策定されたことによる この指針に基づ FPῒC の, 種類がある が ほとんどの電線メーカは き ῌ日本電線工業会が環境配慮型電線 ケーブルの規格 FPῒC タイプの認定品を製造し 販売している 作成の要請を受け 電力ケーブルから通信ケーブルまで +/ 耐熱電線 HP は 総務省消防庁告示第 ++ 号 +331 年 に基づき認定された電線で 耐熱性に優れた絶縁 シース 材料を使用することで +/ 分間で -2* に達する火災温度 規格が日本電線工業会規格 JCS として制定された その 後 最も汎用性のある. 規格について JIS が制定された 表ῒ1 曲線で加熱されても耐えうる性能を有している 写真ῒ5 EM 電線 ケーブルの特長は 次のとおりである 火災発生時の非常放送用スピーカ 非常ベル起動装置など ハロゲン元素を含まないため有害なハロゲン系ガスを の弱電回路の配線に使用する電線であり +** V の低圧 発生しない 回路には使用することはできない また 火災報知設備に 鉛などの重金属を含まず土壌汚染がない おける感知器の信号伝送回路用などに主として使用される 燃焼時の発煙量が少ない 警報用電線 AE は 屋内 屋外の両方に使用できる一般 ῐ腐食性ガスを発生しない 用と屋内のみに使用できる屋内専用の, 種類がある ῑビニルケーブルと同等の難燃性がある 10 570 電気設備学会誌,**0 年 2 月
耐燃性ポリエチレン (ノンハロゲン難燃)絶縁体 図 5 改良品 EM IE/F の構造 従来品 耐燃性ポリエチレン (ノンハロゲン難燃)シース 写真 7 EM IE/F 電線のこすれ白化試験 ケーブル 単心3個より形の例 写真 6 表 1 弊社品名記号 250 mm EM 0** V CET/F の構造 JIS 規格対応の EM 電線 ケーブル JIS 記号 EM CEE/F EM CCE/F CEE/F CCE/F EM CE/F EM EEF/F EM CEF/F EM 0 CE/F EM 0 CET/F 0 CE/F 0 CET/F EM IE/F EE/F CE/F EEF/F CEF/F IE/F JIS 規格名称 JIS 規格番号 制御用ケーブル JIS C -.*+ 0** V ポ リ エ チ JIS C -0*/ レンケーブル 高圧架橋ポリエ JIS C -0*0 チレンケーブル,**耐燃性ポリエチ JIS C -0+, レン絶縁電線 W た わ み 量 W 荷重 柔軟性の比較 EM CEE/F 4 2 mm2 140 開発品 従来品 120 100 た わ 80 み 量 60 mm 40 ῌビニルを絶縁体に用いた電線に比べて 耐熱温度が高 い 1/ ため 許容電流が大きくとれる 被覆材をポリエチレン系に統一しているため リサイ 20 0 0 50 100 150 200 250 300 荷重 g 図 6 クル対応が容易である EM CEE/F ケーブルの片持ち梁による たわみ量評価試験結果 EM 電線 ケーブルが発売されてから約 2 年が経過する が 発売当初には 布設時にこすれて白い筋が目立つとか て 柔軟性が劣っていた しかしながら 材料の改良など ケーブルが硬いなど 従来のビニル電線 ケーブルに比べ により ケーブルの柔軟性を向上させ 施工性の向上を て取扱い性が劣る部分についての指摘があったが 徐々に 図った 図 6の片持ち梁によるたわみ量評価試験で 改 改善されてきている 良品は 従来の EM 電線 ケーブルに比べておよそ, 倍の -4+ こすれ白化性の向上 たわみ量を実現することができた 弊社では この改良材 EM 電線 ケーブルは 強くこすったり 配管の角など 料をケーブルの柔軟性が主として要求される EM 制御 弱 でこすられたりすると白い跡が目立つ傾向があったが 材 電計装ケーブルに採用している 料の改良などにより 写真 7のように 弊社の初期の -4- 耐水 耐アルカリ性の向上 EM IE/F 電線と比較すると現在の電線は耐こすれ白化特 電線管配線は コンクリート内に配管した電線管に絶縁 性が大きく改善している 電線を配線する工法である コンクリート内の電線管接続 -4, ケーブルの柔軟性向上 部などから コンクリート養生水 アルカリ性の水溶液 が EM 電線 ケーブルは 被覆材料にポリエチレン系材料 電線管内に滲み出すことがあり これに気づかずに EM を使用しているため 従来のビニル電線 ケーブルに比べ IE/F 電線を配線してしまうと アルカリ性の水溶液の影 J. IEIE Jpn. Vol.,0 No. 2 571 11
EM IE/F EM IE/F 4 EM EM +, - JESC E**,*/IEIEJ G ***/ /,/* A. --2 FAX FAX FAX *- /2*/ -,0/ 12 572,**0 2