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発電技術特集技術論文 43 火力発電プラント水処理技術 ( 現状と展望 ) Water Quality Control Technology for Thermal Power Plant (Present Situation and Future Prospects) *1 椿崎仙市 *2 和田貴行 Senichi Tsubakizaki Takayuki Wada *3 徳本壮男 *4 市原太郎 Takeo Tokumoto Taro Ichihara *5 木戸遥 *5 髙橋俊介 Haruka Kido Shunsuke Takahashi 火力発電プラントにおいてプラント水処理は, ボイラ タービン系統内での腐食発生, スケール生成 付着, タービンへのキャリオーバなどの障害を防止するために実施されている 1959 年以降, 機器不適合の対策として水処理方法の改善が行われており, 火力発電プラントにおけるボイラ タービンの要求水質は,JISB8223 として制定され, 現在, 定期的な改正手続きに当社も参画している 近年, プラントの老朽化や稼働率の向上, 環境対策に関連する水処理方法が検討されているが, 当社が取り組んでいるプランと水処理に関する新技術 新製品パッケージについて紹介する 1. はじめに 火力発電プラントにおいて, プラント水処理は, ボイラ タービン系統内での腐食発生, スケール生成 付着, タービンへのキャリオーバなどの障害を防止するために実施されている 日本工業標準調査会一般機械部会に設置された ボイラの給水及びボイラ水専門部会 において水質基準に関する審議が行われ,1961 年 2 月に,JISB8223 ボイラの給水及びボイラ水の水質 が制定された 火力発電プラントにおけるボイラ タービンの要求水質 (JISB8223) は, 現在, 運転の実績や新技術, 機器不適合などを反映して定期的に改正が行われており, 当社も参画している (1) また近年, プラントの老朽化や稼働率の向上, 環境対策に関連し, 当社はプラント水処理関連の新技術 新製品パッケージ (1 酸素処理 (CWT: Combined Water Treatment) 適用プラントにおけるパウダースケール付着対策,2 流れ加速型腐食 (FAC: Flow Accelerated Corrosion) 対策及び脱ヒドラジン,3 海水リーク時のタービン汚染防止対策 ) を開発している 2. 火力発電プラントの水使用系統 図 1に火力発電プラントの水使用系統の一例を示す (2) 発電所の主系統の水は, 復水 ボイラ給水 ボイラ水 ( ボイラ ) 蒸気 ( タービン ) 復水と循環しており, 損失分を補給水として供給している 水処理関連の設備としては,1 工業用水などの原水を処理して高純度の水を供給する補給水処理装置,2 腐食しない水を調整し監視する薬品注入装置及び水質監視計器,3プラント内の循環水を浄化する復水処理装置 ( 主に貫流ボイラに設置 ) を保有している また,4 火力発電プラントの機器及び施設からの排水を浄化するため, 排水処理装置が設置されている *1 原動機事業本部サービス事業部長崎サービス部主席技師 *2 原動機事業本部サービス事業部長崎サービス部 *3 原動機事業本部サービス事業部高砂サービス部 *4 原動機事業本部サービス事業部横浜サービス部 *5 エンジニアリング本部エンジニアリング総括部機器設計部

44 図 1 火力発電所の水使用系統の一例 3. 火力発電プラントの水処理の変遷 国内火力発電プラント水処理の変遷を図 2に, 損傷事例と水処理の関連を表 1に示す また, ボイラ給水及びボイラ水の処理方式を表 2に示す (3) 図 2において,1959 年に亜臨界圧ドラム型ボイラ (17MPa 級 ) が建設され, アルカリ処理を適用して運転が開始されたが, 運転開始後, 半年程度で水冷壁管のアルカリ腐食トラブルが頻発し, 緊急に給水 ボイラ水処理技術の改良を迫られた このため, ヨーロッパで開発が進められていたアンモニアとヒドラジンによる揮発性物質処理 (AVT: All Volatile Treatment) が導入され,1960 年から亜臨界圧ドラム型ボイラに,1961 年には貫流ボイラに適用されて良好な結果が得られた 以後急速に普及し, 新鋭の大容量火力ではほとんど AVT が採用された 1965 年代中盤に, 蒸発管内面スケールの経年調査結果から, りん酸塩処理 (PT: Phosphate Treatment) に対する見直しが行われ, ドラム型高圧ボイラに対して, りん酸イオン濃度を3mg/L 以下の低値に保ち, かつアルカリ腐食防止の観点からりん酸ナトリウムの Na/PO 4 モル比を 2.5~ 2.8 に調整する低りん酸塩処理 (Low pht: Low ph Treatment) を採用することにより, 蒸発管スケールの成長速度の低減とスケール性状の安定化が図られ, ボイラの化学洗浄周期の延伸などの効果が実証された 表 1 火力発電プラント損傷事例と水処理の関連 年代 新規腐食関連損傷事例 水処理の動向 1940 蒸発管の孔食, 脆化 タービン各部材の割れ 1950 米国から技術導入 蒸発管のアルカリ腐食 りん酸塩処理(PT), 揮発性物質処理 (AVT) 適用 アルミ, 黄銅製復水器管のアンモニア腐食 ボイラ化学洗浄の適用 1960 蒸発管スケールによる過熱, 差圧上昇 JIS 制定 (1961 年 2 月 1 日 ) 給水加熱器インレットアタック 酸素処理適用( ドイツ, ロシア ) 1970 過熱器管, 再熱器管スケール剥離 チタン製復水器採用 腐食疲労 全量復水処理装置の採用 1980 給水加熱器ドレンアタック 事業用コンバインドサイクルプラント運転開始 JIS に酸素処理制定 (1989 年 ) 1990 酸素処理によるバルブの腐食 酸素処理実用化へ 2000 流れ加速型腐食(FAC) 原子力で High-AVT 検討へ 酸素処理パウダースケール付着 (FAC 対策 )

45 図 2 国内火力発電プラント水処理の変遷 表 2 ボイラ給水及びボイラ水の処理方式 処理方式 給水 水質調整ボイラ水 適用区分 JIS B8223 アルカリ処理 (CT) アンモニアヒドラジン 苛性ソーダ (NaOH) 第 3 りん酸ソーダ 低 中圧ドラム型ボイラ りん酸塩処理 (PT) りん酸塩処理低りん酸塩処理 アンモニアヒドラジンアンモニアヒドラジン 第 3 りん酸ソーダ 第 2 りん酸ソーダ第 3 りん酸ソーダ 中圧ドラム型ボイラ中圧 高圧ドラム型ボイラ 1961 年制定 揮発性物質処理 (AVT) アンモニア, ヒドラジン AVT(O): アンモニアのみ 高圧ドラム型ボイラ貫流ボイラ 酸素処理 (OT) 中性水処理 (NWT) 複合水処理 (CWT) *1 酸素 アンモニア酸素 高圧ドラム型ボイラ ( 復水脱塩装置有 ) 貫流ボイラ 1989 年制定 アルカリ処理 : CT (Caustic Treatment) 酸素処理 : OT (Oxygen Treatment) りん酸塩処理 : PT (Phosphate Treatment) 中性水処理 : NWT (Neutral Water Treatment) 揮発性物質処理 : AVT (All Volatile Treatment) AVT(O): All Volatile Treatment (Oxidizing) 複合水処理 : CWT (Combined Water Treatment) *1 国内では, 複合水処理 (CWT) を酸素処理と称す AVT と Low pht は, 溶存酸素をできるだけ低く抑えることにより, 系統構成材料の防食やスケール付着を抑制し, 水に起因する障害の防止が図られてきた これに対し, 適量の溶存酸素を含む高純度水を用いることにより, 大きな防食効果が得られる CWT は, ドイツ, ロシアなどにおける実績を基に国内で検証試験が行われ,1989 年に初めて JIS B8223 に水質管理基準が掲載された その後,1990 年, 我が国で初めて事業用大容量貫流ボイラに CWT が適用され,2013 年 3 月末現在で 53 プラントで運用されている 4. 火力発電プラント水処理に関する新技術 新製品パッケージ 4.1 CWT パウダースケール付着対策図 3に AVT と CWT の蒸発管内面スケールの違いを示す CWT 適用による効果としては,1スケール成長速度抑制による化学洗浄頻度の低減,2 波状スケール生成抑制によるボイラ差圧上昇の低減,3 構成機器へのスケール付着の低減などが挙げられる なお, 近年, いくつかの CWT 適用プラントにおいて, ボイラへの鉄持込み量の増加と, ボイラ火炉壁管内面にヘマタイトスケールの付着が認められ, 火炉壁管メタル温度上昇の要因となっている 付着しているヘマタイトスケールは, 熱伝導率の低い小粒径のポーラス状であることから, パウダースケール と称されている

46 パウダースケールの低減対策としては, ボイラへの鉄持込み量を低減する必要があり, 表 3に示すようにボイラ入口 ( 節炭器入口 ) 鉄濃度を2μg/l 以下 (1μg/l 以下を目標 ) とする水質基準 ( 推奨値 ) を設定した また, プラント系統内における鉄の物質収支について調査を行った結果, 主な発生源と推定される低圧給水加熱器ドレン系統の鉄濃度低減が必須と考えられ, 高温フィルタによる鉄除去装置を開発し, 実機へ設置して良好な結果を得た (4) 図 3 AVT と CWT の火炉蒸発管内面スケールの違い表 3 貫流ボイラユニット :CWT 運用時の水質基準 ( 当社推奨値 ) 推奨値 節炭器入口 ph 8.5~9.3 (9.0) 溶存酸素 (μg/l) 20~200 (50±30) 鉄 (μg/l) 2 以下 (1 以下 ) 電気伝導率 (ms/m) 0.02 以下 ( ) は制御目標値 4.2 FAC 及び脱ヒドラジン図 4に海外コンバインドサイクルプラントにて発生した排熱回収ボイラ (HRSG) の FAC による配管減肉の事例を示す 本事例では, 運転時間 3 年で低圧蒸発器ベンド部において,1.2mm の減肉が確認されている この対策として, 原子力プラントなどに適用されている JIS B8223(2006) の給水の水質管理基準値 ( 上限 ph9.7) を超える高給水 ph 運用の揮発性物質処理 (High-AVT) を推奨している 図 5に示すように高い ph では,FAC の速度が低減することが確認されており, FAC による配管減肉の抑制が期待されている 図 4 FAC の事例 (6) 図 5 ph と FAC 速度との関係

47 High-AVT 水処理は, メキシコトゥクスパン2 号コンバインドサイクルに適用 (5) したが,2001 年の営業運転開始から 10 年以上経過後も機器点検において異状は確認されず, 良好な運転実績が得られている また,pH を高く設定することにより, プラント長期保管中も錆が発生しないことが確認できており, ヒドラジンを使用しない水処理への変更 ( 脱ヒドラジン ) が可能となる 4.3 海水リーク時のタービン汚染防止対策図 6に海水リークによる影響事例 ( ボイラ ) を示す プラント系統内に侵入した海水がボイラで濃縮し, 生成した塩酸による酸腐食で機器の損傷が発生する これまで, 海水漏洩は, 銅合金製の復水器管の腐食など経年劣化によるものであり, チタン製復水器管を採用することにより防止できると考えられてきたが, 図 7に示すように, 当社の 30 年間の実績では, チタン製復水器管の機械的損傷による海水漏洩が半数以上であることが確認されている 噴破部の管内面状況厚い硬質のスケールが付着している 噴破部の管外面状況 ( 飛散破片を復元 ) 開口部に変形がなく脆性破断を生じている 電子線マイクロアナライザによる Cl の検出管材の粒界き裂部に塩素 (Cl) の濃縮が見られる 図 6 海水リークによる影響事例 ( ボイラ ) 図 7 海水リーク発生状況 (1981-2010 年 : 当社対応件数 ) また, 図 8は海水リーク発生時に直ちにプラントを停止した事例であるが, 停止過程においてもタービングランド部の蒸気減温用スプレイに海水が混入した復水が供給されるため, 錆が発生するレベルを超える塩分がグランド部に付着することが確認されている 本系統の汚染防止対策 ( 浄化システム ) を製品化し, 実機への適用を検討中である

三菱重工技報 Vol.50 No.3 (2013) 48 図8 海水リークによる影響事例 タービン系統の汚染範囲 5. まとめ 火力発電プラントの水処理技術は 腐食 スケール付着など機器の損傷対策として検討 改善 されてきた 図9に示すように水質の異常は トラブル発生の予兆と考えられるので 情報を整理 して必要な措置をとることにより 重大トラブルを未然に防止することができる また 現在当社が取り組んでいる新技術 新製品パッケージは プラントの老朽化や稼働率の 向上 環境対策に関連し 適用するメリットが期待できる 図9 水質診断結果から予想されるトラブル 一例 参考文献 (1) JIS B8223-2006 ボイラの給水及びボイラ水の水質 (2) 椿﨑 市原 木戸 火力発電所における水処理設備と水質管理 分離技術 第 41 巻第3号 2011 (3) 椿﨑 現場に密着した保守技術 60 水処理の大切さ 火力発電プラントの水質管理技術 その1 火力原子力発電 Vol.58 No.11 2007 年 11 月 (4) 高田ほか 酸素処理法適用プラントにおけるパウダースケールトラブル対策検討 平成 23 年度火力原 子力発電大会論文集 2012 (5) 内田ほか 海外コンバインドサイクルプラントにおける High-AVT 高 ph 水処理 の運転実績 火力原 子力発電 Vol.63 No.12 2012 年 12 月 (6) 村田ほか 回転円板法による FAC 影響パラメータの検討結果 材料と環境 2006 講演集 2006