図 1 AEO2008 及び前回発表における1980~2030 年の米国液体燃料供給 消費及び純輸入 ( 百万バレル / 日 ) 前回発表 消費 純輸入 前回発表 生産 3.AEO2008 基準ケースの統計及び分析 (1) 石油価格 EIAの世界的石油価格は前年より高い数値となっているが 現在の記録

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Transcription:

米国の長期エネルギー展望 (2008 年改訂版 ) について 米国エネルギー省 (DOE) エネルギー情報局 (Energy Information Administration:EIA) は 米国のエネルギー需給及び価格に関する長期である年次エネルギー展望 (Annual Energy Outlook:AEO) を毎年発表している これは エネルギー省その他の政府機関の政策的立場を反映したものではなく 従って は政策的に中立で 政策の評価分析に使われ得るとされている 2008 年版 AEO(AEO2008) の速報版が2007 年 12 月に発表されたが この直後に エネルギー自立 安全保障法 (EISA) が成立したことを受けて見直しが行われ その改訂版が 2008 年 3 月に発表された 以下に 改訂されたAEO2008の基準ケース 1 の概要を紹介する 1.AEO2007からの変更の概要米国の経済成長は 労働生産率の成長率の低下が主な原因となり 成長率を鈍化させた 石油及びガスの価格のは 引渡しエネルギー価格とともに引き上げた 全体的なエネルギー需要 エネルギー輸入 エネルギー起源の二酸化炭素排出量の伸びは緩やかにした 他方 非水力発電の再生可能エネルギーのは 成長速度を高めた 国内石油生産のも増加させた 2.AEO2008に対するEISAの影響 AEO2008 基準ケースの改訂に使われたエネルギー自立 安全保障法 (EISA) の条項には 新規の再生可能燃料基準 (Renewable Fuels Standard :RFS) と新規の企業平均燃費 (Corporate Average Fuel Economy :CAFE) 基準 新規の家電及び照明エネルギー効率基準 連邦政府エネルギー消費削減条項 産業電気モーターの新規効率基準が含まれている 歳出予算が必要な又はエネルギー市場への影響が不透明なEISA 条項はAEO 基準ケースに含まれていない EISAの影響によって 米国の総エネルギー消費と温室効果ガス排出の2030 年までの予測量は大幅に減少している 2006 年から2030 年の期間に米国のエネルギー消費は18.5 千兆 Btu または 4.3% 増加し 総量 118 千兆 Btuとなる これはEISAが関与しなかった前回の基準ケースよりも 5.3 千兆 Btuまたは4.3% 減少 また2030 年までの成長が22.3% 減少した数値である 2030 年のエネルギー起源の二酸化炭素排出量は 前回の基準ケースより7% 少ない数値となっている 2008 年から2030 年の間の累積排出量は 前回の基準ケースより53 億トン低くなっている 2030 年の液体燃料消費量は 一日 2280 万バレルと予測されており これは前回の基準ケースより210 万バレル少ない数値 または8.4% の減少である 2030 年における従来型の石油消費量の予測は一日 290 万バレル減少し 液体燃料の総輸入量の予測は一日あたり240 万バレル減少した しかしながら バイオ燃料の利用が増加し 自動車燃費基準が引き上げられるにもかかわらず 2030 年の運輸部門の総エネルギー消費に占める石油製品の割合は 2006 年の96% に対し 依然として 88% であると予測されている 2006 年から2030 年の間 軽車両のガソリン消費は前回の基準ケースでは増加予測が出されていたのと対照的に減少の予測が出されている これは主にバイオ燃料消費の増加が原因となっており 2030 年には296 億ガロンまたは自動車燃料総需要の11% に当たる数値となる見込みである 1 http://www.eia.doe.gov/oiaf/aeo/ -57-

図 1 AEO2008 及び前回発表における1980~2030 年の米国液体燃料供給 消費及び純輸入 ( 百万バレル / 日 ) 前回発表 消費 純輸入 前回発表 生産 3.AEO2008 基準ケースの統計及び分析 (1) 石油価格 EIAの世界的石油価格は前年より高い数値となっているが 現在の記録的な石油価格 (1バレルあたり120ドルに近い ) と比べるとかなり低い数値となっている EIAは 世界的石油消費の増加 非オペック諸国の石油生産増加 予測外の生産増加 オペックの活動を現在の予測考慮に入れている 世界的需要は前回のよりも強気の伸びを示している EIAの予測は長期的な均衡価格を推量したものである 現行価格はこの価格よりも高くなっており これは世界的な経済の安定成長 とりわけ発展途上国における成長が高いことが誘因となっており 石油業界の設備機材 建設資材 専門人員の不足がこの傾向を助長している また 主要生産地域の政治的不安定も要因となっている また 供給原の規模は昨年のEIA 予測から変化していない EIA は オペックが市場シェアを40% に近い数値で2030 年まで維持するために生産量を増やすものと予測している EIAは非オペック生産国の台頭 特にブラジル アゼルバイジャン カザフスタンからの長期的な主要供給も予測している こうした事例において 高い石油価格が近年のインフラ改善や採油 探査技術の進歩と組み合って大幅な石油生産増加を可能とした 現在の石油の高価格と技術的進展が カナダのオイルサンド ( 油砂 ) 生産の採算性の向上にも貢献している EIAはカナダのオイルサンド生産は2030 年までに一日 400 万バレルに達すると予測している -58-

図 2 1980~2030 年のエネルギー価格 (2006 年基準ドル / 百万 Btu) 電気 石油天然ガス石炭 (2) エネルギー消費 2030 年の液体燃料 天然ガスおよび石炭の消費は 前回の基準ケースよりも低い値が予測される 2030 年のエネルギー消費低下はいくつかの要因によるものであり 比較的低い経済成長 エ ネルギー効率の向上した車両や家電 エネルギー価格の増加 エネルギー集約型産業の低成長な どが挙げられる 住宅用及び商業用エネルギー消費の増加予測も住宅在庫や商業用スペースの低成長からマイナスの影響を受けている 米国の産業エネルギー消費は工業生産高の成長にもかかわらず1997 年以来下降線をたどっている 2000 年から2003 年にかけての景気後退 2005 年のハリケーンの被害を受けた産業 および総体的なエネルギーコストの上昇も一部影響している 国外競争の増加 特に比較的エネルギー価格の低い地域からの競争のためにエネルギー集約型産業は 2030 年まで低迷成長を続ける模様である 環境保護庁 (EPA) のCAFE 試験数値は 通常 実際の新車路面走行の燃費よりもかなり高い値となっている ともあれ AEO 基準ケースは 2030 年までに軽車両 (LDV) の平均燃費は一ガロン当たり27.9マイルまで向上すると予測するものであり これは2006 年レベルから 40% 近く改善することとなる この改善は 軽トラックの新車販売低迷 そしてフレックス燃料 ハイブリッド ディーゼルおよびその他の斬新な車両技術を使った車両販売の増加の二つの主要動向が原因であると予測される 現行の基準ケースにおいて予測されている米国における液体燃料の総消費量の減少は大部分が運輸部門に対する新規の軽車両 CAFE 基準が原因となっているものである EISAにはCTL( 石炭液化 ) プラント用の石炭使用の増加予測を下げる効果もあり これは過去においてCTL 能力を高める効果をもたらすはずであった投資資金がBTL( バイオマス液化 ) 能力増加へ流れているためである 改訂 AEO 基準ケースは 再生可能エネルギーの利用が過去に比べ大幅に増加すると予測している 再生可能燃料消費は 昨年のAEOから38.4% 増加して 2030 年に13.7 千兆 BtuとなるとE IAは予測している 2030 年の再生可能燃料の需要は 総需要のおよそ45% を占めるグリッド関連の電力発電 ( 熱電併給を含む ) を主な推進力とすると予測している EISAのRFSは 運輸部門における再生可能燃料使用の急速成長の要因となっている しかしながら EIAは現在のセルロース系バイオ燃料の生産は RFSのセルロース系目標を2022 年以前に達成するためには不十分であると予測しており 目標の下方修正や免責に至る可能性がある 電力発電用の再生 2 2 EIA は エネルギー集約型産業を 食品 大量化学物質 精錬 ガラス セメント 鉄鋼 およびアルミニウムと定義している -59-

可能エネルギーの消費は 再生可能エネルギー生産の最低割合を義務付ける州のRPS( 再生可能ポートフォリオ基準 ) プログラムの改定によって 高い水準に至ると予測されている 図 3 1980~2030 年の部門別調達後エネルギー消費 ( 千兆 Btu) 運輸産業 住宅商業 図 4 1980~2030 年の燃料別エネルギー消費 ( 千兆 Btu) 液体燃料 石炭天然ガス 原子力非水力再生可能エネルギー水力発電 (3) エネルギー集約度米国のエネルギー集約度 ( 国内総生産 (GDP)1 ドル当たりの一次エネルギー消費量 ( 千 Btu)) は引き続き下降するであり これは1980 年以来の減少傾向となっている AEOは2006 年から2030 年の間に更に三分の一減少すると予測するものである これは引き続きエネルギー効率が向上すること および米国経済がエネルギー集約型産業や事業活動から離れる傾向が続くことが減少予測の根拠となっている 米国のエネルギー集約度は1992 年以降 毎年平均 2.0% の割合で減少している これはエネルギー集約型業界による産業出荷高が1992 年の30% から2006 年には 21% まで減少したことが大きな原因となっている AEOは この減少傾向が引き続くと見ており 2030 年までに18% レベルになると予測している そして 一人当たりのエネルギー消費は現状を保ちつつ 2006 年から2030 年の間に毎年 0.1% 減少するである 一方で 米国の人口はこの期間 22% 増加すると予測されており エネルギー消費は19% の増加が見込まれている これは1990 年以来 20% の人口増加および18% のエネルギー消費増加が見られた傾向と類似するものである -60-

図 5 1980~2030 年の一人当たり及び GDP 当たりエネルギー消費 (1980 年 =1) 一人当たりエネルギー消費量 GDP 当たりエネルギー消費量 (4) エネルギー生産と輸入エネルギー輸入は2006 年から2030 年の間 大まかに見て現状維持の傾向が予測されている 消費に対する輸入の割合は2006 年の30% から2030 年の27% に減少するである これは新規の CAFE 基準とEISAで制定されたバイオ燃料の利用増加が主な要因となるものである エネルギーの高価格がもたらす需要成長の減少と国内生産の増加もこの傾向に関与するものとなっている 米国の石油生産は 2006 年の一日 510 万バレルから2018 年には一日 630 万バレルとなって頂点に達するである その後減少傾向をたどり 2030 年には一日 560 万バレルとなる予測が立っている さらに 電力発電は米国における石炭消費量の91% を占めている 2030 年の石炭消費は前回の AEO 基準ケースから下方修正され これは電力需要の伸び悩みおよび原子力発電や再生可能燃料を使った発電が要因の一部となっている 図 6 1980~2030 年の総エネルギー生産及び消費 ( 千兆 Btu) 消費純輸入生産 -61-

図 7 1980~2030 年の燃料別エネルギー生産 ( 千兆 Btu) 石炭 天然ガス液体燃料非水力再生可能エネルギー原子力水力発電 (5) 電力発電米国の電力消費は 年平均 1.1% の割合で2030 年まで拡大すると予測されている これは過去 10 年の傾向と比べかなり鈍化した増加率である これは経済成長の低迷 電力の高価格 EISA 効率向上が主な要因となっている AEO2008 基準ケースにおける米国エネルギーの構成は あまり変化が見られないものとなっている 天然ガス利用は 当初は多少増加が見られるものの 石炭 原子力 再生可能燃料の発電が取って代わるため 以降は減少が見込まれている 再生可能エネルギー利用は2006 年から2030 年の間に70% の増加という かなりの増加が見込まれているものの 市場シェアは天然ガス 原子力 石炭に追随する形で留まるである 原子力は緩やかな増加をする見込みであり 2030 年までに18% の市場シェアを獲得する予測が立っている 最も大幅な動向として挙げられることとして 石炭利用が2006 年の48% から2030 年には54% の市場シェアという最大量の増加を遂げる予測であることが挙げられ この期間 100ギガワットの追加発電能力が加わることとなる しかしながら この数値は前回の基準ケースで示された数値より三分の一少ない予測能力値である AEO2008 基準ケースはCCS( 炭素回収及び隔離 ) 技術を未だ考慮対象としていないものである 図 8 1980~2030 年の燃料別発電量 (10 億キロワット時 ) 電力需要 石炭 原子力天然ガス再生可能燃料液体燃料 (6) エネルギー起源の二酸化炭素排出二酸化炭素排出は燃料消費と燃料の炭素含有量に相対するものである 化石燃料のうち 石炭 -62-

が最も炭素含有量が多く 天然ガスが最小で その他の液体燃料はこの間に位置している 米国の燃料別エネルギーの構成は2006 年から2030 年の間にたいした変化がないと予測されている 同様に 米国の業界別および燃料別二酸化炭素排出量も2006 年から2030 年の間にあまり変化がないと予測されている 米国のエネルギー構成は 2030 年までに全体的な炭素含有量が微減少することが予測されており これはカーボンニュートラル ( 炭素中立 ) な原子力と再生可能エネルギーの市場シェアが多少増加するために 石炭利用の市場シェア増加による炭素排出を埋め合わせる形となることが理由として挙げられる これはエネルギー起源の炭素総排出量が2006 年から2030 年の間に16% 増加するという予測につながるものである この期間 米国のエネルギー総消費量は19% 増加すると見込まれている したがって 米国のエネルギー消費の炭素集約度は多少減少することとなる 米国国内総生産は2006 年から2030 年の間に79% 成長するであり これは炭素排出量増加率の5 倍近い率となっている AEO 基準ケースは全体的に見て米国経済はかなり炭素集約度が減少した形を取ると予測している 同期間中の米国人口の増加を考慮し EIAは一人当たりの炭素排出量が5% 減少すると見込んでいる 現行 AEO 基準ケースは 2006 年から2030 年の間にエネルギー起源の炭素排出量がおよそ10 億トン増加すると予測している これは前回の基準ケースに示された2030 年の予測値から11 億トン減少した数値であり 飛躍的な減少であると言える 図 9 部門別燃料別米国 CO 2 排出量 ( 百万トン ) 運輸産業商業住宅 その他 石炭 天然ガス 石油 -63-

表 1 AEO2008 及び AEO2007 の基準ケースにおける 2006 年 ~2030 年のエネルギー総供給 エネルギー及び経済要因 2006 2010 2020 2030 AEO2008 AEO2007 AEO2008 AEO2007 AEO2008 AEO2007 一次エネルギー生産 ( 千兆 Btu) 石油 13.16 15.03 14.42 15.71 14.85 14.15 13.71 乾性天然ガス 19.04 19.85 19.93 20.24 21.41 20 21.15 石炭 23.79 23.97 24.47 25.2 26.61 28.63 33.52 原子力 8.21 8.31 8.23 9.05 9.23 9.57 9.33 水力発電 2.89 2.92 3.02 3 3.08 3 3.09 バイオマス 2.94 4.05 4.22 6.42 4.69 8.12 5.26 他の再生可能エネルギー 0.88 1.51 1.18 2 1.33 2.45 1.44 その他 0.5 0.54 0.67 0.58 0.89 0.64 1.12 計 71.41 76.17 76.13 82.21 82.09 86.56 88.63 純輸入 ( 千兆 Btu) 石油 26.69 23.93 25.19 24.03 28.92 26.52 34.74 天然ガス 3.56 3.96 4.67 3.66 5.48 3.28 5.59 石炭 / その他 (-は輸出を示す ) -0.28-0.84-0.19 1.06 0.93 1.86 1.57 計 29.98 27.04 29.66 28.75 35.33 31.66 41.9 消費 ( 千兆 Btu) 液体燃料 40.06 40.46 41.76 42.24 46.52 43.99 52.17 天然ガス 22.3 23.93 24.73 24.01 27.04 23.39 26.89 石炭 22.5 23.03 24.24 25.87 27.29 29.9 34.14 原子力 8.21 8.31 8.23 9.05 9.23 9.57 9.33 水力発電 2.89 2.92 3.02 3 3.08 3 3.09 バイオマス 2.5 3.01 3.3 4.5 3.64 5.51 4.06 他の再生可能エネルギー 0.88 1.51 1.18 2 1.33 2.45 1.44 純電力輸入 0.19 0.18 0.04 0.17 0.04 0.2 0.04 計 99.5 103.3 106.5 110.8 118.16 118 131.16 液体燃料 ( 百万バレル / 日 ) 国内原油生産 5.1 5.93 5.67 6.23 5.89 5.59 5.39 その他の国内生産 3.19 3.69 4.03 4.46 4.49 4.85 5.08 純輸入 12.45 11.39 11.79 11.36 13.56 12.41 16.37 消費 20.65 20.99 21.59 21.96 24.03 22.8 26.95 天然ガス ( 兆立方フィート ) 生産 18.57 19.35 19.42 19.73 20.86 19.49 20.61 純輸入 3.46 3.85 4.55 3.55 5.35 3.18 5.45 消費 21.66 23.25 24.02 23.33 26.26 22.72 26.12 石炭 ( 百万ショート トン ) 生産 1,177 1,179 1,202 1,281 1,336 1,467 1,704 純輸入 -15-34 -7 46 41 78 68 消費 1,114 1,145 1,195 1,327 1,377 1,545 1,772 価格 (2006 年基準ドル ) 輸入低硫黄軽質原油 ( ドル / バレル ) 66.02 74.03 59.23 59.7 53.64 70.45 60.93 輸入原油 ( ドル / バレル ) 59.05 65.18 52.76 51.55 47.89 58.66 53.21 国内天然ガス井戸元価格 ( ドル / 千立方フィート ) 6.42 6.33 5.93 5.44 5.39 6.63 6.16 国内石炭マインマウス価格 ( ドル / ショート トン ) 24.63 26.16 24.94 22.51 22.24 23.32 23.29 平均電力価格 ( セント / キロワット時 ) 8.9 9.2 8.3 8.6 8.1 8.8 8.3 経済指標実質 GDP (2000 年基準 10 億ドル ) 11,319 12,453 12,790 15,984 17,077 20,219 22,494 GDP 価格指標 (2000 年 =1.000) 1.166 1.26 1.253 1.52 1.495 1.871 1.815 実質個人可処分所得 (2000 年基準 10 億ドル ) 8,397 9,472 9,568 12,654 13,000 16,246 17,535 工業出荷額 (2000 年基準 10 億ドル ) 5,821 5,997 6,298 7,113 7,779 7,997 9,502 一次エネルギー集約度 ( 千 Btu/2000 年基準ドル ) 8.79 8.3 8.33 6.93 6.92 5.84 5.83 CO2 排出量 ( 百万トン ) 5,890 6,011 6,214 6,384 6,944 6,851 7,950-64-