Ⅰ. 農薬について 1. 農薬とは (1) 農薬ってなに? 作物を栽培すると 病気や害虫 雑草やねずみなどの被害を受ける場合があります これら有害 な生物から農作物を保護し 収量や品質の維持 商品価値の向上のために使われるものを 農薬 といいます 農薬取締法では 次の用途に使用するものを 農薬 と定義しています 分 類 使 用 す る 用 途 殺 虫 剤 作物を加害する害虫を防除する薬剤 殺 菌 剤 作物を加害する病害を防除する薬剤 殺虫 殺菌剤 害虫 病害を同時に防除する薬剤 除 草 剤 雑草を防除する薬剤 殺 そ 剤 作物を加害する野ねずみを防除する薬剤 植物成長調整剤 作物の生育促進 抑制する薬剤 誘 引 剤 害虫をにおいなどで誘い寄せる薬剤 展 着 剤 他の薬剤と混ぜ 付着性を高める薬剤 天 敵 作物を加害する害虫の天敵 微生物剤 微生物を用いて 作物を加害する病害虫等を防除する剤 この他 農林水産大臣 環境大臣が指定する 特定農薬 があります ( 現在 2003 年 3 月に定めら れた 重曹 食酢 周辺で採取された天敵 の 3 種類 ) (2) 農薬の果たす役割農薬は 農作物を病害虫 雑草から保護し 農業の生産性向上を図るための重要な基幹資材のひとつです 主要農産物の収量について ここ 50 年の推移 ( 下図 ) を見ると各作物とも高い値を示しております この高い生産力は農薬によって支えられている部分が多く 農薬の果たしている役割は非常に大きいといえます 指数 (%) 300 250 200 150 100 50 0 主要作物の 10a 当たり収量推移 55 65 75 85 96 02 04 05 年 水稲キャベツダイコン リンゴ ( 日本植物防疫協会農薬概説 (2007) より )
(3) 病害虫と雑草による被害作物は 野生の植物の中から人間にとって利用価値の大きな特定の形質を持ったものを選び 改良したものです 農業とは 害虫が好んだり病害に弱い作物を 一か所に大量に集め栽培することであるから 作物を好む病害虫にとっては何も処置していない田んぼや畑は楽園となります このため いったん病害虫が発生すれば大きな被害が出ます 雑草にとっても 肥料や水が与えられる田畑はとても居心地の良い場所となります 1 病害現在 日本で報告されている植物の病害は 6,000 以上にものぼり このうち大部分は農作物の病害です 病害を誘発する要因は複雑ですが 主な要因としては農作物自体の病害に対する性質と 栽培環境をあげることができます 病害による被害の形態は様々ですが 生育に大きな障害をおよぼし 収穫物の品質や収量に影響するばかりでなく 翌年の被害にもつながる場合があります 2 虫害農作物を加害する害虫は膨大な種類にのぼり それらの多くは昆虫に属します 日本では 29,000 種あまりの昆虫が記録されていて 1 割弱の約 2,400 種が害虫として報告があります このなかには 国外から移入し定着したと考えられている害虫が約 1 割占めています 一般的に害虫は 圃場周辺の植物や土壌中あるいは家屋等の様々な環境で越冬し 翌年の発生源となります 害虫の被害は 直接的な食害が中心になりますが 吸汁等によって生育阻害をもたらすもの あるいはウイルス病を媒介する等の二次的な問題を引き起こすものも尐なくありません 3 雑草害雑草による被害とは 主としてその繁茂によって農作物の生育が阻害され 収量の減尐をもたらしたり品質の低下を招くことです このほか 雑草が病害虫の生息地となる場合もあり病害虫防除の対策として 周辺雑草の防除が指導されております また 機械収穫を行う場合 雑草を一緒に刈り込むことにより機械の損傷や作動トラブルの原因となったり 雑草の混入によって着色等の問題から収穫物の品質に影響を与える場合もあることから 雑草防除は重要となります 病害虫 雑草による減収と出荷金額への影響 調査事 収量 出荷金額 作物名 例数 減収率 (%) 減益率 (%) 水 稲 11 28 34 小 麦 4 36 66 大 豆 8 30 34 りんご 4 97 99 キャベツ 19 69 70 だいこん 5 24 37 きゅうり 5 61 60 トマト 6 39 40 ばれいしょ 2 31 42 な す 1 21 22 とうもろこし 1 28 28 ( 注 ) 減収率は慣行防除区との比較 ( 社団法人日本植物防疫協会農薬概説 (2007) より )
(4) 農薬の位置づけ 病害虫 雑草の被害を回避する手段は様々な 方法が考えられますが 大きく分類すると病害 虫を発生させないような対策と 発生してからの 対策に分けられます 前者は 耕種的な防除など品種や栽培管理に よるものが中心で 後者は農薬による対処が主 体となります 農薬が作物保護の重要な手段となっているの は 他の防除手段と比べ効果 省力 コスト面で 概して優れているためで 病害虫防除だけでな く 優れた除草剤の出現によって除草作業が飛 躍的に改善されました ( 右図 ) 農薬は 農作物の高品質 安定生産 省力栽培に不可欠なものです 今後農薬以外の様々な防 除方法の開発が期待されますが 農薬はそれらを補完しつつより優れた作物保護の技術を確立す るうえでも 重要な役割を担うものと考えられます 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 労働時間 (10a) 水稲での除草時間の推移 S24 年 S40 年 S50 年 S60 年 H2 年 H11 年 ( 日本植物調節剤研究協会資料より ) 2. 農薬の種類 (1) 農薬の名称農薬の名称には 一般的に製品として流通している商品名と 学術的 国際的な場面で使用される有効成分の名称などがあります この有効成分には 種類名 ( 農水省が農薬登録の際命名 ) 一般名 ISO 名 ( 化学名を簡略した名前 国際標準名 ) 化学名( 有効成分の化学的構造を示した名前 ) があります 農薬の名称例 商品名 有効成分 種類名一般名 ISO 名化学名 スミチオン乳剤 MEP フェニトロチオン O,O-シ メチル-O-(3-メチル-4-ニトロフェニル ) チオホスフェート ジェイエース水溶剤 アセフェート アセフェート O,S-シ メチル-N-アセチルホスホロアミト チオエート トップジン M 水和剤 チオファネートメチル チオファネートメチル 1,2-ヒ ス (3-メトキシカルホ ニル-2-チオウレイト ) ヘ ンセ ン ダコニールエース TPN クロロタロニル テトラクロロイソフタロニトリル クサトリキング ク リホサートイソフ ロヒ ルアミン塩 ク リホサートイソフ ロヒ ルアミン塩 イソフ ロヒ ルアンモニウム =N-( ホスホノメチル ) ク リシナート ゲザノンフロアブル アトラシ ンアトラシ ン 2- クロロ -4- エチルアルミノ -6- イソフ ロヒ ルアミノ -s- トリアシ ン メトラクロールメトラクロール 2- クロロ -2 - エチル -N-(2- メトキシ -1- メチルエチル )-6 - メチルアセトアニリト
(2) 農薬の分類 農薬には 一般的に使用目的による分類 製品の剤型による分類 有効成分の化学的分類の大 きく 3 つの分類方法があります 1 剤型別分類について大部分の農薬は 使いやすく防除効果を十分発揮させるため 有効成分に増量剤や補助剤を加えたり 有効成分を溶剤に加え様々な形状の商品に仕上げられています これを 製剤 といい 粉剤 粒剤などの製剤の形態を 剤型 といいます 最近では 製剤技術の進歩により 多彩な剤型や働きを持たせることができるようになりました また扱いやすさや品質の保持だけでなく 人や環境への影響をより尐なくし 省力や省資源に役立つ製剤も開発されています 製剤化の主な目的 a. 農薬を使いやすい形にする b. 農薬の効力を最大限に発揮させる c. 使用者への安全性を高め 環境への影響を抑える d. 作業性を改善し 省力化する e. 剤型を工夫し 既存の有効成分の用途を拡大する 主な剤型の特長について [DL 粉剤 ] 有効成分 凝集剤 分解防止剤 帯電防止剤 増量剤などからなる微粉状の製剤で 粒径は 20 ~30μ m です ほとんどの有効成分を製剤化することができるメリットがあります [ 粒剤 ] 有効成分 結合剤 崩壊剤 分散剤 増量剤からなる粒状の製剤で 粒径は 300~1700μ m 程度です 散布する時 風による農薬のドリフトを抑えることができます [ 水和剤 ] 有効成分 界面活性剤 増量剤からなる微粉状の製剤で 使う時は水で希釈し散布します 広い範囲の有効成分を製剤化でき 植物への影響も尐ない特長があります 水和剤を水溶性フィルムで包装し 薬剤調整時に粉立ちしないようにしたものもあります [ 顆粒水和剤 ] 有効成分を界面活性剤 増量剤とともに顆粒状にした製剤で 水中に投入すると速やかに崩壊し 分散します 顆粒状のため水和剤に比べ粉立ちがなく 使いやすい製剤です [ フロアブル ] 固体の有効成分を細かい微粒子として水に分散させた製剤で 薬液調整時の粉立ちがなく 水に速やかに分散します 水田除草剤ではそのまま散布するタイプもあります [ 乳剤 ] 有効成分を界面活性剤とともに有機溶剤に溶かした製剤で 使う時は水で希釈し散布します [ エマルション ] 水に溶けない液状の有効成分や 尐量の有機溶媒に溶かして液状にした有効成分を 界面活性剤などを用いて水中に微粒子として乳化分散させた製剤で 引火性がなく人や動物への影響を軽減しています ( 農薬工業会ホームヘ ーシ より )
主な製剤の組成 製剤名略称組成 製剤 形状 希釈液 備 考 液 体 乳剤 EC 有効成分 有機溶媒 界面活性剤透明製剤は 危険物に該 ( 乳化剤 ) 液体乳白色当するのが多い エマルション剤 ( 乳剤 ) EW 液状有効成分 ( 水に不溶 ) 有機溶乳白色液体水ヘ ースなので危険物媒 界面活性剤や水溶性ホ リマー 水液体に該当しない 液剤 SL 水溶性有効成分 界面活性剤 水 透明 透明 水溶性の有効成分 マイクロエマルション剤 ( 液剤 ) ME 有効成分 界面活性剤 水 液体 液体 有効成分は水不溶 フロアフ ル ソ ル ( 水和剤 ) サスホ エマルション剤 ( 水和剤 ) SC FL SE 固体有効成分 水 増粘剤 界面活性剤 ( 分散剤 ) 有効成分 有機溶媒 水 増粘剤 界面活性剤や水溶性ホ リマー 不透明 液体 懸濁液 懸濁製剤 水ヘ ースの ため危険物に該当せ ず 固 体 水和剤 WP 顆粒水和剤ト ライフロアフ ル WDG DF 微粉水と混ぜ懸濁有効成分 キャリアー ( 鉱物性増量剤 ) 懸濁液界面活性剤 ( 分散剤 ) 顆粒調整時の舞上り防止 水溶剤 SP 水溶性有効成分 キャリアー ( 水溶性増 微粉 透明 希釈液は透明 顆粒水溶剤 WSG 量剤 ) 界面活性剤 顆粒 液体 調整時の舞上り防止 粒剤 G 顆粒 粒径 0.3~1.7 mm 粉剤 DL 粉剤微粒剤 ( 粉粒 細粒剤 ) D DL FG 有効成分 キャリアー ( 鉱物性増量剤 ) 界面活性剤 微粉顆粒 そのまま散布 DL: ト リフトレスの略粒剤より粒子細かい FD 剤 FD 微粉 ハウス内で浮遊させる その他製剤 : ジャンボ剤 くん煙剤 くん蒸剤 塗布剤 ペースト マイクロカフ セル剤 油剤など 粉剤 粒剤 粉粒剤の種類と粒径 物理的性状の粒度呼称種類名に使われる剤型商品名に使われる剤型 細粒 微 粒 粗粉 微粉 粉 粒 剤 粒剤 粉剤 粒剤 微粒剤 粉剤 微粒剤 F 細粒剤 F 粒径 μ m 1700 710 300 212 180 106 63 45 22 15 2 DL 粉剤一般粉剤 FD 平均粒径 ( 社団法人日本植物防疫協会農薬概説 (2007) より )
2 農薬の有効成分による分類現在 使われている農薬の大部分は 有機合成化合物を有効成分としているので その化学組成により分類ができます 化学的に同一系統の薬剤は 同じ作用機構をもち薬剤の特長も似ている場合が多いことから これらの化学的な分類を知ることは 農薬使用において耐性菌や抵抗性害虫の発生を未然に防ぐためのローテーション防除を行う場合の薬剤選定に役立ちます 有効成分による分類分類代表的な薬剤名殺虫剤化学農薬天然化合物除虫菊 マシン油有機合成化合物有機リン系オルトラン シ ェイエース タ イアシ ノン スミチオン エルサンカーバメート系ランネート ハ イテ ート テ ナホ ン カ セ ット オンコル ハ ッサピレスロイド系トレホ ン アテ ィオン マフ リック ケ ットアウト ハ イスロイト ネライストキシン系ハ タ ン ルーハ ンネオニコチノイド系アト マイヤー モスヒ ラン スタークル タ ントツ アクタラ ヘ ストカ ート 昆虫成長抑制剤アタフ ロン ノーモルト ロムタ ン アフ ロート その他キラッフ コテツ フ リンス マリックス フ レオ殺ダニ剤タ ニカット ヒ ラニカ サンマイト タ ニトロン ニッソラン コロマイト殺線虫剤 D-D 生物農薬 BT チリカフ リタ ニ オンシツツヤコハ チ殺菌剤化学農薬無機化合物ホ ルト ー液 石灰硫黄合剤有機合成化合物有機硫黄系ク リーンヘ ンコセ フ エムタ イファー ヒ スタ イセン チウラム有機リン系キタシ ン P メラニン生合成阻害剤ヒ ーム コラトッフ ベンゾイミダゾール系トッフ シ ン M ヘ ンレートジカルボキシイミド系スミレックス ロフ ラール酸アミド系モンカット ハ シタック リト ミルステロール生合成阻害剤シルハ キュア チルト トリフミン ホクカ ート フ ランタ ムメトキシアクリレート系ストロヒ ー アミスター オリフ ライト フリントアニリノピリミジン系ユニックス フルヒ カ合成抗細菌剤スターナ土壌殺菌剤カ スタート クロルヒ クリン タチカ レンその他オリセ メート フシ ワン ヘ フラン フロンサイト モンセレン タ コニール抗生物質カスミン ハ リタ シン ホ リオキシン生物農薬ハ イオキーハ ー エコショット エコホーフ
除 草 剤 化学農薬 有機合成化合物 分類代表的な薬剤名 無機化合物 フェノキシ系 カーバメート系 酸アミド系 尿素系 スルホニルウレア系 トリアジン系 ダイアジノン系 ダイアゾール系 ビピリジリウム系 ジニトロアニリン系 アミノ酸系 ニトリル系 シクロヘキサンシ オン系 その他 テ ソ レート 2.4D ソータ 塩 粒状水中 MCP クロロ IPC サターン ソルネット マーシエット アーシ ラン ラッソー ロロックス DCPA ワンホーフ ハーモニー ケ サ フ リム ケ サ カ ート ハ サク ラン ホ ロシル サンハ ート レク ロックス トレファノサイト コ ーコ ーサン クサトリキンク ハ スタ ハーヒ ー アクチノール カソロン ナフ セレクト ヘ クサー モケ トン ( 農薬工業会ホームヘ ーシ より ) (3) 農薬の登録数農薬の有効成分は 平成 19 年度で 522 種類ありますが 農薬の登録件数は 4,241 件となります これは同じ有効成分でも剤型や成分含有量が異なったり 製造会社が違っていれば登録を受けなければならないため 4,000 を超える件数になっています 年次別の有効登録農薬の推移は 次の通りです 1970 年までの増加傾向が減尐に転じたのは 71 年に農薬取締法の大幅な改正により安全性についての規制が厳しくなったためで 最近は 4,500 件程度で推移しています 有効登録件数 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 農薬有効登録件数の推移 (1950~2007) 1950 1970 1990 2007 ( 農薬工業会ホームヘ ーシ より )
3. 農薬の開発 農薬の開発には非常に長い年月がかかります 新規化合物が合成されてから 市場に出るまでには 10 年以上 開発費用も 100~150 億円かかります 1975 年頃は新規化合物が商品になる確率は 平均で 1 万 ~2 万分の 1 という報告がありました その後 農薬に求められる条件が年を追うごとに厳しくなり 現在ではその確立は 5 万分の 1 以下といわれています 項目 探索研究 薬効薬害試験 毒性試験 過程 年次 生体内運命残留試験 水産 有用生物影響試験 製剤研究など 特許 登録申請 開発段階研究段階フェー登録段階市販段階フェース 2 フェース 3 ス 1-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 合成 生物活性検定 類縁化合物の検索 ホ ット特性試験 小規模ほ場試験 急性毒性 ( 経口 経皮 吸入 ) 出願 魚毒性 委託ほ場試験適用拡大 刺激性 ( 皮膚 眼 アレルギー ) 変異原性 催奇形性 反復投与 繁殖毒性 (2 世代 ) 発がん性 (2 年 2 動物 ) 動物 作物 土壌 水中運命予備試験 試料作成 分析 ( 動物 作物 土壌 ) 蚕 ミツハ チ 鳥 天敵 分析法 ( 原体 製剤 残留 ) 原体製造研究プラント設計製造設備投資 製剤研究企画など設備投資 審査請求公告 申請 承認 生産 販売 ( 社団法人日本植物防疫協会農薬概説 (2007) より )
(1) 開発のプロセス 1 スクリーニング農薬の開発は まず生理活性物質を探索することから始まります その探索には 既に実用化されている成分や その類縁化合物から得られる化学構造と生理活性の関係 天然の生理活性物質の研究調査 動植物や病原菌の生化学的な研究から得られる情報などをヒントに 合成すべき化合物の概念を定め 数多くの化合物を合成します 次に 実験室で飼育 培養されている昆虫 病原菌などを用いて 化合物の活性を検定する生物試験を行います この過程を繰り返しながら 目的にかなう化合物を選抜 ( スクリーニング ) します 近年 安全性に対する諸条件が厳しくなっていることや 時代と共に開発目標や要望等のハードルが高くなり 新農薬の発明 成功の確率は極めて低くなっています 2 効果 毒性 残留性などの試験スクリーニングと平行して急性毒性試験が行われ 新農薬の候補化合物が絞り込まれます 次に小規模圃場での薬効 薬害試験 安全性評価のための各種毒性試験 分析法や製剤研究 製造のための研究などが行われます 昭和 40 年代中頃までは 合成 探索 薬効薬害など生物試験 製剤研究などが主体となりましたが それ以降は各種の毒性試験 代謝試験 残留性試験など 安全性評価に重点が置かれるようになりました そのため 1 剤を開発するのに 10 年以上の期間を要し 特に慢性毒性試験については結果がまとまるまで約 3 年の期間と 数億円単位の費用が必要となります 3 総合評価 登録申請開発の最終段階では それまで実施した薬効 薬害 各種の毒性 残留性などの各種試験の成績と 製造 需要予測などの検討結果をもとに総合評価を行い 製品化の意思決定がなされると登録申請し 生産 販売に向けて準備がなされます (2) 開発の現況 1 理想の農薬新農薬の開発目標は 防除対象の病害虫 雑草などの発生状況 抵抗性 耐性問題 競合薬剤の有無や評価 市場の動向 人的 物的資源 技術などの諸要因を考慮し決められますが 今日においては 人畜のみならず環境に対してもより安全な農薬の開発が重要な目標のひとつとなっております 理想的な農薬の具備すべき条件 (a) 目的の効果があり尐量で効き薬害がないこと (b) 高等動物に毒性が低いこと (c) 選択毒性のあること (d) 環境にやさしいこと (e) 薬剤抵抗性のつかないこと (f) 残効性 残留性が適当であること (g) 安価であること (h) 施用しやすいこと
2 農薬開発の現状平成元年以降 新しく開発された農薬は年間 20 成分前後 ( 天敵 微生物等含む ) となっていますが 農薬の開発には膨大な時間と経費を要することから ある程度の販売額が継続的に見込めるものでなければ 開発は難しい状況になってきております ( 件数 ) 35 30 25 20 15 10 5 0 年度別農薬登録された新規有効成分数 ( 平成元 ~18 年 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 年度 その他 植調剤 除草剤殺菌剤 殺虫剤 引用文献 農薬概説 (2007) 社団法人日本植物防疫協会 農薬工業会ホームヘ ーシ