平成 15 年度国民経済計算 利用上の注意 1. 平成 15 年度国民経済計算 は 平成 5(1993) 年に国連が勧告した国際基準 (93 SNA) に基づいて推計を行っている 産業連関表 国勢調査 など 推計に要する基幹的統計が利用可能な平成 7 年を名目値のベンチマークとしている 2. 国民経済計算は 最新年 ( 度 ) の数値を 確報 として公表するとともに 前年から新たに利用可能となった基礎統計を反映させるため 更に1 年遡って再推計を行い 確々報 として公表している 平成 15 年度国民経済計算 については 平成 15 年 ( 度 ) 計数 ( 確報値 ) 及び平成 14 年 ( 度 ) 計数 ( 確々報値 ) の推計を行っているが その際には 利用可能な基礎統計を反映させることに加え 下記のとおり推計方法の一部見直し等を行った < 生産 支出面の計数について > (1) 国内総支出系列 ( 実質値 ) の連鎖方式への移行 ( 平成 6 年 1-3 月期以降 ) 国内総支出 ( 実質値 ) は 暦年値 年度値 四半期値のいずれも連鎖方式による計数を正式系列とした ( フロー編 主要系列表 1) これに伴い 計数は平成 6 年 1-3 月期まで遡って改定されている 採用する連鎖方式は 実質値については前暦年基準ラスパイレス型 デフレーターについては前暦年基準パーシェ型であり 参照年 ( デフレーター =100 となる年 ) は平成 12 年とした なお これまで公表していた固定基準年方式 ( 平成 7 暦年基準 ) による国内総支出系列は 参考系列として掲載している ( フロー編 参考表 1) 支出系列実質値の内訳に関する付表 ( フロー編 付表 8 12 13 14 および 16) については 引き続き固定基準年方式 ( 平成 7 暦年基準 ) による (2) 国内総支出系列 ( 四半期推計 ) の供給側推計における運賃額 卸売 小売マージン額推計方法の改定コモディティー フロー法における各 90 品目分類への運賃額 卸売 小売マージン額の配分については それぞれを当該暦年値の構成比で配分していたが 出荷額等の変動をより忠実に反映させるため 90 品目分類ごとの国内供給に当該暦年値の運賃率 卸売 小売マージン率を乗じた額の構成比で配分する推計方法に改定した ( 詳細については 国民経済計算調査会議第 1 回体系整備検討委員会 資料 9(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/041129/shiryou9.pdf) を参照されたい ) これに伴い 国内総支出系列の名目四半期値 ( 国内家計最終消費支出 民間企 1
業設備 ) および実質値 ( 国内家計最終消費支出 民間住宅 民間企業設備 公的固定資本形成等 ) が平成 6 年 1-3 月期まで遡って改定されている なお 生産系列 ストック系列等の平成 13 年以前への遡及改定については 平成 17 年末に予定される平成 12 年基準改定時に対応する予定 このように 平成 6 年から 13 年までの期間については 系列により対応が異なるため フロー編 主要系列表 1 及び付表 16 の ( 国内 ) 総資本形成 総固定資本形成 及び 在庫品増加 は フロー編 付表 1 及び付表 15 の当該項目に一致しない また フロー編 付表 1 及び付表 2の 総資本形成に係る消費税 は ストック編 付表 1における各資産別の当該項目の合計値に一致しない (3) 家計最終消費支出の需要側補助系列の推計方法の改定 家計調査 を補完するかたちで実施されている 家計消費状況調査 のデータの蓄積が進んだため 家計最終消費支出の需要側補助系列推計に利用している 家計調査 の各品目のうち 置き換えが可能な品目について 家計消費状況調査 を用いて推計した ( 平成 14 年 1-3 月期以降 )( 詳細については 国民経済計算調査会議第 1 回体系整備検討委員会 資料 8(http://www.esri.cao.go.jp/jp /sna/041129/shiryou8.pdf) を参照されたい ) (4) 家計最終消費支出の需要側補助系列における農家世帯消費支出の推計方法の改定 農業経営動向統計月別収支 が平成 16 年 1 月以降 経営形態別経営統計四半期別収支 に改編されたことに伴い 農家世帯の消費支出に関して従来と同様なデータが入手できなくなったことから 家計調査 ( 農林漁家世帯を含む結果 ) の月別支出額をもとに農家消費支出額を推計した (QEについては平成 16 年 1-3 月期 1 次 QEより既に適用済 ) (5) 組合管掌健康保険における調整保険料の計上組合管掌健康保険における調整保険料 ( 注 ) について 他の保険制度との整合性を保つために社会保障負担として計上することとした ( 平成 14 年度確々報以降 ) ( 注 ) 健康保険組合連合会が実施する交付金交付事業の財源とする目的で 各健康保険組合が徴収し 健康保険組合連合会に対して拠出するもの : 原則として事業主と被保険者の折半負担 (6) 実質政府最終消費支出額推計における商品 非商品販売デフレーターの変更実質政府最終消費支出額推計における商品 非商品販売デフレーターとしては 従来 政府サービスの産出デフレーターを用いていたが 支出データとしての統 2
一を図るため 対応する家計最終消費支出デフレーターへ変更した ( 平成 6 年 1-3 月期以降 ) < 資本調達 ストック面の計数について > (7) 在庫 有形固定資産 家計の主要耐久消費財残高の改定平成 15 年 12 月公表の国民経済計算フロー編の計数に基づき 昭和 55 年に遡り 平成元年までの計数を再推計したことにより 平成 2 年以降のストック ( 残高 ) を改定した (8) 有形非生産資産の改定民間金融機関の土地資産額は 面積 単価 方式により推計しており 面積は以前から有価証券報告書より入手していたが 今回 個々の金融機関へのアンケート調査により有価証券報告書未掲載の計数が入手できたことにより 平成 2 年に遡って改定した 民間非金融法人企業の土地資産額は 課税地 ( 課税地と非課税地に分けて推計 ) の土地資産額から 個人所有として家計に区分される土地資産額及び民間金融機関の土地資産額を控除したものであり 民間金融機関土地資産額の改定により変動した 公的非金融法人企業の土地資産額は 以前からアンケートにより把握していたが 今回 回答内容を検証したところ 対象外の資産額が計上されていたため 平成 2 年に遡って改定した 地下資源資産額の推計方法は 収益還元法により算定した総資産額から 鉱業の純固定資産額 ( 昭和 45 年国富調査をベンチマークとするベンチマークイヤー法により算定 ) を控除したもので 今回 総資産額の推計に用いる 稼行年数 ( 鉱物の採掘可能年数 ) を金属鉱業( うち金 銀 銅 ) が実際に採掘を行っている鉱山の状況に一致させる見直しを行い 平成 2 年に遡って改定した (9) 土地の購入 ( 純 ) の改定民間非金融法人企業について 販売用不動産の強制評価減 及び 土地再評価法 による 土地の帳簿価格の推移を 今回 アンケート調査等により把握し 制度導入以降に遡って改定した 民間金融機関は 民間金融機関土地資産額から推計しており 民間金融機関土地資産額の改定により改定した 家計は 制度部門別計数 ( 非金融法人企業 金融機関 一般政府 家計 対家計民間非営利団体 ) のバランス項目であり 民間非金融法人企業 民間金融機関の資産額の改定により改定した 3
(10) 資金循環統計 の遡及改定等に伴う対応日本銀行は平成 16 年 9 月に 資金循環統計 を遡及改定した 金融勘定の計数を遡及改定された 資金循環統計 に対応させ 第一部フロー編は平成 2 暦年以降 第二部ストック編残高 調整勘定は平成元暦年以降の計数を改定した (11) 厚生年金基金の厚生年金代行部分積立金返上の記録方法平成 15 年から厚生年金基金の代行部分に対応する積立金を厚生保険特別会計に返上する取引が発生している これを厚生年金基金 ( 民間金融機関 ) から 厚生保険特別会計 ( 社会保障基金 ) への資本移転として計上した 金融機関部門から社会保障基金 ( 一般政府 ) への代行返上にかかる資本移転額は以下の通り 平成 15 暦年 428.5(10 億円 ) 平成 15 年度 3,496.5(10 億円 ) < その他 > (12) 政府関係諸機関の分類平成 15 年度中に設立された日本郵政公社 各独立行政法人等について 国民経済計算における分類を行った これらの機関を含めた政府関係諸機関の分類は別添のとおり 3. 輸入品に課される税 関税 について 以下のような修正を行った (1) 修正理由コモディティ フロー法による計算において 平成元年より表章される輸入品に課される消費税額の計算プロセスが 輸入額に輸入関税を加えた額に消費税率を乗じて消費税額を計算すべきところを 輸入関税額を加える前の額に消費税率を乗じて計算していた また 税率を平成 9 年 4 月の税率変更 (3% 5%) 後も3% として計算していた (2) 影響範囲消費税が導入された平成元年以降の計数が影響を受ける 直接の影響を受ける項目は 輸入品に課される税 関税 である 間接的には 家計最終消費支出 総固定資本形成 在庫品増加額の関係する計数 ( 国内総支出をはじめ 貯蓄率 貯蓄投資差額 民間企業設備投資額 非金融資産額等を含む ) 4
に影響が及ぶ 一方 消費税総額や輸出入額等については 税務統計や国際収支統計等に基づき別途推計しているので 影響を受けない (3) 修正範囲現在 平成 17 年末に公表予定の平成 12 年基準改定の推計作業を行っているため 平成 15 年度国民経済計算 においては 当面の措置として 影響が大きい生産系列 ( フロー編 主要系列表 3 付表 1 2 4 5 等 ) 及び分配系列 ( フロー編 主要系列表 2 制度部門別所得支出勘定等) に限り 平成 7 暦年以降を対象として修正を行った ( 注 1) その他の系列については 基準改定時に対応する予定である ( 注 2) ( 注 1) 支出系列の主な項目については 確報推計作業終了後の基礎統計の基準改定等も反映した修正値を平成 17 年 5 月 17 日に 平成 17 年 1~3 月期四半期別 GDP 速報 (1 次速報値 ) として公表した ( 注 2) 平成 6 暦年以前については 基準改定後の長期遡及改定作業の際に修正を行う予定 (4) 影響の程度 直接の影響を受ける 輸入品に課される税 関税 の修正額は以下の通り ( 単位 :10 億円 ) 平成 7 暦年 8 暦年 9 暦年 10 暦年 11 暦年 12 暦年 13 暦年 14 暦年 15 暦年 修正前 2859.7 3008.5 3165.0 2928.9 2940.9 3165.0 3242.9 3157.3 3278.5 修正後 2889.4 3036.7 3824.2 3710.9 3581.5 3871.7 3980.3 3892.3 4036.2 差額 29.7 28.2 659.2 782.0 640.6 706.7 737.3 735.0 757.7 ( 備考 )1. 修正前の計数は平成 17 年 1 月 14 日公表分 2. 差額は四捨五入の関係で最終桁が一致しない場合がある ( 注 ) 国内総支出への影響国内総支出については 平成 15 年度国民経済計算確報 では修正作業を行っていないが 確報推計作業終了後の基礎統計の基準改定等も反映して修正作業を行った 平成 17 年 1~3 月期四半期別 GDP 速報 (1 次速報値 ) でみると 名目国内総支出は 平成 7~8 暦年は 200 億円程度 平成 9 暦年以降は 3000 億円程度の上方修正となった 5