グリーン MOT( 技術経営 ) 教育プログラムの推進 信州大学 2010 年 3 月 30 日
平成 21 年度事業活動の成果 1 ジョイント ディグリー制度の導入 ( 総合工学系大学院博士課程 + 経営大学院修士課程 2009.4.1~) 2 各種調査の実施 ( 飯田市住民意識調査 日中学生環境意識調査など ) 3 標準テキスト シリーズの作成 ( 第 4 巻中小企業経営と環境 第 5 巻現代社会のおける企業の役割 ) 4 サマースクール フォーラム, 市民講座等を通じた広報 普及活動 ( 信州サステイナビリティ フォーラム & 信州サステイナビリティ ウィーク 2009 の開催 中小企業サマースクール ( 中小機構との共催 ) など )
アンケート調査の実施 飯田市における環境に配慮した暮らしに関する住民アンケート調査 ( 環境コミュニティ ビジネス論 ) 諏訪湖の観光関係者を対象としたアンケート調査 ( フィールドワークの一環 ) 信州大学と上海師範大学の共同で, 環境に関する学生意識の日中比較調査 ( 本年度は日本側の信州大学の学生のみを対象 )
信州サステイナビリティ フォーラム & 信州サステイナビリティ ウィーク 2009 の開催 日程 開催内容 8 月 17 日環境コミニュティビジネス論 8 月 18 日信州大学市民公開講座 地域環境ビジネス入門 8 月 20 日 8 月 21 日 8 月 22 日 第 3 回信州サステイナビリティ フォーラムテーマ : グリーンニューディールを考える 中小企業サマースクール in 信州テーマ : グリーン技術経営 ~ 危険突破のための経営戦略 特別講義 & ディスカッションテーマ : グリーンエコノミーと技術経営の課題 2010 年 1 月 25 日第 4 回信州サステイナビリティ フォーラムテーマ : 環境調和型技術の現状 問題点 展望
1 信州サステイナビリティ フォーラム の開催 第一回フォーラム (2008.10.27) 第二回フォーラム (2009.3.5) 第三回フォーラム (2009.8.20) 第四回フォーラム (2010.1.25) テーマ ; 関係者によるラウンドテーブル テーマ ; 信州中小企業の環境経営 テーマ ; グリーン ニューディールを考える テーマ ; 環境調和型技術の現状 問題点 展望 フォーラム メンバー 自治体 ; 長野県 長野市 中小企業団体等 ; 長野県経営者協会 長野県商工会議所連合会 長野県商工会連合会 長野県中小企業団体中央会 環境関係団体 ; 長野県環境保全協会 長野県産業環境保全協会 NPO; 長野 NPO センター 事務局 ; 信州大学
2 信州サステイナビリティ ウィーク 2009 の実施
信大 NOW59 号より
3 中小企業サマースクールイン長野 ( 中小機構との共催 )
今後の課題 ジョイント ディグリー制度の充実 ( 修士 & 修士のプログラム開発, 他大学とのジョイントディグリー制度の検討 ) フォーラム, 公開講義, 中小企業コーディネータ等を活用した地域の中小企業関係者との連携の強化 海外への普及活動の取り組みとして, 英文テキストの出版, アジアの大学関係者 ( 中国他 ) との国際シンポジウムの開催, 留学生の受け入れ等 学習用教材の開発 改良 教育インフラの整備 (E ラーニングなど )
( 参考 ) プログラムのスケジュール 1 年目 (2008) 2 年目 (2009) 3 年目 (2010) プログラムの開発 実施 経営大学院 工学系大学院 プログラム開発 プログラム改善 追加 プログラム実証 ( 経営大学院修士課程 ) 1 博士課程学生 ( ジョイント デグリーコース ) 2 企業経営者等 ( 社会人コース ) グリーン MOT 教育プログラム開発実証委員会 ( 学内及び地域関係者 ) 成果の普及 地域 放送公開講座 学習会 地域との連携 ( 信州サステイナビリティ フォーラムなど ) 信州サステイナビリティ ウィーク 全国中小企業への普及 ( 中小企業サマースクール ( 中小機構と共催 ) など 国際シンポジウム アジア 環境人材育成コンソーシアム構想の推進 ProSPER.Net を通じたアジア各国大学院との交流 2008.6 発足
グリーン MOT 教育における人材育成とその波及効果 中小企業のグリーン化の立遅れ, 困難性 地域のものづくり中小企業の技術経営に着目した 大学院レベルの環境教育プログラムの展開 実践的な技術知識と経営戦略の策定能力を有した環境人材の養成 地域の環境人材を核とした, 環境経営に関する産 学 官の情報交流ネットワークの形成 信州中小企業ののグリーン化 全国 アジアの中小企業のグリーン化
信州大学経営大学院における GMOT 教育の位置づけ プログラムの目標 1. 環境マインドを持つ地域ものづくり中小企業の経営者および幹部, エンジニアの養成 2. 環境問題に果敢に挑戦する技術系学生社会起業家の育成 経営大学院 ( 夜間 休日の社会人大学院 ) プログラムの構成 基本科目 + グリーンMOT 教育プログラム 経営基本科目市場関連科目組織関連科目研究開発関連科目 基礎科目群環境経営系科目群環境技術系科目群フィールドワーク 対 象 地域企業の経営幹部 エンジニア ( 約 40 名 ) 工学系大学院生 ( 約 600 名 ) ジョイント ディグリー制度
GMOT 教育プログラムの推進体制 信州大学 実施機関 ( 事務局 ) 学内支援機関 経営大学院 工学系大学院 ( イノベーション研究 支援センター ) 山岳科学研究所 全学環境支援センター 国際交流センター サテライトベンチャービジネスラボラトリー 地域共同研究センター グリーン MOT 教育プログラム開発実証委員会 信州サステイナビリティ フォーラム (SSF) 地 域 行政連携組織企業 NPO 長野県及び市町村 信州産学官連携機構等 社団法人長野県環境保全協会社団法人長野県経営者協会 東アジア 連 携 中小企業全国中小企業軽井沢サマースクール ( 中小企業基盤整備機構 信州大学共催 ) 国連大学 ProSPER.Net
グリーン MOT 教育プログラム関連科目 サステナビリティ学 サステナビリティ概論 :SUSTAINABILITY-ORIGINS, PRINCIPLES AND IMPLICATIONS サステナビリティ特論 : ENVIRONMENTAL SUSTAINABILITY AND BUSINESS OPPORTUNITIES 環境政策 環境調査 : フィールドワーク 環境経営系科目 環境経営論 Ⅰ: 環境経営学 環境経営論 Ⅱ: 環境コミュニティ ビジネス論 / 環境地域論 環境経営論 Ⅲ: 中小企業の環境経営 環境経営論 Ⅳ: 企業の社会的責任 環境経営論 Ⅴ: グリーン オペレーション戦略 環境技術系科目 環境技術 Ⅰ: 環境技術への化学的アプローチ 環境技術 Ⅱ: 環境にやさしい材料と自然エネルギー
カリキュラム編成の基本コンセプト 環境配慮型の経済活動, 市場からの グリーン化 の要請に対して, 地域の中小企業が主体的に適応していくためには, 環境経営における競争力 = 付加価値を高める必要がある 環境経営において競争力 = 付加価値を高めるためには, 次の 4 つの要素が競合企業との差別化を図る上で重要である (1) 環境問題と持続可能な開発に対する理解と共感 (2) 高い水準の環境効率を可能にするマネジメント能力 (3) 地域経済や中小企業経営に関する情報 (4) 環境技術に関する知見 この 4 つの観点から, 環境経営を担う人材を育成することは, 持続可能な企業経営を実現する上で効果的なアプローチになると考えられる グリーン MOT 教育プログラムのカリキュラムは, このような理解に立って構成されている
環境経営の人材育成 :4 つの要素 (1) 環境問題と持続可能な開発に対する理解と共感 関連の強い科目群は, サステナビリティ学, 環境政策, そして環境調査のフィールドワークである サステナビリティ学は, 環境分野における学際的な総合科目であり, 持続可能な経済発展と企業経営について俯瞰的視野を得る上で大切である 環境政策では, 環境政策の理解を深めるとともに, エコツーリズムや生物多様性保全に向けた企業の取り組みを考察する さらに, 諏訪湖の環境調査等を行うフィールドワークを通じて, 実際の経験として環境問題を捉えることが期待される (2) 高い水準の環境効率を可能にするマネジメント能力 この主題を直接扱う科目は, 環境経営学とグリーン オペレーション戦略である 環境経営学は, 環境経営に関する基本概念の整理と方法論の確立を課題としている グリーン オペレーション戦略は, 特に中小企業のグリーン調達に焦点を当てた科目である 経営大学院の既存科目 ( 経営組織論, 経営戦略論, マーケティング論など ) との相乗効果が期待できる
環境経営の人材育成 :4 つの要素 (3) 地域経済や中小企業経営に関する情報 地域の中小企業を対象とする本プログラムでは, 環境コミュニティ ビジネス論 / 環境地域論, 中小企業の環境経営論, 企業の社会的責任論の 3 科目 (4 科目 ) を配し, 多面的な角度から中小企業の経営が深く議論される 信州地域のコミュニティ ビジネス, 地域の経営者を招いたプロジェクト演習など, 地域の特色を生かした科目群である (4) 環境技術に関する知見 触媒化学による環境浄化技術, ライフサイクル アセスメントや環境適合設計など環境経営に必要な各種の手法, そして環境にやさしいエコマテリアルの開発や自然エネルギーの活用などの最新情報に接することができる MOT では, 技術と市場の 2 つの軸から製品の開発 製造 販売のマネジメントを捉えることが重要となる その技術面での理解を支えるのが, 環境技術 Ⅰ と Ⅱ である