ては 金額の重要性から一人あたりの支出額が僅少である場合 (5,000 円判定 ) には 損金算入が認められるため 飲食のために支出した場合には 5,000 円判定の適用を受けるため必要な指導 ( 領収書の保存 ) を合わせて行っておくこと 7 法人保険の入院給付金 手術給付金等をそのまま本人へ支払っていないか 8 車両関係費に 車検時の自賠責 重量税は含まれていないか 9 家賃に変更はないか 敷金等の充当はないか 10リース料に変更はないか 物件はすべて把握しているか その他 細かい経費の支出についてもできる限り月次の処理の段階でやれる処理はしておき 決算時にスムーズに業務を進められるようにしておくと良い (6) 試算表の作成 試算表を作成する場合の確認事項 1 減価償却費は月割で概算計上しているか 2 支払の確定している賞与は概算計上しているか 3 退職金がある場合 受給申告書を保存しているか 4 月末未払費用で損益に大きな影響のあるものを未払計上しているか ( 社会保険料 家賃など前年対比にも大きく影響するもの ) 5 前期末未払金の翌月の処理は適正か 6 前月対比を確認 科目の不揃いがないか あるべき経費が抜けてないか 7 前年対比を確認 極端に差異のある科目はないか ( その理由の把握など ) 8 原価率に異常はないか ( 理論在庫の使用の検討など ) 9 税込処理の消費税額は把握できているか 10 予定納税等支払の確定している税金が適時に支払われているか 11 訪問時に現状の試算表に現れない変動要因を常に聞き取っているか 12 経営者の求める試算表は何か その内容に則しているか 1 月次試算表の作成目的月次決算とは 帳簿処理により 収益と費用の計上を正確に行い 経過勘定を適正な期間配分に従って 月次試算表を毎月作成することをいい 月次決算によって月次試算表を作成する目的は以下通りとなる 7
1 黒字 赤字の要因を勘定科目により その状況を明確に把握することで 問題点の発見や改善に迅速に対応できる 2 経営計画書と比較することで 達成度把握 異常値の確認ができる 3 毎月の帳簿整理により 経理処理の誤りを早期に発見でき 決算の手続きが容易になる 4 資金 利益 投資等の予測計算が容易になる 5 金融機関等から資料の提出を求められても直ぐに対応できる 2 月次試算表の平準化月次の試算表を作成する場合 次の要素を織り込むことでより均質な試算表の作成が可能となる 1 賞与 減価償却費など毎期固定的に発生する費用は 年額をあらかじめ見積り 等分して月次決算で計上する 2 実地棚卸を行い月次の在庫を計上する 3 経過勘定経費 ( 長期火災保険料 保証料等 ) を計上する 4 未払費用 ( 月末銀行休日の場合の社会保険料や電話料等 ) を計上する 3 月次試算表作成上の留意点月次試算表は 翌月以降の経営判断に生かしていくためにも 正確さよりもまずはスピードを優先 し 翌月 10 日前後までに完成させることが重要である 月次の試算表を早期に完成させるために 心掛けるべき要素は次の通りとなる 1その日のうちに処理する 2 現金は日々照合する 3 当座預金や普通預金もこまめに記帳する 4 経過勘定 ( 仮払金 仮受金等 ) はできるだけ使わず 迅速に整理する 5 残高内訳を補助科目コードで管理する ( 預金 保険未収金 買掛金 借入金 預り金等 ) 6 消費税のチェック ( 課税 非課税 課税対象外の区分 ) 7 月割経費 ( 賞与 減価償却費 ) 見積計上する 8 請求が遅れる場合 見積計上する 結論 決算は日常の会計処理の延長 試算表の累計 決算となるはず 12 ヵ月の試算表 決算とならないように 月次試算表の精度を上げる 8
決算書作成時の確認ポイント 決算処理の体系と処理の流れ 1. 決算の目的決算日を迎え 法人の事業年度が終了すると その期間の経営成績や期末の財政状態を把握し 株主や銀行等の債権者にその内容を報告するため帳簿を締める手続きとして 決算 を行う 2.12 か月分の試算表の集約取引の積み重ねとしての決算期末日の正確な試算表を作成する 3. 各科目の残高を確認現金 預金 売掛金 買掛金等の各勘定科目の残高を確認する 特に現金については実際有高と帳簿残高 預金については預金残高証明書と帳簿残高 売掛金 買掛金については 請求書や領収書と帳簿残高との突合を行い 残高の一致を確認する 4. 期間損益の整理在庫商品については実地棚卸残高と有高帳との突合を行い 収入項目や原価項目についても売掛台帳や仕入帳と突合させる 5. 決算取引の処理期末棚卸及び減価償却費の計上仕訳 各種引当金の計上 未収金 前受金等の経過勘定科目を整理する 6. 決算書類の作成貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書 個別注記表 勘定科目内訳明細書 税務申告書 事業概況書などを作成する (1) 貸借対照表科目の確認ポイント 1 〆後の売掛金は計上されているか 2 雑収入等の未収は計上されているか 3 固定資産の償却後の残高は 減価償却明細と合っているか 9
4 保証金 敷金の異動はないか ( 原状回復 家賃への充当等 ) 5 有価証券等で時価評価すべきものはないか 6 〆後の買掛金は計上されているか 7 未払金 未払費用で計上すべきものはすべて計上しているか 8 源泉税 住民税の預り金はあっているか 納付書と確認したか 9 借入金は短期と長期に分けたか 結論 貸借対照表科目については すべて残高を書き出して確認する必要がある (2) 損益計算書の確認ポイント 1 売上と仕入の対比は適正か 原価率は確認したか 2 給与総額は年末調整のデータと一致しているか 人件費率は確認したか 3 貸倒損失 貸倒引当金は要件を満たしているか 4 債権のうち今期に貸倒れとするものはないか 5 特殊な損益の表示場所は適正か ( 貸付金に対する貸倒損失等 ) (3) 決算書全体の確認ポイント 1 経営者の方針に合った決算書になっているか 2 予想した通りの最終利益になっているか 3 前年対比は確認したか 差異については理由を検討したか 4 欠損金の控除年数は確認したか 5 今期に債権放棄をするべき 社長借入金はないか 6 売上総利益 営業利益 経常利益の数字は確認したか ( 最終利益だけを見ていると 融資に影響することもある ) 7 債務超過 自己資本比率 流動比率は最低限意識したか 結論 決算書は最終利益だけを見るのではなく 全体のバランスを必ず確認すること ちょっとした見落としが 融資に大きな影響を及ぼすこともあるため ミスのない決算書の作成を心がける必要がある 10
法人税に関する確認ポイント (1) 売上関係 1 期末売掛金 未収入金〆後の売上は計上しているか 2 発送済み商品と在庫との関係は確認したか 3 現金収入の未収入金は売上に計上したか 4 回収サイトの長い未収入金は売上に計上したか 売上に関する税務上の留意点 売上関係については 作成した決算書においてその後の税務申告を考慮し 次のような点に注意しなければならない 1. 確認不足による売上計上もれの有無の確認イ ) 請求書の締め後分の確認決算月の売上計上には注意し 翌月の請求書から締め後の売上を確実に拾い出すことが必要 ロ ) 領収書発行済のものについての確認調査で無用な疑いをかけられないためにも 金額や相手先氏名を書き損じた領収書は破棄せず 正当な領収書を作成すると共に一緒に残しておく必要がある ハ ) 売上代金の振込先の確認売上代金の振込口座は会社名義のものとし やむを得ず個人等の口座を指定しなければならなかったときは すぐに処理しておくことが大切である このようなケースの場合 売上除外と認定され重加算税対象となることが多いので注意すること ニ ) 作業日報や材料費などからの確認納品書 請求書等の売上に係るものからだけでなく 材料費や作業日報などの原始記録から 対応する売り上げの計上の適否を確認することも必要 ホ ) 現金管理を適切に行っていることの確認現金監査を受けた場合に 出納帳残高と現金有高が不突合であることのないように日頃から現金管理を厳格に行っておくことが大切 また 厳格な現金管理は従業員による不正の防止など 内部けん制にも効果があり確実に行う必要がある 11