大腸外科手術説明書

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腹腔鏡下前立腺全摘除術について

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外来在宅化学療法の実際

巽病院で大腸癌 巽病院で大腸癌手術をお受けになる方に 大腸癌手術をお受けになる方に 巽病院では,患者さんの人権を尊重し,患者さんにご満足頂け,喜んで退院して頂け るような治療を目指しています 手術前には十分な説明をし,ご納得頂いた上で,最も 良いと思われる治療法を選択して頂くことにしております 大腸

U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎

遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第

2. 予定術式とその内容 予定術式 : 腹腔鏡補助下幽門側胃切除術 手術の内容 あなたの癌は胃の出口に近いところにあるため 充分に切除するためには十 二指腸の一部を含め胃の 2/3 もしくは 3/4 をとる必要があります 手術は全身麻酔 (+ 硬膜外麻酔 ) の下に行います 上腹部に約 25cm の

Microsoft PowerPoint - 大腸癌説明同意文書改訂版.ppt

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第13回がん政策サミット 2016秋

この PDF では 大腸がんの治療方針を考えるお手伝いをします 大腸がんの治療法には 主に内視鏡的治療 外科療法 放射線療法 化学療法があります が 可能となる治療選択肢は がんの状態やあなた自身の状態によって変わります あなたのご自身の状態を知ることは大切です 不明なことは医師に相談しましょう 2

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

腹腔鏡下前立腺全摘除術について

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

頭頚部がん1部[ ].indd

腹腔鏡補助下膀胱全摘除術の説明と同意 (2) 回腸導管小腸 ( 回腸 ) の一部を 導管として使う方法です 腸の蠕動運動を利用して尿を体外へ出します 尿はストーマから流れているため パウチという尿を溜める装具を皮膚に張りつけておく必要があります 手術手技が比較的簡単であることと合併症が少

I. はじめにここでは大腸癌の治療を受けられる方に病気に対する正しい知識を持っていただき, あなたにとって最も良い治療を選択していただくことを目的にして作成しました. この文章をごらん頂いたうえで, さらに詳しいことをお知りになりたい方は社会医療法人ペガサス馬場記念病院外科のスタッフとご相談ください

「             」  説明および同意書


手術の概要 尿道 膀胱 精嚢 前立腺 直腸 手術の目的は前立腺と付随する精囊を一緒に全部とることです 前立腺を摘出した後に膀胱と尿道をつなげます また 前立腺の近くにあるリンパ節を取ることもあります 高リスクの前立腺がんでは出来るだけ広い範囲のリンパ節をとることもあります 摘出部位 麻酔方法 : 全

消化性潰瘍(扉ページ)

乳がん術後連携パス

腸がん1. がん大入浴について手術後は清潔にすることが肝心です 毎日必ずシャワーや入浴をしましょう 創部もこわがらずに洗い流しましょう 創などの感染について手術から30 日以内には手術での創などが膿んだりすることがあります 手術後のサージカルサイトインフェクション (SSI) といいます 傷口はもち

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がん登録実務について

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Microsoft Word - 03 大腸がんパス(H30.6更新).doc

肺がん術後連携パス

種の評価基準により分類示の包括侵襲性指行為の看護師が行う医行為の範囲に関する基本的な考え方 ( たたき台 ) 指示のレベル : 指示の包括性 (1) 実施する医行為の内容 実施時期について多少の判断は伴うが 指示内容と医行為が1 対 1で対応するもの 指示内容 実施時期ともに個別具体的であるもの 例

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大腸がん術後連携パス

基礎知識 1. 大腸 ( 結腸 直腸 ) について 大腸は 食べ物の最後の通り道です 小腸に続いて 右下腹部から始まり おなかの中をぐるりと大きく時計回りに回って 肛門につながります 長さは 1.5~ 2mほどの臓器で 結腸 ( 盲腸 上行結腸 横行結腸 下行結腸 S 状結腸 ) と 直腸 ( 直腸

平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -

をすべて摘出 ( 精嚢も ) し 前立腺がんの根治を目的としています 前立腺がんの根治療法として手術以外に放射線治療がありますが 手術の長所として以下のような点があります 1 摘出した標本での病理結果によりきめ細かなフォローができます 病理結果とは顕微鏡での診断結果です 摘出した前立腺はすべて顕微鏡

はじめに 連携パス とは 地域のと大阪市立総合医療センターの医師が あなたの治療経過を共有できる 治療計画表 のことです 連携パス を活用し と総合医療センターの医師が協力して あなたの治療を行います 病状が落ち着いているときの投薬や日常の診療はが行い 専門的な治療や定期的な検査は総合医療センターが

当院外科における 大腸癌治療の現況


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「腎盂尿管がんに対する手術」説明および同意書

H26大腸がん

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

ることが証明されています このように手術の結果に応じてより細かな対応が可能になります (PSA 再発の項目参照 ) 2 放射線との比較手術と放射線治療を直接比較してどちらが有効かという大きな問題に結論を出した報告は現在のところありません しかし 間接的に比較した報告では 若年者ほど手術の方が予後の改

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

私のリビングウィル 自分らしい最期を迎えるために あなたが病気や事故で意思表示できなくなっても最期まであなたの意思を尊重した治療を行います リビングウィル とは? リビングウィルとは 生前に発効される遺書 のことです 通常の遺書は 亡くなった後に発効されますが リビングウィルは 生きていても意思表示

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限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

本文/開催および演題募集のお知らせ

Vol 夏号 最先端の腹腔鏡下手術を本格導入 東海中央病院では 平成25年1月から 胃癌 大腸癌に対する腹腔鏡下手術を本格導入しており 術後の合併症もなく 早期の退院が可能となっています 4月からは 内視鏡外科技術認定資格を有する 日比健志消化器外科部長が赴任し 通常の腹腔 鏡下手術に

患者必携 がんになったら手にとるガイド 編著 国立がん研究センターがん対策情報センター 発行 学研メディカル秀潤社 患者必携 大腸がんの療養情報 大腸がんの療養情報 ❷ 大腸がんは 早期には特有な症状が現れず 検診などで発見されることの多いがん です 治療後の療養生活では 便通の様子に気を配り 食物

はじめに 近年 がんに対する治療の進歩によって 多くの患者さんが がん を克服することができるようになっています しかし がん治療の内容によっては 造精機能 ( 精子をつくる機能のことです ) が低下し 妊娠しにくくなったり 妊娠できなくなることがあります また 手術の内容によっては術後に性交障害を

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

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院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

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「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

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胃がんの内視鏡的治療 ( 切除 ) とは胃カメラを使ってがんを切除する方法です. 消化器内科 胃がん 治癒 胃がん切除

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がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

Microsoft Word - 食道癌ホームページ用.doc

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

医療に対するわたしの希望 思いが自分でうまく伝えられなくなった時に医療が必要になった場合 以下のことを希望 します お名前日付年月日 変更 更新日 1. わたしの医療について 以下の情報を参照してください かかりつけ医療機関 1 名称 : 担当医 : 電話番号 : かかりつけ医療機関 2 名称 :

消化器センター


食道癌手術さて 食道は文字どおり口 咽頭から胃まで をつなぐ管状の器官でまさに食物を運ぶ道です そして縦隔と呼ばれる背骨の前方の狭い領域にあり 大動脈 心臓そして気管などと密に接しています さらに 気管とは私たちの身体が構成される過程で同じところから発生し 非常に密な関係にあります さらに発生の当初

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大腸がんとは 日本人に多いがんで症状が現れにくいことがあります 粘膜 大腸がんは大腸の粘膜に発生します 大腸は 水分や塩分 一部の栄養素の吸収 便の形成などのはたらきをしている管状の臓器です 壁の厚さは3~5mmで 内側の粘膜から外側の漿膜 ( しょうまく ) までの5つの層からできています 大腸が

e 治癒困難な腸瘻 ( 注 3) があり かつ 腸瘻における腸内容の排泄処理が著しく困難な状 態 ( 注 4) 又は高度の排尿機能障害 ( 注 2) があるもの f 高度の排尿機能障害 ( 注 2) があり かつ 高度の排便機能障害 ( 注 5) があるもの 3 等級表 4 級に該当する障害は 次の

はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です よくお読みになった上で ご不明の点があれば担当医

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

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大腸ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を受けられる患者さんへ

Herniation(= 脱出, 破裂 ) からもたらされた言葉で, 体内の構造物が正常な位置から他の部位に逸脱したことを示します. ヘルニアというと腰の病気と連想されがちですが, 当科で扱うヘルニアは腹部の筋膜の一部が脆弱化 ( ぜいじゃくか : 弱くなること ) することによって腹膜がこれを押し

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

肺がん術後連携パス

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

4 移植手術について原則として右下腹部を切開し 腎移植をします 血管は腎動静脈を足に行く血管に吻合し 尿管は膀胱に吻合します 通常は 輸血はしませんが 必要であれば輸血をすることもあります 術後は 2 日間のベッド上安静を要しその後は歩行も可能となります 通常 4~6 日目に膀胱のチューブを その翌

どく拡張する ( 中毒性巨大結腸症 ) こともあります. このような場合には緊急に手術が必要です. また 大腸癌になった場合にも手術が必要になります. 内科的治療が効きにくい難治例や重症例の場合にも 内科的治療のバランスの点から手術を選択することがあります. 手術の方法は 大腸全摘ですが 肛門を残す

基礎知識 1. 食道について 食道は のど ( 咽頭 ) と胃の間をつなぐ管状の臓器で 部位によって 頸部食道 胸部食道 腹部食道と呼ばれています ( 図 1 左 ) 食道は体の中心部にあり 気管 心臓 大動脈や肺などの臓器や背骨に囲まれています 食道の周囲にはリンパ節があります 食道の壁は 内側か

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耐性菌届出基準

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

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がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

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かった また患者の黒色便が消失したこともあり, 微小な病変が凝固因子製剤の補充により改善した可能性があると考え今回はこれ以上の追加精査は行わず, 再度増悪時にダブルバルーン内視鏡などを考慮する方針とし, 患者は 1 月 14 日に名大病院を退院した 患者は退院後も定期的に名大病院血液内科外来を受診し

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード]

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大腸癌手術説明書 この冊子は大腸癌の手術を受ける方に知っていただきたい情報をまとめたものです 全部で 1~10 ページあります 乱丁 落丁等無いことをご確認ください ご自宅でよくお読みいただき 手術の説明時はこの冊子をお持ちください ( 手術の説明はこの冊子をもとに行います ) 内容でご不明な点がございましたらスタッフにお問い合わせください この冊子の以下の項目つき お読みになったものにチェック ( ) をしてください 1. 診断と症状 2. 治療法 3. 手術による治療効果 4. 治療 ( 手術 ) に伴う合併症 5. 治療を行わない場合に予想されること 6. 今回予定される治療法以外の治療方法 7. 予想される治療期間 8. その他 9. 臨床試験について お受取日年月日 氏名 1 神奈川県立がんセンター大腸外科

大腸手術の説明書 1. 診断と症状診断 : 大腸癌結腸癌 ( 虫垂 盲腸 上行 横行 下行 S 状 ) 直腸癌 ( 直腸 S 状部 上部直腸 下部直腸 ) 肛門管癌 臨床病期診断 (Stage):0 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb Ⅳ 深達度 : 粘膜内 (M) 粘膜下層まで (SM) 固有筋層まで (MP) 固有筋層を超えて浸潤 (SS A) 漿膜表面に露出 (SE A) 直接他臓器に浸潤 (Si Ai) リンパ節転移 : あり (N1,N2) なし肝転移 : あり (H1,H2,H3) なし腹膜播種 : あり (P1,P2,P3) なし肝臓以外の遠隔転移 : あり (M1) なし術前診断ですので術中あるいは術後の病理診断で診断名の追加 変更はありえます 症状 : 特に無し 下血 腹痛 便通異常 その他 大腸は長さ約 1.5m の管状の臓器で 食物の通り道である消化管の一部です 主に水分の吸収や便の貯留に関与しており 内部構造は粘膜 筋層 漿膜に大別されます 口から入った食物は 食道 胃 十二指腸 小腸を通り大腸から直腸へ到達し肛門から便として排泄されます 大腸は口側から盲腸 結腸 直腸に分類され 肛門につながります また盲腸には虫垂と呼ばれる細く突出した部分があります 口 胃十二指腸 小腸大腸 食道 虫垂 喉頭蓋 横隔膜 直腸肛門管 空腸 回腸 虫垂 横行結腸下行結腸上行結腸盲腸 S 状結腸直腸 肛門管 大腸癌とは上記の大腸 つまり盲腸 結腸 ( 結腸はさらに上行結腸 横行結腸 下行結腸 S 状結腸に分類されます ) 直腸に発生した癌をいいます 癌は粘膜から発生し次第に腸壁の深くへ浸潤 ( 癌が周辺の組織に侵入すること ) していきます またそれに伴い血管周囲に存在するリンパ節や 遠く離れた肝臓 腹膜 肺などの臓器へ転移 ( 癌が飛び散っていくこと ) を起こすこともあります 大腸癌では 術前診断として画像などを元に深達度 ( 癌が大腸のどのくらいの深さまで侵入しているか ) リンパ節転移の有無 遠隔転移の有無を判断し病期分類 ( ステージ ; 癌の進行度の目安 ) を行い治療に活かします ステージは 0 から Ⅳ まであり数字が大きくなるほど進行していることを表します 2

粘膜粘膜筋板粘膜下層 固有筋層漿膜下層漿膜 粘膜上皮粘膜粘膜固有層粘膜筋板粘膜下層 固有筋層 漿膜下層 漿膜 M 癌 SM 癌 進達度による分類 リンパ節転移による分類 遠隔転移による分類 肺転移 MP 癌 SS 癌 SE 癌 肝転移 腹膜播種 ステージ分類ステージ 0: 癌が粘膜の中にとどまっているステージ Ⅰ: 癌が大腸の壁にとどまっているステージ Ⅱ: 癌が大腸の壁の外まで浸潤しているステージ Ⅲ: リンパ節転移があるステージ Ⅳ: 血行性転移 ( 肝転移 肺転移 ) または腹膜播種がある 3

2. 治療法大腸癌の治療法には 1 内視鏡治療 2 手術治療 3 化学療法 4 放射線療法 5 緩和療法などがあります 現在 大腸癌においては 根治 ( 再発しない ) の可能性のある治療として認められているのは手術治療であり 遺残無く切除可能 ( 癌を取りきれる ) であれば手術を第一に考えた治療計画を立てるのが一般的です また切除不能 ( 癌を取りきれない ) の大腸癌であっても癌による症状があり 切除で改善が見込める場合には手術を行うこともあります ( 姑息的手術 ) 手術方法は開腹手術と腹腔鏡手術の大きく分けて 2 つの方法があります 開腹手術はお腹を大きく切る従来から行われている手術で 傷は大きくなりますが 術者は直接臓器を触ることができ 行える手技の幅が広く安定しているのが特徴です 腹腔鏡手術はお腹に数箇所の穴をあけカメラや鉗子を入れて手術を行う方法です 新しい方法であり手技として完全に確立していないことや 状況により開腹手術に移行する場合もありますが 傷が小さく術後の痛みが少ないなどの特徴があります 治療法の選択は 癌の進行度を中心に 全身の状態などを十分考慮した上で決定します 当センターでは内科医と外科医が合同で検討し 基本的には大腸癌治療ガイドラインに基づいて治療法を選択しています 根治的手術では 癌のある腸管とその周囲のリンパ節を切除 ( リンパ節郭清 ) します 癌が周囲臓器に浸潤していた場合 可能であればその臓器も同時に切除します 腸管を切除した後 残った腸管をつなぎ合わせます ( 吻合 ) 直腸癌が肛門近くにあり吻合できないときには人工肛門になることがあります 4

癌の部分とリンパ節を扇状に切除 癌 10cm 10cm 吻合 上直腸動脈 S 状結腸 癌 腹膜反転部 直腸 ( 内 外 ) 肛門括約筋 肛門 血管を処理し癌の部分を切除 ( 可能な限り自律神経は温存 ) 癌 腹膜反転部 吻合 自動吻合器を用いて吻合 5

3. 手術による治療効果根治的手術 ( 癌を取りきることを目指した手術 ) と姑息的手術 ( 症状を和らげる目的の手術 ) があります 根治的手術に関しては 癌の部位や病期により異なりますが 70~90% で目的とする手術が行われており この手術が行えた患者さんたちの 5 年生存率は 70~80% です ( 大腸癌治療ガイドライン 2005 年版 ) 4. 治療 ( 手術 ) に伴う合併症以下に記載したような合併症が起こる可能性があります 1 全身合併症呼吸器合併症 : 肺炎, 無気肺, 肺梗塞, 呼吸不全などが相当します 手術後 麻酔ガスの影響で痰の分泌が多くなり さらに 腹部の傷の痛みのため十分に痰を出すことができなくなると痰の詰まった領域の肺がつぶれてしまいます この状態を無気肺といいます 肺がつぶれた状態では細菌による感染を受けやすくなり 容易に肺炎を起こします 肺炎などが悪化し呼吸不全の状態に陥った場合 人工呼吸器により呼吸の補助を行わなければならないことがあります 肺梗塞は手術中 手術後を通じて長時間寝たままの状態となるため起こります 歩行をしない間に足の静脈に血のかたまりができてしまい, これが肺に流れ込んで肺の血流を阻害してしまうことで起こります 呼吸不全 肺梗塞は生命に直接関わってくる重篤な合併症のひとつです 薬物アレルギー : 手術中, 手術後を通じて様々な薬 注射の投与が必要となります 薬物アレルギーはこれらの薬や注射をからだが受け付けずに拒絶するために起こります アレルギーを起こす薬や注射の種類は人によってまちまちですが 頻度が多いものは抗生剤 解熱鎮痛剤 麻酔薬 輸血などです 具体的な症状は蕁麻疹 下痢などの消化器症状など軽度のものから喉頭浮腫 ( 気道の入り口がむくんでしまう状態 ) 呼吸不全 ショックなど生命に直接関わってくるものまで様々です 肝炎 : 薬物アレルギーと同様に麻酔 薬 注射によりおこる薬剤性の肝炎と 輸血による肝炎が代表的なものです 腎機能障害 : 手術中 手術後に使う薬や注射のほとんどは 腎臓あるいは肝臓で代謝 処理されて体外に出ていきます このため腎臓は薬や注射による直接的な障害をうけやすい臓器のひとつです 麻酔中の血圧の変化にも影響されることがあります 最も重篤な場合には人工透析をしなくてはならないことがあります 虚血性心疾患, 難治性不整脈などの循環器障害 : 虚血性心疾患とは狭心症 心筋梗塞などが相当します 麻酔によるストレスや麻酔中の血圧の変動などをきっかけとしておこることがあります また突然の不整脈の出現も考えられ これらにより生命の危機が生じることもあります 術後せん妄 : 術後に見られる意識障害の一種です 夜間の不眠から始まり 現実にないものが見えたり 動作に落ち着きが無くなったり 興奮状態が出現したりします 特にご高齢の方では高い頻度で出現します 通常一時的なもので時間がたてば元に状態に戻りますが 興奮状態の時には徘徊して転倒したり 点滴やお腹のチューブを引き抜いてしまったりといった危険な行動を取ることもあります これら危険行動の予防のため 投薬や患者さんを拘束 ( 体の自由を制限すること ) する必要があることがあります ( 別紙ご参照ください ) 2 開腹手術に伴うもの創部感染, 腹腔内膿瘍 : 手術は無菌的な状態で行いますが ヒトのからだには常在菌と呼ばれる細菌が皮膚の表面や消化管の中に必ず存在しており 細菌が増殖してしまうことがあります 皮膚を切った場所に細菌が増殖するものを創部感染 おなかのなかに細菌が増殖するものを腹腔内膿瘍と呼びます 創部感染は生命に危険を及ぼすことはほとんどありませんが 治るまでに時間がかかること 後ほど述べる腹壁瘢痕ヘルニアの原因となることが問題となります 腹腔内膿瘍は腹痛 高熱の原因となり生命に危険を及ぼすことがあり 再手術や太い針をおなかの表面から刺すなどして溜まった膿を除去する処置を行わなくてはならないことがあります 大腸は便の通り道でありたくさんの細菌が存在するため これらの感染の危険性は高くなってしまいます 術後出血 : 手術中 お腹の中のたくさんの血管を切って病変部を摘出します 切った血管は丹念に糸で縛ったりして止血を確認して手術を終了しますが 手術後に血圧の変動などを契機に一度止まった血が再び出血してくることがあり 6

ます このような状態を術後出血と呼びます 術後出血が起こった場合, 再度手術室において止血のための再手術を行わなければならない場合があります 腸閉塞 : お腹の手術を行うと必ずお腹のなかで癒着が起こります これは傷が治すために必要なことなのですが 傷を治す機転が働きすぎてお腹のなかで腸と腸 腸とお腹の壁などが不都合な形で癒着し 食事や便が腸管を通らなくなってしまうことがあります 腸閉塞が起こった場合は詰まった腸の圧力を抜くための処置 ( 鼻から長いチューブを入れます ) や 最悪の場合 再手術をして癒着を解除せざるを得ない場合があります 腹壁瘢痕ヘルニア : 前述した創部感染などを契機として起こることが多いのですが おなかを開けた傷の部分に一致して非常に弱いところができてしまう状態を指します 手術直後に起こることはあまりなく生命に危険を及ぼすことはほとんどありませんが 長期的には再手術が必要となることがあります 3 大腸手術に伴うもの縫合不全 : 大腸の手術では多くの場合切除した腸管の口側と肛門側を吻合 ( 縫い合わせてつなげる ) します 吻合した腸管は通常時間が経つと 傷が治るのと同じように癒合しますが 時々この癒合がうまくいかないことがあります 原因としては血流が悪いことや糖尿病などの基礎疾患があること ステロイドの使用など傷の直りが悪い状態がある 腸閉塞で腸管がむくんでいるなど様々なものが挙げられます 縫合不全が起こると 便がお腹の中に漏れ出て腹膜炎という状態になります 腹膜炎がお腹全体に広がると ( 汎発性腹膜炎 ) 激しい腹痛や発熱などの症状が出現します 汎発性腹膜炎は非常に危険な状態であり 命にかかわることもあります 多くの場合は緊急で人工肛門の造設を伴う手術が必要となります 術後も集中治療室管理を要したり 長期の人工呼吸器管理 ( 気管切開を要する場合もあります ) や人工透析など行う必要がある場合もあります 手術時にお腹の中に入れてきたチューブがうまく機能すれば食事を止めて中心静脈栄養を用い手術せずに治癒することもありますが 治療には長期間の入院が必要です (1 ヶ月以上 ) 人工肛門状態 : 大腸の手術では縫合不全の可能性が高い下部直腸の手術や肛門を残せない手術を行った場合 その他吻合部の状態が特に悪い場合 縫合不全の手術などでは人工肛門を造設します 人工肛門とは腸管の一部ををお腹の外に出し その腸管を開放したもので そこから便が出るようになります 将来的に閉鎖することを予定して作る一時的人工肛門と閉鎖の予定のない永久人工肛門があります 人工肛門には 回腸で造る回腸人工肛門 ( イレオストミー ) と結腸で造る結腸人工肛門 ( コロストミー ) があります 回腸人工肛門は 一時的人工肛門として作られることが多く 閉鎖時の安全性が高いといわれていますが 水分の多い便が出るため管理が難しいことがあったり 脱水状態が出現したりする可能性があります 結腸人工肛門は永久人工肛門として作られることが多く 通常の便に近いものが出るため管理がしやすい反面 閉鎖の際は縫合不全など合併症の危険性が高いと考えられています 現在 多くの方が人工肛門の状態で日常生活を送っており 装具の進歩などで利便性も向上しています 皆さんの健康を守ってくれる大切なものですので ぜひ大切にしてあげてください 4 術後機能障害排尿障害 : 直腸の手術では膀胱の機能に関わる神経のすぐ近くを操作する必要があります 神経をなるべく残す手術を行いますが 腫瘍や転移リンパ節の状況によっては残せないこともあり また電気メスの熱などの作用で神経が機能しなくなることもあります 症状は様々で お腹に力を入れないと尿が出ない状況から最も強く障害が出現すると自分の力で尿を出すことができなくなるため毎日導尿 ( 尿道に管を入れて尿を出す ) する必要があります 性機能障害 : 下行結腸より肛門側の腸の手術では射精 勃起などに関わる神経のすぐ近くを操作する必要があります 通常神経を残すように手術を行いますが機能を失いやすい神経でもあり 術後に射精 勃起の障害が出現することがあります 便通異常 : S 状結腸より肛門側の腸の手術では 水分の吸収や便の貯留に役立っている部分を切除するため 術後頻便や下痢 便秘 便漏れなど便通異常が出現することもあります ある一定期間 (1~2 時間 ) に 5~6 回の排便があったり 毎食後 2 回程度の排便があるといった状況になる方が多いようです これらの症状は 個人差はありますが 3~6 ヶ月ほどで改善することが多いです しかし 症状が残る方もいて 一般的には 1 年後の状態が維持されます 以上主な合併症を列記しましたがこれ以外にも稀に起こる合併症があります 7

5. 治療を行わない場合に予測されること腫瘍の増殖 増大による症状 ( 出血 閉塞 ) の出現や増悪の可能性があります また 転移の出現の危険性増大と症状出現の可能性があります 6. 今回予定される治療法以外の治療方法手術治療以外の治療法としては放射線療法や化学療法が挙げられます これらの治療では手術の合併症はおこりませんがそれぞれの治療ごとの副作用があります また現在これらの治療は根治を目的としては行われていません その他の治療としては 温熱療法や免疫療法などが試みられていますが はっきりした効果は確認されていません 7. 予測される治療期間術後入院期間は 2~3 週間ですが このような合併症が起こった場合にはさらに 1 ヶ月以上の入院加療を必要とする場合もあります しかし 多くの方はこのような合併症を起こすことなく順調に回復して予定通り退院することが可能です また われわれ医療スタッフが手術後 細心の注意を払いながら治療 看護を行うのはもちろんですが 術後の合併症を防ぐためには患者さんとご家族の協力が必要です 特に肺炎 腸閉塞 肺梗塞を予防するためには 術後早期にベッドから出て歩いていただくことが大切です ご協力よろしくお願いいたします 8. その他大腸癌に限らず 癌は手術によって切除できても再発する危険があります これは手術時にはすでに画像診断では捉えきれない非常に小さな転移が存在していたことを示しています それが, 手術後徐々に大きくなるためです 大腸癌では病期に応じた術後の治療が推奨されており これらの治療を行うかどうかは 手術時の所見や顕微鏡検査 ( 病理診断 ) を参考にして判断します 副作用などの治療についての説明は治療法が決まり次第お話いたします 再発は いろいろな部位におこります 切除した部位 ( 局所再発 ) やリンパ節への再発 腹膜 ( 腹膜播種 ) 他の臓器に転移 ( 特に肝臓への転移の頻度が高い ) 再発様式によりおこる症状もさまざまで 治療もそれぞれの状態に合わせて行われます 9. 臨床試験について臨床試験とは患者さんに参加して頂いて治療法や診断法の有効性や安全性を調べる研究であり 現在行われている多くの治療や診断法も国内外で行われてきた様々な臨床試験をもとに発展してきたものです 当院はがん治療専門病院として がんの医療に関する先進的な取り組みを期待されています そのため多くの臨床試験に参加しており 条件のあった患者さんに参加をお願いすることがあります 我々は臨床試験を今後の医療の発展のために欠かせないものと考えており 一人でも多くの方にご参加頂き その結果を今後の診療に活用し より安全で有効な医療を推進したいと思っています ぜひともご協力のほどよろしくお願いいたします ( 臨床試験は患者さんの自由意志で参加の可否を決定していただき 参加しない場合でも不利益はありません また 理由のいかんを問わず参加の中止をすることもできます 各臨床試験の詳細は別途ご説明いたします ) 以上 大腸の手術の大まかな流れを説明いたしました 不明な点につきましては スタッフにお尋ねください 図 内容の一部は大腸癌研究会ホームページ (http://www.jsccr.jp/index.html) から転載しました 8

手術の具体的な説明 回盲部切除 上行結腸切除 右半結腸切除 横行結腸切除 下行結腸切除 左半結腸切除 S 状結腸切除 高位前方切除 低位前方切除 超低位前方切除 内括約筋切除 外括約筋切除 直腸切断術 経仙骨直腸切除 経肛門的腫瘍切除 開腹手術 腹腔鏡手術 9

大腸癌手術説明書 診断 : 大腸癌 行 S 状 ) 結腸癌 ( 虫垂 盲腸 上行 横行 下 直腸癌 ( 直腸 S 状部 上部直腸 下部直腸 ) 肛門管癌 深達度 : 粘膜内 (M) 粘膜下層まで (SM) 固有筋層まで (MP) 固有筋層を超えて浸潤 (SS A) 漿膜表面に露出 (SE A) 直接他臓器に浸潤 (Si Ai) リンパ節転移 : あり (N1,N2) なし 肝転移 : あり (H1,H2,H3) なし 腹膜播種 : あり (P1,P2,P3) なし 肝臓以外の遠隔転移 : あり (M1) なし 臨床病期診断 (Stage):0 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb さんの場合, 図のように病変があります Ⅳ したがって, 手術では図に示した部分を取る手術を予定しています 手術の名称は といいます 手術時間は時間程度を予定しています これに加え麻酔の導入 抜管などで1~2 時間程度を要します ( 手術時間は状況により大きく変わることがあるので上記の時間はあくまで目安です ) 大腸の手術 特に直腸の低い位置での手術では人工肛門を作る必要がある場合があります 浸潤している臓器を一緒に切除する場合もあります 転移した臓器 ( 肝臓 肺 腹膜播種 ) を同時に切除する場合もあります この手術では, 図のように皮膚切開を置く予定です また 手術後には図のようにシリコン性のチューブがおなかにつながった状態になります. これは, 手術後のおなかの中の状態を正確, 迅速に判断するための見張りの役割をします. このチューブはドレーンと呼びますが, 術後経過が順調であれば 1 週間程度で抜いてしまいます. 抜いた穴は通常 1~2 日で自然に閉じてしまいます. これらのチューブのほかに 手術中から尿道カテーテルや胃の減圧チューブ ( 胃管 ) などを挿入します すべてのチューブ類は術後の経過に応じて 医療者が抜去します 説明日年月日説明者 署名欄 ご本人 ご家族 ( 続柄 ) ( ) ( ) 10