四国地域エネルギーフォーラム 2015 平成 27 年 1 月 21 日 小水力発電に係る電気事業法 ( 保安 ) の規制について 中国四国産業保安監督部四国支部 電力安全課
目次 1. 電気事業法について 2. 電気事業法に基づく届出について 1 保安規程 2 主任技術者 3 工事計画 4 事故報告 1
1. 電気事業法について 電気事業法とは 電気事業法は 昭和 39 年に制定され 電力会社などの電気事業の適正かつ合理的な運営に関する規定を定めることにより電気の使用者の利益保護を図るとともに 電気工作物の保安確保による公共の安全確保 環境保全等を目的とした法律です 特に電気工作物の保安に関しては 設置者の自己責任原則に基づく自主保安を前提に 公共の安全確保及び環境の保全にあり 具体的には感電 漏電等による危険防止 電気的 磁気的障害の防止又は環境保全などが規制の対象となります ( 目的 ) 電気事業法第一条 この法律は 電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて 電気の使用者の利益を保護し 及び電気事業の健全な発達を図るとともに 電気工作物の工事 維持及び運用を規制することによつて 公共の安全を確保し 及び環境の保全を図ることを目的とする 2
電気工作物の区分 ( 定義 ) 電気事業の用に供される事業用電気工作物 電気事業に使用するための電気工作物 設置するためには 保安規程の届出や主任技術者の選任などが必要 ( 例 ) 電力会社 工場等の発電所 変電所 送電線 配電線 需要設備 電気工作物 自家用電気工作物 電気事業の用に供される事業用電気工作物以外の事業用電気工作物 ( 例 ) 発電所 変電所 送電線 配電線 工場 ビルなどの 600V を超えて受電する需要設備 一般用電気工作物 比較的電圧が小さく安全性の高い電気工作物 設置するために 保安規程の届出や主任技術者の選任などは不要 ( 例 ) 一般家庭 商店 コンビニ 小規模事務所等の屋内配線 一般家庭用太陽電池発電 1 出力 20kW 未満 2 最大使用水量 1m 3 /S 未満 3 ダム無しの 3 条件がそろった小水力発電設備は一般用電気工作物に該当する 3
電気事業法の体系 発電設備に対する法規制 電気事業法では 事業用電気工作物を設置する者に対して 次の義務を課すことで電気工作物の自主的な保安の確保を図っています ( 水力発電所関連 ) 1 技術基準等 : 発電用水力設備に関する技術基準電気設備に関する技術基準 2 届出等 : 保安規程 ( 変更 ) 届主任技術者に関する選任又は解任届等工事計画 ( 変更 ) 届 ( 工事着手 30 日前までに ) 3 検査等 : 使用前安全管理検査 4 自主点検 : 保安規程による日常巡視 日常点検 定期点検 5 報告 : 事故報告 その他 ( 公害防止等 ) 報告 4
2. 電気事業法に基づく届出について 発電方式出力等条件保安規程 主任技術者 工事計画 電気 ダム水路 水力 ダムを有する又は 200kW 以上又は最大使用水量 1m 3 /s 以上 ダムを有さないかつ 20kW~200kW 未満かつ最大使用水量 1m 3 /s 未満 土地改良事業に係る農業用排水施設 上水道施設 下水道施設 工業用水道施設の落差をしようする水力発電設備かつダムを有さない ダム有さないかつ 20kW 未満かつ最大使用水量 1m 3 /s 未満かつ 600V 以下の電圧 要 要 要 要 要 要 不要 不要 要 要 不要 不要 不要 不要 不要 不要 5
1 保安規程について 保安規程とは 電気事業法第 42 条第 1 項に規定されている 事業用電気工作物の工事 維持及び運用に関する保安を確保するために 事業場ごとに定める 設備管理のためのルールです 工事開始の前に作成し 遅滞なく届出が必要 ( 保安規程に記載すべき事項 : 電気事業法施行規則第 50 条に規定 ) 管理する者の職務及び組織 従事する者への保安教育 保安のための巡視 点検 検査 運転又は操作 発電所を相当期間停止する場合の保全の方法 災害等非常時の措置 保安についての記録 法廷自主検査に係る実施体制及び記録の保存 ( その他保安に関し必要な事項) 6
主任技術者とは 電気事業法第 43 条第 1 項に規定されている 事業用電気工作物の工事 維持及び運用に関する保安の監督をさせるために 設置者に対し選任が義務づけられているものです 主任技術者の免状の種類と監督範囲 電気主任技術者( 第 1 種 第 2 種 第 3 種 ) 第 2 種 : 電圧 17 万 V 未満のもの 第 3 種 : 電圧 5 万 V 未満のもの ダム水路主任技術者( 第 1 種 第 2 種 ) 第 2 種 : 高さ70m 未満のダム並びに圧力 580kPa 未満の導水路 サージタンク及び放水路に関するもの 7
主任技術者の選出方法 1 選任免状を保有している ( 自社の ) 有資格者から選出する方法 2 兼任承認複数の発電所の主任技術者を兼任する方法 ( 一定の条件あり ) 3 選任許可主任技術者免状を有していない人を主任技術者として選任する方法 ( 一定の条件あり ) 4 外部委託 ( 現在 電気主任技術者のみ ) 保安の業務に関する部分を外部に委託する方法 8
ダム水路主任技術者 ( 自家用電気工作物 ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 資格を有しないもの 1 選任 ( 派遣等 ) 2 兼任承認 3 外部委託 4 選任許可 9
ダム水路主任技術者 ( 自家用電気工作物 ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 資格を有しないもの 1 選任 ( 派遣等 ) 2 兼任承認 3 外部委託 選任する事業場に常時勤務 契約上で以下の3つすべてが約されている 設置者が保安の確保において意見を尊重 運用等の従事者が指示に従う 主任技術者が職務を誠実に行う等 4 選任許可 10
ダム水路主任技術者 ( 自家用電気工作物 ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 資格を有しないもの 1 選任 ( 派遣等 ) 2 兼任承認 3 外部委託 発電所の設置者が同一会社 同一水系又は近傍水系にある 発電所に必要な連絡体制が整備されている 4 選任許可 11
ダム水路主任技術者 ( 自家用電気工作物 ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 1 選任 ( 派遣等 ) 検討中 2 兼任承認 3 外部委託 資格を有しないもの 4 選任許可 12
ダム水路主任技術者 ( 自家用電気工作物 ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 資格を有しないもの 1 選任 ( 派遣等 ) 学校教育法による高等学校又はこれらと同等以上の教育施設において土木工学の課程を修めて卒業した者等 2 兼任承認 3 外部委託 4 選任許可 13
ダム水路主任技術者 ( 自家用電気工作物 ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 資格を有しないもの 1 選任 ( 派遣等 ) 学校教育法による高等学校又はこれらと同等以上の教育施設において土木工学の課程を 修めて卒業した者 経済産業省が実施する講習を修了した者 2 兼任承認 3 外部委託 4 選任許可 14
電気主任技術者 ( 自家用電気工作物 水力発電所関連のみ ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 1 選任 ( 派遣等 ) 2 兼任承認 資格を有しないもの 3 外部委託 選任する事業場に常時勤務 契約上で以下の3つすべてが約されている 設置者が保安の確保において意見を尊重 運用等の従事者が指示に従う 主任技術者が職務を誠実に行う 4 選任許可 15
電気主任技術者 ( 自家用電気工作物 水力発電所関連のみ ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 1 選任 ( 派遣等 ) 2 兼任承認 3 外部委託 資格を有しないもの 4 選任許可 発電所の設置者が同一 等 兼任事業場まで2 時間以内に到達でき また 点検が必要な頻度で行われる 常時勤務しない事業場の場合は 連絡責任者が選任されている 16
電気主任技術者 ( 自家用電気工作物 水力発電所関連のみ ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 1 選任 ( 派遣等 ) 2 兼任承認 3 外部委託 資格を有しないもの 4 選任許可 発電所の設置者が同一等 兼任事業場まで 2 時間以内に到達でき また 点検が必要な頻度 で行われる 常時勤務しない事業場の場合は 連絡責任者が選任されている 兼任する事業場が6カ所以上となる場合は 承認にあたっては特に慎重を期する必要がある 17
電気主任技術者 ( 自家用電気工作物 水力発電所関連のみ ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 1 選任 ( 派遣等 ) 2 兼任承認 3 外部委託 資格を有しないもの 発電所の設置者が同一等 兼任事業場まで2 時間以内に到達でき また 点検が必要な頻度 4 選任許可で行われる 常時勤務しない事業場の場合は 連絡責任者が選任されている 保安業務の遂行上支障となる場合が多いと考えられるので 承認あたっては特に慎重を期する必要がある 18
電気主任技術者 ( 自家用電気工作物 水力発電所関連のみ ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 1 選任 ( 派遣等 ) 2 兼任承認 3 外部委託 資格を有しないもの 4 選任許可 電気事業法施行規則第 52 条の 2 に定める要件を満足する 19
電気主任技術者 ( 自家用電気工作物 水力発電所関連のみ ) 出力 500kW 未満の発電所 出力 500kW 以上 2000kW 以下の発電所 出力 2000kW 以上の発電所 資格保有者 1 選任 ( 派遣等 ) 第一種電気工事士等 2 兼任承認 3 外部委託 資格を有しないもの 4 選任許可 条件の詳細については 主任技術者制度の解釈及び運用 ( 内規 ) をご確認ください 20
3 工事計画届出について工事計画届出書とは 電気事業法第 48 条に規定されている 工事の内容を記載し 必要な資料を添付した事前届出書です 工事開始の 30 日前までに提出が必要 ( 工事計画届出書が不要となるケース ) 出力が200kW 未満かつ最大使用水量 1m 3 /S 未満かつダム又は堰を有しない 土地改良事業に係る農業用排水施設に接地するもの 上水道の導水施設 浄水施設 送水施設に設置するもの 上水道施設の終末処理場に設置するもの 工業用水道施設の導水施設 浄水施設 送水施設に設置するもの 21
3 工事計画届出について 工事計画届出書で提出すべき書類等 ( 工事計画届出書で提出すべき書類等 : 電気事業法施行規則第 66 条 ) 1 工事計画書 施行規則別表第 3( 及び別表第 5) それぞれに該当するものごとに それぞれの中欄の記載すべき事項を記載する 一般記載事項 ( 共通事項 ) と設備別記載事項 ( 工事の内容に関係するものに限る ) があります 2 別表第 3( 及び別表第 5) の上欄に掲げる種類に応じて 同表の下欄に掲げる書類 3 工事工程表 22
4 事故報告について 事故報告は 電気関係報告規則第 3 条 ( 事故報告 ) に明記されています 本規則の定めによって報告しなければならない電気事故は 7 種に分類されます 感電死傷事故 電気火災事故 電気工作物の破損事故等により他の物を著しく損壊させた又は社会的に影響を及ぼした事故 主要電気工作物の破損事故 供給支障事故 他社への波及事故 ダムによって貯留された流水が当該ダムの洪水吐きから以上に放流された事故 23
水力発電の保安に関して行政手続き等につ いて 産業保安監督部 HP 上から 電気事業法 施行規則 告示 内規等をダウンロードして ご参照下さい URL:http://www.safety-shikoku.meti.go.jp/skh_d8/ 10_hourei/10_01_hourei.htm 中国四国産業保安監督部四国支部電力安全課 TEL:087-811-8588 FAX:087-811-8597 E-mail:inoue-tatsuki@meti.go.jp E-mail:kitamura-kenji@meti.go.jp 担当 : 井上 北村 24