では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

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達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

平成  年(オ)第  号

審決取消判決の拘束力

目次 1. 訂正発明 ( クレーム 13) と控訴人製法 ( スライド 3) 2. ボールスプライン最高裁判決 (1998 年 スライド 4) 3. 大合議判決の三つの争点 ( スライド 5) 4. 均等の 5 要件の立証責任 ( スライド 6) 5. 特許発明の本質的部分 ( 第 1 要件 )(

第 1 事案の概要 1 当事者 (1) 原告 / 控訴人 / 上告人 ( 以下 X と記載することもある ) テバジョジセルジャールザートケルエンムケドレースベニュタールシャシャーグ (2) 被告 / 被控訴人 / 被上告人 ( 以下 Y と記載することもある ) 株式会社協和発酵キリン ここが縮合

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

平成  年(オ)第  号

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

 

平成  年(行ツ)第  号

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第26回 知的財産権審判部☆インド特許法の基礎☆

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

間延長をしますので 拒絶査定謄本送達日から 4 月 が審判請求期間となります ( 審判便覧 の 2.(2) ア ) 職権による延長ですので 期間延長請求書等の提出は不要です 2. 補正について 明細書等の補正 ( 特許 ) Q2-1: 特許の拒絶査定不服審判請求時における明細書等の補正は

併等の前後を通じて 上告人ら という 同様に, 上告人 X1 銀行についても, 合併等の前後を通じて 上告人 X1 銀行 という ) との間で, 上告人らを債券の管理会社として, また, 本件第 5 回債券から本件第 7 回債券までにつき上告人 X1 銀行との間で, 同上告人を債券の管理会社として,

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平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

O-27567

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

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例 2: 組成 Aを有するピアノ線用 Fe 系合金 ピアノ線用 という記載がピアノ線に用いるのに特に適した 高張力を付与するための微細層状組織を有するという意味に解釈される場合がある このような場合は 審査官は 請求項に係る発明を このような組織を有する Fe 系合金 と認定する したがって 組成

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ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

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7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

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指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

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認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

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する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

た本件諸手当との差額の支払を求め ( 以下, この請求を 本件差額賃金請求 という ),2 予備的に, 不法行為に基づき, 上記差額に相当する額の損害賠償を求める ( 以下, この請求を 本件損害賠償請求 という ) などの請求をする事案である 2 原審の確定した事実関係等の概要は, 次のとおりであ

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本件合併時にA 信用組合に在職する職員に係る労働契約上の地位は, 被上告人が承継すること,3 上記の職員に係る退職金は, 本件合併の際には支給せず, 合併後に退職する際に, 合併の前後の勤続年数を通算して被上告人の退職給与規程により支給することなどが合意された また, 本件合併の準備を進めるため,

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し, これを評点 1 点当たりの価額に乗じて, 各筆の宅地の価額を求めるものとしている 市街地宅地評価法は,1 状況が相当に相違する地域ごとに, その主要な街路に沿接する宅地のうちから標準宅地を選定し,2 標準宅地について, 売買実例価額から評定する適正な時価を求め, これに基づいて上記主要な街路の

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(4) 抗告人は, 平成 28 年 8 月 26 日, 本件仮登記の抹消登記を経由した (5) 抗告人は, 平成 28 年 9 月 7 日, 東京地方裁判所に対し, 本件再生手続に係る再生手続開始の申立てをし, 同月 20 日, 再生手続開始の決定を受けた 上記申立てに当たり抗告人が提出した債権者一

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に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

なお 本書で紹介した切餅特許事件においては 被告製品は 原告特許発明の構成要件 Bを文言上充足するともしないとも言い難いものであったが 1 審で敗訴した原告は 控訴審において 構成要件 Bの充足が認められなかった場合に備え 均等侵害の主張を追加している 知財高裁は 被告製品は構成要件 Bを文言上充足

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た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

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2.1 提供方法 提供形態 登録されたサービス利用者に発行される ID パスワードによりアクセス できるダウンロードサイトから オンラインで提供される 提供周期 新規発生分 / 更新処理分のデータは 日次及び週次で提供される ただし 週次データにおいて期間内に更新又は削除が複

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プロダクト バイ プロセスクレームの解釈 ( その 1) プラバスタチン Na 事件最高裁判決の主文について プロダクト バイ プロセスクレーム 発明を特許出願する場合 発明者はその発明を 特許請求の範囲に その発明の技術分野に属する専門家 ( 当業者 ) に明確に理解できるように記載しなければなりません ( 特許法 36 条 6 項 2 号 ) ここで 明確に理解できる とは その発明の技術的範囲が曖昧さを含まずに当業者が解釈できることを意味します しかし 発明は技術的思想ですから ( 特許法 2 条 1 項 ) 技術を明確に文章表現することが必要となりますが 技術を文章表現することが本質的に難しい場合があります 物の製造方法 の発明の場合では 発明者はその物を自分で製造しているので どのような原材料を使用して その原材料をどのように加工してその物を得たか 即ち その物を製造するためのレシピはよく知っているので 発明者は製造方法を明確に文章表現することは比較的容易にできます きちんとした製造方法のレシピであれば第三者もその内容を明確に理解することはそれほど難しくありません また そのようにして製造された 物 の発明が 建造物 機械 テレビ 車 パソコン スマートホンのように その構成が ( 必要であれば顕微鏡等を使用して ) 目で見た範囲の物理的構成だけで理解できる 物品 である場合は その物品の物理的構成を文章で明確に記載することは ( 容易ではありませんが ) 可能ではあります 一方 製造された物の発明が 化合物や材料 ( 以下 まとめて化学物質 ) のような化学分野の発明である場合 その化学的構成は目で見た範囲の物理的構成だけ 1/9

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世界で初めて製造した化学物質は その発明の実用的効果は当然にわかっているとしても その発明の化学的構成が 発明者ですら分析できずブラックボックスである場合があります さらに 既存の良く知られていると思われている化学物質でも その化学的構成をいざ化学式や化学的特性で表現しようとしても実はできないに等しい場合があります ( ポリエチレン等の身近な高分子材料が代表的な例です ) このように その構成が物理的構成だけでは文章表現することができないに等しい発明を その製造方法はよくわかっているので 特定の製造方法で得られた物 と規定して その製造方法を文章表現して特許請求の範囲に記載することが認められており このような特許請求の範囲の記載 ( 以下 クレーム ) を プロダクト バイ プロセスクレーム ( 以下 PbyPクレーム ) といいます PbyP クレームの認定及び解釈の従前の状況 PbyPクレームで特定された発明について 現状は 特許庁が審査する場面では 審査官は審査対象となる発明は記載された製造方法によらず 最終的に得られた物 であるという立場 ( 物同一説 ) で認定し ( 特許 実用新案審査基準 ( 以下 審査基準 )) 裁判所が侵害裁判で審理する場面では 裁判官は審理対象となる発明を 物同一説で認定 解釈する場合と その製造方法で得られた物 に限定されるとする立場 ( 製法限定説 ) で認定 解釈する場合がありました 2/9

特許庁が 平成 6 年改正特許法等における審査及び審判の運用 でPbyPクレームを認めて以降 PbyPクレームを 特許庁は 一貫して物同一説で審査を行ってきましたが 裁判所は 物同一説で解釈する場合と製法限定説で解釈する場合が混在し PbyPクレームの取扱いが統一されていませんでした 特許権者からみれば PbyPクレームで規定された発明は製造方法によらない物として認定されて特許権を取得したはずなのに 侵害者と思われる業者に対して侵害訴訟を起こしたら その製造方法で得られた物として狭く解釈されてしまい その業者が他の製造方法でその物を製造していれば 侵害に該当しないと判断されてしまう可能性があるということになります このように PbyPクレームが物同一説で解釈されるのか 製法限定説で解釈されるのかは 特許権者にとっても その特許を回避して対抗品を製造しようとする業者にとっても 非常に重要な問題となります PbyP クレームの認定及び解釈に関する主要な判決例 PbyPクレームの認定又は解釈した主要な判決例は以下のようなものがあります ( 私なりに整理した 論文を参照して下さい ) A. 物品系分野 (1) 平成 16 年 ( 行ケ )298( 壁用パネル材料の取付金具事件 ) (2) 東京高裁 : 平成 14 年 ( ネ )1089( 止め具事件 ) 3/9

(3) 最高裁 : 平成 10 年 ( オ )1579( 衿腰に切替のある衿事件 ) (4) 最高裁 : 昭 54( オ )336( 長押事件 ) B. 化学系分野 (1) 平成 11 年 ( 行ケ )437( 光テ ィスク用ホ リカーホ ネート成形材料事件 ) (2) 侵害訴訟 : 平成 1 年 ( ワ )5663( ホ リエチレン延伸フィルム事件 ) (3) 侵害訴訟 : 平成 22 年 ( ネ )10043( プラバスタチンNa 事件 ) C. コメント物品系分野の発明のPbyPクレームは 高裁 最高裁レベルで 概ね 原則 物同一説 で認定 (A(1) 審決取消訴訟 ) 及び解釈 (A(2)~(3) 侵害訴訟 ) されており ほぼ決着がついていると考えられます 化学系分野の発明のPbyPクレームは これまでは 原則 物同一説 で認定 (B(1) 審決取消訴訟 ) 及び解釈 (B(2) 侵害訴訟 ) されてきましたが 最新の知財高裁大合議判決 (B(3)) では 原則 製法限定説 で認定及び解釈するとされました このB(3) が確定すると 物同一説 で審査している特許庁の実務が影響を受けることになり 発明者サイドにも大きな影響が出るため B(3) の上告審の成り行きが注目されていました 最高裁判決の審理対象となった特許発明 特許第 3737801 号請求項 1 に係る特許発明 ( 以下 本件発明 ) は 以下のよう な PbyP クレームで規定さています ( 下線は筆者が付し 適宜改行しており 以下同 様です ) 次の段階 : 4/9

a) プラバスタチンの濃縮有機溶液を形成し, b) そのアンモニウム塩としてプラバスタチンを沈殿し, c) 再結晶化によって当該アンモニウム塩を精製し, d) 当該アンモニウム塩をプラバスタチンナトリウムに置き換え, そして e) プラバスタチンナトリウム単離すること, を含んで成る方法によって製造される, プラバスタチンラクトンの混入量が0.5 重量 % 未満であり, エピプラバの混入量が0.2 重量 % 未満であるプラバスタチンナトリウム 最高裁判決の論点 本件特許発明に対する侵害訴訟 ( 以下 本件 ) において 知財高裁判決は侵害は成立しないとして被疑侵害者側が勝訴しましたが この判決を不服とする特許権者側が上告人 被疑侵害者側が被上告人となって 本件は最高裁で争われることになりました 最高裁では PbyPクレームの解釈を論点とする第 1204 号と PbyPクレームの認定を論点とする第 2658 号とに分かれて審理されました A. 第 1204 号 被上告人は, 当該医薬品が上告人の特許の特許発明の技術的範囲に属しないなどと主張しており, 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法の記載がある場合における特許発明の技術的範囲の確定の在り方 が争われている 5/9

B. 第 2658 号 被上告人は, 上告人の特許は特許無効審判により無効にされるべきものであるなどと主張しており, 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法の記載がある場合における特許要件の審理の前提となる発明の要 旨の認定の在り方が争われている 知財高裁の判断 最高裁のまとめによれば 知財高裁は PbyPクレームは 原則 特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物に限定して解 釈され 認定されるべきであり 例外 として その物をその構造又は特性により直接特定することが出願時におい て不可能又は困難であるとの事情が存在するときにだけ認められる と 原則を製法限定説 例外を物同一説の立場で判断しました A. 第 1204 号 (1) 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法の記載がある場合における当該発明の技術的範囲は, 当該物をその構造又は特性により直接特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するときでない限り, 特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物に限定して確定されるべきである (2) 本件発明には上記 (1) の事情が存在するとはいえないから, 本件発明の技術的範囲は, 当該製造方法により製造された物に限定して確定されるべきである そして, 被上告人製品の製造方法は, 少なくとも本件特許請求の範囲に記載され 6/9

ている a) プラバスタチンの濃縮有機溶液を形成 することを含むものではないか ら, 被上告人製品は, 本件発明の技術的範囲に属しない B. 第 2658 号 (1) 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法の記載がある場合における特許法 104 条の3 第 1 項に係る抗弁の判断の前提となる当 該発明の要旨は, 当該物をその構造又は特性により直接特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するときでない限り, 特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物に限定して認定されるべきである (2) 本件発明には上記 (1) の事情が存在するとはいえないから, 本件発明の要旨は, 当該製造方法により製造された物に限定して認定されるべきである そして, 本件発明は, 当業者が容易に想到し得たものであるから, 本件発明に係る特許は特許無効審判により無効にされるべきものであり, 上記訂正の請求がされているとしても, 本件訂正発明に係る特許も同様に特許無効審判により無効にされるべきものである 最高裁の判断 最高裁は PbyPクレームは 当該製造方法により製造された物と構造 特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である と 物同一説の立場で判断し 例外を認めませんでした そして 知財高裁判決を破棄しました 7/9

A. 第 1204 号 しかしながら, 原審の示した上記 (1) の基準は是認することができず, そうすると, それを前提とした上記 (2) の判断も是認することができない その理由は, 次のとおりである (1) 願書に添付した特許請求の範囲の記載は, これに基づいて, 特許発明の技術的範囲が定められ ( 特許法 70 条 1 項 ), かつ, 同法 29 条等所定の特許の要件について審査する前提となる特許出願に係る発明の要旨が認定される という役割を有しているものである そして, 特許が物の発明についてされている場合には, その特許権の効力は, 当該物と構造, 特性等が同一である物であれば, その製造方法にかかわらず及ぶこととなる したがって, 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても, その特許発明の技術的範囲は, 当該製造方法により製造された物と構造, 特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である 原審の判断には, 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある 論旨は理由があり, 原判決は破棄を免れない B. 第 2658 号 しかしながら, 原審の示した上記 (1) の基準は是認することができず, そうする と, それを前提とした上記 (2) の判断も是認することができない その理由は, 次のとおりである 8/9

(1) 願書に添付した特許請求の範囲の記載は, これに基づいて, 特許発明の技術的範囲が定められ ( 特許法 70 条 1 項 ), かつ, 同法 29 条等所定の特許の要件について審査する前提となる特許出願に係る発明の要旨が認定される という役割を有しているものである そして, 特許が物の発明についてされている場合には, その特許権の効力は, 当該物と構造, 特性等が同一である物であれば, その製造方法にかかわらず及ぶこととなる したがって, 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても, その発明の要旨は, 当該製造方法により製造された物と構造, 特性等が同一である物として認定されるものと解するのが相当である 原審の判断には, 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある 論旨は理由があり, 原判決は破棄を免れない こうして 長い間論争されてきたPbyPクレームの認定及び解釈の問題は 最高裁が物同一説の立場を支持したことによって結着したのでした しかし 最高裁は 上記主文の理由の後に なんとも不可解な傍論を付しており この傍論に基づき 知財高裁判決を破棄しただけでなく 差し戻しをしました この傍論をどう考えるかで 実務は大混乱に陥りかねない状況になっています 実際 特許庁は この傍論に反応して 7 月上旬に審査基準の改訂がなされるまで PbyPクレームの審査業務を停止する事態になっています ( 続く ) 9/9