Powered by TCPDF (www.tcpdf.org) Title 心臓副交感神経の正常発生と分布に必須の因子に関する研究 Sub Title Research of cardiac parasympathetic nerves Author 荒井, 隆秀 (Arai, Takahide) Publisher Publication year 2010 Jtitle 科学研究費補助金研究成果報告書 (2009. ) Abstract 今回の研究では心臓支配副交感神経に関する分子メカニズムを解明することを目的とした そのためにまず心臓支配副交感神経を可視化することを目標とした 心臓支配副交感神経や心臓神経節がChAT(choline acetyl transferase) で染色可能であることを確認し 成獣マウスにおいてはChAT が心内膜側に優位であることを確認した ChATに特異的にCre recombinaseを発現するchat-cre マウスから cre-loxpシステムによりchat- EGFPマウスを樹立し 心臓副交感神経の可視化を行うことを目指している Notes 研究種目 : 若手研究 (B) 研究期間 : 2008~2009 課題番号 : 20790550 研究分野 : 医歯薬学 Genre URL 科研費の分科 細目 : 内科系臨床医学 循環器内科学 Research Paper http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=kaken_20790550seika
様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成 22 年 6 月 16 日現在 研究種目 : 若手研究 (B) 研究期間 :2008~2009 課題番号 :20790550 研究課題名 ( 和文 ) 心臓副交感神経の正常発生と分布に必須の因子に関する研究 研究課題名 ( 英文 )Researchofcardiacparasympatheticnerves 研究代表者荒井隆秀 (ARAITAKAHIDE) 慶應義塾大学 医学部 助教研究者番号 :00383894 研究成果の概要 ( 和文 ): 今回の研究では心臓支配副交感神経に関する分子メカニズムを解明することを目的とした そのためにまず心臓支配副交感神経を可視化することを目標とした 心臓支配副交感神経や心臓神経節が ChAT(choline acetyl transferase) で染色可能であることを確認し 成獣マウスにおいては ChAT が心内膜側に優位であることを確認した ChAT に特異的に Cre recombinase を発現する ChAT-cre マウスから cre-loxp システムにより ChAT-EGFP マウスを樹立し 心臓副交感神経の可視化を行うことを目指している 研究成果の概要 ( 英文 ):It aimed to clarify a molecular mechanism concerning the cardiac parasympathetic nerves in this research. It aimed first making the cardiac parasympathetic nerves visible for that. It was confirmed to be able to dye the cardiac parasympathetic nerves and cardiac ganglia with ChAT(choline acetyl transferase), and confirmed ChAT was dominant on the central side of the heart in the adult mouse. The cre-loxp system aims at Cre recombinase in ChAT in the peculiarity and aims to establish the ChAT-EGFP mouse, and to make cardiac parasympathetic nerves visible from the appearing ChAT-cre mouse. 交付決定額 ( 金額単位 : 円 ) 直接経費 間接経費 合計 2008 年度 1,600,000 480,000 2,080,000 2009 年度 1,500,000 450,000 1,950,000 年度年度年度総計 3,100,000 930,000 4,030,000
研究分野 : 医歯薬学科研費の分科 細目 : 内科系臨床医学 循環器内科学キーワード : 心臓副交感神経 1. 研究開始当初の背景自律神経である交感神経と副交感神経および知覚神経が存在する 我々はこれまで心臓交感神経の発生および心臓病態および心臓知覚神経に関する研究を行い この領域において世界レベルの研究実績を積み重ねてきた 心臓はその発生における交感神経支配において 神経栄養因子 (NGF) の発現が必須であるが エンドセリン -1 が NGF の発現を制御していることを世界で初めて報告した また 交感神経は心外膜側に偏在して分布するが その分布において神経軸索反発因子セマフォリン 3A の心内膜側の発現が重要であることを発見した また心臓知覚神経に関して 発生段階において NGF の発現が必須であることや糖尿病においては NGF 発現が減少しており NGF を補充することで知覚神経が回復することなどを明らかにしてきた 然るに 心臓支配副交感神経に関しては未知なる点が数多く残されている 副交感神経の心臓支配を制御している因子は何か? 何故副交感神経は心内膜側に偏在しているのか? 副交感神経分布の偏りに交感神経分布との関連はあるのか? など未だ明らかでない 臨床においては 心不全や狭心症および不整脈の発生や維持に副交感神経が関与していることが経験的に知られている 例えば 心房細動症例では副交感神経節へのアブレーションが有効との報告があり 治療ターゲットとして注目されている これらの背景から 副交感神経の心臓支配制御に関するメカニズムの解明が強く求められている 我々のこれまでの検討から 心臓において副交感神経に強く働きかける因子の候補として 交感神経を副交感神経に形質転換する能力を有する cholinergic differentiation factor(cdf) に注目している CDF には gp130 サブユニットを共通の受容体とする IL-6 サイトカインファミリーと脳由来神経栄養因子 (BDNF) や GDNF などの神経栄養因子が含まれる 我々は 肥大心や不全心において特に IL-6 サイトカインファミリーに属する LIF やカルジオトロピン 1(CT-1) の発現が著明に亢進し オートクリンに作用して心肥大を惹起することを報告した 興味深いことに これらの因子は心筋細胞における胎児期遺伝子マーカーの発現 ( 心筋細胞の幼若化 ) に関与するだけではなく 交感神経細胞にも作用して幼若神経マーカーを発現し 交感神経機能を 低下させる ( 交感神経細胞の幼若化 ) ことを見いだした さらに驚くべきことに 心肥大から心不全へと病態が進行すると LIF および CT-1 は 交感神経を副交感神経に分化転換することを発見した また 心不全病態に限らず マウス心臓内に LIF を過剰発現させると 心機能が正常であるにもかかわらず 本来交感神経が分布する予定の心外膜側に 副交感神経が分布することも確認した 2. 研究の目的今回の研究では心臓支配副交感神経に関する分子メカニズムを解明することを目的とした 3. 研究の方法 本研究では心臓支配副交感神経に関して (1) 心臓副交感神経可視化モデル (ChAT-EGFP) を作成し 胎生期における生理 的な心臓支配の時期 分布を明らかにする (2) 心臓特異的 LIF 過剰発現マウス (LIFtg) と ChAT-EGFP を交配させ 胎生期心臓副交感 神経支配確立に LIF が関与するか (gain of function) (3) 発生期心臓副交感神経に対す る LIF の直接的な影響を検討するため IL-6 関連サイトカインファミリーに共通の受容 体 gp130 の副交感神経特異的 KO マウス (ChAT-gp130-/-) を解析する (loss of function) さらに (4) gp130 の交感神経特異的 KO マ ウス (DBH-gp130-/-) と ChAT-EGFP を交 配させ 胎生期心臓副交感神経支配確立に交 感神経の副交感神経化が関与するか否かを 検討する また (5) 神経軸索反発因子 Sema3A の遺伝子操作マウスと ChAT-EGFP との交配により Sema3A の副交感神経の心 臓分布に及ぼす影響を解明する
4. 研究成果予備実験として 心臓支配副交感神経や心臓神経節が ChAT(choline acetyl transferase) で染色可能であることを確認し 成獣マウスにおいては ChAT が心内膜側に優位であることを確認した ChAT に特異的に Cre recombinase を発現する ChAT-cre マウスから cre-loxp システムにより ChAT-EGFP マウスを樹立し 心臓副交感神経の可視化を行うことを目指した しかし このマウスは心臓副交感神経を特異的にトレースするものではなかった 現在 別の副交感神経のマーカーである VAChT(vesicular acetylcholine transporter) を用いて同様の検討を行っている また発生段階における心臓副交感神経に関して IL-6 関連サイトカインである LIF および IL-6 関連サイトカインファミリーに共通の受容体 gp130 の関与を検討するために LIFmRNA 発現の心臓における経時的変化を定量的 RT-PCR 法にて解析し 副交感神経の発達と LIF の発現との間に相関があるか否かを調べている 心臓特異的 LIF 過剰発現マウス (LIFtg) と VAChT-EGFP を交配させ 胎生期心臓副交感神経支配確立に LIF が関与するかを調べ また gp130 の交感神経特異的ノックアウトマウス (DBH-gp130-/-) と VAChT-EGFP を交配させ 胎生期心臓副交感神経支配確立に交感神経の副交感神経化の関与の有無を検討しているところである 学会発表 ( 計 0 件 ) 図書 ( 計 0 件 ) 産業財産権 出願状況 ( 計 0 件 ) 名称 : 発明者 : 権利者 : 種類 : 番号 : 出願年月日 : 国内外の別 : 取得状況 ( 計 0 件 ) 名称 : 発明者 : 権利者 : 種類 : 番号 : 取得年月日 : 国内外の別 : その他 ホームページ等なし 5. 主な発表論文等 ( 研究代表者 研究分担者及び連携研究者には下線 ) 雑誌論文 ( 計 0 件 ) 6. 研究組織 (1) 研究代表者荒井隆秀 (ARAI TAKAHIDE) 慶應義塾大学 医学部 助教研究者番号 :00383894
(2) 研究分担者 なし (3) 連携研究者 なし