JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

Similar documents
岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

医師主導治験取扱要覧

ICH-GCPとJ-GCPとの比較表

12_モニタリングの実施に関する手順書 

3 治験実施計画書目的 当該治験について 治験実施計画書が手順書に従い適切に作成及び改訂されていることを確認する 次の事項を調べる (1) 治験実施計画書の記載項目 ( 再生医療等製品 GCP 省令第 7 条第 1 項に規定する項目 ) (2) 治験実施計画書の作成 改訂の手順と日付 (3) 治験計

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

Microsoft Word - ○指針改正版(101111).doc

標準業務手順 目次

< F2D8EE888F882AB C8CC2906C>

<93648EA593498B4C985E82C98AD682B782E E838A F E315F C668DDA95AA292E786C7378>

個人情報保護規定


8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

じ ) その他の処方せん医薬品又は高度管理医療機器の製造販売に係る業務の責任者との密接な連携を図らせること ( 安全確保業務に係る組織及び職員 ) 第四条第一種製造販売業者は 次に掲げる要件を満たす安全確保業務の統括に係る部門 ( 以下この章において 安全管理統括部門 という ) を置かなければなら

「GMP担当者研修・認定講座」の運用規定(案)

保健福祉局地域福祉課

(Microsoft Word - \201iAL\201jAG-Link\227\230\227p\213K\222\350.doc)

保健福祉局地域福祉課

劇場演出空間技術協会 個人情報保護規程

privacypolicy

「GMP担当者研修・認定講座」の運用規定(案)

制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

仮訳 原文 P2 補遺 E6 (R2) コード 履歴 日付 E6(R2) R1 文書に対する補遺以下の各項に対する追加 : 序文,1.63,1.64, 1.65,2.10,2.13,4.2.5,4.2.6,4.9.0,5.0, 5.0.1,5.0.2,5.0.3,5.0.4,5.0.5,5.0.6,

独立行政法人国立病院機構仙台医療センターにおける医薬 品等の使用成績調査 特定使用成績調査及び副作用 感染 症報告 その他の受託研究の実施に関する標準業務手順書 2018 年 7 月 26 日第 9 版

個人情報管理規程

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

業務委託契約書

Webエムアイカード会員規約

特定個人情報の取扱いに関する管理規程 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 特定個人情報の漏えい 滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のための措置を講ずるに当たり遵守すべき行為及び判断等の基準その他必要な事項を定めるものとする ( 定義 ) 第 2 条 この規定における用語の意義は 江戸川区個人情報保

Microsoft Word - 2-① 補償ガイドライン平成27年版(本文)Ver3.1.1.do

個人情報保護方針の例

3 乙は 業務従事者が本誓約に基づき課される守秘義務に違反した場合は 乙が本誓約に違反した ものとして その責任を負うものとする ( 乙による具体的措置の実施 ) 第 4 条乙は 業務従事者に対して入手した秘密情報を本件に必要な限度で開示 提供するものとする 2 乙は 甲の求めに応じて 業務従事者の

<4D F736F F D208CC2906C8FEE95F182C98AD682B782E98AEE967B95FB906A93992E646F63>

(2) 情報資産の重要度に応じた適正な保護と有効活用を行うこと (3) 顧客情報資産に関して 当法人の情報資産と同等の適正な管理を行うこと (4) 個人情報保護に関する関係法令 各省庁のガイドライン及び当法人の関連規程を遵守すると共に これらに違反した場合には厳正に対処すること ( 個人情報保護 )

<4D F736F F D208EA18CB182C98AD682B782E995578F808BC696B18EE88F878F E38E748EE593B1816A E7B8D732E646F637

治験審査委員会手順書 平成 27 年 10 月 1 日 医療法人新光会

個人情報の取り扱いに関する規程

特定個人情報の取扱いの対応について

agenewsプライバシーポリシー_0628_テキスト形式

PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

<4D F736F F D208CC2906C8FEE95F182CC8EE688B582C982C282A282C E646F6378>

報主体の権利利益及びプライバシーの侵害の防止に関し 必要な措置を講じるよう勤める 2 本センターの職員等は 業務上知り得た個人情報を漏えいし または不当な目的に使用してはならない 第 2 章 管理体制及び責任 ( 管理体制 ) 第 6 条本センターは 個人情報の適切な管理を効果的に実施するため 役割

社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

国立病院機構大阪医療センター受託研究取扱細則

(別紙2)保険会社向けの総合的な監督指針(新旧対照表)

Microsoft Word - crossnet13.doc

14個人情報の取扱いに関する規程

特定個人情報の取扱いの対応について

GVP省令

本サイトにおける個人情報の利用目的は以下のとおりです 当社は 本人の同意なく目的の範囲を超えて利用しません (1) 本サイト会員登録者の個人認証及び会員向け各種サービスの提供 (2) インターネットまたは電話を通じて提供する 宿予約サービス 及びそれに付帯関連する業務の遂行 (3) 上記 (2) に

東レ福祉会規程・規則要領集

PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

治験実施規程

個人情報保護規程

目次 1. 目的と適用範囲 定義 原則 使用機器 審査資料交付システム タブレット端末 管理運用体制 電磁的記録管理運用責任者の役割 電磁的記録管理運用担当者の役割

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

静岡県立静岡がんセンター臨床研究事務局の業務手順書

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

必要となる教育を行うとともに 実施結果について指定する書面により甲に提出しなければならない 第 10 条乙は 甲がこの特記事項の遵守に必要となる教育を実施するときは これを受けなければならない ( 知り得た情報の保持の義務 ) 第 11 条乙は 本契約の履行に当たり知り得た受託情報を第三者に漏らして

CROCO について

事務連絡 平成 30 年 1 月 17 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 御中 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課 厚生労働省医薬 生活衛生局監視指導 麻薬対策課 医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施についての Q&A 医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について

プライバシーポリシー ( 個人情報保護に関する基本方針 ) 株式会社ビットポイントジャパン ( 以下 当社 といいます ) は 個人情報の保護とその適正な管理が重要であることを認識し 個人情報の保護に関する法律 ( 以下 個人情報保護法 といいます ) 関連法令 ガイドラインその他の規範を遵守すると

GCP下での再委託における組織体制及び実施手順

事務ガイドライン ( 第三分冊 )13 指定信用情報機関関係新旧対照表 Ⅰ-2 業務の適切性 現行改正後 ( 案 ) Ⅰ-2 業務の適切性 Ⅰ-2-4 信用情報提供等業務の委託業務の効率化の観点から 内閣総理大臣 ( 金融庁長官 ) の承認を受けて信用情報提供等業務の一部を委託することが可能とされて

保総発第○○○号

文書管理番号

第 2 条ガイアは 関係法令等及びこれに基づく告示 命令によるほか業務要領に従い 公正 中立の立場で厳正かつ適正に 適合審査業務を行わなければならない 2 ガイアは 引受承諾書に定められた期日までに住宅性能証明書又は増改築等工事証明書 ( 以下 証明書等 という ) を交付し 又は証明書等を交付でき

山形県立中央病院治験審査委員会業務手順書

手順書03

資料編 に委託して製造をする場合を含み 他から委託を受けて製 造する場合を含まない ) をし 又は輸入した化粧品を製造 販売のために出荷することをいう 製造販売業者 とは 会社の経営陣 ( 取締役等 ) を指します 薬事法施行規則第 92 条 (4) ロット とは 一の製造期間内に一連の製造工程によ

る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

Ⅰ バイタルリンク 利用申込書 ( 様式 1-1)( 様式 ) の手続 バイタルリンク を利用する者 ( 以下 システム利用者 という ) は 小松島市医師会長宛に あらかじ め次の手順による手続きが必要になります 新規登録手続の手順 1 <システム利用者 ( 医療 介護事業者 )>

安全管理規程

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

上場会社監査事務所登録制度に係る規定要綱案

平成 26 年 3 月 6 日千葉医療センター 地域医療連携ネットワーク運用管理規定 (Ver.8) 千葉医療センター地域医療連携ネットワーク運用管理規定 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条この運用管理規定は 千葉医療センター地域医療連携ネットワーク ( 以下 千葉医療ネットワーク ) に参加

静岡県立静岡がんセンター臨床研究事務局の業務手順書

薬事法における病院及び医師に対する主な規制について 特定生物由来製品に係る説明 ( 法第 68 条の 7 平成 14 年改正 ) 特定生物由来製品の特性を踏まえ 製剤のリスクとベネフィットについて患者に説明を行い 理解を得るように努めることを これを取り扱う医師等の医療関係者に義務づけたもの ( 特

ISO13485:2005 と本邦における QMS との違いについて ( いわゆる追加的要求事項と呼ばれる事項について よく質問があります 品質マニュアル ( 品質管 理監督基準書 ) 作成の際に参考になると幸いです 条項ごとに解説を記載しましたので 参考にしてください 追加的要求事項 1: 製造所

Microsoft Word - 個人情報管理規程(案)_(株)ふるさと創生研究開発機構(2016年1月27日施行).doc

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

特定個人情報の取扱いに関するモデル契約書 平成27年10月

<4D F736F F D E34208EA18CB18EE891B182AB977697CC C8E8DB782B591D682A688CB978A>

GVPの基礎

又は

Microsoft Word - 【案1】登録認証機関立入要領改正通知(Ver )

宮城県立がんセンター受託研究業務手順書

エ事務部門 (9) 利用者 教職員 学生等及び臨時利用者で 本学情報システムを利用する者をいう (10) 教職員 本学に勤務する常勤又は非常勤の教職員 ( 派遣職員を含む ) をいう (11) 学生等 本学学則に定める学部学生 大学院学生 大学院研究生 科目等履修生及び聴講生 等をいう (12) 臨

監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

記 1. 適用対象本通知は 製造販売業者等が GPSP 省令第 2 条第 3 項に規定する DB 事業者が提供する同条第 2 項に規定する医療情報データベースを用いて同条第 1 項第 2 号に規定する製造販売後データベース調査を実施し 医薬品の再審査等の申請資料を作成する場合に適用する GPSP 省

< F2D8E9197BF A836F815B2E6A7464>

11. 不測事態 とは 情報セキュリティの確保及び維持に重大な影響を与える災害 障害 セキュリティ侵害等の事態をいう 12. 役職員等 とは 当組合の役員 職員並びにこれに準ずる者( 嘱託職員 臨時職員 パートタイマー アルバイト等 及び当組合との間に委任契約又は雇用契約が成立した者 ) をいう 1

特定個人情報等取扱規程

(3) 利用 保管方法 要介護認定情報等の申出にて発生する厚生労働省 大学内での倫理審査の文書 研究方法のマニュアル等は 研究室で適切に管理する 厚生労働省より提供を受けた要介護認定情報等の保存媒体の保管場所は 研究室の戸棚に保管し 施錠する 要介護認定情報等の利用場所は 研究室のみとする サーバ室

<4D F736F F F696E74202D EA18CB18AD B68F9182C982A882AF82E993648EA593498B4C985E82CC8A C98AD682B782E98AEE967B93498D6C82A695FB817682CC82DC82C682DF817C8F4390B32E >

<4D F736F F D2093FA96F AD D B9F8B8B834B >

ETCスルーカード規定

Transcription:

受託業務の適正な実施に関する日本 CRO 協会の自主ガイドライン ( 第 4 版 ) 目 次 1. 本ガイドライン制定の背景 2. 目的 3. 関連法規の遵守 4. 受託業務の範囲 5. 受託の検討 6. 受託業務の品質管理及び品質保証 7. 健康被害補償と損害賠償 8. 教育 9. モニタリング 10. 情報セキュリティ 11. 本会員の重大事態への対応 1/5

1. 本ガイドライン制定の背景日本 CRO 協会は 医薬品等の治験及び製造販売後臨床試験等の依頼及び管理に係る業務 ( 受託業務 ) を委託者 ( 治験の依頼をしようとする者又は製造販売業者 ) から受託する CRO (Contract Research Organization) 企業を会員として日本における CRO の望ましい在り方の探究と受託業務の健全な発展を目的に 1994 年 9 月 1 日に発足した また 1997 年 3 月に公布された 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 ( 新 GCP) において CRO は 開発業務受託機関 として法的に認められ 同年 9 月には 受託業務の適正な実施に関する日本 CRO 協会の自主ガイドライン を制定 2007 年 8 月には改訂第三版に至っている 近年 CRO 業界における受託業務範囲の多角化 ( 医薬品 医療機器 医薬部外品 化粧品 食品等 ) や国際共同試験の増加 更に治験国内管理人業務の増加等 受託内容に大きな変化が生じたため 今回 本ガイドラインの改訂を実施した 2. 目的本ガイドラインは 本協会の会員 ( 以下 本会員 という ) が実施する受託業務の信頼性 品質をより高め 継続的な企業活動を実施するための基本的事項を記載したものである 会員各社が本ガイドラインの遵守によって委託者からの信頼を高めそれぞれに発展し ひいては業界全体をさらに拡大発展させることを目的としたものである 3. 関連法規の遵守本会員は 受託業務を実施するにあたり 薬事法 GLP GCP GVP GPSP 等の医薬品 医療機器に関する関連法規及び業務遂行上適用される全ての法律 規則及び規制等を遵守しなければならない また 業務の受託にあたっては 業務実行担当者は十分にそれらを理解 認識した上で業務を遂行するとともに 実施するすべての受託業務に関して 標準業務手順書 ( 以下 SOP 等 という ) を制定し 関連法規の遵守を含め 適切な業務品質を担保できるよう努めなければならない 4. 受託業務の範囲本会員が行う活動のうち 以下に示す事項に対する CRO が受託可能なあらゆる支援業務を本ガイドラインでいう受託業務とする 1. 医薬品 医療機器に関する研究開発活動 2. 医薬品 医療機器に関する薬事業務活動 3. 医薬企業 医療機器企業等が製造販売後に行う活動 4. 医薬部外品 食品 化粧品等に関する研究開発活動 5. 医薬品 医療機器等に関する臨床研究 6. その他 上記 1から5に付帯する各種支援業務また 上記すべての企業活動を対象に社員を契約先事務所に派遣 ( 特定派遣 ) する業務も 2/5

本会員の行う受託業務の範囲とする 5. 受託の検討 本会員は 委託者より依頼のあった業務において倫理性又は科学性の観点から疑問がある 場合は 必要に応じて当該業務受託の妥当性を検討する 6. 受託業務の品質管理及び品質保証本会員は すべての受託業務の実施にあたり 関連法規を遵守し 受託業務の全過程の適切性及びデータの信頼性を確保するために SOP 等に基づく品質管理及び品質保証システムを履行し維持する 特に臨床試験に係る受託業務については 実施部門とは独立した組織にて自主的に監査し ( 以下 自主監査 という ) 受託業務の品質保証に努める 但し この自主監査は 本会員の品質保証システムの一環として自主的に実施する監査であって 委託者の依頼による受託 GCP 監査に代わるものではない 本会員は 自主監査について 監査の実施に係るSOP 等を作成するとともに 監査が本 SOP 等を遵守して実施されていることを保証する 本会員は 受託業務の実施に直接係わらない者で 自主監査の遂行のための要件を満たす者を監査担当者として指名する 監査担当者は 自主監査における発見事項を文書に記載し 当該記録に基づく監査報告書の作成並びに報告を行う なお 本会員は 監査の独立性と価値を保つために 原則として委託者又は規制当局の監査報告書閲覧を受けないものとする 委託者より要請を受けた場合は 自主監査の実施を証明する監査証明書を提出するものとする なお 自主監査の実施にあたっては 日本 CRO 協会 GCP 監査ワーキンググループにより作成された CROにおける自主監査のあり方に対する提言 (2011 年 2 月 1 日 ) を参考とする また 本会員は 製造販売後業務に係る受託業務については 品質管理及び品質保証システムの一環として 自主的に自己点検 ( 以下 自主自己点検 という ) を実施し 受託業務の品質保証に努める この自主自己点検は委託者の依頼により受託した自己点検に代わるものではない 自主自己点検担当者は 原則として点検対象の受託業務の実施に直接関わらない者とするが 所属部門については必ずしも実施部門からの独立性を求めないものとする 7. 健康被害補償と損害賠償健康被害補償とは 適法な行為による損害の埋め合わせをする損失補償であり 損害賠償とは 故意または過失によって他人に生じた損害について賠償する責任を負うことである 本会員が臨床試験におけるモニタリング業務に関する受託業務を実施する場合には 委託者が 治験に関連した健康被害から生じる損失に対する補償責任の履行が充分可能となる 3/5

よう治験保険に加入する等の措置を講じていることを委託契約締結前に必ず確認する さらに 本会員は 受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め 当該 SOP 等に従って 委託者と共に健康被害の補償に関する業務を実施しなければならない 但し 本会員が治験国内管理人業務または選任製造販売業者業務を受託する場合には それぞれ委託者と同等の健康被害補償 賠償責任の履行措置を講じる必要がある また 本会員が実施した受託業務において 本会員に故意または過失 ( 注意義務違反 ) があり かつ当該故意または過失と他人に生じた損害 ( 将来受けるはずだった利益を失った場合を含む ) の間に因果関係の存在が証明された場合には 本会員は不法行為責任 ( 損害賠償責任 ) を負わなくてはならない この対応措置として 本会員が被保険者であり 日本 CRO 協会が保険契約者となる CRO 賠償責任保険への加入が望まれる 8. 教育本会員は 受託業務に従事する担当者に対して 受託業務が適正に遂行できる知識 技能を取得させるための十分な教育研修を行い そのための教育研修責任者を指名する また 本会員は 教育研修に関するSOP 等を定める なお モニタリング業務に携わる者への教育研修については当協会 CRA 教育研修制度総則並びに細則に準じた内容を含める 教育研修責任者は 会員毎に定めるSOP 等に則り 教育研修計画を立案 実行する 教育研修責任者及び教育研修を受講した社員は 教育研修に関する記録 ( 日時 時間 テーマ 講師等 ) を作成 保存する 9. モニタリング業務受託業務の中のモニタリング業務については 医療機関を訪問し直接患者個人の医療情報を取り扱うことから GCP 省令でモニタリング業務に従事する者 ( モニター ) が満たすべき要件が明確に定められている 本会員は SOP 等を基に モニター候補者に対して GCP 等の規制要件に関する十分な教育研修を行うとともに モニタリング業務に必要な科学的 臨床的知識を付与することにより モニタリング業務の実施に適したモニターを指名しなければならない 本会員は 指名したモニターを受託業務に担当させるにあたり 当該業務に関する専門的な知識 情報を十分把握させるとともに 継続的な教育研修を実施しなければならない モニターは 当該治験において 被験者の人権 安全及び福祉の保護が十分になされているか 当該治験が関連法規及び治験実施計画書を遵守して実施されているかどうかを確認する また 治験責任医師又は分担医師から報告された治験データ等と原資料等の治験関連記録類を相互に照合し これらが正確であることを確認するなど GCP 省令第 21 条に定められたモニタリングの実施及び同第 22 条に定められたモニターの責務の各種事項を遵守する 4/5

10. 情報セキュリティ本会員は 委託者より業務に係わる資料 データ 情報等 ( 以下総称して 情報等 といい 有形 無形を問わない ) を入手するに際し 事前に機密保持契約を締結し 受託業務の実施に際して入手した全ての機密情報等について その機密を保持するよう厳重に取扱う責任を有する 本会員は 個人情報を含め上記の情報等を不正 不法行為 ( データの漏洩 破壊 改ざん 不正アクセス 機器の持ち出し等 ) から守るために適切な措置を講じ 情報セキュリティの確保を図る また 本会員は 自然災害 ( 地震 津波等 ) 火災 システム障害( 機器障害 ソフトウェアエラー ネットワーク障害等 ) 等のリスクに対してバックアップ対策を講じるとともに 問題発生時の影響の最小化と迅速な回復 及び問題の原因追求と再発防止の対策を実行する 11. 本会員の重大事態への対応本会員は 受託業務の継続実施に支障を生じるような重大な事態が発生した場合には 本協会にその旨を直ちに報告し 本協会と協力して当該業務に係わる被験者の人権保護を最優先のうえ可能な限りの措置を講じるものとする 本協会は 委託者から依頼があった場合には 本協会における当該業務の承継者の選出等に協力する また 当該業務を承継した本会員の受託者は 委託者と別途契約のもとに当該受託業務の承継などを実施する ( 制定 : 平成 6 年 9 月 1 日 ) ( 改訂第一版 : 平成 9 年 9 月 11 日 ) ( 改訂第二版 : 平成 12 年 4 月 1 日 ) ( 改訂第三版 : 平成 19 年 8 月 20 日 ) ( 改訂第四版 : 平成 24 年 1 月 25 日 ) 5/5