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東洋インキグループの環境データ(2011〜2017年)

プロジェクト概要 ホーチミン市の卸売市場で発生する有機廃棄物を分別回収し 市場内に設置するメタン発酵システムで嫌気処理を行なう また 回収したバイオガスを利用してコジェネレーション設備で発電および熱回収を行ない市場内に供給する さらに メタン発酵後の残さから堆肥メタン発酵後の残さから堆肥 液肥を生産

資料4 国土交通省資料

参考資料2 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 2016年

薬品費などの変動費 EUR 108,174,000 合計 EUR 285,403,000. 海外展開計画の検討事業概要事業計画については 次のように設定した 事業用地 : 調査期間中に モスクワ市より モスクワ市第 2 工場での FS を許可する 旨 回答があったため 対象用地をモスクワ市第 2 工

ごみ焼却発電の拡大と発電効率の向上 ( その 2) ( ごみ焼却発電の拡大方法 ) 環境企画 主宰松村眞 本稿は 2013 年 3 月に開催された化学工学会第 78 年会 ( 大阪大学豊中キャンパス ) 化学 産業技術フォーラムで発表した内容に 関連情報を追記して文章化したものである 化学 装置 2


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ツールへのデータ入力前にすべきこと 一般廃棄物処理に係るフロー図を作成 < 収集 : 直営 > < 直接搬入 > 粗大ごみ **t <A 破砕施設 : 直営 > <D 最終処分場 > 粗大ごみ **t 粗大ごみ **t 粗大ごみ **t 燃やすごみ **t アルミ缶 **t スチール缶 **t びん

富士フイルム株式会社富士宮事業場 焼却炉の維持管理記録 焼却炉への廃棄物投入量 廃棄物処理法第十五条の二の三第 2 項による産業廃棄物処理施設の維持管理の公表 2017 年度 (2017 年 4 月 1 日 ~2018 年 3 月 31 日 ) 投入実績 ( 単位 t) 産業廃棄物 種類 4 月 5

Microsoft Word 尾張東部基本計画.docx

2. 環境へのへの負荷負荷の状況 ( 取りまとめりまとめ表 ) 環境への負荷 単位 年 年 年 1 温室効果ガスガス排出量 二酸化炭素 Kg-CO 2 ( ( ) ) Kg-CO 2 -CO 2 2 廃棄物排出量及び ) 廃棄物最終処分量 一般廃棄物 ) 最終処分量 ) 産業廃棄物 ) 最終処分量

Microsoft Word - ㈱イタバシ維持管理状況一覧(平成30年12月まで)

1 経過及び趣旨平成 20 年 3 月に策定された 湘南東ブロックごみ処理広域化実施計画 の基本方針として リサイクル推進型 +バイオガス利用 ( 残渣焼却 ) 最終処分場負荷軽減型 のごみ処理システムの構築があり バイオガス化施設導入の調査 検討を進めてきました バイオガス化施設導入の検証にあたっ

豊田通商株式会社 CSR Report 2011

目次 1. 奈良市域の温室効果ガス排出量 温室効果ガス排出量の推移 年度 2010 年度の温室効果ガス排出状況 部門別温室効果ガス排出状況 温室効果ガス排出量の増減要因 産業部門 民生家庭部門

ゼオングループホーム > CSR 活動 > 環境 > 環境関連データ 日本ゼオン全事業所合計 有害物質 PRTR 法対象物質 産業廃棄物 大気排出 水資源 排水 エネルギー 換算生産量 ( トン ) 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 2016 年度 ブタジエン使用量 (

図表 1 全国の一般廃棄物処理の流れ 一般廃棄物の総重量 5120 万 t 一般廃棄物の総処理重量 5058 万 t (100%) 自家処理重量 62 万 t 焼却処理向け重量 4630 万 t (91.4%) 434 万 t (8.6%) 焼却による減量重量 3528 万 t (69.7%) 焼却

高効率ごみ発電施設整備マニュアル

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〔表紙〕

答申

第 3 章ごみ処理方式の検討 第 1 節可燃ごみ処理方式の検討 1. 横須賀市新ごみ処理施設整備検討委員会の提言広域化基本計画に基づく新たな可燃ごみ処理施設の整備にあたり 適切な施設の整備に資するため設置した委員会において可燃ごみ処理施設の方向性としては 運営方式を民間活用とする場合には処理方式の絞

CONTENTS

様式第二号の二(第八条の四の四関係)

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

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練馬清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

品目 1 四アルキル鉛及びこれを含有する製剤 (1) 酸化隔離法多量の次亜塩素酸塩水溶液を加えて分解させたのち 消石灰 ソーダ灰等を加えて処理し 沈殿濾過し更にセメントを加えて固化し 溶出試験を行い 溶出量が判定基準以下であることを確認して埋立処分する (2) 燃焼隔離法アフターバーナー及びスクラバ

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

資バルブの材質 青銅 ( 砲金 ) バルブ 料JIS H 5111 CAC402 (BC2) CAC403 (BC3) CAC406 (BC6) CAC407 (BC7) 銅 (Cu) 錫 (Sn) 化学成分 (%) 機械的性質 亜鉛 (Zn) 鉛 (Pb) その他 引張強さ 伸び (N/mm2)

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会(第49回)

平成 27 年度一般廃棄物処理等の概要 出典 : 一般廃棄物処理事業実態調査 < 平成 27 年度実績 > ( 環境省大臣官房廃棄物 リサイクル対策部廃棄物対策課 )

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様式第二号の九 ( 第八条の四の六関係 ) ( 第 1 面 ) 産業廃棄物処理計画実施状況報告書 平成 30 年 6 月 29 日 広島県知事 様 提出者 住所 広島県尾道市美ノ郷町本郷 氏名 日東電工株式会社 尾道事業所 事業所長岡田和之 電話番号 廃棄物の処

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質問1

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第227報)

平成28年度活動報告

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お知らせ

スライド タイトルなし

い さ だ く の残 銀 ご確認 水 科用 歯 に 棚 など せん ま り りは あ か 歯科用水銀 歯科用アマルガムの 使わなく なった 早期処理にご協力ください 2013年10月 採択されました 水銀含有廃棄物の適正処理を お願いいたします 適 正 な 処 理 は どうしたら い い の 歯科用

WSW わたしたちが体現するものは? ヴッパータールの安全でクリーンな交通 ヴッパータールの電力 天然ガス エネルギーサービス 年間 9000 万人の乗客 廃棄物の処理 地域アイデンティティー わたしたちはヴッパータールだ 飲用水の生産と汚水の処理 パートナーシップ 人と環境に対する責任 実現化 安

目 次. 計画策定の意義 2. 基本的方針 3. 計画期間 4. 対象品目 5. 各年度における容器包装廃棄物の排出量見込み ( 第 8 条第 2 項第 号 ) 2 6. 容器包装廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項 ( 第 8 条第 2 項第 2 号 ) 3 7. 分別収集をするものとした容

1 熱, 蒸気及びボイラーの概要 問 10 伝熱についての記述として, 誤っているものは次のうちどれか (1) 金属棒の一端を熱したとき, 熱が棒内を通り他端に伝わる現象を熱伝導という (2) 液体又は気体が固体壁に接触して流れ, 固体壁との間で熱が移動する現象を熱伝達又は対流熱伝達という (3)

資料 3 1 ごみ減量化についての課題分析 1) 原因の抽出 課題 : どうして 家庭ごみの排出量が減らないのか? ごみが 減らな い原因 1 使い捨て製品やすぐにごみになるものが身の回りに多い 2ごみを減らしたり リサイクルについての情報が少ない 3 分別収集しているごみの品目が少なく 資源化が十

様式第二号の九 ( 第八条の四の六関係 ) ( 第 1 面 ) 産業廃棄物処理計画実施状況報告書 平成 30 年 5 月 18 日 広島県知事 様 提出者 住所 氏名 広島県三原市須波 1 丁目 23-8 藤井建設 代表取締役藤井啓文 ( 法人にあっては, 名称及び代表者の氏名 ) 電話番号 (08

様式第二号の十四 ( 第八条の十七の三関係 )( 第 1 面 ) 特別管理産業廃棄物処理計画実施状況報告書 平成 30 年 7 月 20 日 広島県知事 様 提出者 住所 氏名 広島県安芸高田市甲田町下甲立 1624 湧永製薬株式会社広島事業所 代表取締役 湧永寛仁 電話番号

北清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7 4

2 号機及び 3 号機 PCV - 分析内容 原子炉格納容器 (PCV) 内部調査 (2 号機平成 25 年 8 月 3 号機平成 27 年 10 月 ) にて採取された (LI-2RB5-1~2 LI-3RB5-1~2) を試料として 以下の核種を分析した 3 H, Co, 90 Sr, 94 N

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高粘度汚泥対応型汚泥乾燥機の開発,三菱重工技報 Vol.51 No.3(2014)

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PowerPoint プレゼンテーション

Q2-4: 水銀を回収した後のガラスくず ( 破砕したもの ) や 破損した水銀使用製品 は水銀使用製品産業廃棄物になるのか 水銀使用製品産業廃棄物には卒業基 準はないのか P.3 3. 廃水銀等について P.4 Q3-1: 当社は水質汚濁防止法の特定施設からは外れているが 廃棄物処理法でも今 P.

4. 再生資源の利用の促進について 建近技第 385 号 平成 3 年 10 月 25 日 4-1

品川清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

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企業経営動向調査0908

2 基本方針と数値目標基本的考え方を踏まえ, 資源循環型社会の形成に向けてごみ減量 リサイクルの施策を推進するためには, 基本方針と達成度を測る指標が必要です 本計画においては, 本市の過去の実績や今後の施策の展開をもとに, 数値目標を設定します (1) 基本方針 1 と数値目標 基本方針 1 家庭

Microsoft Word 後藤佑介.doc

産業廃棄物の処理に係る管理体制に関する事項 ( 管理体制図 ) ゼロエミッション推進体制 ( 第 2 面 ) 滋賀水口工場長 定期会議事務局会議 1 回 /W 担当者会議 1 回 /M 推進報告会 1 回 /2M 推進責任者 : 工務安全環境部長 実行責任者 : 安全環境課長 事務局 中間膜製造部機

1. 火力発電技術開発の全体像 2. LNG 火力発電 1.1 LNG 火力発電の高効率化の全体像 1.2 主なLNG 火力発電の高効率化技術開発 3. 石炭火力発電 2.1 石炭火力発電の高効率化の全体像 2.2 主な石炭火力発電の高効率化の技術開発 4. その他の更なる高効率化に向けた技術開発

ごみ焼却施設の用地設定

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Microsoft PowerPoint - 第1回(変遷+Rankineサイクル)_H22講義用.ppt

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第276 報)

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別


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福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第148 報)

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化学産業と化学技術の環境貢献 本稿は 化学装置 2010 年 3 月号に筆者が掲載した報文 化学産業 の環境経営と環境貢献 の一部を加筆 削除 修正したものである 環境企画 松村眞 はじめに 環境対策には 環境負荷物質の発生を抑制する上流の分野と やむを得ずに作られてしまう環境負荷物質を無害化する下

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第307 報)

資料 4 平成 26 年報告書に提言された取組のうち 回収率目標達成アクションプラン以外の取組状況について 平成 29 年 12 月 4 日 経 済 産 業 省 環 境 省

富士フイルムホールディングス、電力と蒸気を自然エネルギー由来100%に

第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38


B.2 モニタリング実績 (1) 活動量 ( 燃料消費量 生成熱量 生産量等 ) 記号 モニタリング項目 定義 単位 分類 1 モニタリング方法 概要 頻度 実績値 モニタリング実績 計測対象期間 ( 年月日 ~ 年月日 ) 備考 F PJ,biosolid プロジェクト実施後のバイオマス固形燃料使

新規文書1

スライド 1

1. 用役 ( ユーティリティー ) と用役設備 用役 ( ユーティリティー ) の種類 用役 ( ユーティリティー ) の起動手順 電力供給設備 電力の種類と電圧 電力供給設備とは 発電設備.

福島県内の災害廃棄物の処理の方針


Transcription:

廃棄物焼却施設紹介 ( オランダアムステルダム市 Affval Energie Bedrijf) 欧州における廃棄物処理は 埋立処理が主流であったが埋立指令発効およびCO 2 排出削減という観点から 焼却処理が見直されてきている 今回訪問したアムステルダム市にある焼却施設 ( 写真右参照 ) は アムステルダム市の共同出資企業であるAfval Energie Bedrijfによって 廃棄物を最大限に利用した 施設運営がされており 発電効率 30% という驚くべき数値を達成している 今回 そちらの施設の見学をする機会を得たため その時に得た知見や同社が詳細に報告している報 1 告書やホームページ 2 を参照にしながら以下にとりまとめる 1. プラント仕様 1.1 Waste-to-Energy Plant 運転開始 :1993 年処理能力 :4 系列で 合計 2,800トン / 日 ( 設計時は2,400トン / 日 ) 汚泥含むエネルギー回収 :67MW(2004 年 53 万 MWhの発電量と15 万 GJの熱供給 ) 投資額 :4 億 5,000 万ユーロ処理廃棄物 : 一般廃棄物発電効率 :25%(2006 年 ) 1.2 Waste Fired Power Plant(WFPP) 運転開始 :2007 年 3 月処理能力 :2 系列で 合計 1,600トン / 日エネルギー回収 :57MW(42 万 MWhの発電量 ) 投資額 :3 億 7,000 万ユーロ処理廃棄物 : 産業廃棄物 ( 破砕済の紙やプラスチック ) 発電効率 :30%( 設計値 ) 上記の 2 つの施設は 同じ敷地内にはあるもののシステムは独立している 1 http://www.afvalenergiebedrijf.nl/bijlagen/value%20from%20waste.pdf 2 http://www.afvalenergiebedrijf.nl/main.asp -40-

図 WFPP 概略フロー 2. 歴史アムステルダム市における廃棄物焼却処理の歴史は約 80 年前までさかのぼる 従来の投棄処理に対する各種懸念から焼却処理が1919 年に採用された その後 人口増加に伴って廃棄物量が増加したことによる施設の処理能力不足や環境 安全面といった懸念が拡大し 1969 年に処理能力を倍増させたより効率的な施設を建設した なお この時初めて電気集じん器を設置した施設が建設された その後 1993 年にAfval Energie Bedrijf(AEB) が設立されアムステルダム市西部の港湾地区に Waste-to-Energy Plant が運転を開始し 下水汚泥を含めた施設の処理能力は年間 90 万トンにおよび 53 万 MWhの電力 15 万 6,000 世帯分の熱を供給することができるようになった そして 最新型の Waste Fired Power(WFPP) が Waste-to-Energy Plant の傍に建設され 2007 年 3 月より運転開始している Waste-to-Energy Plant との合計処理能力は 年間 90 万トンから150 万トンに引き上げられただけでなくWFPPの正味の発電効率を従来の 22% から30% にまで向上させ そして最新の主灰処理プロジェクトを実施するなど最先端の技術を採用している 2006 年のデータでは 年間 94 万 3,000トン余りの廃棄物 ( 下水汚泥含む ) が処理され 発電量は540MWh 供給熱量は21 万 6000GJとなっている 3. コンセプト WFPP 施設における使命は 環境面に配慮しながら最小の廃棄物処理コストによる最大の利益享受であり 廃棄物の最大限の利用 である 具体的には 廃棄物からは電力 熱 金属 建設資材がアウトプットされ 埋立処理割合は廃棄物のわずか1% 程度となっている そして メンテナンス期間を従来よりも短縮させてより多くの期間を廃棄物焼却処理にあてることで上記に示したアウトプット売却による利益を得ることができる -41-

3 図 WFPPにおけるリカバリー状況 4. 具体的な取り組み上記に示したコンセプトに従い WFPP 施設は各種の取り組みを実施している それらについて具体例を下記に示す 4.1 廃棄物確保 安定運転 廃棄物量の確保のために アムステルダム市だけでなく周辺の19の地方自治体と15 年契約を結び処理能力の95% にあたる廃棄物を確保している 廃棄物は トラック 鉄道 船舶による受入を行っている 4.2 発電量の最大化 発電を最大化させるために ボイラ圧力 温度を従来よりも高温 高圧化 (400 440 4.0 12.5MPa) を実現している それらを実現するために 腐食に強いボイラ材質 ( 高品質のニッケル クロム合金であるインコネル被膜 ) の採用や火格子構造 ( 前半部に水冷火格子の採用 ) に工夫をこらしている また 設計温度は440 であるが過熱器とエコノマイザ間に空きスペースがあり 管群として利用すれば480 まで対応可能である 上記以外の発電最大化のための対策として 原子力発電所のシステムを参考にした高圧蒸気タービン 低圧蒸気タービン間に再加熱器の設置 ( 下図参照 ) や排ガス中酸素濃度の低減による排ガス量低減 (4 割減 ) 排ガス中エネルギーの最大限の利用等を実施している 下水汚泥を利用したバイオガス発電施設も併設している ガス生産能力は 1 時間あたり約 1,000 立方メートルである 上記の対策により 正味の発電効率は従来の22% から30% へ上昇した 3 出典 :CEWAP2008 プレゼンテーション資料 -42-

図 WFPP の蒸気フロー 4 4.3 残渣利用 残渣中の各種リサイクル可能物質 ( 鉄 非鉄金属 建設資材 ) の分別利用を実施しており 現在 主灰処理においては鉄や各種非鉄金属 ( アルミ 銅 亜鉛 鉛等 ) 分別のための湿式分別技術開発プロジェクトを実施中で 2010 年より運転開始予定 排ガス処理について 電気集じん器 バグフィルタ スクラバーを利用しており バグフィルタ残渣以外は精製プロセスを経て塩や石膏等へ再利用されている 上記の残渣処理の結果 埋立処分されるのはバグフィルタ残渣のみで焼却処理量の 1% 未満となっている 4.4 メンテナンス効率向上 メンテナンス頻度を低減させるためには 定期的なボイラ灰の除去が必要であるが 冷却水噴霧 専用袋の破裂衝撃 ダイナマイトの使用を実施している 判断は 炉内温度変化を見極めて対策実施の時期を決定している 4.2 項に記載した腐食に強いボイラ材質 火格子構造の採用により長期間の連続運転が可能となった こうした取り組みにより 炉停止に伴うオーバーホール期間を従来の 年 1 回 5 週間 から 2 年に 1 回 3 週間 に短縮させている 4.5 環境面での配慮 廃棄物の輸送については なるべくCO 2 を排出しないためにトラック輸送よりも鉄道 船舶輸送を多く取り入れることで WFPP 施設建設に伴う廃棄物処理量は増加したもののトラック輸送距離は維持している 煙突から出される排ガス中の有害物質は99.9% 除去されており 常時監視している 監視できない有害廃棄物については 年 2 度独立した専門家に測定依頼している 4 出典 :CEWAP2008 プレゼンテーション資料 -43-

いかなる汚染排水も排出しておらず 処理後にスクラバー噴霧水として利用している 蒸気サイクルで利用される水は脱塩 ミネラル処理が実施される 土壌汚染対策としては ディーゼルタンクや主灰ピットの設計の見直し 汚染の早期確認のために周辺土壌に汚染検知用の地下探針を埋設している 感想今回の施設訪問において強く印象付けられたのは 最大限の熱 電力を供給すること 最小限の処分残渣しか排出しないことを強く意識して設計 運営していることである それは ボイラに高価な部材を使用させ発電に適した運転状態を維持し そしてメンテナンス頻度をできるだけ延命化させて稼働時間を長く確保していること 主灰処理から鉄 アルミだけでなく他の有価金属を分別するための技術開発を目指していること 排ガス処理も電気集じん器 バグフィルタ スクラバーを設置して処分残渣はバグフィルタ灰からしか発生させていないこと等 多数見受けられた そうすることで 廃棄物焼却施設が廃棄物発電所 熱 有価物供給施設となり 利益を得るだけでなくCO 2 排出削減にもつながる 日本との違いについては 設計 建設 運営のすべてを考慮して 日本ではあまり採用されないような材質 構造 システムを採用していたことである それについて ボイラに高価な材質を採用している点について伺ったところ 確かに高価であったが メンテナンス期間短縮による売上げ減少も含めた全体コストを考慮して採用した と回答されたのが印象的であった -44-