Microsoft Word - 行政不服審査制度の見直しについて(案)に対する意見

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平成 27 年度 特定行政書士法定研修 考査問題 解答と解説 本解答と解説は 正式に公表されたものではなく 作成者が独自に作成したものであり 内容の信頼性については保証しない 以下の事項に全て該当 遵守する場合にのみ 利用を許可する 東京都行政書士会葛飾支部会員であること 営利目的でないこと 内容を

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Microsoft Word - 行政法⑨

(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

国会への法案提出を目指すこととする としている 同方針をもとにパーソナルデータに関する検討会が立ち上げられ, 平成 26 年 (2014 年 )6 月 9 日付けで パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱 ( 事務局案 ) が示されたところである しかしながら, その結論によっては, 個人に関

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7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

2006 年度 民事執行 保全法講義 第 4 回 関西大学法学部教授栗田隆

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

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個人情報の保護に関する規程(案)

情報公開に係る事務処理規則 ( 平 18 規則第 16 号平成 18 年 8 月 1 日 ) 改正平 19 規則第 52 号平成 19 年 9 月 21 日平 26 規則第 2 号平成 26 年 5 月 13 日平 26 規則第 22 号平成 27 年 3 月 31 日 第 1 章総則 ( 目的 )

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

パブリック・コメントが事後となった理由

- 2 - ⑷ 保育所又は学童クラブにおいて 保育又は学童クラブの目的を達成するために 児童又はその保護者に対してされる行政指導 ⑸ 市の職員 ( 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 2 条に規定する地方公務員に該当する職員をいう 以下同じ ) 又は市の職員であった者に対して

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Taro-議案第13号 行政手続条例の

処分済み

など 国の行政機関の法令遵守の確保につながるものである また 内部の職員等からの通報を積極的に活用したリスク管理等を通じて 国の行政機関が適切に行政事務を遂行していくことは 公務に対する国民の信頼の確保並びに国民生活の安定及び社会経済の健全な発展にも資するものである 本ガイドラインは 以上の意義を踏

第 10 回児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会 平成 29 年 1 月 16 日 参考資料 2 児童虐待対応における司法関与の在り方について ( これまでの議論の整理 ) 1. はじめに 平成 28 年 3 月 10 日に取りまとめられた 新たな子ども家

会員に対する処分等に係る手続に関する規則 (2018 年 7 月 30 日制定 ) 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本規則は 定款第 15 条に規定する会員に対する処分及び不服の申立てに係る手続の施行に関し 必要な事項を定めることを目的とする ( 定義 ) 第 2 条本規則において 次の各号

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

11総法不審第120号

( 続紙 1 ) 京都大学博士 ( 法学 ) 氏名重本達哉 論文題目 ドイツにおける行政執行の規範構造 - 行政執行の一般要件と行政執行の 例外 の諸相 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は ドイツにおける行政強制法の現況を把握することを課題とするもので 第 1 部 行政執行の一般要件 - 行政行為

保険給付に関する決定についての審査請求に係る労働者災害補償保険審査官の決定に対して不服のある者は 再審査請求をした日から 3 か月を経過しても裁決がないときであっても 再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経ずに 処分の取消しの訴えを提起することはできない (H23-4B)

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諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

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では ここで 行政 とは具体的にどういうことなのだろうか まず 国家の三権を簡単にいうと以下のようになる 立法 ~ 法律を作ること 司法 ~ 裁判をすること 行政 ~ 法を執行すること この 法を執行すること とはどういうことなのか もっとも身近な行政活動として 税金 ( 所得税 ) の徴収を考えて

平成11年6月8日

プライバシーマーク付与適格性審査に関する約款

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

市町村合併の推進状況について

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

民事訴訟法

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【参考配布】「年金記録の訂正手続のあらまし」パンフレット

第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

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3. 同意要件との関係宿泊税について 不同意要件に該当する事由があるかどうか検討する (1) 国税又は他の地方税と課税標準を同じくし かつ 住民の負担が著しく過重となること 1 課税標準宿泊行為に関連して課税される既存の税目としては 消費税及び地方消費税がある 宿泊税は宿泊者の担税力に着目して宿泊数

日商協規程集

第41回 アクセプタンス期間と聴聞手続(2016年版) ☆インド特許法の基礎☆

0 表紙

発起人 定款作成認証 出資金の払込み 機関の具備 設立時役員による調査 株式会社の設立の手続 定款 商号目的発行可能株式総数 設立時役員等 資本金計上証明書 払込証明書 本人確認証明書 会社の設立と登記手続 設立の登記の申請 就任承諾書 選任決議書 代表取締役 登記所 登記申請書 商号 本店 目的

に含まれるノウハウ コンセプト アイディアその他の知的財産権は すべて乙に帰属するに同意する 2 乙は 本契約第 5 条の秘密保持契約および第 6 条の競業避止義務に違反しない限度で 本件成果物 自他およびこれに含まれるノウハウ コンセプトまたはアイディア等を 甲以外の第三者に対する本件業務と同一ま

目 次 1. 適用範囲 引用文書 定義 異議申立て 苦情 のマネジメントシステム第三者認証の利用者 異議申立て及び苦情の取扱い 取扱い窓口 受領

第 4 章中第 34 条の次に次の 1 条を加える ( 行政指導の中止等の求め ) 第 34 条の 2 法令又は条例等に違反する行為の是正を求める行政指導 ( その根拠 となる規定が法律又は条例 ( 地方自治法第 252 条の17の2 第 1 項又は地方教育行政の組織及び運営に関する法律第 55 条

質疑 意見なし 特になければ原案のとおり決定とする (7) 部会長選任第 3 部会については神奈川県行政不服審査会条例第 8 条第 1 項により会長が部会長を兼ねるため 常岡会長が部会長となる 第 1 部会及び第 2 部会については 各部会の委員の互選により 第 1 部会については小圷委員を 第 2

一般財団法人短期大学基準協会認証評価実施規程 [ 平成 17 年 4 月 14 日制定 ] [ 平成 20 年 3 月 19 日改正 ] [ 平成 23 年 5 月 26 日改正 ] [ 平成 24 年 3 月 15 日改正 ] [ 平成 27 年 5 月 21 日改正 ] [ 平成 29 年 2

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

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次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

しなければならない 2. 乙は プライバシーマーク付与の更新を受けようとするときは プライバシーマーク付与契約 ( 以下 付与契約 という ) 満了の8ヶ月前の日から付与契約満了の4 ヶ月前の日までに 申請書等を甲に提出しなければならない ただし 付与契約満了の4ヶ月前の日までにプライバシーマーク付

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

自治基本条例素案のたたき台大和市自治基本条例をつくる会

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

48

 

長期総合計画の計画的推進について < 部経営上の課題 取組方針 > H19 年度の各部の経営上の課題 取組方針の協議 < 行政改革 > 財政 人事など経営資源の現状分析 把握 課題についての対処方法の検討 行政改革実施計画の見直し <サマーレビュー > 懸案施策 事業の協議 < 実施計画 > 今後

鹿屋市公の施設に係る指定管理者の指定の申請等に関する規則 平成 19 年 3 月 31 日規則第 15 号 改正 平成 21 年 2 月 16 日規則第 2 号平成 21 年 8 月 25 日規則第 28 号平成 28 年 3 月 25 日規則第 17 号鹿屋市公の施設に係る指定管理者の指定の申請等

特定個人情報の取扱いの対応について

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

市町村合併の推進状況について

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

処分に関する規則(案)

農地中間管理機構 ( 仮称 ) の制度の骨格 ( 案 ) 資料 農地中間管理機構の指定都道府県のコントロールの下に適切に構造改革 生産コスト引下げを推進するため 都道府県段階に設置する 1 都道府県知事は 農地中間管理事業を公平かつ適正に行うことができる法人 ( 地方公共団体の第 3セク

( 審査の申請 ) 第 5 条甲は プライバシーマーク付与適格性審査の実施基準 に基づき 付与適格性審査を申請した者 ( 以下 乙 という ) の審査を行う 乙は 甲が定めるところにより 付与適格性審査にかかわる申請書及び申請書類 ( 以下 申請書等 という ) を甲に提出しなければならない 2 乙

規制の事前評価の実施に関するガイドライン(素案)

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研究活動における不正行為への対応等に関する規程 ( 目的 ) 第 1 条 本規程は小池化学株式会社 ( 以下 当社 という ) における研究活動での不正行為を防止 すると共に 不正行為が行われ 又はそのおそれがある場合の取扱いに関し 必要な事項を 定める ( 定義 ) 第 2 条本規程において 不正

2008年6月XX日

(6) 不利益処分広域連合長等が 条例等に基づき 特定の者を名宛人として 直接に これに義務を課し 又はその権利を制限する処分をいう ただし 次のいずれかに該当するものを除く ア略イ申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名宛人としてされる処分ウ名宛人となるべき

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

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第1 審査会の結論

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

北上市空家等対策規則 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は 北上市空家等対策条例 ( 平成 28 年北上市条例第 17 号 以下 条例 という ) の実施に関し必要な事項を定めるものとする ( 守秘義務 ) 第 2 条条例第 7 条に定める空家等対策審議会の委員は 職務上知り得た秘密を他に漏らしてはな

到達目標 xlsx

経済産業省産業技術環境局産業技術政策課 パブリックコメント担当 御中

11総法不審第120号

併等の前後を通じて 上告人ら という 同様に, 上告人 X1 銀行についても, 合併等の前後を通じて 上告人 X1 銀行 という ) との間で, 上告人らを債券の管理会社として, また, 本件第 5 回債券から本件第 7 回債券までにつき上告人 X1 銀行との間で, 同上告人を債券の管理会社として,

間延長をしますので 拒絶査定謄本送達日から 4 月 が審判請求期間となります ( 審判便覧 の 2.(2) ア ) 職権による延長ですので 期間延長請求書等の提出は不要です 2. 補正について 明細書等の補正 ( 特許 ) Q2-1: 特許の拒絶査定不服審判請求時における明細書等の補正は

学識経験を有する者の知見の活用 実績評価書資料の表 2( 審決取消訴訟が提起されなかった審決件数 ) 記載の 審決件数 が, うち審決取消訴訟が提起されなかった審決件数 及び表 3( 審決取消訴訟によって取り消された審決件数 ) 記載の 審決取消訴訟提起件数 の合計件数にならないのはなぜか ( 小西

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

附則 この規則は 平成 29 年 3 月 1 日から施行する

個人情報保護法の3年ごと見直しに向けて

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

Taro-052第6章1節(p ).jtd

い ( ただし 当該書面を交付しないで是正の要求等をすべき差し迫った必要がある場合 は この限りでない ) こととされていることに留意すること (2) その他地方自治法第 245 条の5 第 5 項の規定により 是正の要求を受けた地方公共団体は 当該事務の処理について違反の是正又は改善のための必要な

Transcription:

行政不服審査制度の見直しについて ( 案 ) に対する意見書 2013 年 ( 平成 25 年 )5 月 30 日 日本弁護士連合会 第 1 基本的な考え方 ( 意見 ) 行政不服審査法の改正が必要であること, 平成 20 年法案をベースとすることに賛成する ( 理由 ) 行政訴訟制度よりも国民に身近な行政不服審査制度をより使いやすくし, 国民の権利利益の救済に資する制度とすることは時代の要請であり, 当連合会もかねて抜本的改正の必要性を訴えてきたところである 平成 20 年法案は, 第三者機関である行政不服審査会を設置するなど高く評価すべき点があり, 同法案をベースとすべきである 第 2 行政不服審査法の見直し 1 不服申立構造等 (1) 再調査請求及び再審査請求について ( 意見 ) 再調査請求及び再審査請求ができる制度とすることには賛成であるが, 前置主義をとるべきではない なお, 再調査請求は法律の定めがなくてもすべての場合にできるようにするとともに, 名称を 再考の申立て, 見直しの申立て 等とすることが望ましい ( 理由 ) 審査請求以外にも救済の方法があることは, 国民の権利利益の救済にとって, 有意義である ただし, 行政上の救済が, 審査請求や訴訟制度利用の前提となる場合にはかえって無用の手続を利用者に強いることとなりかねないため, 前置主義はとるべきではない さらに, 現在の異議申立制度が部分的にせよ機能している現状に鑑みれば, 再調査請求のような簡易迅速な行政上の救済手続は, 特定の法分野だけでなく, 広く一般的に利用可能な制度とすることが望ましい 行政手続法の施行による事前手続の充実を理由にかかる制度が不要であるとの考えや職権見直しを促せば足りるとの意見は, 現実に救済を求める利用者の立場に立った意見ではない なお, 少なくとも税務争訟において, 再調査請求 という名称は, 納税者側から再度の税務調査を請求するという意味にとられかねず, 1

再度の調査において別の理由で増額更正されるのではないかとの懸念を抱くおそれがあるため, 再考の申立て, 見直しの申立 等の別の名称とすべきである (2) 不服申立人適格について ( 意見 ) 不服申立人適格につき現行制度を維持すべきとの見解に反対であり, 少なくとも次期改正の重要課題として附則に明記すべきである また, 団体争訟制度の導入を検討すべきであるとする見解に賛成であり, 本改正作業終了後, 直ちに検討を開始すべきである ( 理由 ) 不服申立人適格が訴訟制度の原告適格と密接な関係を有しているとしても, 行政不服審査は行政上の救済制度としての独自の意義を有しているから, 訴訟制度とは別に不服申立人適格を広く設定することは可能である また, 競輪のサテライト施設周辺住民の生活環境にかかる利益が基本的には公益であり, 原告適格を基礎づけるものではないとしたサテライト大阪最高裁判決に代表されるように, 抗告訴訟の原告適格が限定されている状況下で, 行政訴訟制度の施行状況を引き続き参照する必要はなく, 拡大する方向で適格に関する規定を改正すべきである 今次改正に間に合わないとしても, 適格については様々な議論がありうることから, 次期改正の重要事項として引き続き検討すべきである また, 団体争訟制度の導入はかねて懸案事項であり, 単に問題提起をするにとどめず, 消費者, 環境, 文化財保護を主たる目的として公益活動を行う団体で一定の活動実績を有する法人に適格を与えるべく, 今後具体的な検討作業に入るべきである 2 審理体制 (1) 審理の主宰者 ( 意見 ) 概ね賛成するが, 外部登用を積極的に活用すべき旨の明文の規定を置くこと, さらに, 将来的にアメリカの行政法審判官 (ALJ) にならった制度の創設を検討すべきである ( 理由 ) 審理員制度は評価に値するが, わが国における新たな試みであるため, 外部登用など客観性を高めるための工夫を凝らすべきである 制度を動かすのは人であり, 審理を主宰する審理員の出自は制度運用における鍵と言える すでに第一次判断権が行使された処分について審査をするのであるから, 必ずしも高い行政の専門性が必要ではなく, 2

法律家であれば審理の主宰と合理的な判断は可能であり, かえって適切に手続を進行させうるとも言える また, 施行状況を踏まえつつ, さらに充実した行政不服審査制度とするために,ALJを参照した制度の導入も将来的に検討すべきである (2) 第三者機関 ( 意見 ) 第 1 案に賛成する ただし, 諮問対象の限定は行わないか, 極力慎重に行うべきである ( 理由 ) 第三者機関の創設は20 年法案の最重要改革事項であり, これを放棄することは誤りである 旧政権下の行政救済制度検討チーム案は, 第三者機関の創設に消極的であったが, その代わりに審理員制度を強化していた 審理員制度につき20 年法案を維持したまま第三者機関の創設を見送ることは, 今次改正が20 年法案よりも, さらには旧政権の構想よりも大きく後退することとなりかねない 公正性, 客観性を確保するためには第三者機関の創設がぜひとも必要である 外部委員の登用など行政不服審査会制度を十分に活用すれば, 屋上屋を架す ことにはならず, 国民にとって裁判所よりも有効な救済ルートとなる可能性が十分にある 審理期間が長期化するとの批判もあるが, 三審制の裁判手続よりは大いに短縮が可能である さらに, 情報公開 個人情報保護審査会との統廃合によれば行政の肥大化との批判は当たらず, 指摘されているように同審査会も特化した分科会を設ければ何ら不都合はない また, 地方分権改革も地方住民の権利利益の救済に資する改革を否定するものではない 事案により諮問を要しない事項もありえようが, 要否の判断は常に明確になしうるものではない 諮問の要否を巡る紛争は不毛であり, 紛争をかえって複雑なものとするおそれがあり, 裁決の違法事由ともなり得ることから, 可能な限り審査会に諮問するようにすべきである 3 審理手続 ( 意見 ) 概ね賛成するが, 施行状況を踏まえて, 将来的にさらに改正の必要がないか検討すべきである ( 理由 ) 謄写権を認めるなど,20 年法案をさらに前進させ, 利用者である国民にとって使いやすい制度となっている まずはこの内容で制度化した上で, 新規制度の導入状況を見ながら, 必要に応じ再修正をすべきである 3

4 不服申立期間 ( 意見 )6か月に延長すべきである また, 期間の短縮は真に必要な場合に極めて限定された例外としてのみ許容すべきである ( 理由 ) 紛争化した場合には, 裁判において解決まで数年を要する事例は多数あるから,3か月からさらに3か月延長したことで特に紛争が長期化するというものではない また,6か月に延長すれば, 不服申立前置による実質的な取消訴訟の出訴期間短縮という不合理が解消することになる 5 その他 ( 意見 ) 裁決例, 審査会の答申, さらには審理員意見書については, 個人情報, 法人情報を伏せた上で, 原則として全件を公開するよう義務付けるべきである また, 改正法施行の5 年後に, 制度施行状況を踏まえ, 積み残し課題ともども改正の必要を再検討する機会を, 予め附則で法定しておくべきである ( 理由 ) 行政不服審査制度により具体的な紛争が実際にどのように解決されているかを広く国民に知らしめることは, 同種紛争の予防や解決に資するだけでなく, 公表することで手続に携わる者に緊張感を与え, 行政不服審査制度自体が健全に機能することとなる 公開すべきでない情報を除いた上で, 全件公開を原則とすべきである また, 今次改正は, 審理員や行政不服審査会など重要で抜本的な制度改革となることから, 実際の運用を経て, 修正, 改善すべき点が明らかになる可能性が高い また, 今次改正課題として検討されていながら, 将来の課題として積み残されつつある課題も多い 附則において改正の機会を明記しておくべきである 第 3 行政手続法の改正 1 処分等の求め ( 意見 ) 規定の創設に賛成するが, 行政庁に処理の結果について通知義務を課すべきである ( 理由 ) 何人も申し出ることができるとしても, 申出人は実際には一定の利害関係を持った者に限られるはずであるし, 行政庁は処分等の求めに応じて何らかの判断をしているはずであるから, 処理の結果について通知義務を課しても問題はない また, 処理の結果について通知義務を課すことで, 行政庁に対し当該規定を遵守する誘因を与えることができ, 適切 4

である 2 行政指導の中止等の求め ( 意見 ) 規定の創設に賛成するが, 行政庁に通知義務を課すべきである ( 理由 ) 行政指導の中止がされたかにつき明確な通知がなければ, 相手方は不安定な地位に置かれることになりかねない 運用上, 通知をするのであれば, 義務化すべきである 第 4 関係法令の改正 1 裁定的関与 ( 意見 ) 賛成する ( 理由 ) 地方行政においても救済体制の充実という今次改正の趣旨を及ぼすべきである 2 不服申立前置 ( 意見 ) 賛成する 不服申立前置は全廃を前提とし, 真に必要性があるもののみ例外的に新設すべきである ( 理由 ) 不服申立前置制度は, 不服申立期間が取消訴訟の出訴期間よりも短い場合には実質的な出訴期間制限になり, 弊害が大きく, また, 例えば憲法問題などは行政上の救済では解決困難であり, そもそも不服申立ての前置を強制する必要性が乏しい場合も少なくない 救済率の低い制度を国民に強制する理由はなく, 救済率を上げれば, 自由選択主義でも国民は不服申立手続を選択するはずである 自由選択主義の原則をより徹底し, 不服申立前置の範囲を縮小すべきである 3 代理人制度 ( 意見 ) 隣接法律専門職者に対して行政不服審査の代理権を広く付与することには, 反対である ( 理由 ) 弁護士の高度の専門的判断は, 極めて厳格な資格登録要件, 民事裁判の経験, 弁護士自治等により担保されているが, 隣接法律専門職者にはそのような制度はない 高度な専門能力や倫理規範の裏付けのない者による初期段階での判断に誤りが生じると, 直接, 国民の権利利益を害することになりかねない 5