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平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

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最高裁○○第000100号

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1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

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平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

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平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

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ビルマ(ミャンマー)の人権状況は問題が多く、国連人権理事会は継続的に注視していく必要がある

I. 集団的自衛権 A. 集団的自衛権とは集団的自衛権は 国際連合の成立の際に 初めて国際法上で創設され 国連憲章第 51 条に明文化された権利である 具体的には 自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を 自国が直接攻撃されていないにもかかわらず 実力をもって阻止する権利 であり 日本政府もこの

自衛隊の補給支援活動に関する特別世論調査 の要旨 平成 21 年 3 月内閣府政府広報室 調査時期 : 平成 21 年 1 月 22 日 ~2 月 1 日調査対象 : 全国 20 歳以上の者 3,000 人有効回収数 ( 率 ):1,684 人 (56.1%) 1 補給支援活動の認知度 平成 21

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

東京地方裁判所委員会 ( 第 36 回 ) 議事概要 ( 東京地方裁判所委員会事務局 ) 第 1 日時平成 27 年 10 月 22 日 ( 木 )15:00~17:00 第 2 場所東京地方裁判所第 1 会議室第 3 出席者 ( 委員 ) 貝阿彌誠, 足立哲, 大沢陽一郎, 大野正隆, 岡田ヒロミ

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平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

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ICC-02/05-01/12-2-tJPN /11 FB PT 裁判所規定の規定第 31 に準拠して以下に通用すべき決定 : 検察局ルイス モレノモレノ オカンポオカンポ検察官ファトュ ベンスーダベンスーダ副検察官被害者の法定代理人 被告弁護人申請者の法定代理人 代理人なし

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国会への法案提出を目指すこととする としている 同方針をもとにパーソナルデータに関する検討会が立ち上げられ, 平成 26 年 (2014 年 )6 月 9 日付けで パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱 ( 事務局案 ) が示されたところである しかしながら, その結論によっては, 個人に関

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

検査若しくは修理又は補給 ( 武器の提供を行う補給を除く ) エ自然災害によって被害を受けた施設又は設備であってその被災者の生活上必要なものの復旧又は整備のための措置オ宿泊又は作業のための施設の維持管理 3 国際平和協力業務の実施の方法 (1) 実施計画及び実施要領の範囲内において 事務総長等による

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控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

競走馬の馬名に「パブリシティ権」を認めた事例

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資料2-1 「個人情報の保護に関する法律」説明資料

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SIS に供与した兵器です アメリカの外交誌フォーリンポリシーは 昨年 10 月 ジェフリー スミス氏の署名で ISIS の武器の供給源に関する報告を発表しました ジェフリー スミスは ISISはどこから武器を手に入れているのか と題するこの報告の中で 次のように記しています ISISがイラクやシリ

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

最高裁○○第000100号

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性暴力をふるうことと 戦争犯罪となりうる軍事作戦としての意図的なレイプと 境界 線はどこにあるのでしょうか 人間の安全保障に対するこれら2つのアプローチは 両方とも人間を中心としたものであり 対立的というより補完的なものです しかし 広義 の概念は貧困からジェノサイドまで全てを含んでいるため あまり

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一


平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

請求の趣旨 1 厚生労働大臣が原告らに対して 2013 年 ( 平成 25 年 )12 月 4 日付でした老齢基礎 厚生年金の改定 ( 減額 ) 決定を取り消す 2 訴訟費用は被告 ( 国 ) の負担とする との判決を求める 請求の原因 第 1 はじめに 本件訴訟の概要 1 取消を求める処分 ( 年

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平成 19 年 ( ワ ) 第 1648 号 自衛隊監視差止等請求事件 原告 後藤東陽こと後藤信 外 3 名 被告 国 平成 20 年 ( ワ ) 第 430 号 自衛隊監視差止等請求事件 原告 安孫子 麟 外 21 名 被告 国 準備書面 仙台地方裁判所第 2 民事部合議 2 係御中 2008( 平成 20) 年 5 月 19 日 原告ら訴訟代理人弁護士 勅使河原 安 夫 同 弁護士 小野寺 義 象 同 弁護士 野 呂 圭外 第 1 二重の違憲行為 本件訴訟は 陸上自衛隊情報保全隊が 原告らが参加していた集会等を監視し 情報収集した上で 一覧表にまとめ それを少なくとも陸上自衛隊情報保全隊内において伝播させていたことにより 原告らの基本的人権が侵害されたため 監視 情報収集活動の差止及び国家賠償を請求するものである ところで 本件監視の対象となっている集会の多くは 自衛隊イラク派遣に反対する内容の集会である したがって 被告国は 自衛隊イラク派遣という違憲 違法な行為をし かつ それを批判する市民の表現活動を監視して基本的人権を侵害するという 二重の違憲行為を行っていることになる そして この二つの行為は 密接な関連性をもったものとして一体的に捉えるべきである 以下では 自衛隊イラク派遣の違憲性 違法性及び平和的生存権の具体的権 -1-

利性を認定した名古屋高裁判決について論じた上で 自衛隊イラク派遣と本件 監視の密接不可分性について論じる 第 2 名古屋高裁平成 20 年 4 月 17 日判決について 1 航空自衛隊の空輸活動の違憲 違法性 ( 1 ) 名古屋高裁平成 20 年 4 月 17 日判決 ( 甲 A8 以下 青山判決 という ) は イラクにおける航空自衛隊の空輸活動について 緻密な事実認定及び政 府解釈を踏まえ 概要 以下のとおり判断した 1 2 3 4 5 平成 15 年 5 月になされたブッシュ大統領による主要な戦闘終結宣言後 も アメリカを中心とする多国籍軍は ファルージャ バグダッド ラ マディ等の各都市において 多数の兵員を動員して 時に強力な爆弾 化学兵器 残虐兵器等を用い あるいは空爆を繰り返すなどして掃討作 戦を実行している 多国籍軍の掃討作戦の標的となったと認められるフセイン政権の残党 シーア派のマフディ軍 スンニ派の過激派等の各武装勢力は アメリカ 軍の駐留に反対する等の一定の政治的な目的を有し 組織的かつ計画的 に多国籍軍に抗戦し続けている したがって これらの武装勢力を抑圧しようとする多国籍軍の活動は 単なる治安活動の域を超えたものであって 少なくとも 現在 イラク国 内は イラク攻撃後に生じた週は対立に根ざす武装勢力間の抗争がある上 に 各武装勢力と多国籍軍との抗争があり これらが複雑に絡み合って泥 沼化した戦争の状態になっているものということができる とりわけ 首都バグダッドは 平成 19 年に入ってからも アメリカ軍 による掃討作戦が実行され アメリカ軍 武装勢力及び一般市民に多数の 犠牲者を続出させている地域であるから 国際的な武力紛争の一環として 行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われている地域という べきであり イラク特措法にいう 戦闘地域 に該当する 航空自衛隊は 平成 18 年 7 月ころ以降 バグダッド空港への空輸活動 を行い 現在に至るまで アメリカが空挺隊員輸送用に開発した C-13-2-

6 7 8 0H 輸送機 3 機により 週 4 回から 5 回 定期的にアリ アルサレム空港 からバグダッド空港へ武装した多国籍軍の兵員を輸送していること これ は陸上自衛隊のサマワ撤退を機にアメリカの要請でなされているものであ り アメリカ軍はこの輸送時期と重なる平成 18 年 8 月ころバグダッドに アメリカ兵を増派し 同年末ころから バグダッドにおける掃討作戦を一 層強化していること 空輸活動がアメリカ軍等との調整の上でなされてい るものと推認されること C-130H 輸送機には地対空ミサイル攻撃を 防御するためのフレアが装備されており これが事前訓練を経た上で 実 際にバグダッド空港での離着陸時に使用されていること 離着陸時におい ても現実的な攻撃の危険性がある旨防衛大臣が答弁していること 航空自 衛隊の武装へ委員を輸送するに際し バグダッドでの掃討作戦等の武力行 使に関与しない者に限定して輸送している形跡は認められない 現代戦において 輸送等の補給活動も戦闘行為の重要な要素である したがって 航空自衛隊の空輸活動は それが主としてイラク特措法上 の安全確保支援活動の名目で行われているものであり それ自体は武力の 行使に該当しないものであるとしても 多国籍軍との密接な連携の下で 多国籍軍と武装勢力との間で戦闘行為がなされている地域と地理的に近接 した場所において 対武装勢力の戦闘要員を含むと推認される多国籍軍の 武装兵員を定期的かつ確実に輸送しているものということができ 多国籍 軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているものと いうことができる よって 航空自衛隊の空輸活動のうち 少なくとも多国籍軍の武装兵員 をバグダッドへ空輸するものについては 他国による武力行使と一体化し た行動であって 自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない 行動であるということができ イラク特措法 2 条 2 項 同条 3 項に違反し かつ憲法 9 条 1 項に違反する (2) この青山判決がなした事実認定及び法的判断に対して 政府からは何ら具 体的な反論は示されていない したがって 少なくとも航空自衛隊による多 国籍軍武装兵員のバグダッドへの輸送が憲法及びイラク特措法違反であるこ とは動かしようのない真実であると言える -3-

-4-2 平和的生存権の具体的権利性青山判決は 概要 以下のように述べて平和的生存権の具体的権利性を認めた 1 平和的生存権は 現代において憲法の保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立し得ないことからして 全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利である 2 法規範性を有するというべき憲法前文が 平和のうちに生存する権利 を明言している上に 憲法 9 条が国の行為の側から客観的制度として戦争放棄や戦力不保持を規定し さらに 人格権を規定する憲法 13 条をはじめ 憲法第 3 章が個別的な基本的人権を規定していることからすれば 平和的生存権は 憲法上の法的な権利として認められるべきである 3 平和的生存権は 局面に応じて自由権的 社会権的又は参政権的な態様をもって表れる複合的な権利ということができ 裁判所に対してその保護 救済を求め法的強制措置の発動を請求し得るという意味における具体的権利性が肯定される場合があるということができる 4 平和 が抽象的概念であることや 平和の到達点及び達成する手段 方法も多岐多様であること等を根拠に 平和的生存権の権利性や 具体的権利性の可能性を否定する見解があるが 憲法上の概念はおよそ抽象的なものであって 解釈によってそれが充填されていくものであること 例えば 自由 や 平等 ですら その達成手段や方法は多岐多様というべきであることからすれば ひとり平和的生存権のみ 平和概念の抽象性等のためにその法的権利性や具体的権利性の可能性が否定されなければならない理由はないというべきである 3 以上の青山判決は 立憲主義や基本的人権の保障 平和主義の理念に忠実な 解釈 判断を示している 日本弁護士連合会 ( 甲 A9-1) をはじめ 仙台弁 護士会 ( 甲 A9-2 ) 愛知県弁護士会 第二東京弁護士会 大阪弁護士会と いった各単位会においても同判決を評価する会長声明が出されており 同判決 の意義は極めて大きい

第 2 自衛隊イラク派遣と本件監視の密接不可分性 1 前記青山判決によって示されたように 少なくとも航空自衛隊によるバグダッドにおける多国籍軍武装兵員の空輸活動は 違憲 違法な行為である 陸上自衛隊情報保全隊は このような違憲 違法な行為を批判する市民を監視 情報収集の対象にしていたのである 2 訴状第四点においても述べたとおり 戦争という対外的行為には監視 思想弾圧といった対内的行為も併存する そして 前記青山判決が判示しているとおり 少なくとも航空自衛隊の空輸活動が武力行使と評価されること 被告国は航空自衛隊を初めとしてイラクに派遣された自衛隊の活動内容についてほとんど情報を開示していないこと 陸上自衛隊情報保全隊の内部文書 ( 甲 A1) によれば監視対象の個人又は団体を政治的又は思想的に分類していること という点に鑑みれば 戦争と思想弾圧の関係は 自衛隊イラク派遣にもあてはまると認められる したがって 本件は 単に国の一機関が個人の情報を収集していたという問題にとどまらず 自衛隊がアメリカ軍を中心とする多国籍軍の武力行使と一体化する軍事活動を遂行するための監視 情報収集であることが強く認識されなければならない 以 上 -5-