審査番号 :31219-B2 218 年 12 月 19 日 業界分析 : 生保 (8729 875 8795) アイザワ証券市場情報部国内情報課 水口活也, CIIA, CMA, MBA 上場生命保険会社の中間決算を踏まえ 今後の見通しについてまとめておきます 銘柄は ソニ ーフィナンシャルホールディングス (8729) 第一生命ホールディングス (875) T&D ホールディ ングス (8795) の 3 社です 低金利の影響は薄まりつつあると見ています 全社共通 主力事業は 生命保険事業と保険業法で認められた関連する事業 基本的に 保険料収入と保険金支払の差額が利益となるが 責任準備金の繰入と戻入によって保険関係利益は変動 市場環境によって資産運用利益も変動する 金融市場の変化によって準備金も大きく変動 円高 金利低下も運用収益に影響 採算悪化によって貯蓄性商品は販売抑制 医療保障など第三分野の新契約に注力 政策投資株式は売却を推進 株式市場の上昇があれば売却益が増加する可能性も マイナス金利環境の影響 : 短期では含み益拡大 中期では運用難の可能性 ALM( 資産負債管理 マッチング ) の観点から長期保険契約に対応して長期国債を保有しているが 価格変動による評価 実現損益と将来運用利回り低下の可能性がある 金利収入確保のため 償還年限の長期化 非国債 外債などへの投資を拡大 収益性向上と自己資本充足によって株主還元策を強化 株価指標には割安感も 低金利下で保険料率は引き上げ方向 新規契約低迷を商品構成変化によって吸収 足元での海外金利上昇は資産運用にプラス要因だが 長期金利の動向が重要 ( 図 1) 個人向け生命保険保有契約高推移 ( 単位 : 兆円 ) ( 図 2) 生命保険料等収入推移 ( 単位 : 兆円 ) 15 4 個人年金保険個人保険保険料等収入 1 3 2 5 1 出所 : 生命保険協会 アイザワ証券作成 出所 : 生命保険協会 アイザワ証券作成 1
ソニーフィナンシャルホールディングス (8729) 2Q 累計実績 ( 前年同期比 ): 経常収益 +22% 経常利益 +45% 当期純利益 +47% 事業別経常利益 ( 同 ): 生命保険 347 億円 (+124 億円 ) 損害保険 54 億円 (+8 億円 ) 銀行 46 億円 (+4 億円 ) その他 3 億円 (+2 億円 ) 主力 3 事業とも増収継続 生保では新規契約が増加 海外出資株式の減損はあったものの 有価証券売却益も計上 通期会社予想は据え置き ( 同 ): 経常収益 +5% 経常利益 +24% 当期純利益 +6% 2Q 進捗率 : 経常収益 55% 経常利益 57% 当期純利益 58% 高進捗 引き続き 3 事業の業容拡大を進める 増益貢献は生命保険の収益性改善 保険引受利益の増加と有価証券関係損益の好転を見込む 損害保険と銀行は微減益の想定 株主還元 : 前期に続き連続増配 親会社保有株式との関係で自己株取得には消極的か 新中期 3 カ年計画の初年度 : 生保 損保 銀行の成長に加え 介護関連を本格拡大へ 221 年 3 月期の経常収益 1.76 兆円 経常利益 77 億円が目標 基本は拡大路線 12/18 株価 223 円 実績 PBR1.54 倍 会社予想 PER17.4 倍 同配当利回り 2.8% 株価指標は同業比でやや割高 親会社の株式買い増しなどが材料になっている可能性 ( 表 1) ソニー FH 連結業績推移 217/3 1,381,667 1% 66,326-7% 41,621-4% 95.69 55. 218/3 1,53,63 9% 66,843 1% 51,895 25% 119.3 6. 219/3 社 1,578, 5% 83, 24% 55, 6% 126.44 62.5 219/3 予 1,568,928 4% 84,977 27% 55,655 7% 127.94 63.6 218/3Q2 78,324 12% 32,669-12% 21,596-14% 49.55. 219/3Q2 86,895 22% 47,228 45% 31,77 47% 73.4. 出所 : 決算短信 Quick アイザワ証券作成 ( 図 3) ソニー FH 株価指標推移 1 ( 図 4) ソニー FH 指標推移 2 3 予想 EPS( 左目盛 円 ) 3 3 実績 BPS( 左目盛 円 ) 3 2 2 2 2 1 1 1 1 2
第一生命ホールディングス (875) 2Q 累計実績 ( 前年同期比 ): 経常収益 +7% 経常利益 +2% 当期純利益 9% 国内生保では新契約が順調 保険引受利益は増加したが 資産運用利益が減少 海外では保険金支払いが増加 経常利益は想定比で上振れ ( 国内増益 海外減益 ) 特別損益項目では前期計上した海外運用会社株式交換益 233 億円の反動あり 通期会社予想は据え置き ( 同 ): 経常収益 9% 経常利益 12% 当期純利益 4% 2Q 進捗率 : 経常収益 56% 経常利益 52% 当期純利益 53% 1Q 比で 2Q に改善 国内の保険引受利益は好調 資産運用利益は慎重 海外では事業拡大 前年の特別利益と米子会社税効果の反動で純利益は大幅減益想定だが 上振れ余地もあろう 英国運用会社への追加出資により関連会社化 豪州子会社は同業生保買収で基本合意 新中期 3 カ年計画の初年度 : 国内と海外の生命保険 資産運用の強化を図る計画 会社定義のグループ修正利益 ( 前期 21 億円 ) は年平均成長率 5~7% を目指す グループ修正利益に対する総還元性向 4% をめどに 増配と自己株取得を実施方針 12/18 株価 1849.5 円 実績 PBR.57 倍 会社予想 PER9.8 倍 同配当利回り 2.9% ( 表 2) 第一生命連結業績推移 217/3 6,456,796-12% 425,32 2% 231,286 3% 196.62 43. 218/3 7,37,827 9% 471,994 11% 363,928 57% 31.69 5. 219/3 社 6,429, -9% 414, -12% 22, -4% 189.51 53. 219/3 予 6,676,521-5% 425,43-1% 227,661-37% 197.15 53.5 218/3Q2 3,364,824 5% 212,186-4% 128,367 21% 19.24. 219/3Q2 3,596,965 7% 216,282 2% 116,334-9% 99.94. 出所 : 決算短信 Quick アイザワ証券作成( 株式分割遡及修正 ) ( 図 5) 第一生命株価指標推移 1 ( 図 6) 第一生命株価指標推移 2 4 予想 EPS( 左目盛 円 ) 4 4 実績 BPS( 左目盛 円 ) 4 3 3 3 3 2 2 2 2 1 1 1 1 3
T&D ホールディングス (8795) 2Q 累計実績 ( 前年同期比 ): 経常収益 +19% 経常利益 +2% 当期純利益 +3% 低金利環境下で保障性商品の販売に注力 新契約は順調だが 保険料率改定の影響で責任準備金繰入負担が増加 資産運用ではヘッジコスト上昇もあり 利益は微増 経営者向け定期保険 個人向け収入保障保険 介護保険など保障性 新商品が好調 通期会社予想は据え置き ( 同 ): 経常収益 +1% 経常利益 % 当期純利益 +2% 2Q 進捗率 : 経常収益 52% 経常利益 55% 当期純利益 58% ほぼ順調 貯蓄性商品の販売減少が一巡 保障性商品の販売増加が寄与 責任準備金の繰入負担増加を除く保険引受利益は改善 中期計画最終年度の主要経営指標は超過達成へ 運用多様化 : 確定利付きが主体だが 株式や外貨 派生商品など運用対象は分散 中期 3 カ年計画の最終年度 : シニア市場の開拓と乗合代理店でのシェア拡大を目指す 傘下全社でシニア市場の開拓を推進 T&D フィナンシャル生命を戦略的に強化 会社定義の実質利益に対する総還元性向 4% に引き上げ 自己株取得も継続へ 12/18 株価 142. 円 実績 PBR.77 倍 会社予想 PER11.2 倍 同配当利回り 2.8% ( 表 3)T&D 連結業績推移 217/3 1,975,784-2% 157,227-8% 75,187 4% 117.81 32.5 218/3 1,928,359-2% 156,475 % 77,577 3% 124.23 37.5 219/3 社 2,13, 1% 156, % 79, 2% 126.97 4. 219/3 予 2,27,158 5% 159,361 2% 81,123 5% 132.56 4.25 218/3Q2 921,14-4% 83,564-8% 44,1-9% 7.37 17.5 219/3Q2 1,1,377 19% 85,214 2% 45,59 3% 73.74 2. 出所 : 決算短信 Quick アイザワ証券作成 ( 図 7)T&D 株価指標推移 1 ( 図 8)T&D 株価指標推移 2 5 予想 EPS( 左目盛 円 ) 5 5 実績 BPS( 左目盛 円 ) 5 4 4 4 4 3 3 3 3 2 2 2 2 1 1 1 1 4
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