資料 3-1 NEDO におけるバイオ燃料製造技術開発の取組み 平成 27 年 7 月 7 日 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 新エネルギー部
NEDOにおけるバイオ燃料製造技術開発コンセプト 2030 年頃のバイオ液体燃料製造事業確立を支援日本のエネルギー利用の24% を占める運輸部門は液体燃料でなければ代替できない 再生可能エネルギーではバイオマスだけが液体燃料製造が可能現状 液体バイオ燃料はサトウキビやパーム油等を原料としており 食料と競合 食料と競合しない第 2 世代バイオエタノール 及び BTL 微細藻類等による次世代バイオ燃料の開発が必須 特に 2020 年以降 航空 船舶のための代替バイオ燃料の確保が重要 導入量の確保 スケールメリットによる低コスト化のための海外での大規模集約型バイオ燃料生産開発 2
戦略的次世代バイオマス利用技術開発事業の概要 (2010 ~2016) 事業の概要 目的 食糧生産活動に影響しない原料を用いた次世代技術の開発と既存技術の高効率化を目指した実用化技術の開発を行います 1 次世代技術開発 (2/3 補助 委託 ) Cool Earth-エネルギー革新技術計画 ( 平成 20 年経済産業省 ) において 2030 年頃の実用化を見据えるバイオマスのガス化及び液化 (BTL) 微細藻類由来のバイオ燃料製造技術開発等の次世代技術開発を実施します 2 実用化技術開発 (2/3 補助 ) 林地残材の発生場所付近で使用可能な熱分解ガス化装置の高効率化や バイオガスを既存の都市ガスインフラ等で利用するためのガス精製技術等 2020 年頃の実用化を目指した実用化技術開発を実施します 条件 ( 対象者 対象行為 補助率等 ) 1 次世代技術開発 ( 例 ) 藻類 培養 油分抽出 2 実用化技術開発 ( 例 ) バイオガス化 BTL セルロース系バイオマス ガス化 精製 合成ガス 液 化 バイオ燃料 ( ガソリン 軽油 ジェット燃料等の代替燃料 ) ガス精製導管注入 交付金委託 補助 (2/3) 国 NEDO 民間企業 大学等 食品残さ下水汚泥等 メタン発酵施設等タ工場等 都市ガス等とバイオガスの混合利用 3
BTL(FTバイオジェット燃料 ) 技術開発概要 バイオマスからガス化合成によって液体燃料を製造するBTL(Biomass to Liquid) 技術の実用化に向けては単プロセスの高効率化 高性能化だけではなくトータルシステムとしての適正化が必要です 本研究では付加価値の高いバイオジェット燃料製造システムを対象とした開発を行います 特に 大径原料の投入が可能で BTL に適した噴流床ガス化炉と高選択性 耐久性を有したジェット燃料合成に適したAnti-ASF 型合成触媒を組み合わせて開発に注力することで, バイオマスエネルギー利用の実用化上の課題である効率向上, 低コスト化を達成すると共に, 従来未利用の廃棄物系バイオマスなど対象原料拡大により大量原料確保の実現を目指します ハ イオマス バイオマスガス化プロセス ガス冷却 + 精製 液体燃料合成プロセス オフカ ス FT 合成油 ジェット燃料 前処理 ハ イオマスガス化 FT 合成 ワックス ガス分離 水素化分解 蒸留 灯油軽油 4
FTバイオジェット燃料スペック (vs 既存ジェット燃油 ) 蒸留温度 10% 留出温度 50% 留出温度 90% 留出温度終点引火点密度 @15 析出点真発熱量煙点銅版腐食 (100 2 時間 ) 管堆積度 (100 2 時間 ) 2014 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved 5
微細藻由来バイオ燃料開発事業 ( 平成 27 年度実施事業 ) 主要事業者 IHI J POWER DENSO DIC 共同実施者ちとせ研究所 神戸大東京農工大 日揮中央大 クボタ 出光興産神戸大 基礎生物学研究所 微細藻株 ボトリオコッカス珪藻シュードココミクサクラミドモナス 油分 ( 炭化水素 ) を体外分泌し 保持する特徴を有する藻 増殖能力の高い株を獲得済みであり 更なる改良も実施 海洋珪藻オイル成分の分布がシンプル 細胞の付着性がない 自己凝集性がある 日本国内の温泉から発見された藻類 酸性条件下で生育可能であり 野外培養に有利 海産性モデル緑藻の Chlamydomonas reinhardtiiの近縁種 目的代替油ジェット燃料ジェット燃料ジェット燃料 ディーゼルジェット燃料 開発段階 応用研究 ~ 商用実証へ基礎 ~ 応用研究 ( 中期 ) 基礎 ~ 応用研究 ( 中期 ) 基礎 ~ 応用研究 ( 中期 ) 鹿児島市に国内最大級 (1500 m2 ) 屋外培養設備を構築し プレ実証試験を展開中 大型培養槽 ( 円型 10 m2 20 基 : 福岡県 ) により 藻類の連続培養試験を実施中 60 m2培養槽 ( レースウエイ型 : 愛知県 ) における 藻類の試験培養を実施中 25 m 2 屋外レースウエイ培養槽を設置し ( 米国 ) 屋外培養を実施中 研究開発の概要 屋外大規模培養実証を実施中屋外培養条件の確立 育種屋外培養条件の確立 育種屋外培養条件の確立 育種 商用スケールに向けた課題抽出海外での培養適性評価試験の実施発電所等の排 CO2 の有効利用検討等 屋外における半連続培養等の最適化遺伝子組換えによる育種技術の確立耐冷性株併用による通年培養の検討 屋外における培養条件の最適化遺伝子組換え株の商用利用手法確立藻の省エネ 低コスト回収技術開発 屋外における培養条件の最適化遺伝子組換えによる育種技術確立代謝解析による油分向上技術検討 研究開発支援状況 24 年度から NEDO 事業 ( 戦略的次世 25 年度から NEDO 事業 ( 戦略的次 23 年度から NEDO 事業 ( 戦略的次 24 年度から NEDO 事業 ( 戦略的次 代バイオマスエネルギー利用技術開発 世代バイオマスエネルギー利用技術 世代バイオマスエネルギー利用技 事業 ) にて実施 開発事業 ) にて実施 術開発事業 ) にて実施 世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業 ) にて実施 ( 中央大と ) 25 年度から別の NEDO 事業実施 ( 中央大 クボタ 出光興産と ) 6
本事業終了後から事業化までの流れ 2010 2015 2020 2025 2030 次世代技術開発事業 要素技術の確立 一貫プロセスの構築 海外実証商用プラント本格的増産 油 を生産する微生物 ( 微細藻類 ) の活用 微細藻類には高いオイル生産能があり このオイルは軽油代替燃料に容易に変換できる 2030 年頃の実用化を見据え 大量培養や油の回収方法等に係るコスト削減技術開発を実施 例 ) 探索 育種 屋外大規模培養 水 CO 2 太陽光 藻体回収 濃縮 脱水 乾燥 抽出 改質 抽出 精製 改質 バイオ液体燃料 ~ ~ ~ 高油脂生産藻 高効率な増殖撹拌装置の省エネ化太陽光 排出 CO 2 利用 高効率な油脂分離プロセス低減 省エネ油脂抽出油脂組成の最適化 7
微細藻由バ緑藻 ( 西尾m2 ) イオ燃料第 3 世代バイオ燃料事業のロードマップ - これまでの実施概要と今後 ( 事業化 )- < 総合資源エネルギー調査会資源 燃料分科会 ( 第 12 回 ) 配布資料 2 運輸部門における燃料多様化 22 頁 > 年度 H22Fy H23Fy H24Fy H25Fy H26Fy H27Fy H28Fy H29Fy H30Fy H31Fy H32Fy H37Fy 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2025 要素技術開発 2013 年度末までの成果概要 有用藻の獲得 育種海産珪藻緑藻海産緑藻淡水緑藻 ( ボトリオコッカス ) 大量培養技術確立ミドリムシ ( 石垣 25m2 ) ボトリオコッカス ( 横浜 100m2 ) 緑藻 ( 西尾 60m2 ) 珪藻 ( 若松 10m2 ) 藻体の回収技術等ボトリオコッカス ( 油脂抽出 ) ボトリオコッカス ( 簡易脱水 ) 緑藻 ( 膜ろ過 ) 油分の改質技術等ボトリオコッカス 遺伝子組換えによる油分生産向上技術の確立に目途 人工変異による増殖性向上 浮上性向上 多糖分泌抑制等の有用特性を持つ新株の取得に成功 ( ボトリオコッカス ) 糖代謝を抑制し 油脂生産向上に寄与する遺伝子の獲得 100m2の屋外培養を実施し コンタミを回避した安定増殖技術を確立 ( ボトリオコッカス ) 強光阻害を抑制するために低クロロフィル含有藻を獲得 膜ろ過による省エネルギー回収技術の開発中 ( 緑藻 ) 藻体の拡大による金属メッシュ等による簡易脱水方法の適用に目処 ( ボトリオコッカス ) 既設の原油改質設備による改質が可能であることを実証 来大規模培養実証 培養要素技術開発スケールアップ 上流 ( 培養 )~ 下流 ( 油脂精製 ) まで一貫プロセスの確立 BTL ガス化 LPG 変換 水熱液化 ガス化 ジェット燃料変換 要素技術開発 ガス化 + プロパン合成技術の確立 製糖バガス残渣より液化燃料製造に目処 木質原料からのガス化 +FT ジェット合成に目処 一貫プロセス開発実証研究 ( 海外 ) 一貫プロセス開発スケールアップ ( 海外 ) MRJ スケールアップ実証 海外 事業化検討 原料調達を含めた一貫プロセス事業の確立 事業化検討 一貫プロセス開発実証研究 ( 国内 ) 一貫プロセス開発スケールアップ ( 国内 ) スケールアップ実証 海外 8
国内初の屋外微細藻大規模培養実証を開始 NEDOはバイオマス由来バイオ燃料の商用化に向け 鹿児島市七ツ島に1500m2の屋外微細藻大規模培養施設を建設し コスト低減に向けたバイオ燃料開発を推進 炭化水素を生産する微細藻 ( ボツリオコッカス ) の有用株を用いて 100m2規模での屋外安定培養に成功し これに続いて国内最大規模となる実証培養設備を建設これに続いて国内最大規模となる実証培養設備を建設 運転開始運転開始 鹿児島県鹿児島市七つ島に設置した国内最大規模の微細藻屋外培養設備 屋外での安定的な大規模培養技術の確立に向け 課題の克服や運転スケジュール等の把握など コスト削減に必須となる微細藻大量培養体制の構築を目指す 用いている微細藻 ( ボツリオコッカス ) は海外では採用されていない日本オリジナルの藻株 一般的な植物由来の油脂に対して重油相当の炭化水素を生産することが特徴 資源エネルギー庁では 2020 年オリンピック開催時の国産バイオジェット燃料導入検討 を推進しており こちらへの寄与の点からも大きな効果が期待されている 鹿児島市七ツ島に建設した 1500 m2の屋外大規模培養装置の外観 9